JPH08243493A - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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Publication number
JPH08243493A
JPH08243493A JP4589595A JP4589595A JPH08243493A JP H08243493 A JPH08243493 A JP H08243493A JP 4589595 A JP4589595 A JP 4589595A JP 4589595 A JP4589595 A JP 4589595A JP H08243493 A JPH08243493 A JP H08243493A
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JP
Japan
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gas
composition
mol
base material
mixing
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Withdrawn
Application number
JP4589595A
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English (en)
Inventor
Miyuki Miyazaki
幸 宮崎
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材上に反射防止性、撥水性に優れ、さら
に、耐擦傷性の高い被膜が形成された積層体の製造方法
を提供する。 【構成】 テトラアルコキシシラン、pHが10.0〜
12.0の塩基性水及び有機溶媒を特定量混合して得ら
れる縮合組成物(A)と、テトラアルコキシシラン、p
Hが0〜2.6の酸性水及び有機溶媒を特定量混合して
得られる縮合組成物(B)とを、特定の重量比で混合し
て得られる無機質組成物を基材上に塗布する工程、及び
得られた無機質組成物が塗布された基材を、不飽和フッ
化炭素ガス10体積%以下と残部が不活性ガスからなる
混合ガスの大気圧近傍の圧力下で、該混合ガスの放電プ
ラズマに接触させる工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材上に反射防止性、
撥水性に優れ、さらに、耐擦傷性の高い被膜が形成され
た積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスは、カラーテレビのブラウン管
や、自動車のフロントガラス、太陽電池の光取り入れ部
材などに広く用いられているが、このガラス表面で外部
光線が反射すると、映り込みのために画像や内部物体が
見え難くなったり、太陽電池のエネルギー変換効率が低
くなったりする。
【0003】また、近年、透明プラスチック材料が、軽
量性、易加工性、耐衝撃性の特徴を生かし、ガラスに代
わって、光学レンズ、メガネレンズ、建築物の窓、ショ
ーウインドウ等に広く利用されているが、耐擦傷性に乏
しくハードコーティング処理を必要としている。さら
に、ガラス同様外部光線の反射のため光学的障害が問題
となっている。
【0004】この問題を解決するために、ガラスおよび
プラスチック基材に反射防止膜を単層で積層させること
が知られているが、得られた積層体は被膜の機械的強度
に問題があったり、また、大気中の塵、水滴、油滴等が
付着し易いものであった。
【0005】これらの問題を解決する方法として、特開
昭61−247743号公報には、特定のフッ素含有シ
リコーン化合物2種類とシリコーン化合物との3成分か
らなる組成物を、溶媒中で加水分解、重縮合させてゾル
液としたものを、プラスチック基材上に塗布し、一定温
度で乾燥、硬化させて、反射防止性、防汚性、耐擦傷性
を有する積層体を製造する方法が開示されている。
【0006】しかし、上記の積層体は、十分な耐擦傷性
を得ようとすると、配合組成の影響により反射防止性が
低下したり、また、製造時に加熱による乾燥、硬化工程
が必要なので、プラスチック基材によっては、反り等の
変形や溶融等が起こるという問題点がある。
【0007】また、特開平6−279061号公報に
は、表面に多孔質層を有するガラス基材に、フロロシラ
ンを用いて防汚層を積層させる方法が開示されている。
この方法は、多孔質層内部への均一な膜形成方法として
減圧CVD法を使用しているので、バッチ式の処理とな
るため、生産性や大面積基材の処理に問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するものであり、その目的は、基材上に反射
防止性、撥水性に優れ、さらに、耐擦傷性の高い被膜が
形成された積層体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明1(請求項1記載
の発明を本発明1という)の積層体の製造方法で用いら
れる縮合組成物(A)は、一般式Si(OR)4 (式
中、Rは炭素数1〜5のアルキル基)で表されるテトラ
アルコキシシラン、塩基性水及び有機溶媒を混合し、テ
トラアルコキシシランを部分加水分解、重縮合させて得
られる。
【0010】上記の一般式Si(OR)4 で表されるテ
トラアルコキシシランにおいて、Rは、炭素数が多くな
ると、無機質組成物の安定性が低下して長期安定性が悪
くなるので、炭素数1〜5のアルキル基に限定され、例
えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−
プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、
ネオペンチル基などが挙げられる。
【0011】Si(OR)4 で表されるテトラアルコキ
シシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、
テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブト
キシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ
−tert−ブトキシシラン、テトラ−n−ペントキシ
シラン、テトラ−iso−ペントキシシラン、テトラネ
オペントキシシランなどが挙げられ、加水分解、重縮合
における反応性の点から、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシランが好ましく、テトラエトキシシランが
特に好ましい。
【0012】上記塩基性水とは、塩基種によりpHが1
0.0〜12.0に調整された水をいう。塩基種は、水
のpHを10.0〜12.0に調整できるものであれ
ば、特に限定されず、例えば、アンモニア、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等が挙げられ、pH調整の容易
さ、及び不純物が混入しにくいこと等からアンモニアが
特に好ましい。
【0013】塩基性水のpHは、低くなると、得られる
コロイダルシリカの分子量が低下し、十分な反射防止性
を有する積層体が得られず、高くなると、得られる縮合
組成物(A)の安定性が低下するので、10.0〜1
2.0に限定され、10.3〜11.5が好ましく、1
0.8〜11.4が特に好ましい。
【0014】塩基性水は、少なくなると、得られるコロ
イダルシリカの分子量が低下して、積層体の反射防止性
が低下し、多くなると、縮合組成物(A)の安定性が低
下するので、Si(OR)4 で表されるテトラアルコキ
シシラン1モルに対して、2〜8モルに限定され、3〜
4モルが好ましい。
【0015】有機溶媒は、Si(OR)4 で表されるテ
トラアルコキシシランおよび塩基性水と相溶性のあるも
のであれば特に限定されるものではなく、例えば、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、エトキシエチルアルコール、アリルアルコール等
が挙げられるが、得られる被膜の多孔性の向上という点
から、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
【0016】有機溶媒の添加量は、少なくなると、縮合
組成物(A)の安定性が低下し、多くなると、得られる
コロイダルシリカの分子量が低下し、積層体の反射防止
性が低下するので、Si(OR)4 で表されるテトラア
ルコキシシラン1モルに対して10〜30モルに限定さ
れ、無機質組成物の安定性の点から、テトラアルコキシ
シラン1モルに対して13〜18モルが好ましい。
【0017】縮合組成物(A)の混合方法は、特に限定
されず、例えば、Si(OR)4 で表されるテトラアル
コキシシラン、塩基性水及び有機溶媒を、均質なものを
得るために、好ましくは、攪拌機に供給し混合する方法
が挙げられる。攪拌機としては、特に限定されるわけで
はなく、マグネチックスターラーのような簡便な攪拌機
で十分である。
【0018】縮合組成物(A)を混合する際の温度は、
低くなると、重縮合反応が不充分となり、高くなると、
縮合組成物(A)の安定性が低下するので、10〜30
℃で行うのが好ましく、20〜25℃が特に好ましい。
【0019】縮合組成物(A)を混合する際の時間は、
短くなると、加水分解、重縮合反応が不十分となり、長
くなると、縮合組成物(A)の安定性が低下するので、
1〜10時間が好ましく、2〜4時間が特に好ましい。
従って、縮合組成物(A)の混合は、10〜30℃で、
1〜10時間行うのが好ましく、20〜25℃で、2〜
4時間行うのが特に好ましい。
【0020】本発明1の積層体の製造方法で用いられる
縮合組成物(B)は、一般式Si(OR1 4 (式中、
1 は炭素数1〜5のアルキル基)で表されるテトラア
ルコキシシラン、酸性水及び有機溶媒を混合し、テトラ
アルコキシシランを部分加水分解、重縮合させて得られ
る。
【0021】上記の一般式Si(OR1 4 で表される
テトラアルコキシシランにおいて、R1 は、炭素数が多
くなると、無機質組成物の安定性が低下して長期安定性
が悪くなるので、炭素数1〜5のアルキル基に限定さ
れ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
so−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチ
ル基、ネオペンチル基などが挙げられる。
【0022】Si(OR1 4 で表されるテトラアルコ
キシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラ
ン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−
ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テ
トラ−tert−ブトキシシラン、テトラ−n−ペント
キシシラン、テトラ−iso−ペントキシシラン、テト
ラネオペントキシシランなどが挙げられ、加水分解、重
縮合における反応性の点から、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシランが好ましく、テトラエトキシシラ
ンが特に好ましい。
【0023】上記酸性水とは、酸性種によりpHが0〜
2.6に調整された水をいう。酸性種は、水のpHを、
0〜2.6に調整できるものであれば、特に限定され
ず、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、塩酸、硝
酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
【0024】酸性水のpHは、低くなると、縮合組成物
(B)の安定性が低下することがあり、高くなると、テ
トラアルコキシシランの加水分解が不十分となるので、
