JPH08253071A - 車両用減速表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フットブレーキの作動以外による減速であっ
ても、その減速をフットブレーキによる減速と同様に表
示させて追突等の事故発生の防止を図ると共に、路面傾
斜や車両傾斜があっても、あるいは車両に揺れ等の振動
が生じていても正確な減速表示を可能とする。また、構
成の簡易化を図る。 【構成】 車輪速対応パルス出力回路１から出力され
る、車輪の回転速度に応じた周期のパルス信号のパルス
をアップ／ダウンカウント回路３でアップカウントし、
次に同様の時間ダウンカウントし、そのダウンカウント
後の結果値と基準設定回路４で予め設定した表示基準値
とを比較回路５で比較し、ダウンカウント結果値＞（又
は≧）表示基準値となったときに表示信号を出力して表
示灯８を点灯させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両減速時に後続車に
それを表示して注意を喚起させる車両用減速表示装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の装置は、図４に示すよう
に、図示しない主制動装置（フットブレーキ）の作動に
連動するスイッチ１３を電源Ｅ及び制動灯１４，１４相
互間に挿入し、フットブレーキ作動時に制動灯１４，１
４を点灯して後続車への表示を行うというものである。

【０００３】このような従来装置では、フットブレーキ
の作動以外による減速、例えばエンジンブレーキにより
車両が減速した場合、制動灯１４，１４は点灯しない。
したがって、後続車は前方車の減速をすぐに判断するこ
とができず、前方車との車間距離が縮まること等によっ
て初めて前方車の減速を知り得る。このため、後続車の
ブレーキ操作等の遅れを引き起こし、追突等の事故を生
じさせる危険性があった。

【０００４】そこで、後続車への減速表示をフットブレ
ーキの作動に依存させず、減速を直接検出して表示する
装置が出現してきた。これは、図５に示すように、加速
度センサ１５、増幅回路１６、比較回路１７、基準設定
回路１８、制御回路１９及び表示灯２０，２０を備えて
なるものである。すなわち減速の検出に、加速度センサ
１５を用いたもので、これにより検出された加速度（負
の加速度：減速）が基準設定回路１８の設定値を超えた
ときに、表示灯２０，２０を点灯し後続車への表示を行
うものである。

【０００５】しかしこのような従来装置では、使用する
加速度センサ１５の特性上、路面傾斜や車両傾斜がある
場合、例えば坂道走行時、重力加速度（ｇ ｓｉｎθ）
分、０Ｇレベルが変動（シフト）してしまう。したがっ
て、加速度センサ１５のみでは、路面傾斜＝０゜あるい
は車両傾斜＝０゜以外の条件下で正確な車両の減速度が
得られなかった。また、車両に揺れ等の振動が生じたと
きも正確な減速度が得られなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように従来技術
では、フットブレーキの作動以外による減速、例えばエ
ンジンブレーキによる減速を表示することができず、追
突等の事故を生じさせる危険性があったり、路面傾斜，
車両傾斜＝０゜以外の条件下で、あるいは車両に揺れ等
の振動が生じたときに、正確な車両の減速度が得られな
い等の問題点があった。

【０００７】本発明の目的は、フットブレーキの作動以
外による減速であっても、その減速をフットブレーキに
よる減速と同様に表示でき、追突等の事故発生を未然に
防止できると共に、加速度センサのような重力加速度に
よる影響を受けるものではなく、路面傾斜や車両傾斜が
あっても、あるいは車両に揺れ等の振動が生じていても
正確に減速を検出，表示できる車両用減速表示装置を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的は、車両の車輪
の回転速度に応じた周期のパルス信号を出力する車輪速
対応パルス出力回路と、この車輪速対応パルス出力回路
からの出力パルスを所定時間アップカウントした後、そ
のカウント値をアップカウント時間と同時間ダウンカウ
ントする動作を一定の時間間隔で繰り返し、各動作サイ
クルにおけるダウンカウント結果値を出力するアップ／
ダウンカウント回路と、減速表示を行うときのダウンカ
ウント結果値を設定する基準設定回路と、この基準設定
回路の設定値と前記アップ／ダウンカウント回路からの
ダウンカウント結果値とを比較して減速表示の要否を判
断する比較回路と、この比較回路による減速表示の要否
判断結果に応じて表示灯を点消灯させる制御回路とを設
けることにより達成される。

