JPH08254534A - 免疫反応物質固定化担体 - Google Patents

免疫反応物質固定化担体

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JPH08254534A
JPH08254534A JP5866695A JP5866695A JPH08254534A JP H08254534 A JPH08254534 A JP H08254534A JP 5866695 A JP5866695 A JP 5866695A JP 5866695 A JP5866695 A JP 5866695A JP H08254534 A JPH08254534 A JP H08254534A
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JP
Japan
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immunoreactive substance
substance
particles
antibody
immunoreactive
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JP5866695A
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Yasuki Yabushita
安紀 薮下
Norio Koike
紀夫 小池
Keiji Okada
圭史 岡田
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 粒子状の高分子材料表面に免疫反応物質が酸
無水物基を介した共有結合によって固定化されたことを
特徴とする免疫反応物質固定化担体。 【効果】 免疫学的な反応に用いる際に優れた検出感度
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫反応物質固定化担体
に関し、さらに詳しくは、臨床検査や食品検査などにお
いて試料中の微量成分を特異的に測定するために用いる
免疫反応物質固定化担体に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査などの分野では、免疫反応を利
用して生化学的に試料中の微量成分を検出する技術を利
用した検査キットが現在では多数市販されている。この
検査キットの材料として、高分子材料表面に試料中の特
定成分と特異的に結合する物質(抗体、抗原等)を固定
化した材料が用いられている。検査キットの代表的なも
のとしてポリスチレンなどのラテックス粒子に抗体等を
感作させ試料中の微量特定成分との抗原抗体反応に伴う
ラテックスの凝集反応により陽性、陰性の判定を行うラ
テックス凝集法がある。
【0003】抗体を感作させた高分子ラテックス粒子
は、主に特定の緩衝液(アルカリ性のカルボネートバッ
ファーを用いることが多い)に溶解した抗体溶液に高分
子ラテックス粒子を浸漬することにより製造される。こ
の際、高分子材料への抗体の固定化方法は、非特異的な
疎水結合的相互作用によるとの説が一般的である[P.Ti
jssen 著、東京化学同人、生化学実験法11“エンザイ
ムイムノアッセイ”(1989)]。それゆえ固定化量は固定
化する物質の疎水度の差によって異なり、免疫反応物質
の固定化量がそれ程多くない場合などは検出感度の点で
問題が残されており改善が求められている。また免疫反
応物質の固定化量が多い場合においてもその結合が比較
的弱い疎水結合的相互作用によるものであるため、試料
との反応中や洗浄中に免疫反応物質が脱離してしまうと
いう問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの欠点を克服す
るため共有結合による高分子材料への化学的固定化方法
が用いられることがある。天然のDNA、小オリゴヌク
レオチドやハプテンのような吸着性の低い抗原等を結合
させる際にもこのような方法が必要となる。比較的簡単