0〜2.6に限定され、1.0〜1.7が好ましく、
1.1〜1.2が、特に好ましい。
【0025】酸性水の添加量は、少なくなると、テトラ
アルコキシシランの加水分解が不十分となり、更に、得
られる無機質組成物の基材への塗布が困難となり、多く
なると、縮合組成物(B)の安定性が低下するので、S
i(OR1 4 で表されるテトラアルコキシシラン1モ
ルに対して3〜8モルに限定され、4〜7モルが好まし
い。
【0026】上記有機溶媒は、Si(OR1 4 で表さ
れるテトラアルコキシシラン及び酸性水に相溶するもの
であれば、特に限定されず、例えば、縮合組成物(A)
の製造に用いられるものと同様のものが用いられ、有機
溶媒の添加量は、少なくなると、縮合組成物(B)の安
定性が低下し、又、多くなると、得られるコロイダルシ
リカの分子量が低下し、積層体の反射防止性が低下する
ので、Si(OR1 4 で表されるテトラアルコキシシ
ラン1モルに対して10〜30モルに限定され、無機質
組成物の安定性の点から、テトラアルコキシシラン1モ
ルに対して13〜18モルが特に好ましい。
【0027】縮合組成物(B)の混合方法は、特に限定
されず、例えば、Si(OR1 4で表されるテトラア
ルコキシシラン、酸性水及び有機溶媒を、均質なものを
得るために、好ましくは、攪拌機に供給し混合する方法
が挙げられる。攪拌機としては、特に限定されるわけで
はなく、マグネチックスターラーのような簡便な攪拌機
で十分である。
【0028】縮合組成物(B)を混合する際の温度は、
低くなると、重縮合反応が不充分となり、高くなると、
縮合組成物(B)の安定性が低下するので、10〜30
℃で行うのが好ましく、20〜25℃が特に好ましい。
【0029】縮合組成物(B)を混合する際の時間は、
短くなると、十分な分子量が得られず、長くなると、縮
合組成物(B)の安定性が低下するので、1〜10時間
が好ましく、2〜4時間が特に好ましい。従って、縮合
組成物(B)の混合は、10〜30℃で、1〜10時間
行うのが好ましく、20〜25℃で、2〜4時間行うの
が特に好ましい。
【0030】本発明1で使用される無機質組成物の混合
は、上記縮合組成物(A)及び縮合組成物(B)を、重
量比((A)/(B))=0.4〜2.4で混合する。
【0031】縮合組成物(A)が、少なくなると、得ら
れる被膜の多孔率が低下し、得られる積層体の反射防止
効果が低下し、多くなると、得られる被膜と基材との密
着性が低下するので、縮合組成物(A)と縮合組成物
(B)の重量比((A)/(B))は、0.4〜2.4
に限定され、無機質組成物の安定性及び被膜と基材の密
着性の向上のため、1.5〜2.3が好ましい。
【0032】縮合組成物(A)と縮合組成物(B)を混
合する際の温度は、低くなると、コロイダルシリカとシ
リカゾルの重縮合が困難となり、得られる被膜の反射防
止効果が低下し、高くなると、得られる無機質組成物の
安定性が低下するので、−10〜30℃で行うのが好ま
しく、−8〜25℃が特に好ましい。
【0033】縮合組成物(A)と縮合組成物(B)を混
合する時間は、短かくなると、コロイダルシリカとシリ
カゾルの重縮合が不十分となり、得られる被膜の反射防
止効果が低下し、又、長くなると、無機質組成物の安定
性が低下するので、0.5〜4時間が好ましく、特に2
〜3時間が好ましい。従って、縮合組成物(A)と縮合
組成物(B)の混合は、−10〜30℃で、0.5〜4
時間行うのが好ましく、−8〜25℃で、2〜3時間行
うのが特に好ましい。
【0034】縮合組成物(A)と縮合組成物(B)を混
合する方法は、特に限定されず、例えば、縮合組成物
(A)及び縮合組成物(B)を、均質なものを得るため
に、好ましくは、攪拌機に供給し攪拌混合する方法が挙
げられる。攪拌機としては、特に限定されるわけではな
く、マグネチックスターラーのような簡便な攪拌機で十
分である。
【0035】本発明1の積層体の製造方法は、上記の方
法で得られる無機質組成物を、まず、基材上に塗布する
工程を取る。
【0036】上記の基材としては、無機質組成物の塗布
が可能な基材であれば特に限定されず、例えば、ケイ酸
ガラス、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カ
リ石灰ガラス、鉛石灰ガラス、バリウムガラス、ホウケ
イ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス等からなる無機基材、ポ
リカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
スチレン、ポリエステル、ポリウレタン、三酢酸セルロ
ース等からなる有機基材が挙げられる。
【0037】無機基材においては、ケイ酸ガラス、ケイ
酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラスが好ましい。有機
基材においては、ポリカーボネート、アクリル樹脂が好
ましい。また、基材の形状は、特に限定されるものでは
ない。
【0038】無機質組成物の塗布方法は、特に限定され
ず、例えば、刷毛、スプレーコート、ディップコート、
スピンコート、ロールコート、流し塗り等による塗布方
法等が挙げられる。なお、塗布は、大気中の湿度が高い
と、得られる被膜が白濁等の不均一性を示すので、大気
中の相対湿度50%以下で行うのが好ましく、30%以
下で行うのが特に好ましい。
【0039】無機質組成物を基材上に塗布する際、膜厚
は、特に限定されないが、反射防止効果を得たい波長
と、以下の関係となる被膜が得られる様に無機質組成物
を塗布することは、反射防止効果の向上を図ることがで
き、好適である。
【0040】d=(1/4+m/2)×λ/n
【0041】d:被膜の膜厚 λ:反射防止効果を得たい波長 n:被膜の屈折率 m:0又は自然数
【0042】なお、無機質組成物を塗布する際、必要に
応じて、溶媒により希釈し、無機質組成物の粘度を調整
することは、無機質組成物の基材上への塗布効率が向上
し好適である。また、その際、無機質組成物の固形分濃
