JPH0824575B2 - 新規アミノペプチダ−ゼ - Google Patents

新規アミノペプチダ−ゼ

Info

Publication number
JPH0824575B2
JPH0824575B2 JP61086799A JP8679986A JPH0824575B2 JP H0824575 B2 JPH0824575 B2 JP H0824575B2 JP 61086799 A JP61086799 A JP 61086799A JP 8679986 A JP8679986 A JP 8679986A JP H0824575 B2 JPH0824575 B2 JP H0824575B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitroanilide
naphthylamide
aminopeptidase
glutamyl
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61086799A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62244381A (ja
Inventor
祐士 松永
紳太郎 井上
幹雄 外村
Original Assignee
鐘紡株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 鐘紡株式会社 filed Critical 鐘紡株式会社
Priority to JP61086799A priority Critical patent/JPH0824575B2/ja
Publication of JPS62244381A publication Critical patent/JPS62244381A/ja
Publication of JPH0824575B2 publication Critical patent/JPH0824575B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酵母より得られる新規なアミノペプチダーゼ
に関する。さらに詳しくは、アミノ末端(以下N末端と
略記する)にα−L−アスパルチル基またはα−L−グ
ルタミル基を有してするペプチドに特異的に作用し、L
−アスパラギン酸またはL−グルタミン酸を遊離させ
る、酵母由来の新規なアミノペプチダーゼに関する。本
発明のアミノペプチダーゼはペプチドの構造解析、定量
およびペプチドのプロセッシング等に利用し得る。
〔従来の技術〕
アミノペプチダーゼはペプチドのN末端のアミノ酸残
基に於るアミド結合を加水分解する酵素の総称として定
義されており、この内、α−L−アスパルチルアミド結
合およびα−L−グルタミルアミド結合を特異的に加水
分解するものとして犬腎臓由来のアミノペプチダーゼ
(Biochimica et Biophysica Acta 242巻 190頁 1971
年 参照)および豚腎臓由来のアミノペプチダーゼ(Bi
ochimica et Biophysica Acta 613巻 459頁 1980年
参照)が知られている。しかしながら、酵母由来の本発
明のアミノペプチダーゼは、従来知られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、α−L−アスパルチルアミド結合あ
るいはα−L−グルタミルアミド結合を特異的に加水分
解する新規なアミノペプチダーゼを提供することにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、微生物の産出する酵素を種々探索した
結果、担子菌の一種であるロドトルラ属に属する酵母が
産出するアミノペプチダーゼが、本発明の目的に適うも
のであることを見い出し、本発明を完成した。
本発明のアミノペプチダーゼの新規性は後述するよう
に、その物理化学的および酵素化学的性質から確認出来
る。
まず、本発明のアミノペプチダーゼの製造法を説明す
る。本発明のアミノペプチダーゼは、ロドトルラ属に属
する酵母、例えばロドトルラ・グルティニス IFO 0559
を培養して酵母菌体を集め、この菌体に含まれるアミノ
ペプチダーゼを分離精製して製造する。
酵母の培養は、例えば、大豆ペプトン、カゼインペプ
トン、獣肉ペプトン、混合ペプトン等のペプトン類、肉
エキス、酵母エキス、麦芽エキス等のエキス類を含む通
常の培地,あるいはこれ等にさらにアミノ酸あるいは/
および糖類を添加した培地に、ロドトルラ属に属する酵
母を植え、通気しながら通常25〜30℃で10〜24時間攪拌
して行う。
酵母菌体に含まれるアミノペプチダーゼの分離精製は
次の如く行う。まず、培養液をろ過あるいは遠心分離し
て菌体を集め、該菌体を冷却したpH6〜9の塩溶液、例
えば0〜4℃のトリス塩酸緩衝液(pH8.5)に加えて菌
体懸濁液とし、これに菌体破壊処理を施した後、遠心分
離してアミノペプチダーゼ含有水溶液を得る。この菌体
破壊処理は、酸化アルミニウムやガラスビーズの入った
菌体磨砕機によるか、あるいは超音波破砕装置により行
う。
上記のアミノペプチダーゼ含有水溶液には、菌体に由
来する蛋白類およびその他の夾雑物が多量に溶存してい
る。そこで、次にこの溶液を短時間加熱、例えば10分間
55℃に加熱し、夾雑物を不溶化させて除去するか、硫酸
アンモニウムを添加し夾雑物を不溶化させて除去する
か、あるいはこれら2つの処理を続けて行って夾雑物を
除去する。不溶化された夾雑物の除去は通常、遠心分離
により行う。ここでの処理により、比活性が約0.01〜0.