な方法としてはヒドラジド基、アルキルアミノ基などを
導入した修飾ポリスチレンをグルタルアルデヒドであら
かじめ処理し、これに抗原や抗体等の免疫反応物質を添
加することにより固定化を行うことが可能である[M.Su
ter,J.Immunol.Methods,53,103-108(1982)]。この方法
によると、高分子材料と免疫反応物質の結合自体は化学
結合によるものであるので、前記の疎水的相互作用によ
るものと比較してかなり強固になり、洗浄時の脱落につ
いてはかなり改善できるが、反応に関与する末端の反応
性官能基の数そのものは多くないために多量の免疫反応
物質を固定化することは困難であり、また厳しい固定化
条件のため免疫反応物質の失活が多いので、実際に固定
化した免疫反応物質を用いて測定を行う際に十分な検出
感度が得られなかった。本発明は、免疫学的な反応に用
いる際に優れた検出感度を有する免疫反応物質固定化担
体を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこの点に鑑
み、高分子材料単位表面積あたりの免疫反応物質の固定
化量の多い固定化担体を開発すべく鋭意検討した結果、
本発明に到達した。すなわち、本発明は、粒子状の高分
子材料表面に免疫反応物質が酸無水物基を介した共有結
合によって固定化されたことを特徴とする免疫反応物質
固定化担体を要旨とするものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける免疫反応物質とは、対応する物質を特異的に認識
することにより選択的に結合可能な物質のことであり、
例えば抗体、抗原、ホルモン、レセプター、レクチン、
酵素、基質などが挙げられる。
【0007】抗体としては、例えばモノクローナル抗体
は精製した抗原を免疫したマウスの脾細胞とミエローマ
細胞との融合細胞のクローンを用いてマウス腹水を誘導
したものや培養液より得られたものを用いることができ
る。また、ポリクローナル抗体はウサギ、ヤギ、ラッ
ト、ヒツジ、ニワトリ、ブタ、ロバ、モルモット、イ
ヌ、ウシなどに抗原を免疫させて得られる血清より精製
したものを用いることができる。
【0008】抗原としては、上記の様に抗体の産生を誘
導するもので、一般にはタンパク質、糖類、ステロイド
などである。具体的には例えば、B型肝炎ウィルス表面
抗原、黄体ホルモン、人絨毛性ゴナトトロピン、キチ
ン、キトサン、腸炎ビブリオの菌体成分及び耐熱性溶血
毒素、コレラ菌の菌体成分およびコレラトキシンなどが
挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0009】本発明における高分子材料としては、例え
ばポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビ
ニルアルコール、ポリエステル、ポリアクリロニトリ
ル、ブタジエンゴム、無水マレイン酸−メチルビニルエ
ーテル共重合体,エチレン−無水マレイン酸共重合体,
スチレン−無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン
酸共重合体等の合成高分子、またはセルロース、天然ゴ
ム、キチン、ニトロセルロースなどの天然高分子及びそ
れらの誘導体が挙げられる。
【0010】本発明における粒子状の高分子材料の粒径
は0.001 μm 〜100 μm の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは0.01μm 〜10μm の範囲である。粒径が0.001 μ
m 未満であれば、検出感度の低下を招いたり、非特異凝
集を起こす場合があり、100μm よりも大きい場合、ラ
テックス凝集反応の際に粒子の沈降速度が速すぎて免疫
複合体(凝集体)の形成時間が十分でなく、反応の結果
が不均一になることがある。
【0011】酸無水物基を介して免疫反応物質を高分子
材料に固定化する方法としては、高分子材料表面に存在
する酸無水物基と免疫反応物質を結合させてもよいし、