【０００９】

【作用】車輪速対応パルス出力回路は、フットブレーキ
の作動に依存せず、車両の車輪の回転速度に応じた周期
のパルス信号を出力し、以後のデジタル処理を可能とす
る。アップ／ダウンカウント回路は、車輪速対応パルス
出力回路からの出力パルスを所定時間アップカウントし
た後、そのカウント値をアップカウント時間と同時間ダ
ウンカウントする動作を一定の時間間隔で繰り返し、各
動作サイクルにおけるダウンカウント結果値を出力す
る。

【００１０】比較回路は、減速表示を行うときのダウン
カウント結果値を設定する基準設定回路の設定値と前記
アップ／ダウンカウント回路からのダウンカウント結果
値とを比較し、減速表示の要否を判断する。制御回路
は、比較回路による減速表示の要否判断結果に応じて表
示灯を点消灯させる。すなわち、一定の減速度になった
時、あるいは一定の減速度を超えた時に表示灯を点灯
し、後続車に減速を表示する。

【００１１】これにより、フットブレーキの作動以外に
よる減速であっても、その減速がフットブレーキによる
減速と同様に表示され、追突等の事故発生が未然に防止
されることになる。また、加速度センサのような重力加
速度による影響を受けるものではないので、路面傾斜や
車両傾斜があっても、あるいは車両に揺れ等の振動が生
じていても正確に減速が検出され、表示されることにな
る。

【００１２】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は、本発明による車両用減速表示装置の一実
施例を示すブロック図である。この図１において、１は
車両（図示せず）の車輪の回転速度に応じた周期のパル
ス信号を出力する車輪速対応パルス出力回路で、ここで
は車輪速センサ１ａ及び波形整形回路１ｂからなる。

【００１３】この場合、車輪速センサ１ａは、例えば、
図示しないがマグネットを内蔵した電磁ピックアップ
と、車輪と一体に回転する歯車とを備え、車輪の回転に
応じて歯車のピッチに対応した周期の誘導起電力（正弦
波）を出力するセンサからなる。また波形整形回路１ｂ
は、車輪速センサ１ａからの正弦波出力を半波整流し、
方形波パルス信号（デジタル信号）に変換するものであ
る。車輪速センサ１ａからの正弦波出力は車輪の回転速
度により振幅も変化するが、波形整形回路１ｂは、その
振幅の変化を無視し、車輪の回転速度のみに応じた方形
波パルス信号を得る。

【００１４】３は、上記車輪速対応パルス出力回路１
（波形整形回路１ｂ）からのパルス（車輪速信号）の数
のアップ及びダウンカウント動作を後述基準発振回路で
設定された動作タイミングで繰り返し、各動作サイクル
におけるダウンカウントの結果値を出力するアップ／ダ
ウンカウント回路である。４は基準設定回路で、上記ア
ップ／ダウンカウント回路３のダウンカウントの結果値
（パルス数の変化）、すなわち車輪速度がある時間にど
れだけ減速したら表示を行うかの表示基準値を予め設定
して下記比較回路に与えるものである。５は比較回路
で、アップ／ダウンカウント回路３からの信号（ダウン
カウント結果値ＳＡ）と、上記基準設定回路４からの信
号（表示基準値ＳＢ）とを比較し、ＳＡ＞（又は≧）Ｓ
Ｂとなるときに表示が必要と判断し、表示信号を出力す
るものである。

【００１５】６は、上記比較回路５から表示信号が入力
されたときに表示灯８を点灯させ、それ以外のときは消
灯させておく表示灯点消灯制御用の制御回路である。表
示灯８としては、これを制動灯に兼用させてもよく、あ
るいは制動灯とは別個独立に設けてもよい。７はパルス
カウントの基準時間の設定及び各回路３〜５の動作タイ
ミングを制御する基準発振回路である。

【００１６】次に上述本発明装置の動作について説明す
る。上述本発明装置は、基本的には基準とする単位時間
内における車輪速対応パルス出力回路１から出力され
る、車両の車輪の回転速度に応じた周期のパルス信号の
パルスをアップ／ダウンカウント回路３でアップカウン
トし、次に同様の時間ダウンカウントする。そのダウン
カウント後の結果値と基準設定回路４で予め設定してあ
る表示基準値とを比較し、ダウンカウント結果値＞（又
は≧）表示基準値となったときに表示信号を出力し、表
示灯８を点灯させるものである。