度を1.0〜4.0重量%の範囲に調整すると、無機質
組成物の保存安定性が向上し、また、積層された塗膜は
膜厚分布が少ないものとなる。
【0043】かかる場合、用いられる溶媒は、無機質組
成物と相溶性を有するものであれば、特に限定されず、
例えば、イソプロピルアルコール、エトキシエタノー
ル、アリルアルコール等が挙げられ、得られる被膜の多
孔性の向上の点から、イソプロピルアルコールが好まし
い。
【0044】また、無機質組成物を塗布する際、基材が
樹脂の場合、基材にコロナ放電処理等の前処理を施す
と、塗液の密着性を向上させる上で有効である。
【0045】本発明1の積層体の製造方法は、無機質組
成物を基材上に塗布する工程に次いで、上記塗布物を少
なくとも一方の対向面に固体誘電体が配設された対向す
る金属電極間に配置し、不飽和フッ化炭素ガス10体積
%以下と残部が不活性ガスからなる混合ガスの大気圧近
傍の圧力下で、金属電極間に電圧を印加し、発生したガ
スの放電プラズマを該塗布物表面に接触させる工程を取
る。
【0046】無機質組成物が塗布された膜は、上記工程
によって、不飽和フッ化炭素ガスが励起された放電プラ
ズマに接触されることにより、プラズマ中の高エネルギ
ー活性種(例えば、電子、イオン、ラジカル等)によっ
て塗膜の乾燥、硬化が促進されるとともに、フッ化炭素
膜が表面に堆積される。
【0047】上記フッ化炭素膜の厚みは、上記無機質組
成物の塗布膜厚によって適宜選ばれるが、薄くなると撥
水性が十分に得られなくなり、厚くなると、耐擦傷性に
劣るだけでなく干渉効果により十分な反射防止効果が得
られなくなるので、100〜500Åが好ましい。
【0048】上記不飽和フッ化炭素ガスとしては、例え
ば、フッ化エチレン(CF2 CF2)、6フッ化プロピ
レン(CF3 CFCF2 )等のフッ化炭素ガス、1塩化
3フッ化エチレン(CClFCF2 )等の塩素化フッ化
炭素ガス等が挙げられ、これには、フッ素原子含有ガス
を添加してもよく、例えば、4フッ化炭素(CF4 )、
6フッ化エタン等の飽和フッ化炭素ガス;3塩化1フッ
化炭素(CCl3 F)、1臭化3フッ化炭素(CBrF
3)等のハロゲン化フッ化炭素ガス;6フッ化アセトン
((CF3 2 CO)、6フッ化−2−プロパノール
((CF3 2 CH 2 O)等のフッ素含有炭素水素の蒸
気などが挙げられる。不飽和フッ化炭素ガス、フッ素原
子含有ガスは、単独で用いてもよいが、2種以上を併用
してもよい。
【0049】上記不飽和フッ化炭素ガスとしては、高速
度で膜を堆積させることができ、安全であり有害ガスを
生成しない6フッ化プロピレン単独が好ましく、フッ素
原子含有ガスを添加する場合は、6フッ化プロピレン
と、4フッ化炭素もしくは6フッ化エタンとの混合フッ
化ガスが好ましく、この際、前記混合フッ化ガス中の6
フッ化プロピレンガスの量は10重量%以上であるのが
好ましい。
【0050】上記の不活性ガスとしては、ヘリウム、ア
ルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや窒素ガスが単独
又は混合して使用されるが、ヘリウムが準安定状態で寿
命が長く、不飽和フッ化炭素ガスを励起するのに有利な
ため好ましい。不活性ガスとしてヘリウム以外のガスを
使用する場合は、安定な放電プラズマを発生させるため
に、アセトンやメタノール等の有機物蒸気、メタン、エ
タン等の炭化水素ガスを2体積%以下の割合で混合する
のが好ましい。
【0051】不飽和フッ化炭素ガスと不活性ガスとの混
合割合は、使用するガスの種類により適宜決定される
が、不飽和フッ化炭素ガス濃度が10体積%を超える
と、高電圧を印加しても均一な放電プラズマが発生し難
くなるので、不飽和フッ化炭素ガス濃度は10体積%以
下に限定され、好ましくは0.01〜5体積%である。
また、不飽和フッ化炭素ガスにフッ素原子含有ガスを添
加する場合も、添加しない場合と同様の理由で、不飽和
フッ化炭素ガスとフッ素原子含有ガスの合計ガス濃度は
10体積%以下が好ましい。
【0052】上記、不飽和フッ化炭素ガスと不活性ガス
からなる混合ガスの大気圧近傍の圧力下とは、100〜
800Torrの圧力下のことであり、圧力調整が容易
で装置が簡便で済むため、700〜780Torrの範
囲が好ましい。
【0053】放電プラズマを前記塗布物表面に接触させ
フッ化炭素膜を堆積させるには、基材を加熱したり、冷
却したりする必要は、特にはなく、室温下で十分であ
る。
【0054】また、放電プラズマに接触させる時間は、
使用する混合ガス種類や印加電圧等のプラズマ発生のた
めの因子や、必要な膜厚で適宜決定される。
【0055】以下に、本発明1におけるプラズマ処理工
程について図面によって説明する。図1は、本発明1に
使用されるプラズマ処理装置の一例を示す説明図であ
る。この装置は、電源部1、処理容器2、上部金属電極
4、下部金属電極5から構成されている。電源部1は、
1〜100kHzの周波数電源が印加可能とされるが、
耐熱性の低い基材にプラズマ処理するには、基材への影
響が少ない10〜30kHzの周波数が好ましい。
【0056】放電プラズマの発生は、電極への電圧印加
によって行うが、電界強度が低くなると、プラズマ密度
が小さくなるので処理時間がかかり、高くなると、誘電
体が絶縁破壊したり、また誘電体が高温になりアーク放
電に移行する挙動を示すので、電界強度が1〜40kV
/cm程度になるように電圧印加するのが好ましい。
【0057】処理容器2は、上面2aと底面2bがステ
ンレス製、側面2cが硬質ガラス製であり、上面2aと
上部金属電極4との間に絶縁体2dが配設されている。
処理容器2の材質は、これに限らず、全てがガラス製、
プラスチック製でも構わないし、電極と絶縁がとれてい
るならば、ステンレスやアルミニウム等の金属製でも構
わない。
【0058】処理容器2内に一対の対向する平行平板型
の上部金属電極4と下部金属電極5が配設されている。
なお、電極配置構造としては、平行平板型以外にも、同
軸円筒型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向
