JPH0825064B2 - セルフシールドアーク溶接フラックス入りワイヤの製造方法 - Google Patents

セルフシールドアーク溶接フラックス入りワイヤの製造方法

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JPH0825064B2
JPH0825064B2 JP63218072A JP21807288A JPH0825064B2 JP H0825064 B2 JPH0825064 B2 JP H0825064B2 JP 63218072 A JP63218072 A JP 63218072A JP 21807288 A JP21807288 A JP 21807288A JP H0825064 B2 JPH0825064 B2 JP H0825064B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はスパッタ量が少なく、軟鋼、高張力鋼等の溶
接に適するセルフシールドアーク溶接フラックス入りワ
イヤの製造に関するものである。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 近年、各種溶接構造物の溶接建造においては、溶接施
工の能率向上及び省人化を推進していく上で有利なガス
シールドアーク溶接法が急速に増大している。しかし、
このガスシールドアーク溶接法は、風の影響を受け易い
ことから、防風対策が必要であり、また風の強い時には
溶接作業を中断するなど、特に建築、船舶等の分野の屋
外溶接においては問題となっている。
このような観点からみて、セルフシールドアーク溶接
法は、(1)シールドガスが不要である、(2)風に強
い、(3)取扱いが容易である、等の特長を有してお
り、今後における需要の増加が期待されている。しかし
乍ら、この種の溶接に使用されるフラックス入りワイヤ
は、タイプとして、弗化物系、Li酸化物系に大別さ
れるが、いずれもスパッタの発生量が非常に多く、ガス
シールドタイプのフラックス入りワイヤを使用した時の
3〜5倍になるという難点があり、このため、その除去
に労力を費やさなければならず、その伸展の障害となっ
ている。
本発明は、上記セルフシールドアーク溶接フラックス
入りワイヤの問題点を解決するためになされたものであ
って、スパッタの発生量が可及的に少ないセルフシール
ドアーク溶接フラックス入りワイヤを提供することを目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者は、従来のセルフ
シールドアーク溶接フラックス入りワイヤの低スパッタ
化について種々の観点より検討したところ、その支配因
子として、 最終ワイヤ径における(外皮断面積)/(ワイヤ断
面積)比、 使用する帯鋼フープの物理的形状、 が重要であることを見い出した。
そこで、この知見に基づき、セルフシールドアーク溶
接フラックス入りワイヤの製造方法について更に鋭意研
究を重ねた結果、(1)外皮断面積(対ワイヤ)を規定
すると共に、(2)厚さとそのバラツキ、表面の平滑度
を規定した特定の帯鋼フープを用いて製造することによ
り、従来のセルフシールドアーク溶接フラックス入りワ
イヤの問題点であるスパッタ量を大幅に低減させること
に成功し、ここに本発明をなしたものである。
すなわち、本発明に係るセルフシールドアーク溶接フ
ラックス入りワイヤの製造方法は、鋼製外皮内に、ワイ
ヤ全重量比でAl:1.0〜5.0%及びMg:0.5〜3.0%を必須成
分として含有し、更にLi組成物及びF化合物の1種又は
2種を{(F換算量/2)+Li換算量}で0.5〜2.5%含む
フラックスを充填してなるフラックス入りワイヤの製造
に当たり、鋼製外皮として、 厚さ:0.6〜1.5mm、 厚さのバラツキ:8%以下、 表面の平均表面粗さ(Ra):2〜8μm に調整してなる帯鋼フープを用いる共に、最終ワイヤ径
において(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)が0.4〜0.7
としてなることを特徴とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
上記構成を有する本発明は、以下に示す実験結果に基
づいて完成されたものであり、その実験結果と共に本発
明の構成を説明する。なお、実験条件は以下の通りとし
た。