高分子材料表面に存在する他の反応性官能基に酸無水物
基を導入し、これを介して免疫反応物質を固定化するこ
ともできる。また酸無水物基、反応性官能基のいずれも
高分子材料表面にない場合には、材料表面に直接酸無水
物基を導入して免疫反応物質を固定化してもよいし、あ
るいは反応性官能基を導入した後、酸無水物基を導入し
て免疫反応物質を固定化してもよい。
【0012】反応性官能基としてはカルボキシル基、ア
ミノ基、ホルミル基、アジド基、イソシアネート基、ク
ロロホルミル基、エポキシ基等が挙げられる。
【0013】高分子材料表面に反応性官能基を導入する
方法としては、例えばポリビニルアルコールにアミノ基
を導入するには、ポリビニルアルコールをアミノアセタ
ール化すればよい。ナイロンに大量のアミノ基を導入す
るには、例えばナイロンを酸処理し表面を加水分解して
カルボキシル基を露出した後、ポリエチレンイミン等の
ポリアミンを作用させればよい。
【0014】また、反応性官能基が存在しない高分子材
料表面は、アンモニア−プラズマ処理やγ線、電子線な
どの放射線処理によりアミノ基等の目的とする反応性官
能基を導入することが可能である。
【0015】高分子材料表面上に酸無水物基を導入する
方法としては、例えばスチレン無水マレイン酸共重合
体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニル
エーテル−無水マレイン酸共重合体などと反応させるこ
とにより導入できる他、無水マレイン酸をγ線や電子線
によりグラフト重合させ酸無水物基を導入することもで
きる。
【0016】本発明では、免疫反応物質が有するアミノ
基やチオール基などを高分子材料表面の酸無水物基と結
合することにより、温和な条件で容易に高分子材料表面
に免疫反応物質を共有結合により固定化することができ
る。
【0017】免疫反応物質の固定化処理は、例えば免疫
反応物質を水あるいは生理食塩水で好ましくは10〜1000
倍の濃度に希釈した溶液に、酸無水物基を導入した高分
子材料を加えて、常温で数時間攪拌することにより固定
化することができる。また、必要に応じて、免疫反応物
質の溶液中に酸、塩基、塩、抗菌剤、安定化剤などを添
加してもよい。
【0018】本発明の免疫反応物質固定化担体は、臨床
検査や食品検査などにおいて検体中の成分の検出に用い
ることができる。検出を行う前に、検体中の成分と非特
異的に結合する免疫反応物質固定化担体の部位を抗血清
や非干渉性のタンパク質でブロックする操作(以下ブロ
ッキングという)が必要である。ブロッキングに使用さ
れるタンパク質は牛血清アルブミン、オボアルブミン、
ヘモグロビン、ゼラチン、カゼインなどが挙げられ、こ
れらタンパク質を 0.9%塩化ナトリウムを含む10mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH 7.2)あるいはリン酸緩衝液(pH
7.2)に溶解して、37℃で 1.5時間または4℃で24時
間、免疫反応物質固定化担体と反応させればよい。
【0019】検体としては、便、尿、痰、血液、血漿、
血清、リンパ液、髄液、唾液、胃液、涙などの人由来の
材料を直接用いるか、人由来の材料より分離した菌体の
培養上清を用いればよい。これらの検体は、例えば人由
来の材料を直接用いる場合、塩化ナトリウムを含むリン
酸緩衝液で2〜50倍に希釈して免疫反応物質固定化担体
に作用させればよい。
【0020】一方、人由来の材料より分離した菌体の培
養上清を用いる場合、例として腸炎ビブリオ〔ビブリオ
・パラハエモリティカス(Vibrio parahaemolyticus
)〕を挙げると、人由来の材料より分離した菌株をペ
プトン−食塩培地(1%ポリペプトン〔ディフコ(Difc
o )社製〕、3%塩化ナトリウム、0.5 %リン酸水素二
ナトリウム)あるいは食塩−リン酸−ペプトン培地(1
%ポリペプトン〔ディフコ(Difco )社製〕、0.5 %塩
化ナトリウム、0.5 %グルコース、0.5 %リン酸水素二
ナトリウム)を用いて3時間から24時間培養した遠心分