06Unit/mg蛋白の粗アミノペプチダーゼ溶液を得ること
が出来る。
最後に、上記粗アミノペプチダーゼ溶液をカラムクロ
マトグラフィーにより通常2〜3段階精製し、要すれば
酵素精製に於いて一般に用いられる公知の方法により濃
縮、脱塩として、本発明アミノペプチダーゼを水溶液と
して得る。
カラムクロマトグラフィーとしては、例えばフェニル
セファロースCL−4B(ファルマシア社製)の如き架橋ア
ガロースゲル誘導体を固定相とする疎水カラムクロマト
グラフィー、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セルロー
スの如き陰イオン交換セルロースゲル誘導体を固定相と
するイオン交換カラムクロマトグラフィー、およびセフ
ァクリルS300 SF(ファルマシア社製)の如きゲル粒子
を固定相とするゲルカラムクロマトグラフィーを挙げる
ことが出来る。
上記カラムクロマトグラフィーの溶出液としては、例
えばエチレングリコール、エチレンジアミン4酢酸・2
ナトリウム(EDTA)等の有機化合物を含有する、硫酸ア
ンモニウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無
機塩溶液が用いられ、要すればこれら有機化合物または
/および無機塩の濃度を変化させて、濃度勾配法により
目的物を溶出させる。
上記カラムクロマトグラフィー、濃縮および脱塩は本
発明アミノペプチダーゼの失活を防ぐため通常4〜10℃
で行う。
なお、本発明で使用するアミノペプチダーゼの活性単
位(Unit)とは、塩化コバルトおよびα−L−グルタミ
ル−p−ニトロアニリドを含む(それぞれ濃度10μM,2m
M)pH7.0の50mMリン酸ナトリウム緩衝液1mlに、本発明
のアミノペプチダーゼ溶液20mlを加えて37℃に保持し、
遊離して来るp−ニトロアニリンの量を405nmにおける
吸光度をもとに後記試験例1の場合と同様にして定量し
て、1分間に1μmolのp−ニトロアニリンを遊離させ
るアミノペプチダーゼの量を1Unit(その1/1000をmUni
t)としたものである。
本発明のアミノペプチダーゼは以下の(a)〜(e)
の物理化学的および酵素化学的性質により特定出来、新
規なアミノペプチダーゼであると確認出来る。
(a)分子量:40万〜44万(ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法にて測定) (b)基質特異性:塩化コバルトを含有するpH7.0の50m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(塩化コバルト濃度100μM)
に各種アミノ酸誘導体を溶解(濃度2mM、但し、L−ト
リプトフィル−β−ナフチルアミドの場合は、濃度0.2m
M)し、これに本発明のアミノペプチダーゼを加えて37
℃で反応させた時、γ−L−グルタミル−p−ニトロア
ニリド、L−ピログルタミル−p−ニトロアニリド、ア
セチル−α−L−グルタミン−p−ニトロアニリド、L
−グリタミニル−β−ナフチルアミド、L−ロイシル−
p−ニトロアニリド、L−アラニル−p−ニトロアニリ
ド、L−フェニルアラニル−p−ニトロアニリド、グリ
シル−p−ニトロアニリド、L−プロリル−p−ニトロ
アニリド、L−メチオニル−β−ナフチルアミド、L−
セリル−β−ナフチルアミド、L−トリプトフィル−β
−ナフチルアミド、L−アルギニル−p−ニトロアニリ
ド、L−リジル−β−ナフチルアミド、L−ヒスチジル
−β−ナフチルアミドの各アミノ酸誘導体は加水分解を
受けず、α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド、α
−L−グルタミル−β−ナフチルアミド、α−L−アス
パルチル−p−ニトロアニリド、α−L−アスパルチル
−β−ナフチルアミドの各アミノ酸誘導体は加水分解を
受け、それ等の加水分解速度をα−L−グルタミル−p
−ニトロアニリドの加水分解速度に対する比率(相対活
性%)で表すと、後記第1表(試験例1参照)の通りで
ある。
(c)阻害剤:本発明のアミノペプチダーゼによるα−
L−グルタミル−β−ナフチルアミドの加水分解に対す
る、各種金属イオンおよび有機化合物の阻害作用を調べ
た時、Ca2+,An2+,Mg2+,Co2+,Ni2+の各金属イオンお
よびエチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム(EDTA),o
−フェナンスロリン,ヨード酢酸,ジチオスレイトー
ル,2−メルカプトエタノール,アマスタチンは阻害作用
を示さず、Fe2+,Zn2+,Cn2+,Hg2+,およびp−クロロ
安息香酸第2水銀は阻害作用を示し、その阻害率が後記
第2表(試験例2参照)の通りである。
(d)37℃における活性の至適pH:7〜9(試験例3参
照)。
(e)Km値:α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド
を基質とし、pH7.0,温度37℃で測定した時、約0.1mMで
ある(試験例4参照)。
〔発明の効果〕
本発明のアミノペプチダーゼは基質特異性を有し、α
−L−アスパルチルアミド結合あるいはα−L−グルタ
ミルアミド結合を特異的に加水分解する(試験例1参
照)。従って、N末端にα−L−アスパルチル基または
α−L−グルタミル基を有しているペプチドに特異的に
作用し、L−アスパラギン酸またはL−グルタミン酸の
みを遊離させる。例えば、本発明のアミノペプチダーゼ
を酸化型ウシインスリンB鎖(L−フェニルアラニル−
L−バリル−L−アスパラギニル−L−グルタミニル−
L−ヒスチジル−L−ロイシル−L−システイル−グリ
シル−L−セリル−L−ヒスチジル−L−ロイシル−L
−バリル−α−L−グルタミル−L−アラニル−L−ロ
イシル−L−チロシル−L−ロイシル−L−バリル−L
−システイル−グリシル−α−L−グルタミル−L−ア
ルギニル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−フェ
ニルアラニル−L−チロシル−L−トレオニル−L−プ
ロリル−L−リジル−L−アラニン)、またはL−チロ
シル−L−グルタミン酸、あるいはL−メチオニル−L
−アスパラギン酸に作用させてもこれ等を全く加水分解
しないが、アンジオテンシンII(α−L−アスパルチル
−L−アルギニル−L−バリル−L−チロシル−L−イ
ソロイシル−L−ヒスチジル−L−プロリル−L−フェ
ニルアラニン)に作用させると、アンジオテンシンIIの
N末端のα−L−アスパルチルアミド結合のみを定量的
に加水分解して、アスパラギン酸とアンジオテンシンII
I(L−アルギニル−L−バリル−L−チロシル−L−
イソロイシル−L−ヒスチジル−L−プロリル−L−フ
ェニルアラニン)が生成し、もはやこれ以上の加水分解
は起らない(試験例5参照)。
従って本発明のアミノペプチダーゼは、例えばペプチ
ドの構造解析、定量およびプロセッシング等に有用であ
る。
また、本発明のアミノペプチダーゼは酵母由来のもの
であるから、大量生産することが容易である。
以下、試験例および実施例を挙げて本発明をさらに詳
細に説明する。
〔試験例1〕基質特異性試験 本発明アミノペプチダーゼの基質特異性を、各種アミ
ノ酸のp−ニトロアニリドあるいはβ−ナフチルアミド
の加水分解速度を測定することにより調べた。
(1)試験材料 アミノペプチダーゼ:実施例のアミノペプチダーゼ水
溶液(濃度、0.91Unit/ml) アミノ酸誘導体:α−L−グルタミル−p−ニトロア
ニリド、α−L−グルタミル−β−ナフチルアミド、α
−L−アスパルチル−p−ニトロアニリド、α−L−ア
スパルチル−β−ナフチルアミド、γ−L−グルタミル
−p−ニトロアニリド、L−ピログルタミル−p−ニト
ロアニリド、アセチル−α−L−グルタミル−p−ニト
ロアニリド、L−グルタミニル−β−ナフチルアミド、
L−ロイシル−p−ニトロアニリド、L−アラニル−p
−ニトロアニリド、L−フェニルアラニル−p−ニトロ
アニリド、グリシル−p−ニトロアニリド、L−プロリ
ル−p−ニトロアニリド、L−メチオニル−β−ナフチ
ルアミド、L−セリル−β−ナフチルアミド、L−トリ
プトフィル−β−ナフチルアミド、L−アルギニル−p
−ニトロアニリド、A−リジル−β−ナフチルアミド、
L−ヒスチジル−β−ナフチルアミド。
(2)試験方法 塩化コバルト水和物23.79mgを50mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH7.0)1に溶解し、塩化コバルト濃度100μ
M、pH7.0の50mMリン酸ナトリウム緩衝液を調製した。
この50mlずつをとり、アミノ酸誘導体を加えて37℃に加
温し、濃度が2mMの各アミノ酸誘導体溶液を調製した
