JPH082485B2 - 過冷却液体を用いた合金の製造方法 - Google Patents
過冷却液体を用いた合金の製造方法Info
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- JPH082485B2 JPH082485B2 JP63059680A JP5968088A JPH082485B2 JP H082485 B2 JPH082485 B2 JP H082485B2 JP 63059680 A JP63059680 A JP 63059680A JP 5968088 A JP5968088 A JP 5968088A JP H082485 B2 JPH082485 B2 JP H082485B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ガスアトマイズ法及びガラススラグ法を用
いる非晶質合金又は結晶質合金の粉末及び薄帯等の過冷
却液体を用いた合金の製造方法に関する。
いる非晶質合金又は結晶質合金の粉末及び薄帯等の過冷
却液体を用いた合金の製造方法に関する。
[従来の技術] 一般に、出発原料の組成を特定することにより、非晶
質合金あるいは結晶質合金が生成され、通常、融点以上
に加熱された液体状態から凝固過程を経て、合金粉末及
び合金薄帯として作製される。特に、非晶質合金の製造
方法としては、ガスアトマイズ法等の急冷方法が知られ
ており、原料の化学組成を調整することで、非晶質合金
あるいは、微細な結晶質合金が選択されて、製造にも適
用されている。
質合金あるいは結晶質合金が生成され、通常、融点以上
に加熱された液体状態から凝固過程を経て、合金粉末及
び合金薄帯として作製される。特に、非晶質合金の製造
方法としては、ガスアトマイズ法等の急冷方法が知られ
ており、原料の化学組成を調整することで、非晶質合金
あるいは、微細な結晶質合金が選択されて、製造にも適
用されている。
これ等の方法は、結晶質合金の場合において粒径の微
細化を図る目的で、急速凝固しても、微細化は凝固点に
於ける結晶の核発生頻度に規制されるので、おのずと限
界が生ずる。加えて、凝固過程における結晶の微視的偏
析も避けられない。また、非晶質においても、形成能が
劣る組織系の合金においては、同様に凝固点に於ける結
晶の核発生と非晶質化が同時に進行するので完全な非晶
質を得ることが困難な合金も存在する。
細化を図る目的で、急速凝固しても、微細化は凝固点に
於ける結晶の核発生頻度に規制されるので、おのずと限
界が生ずる。加えて、凝固過程における結晶の微視的偏
析も避けられない。また、非晶質においても、形成能が
劣る組織系の合金においては、同様に凝固点に於ける結
晶の核発生と非晶質化が同時に進行するので完全な非晶
質を得ることが困難な合金も存在する。
[発明が解決しようとする課題] 従来は、単に融点以上に加熱された、液体状態からの
急冷凝固法を用いていた。この様な経過から、冷却速度
を大きくするために装置の巨大化や複雑なプロセスを伴
う技術が必要となる。例えば、金属粉末の製造方法とし
てガスアトマイズ装置を使用する場合、より冷却速度を
上げるためには高圧ガスの使用、及び抜熱性に優れた高
価な冷却体であるヘリウムガス等の使用が必要であり、
装置の大型化、生産コストの増大が避けられない。
急冷凝固法を用いていた。この様な経過から、冷却速度
を大きくするために装置の巨大化や複雑なプロセスを伴
う技術が必要となる。例えば、金属粉末の製造方法とし
てガスアトマイズ装置を使用する場合、より冷却速度を
上げるためには高圧ガスの使用、及び抜熱性に優れた高
価な冷却体であるヘリウムガス等の使用が必要であり、
装置の大型化、生産コストの増大が避けられない。
さらに、従来の方法では、微細粉末を得るためには、
粉化効率の点から、合金溶湯の粘性を下げる必要が生
じ、合金溶湯を融点以上に加熱しなければならず、この
ため酸化性の強い材料及び蒸気圧の高い元素が多量に含
まれている合金では、良質な、偏析のない、緻密な結晶
