JPH08252305A - 空気浄化用シートおよびその製造方法 - Google Patents

空気浄化用シートおよびその製造方法

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JPH08252305A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性に優れ、しかも室内用品あるいはその
他の物品に幅広く利用できる空気浄化用シートを得る。 【構成】 光触媒微粒子およびポリテトラフルオロエチ
レン微粒子を含む水性分散液をガラス繊維織物に塗布
し、乾燥させ、焼成して空気浄化用シートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光の存在下で空気中
の不純物や細菌などを分解あるいは殺菌することのでき
る空気浄化用シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、酸化チタンや酸化亜鉛の微粒子が
持つ光触媒作用を利用して空気中の窒素酸化物や臭気な
どの不純物を分解し、あるいは細菌を殺菌することが研
究されている。例えば、光触媒微粒子を直接表面に焼き
付けたタイルやガラス板がある。しかし、前記光触媒微
粒子をタイル表面などに直接高温で焼き付ける方法は、
コストが高い問題がある。しかも光触媒微粒子を焼き付
けたタイルなどを既存の室内に導入するには、タイルの
貼り直しなどが必要となるため、多額の施工費用を必要
とする問題がある。
【0003】また、酸化チタンを多層構造の紙の層間に
充填した、酸化チタン内添紙も知られているが、酸化チ
タンの光触媒作用によって紙自体が除々に分解し、長期
使用に適しない問題がある。その他、光分解し難い室温
硬化型弗素系塗料に酸化チタン微粒子を分散させたもの
を、種々の物品の表面に塗布することも提案されてい
る。しかし、この場合は、塗料が物品の表面に連続した
塗膜を形成し、酸化チタン微粒子が外気と接触するのが
妨げられるため、そのままでは十分な光触媒作用が得ら
れない。そこで、塗膜の表面を削って酸化チタン微粒子
を露出させることが考えられるが、そうすると酸化チタ
ン微粒子が脱落し易くなり、実用性に劣る問題がある。
さらに、市販の弗素系塗料は高価であるとともに、酸化
チタン微粒子の光触媒反応で徐々に分解し耐久性が十分
とはいえない問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、耐
久性に優れ、しかも室内用品あるいはその他の物品に幅
広く利用できる空気浄化用シートおよびその簡単な製造
方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ここで提案する発明は二
つあり、第一の発明は、ガラス繊維織物のガラス繊維周
囲にポリテトラフルオロエチレン微粒子が付着し、該ポ
リテトラフルオロエチレン微粒子間に光触媒微粒子が保
持された空気浄化用シートに係る。
【0006】また、第二の発明は、光触媒微粒子および
ポリテトラフルオロエチレン微粒子を含む水性分散液を
ガラス繊維織物に塗布し、乾燥させ、焼成することを特
徴とする空気浄化用シートの製造方法に係る。前記第一
および第二発明における光触媒微粒子としては、酸化チ
タン微粒子または酸化亜鉛微粒子、特にはアナターゼ型
の酸化チタン微粒子が好適である。
【0007】まず、この発明の空気浄化用シートおよび
その製造方法に用いられる材料および製造工程などにつ
いて説明する。この発明で使用される光触媒微粒子の粒
度は、粉末を含むもので、適宜決定される。特には、水
性分散液(ディスパージョン)の塗布工程中に、水性分
散液中の光触媒微粒子が重力により急速に沈降しないよ
う、0.5ミクロン以下のものが望ましい。なお、市販
の光触媒活性酸化チタン微粒子は、この条件を十分に満
足する。
【0008】また、この発明で使用される水性分散液中
のポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと記
す。)微粒子の粒度は、特に限定されるものではない
が、前記水性分散液中での分散が良好になされ、しかも
塗布後の焼成により、前記光触媒微粒子をPTFE微粒
子間に保持できるよう、通常0.3ミクロン以下のも