離上清を検体とし、免疫反応物質固定化担体に作用させ
ればよい。
【0021】また、コレラ菌〔ビブリオ・コレレエ(Vi
brio cholerae )〕の場合、人由来の材料より分離した
菌株をシンケース(Syncase )培地(1%カザミノ酸
(Casamino acid 〔ディフコ(Difco )社製〕、0.5 %
白糖、0.5 %リン酸水素二ナトリウム、0.5 %リン酸水
素二カリウム、0.118 %塩化アンモニウム、0.0089%硫
酸ナトリウム、0.0042%塩化マグネシウム、0.0004%塩
化マンガン、0.0005%塩化第三鉄)を用いて3時間から
24時間培養した遠心分離上清を検体とし免疫反応物質固
定化担体に作用させればよい。
【0022】本発明の免疫反応物質固定化担体を検体に
作用させる際、例えば市販のマイクロプレートを使用す
ることができる。マイクロプレートのウエルに検体溶液
を加え、さらに本発明の免疫反応物質固定化担体を加え
た後、十分に振り混ぜ均一な状態にしてから25℃で24時
間放置し、ウエルの凝集度を観察することにより検出で
きる。ここで、凝集度とは、試料とブランク(空試験)
におけるウエル底面の沈降像の違いを示し、ブランクと
比較して試料の沈降像(円)の半径が大きくなるほど凝
集度が高い。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0024】実施例1 ナイロン6(ユニチカ株式会社製)からなる粒子(直径
500nm )を2.5 N塩酸中に30℃、30分浸漬した後、遠心
分離を行い沈渣を蒸留水にて洗浄した。洗浄、乾燥後、
10%(w/v) のポリエチレンイミン水溶液とメタノールと
の1:5混合液に25℃で30分間浸漬した後、2倍量の5
%ジシクロヘキシルカルボジイミドのメタノール溶液を
加え、引き続き25℃で2時間浸漬した。沈渣をメタノー
ルにて洗浄、乾燥後、1%(w/v) 無水マレイン酸−メチ
ルビニルエーテル共重合体の脱水アセトン溶液中に25℃
で1時間浸漬し、沈渣をアセトンにて洗浄後、真空乾燥
し、酸無水物基を導入した粒子を得た。得られた粒子を
抗体の固定化に用いた。
【0025】コレラ毒素〔シグマ(SIGMA )社製〕に対
するウサギのポリクローナル抗体を10μg /ml含む緩衝
溶液中に、上記方法により得られた酸無水物基が導入さ
れたナイロン粒子が0.3 重量%となるように加え、25℃
で2時間浸漬することにより固定化を行った。
【0026】コレラ毒素に対するウサギのポリクローナ
ル抗体は以下の方法により得た。すなわち、コレラ毒素
を50μg /mlになるように0.9 %塩化ナトリウムを含む
10mMリン酸緩衝液(pH7.2 ,以下PBSと略す)に溶解
し、これに等量のフロイント完全アジュバント〔ディフ
コ(Difco )社製〕を三方活栓付きの注射器を用いて混
合したものを、ウサギ(雌、体重約2kg)のフットパッ
ド(foot pad)に0.5ml ずつ投与した。1ヶ月後、フロ
イント完全アジュバントの代わりにフロイント不完全ア
ジュバントを用いて同様に投与した。2回目の免疫後、
1週間ほどしてから、耳より少量採血し、37℃、1時
間、氷中1時間の操作により血清を調製し、血中の抗体
価をオクタロニー法[渡辺慶一著、学際企画、改訂版
“酵素抗体法”(1988)]により測定した。沈降線が確認
できる血清の最大希釈倍率を抗体価とし、この抗体価が
8以上であれば(望ましくは16以上)大量に採血し血清
を調製し、50%硫安塩析を2度行いアルブミンを除去し
た後、PBSに対して透析したものをポリクローナル抗
体として用いた。
【0027】また、ウサギ正常血清に酸無水物基が導入
されたナイロン粒子を浸漬し、対照ナイロン粒子を調製
した。
【0028】得られた抗コレラ毒素抗体固定化ナイロン
粒子(以下感作粒子という)および対照ナイロン粒子は
PBSを用いて遠心分離による沈降処理によって洗浄
し、未反応の官能基を1%ウシ血清アルブミン(以下B
SAと略す)を含むPBSに24時間浸漬することにより
処理した。