平板型でも、また、複数の細線と平板からなるものでも
構わない。電極の材質は、金属であれば、特に限定され
ず、例えば、ステンレス、真鍮等の多成分系の金属で
も、銅、アルミニウム等の純金属でも良い。
【0059】放電プラズマによる表面処理部3は、対向
する上部金属電極4と下部金属電極5の間の空間であ
る。
【0060】本発明1においては、金属電極の少なくと
も一方の対向面に固体誘電体が配設される。具体的に
は、上部金属電極4と下部金属電極5の少なくとも一方
の対向面に固体誘電体6が配設される。図1の装置にお
いては、下部金属電極5の上に固体誘電体6が配設され
ている。固体誘電体6は、相対する電極の対向面の全面
に配設される必要がある。一部でも、対向面が露出して
いるとプラズマ処理時にアーク放電が生じる。固体誘電
体6は、図1に示すように、必ずしも下部金属電極5の
上に配設される必要はなく、上部金属電極4側に配設さ
れても構わないし、両電極に配設されても構わない。
【0061】固体誘電体6としては、例えば、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)やポリエチレンテレフ
タレート(PET)等のプラスチック;シリカ、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸化合物等
のセラミックスなどが用いられるが、使用される混合ガ
スとの反応性を考慮して選択される必要がある。
【0062】固体誘電体6の形状は、シート状でも、フ
ィルム状でも構わない。固体誘電体6の厚みについて
は、厚みが薄くなると、高電圧印加時に絶縁破壊が起こ
ってアーク放電が生じやすくなり、厚くなると、放電プ
ラズマを発生するのに高電圧を要するので、0.05〜
4mmの厚みが好ましい。
【0063】図1の装置において、不飽和フッ化炭素ガ
スは、ガス導入管8を経て多孔構造の上部金属電極4か
ら、また不活性ガスは、ガス導入管9から、表面処理部
3に供給される。なお、図1においては、上部金属電極
4は、不飽和フッ化炭素ガスを均一に供給するために、
その内部がガスの通路とされた、多孔性の電極とされて
いる。このように上部金属電極4がガス導入口と電極を
兼ね、且つ多孔構造からなると、不飽和フッ化炭素ガス
を表面処理部3に均一に供給し、均一な処理を行うため
に好ましい。しかし、例えば、不飽和フッ化炭素ガスを
攪拌状態で供給したり、高速で吹き付けるなどにより、
表面処理部3に均一に供給することが可能であれば、必
ずしも多孔構造とする必要はない。
【0064】また、不活性ガスは、不飽和フッ化炭素ガ
スと混合してガス導入管8を通り、上部金属電極4から
導入しても構わないが、均一性よくプラズマ処理するた
めには、不飽和フッ化炭素ガスを上部金属電極4から導
入し、不活性ガスをガス導入管9から導入するのが好ま
しい。また、ガス導入管9の処理容器2内の先端部は、
図1に示したように、多数の穴の開いたリング状とし、
その穴からガスが処理容器2内に供給される方が、均一
に処理され易いので好ましい。
【0065】本発明1で使用されるガスは、図示しない
がマスフローコントローラーで流量制御されて供給され
るのが好ましく、不飽和フッ化炭素ガス10体積%以下
と、残部が不活性ガスからなる混合ガスとして表面処理
部3に供給される。
【0066】図1のプラズマ処理装置を用いて、無機質
組成物が塗布された表面をプラズマ処理する際の操作手
順は、特に限定されないが、例えば、以下の手順であ
る。処理容器2内の固体誘電体6上に基材7を無機質組
成物の塗布面が上部金属電極4に対向するように配置す
る。処理容器2内の空気を排気した後、不飽和フッ化炭
素ガス及び不活性ガスをマスフローコントローラーで流
量制御し、上記の所定の濃度の混合ガスとして、表面処
理部3に供給し、表面処理部3の混合ガスの圧力を大気
圧近傍の圧力とする。次いで、金属電極間に電圧を印加
し、発生したガスの放電プラズマを、基材7の無機質組
成物が塗布された表面に接触させて、該表面にフッ化炭
素膜を堆積させる。
【0067】過剰の不飽和フッ化炭素ガス及び不活性ガ
スは、処理容器2のガス出口10から排出する。なお、
処理容器2内に不飽和フッ化炭素ガス及び不活性ガスを
導入するに際して、処理容器2内に残存する空気を、例
えば油回転真空ポンプからなる排気装置(図示せず)に
よって排気口11から排出するのが好ましい。
【0068】また、対向する金属電極4、5間の距離
は、不飽和フッ化炭素ガスのガス流量、印加電圧の大き
さ、固体誘電体の厚み、処理する基材の厚み等により適
宜決定されるが、短くなると、未使用の反応ガスが多く
なり非能率的であり、長くなると電極空間のガスの均一
性が損なわれ易くなるので、1〜20mmが好ましい。
【0069】また、上記の操作手順においては、プラズ
マ処理に先立って、処理容器2内の空気を排気した後、
所定の濃度の混合ガスを表面処理部3に供給したが、処
理容器2内の空気を排気せずに、所定の濃度の混合ガス
を表面処理部3にある時間供給しながら、ガス出口10
又は排気口11から処理容器2内のガスを排気させるこ
とにより、ガス交換をした後プラズマ処理してもよい。
【0070】なお、上記の例では、基材7は配置された
片面(図1では、上面)のみが表面処理されるが、基材
7の両面の処理が必要であれば、基材7を上部金属電極
4と下部金属電極5の間の空間に浮かせればよい。
【0071】なお、図1の装置は、基材7の塗布物表面
をバッチ式に処理する例であるが、基材7の塗布物表面
を連続的に処理する場合は、基材7がフィルム状であれ
ば、一般に使用されている走行系を用い、基材7がシー
ト状であれば、ベルトコンベアー等の搬送系を用い、処
理容器2に外部の空気が混入しないようなシール機構を
有する基材導入口及び基材排出口を設け、基材7が処理
容器2内を連続して、通過できるようにし、基材7を必
要な時間だけ放電プラズマが接触するようなライン速度
で、処理容器2内を通過せしめることにより容易に連続
処理が可能である。