の、特には0.2ミクロン程度が好適である。
【0009】この発明の製造方法で使用される、前記光
触媒微粒子とPFTE微粒子とを含む水性分散液(以下
塗布用分散液とも記す。)には、光触媒微粒子およびP
TFE微粒子の分散を容易かつ均一にするための界面活
性剤が適宜含まれる。この塗布用分散液の調製は、テト
ラフルオロエチレンを乳化重合して得られた市販のPT
FE分散液に所定量の光触媒微粒子を添加し、攪拌して
もよいが、次のようにして調製するのが好ましい。まず
所定量の光触媒微粒子、界面活性剤および水を激しく攪
拌し、必要ならば超音波などの攪拌手段を用いて分散度
を高め、次いでこの分散液とPTFE分散液を混合すれ
ば、過度の攪拌によるPTFE微粒子の凝集もなく、高
品質の塗布用分散液が得られる。
【0010】前記塗布用分散液中の光触媒微粒子の量
は、この空気浄化用シートの用途などに応じて適宜決定
されるものであるが、PTFE微粒子100重量部に対
して光触媒微粒子5〜100重量部が好ましい。この光
触媒微粒子の比率がこれよりも多くなると、塗布後のP
TFE微粒子間に光触媒微粒子が多く介在してPTFE
微粒子どうしが直接接触せず、焼成後に光触媒微粒子が
空気浄化用シートの表面の擦れなどにより脱落し易くな
る。なお、前記塗布用分散液には、この空気浄化用シー
トの用途などに応じ適宜耐熱性顔料を加えて、空気浄化
用シートを所望の色に着色してもよい。
【0011】この発明で使用されるガラス繊維織物は、
ガラス繊維を織って布地にされた公知のもので、この空
気浄化用シートの用途に応じて単繊維デニール、織り
方、目付けなどが適宜選択使用される。なお、このガラ
ス繊維織物は、後記する塗布工程を行なう前に、400
℃以上の高温で処理してガラス繊維表面の有機物を除去
しておくのが好ましい。
【0012】前記ガラス繊維織物に対する塗布用分散液
の塗布は、ガラス繊維織物を塗布用分散液に浸す浸漬
法、スプレーによるスプレー法あるいはロールによるロ
ールコート法など公知の塗布手段の中から、ガラス繊維
織物の厚み、大きさなどに応じて選択される。
【0013】塗布後の乾燥は、塗布された水性分散液中
の水分および界面活性剤を蒸発除去するためのもので、
通常150〜250℃程度で行なわれる。また、その後
の焼成は、前記PTFE微粒子を結合させてガラス繊維
周囲に多孔質状に付着させるとともに、そのPTFE微
粒子間に前記光触媒微粒子を保持するためになされる。
この焼成温度は、ガラス繊維が溶融する温度以下で、か
つPTFE微粒子どうしが結合する温度とされ、通常3
50〜450℃程度でなされる。この焼成工程の終了に
より、所望の空気浄化用シートが得られる。なお、その
空気浄化用シートは、使用するガラス繊維織物の厚み、
PTFEの付着量などによって、柔らかさが調節され
る。
【0014】なお、前記塗布、乾燥および焼成の一連の
工程は、一回に限られず適宜の回数繰り返してもよい。
特に光触媒微粒子をたくさん保持させて光触媒作用をよ
り高めたい場合には複数回繰り返すのが好ましい。ま
た、複数回繰り返す場合には、その回数毎に前記塗布用
分散液の光触媒微粒子の配合比率を変えてもよい。特
に、その最終回の塗布工程で用いる塗布用分散液は、光
触媒の配合比率をそれまでの塗布工程で用いた塗布用分
散液における光触媒の配合比率よりも低くするのが好ま
しい。そうすれば、空気浄化用シートの屈曲および摩擦
などによっても光触媒微粒子が脱落しなくなり、使用感
が良好となるばかりか長期に渡って優れた光触媒反応を
発揮することができる。
【0015】
【作用】この発明の空気浄化用シートにあっては、ガラ
ス繊維に付着したPTFE微粒子が、その粒子間に微細
な連通孔を形成し、その粒子間に光触媒微粒子が保持さ
れる。そのため、前記空気浄化用シートに当たる光はP
TFE微粒子間を通って光触媒微粒子に至り、その光触
媒微粒子の光分解反応を活性化させる。また前記空気浄
化用シート付近の空気も自然対流などにより前記PTF
E微粒子間を通って光触媒微粒子に至り、その光分解反
応により悪臭などが分解される。
【0016】さらに、一般の有機材料は、光触媒作用の
強い酸化チタン微粒子などと接触した状態で光が当たる
と、光分解作用によって短期間に劣化する。しかし、P