(但し、L−トリプトフィル−β−ナフチルアミドの場
合は、溶解度が低いので濃度0.2mM溶液を調製した)。
次いでこのアミノ酸誘導体溶液1mlにそれぞれアミノペ
プチダーゼ溶液20μlを加え、37℃でアミノ酸誘導体が
加水分解されることにより遊離してくるp−ニトロアニ
リンまたはβ−ナフチルアミンの量を分光光度計により
経時的に測定し、各アミノ酸誘導体の加水分解速度(nm
ol/分)を求めた。なお、遊離してくるp−ニトロアニ
リンの量は、405nmにおける吸光度を測定し、この値と4
05nmにおけるp−ニトロアニリンの吸光係数より求め
た。また、β−ナフチルアミンの量は、410nmの蛍光強
度〔スリット5nm,励起波長335nm(スリット5nm)〕を測
定し、この値と、予め求めておいたβ−ナフチルアミン
の検量線より求めた。最後に、α−L−グルタミル−p
−ニトロアニリドの加水分解速度(914nmol/分)に対す
る各アミノ酸誘導体の加水分解速度(nmol/分)の比
を、本発明のアミノペプチダーゼの各基質に対する相対
活性として、次式により求め、基質特異性を判断した。
(3)試験結果 α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド、α−L−
グルタミル−β−ナフチルアミド、α−L−アスパルチ
ル−p−ニトロアニリド、α−L−アスパルチル−β−
ナフチルアミドの各アミノ酸誘導体のみが加水分解を受
け、本発明アミノペプチダーゼの基質となった。これら
基質の相対活性を第1表に示す。
このように、本発明アミノペプチダーゼはα−L−ア
スパルチルアミド結合またはα−L−グルタミルアミド
結合を特異的に加水分解する。
〔試験例2〕阻害作用 (1)試験材料 アミノペプチダーゼ:実施例のアミノペプチダーゼ水
溶液(濃度,0.91Unit/ml) 基質:α−L−グルタミル−β−ナフチルアミド 阻害作用検討物質(金属シオンおよび有機化合物) (a)金属イオン:Ca2+,Mn2+,Mg2+,Fe2+,Co2+,Zn
2+,Ni2+,Cu2+,Hg2+(それぞれ、塩化カルシウム2水
和物,塩化マンガン4水和物,塩化マグネシウム6水和
物,塩化第1鉄4水和物,塩化コバルト6水和物,塩化
亜鉛,塩化ニッケル6水和物,塩化第2銅2水物および
塩化第2水銀として使用した) (b)有機化合物:EDTA,o−フェナンスロリン,ヨード
酢酸,p−クロロ安息香酸第2水銀,ジチオスレイトー
ル,2−メルカプトエタノール,アマスタチン (2)試験方法 50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)500mlにα−L−グル
タミル−β−ナフチルアミド68.08mgを溶解し37℃に加
温して0.5mMの基質溶液を調製した。一方、上記の各種
金属イオンおよび有機化合物0.5mmolをそれぞれ蒸留水
に溶解して10mlとし、37℃に加温して50mMのそれぞれの
溶液を調製した。(但し、ジチオスレイトールおよび2
−メルカプトエタノールの場合は濃度0.5mM,アマスタチ
ンの場合は濃度2.5mMの水溶液を調製した)。この溶液2
0μlを、前記基質溶液1mlに加えた後、アミノペプチダ
ーゼ水溶液20ulを加え、直ちに37℃で410nmにおける蛍
光強度の測定を開始し(測定条件は、試験例1の場合に
同じ)、1分後の蛍光強度(Fi)を求めた。一方、基質
溶液に前記金属イオン、有機化合物を加えずに上記の場
合と同様にして、1分後の蛍光強度(Fb)を測定し、下
式により阻害率を求めた。
阻害率(%)=(1−Fi/Fb)×100 (3)試験結果 Fe2+,Zn2+,Cu2+,Hg2+,およびp−クロロ安息香酸
第2水銀のみが阻害作用を示し,本発明アミノペプチダ
ーゼの阻害剤となった。その阻害率を第2表に示す。
〔試験例3〕活性の至適pH (1)試験材料 アミノペプチダーゼ:実施例のアミノペプチダーゼ水
溶液(濃度.0.91Unit/ml) 基質:α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド (2)試験方法 50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)のかわりにpH
5.5の50mM酢酸−水酸化ナトリウム緩衝液、pH6.05また
はpH7.35の50mMリン酸ナトリウム緩衝液、あるいはpH7.