【0072】本発明2(請求項2記載の発明を本発明2
という)の積層体の製造方法は、本発明1における、無
機質組成物を基材上に塗布する工程と、放電プラズマを
該塗布物表面に接触させる工程との間に、無機質組成物
が基材上に塗布されて得られた塗布物を相対湿度70%
以上の環境下に置く工程が加えられる他は、本発明1の
製造方法と同様である。
【0073】この工程を加える理由は、無機質組成物を
基材上に塗布する工程だけでは、多孔質の被膜中に未反
応のアルキル基やシラノール基が残存する可能性があ
り、環境により、被膜の反射防止効果の耐久性が十分で
ない場合があるため、相対湿度70%以上の環境下に置
くことにより、残存未反応アルキル基の加水分解、及び
残存未反応シラノール基の重縮合を促進させるためであ
る。
【0074】本発明2において、上記の相対湿度70%
以上の環境下としては、好ましくは、相対湿度80%以
上、更に好ましくは、相対湿度95%以上の環境下がよ
い。この相対湿度が70%未満では、残存未反応アルキ
ル基の加水分解、及び残存未反応シラノール基の重縮合
反応の促進効果が不十分となる。
【0075】上記の相対湿度70%以上の環境下に置く
際の温度は、特には限定されないが、温度が低くなる
と、処理に時間がかかり、温度が高くなると有機質基材
では基材の変形が起こり易くなるので、40〜100℃
が好ましく、50〜90℃が特に好ましい。
【0076】上記の相対湿度70%以上の環境下に置く
際の時間は、相対湿度にもよるが、時間が短くなると、
残存未反応アルキル基の加水分解、及び残存未反応シラ
ノール基の重縮合反応の促進効果が不十分となり、時間
が長すぎても時間に応じた効果が得られなくなるので、
通常24〜1200時間が好ましく、100〜1000
時間がより好ましい。
【0077】
【作用】本発明1の方法によると、縮合組成物(A)の
混合条件下では、テトラアルコキシシランの重縮合が3
次元架橋で進行し、コロイダルシリカが形成されてお
り、縮合組成物(B)の混合条件下では、テトラアルコ
キシシランの重縮合が2次元架橋で進行し、シリカゾル
の段階で抑えられており、この両者の混合物である無機
質組成物は、コロイダルシリカとシリカゾルの混合物と
なる。
【0078】この無機質組成物を基材上に塗布すると、
コロイダルシリカとシリカゾルの収縮率の差異により多
孔化し反射防止性が付与された被膜が得られる。この被
膜を、少なくとも一方の対向面に固体誘電体が配設され
た対向する金属電極間に配置し、不飽和フッ化炭素ガス
10体積%以下と残部が不活性ガスからなる混合ガスの
大気圧近傍の圧力下で、金属電極間に電圧を印加し、発
生したガスの放電プラズマを該被膜に接触させると、該
被膜にフッ化炭素膜が堆積され、被膜に撥水性が生じ
る。
【0079】また、被膜に放電プラズマを接触させるこ
とにより、プラズマ中の高エネルギー活性種(例えば、
電子、イオン、ラジカル等)によって被膜の乾燥、硬化
を促進し被膜に耐擦傷性を生じせると同時にコロイダル
シリカとシリカゾルの重縮合を進行させ、収縮率の差異
により被膜の多孔化を促進し、より高い反射防止性を生
じせしめる。
【0080】本発明2の方法によると、無機質組成物を
基材上に塗布する工程に次いで相対湿度70%以上の環
境下に置くことにより、残存未反応アルキル基の加水分
解、及び残存未反応シラノール基の重縮合を促進させる
ので、多孔質の被膜中に未反応のアルキル基やシラノー
ル基が残存する可能性が少なくなるため、被膜の反射防
止効果の耐久性がより一層高まる。
【0081】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、結
果に示した積層体に関する各物性の評価方法は次の通り
であった。
【0082】(1) 反射率測定 反射率測定装置(島津製作所社製、鏡面反射測定装置、
入射角5度)を用いて、積層体の反射スペクトルを波長
400〜800nmの範囲で測定し、その最小反射率R
minを求め、次式により片面最小反射率(R)を測定す
る。 R=Rmin/2
【0083】(2) 撥水性試験 積層体の被膜に2μlの蒸留水を滴下し、被膜の静的接
触角を、接触角計(協和界面科学社製「CA−D型」)
によって測定した。被膜表面3点について測定し平均値
をとった。
【0084】(3) 耐擦傷性試験 積層体の被膜の表面を、ネルの布で、1000g/cm
2 の荷重をかけて、往復100回摩擦し、表面の傷の有
無を目視した。 (判定基準) ○:傷は確認できなかった。 ×:傷が確認できたか、もしくは膜が剥離していた。
【0085】(4) 信頼性試験 積層体を−40℃の雰囲気下に30分保持した後、取り
出し、その直後に80℃の雰囲気下に30分保持する。
これを1サイクルとして、次いで、取り出し、その直後
に再び−40℃の雰囲気下に置いて2サイクル目を開始
する。このような熱衝撃試験を210サイクル行った。
上記、熱衝撃試験の終了後、前記反射率測定、撥水性試
験および耐擦傷性試験を行い、信頼性を試験した。
【0086】(実施例1〜12、比較例1〜13)表1
および表2にモル比で示したそれぞれ所定量のテトラエ
トキシシラン、アンモニアによりpHが調整された塩基
性水およびイソプロピルアルコールを、マグネチックス
ターラーに供給、800rpmで2時間、20℃で混合
し、縮合組成物(A)を得た。
【0087】表1および表2にモル比で示したそれぞれ
所定量のテトラエトキシシラン、塩酸によりpHが調整
された酸性水およびイソプロピルアルコールを、マグネ
チックスターラーに供給、800rpmで2時間、20
℃で混合し、縮合組成物(B)を得た。
【0088】得られた縮合組成物(A)および縮合組成
物(B)を、表1および表2に示した重量比(縮合組成
物(A)/縮合組成物(B))で、マグネチックスター
ラーに供給、800rpmで2時間、20℃で混合し、
無機質組成物を得た。
【0089】積層体の製造:得られた無機質組成物に、
表1および表2に示した基材〔スライドガラス(NAK
ARAI社製、S−2111、76mm×26mm×1