TFEは例外で紫外線によっても分解しない。そのた
め、PTFE微粒子と無機材料であるガラス織物とを組
み合わせたこの発明の空気浄化用シートにあっては、酸
化チタン微粒子がPTFE微粒子間に存在しても長期間
に渡って劣化するおそれがない。加えて、この発明の空
気浄化用シートは、酸化チタン微粒子などの光触媒微粒
子が、PTFE微粒子間に保持されていて、空気浄化用
シートから脱落するおそれが少ないので、長期に渡って
良好な光分解作用が得られる。
【0017】しかも、この発明の空気浄化用シートは、
難燃性に優れるガラス繊維の周囲に付着した前記PTF
Eが、現存する合成高分子中でも最高の耐薬品性、耐熱
性および難燃性を備えるため、この発明の空気浄化用シ
ートについても優れた耐薬品性、耐熱性および難燃性が
得られる。
【0018】
【実施例】以下この発明の実施例について説明する。図
1はこの発明の空気浄化用シートの一例について、その
ガラス繊維周囲のPTFE微粒子結合状態および光触媒
微粒子の保持状態を概略的に示す拡大断面図である。な
お、この図は概略図であって、ガラス繊維12、PTF
E微粒子13および光触媒微粒子14の大きさおよび数
も正確なものではない。また、ガラス繊維12は、単繊
維のみならず、複数本が束になった場合もある。
【0019】この図に示すように、この発明の空気浄化
用シートは、ガラス繊維織物11を構成するガラス繊維
12の周囲にPTFE微粒子13が付着している。その
PTFE微粒子13は互いに結合して、PTFE微粒子
13間に連通した隙間のある多孔質状となっており、前
記隙間に酸化チタン微粒子または酸化亜鉛微粒子からな
る光触媒微粒子14が保持されている。
【0020】次にこの発明の空気浄化用シートの製造方
法の実施例について説明する。 <実施例1>まず、純水5リットルに界面活性剤(パー
フルオロオクタノイック酸アンモニウム)150グラム
を溶解した水溶液を調製した。その水溶液をプロペラ型
の攪拌機で激しく攪拌しながら、光触媒活性酸化チタン
(商品名:P25、会社名:日本アエロジル株式会社)
を750グラム添加し、分散させた。そして、その分散
液に、PTFE分散液(商品名:AD−1、会社名:旭
−アイシーアイフルオロポリマーズ株式会社)を、固形
分(酸化チタンおよびPTFE)中の酸化チタン含有率
が5%,10%,20%,40%,60%となるように
添加して混合し、前記酸化チタン含有率からなる5種類
の塗布用分散液を調製した。
【0021】一方、市販のガラス繊維織物(平織、目付
け50g/m2 、経緯共に50本/インチ)を400℃
の熱風中で8時間熱処理して、糊剤を除去した。そして
そのガラス繊維織物に、前記塗布用分散液をスプレイ・
ガンで噴霧塗布した後、200℃で30分乾燥させ、そ
の後380℃で60分焼成して空気浄化用のシートを得
た。
【0022】このようにして得られた空気浄化用シート
は、前記固形分がガラス繊維織物1m2 あたり25〜3
5グラムであった。また、その空気浄化用シートは何れ
の場合も、酸化チタン微粒子がPTFEによってガラス
繊維織物のガラス繊維に保持されており、前記固形分中
の酸化チタン含有率が40%までのものについては、曲
げたり表面を擦ったりしても酸化チタン微粒子が脱落し
なかった。ただ、前記固形分中の酸化チタン含有率が6
0%のものについては、酸化チタンに対する保持力が弱
く、空気浄化用シートを軽く擦った程度でも酸化チタン
微粒子の脱落が見られた。そのため、以下の測定につい
ては、固形分中の酸化チタン含有率が40%以下のもの
について行なった。
【0023】<測定1>前記で得られた空気浄化用シー
トについて、ニオイセンサーによりタバコのニオイ測定
を行なった。その測定は、図2に示すように、内容積1
50リットルのプラスチック製密閉容器21内に、33
×30センチメートルの試料(前記で得られた空気浄化
用シート)22を、消灯状態の10ワット水銀灯23か
ら20センチメートル離して容器21天井から吊り下
げ、その状態でタバコの煙を5秒吹き込み、攪拌用ブロ
アー24で容器21内を1時間攪拌してタバコの煙が容
器21内に満遍なく充満した後、前記水銀灯23を点灯
し、さらに前記攪拌を続けながら、ニオイセンサー(新
コスモス電気製、XP329)25でタバコのニオイを
測定し、水銀灯23点灯後の時間経過とニオイの関係を