(供試ワイヤ) ワイヤ径:2.0mmφ 使用フープ:軟鋼、厚さ0.9mm 断面形状:第5図の(A) フラックス:後述実施例のNo.1の配合と同じ フラックス率:5〜30% (溶接条件) 溶接電流:350A アーク電圧:アーク長約1mmとなる電圧 溶接速度:30cm/min チップ・母材間距離:25mm 母材:SM50A(25mmt) 溶接法:ビードオンプレート法 (スパッタ量の測定方法) 後述実施例の場合と同じ。
第1図は、この実験により得た(外皮断面積)/(ワ
イヤ断面積)の比とスパッタ量の関係を示している。な
お、(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)の比は、ワイヤ
断面における外皮面積、ワイヤ面積を画像処理(面積分
析)等により求め、その比を計算して得た。その際のワ
イヤ断面のサンプリングは、スプール巻きワイヤの場合
は1スプールの中央部よりサンプリングし、パック入り
ワイヤの場合は収納中央部よりサンプリングし、いずれ
の場合もワイヤ長手方向10cm間隔でn=30測定し、その
平均値で示した。
第1図より、(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)の比
の減少と共にスパッタ量が低減していることがわかる。
これは、溶滴移行を規定しているピンチ力の大小で説明
される。すなわち、スパッタ発生原因の一つとして溶滴
の粗大化があり、それは電流密度と対応のあるピンチ力
に影響される。つまり、(外皮断面積)/(ワイヤ断面
積)の比が減少すると電流密度が増大し、それに伴い溶
滴におけるピンチ力が有効に働き、溶滴移行がスプレー
状となり、スパッタ量は低減するのである。
以上の結果に基づき、最終ワイヤ径における(外皮断
面積/ワイヤ断面積)の比は0.4〜0.7の範囲とする。0.
7以下とするのは、第1図に示す如く、この値以下で低
スパッタ効果が有効に発揮されるためである。しかし、
0.4未満になると外皮金属の肉厚が薄くなりすぎてワイ
ヤが軟弱になるため、溶接時の送給不安定、或いは生産
時のワイヤ断線等が生じ易くなるので、この値以上にす
べきである。
更に、(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)の比の影響
についての実験に際して、新たにその比の長手方向のバ
ラツキも重要であることが把握された。ワイヤ断面のサ
ンプリングは第1図と同様の方法でn=30測定し、その
バラツキを調査した。その状況を第2図に示す。
第2図より、(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比の
バラツキΔSの低減が低スパッタ化に有効であることが
認められる。これは、スパッタ発生と関係のある(外皮
断面積)/(ワイヤ断面積)比のワイヤ長手方向の安定
化がスパッタ低減に寄与しているためである。
そこで、このバラツキΔSに及ぼす影響について、 (a)成型、伸線時の速度、ダイススケジュール、 (b)フラックスの充填法、 (c)フラックス組成、 (d)帯鋼フープの物理的形状 等を種々検討した。その結果、(外皮断面積)/(ワイ
ヤ断面積)比のバラツキΔSと使用する帯鋼フープの物
理的形状との間に密接な関連性のあることを見い出し
た。すなち、(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比のワ
イヤ長手方向の安定化には、帯鋼フープの厚さのバラツ
キと、表面の平滑度が重要であることが把握された。そ
の状況をそれぞれ第3図、第4図に示す。なお、帯鋼フ
ープの厚さバラツキは、接触式膜厚計(アンリツ電気製
フライングマイクロメータ)にてフープの1コイル(通
常全長約1km)の中層部100mを2mおきに測定し、その厚
さのバラツキを算出することにより決定した。また帯鋼
フープの平均表面粗さ(Ra)は、フープ1コイルの中層
部の任意の10mを1m毎に測定長8mmでJIS B 0601に準拠し
て平均表面粗さRaを測定した。その時のRa(計10)が全
て2〜8μmの範囲であるとき、測定したコイルの平均
表面粗さが2〜8μmの範囲にあるとみなした。
以上の如く、第2図〜第4図より、スパッタ低減に寄
与している{(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比のバ
ラツキΔS}の調整には、使用する帯鋼フープにおける
厚さのバラツキ及び表面粗さを特定の範囲に規定するこ