質または非晶質を有するものが少なかった。
粉化効率の点から、合金溶湯の粘性を下げる必要が生
じ、合金溶湯を融点以上に加熱しなければならず、この
ため酸化性の強い材料及び蒸気圧の高い元素が多量に含
まれている合金では、良質な、偏析のない、緻密な結晶
質または非晶質を有するものが少なかった。
そこで本発明の技術的課題は、装置の大型化、生産コ
ストの増大を避けて、しかも、エネルギー的に有利であ
る比較的低温の合金溶湯から急冷することにより、偏析
の無い、均質な非晶質合金又は均一な微細結晶質合金
(超急冷結晶質合金)の粉末及び薄帯の製造方法を提供
することにある。
ストの増大を避けて、しかも、エネルギー的に有利であ
る比較的低温の合金溶湯から急冷することにより、偏析
の無い、均質な非晶質合金又は均一な微細結晶質合金
(超急冷結晶質合金)の粉末及び薄帯の製造方法を提供
することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記のような急冷凝固せしめて得られる非
晶質合金又は微細結晶質合金の粉末または薄帯における
種々の問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果完成さ
れたものである。
晶質合金又は微細結晶質合金の粉末または薄帯における
種々の問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果完成さ
れたものである。
本発明によれば,合金よりなる過冷却液体を作成後直
ちに冷却媒体を用いて急冷凝固し,均質な組織を有する
非晶質又は微細の結晶質の合金粉末又は合金薄帯を形成
することを特徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方
法が得られる。
ちに冷却媒体を用いて急冷凝固し,均質な組織を有する
非晶質又は微細の結晶質の合金粉末又は合金薄帯を形成
することを特徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方
法が得られる。
ここで,本発明の前記過冷却液体を用いた合金の製造
方法において,前記過冷却液体はガスアトマイズ法によ
り生成されているか,又は,ガラススラグ法により生成
されていることが好ましい。
方法において,前記過冷却液体はガスアトマイズ法によ
り生成されているか,又は,ガラススラグ法により生成
されていることが好ましい。
また,本発明によれば,合金溶湯を少なくとも6MPaを
有する高圧ガスの一次冷却媒体に接触させて過冷却液体
を生成し,前記過冷却液体を噴射する過冷却液体生成工
程と,噴射した前記過冷却液体を2次冷却媒体に衝突さ
せて急冷凝固し,非晶質又は微細な結晶質の合金粉末又
は合金薄帯を生成する合金生成工程とを有することを特
徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方法が得られ
る。
有する高圧ガスの一次冷却媒体に接触させて過冷却液体
を生成し,前記過冷却液体を噴射する過冷却液体生成工
程と,噴射した前記過冷却液体を2次冷却媒体に衝突さ
せて急冷凝固し,非晶質又は微細な結晶質の合金粉末又
は合金薄帯を生成する合金生成工程とを有することを特
徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方法が得られ
る。
さらに,本発明によれば,合金からなる過冷却液体
を,ガラススラグ浴槽内に封入する過冷却液体準備工程
と,前記ガラススラグ浴槽内の前記過冷却液体を2次冷
却媒体に接触させて急冷凝固し非晶質又は微細結晶質を
有する均質な組織の合金粉末又は合金薄帯を得る合金生
成工程とを有することを特徴とする過冷却液体を用いた
合金の製造方法が得られる。
を,ガラススラグ浴槽内に封入する過冷却液体準備工程
と,前記ガラススラグ浴槽内の前記過冷却液体を2次冷
却媒体に接触させて急冷凝固し非晶質又は微細結晶質を
有する均質な組織の合金粉末又は合金薄帯を得る合金生