02,pH8.08またはpH9.03の50mMトリス塩酸緩衝液を用い
る以外は試験例1の場合と同様にして上記各pHにおける
37℃でのα−L−グルタミル−p−ニトロアニリドの加
水分解速度を求めた。次いでpH8.08における加水分解速
度を100とし、各pHにおける相対速度を求めた。
(3)試験結果 第3表に示す。
この試験結果が示す通り、本発明のアミノペプチダー
ゼが37℃で活性を示す至適pHは7〜9である。
〔試験例4〕Km値 (1)試験材料 アミノペプチダーゼ:実施例のアミノペプチダーゼ水
溶液(濃度,0.91Unit/ml) 基質:α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド (2)試験方法 基質濃度をそれぞれ、2mM,1mM,1/4mM,1/8mM,1/16mM,1
/32mM,1/64mM,あるいは1/128mMとする以外は試験例1の
場合と同様にして加水分解速度を測定した。その後常法
通りLineweaver−BurkプロットによってKm値を求めた。
(3)試験結果 Km値は約0.1mMであった。
〔試験例5〕ペプチドの加水分解試験 (1)試験材料 a)アミノペプチダーゼ:実施例のアミノペプチダーゼ
水溶液(濃度,0.91Unit/ml) b)ペプチド アンジオテンシンII(α−L−アスパルチル−L−ア
ルギニル−L−バリル−L−チロシル−L−イソロイシ
ル−L−ヒスチジル−L−プロリル−L−フェニルアラ
ニン) 酸化型ウシインスリンB鎖(L−フェニルアラニル−
L−バリル−L−アスパラギニル−L−グルタミニル−
L−ヒスチジル−L−ロイシル−L−システイル−グリ
シル−L−セリル−L−ヒスチジル−L−ロイシル−L
−バリル−α−L−グルタミル−L−アラニル−L−ロ
イシル−L−チロシル−L−ロイシル−L−バリル−L
−システイル−グリシル−α−L−グルタミル−L−ア
ルギニル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−フェ
ニルアラニル−L−チロシル−L−トレオニル−L−プ
ロリル−L−リジル−L−アラニン) L−チロシル−L−グルタミン酸 L−メチオニル−L−アスパラギン酸 (2)試験方法 実施例のアミノペプチダーゼ水溶液の一部をpH7.0の5
0mMリン酸ナトリウム緩衝液で6倍に希釈した後、その2
0μlをそれぞれpH7.0の50mMリン酸ナトリウム緩衝液に
溶解した上記のペプチド100μl(濃度それぞれ1mM)に
加えて37℃で反応させた。この反応液から経時的に10μ
lずつサンプリングし、サンプリング後ただちに各サン
プリング液に0.05N塩酸90μlを加えて反応を停止して
各サンプリング液中の生成物(アミノ酸およびペプチ
ド)を定量し、この値から各生成物の生成率を求めた。
なお、アミノ酸分析は、Lee等の方法(Analytical Bi
ochemistry 96巻 298頁 参照)により行い、ペプチド
の分析は高速液体クロマトグラフィーにより行った。高
速液体クロマトグラフィーの条件は以下の通りである。
機種:日立655型、カラム:A−312 ODS YMC島久(株)製
6x150mm。溶出溶媒:アンジオテンシンIIの場合は20
%(v/v)のアセトニトリルを含む20mM酢酸緩衝液(pH
5)、酸化型ウシインスリンB鎖の場合は32.5%(v/v)