とが有効であることが判明し、その限定理由は以下のと
おりとするものである。なお、帯鋼フープの厚さは前記
バラツキには直接影響を及ぼさないものの、同時に規制
する必要があることも判明した。
帯鋼フープ厚さのバラツキ:8%以下 帯鋼フープの厚さのバラツキが8%を超えると第3図
に示す如く(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比のワイ
ヤ長手方向の変動が増大し、第2図に示す如く溶接作業
性、特にアーク不安定に起因するスパッタが増大する。
したがって、帯鋼フープ厚さのバラツキは8%以下に規
制する。
帯鋼フープの表面粗さ(Ra):2〜8μm 第4図に示す如く帯鋼フープの表面粗さ(Ra)が2μ
m未満でも、また8μmを超えても(外皮断面積)/
(ワイヤ断面積)比のワイヤ長手方向の変動が増大し、
第2図に示す如くアーク不安定に起因するスパッタが多
くなる。これは、2μm未満ではフープ、フラックス間
の摩擦抵抗が極めて小さくなるため、フラックス充填時
にフラックスが移動し易くなり、一方、8μmを超える
と伸線性が極めて悪くなるため、表面荒れを生じ、時に
は断線も発生し、また最終ワイヤ径においても真円性が
損なわれるためである。したがって、帯鋼フープの表面
粗さ(Ra)は2〜8μmの範囲に規制する。
帯鋼フープの厚さ:0.6〜1.5mm 帯鋼フープの厚さが0.6mm未満ではワイヤが軟弱とな
り、伸線時に断線が生じ易くなると共に溶接時に送給が
悪くなり、座折が起こることになる。一方、1.5mmを超
えると(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比=0.7以下
を得るために必要なフラックスが充填できない。したが
って、帯鋼フープの厚さは0.6〜1.5mmの範囲とする。
以上、本発明によるセルフシールドアーク溶接フラッ
クス入りワイヤの製造法の主な構成を説明したが、本発
明は、従来技術に比較して、特に(1)外皮断面積(対
ワイヤ)を低目に設定し、(2)特定の帯鋼フープ(厚
さのバラツキ、表面の平滑度を規定)を用いて製造する
ことに特徴があり、これによりスパッタ発生量を顕著に
減少させ得るものである。
しかし、本発明は上記2要素のみを満たせばよいもの
ではなく、本発明の目的を十分に達成するためには、更
に以下に述べるようなセルフシールドアーク溶接フラッ
クス入りワイヤの一般的要件も併わせて具備する必要が
あり、充填するフラックスの組成を規制するものであ
る。殊に、これらの調整は、Al、Mg、F、Li等を主成分
とした比較的フラックスの流動性の悪いセルフシールド
アーク溶接フラックス入りワイヤにおいて特に効果が大
きい。
なお、以下の各フラックス成分の量はワイヤ全重量に
対する割合である。
Al: Alは脱酸、脱窒剤として使用するものであるが、1.0
%未満ではピット及びブローホール等の溶接欠陥が発生
する。一方、5.0%を超えると溶着金属中のAl量を増加
させ、機械的性能(伸び、衝撃値の低下)の劣化を招く
ので好ましくない。またヒューム量も増大する。したが
って、Al量は1.0〜5.0%の範囲とする。
なお、Al源としては金属Alや、Fe−Al、Al−Li、Al−
Mg等の合金を使用することができる。
Mg: Mgは脱酸剤として作用し、且つ溶接時に金属蒸気を発
生してアーク柱や溶融プールをシールドし、アークを安
定にする効果がある。しかし、0.3%未満では効果が十
分でなく、ピットやブローホール等の溶接欠陥が発生す
る。またアークが不安定になり易い。一方、2.5%を超
えるとヒューム発生量が増大し、作業性が劣化する。し
たがって、Mg量は0.5〜3.0%の範囲とする。
なお、Mg源としては金属Mgや、Al−Mg、Mg−Li、Ni−
Mg、Fe−Si−Mg等の合金を使用することができる。
Li組成物、F化合物の1種又は2種: Li組成物は溶接時に分解してシールド剤として作用す
るもので、ピット、ブローホール等の溶接欠陥防止に効
果がある。またスラグ剥離性の向上にも効果がある。こ
のようなLi組成物としては、リチウムフェライト(Li2O
・Fe2O3)、リチウムアルミネート(Li2O・Al2O3)、リ
チウムシリケート(Li2O・SiO2)、リチウムマンガネー
ト(Li2O・MnO2)、リチウムジルコネート(Li2O・Zr
O2)等が使用できる。その他、Li源としてLi2CO3及びAl
−Li、Mg−Liの金属粉が使用している。