成工程とを有することを特徴とする過冷却液体を用いた
合金の製造方法が得られる。
即ち,本発明は,ガスアトマイズ法,ガラススラグ法
等の過冷却液体を得る手法で生成した過冷却液体合金を
回転冷却体、冷却板、流動液体(主に水溶液)、高圧ガ
ス等の2次冷却媒体を用いて過冷却液体中に結晶の核の
発生する以前に、室温以下まで急速に冷却して均質な非
晶質合金又は均一な微細結晶質合金の粉末及び薄帯を得
る方法を用いている。
等の過冷却液体を得る手法で生成した過冷却液体合金を
回転冷却体、冷却板、流動液体(主に水溶液)、高圧ガ
ス等の2次冷却媒体を用いて過冷却液体中に結晶の核の
発生する以前に、室温以下まで急速に冷却して均質な非
晶質合金又は均一な微細結晶質合金の粉末及び薄帯を得
る方法を用いている。
尚、本発明においては、過冷却液体とは、融点以下の
温度でなお液体状態で存在する溶融合金をいう。
温度でなお液体状態で存在する溶融合金をいう。
本発明を更に詳しく述べると、急速凝固法を用いた場
合、融点以上に加熱した合金溶湯を一次媒体として、例
えば、ガスアトマイズ法により、高圧ガス噴霧して溶湯
を融点Tmと、過冷却液体が存在する臨界温度(Tcと略
す)の間まで冷却し、その直後に回転冷却媒体もしく
は、2次アトマイズガス等により常温近傍まで冷却して
急冷合金を形成している。
合、融点以上に加熱した合金溶湯を一次媒体として、例
えば、ガスアトマイズ法により、高圧ガス噴霧して溶湯
を融点Tmと、過冷却液体が存在する臨界温度(Tcと略
す)の間まで冷却し、その直後に回転冷却媒体もしく
は、2次アトマイズガス等により常温近傍まで冷却して
急冷合金を形成している。
このガスアトマイズ法で得られた急冷凝固粉末は、例
えば、Co−Si−B系非晶質合金に関しては、従来の液体
急冷法で得た合金薄帯に比べて大きな構造緩和量を示し
た。つまりこれは、本発明で得られた合金粉末が、より
完全な非晶質相であることを示している。また、ガラス
スラグ法を用いる場合には、合金液体を油もしくは溶融
ガラスで包んだ状態に保持することにより、異質核生成
の場となる遺失物や鋳型との接触を解除しこの合金の過
冷却液体を得るものである。こうした、過冷却液体を例
えば、メルトエリストラクション等のような回転体によ
り冷却させ、急冷凝固連続薄帯を製造できるのである。
えば、Co−Si−B系非晶質合金に関しては、従来の液体
急冷法で得た合金薄帯に比べて大きな構造緩和量を示し
た。つまりこれは、本発明で得られた合金粉末が、より
完全な非晶質相であることを示している。また、ガラス
スラグ法を用いる場合には、合金液体を油もしくは溶融
ガラスで包んだ状態に保持することにより、異質核生成
の場となる遺失物や鋳型との接触を解除しこの合金の過
冷却液体を得るものである。こうした、過冷却液体を例
えば、メルトエリストラクション等のような回転体によ
り冷却させ、急冷凝固連続薄帯を製造できるのである。
以上のような方法で得られる急冷凝固体は、従来の作
製方法と比較して、例えば非晶質形成能に優れた合金系
を原料として用いた場合には、従来の合金より大きな構
造緩和量を示す非晶質性の高い物質となる。
製方法と比較して、例えば非晶質形成能に優れた合金系
を原料として用いた場合には、従来の合金より大きな構
造緩和量を示す非晶質性の高い物質となる。
一方、微細な結晶粒界を有する目的で液体急冷法を用
いて作製した結晶質合金と、本発明による過冷却液体の
急冷凝固することにより得られた合金とを比較すれば、
本発明による合金の方が、結晶粒の微細化がなされてい
ることが確認された。
いて作製した結晶質合金と、本発明による過冷却液体の
急冷凝固することにより得られた合金とを比較すれば、
本発明による合金の方が、結晶粒の微細化がなされてい
ることが確認された。
更に、同時偏析が極めて少なく、加えて過飽和固溶体
を生成する溶質元素の固溶限が拡大することが判明し
た。
を生成する溶質元素の固溶限が拡大することが判明し
た。
尚、本発明は、Co−Si−B系合金、(Fe−P−C)