mm)、またはポリカーボネート板(帝人社製、商品名
「テイジンパンライト」、100mm×40mm×1m
m)〕を浸漬し、100mm/分の速度で引き上げた
後、室温で10分間放置し被膜が形成されたスライドガ
ラスまたはポリカーボネート板を得た。
【0090】図1に示した容量結合型プラズマ処理装置
〔上部金属電極4および下部金属電極5は直径120m
mのステンレス鋼(SUS304)よりなる。上部金属
電極4の下部金属電極5への対向面には、1mmφの穴
が1cm間隔で開いている。上部金属電極4と下部金属
電極5の距離は5mmであり、下部金属電極5上に表3
および表4に示した直径140mm、厚み2mmの固体
誘電体6が配設されている〕の固体誘電体6上に、上記
の被膜が形成されたスライドガラスまたはポリカーボネ
ート板7を置き、処理容器2内の空気を10Torrま
で排気した。次いで、処理容器2内に表3および表4に
示した所定量の不飽和フッ化炭素ガスをガス導入管8か
ら、ヘリウムガスをガス導入管9から供給し、処理容器
2内の圧力を表3および表4に示した圧力とした後、1
5kHzで表3および表4に示した電圧を電極に印加
し、表3および表4に示した時間プラズマ処理し、基材
面上に約0.1μmの被膜が形成された積層体を得た。
【0091】実施例1〜12、比較例1〜13で得られ
た積層体を用いて、前記の評価方法により各物性を評価
(信頼性試験は実施せず)し、結果を表5に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】なお、表1および表2並びに後述の表6の
基材欄のPは、ポリカーボネート板を、Gはスライドガ
ラスを示す。なお、比較例1では、得られたフッ化炭素
膜厚が不均一となり、反射率及び接触角とも測定不能で
あった。比較例3は、縮合組成物(A)の調製時の塩基
性水の添加量が多すぎるため、および比較例4は、縮合
組成物(B)の調製時の酸性水の添加量が少なすぎるた
め、基材に塗布できなかった。比較例5は、縮合組成物
(B)の調製時の酸性水の添加量が多すぎるため、被膜
が白濁したので、各物性値の測定はしなかった。比較例
7は、縮合組成物(A)の調製時の塩基性水のpHが高
すぎるため、縮合組成物(A)がゲル化し無機質組成物
が得られなかった。
【0095】比較例9は、縮合組成物(A)と縮合組成
物(B)の混合比が大きすぎるため、塗布できなかっ
た。比較例11は、縮合組成物(A)の調製時の有機溶
剤量が少なすぎるため、縮合組成物(A)がゲル化し無
機質組成物が得られなかった。比較例12は、縮合組成
物(A)の調製時の有機溶媒の量が多すぎるため、加水
分解、縮重合反応速度が極端に遅くなり、反応が不十分
なため基材に塗装できなかった。
【0096】比較例13は、縮合組成物(B)の調製時
の有機溶媒の量が多すぎるため、加水分解、縮重合反応
速度が極端に遅くなり、反応が不十分なため基材に塗装
できなかった。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】なお、表3および表4並びに後述の表7の
固体誘電体欄のTは、酸化チタンを、PTは、ポリテト
ラフルオロエチレンを、Zは、酸化ジルコニウムを示
す。
【0100】
【表5】
【0101】(実施例13〜19)表6にモル比で示し
たそれぞれ所定量のテトラエトキシシラン、アンモニア
によりpHが調整された塩基性水およびイソプロピルア
ルコールを、マグネチックスターラーに供給、800r
pmで2時間、20℃で混合し、縮合組成物(A)を得
た。
【0102】表6にモル比で示したそれぞれ所定量のテ
トラエトキシシラン、塩酸によりpHが調整された酸性
水およびイソプロピルアルコールを、マグネチックスタ
ーラーに供給、800rpmで2時間、20℃で混合
し、縮合組成物(B)を得た。
【0103】得られた縮合組成物(A)および縮合組成
物(B)を、表6に示した重量比(縮合組成物(A)/
縮合組成物(B))で、マグネチックスターラーに供
給、800rpmで2時間、20℃で混合し、無機質組
成物を得た。
【0104】積層体の製造:得られた無機質組成物に、
表6に示した基材〔ポリカーボネート板(帝人社製、商
品名「テイジンパンライト」、100mm×40mm×
1mm)〕を浸漬し、100mm/分の速度で引き上げ
た後、室温で10分間放置し被膜が形成されたポリカー
ボネート板を得た。
【0105】得られた、被膜が形成されたポリカーボネ
ート板を表7に示した温度および湿度条件に表7に示し
た時間だけ置いた。
【0106】実施例1に使用したものと同様のプラズマ
処理装置を用い、その固体誘電体6上に、上記温度およ
び湿度条件に置いた、被膜が形成されたポリカーボネー
ト板7を置き、処理容器2内の空気を10Torrまで
排気した。次いで、処理容器2内に表7に示した所定量
の不飽和フッ化炭素ガスをガス導入管8から、ヘリウム
ガスをガス導入管9から供給し、処理容器2内の圧力を
表7に示した圧力とした後、15kHzで表7に示した
電圧を電極に印加し、表7に示した時間プラズマ処理
し、基材面上に約0.1μmの被膜が形成された積層体
を得た。
【0107】実施例13〜19で得られた積層体を用い
て、前記の評価方法により各物性を評価し、結果を表8
に示した。
【0108】
【表6】
【0109】
【表7】
【0110】
【表8】
【0111】実施例17〜19は、温湿度条件における
相対湿度が低いため、信頼性試験において実施例13〜
16に比して反射率が変化してしまった。
【0112】(比較例14)特開昭61−247743
号公報の実施例1に従い、 C6 132 4 Si(OCH3 3 50g (CH3 O)3 SiC2 4 6 122 4 Si(OCH3 3 40g Si(OCH3 4 10g を、tert−ブタノール2500gと混合したもの
に、1%塩酸水溶液16.5gを添加し、室温下で24
時間攪拌しながら反応させて、ゾル液を作製した。得ら
れたゾル液に実施例10に使用したものと同様のスライ
ドガラスを浸漬し、750mm/分の速度で引き上げた