一方、F化合物を構成するF(フッ素)はシールド剤
としてアーク柱及び溶融プールをシールドする作用があ
り、更に、スラグ剤としての作用もある。F化合物とし
ては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の弗化物が適
当であるが、他の弗化物を排除するものではない。
但し、上記Li組成物及びF化合物は、それらの1種又
は2種を{(F換算量/2)+Li化合物}量で0.5〜2.5%
の範囲で含有させる。この量が0.5%未満ではシールド
剤としての効果がなく、また2.5%を超えるとヒューム
が増大し、好ましくない。
なお、本発明において用いるフラックスは以上の各成
分を必須成分として含有させるが、本発明の効果を損な
わない限度で鉄粉等を含有させることができる。
また、本発明で使用する外皮金属(帯鋼フープ)とし
ては、成形性の観点から深絞り性の良好な冷間圧延鋼や
熱間圧延鋼が使用されるが、上述から明らかなように、
C量は極力少ないもの使用する方が有利である。また外
皮金属中のMnやSi等は脱酸剤として作用し、溶滴移行中
のCO及びCO2の発生量を抑制する効果があるから、ある
程度含有させた方が有利である。しかし、これらの含有
量が多すぎると加工性が低下するので、外皮金属中のMn
量は2.0%以下、Si量は1.0%以下に抑えるのが望まし
い。
更に、本発明は、あらゆる断面形状のワイヤを対象と
することができ、例えば、第5図に(A)〜(D)の4
種類のワイヤ断面形状を例示したが、これらのいずれの
形状であってもよく、勿論、他の断面形状でもよい。
そして、ワイヤ径は用途に応じて0.9mmφ、1.0mmφ、
1.2mmφ、1.4mmφ、1.6mmφ、2.0mmφ、2.4mmφ、3.2mm
φ等の中から任意に決めることができる。
更にまた、本発明によるフラックス入りワイヤを用い
てセルフシールドアーク溶接を適用し得る鋼種としては
軟鋼、高張力鋼等が好適であるが、用途によっては低合
金鋼や高合金鋼などに拡大しても差し支えない。
次に本発明の実施例を示す。
(実施例) 第1表に示す条件のフープと組成のフラックスを用
い、常法によりフラックス入りワイヤを作成した。ワイ
ヤ径は1.6mmφ、断面形状は第5図の(B)のものであ
る。なお、フープとして使用した軟鋼の含有成分(wt
%)はC:0.05%、Mn:0.35%、Si:0.01%、P:0.015%、
S:0.01%で、フープ厚さは0.5〜1.6mmであり、フラック
ス率は5〜30%である。
次いで、これらフラックス入りワイヤを使用して以下
の溶接条件にてセルフシールドアーク溶接を実施した。
スパッタ発生量、溶接欠陥、伸線性並びに溶接作業につ
いて調べた結果を第2表に示す。
(溶接条件) 溶接電流:300A アーク電圧:アーク長約1mmとなる電圧 溶接速度:30cm/min チップ・母材間距離:25mm 母材:SM−50A(25mmt) 溶接法:ビードオンプレート法 スパッタ発生量の測定には第6図に示す装置(3はスパ
ッタ捕集板、4はワイヤ送給装置、5はトーチ、6は母
材、7は台車を示す)を使用した。すなわち、スパッタ
発生量は、第6図に示す捕集板3を用いてアーク点のま
わりに飛散するスパッタを捕集し、その重量を測定する
ことにより求めた。測定時間は1分間とし、単位時間当
たりの値(g/mm)を算出した(n=3)。
第2表より、以下の如く考察される。
(1)実験No.1〜No.7は本発明の要件を満足する実施例
であり、いずれもスパッタ発生量が極めて少なくなって
いる。また溶接欠陥が無く、伸線性、溶接作業性も良好
である。
(2)実験No.21は主に低スパッタ化に関与している2
要素、すなわち、{(外皮断面積)/(ワイヤ断面
積)}比と、フープの物性(厚さのバラツキ、表面粗
さ)がすべて満足していない比較例であり、スパッタ発
生量が極めて多いことがわかる。
(3)実験No.8、No.9はAlの量が本発明の範囲外にある
比較例であり、Al量が少なすぎると溶接欠陥(ピット、
ブローホール)が発生し、多すぎると溶接性能(衝撃値
等々)が劣化すると共にヒュームが増大し、溶接作業性
が悪い。
(4)実験No.10、No.11はMgの量が本発明の範囲外にあ
る比較例であり、Mg量が少なすぎると脱酸不足となり、
ピット、ブローホール等の欠陥が発生する。またアーク
が不安定となり易く、更にビード外観(光沢)が劣化
し、溶接作業性が悪い。一方、多すぎるとヒュームが増
大し、溶接作業性が悪くなる。