(NbV)合金、Fe−C−Cr系合金等の合金材料に適用で
きるが、これらに限定されるものではない。
(NbV)合金、Fe−C−Cr系合金等の合金材料に適用で
きるが、これらに限定されるものではない。
[実施例] 本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例1. 第1図は、本発明の実施例に係わるガスアトマイズ法
を利用した合金粉末の製造方法を示す図である。即ち、
この図において、るつぼ(図示せず)にて溶融され合金
の溶湯1を流出するノイズ3が設けられており、落下す
る溶湯1に対して、高圧の噴射ガスを吹付ける噴霧化ノ
ズルが3が、ノズル2を囲むように配置されている。ノ
ズル2とノズル3とにより過冷却液体生成部を構成す
る。噴霧化ノズル3より噴射された高圧ガスにより、合
金溶湯1は、ノズル直下で過冷却液滴4となる。その下
方に、回転冷却体(実施例では、円錐形回転体)を配置
してある。回転冷却体の回転軸はノズル2からの溶湯流
出方向の中心軸直下から、やや横方向にずらして合金形
成部が配置している。この回転冷却体5を、ノズル側に
出来るだけ接近させて、置くとノズルから噴出した過冷
却液滴14は、凝固する以前の状態で、回転冷却体5の円
錐面に衝突し、急冷されて合金粉末6にかわってフレー
ク状粉末さらには、薄帯が得られる。
を利用した合金粉末の製造方法を示す図である。即ち、
この図において、るつぼ(図示せず)にて溶融され合金
の溶湯1を流出するノイズ3が設けられており、落下す
る溶湯1に対して、高圧の噴射ガスを吹付ける噴霧化ノ
ズルが3が、ノズル2を囲むように配置されている。ノ
ズル2とノズル3とにより過冷却液体生成部を構成す
る。噴霧化ノズル3より噴射された高圧ガスにより、合
金溶湯1は、ノズル直下で過冷却液滴4となる。その下
方に、回転冷却体(実施例では、円錐形回転体)を配置
してある。回転冷却体の回転軸はノズル2からの溶湯流
出方向の中心軸直下から、やや横方向にずらして合金形
成部が配置している。この回転冷却体5を、ノズル側に
出来るだけ接近させて、置くとノズルから噴出した過冷
却液滴14は、凝固する以前の状態で、回転冷却体5の円
錐面に衝突し、急冷されて合金粉末6にかわってフレー
ク状粉末さらには、薄帯が得られる。
本発明の実施例に係わる合金は次のように製造され
た。
た。
母合金として、原子百分率でCo72.5 Si12.5B15から
なる組成の合金250gを、底部にノズル2が装着されたる
つぼに挿入し、1200℃で溶融させ、合金溶湯1を形成し
た。次に、この溶湯1をノズル2より落下させ、噴霧ノ
ズル3よりArガスを約10MPaの圧力で吹付け同合金の過
冷却液体の小滴4を生成させた。
なる組成の合金250gを、底部にノズル2が装着されたる
つぼに挿入し、1200℃で溶融させ、合金溶湯1を形成し
た。次に、この溶湯1をノズル2より落下させ、噴霧ノ
ズル3よりArガスを約10MPaの圧力で吹付け同合金の過
冷却液体の小滴4を生成させた。
このノズル2及び3の直下に2次冷却媒体である銅製
円錐形回転体5を配置し、上記の過冷却液体4を、この
回転体に衝突させ過冷却液体を急冷合金粉末6を得た。
X線回折法により、この急冷合金粉末の構造の確認を行
ったところ、顕著な回折ピークが見られず、非晶質であ
ることが確認できた。
円錐形回転体5を配置し、上記の過冷却液体4を、この
回転体に衝突させ過冷却液体を急冷合金粉末6を得た。
X線回折法により、この急冷合金粉末の構造の確認を行
ったところ、顕著な回折ピークが見られず、非晶質であ
ることが確認できた。
第7図は、この非晶質合金粉末の180倍の走査電子顕
微鏡写真である。この写真において、合金融液は過冷却
状態から2次冷却媒体に衝突させた為に、粉末はフレー
ク状態となっている。第2図はこの非晶質合金粉末を示
差熱量計(パーキンエルマー社製)を用いて非晶質体
(a)(b)は実施例の粒度74.88μm,≦25μmの粉末
の構造緩和量を夫々計測した結果を示す。これ等の図に