【００１７】以下、順を追って各構成部分の動作を詳述
する。まず、車輪速センサ１ａは、車輪速度に対応した
周期の正弦波信号（ＡＣ信号）を出力する。この出力信
号は振幅も変化するが、本発明装置においては振幅の変
化は不要であり、また以降は基本的にデジタル処理する
ものであるため、波形整形回路１ｂで、この信号を半波
整流し、かつ内蔵のコンパレータ等で方形波パルス信号
（デジタル信号）に変換する。図２はこの様子を示す波
形図で、（イ）は車輪速センサ１ａの出力信号、すなわ
ち波形整形回路１ｂの入力信号、（ロ）は波形整形回路
１ｂ内の半波整流信号、（ハ）は波形整形回路１ｂの出
力信号、すなわち方形波パルス信号（デジタル信号）で
ある。

【００１８】次に、基準発振回路７により、パルスカウ
ントの基準時間の設定及び回路３，５の動作タイミング
を制御するが、以下この動作タイミングにつき図３
（Ａ），（Ｂ）を併用して説明する。アップ／ダウンカ
ウント回路３のアップカウントの動作タイミング波形Ａ
はパルスアップカウントを一定時間置いて繰り返す波形
であり、かつカウント時間より非カウント時間の方が少
し長く設定されている。他方のダウンカウントの動作タ
イミング波形Ｂは、動作タイミング波形Ａと同波形であ
るが、アップカウント終了時点からダウンカウントが開
始されるよう位相をずらせてある。

【００１９】すなわち、図３から分かるようにアップ／
ダウンカウント回路３は、車輪速対応パルス出力回路１
（波形整形回路１ｂ）からのパルス信号のパルスをまず
所定時間アップカウントし、アップカウント終了後、そ
のカウント値を、アップカウントした時間と同時間ダウ
ンカウントする。そして、ダウンカウント終了時のカウ
ント値（ダウンカウント結果値）を、次のアップカウン
トが開始する前（アップカウントもダウンカウントもし
ていない時）に出力するように動作タイミング設定され
ている。

【００２０】これにより、アップ／ダウンカウント回路
３は、図３（Ａ）に示すようなタイミングで波形整形回
路１ｂからのパルスのアップカウントを繰り返し、また
図３（Ｂ）に示すようなタイミングでアップカウント値
に対するダウンカウントを繰り返す。

【００２１】ここで、アップカウント時間とダウンカウ
ント時間は同一であり、また車輪速センサ１ａの出力信
号の周期は車輪速度が高くなる程、短くなる（波形整形
回路１ｂからのパルス信号の単位時間当たりのパルス数
が増加）する関係にあることから、車両の走行状態に対
するアップ／ダウンカウント回路３におけるアップカウ
ント値，ダウンカウント値は次のようになる。 等速時：アップカウント値＝ダウンカウント値 加速時：アップカウント値＜ダウンカウント値 減速時：アップカウント値＞ダウンカウント値 したがって、等速時には０、加速時には−の値、減速時
には＋の値が各々アップ／ダウンカウント回路３からダ
ウンカウント結果値として出力される。このダウンカウ
ント結果値の出力は、図３（Ａ），（Ｂ）中の斜線部
（非カウント状態の重なり部）、すなわちアップ／ダウ
ンカウント回路３のカウント動作の合間で行われ、続い
て以下のように比較動作が行われる。

【００２２】すなわち比較回路５は、上記カウント動作
の合間（斜線部）において、アップ／ダウンカウント回
路３からのダウンカウント結果値ＳＡと基準設定回路４
で予め設定された表示基準値ＳＢとを比較し、ＳＡ＞Ｓ
Ｂ又はＳＡ≧ＳＢ、ここではＳＡ＞ＳＢとなったときに
表示信号を出力する。例えば表示基準値ＳＢ＝０に設定
されており、ダウンカウント結果値ＳＡ＝＋２なる値が
アップ／ダウンカウント回路３から出力されていれば、
ＳＡ＞ＳＢとなり比較回路５は表示信号を出力する。表
示信号は制御回路６に与えられて表示灯８を点灯し、減
速状態にあることを後続車へ知らせる。