【0029】保存は上記溶液中で粒子が0.2 重量%にな
るように調製した後、4℃にて行った。
【0030】次に、コレラ毒素を0.5 %BSAを含むP
BSにより希釈して、1ml中のコレラ毒素濃度がそれぞ
れ100ng, 10ng, 1ng, 0.1ng のコレラ毒素溶液を調製
し、市販のV型マイクロプレート〔フロー・ラボラトリ
ーズ社(Flow laboratories,Inc.)製、CAT.NO.76-223-
05〕のウエルに2列ずつ、各濃度のコレラ毒素溶液を50
μl 滴下した。感作粒子および対照粒子を十分に振り混
ぜ均一なサスペンションとしてから各列に50μl ずつ滴
下した。マイクロプレート用ミキサーにて撹拌、カバー
をし、25℃で24時間放置後、各ウエルの凝集度を観察し
た。結果を表1に示す。対照粒子では凝集は認められな
かった。
【0031】実施例2 ポリビニルアルコール(ユニチカケミカル社製)からな
る粒子(粒径500nm )を2%アミノアセタールの0.5N塩
酸溶液中に58℃、5時間浸漬したものを、実施例1と同
様に洗浄、乾燥後、2%(w/v) 無水マレイン酸−メチル
ビニルエーテル共重合体の脱水アセトン溶液中に常温で
2時間浸漬し、アセトンにて洗浄後真空乾燥した。得ら
れた粒子に実施例1と同様の方法で、コレラ毒素に対す
るウサギのポリクローナル抗体を固定し、抗体固定化ポ
リビニルアルコール粒子を得た。
【0032】得られた抗体固定化ポリビニルアルコール
粒子を用いて、実施例1と同様の方法で凝集反応を行っ
た。対照粒子はポリビニルアルコール粒子を実施例1と
同様に処理したものを用いた。結果を表1に示す。対照
粒子では凝集は認められなかった。
【0033】実施例3 スチレン−無水マレイン酸共重合体〔商品名 SMA,
エルフ・アトケミ(elf atochem )社製〕からなる粒子
(粒径500nm )を用いて、実施例1と同様の方法で、コ
レラ毒素に対するウサギのポリクローナル抗体を固定
し、抗体固定化スチレン−無水マレイン酸共重合体粒子
を得た。
【0034】得られた抗体固定化スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体粒子を用いて、実施例1と同様の方法で凝
集反応を行った。対照粒子はスチレン−無水マレイン酸
共重合体からなる粒子を実施例1と同様に処理したもの
を用いた。結果を表1に示す。対照粒子では凝集は認め
られなかった。
【0035】比較例1 ポリスチレンラテックス粒子(積水化学株式会社製、粒
径450nm )を、50mMカルボネートバッファー(pH9.6 )
用いてコレラ毒素に対するウサギのポリクローナル抗体
を10μg /mlとなるように調製した溶液に、4℃で24時
間浸漬することにより抗体を固定化した。得られた酸無
水物基を介さずに抗体を固定化した粒子を用いて、実施
例1と同様の方法で凝集反応を行った。対照粒子はポリ
スチレンラテックス粒子を実施例1と同様に処理したも
のを用いた。結果を表1に示す。対照粒子では凝集は認
められなかった。
【0036】
【表1】
【0037】表1から、本発明の酸無水物基を介した共
有結合によって抗体を固定化した粒子(実施例1〜実施
例3)は、酸無水物基を介さずに抗体を固定化した粒子
(比較例1)を用いた場合に比べて、高感度で病原因子
を検出できることが明らかである。
【0038】実施例4 BSAを10μg /ml含む緩衝溶液中に、実施例1で得ら
れた酸無水物基を導入したナイロン粒子を、固形分濃度
が0.3 重量濃度となるように25℃で2時間浸漬すること
により、ナイロン粒子にBSAを固定した。
【0039】また、BSAの代わりに鶏オボアルブミン
〔シグマ(SIGMA )社製〕を用いて、上記操作と同様の
方法で対照粒子を調製した。
【0040】得られたBSA固定化ナイロン粒子および
対照粒子はPBSを用いて遠心分離による沈降処理によ
って洗浄し、未反応の官能基を0.5 %ゼラチンを含むP
BSに24時間浸漬することにより処理した。
【0041】保存は上記溶液中で粒子が0.2 重量%にな
るように調製後、4℃にて行った。