おいて、縦軸は発熱量、横軸は温度を示す。
微鏡写真である。この写真において、合金融液は過冷却
状態から2次冷却媒体に衝突させた為に、粉末はフレー
ク状態となっている。第2図はこの非晶質合金粉末を示
差熱量計(パーキンエルマー社製)を用いて非晶質体
(a)(b)は実施例の粒度74.88μm,≦25μmの粉末
の構造緩和量を夫々計測した結果を示す。これ等の図に
おいて、縦軸は発熱量、横軸は温度を示す。
比較の為に、液体急冷法で作製した同組成の薄帯の結
果を(c)に併記した。図示の斜線部の比較から、実施
例に係わる合金粉末が、従来の液体急冷非晶質体よりも
大きな構造緩和量を示していることが判明し、従来例よ
りも高い非晶質性を有していることが判明した。
果を(c)に併記した。図示の斜線部の比較から、実施
例に係わる合金粉末が、従来の液体急冷非晶質体よりも
大きな構造緩和量を示していることが判明し、従来例よ
りも高い非晶質性を有していることが判明した。
実施例2. 本発明の実施例2について説明する。
母合金として、(FeP C)(NbV)からなる組成の合
金を用い実施例1と同様な方法により過冷却液体からフ
レーク状の急冷合金粉末を得た。比較の為に従来の単ロ
ール装置により薄帯を作製した。
金を用い実施例1と同様な方法により過冷却液体からフ
レーク状の急冷合金粉末を得た。比較の為に従来の単ロ
ール装置により薄帯を作製した。
第3図はX線回折法によって構造の確認を行った結果
で、(a)は従来例に係わるFe−P−C−V急冷合金、
(b)は従来例に係わるFe−P−C−Nb急冷合金、
(c)は実施例2に係わるFe−P−C急冷合金である。
この図において、従来の単ロール法で作製した薄帯で
は、非晶質を示すブロードなピークのなかにNbC,VCに対
応する顕著な回折ピークが確認され、非晶質中に結晶質
が混在することが判明した。
で、(a)は従来例に係わるFe−P−C−V急冷合金、
(b)は従来例に係わるFe−P−C−Nb急冷合金、
(c)は実施例2に係わるFe−P−C急冷合金である。
この図において、従来の単ロール法で作製した薄帯で
は、非晶質を示すブロードなピークのなかにNbC,VCに対
応する顕著な回折ピークが確認され、非晶質中に結晶質
が混在することが判明した。
一方、本発明の実施例2に係わるフレーク状合金粉末
は、幅広い回折ピークのみを示し非晶質単相であること
が確認された。
は、幅広い回折ピークのみを示し非晶質単相であること
が確認された。
実施例3 本発明の実施例3について説明する。
第4図は本発明の実施例に係わるガラススラグ法を利
用した薄帯の製造方法を示す図である。この図におい
て、過冷却液体準備部はガラススラグ溶槽12及びガラス
スラグ層14よりなり、回転冷却ロール11及び剥離片によ
り連続薄帯形成部を構成する。ガラススラグ溶槽12内の
合金液体は、ガラススラグ層14に包まれて、異質物及び
鋳壁との接触を除去されて過冷却状態にある。溶湯は、
回転冷却ロール11に接触し、表面に付着し、回転冷却ロ
ールの移動に伴い搬送され、冷却凝固し、剥離されて、
急冷凝固連続薄帯13となる。
用した薄帯の製造方法を示す図である。この図におい
て、過冷却液体準備部はガラススラグ溶槽12及びガラス
スラグ層14よりなり、回転冷却ロール11及び剥離片によ
り連続薄帯形成部を構成する。ガラススラグ溶槽12内の
合金液体は、ガラススラグ層14に包まれて、異質物及び
鋳壁との接触を除去されて過冷却状態にある。溶湯は、
回転冷却ロール11に接触し、表面に付着し、回転冷却ロ
ールの移動に伴い搬送され、冷却凝固し、剥離されて、
急冷凝固連続薄帯13となる。
本発明の他の実施例に係わる急冷合金は次のように製
造された。
造された。
母合金として、Fe−C−Crからなる組成の合金を用い
て、第4図に示したような、上記のガラススラグ法によ
って過冷却液体状態に保持された浴槽中に、回転する回
転冷却ロール11を浸漬して連続した合金薄帯13を得た。
て、第4図に示したような、上記のガラススラグ法によ