【００２３】また等速時は、上記のようにアップカウン
ト値＝ダウンカウント値であるので、アップ／ダウンカ
ウント回路３からはＳＡ＝０が出力される。したがっ
て、ＳＡ＝ＳＢとなり（ＳＡ＞ＳＢではなく）比較回路
５は表示信号を出力せず、表示灯８は点灯しない（消灯
状態を継続する）。

【００２４】加速時は、上記のようにアップカウント値
＜ダウンカウント値であるのでアップ／ダウンカウント
回路３からはＳＡ＝−の値が出力される。したがって、
ＳＡ＜ＳＢとなり（ＳＡ＞ＳＢではなく）比較回路５は
表示信号を出力せず、表示灯８は点灯しない（消灯状態
を継続する）。

【００２５】アップカウント値＜ダウンカウント値なる
条件において、実際には、アップ／ダウンカウント回路
３からのダウンカウント結果値ＳＡは０とされる。すな
わちアップ／ダウンカウント回路３は、ダウンカウント
の途中で０になると、その後のダウンカウントにおいて
桁借り（ボロー）が生じる。したがって、キャリーアウ
ト信号（ボロー発生時＝０）とアップ／ダウンカウント
回路３の出力信号との論理積（ＡＮＤ）をとることによ
り、加速時も等速時と同様に、ダウンカウント後のカウ
ント値（ダウンカウント結果値ＳＡ）が０として処理さ
れ、アップ／ダウンカウント回路３からはＳＡ＝０が出
力される。したがって、ＳＡ＝ＳＢとなり（ＳＡ＞ＳＢ
ではなく）比較回路５は表示信号を出力せず、表示灯８
は点灯しない（消灯状態を継続する）。

【００２６】以上述べた動作が車両走行中繰り返され、
表示基準値を超える減速時、制御回路１０に表示信号を
与えて表示灯１２を点灯し、減速状態にあることを後続
車へ知らせる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、フットブ
レーキの作動以外による減速、例えばエンジンブレーキ
等による減速でも、それが予め設定された大きさを超え
ると表示灯（例えば制動灯）を点灯するようにしたの
で、追突等の事故発生を未然に防止でき、安全性が向上
するという効果がある。

【００２８】また、車輪速の変化（＝車速の変化）から
減速を検出するものであるため、加速度センサのように
重力加速度による影響を受けることはなく、路面傾斜や
車両傾斜があっても、あるいは車両に揺れ等の振動が生
じていても正確に減速を検出，表示できるという効果も
ある。

【００２９】更に本発明によれば、車両の走行（減速）
状態の検知をアップ／ダウンカウント回路のみで行って
いるので構成が極めて簡単になるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の一実施例を示すブロック図であ
る。

【図２】図１中の波形整形回路の動作説明のための波形
図である。

【図３】図１に示す本発明装置の動作説明のためのタイ
ムチャートである。

【図４】従来装置のブロック図である。

【図５】図４とは異なる従来装置のブロック図である。

【符号の説明】

１…車輪速対応パルス出力回路、１ａ…車輪速センサ、
１ｂ…波形整形回路、３…アップ／ダウンカウント回
路、４…基準設定回路、５…比較回路、６…表示灯点消
灯制御用の制御回路、７…基準発振回路、８，２０…表
示灯、１３…スイッチ、Ｅ…電源、１４…制動灯、１５
…加速度センサ、１６…増幅回路、１７…比較回路、１
８…基準設定回路、１９…制御回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の車輪の回転速度に応じた周期のパ
   ルス信号を出力する車輪速対応パルス出力回路と、この
   車輪速対応パルス出力回路からの出力パルスを所定時間
   アップカウントした後、そのカウント値をアップカウン
   ト時間と同時間ダウンカウントする動作を一定の時間間
   隔で繰り返し、各動作サイクルにおけるダウンカウント
   結果値を出力するアップ／ダウンカウント回路と、減速
   表示を行うときのダウンカウント結果値を設定する基準
   設定回路と、この基準設定回路の設定値と前記アップ／
   ダウンカウント回路からのダウンカウント結果値とを比
   較して減速表示の要否を判断する比較回路と、この比較
   回路による減速表示の要否判断結果に応じて表示灯を点
   消灯させる制御回路とを具備することを特徴とする車両
   用減速表示装置。