【0042】次に、ウサギ抗BSA抗体(ペーゼル社
製)を0.2 %ゼラチンを含むPBSにより、それぞれ10
倍、100 倍、1000倍、10000 倍に希釈して、ウサギ抗B
SA抗体溶液を調製し、上記方法により得られたBSA
固定化ナイロン粒子および対照粒子を用いて、実施例1
と同様の方法で凝集反応を行った。結果を表2に示す。
対照粒子では凝集は認められなかった。
【0043】実施例5 実施例2で得られた酸無水物基を導入したポリビニルア
ルコール粒子を用いて、実施例4と同様の方法で、BS
Aを固定化した。得られたBSA固定化ポリビニルアル
コール粒子を用いて、実施例4と同様の方法で凝集反応
を行った。対照粒子はポリビニルアルコール粒子を実施
例4と同様に処理したものを用いた。結果を表2に示
す。対照粒子では凝集は認められなかった。
【0044】実施例6 実施例3で得られた酸無水物基を導入したスチレン−無
水マレイン酸共重合体粒子を用いて、実施例4と同様の
方法で、BSAを固定化した。得られたBSA固定化ス
チレン−無水マレイン酸共重合体粒子を用いて、実施例
4と同様の方法で凝集反応を行った。対照粒子はスチレ
ン−無水マレイン酸共重合体粒子を実施例4と同様に処
理したものを用いた。結果を表2に示す。対照粒子では
凝集は認められなかった。
【0045】比較例2 比較例1でコレラ毒素に対するウサギのポリクローナル
抗体の代わりにBSAを用いる以外は全く同様の操作を
行い、BSAを固定化したポリスチレンラテックス粒子
を得、得られた酸無水物を介さずにBSAを固定化した
粒子を用いて、実施例4と同様の方法で凝集反応を行っ
た。対照粒子はポリスチレンラテックス粒子を実施例4
と同様に処理したものを用いた。結果を表2に示す。対
照粒子では凝集は認められなかった。
【0046】
【表2】
【0047】表2から、本発明の酸無水物基を介した共
有結合によってBSAを固定化した粒子(実施例4〜実
施例6)は、酸無水物基を介さずに抗体を固定化した粒
子(比較例2)を用いた場合に比べて、高感度でウサギ
抗BSA抗体を検出できることが明らかである。
【0048】以上の結果より、本発明の免疫反応物質固
定化担体を用いた凝集反応は検出感度の点で従来のもの
よりも優れていることが分り、検出する物質の濃度が低
い臨床検体などを扱う場合に有利であることが明らかで
ある。
【0049】
【発明の効果】本発明の免疫反応物質固定化担体は、免
疫学的な反応に用いる際に優れた検出感度を有する。ま
た,酸無水物基を介した共有結合によって抗体を固定化
するので、比較的温和な条件下で抗体を固定化でき、抗
体の失活が少なく、乾燥状態での長期保存が可能であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子状の高分子材料表面に免疫反応物質が
    酸無水物基を介した共有結合によって固定化されたこと
    を特徴とする免疫反応物質固定化担体。
  2. 【請求項2】免疫反応物質が抗体あるいは抗原である請
    求項1記載の免疫反応物質固定化担体。
  3. 【請求項3】高分子材料が無水マレイン酸共重合体であ
    る請求項1記載の免疫反応物質固定化担体。
  4. 【請求項4】高分子材料がポリアミドである請求項1記
    載の免疫反応物質固定化担体。
  5. 【請求項5】高分子材料がポリビニルアルコールである
    請求項1記載の免疫反応物質固定化担体。
JP5866695A 1995-03-17 1995-03-17 免疫反応物質固定化担体 Pending JPH08254534A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009542862A (ja) * 2006-06-29 2009-12-03 インヴィトロジェン ダイナル エーエス マルチブロックポリマーを含む粒子

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Effective date: 20040224