って過冷却液体状態に保持された浴槽中に、回転する回
転冷却ロール11を浸漬して連続した合金薄帯13を得た。
第5図は本発明の実施例3に係わる製造方法により作
製した薄帯の急冷相の生成範囲を示す。
製した薄帯の急冷相の生成範囲を示す。
比較の為に、第6図に従来の単ロール法で作製した薄
帯の急冷相の生成範囲を示した。これらの図において、
実施例3に係わる合金の製造方法により作製した合金
は、オーステナイト単相(γ)を示す領域が拡大するこ
とが明らかになると共に、結晶粒径は、従来の単ロール
法で得られた合金については、最小値0.1μmであるに
比較して、実施例3に係わる合金については、その約1/
10である0.01μmまで微細化することが、透過電子顕微
鏡の観察結果から判明した。
帯の急冷相の生成範囲を示した。これらの図において、
実施例3に係わる合金の製造方法により作製した合金
は、オーステナイト単相(γ)を示す領域が拡大するこ
とが明らかになると共に、結晶粒径は、従来の単ロール
法で得られた合金については、最小値0.1μmであるに
比較して、実施例3に係わる合金については、その約1/
10である0.01μmまで微細化することが、透過電子顕微
鏡の観察結果から判明した。
更に、Fe−2.6C−13Cr重量%の組成からなる合金にお
いて、従来の単ロール法で作製した薄帯においては、透
過型電子顕微鏡観察により、粒界を囲む様にM3Cからな
るセメンタイト相が、晶出していることが確認されてい
るが、実施例3により作製した薄帯においては、セメン
タイト相の存在が、みられず均一な組織を呈し、偏析を
低減させる効果が確認できた。
いて、従来の単ロール法で作製した薄帯においては、透
過型電子顕微鏡観察により、粒界を囲む様にM3Cからな
るセメンタイト相が、晶出していることが確認されてい
るが、実施例3により作製した薄帯においては、セメン
タイト相の存在が、みられず均一な組織を呈し、偏析を
低減させる効果が確認できた。
この従来例及び実施例3に係わる2種類の薄帯をJIS
規格に基いてキャス試験により耐食性を調査した結果、
従来の単ロール法で作製した合金薄帯は、100時間で点
状の赤錆が発生したが、実施例3に係わる合金薄帯で
は、300時間でも錆は観察されず、耐食性が向上してい
ることが判明した。
規格に基いてキャス試験により耐食性を調査した結果、
従来の単ロール法で作製した合金薄帯は、100時間で点
状の赤錆が発生したが、実施例3に係わる合金薄帯で
は、300時間でも錆は観察されず、耐食性が向上してい
ることが判明した。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明によれば、今までに成し得
ることができなかった粉末もしくは薄帯状の急冷合金に
おいては、均質固溶体組成領域の拡大及びミクロ的な偏
析の防止ができ、特に非晶質合金においては、非晶質性
の向上をもたらし、更に、微細結晶質合金においては、
結晶粒界の微細化をもたらす等種々の効果を有し、その
結果、生成した急冷合金の機械的強度の増大とそれに加
えて耐食性の向上をもたらす等の産業上の寄与は極めて
大である。
ることができなかった粉末もしくは薄帯状の急冷合金に
おいては、均質固溶体組成領域の拡大及びミクロ的な偏
析の防止ができ、特に非晶質合金においては、非晶質性
の向上をもたらし、更に、微細結晶質合金においては、
結晶粒界の微細化をもたらす等種々の効果を有し、その
結果、生成した急冷合金の機械的強度の増大とそれに加
えて耐食性の向上をもたらす等の産業上の寄与は極めて
大である。
更に、本発明によれば、過冷却液体から凝固して、非
晶質合金及び微細結晶質合金の粉末及び薄帯を製造する
ことが可能で、エネルギー効率の良い省資源的な合金の
製造方法が提供できる。
晶質合金及び微細結晶質合金の粉末及び薄帯を製造する
ことが可能で、エネルギー効率の良い省資源的な合金の
製造方法が提供できる。
第1図は本発明を実施例に係わる合金粉末の製造方法の
説明図、第2図(a)は本発明の実施例に係わる急冷合