のアセトニトリルおよび0.09%(v/v)のトリフルオロ
酢酸を含む水溶液。溶出速度:1ml/分、検出:UV220nm (2)試験結果 アンジオテンシンIIは加水分解を受け、L−アスパラ
ギン酸およびアンジオテンシンIII(L−アルギニル−
L−バリル−L−チロシル−L−イソロイシル−L−ヒ
スチジル−L−プロリル−L−フェニルアラニン)のみ
が生成し、他の生成物は認められなかった。また、経時
的なL−アスパラギン酸とアンジオテンシンIIIの生成
率は測定誤差の範囲内に於て等しく、6時間後のこれら
の生成は定量的であった。結果を第4表に示す。
一方、酸化型ウシインスリンB鎖、L−チロシル−L
−グルタミン酸およびL−メチオニル−L−アスパラギ
ン酸は全く加水分解を受けなかった。
このように、本発明のアミノペプチダーゼはN末端に
α−L−アルパルチル基またはα−L−グルタミル基を
有しているペプチドに特異的に作用し、L−アスパラギ
ン酸またはL−グルタミン酸を定量的に遊離させる。
〔実施例〕
麦芽エキス1%(w/v),酵母エキス0.1%(w/v),
フェニルアラニン0.1%(w/v),ポリペプトン (大五
栄養化学株式会社製)1%(w/v)よりなる培地400l
に、該培地と同一組成の培地で前培養した酵母ロドトル
ラ・グルティニス IFO 0559を接種し、30℃,通気速度
300l/分,攪拌速度250rpmの条件下で14時間培養した。
培養液を冷却しながら連続的に遠心分離(18200×g)
して酵母菌体7.2kgを得た。該菌体をpH8.5の50mMトリス
塩酸緩衝液14.4lに4℃で懸濁した後、連続式ダイナミ
ル(ウィリーA,ブァコフェン社製DMK−15S型,条件:グ
ライディングコンテナー0.6l,グライディングビーズ0.2
5〜0.5mmφ,ディスタンスピース0.05mm)により磨砕し
た。次いで、得られた磨砕液を冷却下に遠心分離(1820
0×g,30分,Carl Padberg Zentrifugenbau GmbH.Lahr製C
EPA超高速遠心分離機Z81型を使用)して3700Unitのアミ
ノペプチダーゼ(比活性0.004Unit/mg蛋白質)を含む溶
液14.6lを得た。
上記溶液500ml(アミノペプチダーゼ127Unit含有)を
とり、これにEDTAを加えその濃度を5mMとした後、55℃
で10分間加熱し夾雑物を不溶化させた。次いで、EDTAを
含むトリス塩酸緩衝液(pH8.5,EDTA濃度5mM)2lを加え
た後、遠心分離(16000×g,10分)して、不溶物を除去
し、得られた上澄液をホロファイバー濃縮装置(アミコ
ン社製,H1P10型)により176mlに濃縮した。次いで得ら
れた濃縮液に硫酸アンモニウムを加え、硫酸アンモニウ
ム濃度を15%飽和とすることにより再度夾雑物を不溶化
した後、遠心分離(16000×g,10分)により不溶物を除
去し上澄液を得た。これをフェニルセファロースCL−4B
(ファルマシア製)カラム(4cmφ×25cm)にチャージ
し、EDTA,硫酸アンモンウムおよびエチレングリコール
を含有する水溶液を用い、リニアグラジエント法(初期
濃度:EDTA5mM,硫酸アンモニウム15%飽和,エチレング
リコール25%(v/v),最終濃度:EDTA5mM,硫酸アンモニ
ウム0%,エチレケングリコール50%(v/v),流速65.