(5)実験No.12、No.13は{(F換算量/2)+Li換算
量}の量が本発明の範囲外にある比較例であり、少なす
ぎるとシールド不足となり、溶接欠陥(ピット、ブロー
ホール)が発生する。一方、多すぎるとヒュームが増大
し、溶接作業性が悪い。
(6)実験No.14、No.15は(外皮断面積)/(ワイヤ断
面積)比が本発明の範囲外にある比較例であり、この比
が小さすぎると外皮金属の肉厚が薄くなりすぎてワイヤ
が軟弱になり、伸線時に断線した。一方、大きすぎると
スパッタが増大した。第1図に示した結果と同様であ
る。
(7)実験No.16、No.17は使用フープの厚さが本発明の
範囲外にある比較例であり、薄すぎるとワイヤが軟弱に
なり、伸線時に断線した。一方、厚すぎると充分なフラ
ックス(対ワイヤ)を充填することができないため、
(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比が大きくなり、ス
パッタが増大した。
(8)実験No.18は使用フープの厚さのバラツキが大き
すぎる比較例であり、スパッタが増大した。
第2図及び第3図に示した結果と同様である。
(9)実験No.19、No.20は使用フープの表面粗さRaが本
発明の範囲外にある比較例であり、Raが小さすぎても大
きすぎても(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比のワイ
ヤ長手方向のバラツキΔSが大きくなり、スパッタが増
大した。第2図及び第4図に示した結果と同様である。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、セルフシール
ドアーク溶接フラックス入りワイヤの製造に際し、厚さ
とそのバラツキ、表面の平均表面粗さを規制した帯鋼を
使用すると共に、最終ワイヤ系における(外皮断面積)
/(ワイヤ断面積)の比をコントロールし、更には充填
するフラックスの組成を規制するので、スパッタが極め
て少ない高品質の製品を得ることができる。勿論、溶接
欠陥がなく、伸線性、溶接作業性も良好であり、特に軟
鋼、高張力鋼のセルフシールドアーク溶接に適してい
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比とスパッ
タ発生量の関係を示す図、 第2図は(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)比のバラツ
キΔSとスパッタ発生量の関係を示す図、 第3図は使用フープの厚さのバラツキと(外皮断面積)
/(ワイヤ断面積)比のバラツキΔSの関係を示す図、 第4図は使用フープの表面粗さRaと(外皮断面積)/
(ワイヤ断面積)比のバラツキΔSの関係を示す図、 第5図(A)〜(D)はフラックス入りワイヤの種々の
断面形状を示す概略断面図、 第6図(a)、(b)はスパッタ捕集装置を示す概略説
明図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。 1…外皮金属、2…フラックス、3…スパッタ捕集板、
4…ワイヤ送給装置、5…トーチ、6…母材、7…台
車、8…台車駆動用モータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−165295(JP,A) 特開 昭59−218297(JP,A) 特公 昭60−45996(JP,B2) 特公 昭61−9917(JP,B2) 特公 昭61−25470(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼製外皮内に、ワイヤ全重量比でAl:1.0〜
    5.0%及びMg:0.5〜3.0%を必須成分として含有し、更に
    Li組成物及びF化合物の1種又は2種を{(F換算量/
    2)+Li換算量}で0.5〜2.5%含むフラックスを充填し
    てなるフラックス入りワイヤの製造に当たり、鋼製外皮
    として、 厚さ:0.6〜1.5mm、 厚さのバラツキ:8%以下、 表面の平均表面粗さ(Ra):2〜8μm に調整してなる帯鋼フープを用いると共に、最終ワイヤ
    径における(外皮断面積)/(ワイヤ断面積)が0.4〜
    0.7としてなることを特徴とするセルフシールドアーク
    溶接フラックス入りワイヤの製造方法。
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