金の示差走査熱量計を用いた非晶質体(74.88μm)の
構造緩和量を示す図、第2図(b)は本発明の実施例に
係わる急冷合金の示差走査熱量計を用いた非晶質体(25
μm)の構造緩和量を示す図、第2図(c)は比較例に
係わる急冷合金の示差走査熱量計を用いた非晶質体の構
造緩和量を示す図、第3図(a)は従来例に係わる単ロ
ール法で作製したFe−P−C−V急冷合金薄帯のX線回
折のプロフィールを示す図、第3図(b)は従来例に係
わる単ロール法で作製したFe−P−C−Nb急冷合金の薄
帯のX線回折のプロフィールを示す図、第3図(c)は
本発明の実施例に係わるFe−P−C急冷合金粉末のX線
回折のプロフィールを示す図、第4図は本発明の他の実
施例に係わる合金薄帯の製造方法の説明図、第5図は本
発明の他の実施例に係わる合金薄帯の急冷相の生成範囲
を示す状態図、第6図は従来例に係わる合金薄帯の急冷
相の生成範囲を示す状態図、第7図は第1図の製造装置
により得られた合金粉末の粒子製造を示す電子顕微鏡写
真である。 図中1は溶湯、2はノズル、3は噴霧化ノズル、4は過
冷却液滴、11は回転冷却ロール、12はガラススラグ浴
槽、13は薄帯、14はガラススラグ層である。
説明図、第2図(a)は本発明の実施例に係わる急冷合
金の示差走査熱量計を用いた非晶質体(74.88μm)の
構造緩和量を示す図、第2図(b)は本発明の実施例に
係わる急冷合金の示差走査熱量計を用いた非晶質体(25
μm)の構造緩和量を示す図、第2図(c)は比較例に
係わる急冷合金の示差走査熱量計を用いた非晶質体の構
造緩和量を示す図、第3図(a)は従来例に係わる単ロ
ール法で作製したFe−P−C−V急冷合金薄帯のX線回
折のプロフィールを示す図、第3図(b)は従来例に係
わる単ロール法で作製したFe−P−C−Nb急冷合金の薄
帯のX線回折のプロフィールを示す図、第3図(c)は
本発明の実施例に係わるFe−P−C急冷合金粉末のX線
回折のプロフィールを示す図、第4図は本発明の他の実
施例に係わる合金薄帯の製造方法の説明図、第5図は本
発明の他の実施例に係わる合金薄帯の急冷相の生成範囲
を示す状態図、第6図は従来例に係わる合金薄帯の急冷
相の生成範囲を示す状態図、第7図は第1図の製造装置
により得られた合金粉末の粒子製造を示す電子顕微鏡写
真である。 図中1は溶湯、2はノズル、3は噴霧化ノズル、4は過
冷却液滴、11は回転冷却ロール、12はガラススラグ浴
槽、13は薄帯、14はガラススラグ層である。
フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市川内(無番地) 川内住宅11 ―806 (72)発明者 才田 淳治 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社阪神研究所内 (72)発明者 山口 均 長野県岡谷市神明町2丁目1番13号 帝国 ピストンリング株式会社長野工場内 (72)発明者 立谷 雄一 宮城県仙台市郡山6丁目7番1号 東北金 属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−127147(JP,A) 特開 昭59−159903(JP,A) 特開 昭57−70206(JP,A) 特開 昭53−70966(JP,A)
Claims (5)
- 【請求項1】合金よりなる過冷却液体を作成後直ちに冷
却媒体を用いて急冷凝固し,均質な組織を有する非晶質
又は微細の結晶質の合金粉末又は合金薄帯を形成するこ
とを特徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方法。 - 【請求項2】請求項1記載の過冷却液体を用いた合金の
製造方法において,前記過冷却液体はガスアトマイズ法
により生成されていることを特徴とする過冷却液体を用
いた合金の製造方法。 - 【請求項3】請求項1記載の過冷却液体を用いた合金の
製造方法において,前記過冷却液体は,ガラススラグ法
により生成されていることを特徴とする過冷却液体を用