3ml/時間)により溶出させ、溶出液を17.4mlずつに分画
した。各画分中のアミノペプチダーゼ活性を測定してア
ミノペプチダーゼ濃度が30mUnit/ml以上の画分(画分番
号16〜40)を集め、ホロファイバー濃縮装置(アミコン
社製,H1P10型)で90mlに濃縮し、濃縮液をEDTA含有20mM
リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2,EDTA濃度5mM)で透析
してアミノペプチダーゼ溶液を得た。ここでアミノペプ
チダーゼの比活性は0.407Unit/mg蛋白質であった。次い
で、上記のアミノペプチダーゼ溶液を陰イオン交換セル
ロース(DEAE−セルロース、DE−52,ワットマン社製)
カラム(4cmφ×25cm)にチャージし、EDTA含有20mMリ
ン酸ナリトウム緩衝液(pH7.2,EDTA濃度5mM)1をカ
ラムに通した後、EDTAおよび塩化ナトリウムを含むリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)を用いたリニアグラジエ
ント法〔EDTA濃度およびリン酸ナトリウム濃度を一定
(それぞれ5mM,20mM)とし、塩化ナトリウム濃度をOMか
ら0.5Mへ上昇させた〕により溶出させ、溶出液を13.8ml
ずつに分画した。前記と同様各画分のアミノペプチダー
ゼ活性を測定し、アミノペプチダーゼ濃度が15mUnit/ml
以上の画分(画分番号19〜30)を集め、限外ろ過装置
(ろ過膜,PM−10、アミコン社製)により13.2mlまで濃
縮した。これを塩化コバルトを含有した0.1Mリン酸ナト
リウム緩衝液(pH7.0,塩化コバルト濃度100μM)に透
析し、EDTAおよび塩化ナトリウムを除去してから、簡易
微量濃縮器(セントリコーン10,アミコン社製)にて再
度濃縮し、比活性2.916Unit/mg蛋白質のアミノペプチダ
ーゼを含む水溶液0.5ml(濃度37.4Unit/ml)を得た。
最後に、上記アミノペプチダーゼ水溶液をセファクリ
ルS300 SF(ファルマシア社製)を用いたカラムクロマ
トグラフィーにより精製した。アミノペプチダーゼをチ
ャージしたカラム(1.6cmφ×60cm)は、塩化コバルト
含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0,塩化コバルト
濃度100μM)で、流速7ml/時間の条件下に展開した。
溶出液を2.5mlずつに分画し、各画分のアミノペプチダ
ーゼ活性を測定し、濃度25mUnit/ml以上の画分(画分番
号29〜34)を集め、これを塩化コバルト含有20mMリン酸
カリウム緩衝液(pH8.2,塩化コバルト濃度100μM)に
透析して比活性4Unit/mg蛋白質の精製アミノペプチダー
ゼ13.9Unitを15.2mlの水溶液(濃度0.91Unit/ml)とし
て得た。
上記アミノペプチダーゼは、7.5%ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動を行った後、クマシーブリリアントブル
ーによる蛋白質の染色により単一のバンドを示した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Bryan法Analyti
cal Biochemistry 78巻 513頁 1977年 参照)で本発
明のアミノペプチダーゼの分子量を測定したところ、40
万〜44万であった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の物理化学的および酵素化学的性質を
    有する、ロドトルラ属の酵母より得られる分子量が40万
    〜44万のアミノペプチダーゼ (a)基質特異性:塩化コバルトを含有するpH7.0の50m
    Mリン酸ナトリウム緩衝液(塩化コバルト濃度100μM)
    に各種アミノ酸誘導体を溶解(濃度2mM、但し、L−ト
    リプトフィル−β−ナフチルアミドの場合は、濃度0.2m
    M)し、これに本発明のアミノペプチダーゼを加えて37
    ℃で反応させた時、γ−L−グルタミル−p−ニトロア
    ニリド、L−ピログルタミル−p−ニトロアニリド、ア
    セチル−α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド、L
    −グルタミニル−β−ナフチルアミド、L−ロイシル−
    p−ニトロアニリド、L−アラニル−p−ニトロアニリ
    ド、L−フェニルアラニル−p−ニトロアニリド、グリ
    シル−p−ニトロアニリド、L−プロリル−p−ニトロ
    アニリド、L−メチオニル−β−ナフチルアミド、L−
    セリル−β−ナフチルアミド、L−トリプトフィル−β
    −ナフチルアミド、L−アルギニル−p−ニトロアニリ
    ド、L−リジル−β−ナフチルアミド、L−ヒスチジル
    −β−ナフチルアミドの各アミノ酸誘導体は加水分解を
    受けず、α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド、α
    −L−グルタミル−β−ナフチルアミド、α−L−アス
    パルチル−p−ニトロアニリド、α−1−アスパルチル
    −β−ナフチルアミドの各アミノ酸誘導体は加水分解を
    受け、それ等の加水分解速度をα−L−グルタミル−p
    −ニトロアニリドの加水分解速度に対する比率(相対活
    性%)で表すと、以下の通りである。 (b)阻害剤:本発明のアミノペプチダーゼによるα−
    L−グルタミル−β−ナフチルアミドの加水分解に対す
    る、各種金属イオンおよび有機化合物の阻害作用を調べ
    た時、Ca2+、Mn2+、Mg2+、Co2+、Ni2+の各金属イオンお
    よびエチレンジアミン4酢酸・2ナトリウム(EDTA)、
    o−フェナンスロリン、ヨード酢酸、ジチオスレイトー
    ル、2−メルカプトエタノール、アマスタチンは阻害作
    用を示さず、Fe2+、Zn2+、Cu2+、Hg2+およびp−クロロ
    安息香酸第2水銀は阻害作用を示し、その阻害率が以下