ニオイセンサー用記録計26で記録した。その結果は表
1に示す通り、固形分中の酸化チタンの含有率が大であ
るほどニオイセンサーの数値が短時間で小さくなり、タ
バコの煙が速く分解されているのがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】<測定2>また、アセトアルデヒドの分解
についても、次のようにして測定した。内容積3リット
ルのステンレス容器に、攪拌翼と10ワット水銀灯を配
置し、その水銀灯から10センチメートル離した位置に
10×10センチメートルの試料を配置した。そして、
その容器内にアセトアルデヒドの蒸気を注射器で注入し
て容器中のアセトアルデヒド濃度が約250ppmとな
るようにした。そして、前記水銀灯を点灯して攪拌翼を
回転させながら、5分ごとに容器内のアセトアルデヒド
濃度をガスクロマトグラフで測定した。その結果、水銀
灯の点灯とともに、アセトアルデヒド濃度の急速な低下
が認められた。また、その結果をグラフにプロットして
200ppmから100ppmまで低下するのに要する
時間をグラフから読み取ったところ、表2に示すよう
に、固形分中の酸化チタンの含有率が大であるほど短時
間で低下することがわかった。
【0026】
【表2】
【0027】なお、前記光触媒微粒子として酸化亜鉛微
粒子を用いる場合については詳しく示さないが、前記と
同様にすれば容易に空気浄化用シートが得られる。
【0028】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
空気浄化用シートによれば、光があたる場所に置くだけ
でその周囲の空気中に含まれる悪臭の除去、細菌などの
分解などを行なうことができる。しかも、布のようなシ
ート状であるため、カーテン、仕切りなどのスクリー
ン、電灯のカバー、自動車座席などの表皮材など、種々
の物品に利用することができる。
【0029】さらに、この発明の空気浄化用シートは、
紫外線や薬品に強いPTFEによって光触媒微粒子が保
持されているため、紫外線に対する耐久性が高く、長期
使用によってもPTFEの劣化がなく光触媒微粒子の脱
落がなく、長期に渡ってすぐれた空気浄化作用が得られ
る。さらにPTFEは難燃性にすぐれ、しかもそのPT
FEが付着するガラス繊維も難燃性に優れるため、難燃
性が要求される物品にも好適である。
【0030】また、この発明の製造方法によれば、タイ
ルなどの表面に光触媒微粒子を焼き付けるのに比べ、低
温で焼成できるため、空気浄化用シートを容易に製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の空気浄化用シートの一例について、
そのガラス繊維周囲のPTFE微粒子および光触媒微粒
子の状態を概略的に示す拡大断面図である。
【図2】タバコのニオイを測定する装置の概略を示す図
である。
【符号の説明】
11 ガラス繊維織物 12 ガラス繊維 13 PTFE微粒子 14 光触媒微粒子
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/46 B01D 53/36 ZABH 15/256 D06M 11/12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維織物のガラス繊維周囲にポリ
    テトラフルオロエチレン微粒子が付着し、該ポリテトラ
    フルオロエチレン微粒子間に光触媒微粒子が保持された
    空気浄化用シート。
  2. 【請求項2】 請求項1において、光触媒微粒子が酸化
    チタン微粒子または酸化亜鉛微粒子である空気浄化用シ
    ート。
  3. 【請求項3】 光触媒微粒子およびポリテトラフルオロ
    エチレン微粒子を含む水性分散液をガラス繊維織物に塗
    布し、乾燥させ、焼成することを特徴とする空気浄化用
    シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、光触媒微粒子が酸化
    チタン微粒子または酸化亜鉛微粒子であることを特徴と
    する空気浄化用シートの製造方法。
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