後、100℃で1時間乾燥させて積層体を得た。得られ
た積層体の各物性を評価(信頼性試験は実施せず)し、
結果を前述の表5に示した。
【0113】
【発明の効果】本発明1の積層体の製造方法の構成は上
記の通りであり、縮合組成物(A)及び(B)を混合す
る際、特に攪拌等も必要なく、均質なものを得るため
に、好ましくは、攪拌するのがよいが、かかる場合であ
っても、混合装置としてマグネチックスターラーなどの
ような簡便な攪拌機で十分であり、又、無機質組成物の
混合も同様に、均一にコロイダルシリカをアルコキシシ
ランに分散させる際、特に攪拌等も必要なく、均質なも
のを得るために、好ましくは、攪拌するのがよいが、か
かる場合であっても、混合装置としてマグネチックスタ
ーラーなどのような簡便な攪拌機で十分であり、高性能
な装置を必要とせずに得られる。従って、この無機質組
成物は容易に得られ、得られた無機質組成物を基材上に
塗布し、特定の条件でプラズマ処理することにより、基
材上に反射防止性、撥水性(防汚性)に優れ、さらに、
耐擦傷性の高い被膜が形成された積層体を容易に得るこ
とができる。このプラズマ処理工程は、大気圧近傍で行
われるので、連続処理も可能であり生産性の面でも有利
な方法である。
【0114】本発明2の積層体の製造方法の構成は上記
の通りであり、本発明1と同様の効果が得られる。さら
に、本発明1のプラズマ処理工程の前工程として、基材
上に無機質組成物を塗布したものを相対湿度70%以上
の環境下に置くので、無機質組成物中の残存未反応アル
キル基の加水分解、及び残存未反応シラノール基の重縮
合を促進させるので、多孔質の被膜中に未反応のアルキ
ル基やシラノール基が残存する可能性が少なくなり、ま
た、多孔質性もさらに向上するため、被膜の反射防止効
果の耐久性がより一層高まる。
【0115】本発明1および2の製造方法で得られた積
層体は、低屈折率であり、防汚性に優れているので、反
射防止体として好適に使用される。例えば、メガネレン
ズ、ゴーグル、コンタクトレンズ等のメガネ分野;車の
窓、インパネメーター、ナビゲーションシステム等の自
動車分野;窓ガラス等の住宅・建築分野;太陽電池、光
電池、レーザー等のエネルギー分野;ノートパソコン、
電子手帳、液晶テレビ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プ
ロジェクションテレビ、光ファイバー、光ディスク等の
電子情報機器分野;照明グローブ、蛍光灯、鏡、時計等
の家庭用品分野;ショーケース、額、半導体リソグラフ
ィー、コピー機器等の業務用分野;液晶ゲーム機器、パ
チンコ台ガラス、ゲーム機等の娯楽分野等の分野の材料
に用いられ得る。これらのうち、特に、メガネレンズ、
車の窓、インパネメーター、ナビゲーションシステム、
太陽電池、光電池、レーザー、ノートパソコン、電子手
帳、液晶テレビ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プロジェ
クションテレビ、光ディスク、蛍光灯、液晶ゲーム機器
等の材料に好適に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明1に使用されるプラズマ処理装置の一例
を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 17/06 B32B 17/06 27/16 27/16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Si(OR)4 (式中、Rは炭素
    数1〜5のアルキル基)で表されるテトラアルコキシシ
    ラン1モルに対して、pHが10.0〜12.0の塩基
    性水2〜8モル及び有機溶媒10〜30モルを混合して
    得られる縮合組成物(A)と、一般式Si(OR1 4
    (式中、R1 は炭素数1〜5のアルキル基)で表される
    テトラアルコキシシラン1モルに対して、pHが0〜
    2.6の酸性水3〜8モル及び有機溶媒10〜30モル
    とを混合して得られる縮合組成物(B)とを、(A)/
    (B)=0.4〜2.4(重量比)で混合した無機質組
    成物を基材上に塗布する工程、及び上記塗布物を少なく
    とも一方の対向面に固体誘電体が配設された対向する金
    属電極間に配置し、不飽和フッ化炭素ガス10体積%以
    下と残部が不活性ガスからなる混合ガスの大気圧近傍の
    圧力下で、金属電極間に電圧を印加し、発生したガスの
    放電プラズマを該塗布物表面に接触させる工程からなる
    ことを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の無機質組成物を基材上に
    塗布する工程、得られた塗布物を相対湿度70%以上の
    環境下に置く工程、次いで上記塗布物を少なくとも一方
    の対向面に固体誘電体が配設された対向する金属電極間
    に配置し、不飽和フッ化炭素ガス10体積%以下と残部
    が不活性ガスからなる混合ガスの大気圧近傍の圧力下
    で、金属電極間に電圧を印加し、発生したガスの放電プ
    ラズマを該塗布物表面に接触させる工程からなることを
    特徴とする積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011148968A (ja) * 2009-12-21 2011-08-04 Arai Seisakusho Co Ltd 表面改質方法および弾性複合材の製造方法ならびに弾性複合材

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JP2011148968A (ja) * 2009-12-21 2011-08-04 Arai Seisakusho Co Ltd 表面改質方法および弾性複合材の製造方法ならびに弾性複合材

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