    の通りである。 (c)37℃における至適pH:7〜9 (d)Km値:α−L−グルタミル−p−ニトロアニリド
    を基質とし、pH7.0、温度37℃で測定した時、約0.1mMで
    ある。
  2. 【請求項2】ロドトルラ属の酵母がロドトルラ・グルテ
    ィニスIFO 0553である特許請求の範囲第1項に記載のア
    ミノペプチダーゼ。
JP61086799A 1986-04-14 1986-04-14 新規アミノペプチダ−ゼ Expired - Lifetime JPH0824575B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61086799A JPH0824575B2 (ja) 1986-04-14 1986-04-14 新規アミノペプチダ−ゼ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61086799A JPH0824575B2 (ja) 1986-04-14 1986-04-14 新規アミノペプチダ−ゼ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62244381A JPS62244381A (ja) 1987-10-24
JPH0824575B2 true JPH0824575B2 (ja) 1996-03-13

Family

ID=13896839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61086799A Expired - Lifetime JPH0824575B2 (ja) 1986-04-14 1986-04-14 新規アミノペプチダ−ゼ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0824575B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2640958B2 (ja) * 1988-03-09 1997-08-13 花王株式会社 ヒドロキサム酸加水分解酵素
JPH09294583A (ja) * 1996-03-08 1997-11-18 Ajinomoto Co Inc アミノペプチダーゼgx及びそれを用いるタンパク質の加水分解方法
WO2004105503A1 (ja) * 2003-05-27 2004-12-09 Ajinomoto Co., Inc. 飲食品の呈味および/または風味の改善方法
JP5319543B2 (ja) 2007-10-29 2013-10-16 日本ケミカルリサーチ株式会社 アミノペプチダーゼの製造方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
INT.J.BIOCHIM.=1985 *
J.NEUROCHEM=1983 *

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62244381A (ja) 1987-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0074095B1 (en) Process for preparation of aspartylphenylalanine alkyl esters
US4064010A (en) Purification of uricase
JPH0329399B2 (ja)
JPH0824575B2 (ja) 新規アミノペプチダ−ゼ
JPH0665300B2 (ja) フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
JPS60217894A (ja) 新規プロテア−ゼ及びその製造方法
US4581332A (en) Novel alkaline protease
US5369016A (en) Peptide amidase and the use thereof
Walker et al. Differential characterization of two leucine aminopeptidases in Drosophila melanogaster
US4035234A (en) Process for the preparation of the kallikrein-trypsin inhibitor
EP0101653B1 (en) Leucine dehydrogenase and a process for production thereof
JPH0614776A (ja) プロリルエンドペプチダーゼ及びその製造方法
JP3471301B2 (ja) シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素及びその製造方法
JP2908933B2 (ja) アルカリプロテアーゼk−16m
JP2794371B2 (ja) アルカリプロテアーゼk−16h
JPS5840473B2 (ja) 新規なプロリンアシラ−ゼ及びその製法
JP3118331B2 (ja) シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル加水分解酵素の製造方法
JP2885434B2 (ja) 蛋白質分解酵素及びその製造方法
JPH0272873A (ja) ヌクレオシドオキシダーゼ及びこれを利用した分析法
Schmer et al. Purification of Indolyl-3-alkane α-hydroxylase by affinity chromatography on indolyl-agarose columns
KR0145801B1 (ko) 페니실리움 씨트리넘으로부터 유래한 신규의 아미노펩티다제
JPS6156997B2 (ja)
EP0102529A2 (en) Process for preparation of aspartylphenylalanine alkyl esters
JPS5995886A (ja) L−トリプトフアンアミノペプチダ−ゼ及びその製造方法
JPS6318471B2 (ja)