いた合金の製造方法。 - 【請求項4】合金溶湯を少なくとも6MPaを有する高圧ガ
スの一次冷却媒体に接触させて過冷却液体を生成し,前
記過冷却液体を噴射する過冷却液体生成工程と,噴射し
た前記過冷却液体を2次冷却媒体に衝突させて急冷凝固
し,非晶質又は微細な結晶質の合金粉末又は合金薄帯を
生成する合金生成工程とを有することを特徴とする過冷
却液体を用いた合金の製造方法。 - 【請求項5】合金からなる過冷却液体を,ガラススラグ
浴槽内に封入する過冷却液体準備工程と,前記ガラスス
ラグ浴槽内の前記過冷却液体を2次冷却媒体に接触させ
て急冷凝固し非晶質又は微細結晶質を有する均質な組織
の合金粉末又は合金薄帯を得る合金生成工程とを有する
ことを特徴とする過冷却液体を用いた合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63059680A JPH082485B2 (ja) | 1988-03-14 | 1988-03-14 | 過冷却液体を用いた合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63059680A JPH082485B2 (ja) | 1988-03-14 | 1988-03-14 | 過冷却液体を用いた合金の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01233048A JPH01233048A (ja) | 1989-09-18 |
JPH082485B2 true JPH082485B2 (ja) | 1996-01-17 |
Family
ID=13120159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63059680A Expired - Lifetime JPH082485B2 (ja) | 1988-03-14 | 1988-03-14 | 過冷却液体を用いた合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH082485B2 (ja) |
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JP5305126B2 (ja) * | 2007-04-25 | 2013-10-02 | 日立金属株式会社 | 軟磁性粉末、圧粉磁心の製造方法、圧粉磁心、及び磁性部品 |
KR101340569B1 (ko) * | 2012-02-27 | 2013-12-11 | (주)에스엔엔씨 | 스프레이 헤드 및 이를 이용한 샷 메이킹 주조탱크 |
Family Cites Families (4)
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JPS5770206A (en) * | 1980-10-20 | 1982-04-30 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Preparation of metal alloy powder |
JPS59159903A (ja) * | 1983-03-01 | 1984-09-10 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 金属粉末の製造方法及びその製造装置 |
JPH01127147A (ja) * | 1987-11-10 | 1989-05-19 | Nkk Corp | 溶融金属の鋳造方法 |
-
1988
- 1988-03-14 JP JP63059680A patent/JPH082485B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01233048A (ja) | 1989-09-18 |
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