JPH08243153A - 冷凍ストッカー用脱臭剤およびこれを用いた脱臭方法 - Google Patents

冷凍ストッカー用脱臭剤およびこれを用いた脱臭方法

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JPH08243153A
JPH08243153A JP7050022A JP5002295A JPH08243153A JP H08243153 A JPH08243153 A JP H08243153A JP 7050022 A JP7050022 A JP 7050022A JP 5002295 A JP5002295 A JP 5002295A JP H08243153 A JPH08243153 A JP H08243153A
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activated carbon
deodorizing
deodorant
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deodorizer
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JP7050022A
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Hidehito Ichinose
秀仁 一ノ瀬
Yuzo Mifune
裕造 三船
Yoshimasa Kato
喜正 加藤
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Midori Anzen Co Ltd
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  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、低温でも多種類のガスに対して優
れた脱臭効果を有し、保存中に嗜好品などの食品に他の
食品の臭いが付着するようなことがなく、長期間使用で
き、省スペース的な冷凍ストッカー用の脱臭器を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明は、中性を示す活性炭と、有機酸と遷
移金属とを添着した活性炭とが配合された冷凍ストッカ
ー用脱臭剤であり、添着される遷移金属はアンモニアな
ど窒素化合物と錯体を形成することができる遷移金属で
ある。さらに、前記有機酸と遷移金属とを添着した活性
炭は、リンゴ酸と鉄塩とを添着した活性炭であることを
特徴とする。また、本発明は、内部を空気が流通するこ
とができる基材に前記脱臭剤を担持した脱臭エレメント
2を、開口部4を有する外枠ケース5に収納した冷凍ス
トッカー用脱臭器1であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍・冷蔵庫よりもさ
らに低温で、食品を長期間保存するために用いる冷凍ス
トッカー用の脱臭器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷凍・冷蔵庫では食品保存中に
発生する臭気を除去し、食品へ臭気が移るのを防止する
ため脱臭器が用いられている。このような冷凍・冷蔵庫
用の脱臭器として、冷蔵庫用の場合には活性炭による吸
着方式、ゲル剤からの脱臭剤の放散方式、オゾンと触媒
によるオゾン脱臭方式、光触媒方式など多種類の脱臭製
品が知られているが、冷凍庫用の場合には活性炭による
吸着方式の脱臭製品のみが知られているにすぎない。
【0003】この理由として、冷蔵庫に用いられている
ゲル剤からの脱臭剤の放散方式の場合、冷蔵庫内の温度
は0〜10℃くらいであり、この温度でもゲル剤からの
脱臭成分の放散は十分に起こり、庫内の臭気分子と接触
し脱臭効果を示すことができるが、一方、冷凍庫の温度
である−20℃では、ゲルは凍結し脱臭成分の放散も十
分に起こらなくなり脱臭作用がなくなってしまうためで
あり、また、オゾン脱臭や光触媒方式による脱臭では、
低温であるため触媒の活性が乏しくなり脱臭効果が減少
してしまうため冷凍庫用脱臭器に適用することができな
いからである。
【0004】一方、従来の冷凍庫用の活性炭吸着方式の
脱臭器の場合では、紙などの通気性のある袋に活性炭を
充填した袋状の脱臭器が用いられている。従って、袋状
に充填された活性炭の内部では活性炭とガスとの接触の
機会もほとんどなく、脱臭作用は主に表層の活性炭との
ガス接触のみによって起こり、充填されているすべての
活性炭が臭気成分の吸着に有効に用いられることはなか
った。また、充填される活性炭の量は、活性炭の平衡吸
着量や有効期間などを考慮して定められているので、充
填内部の活性炭が有効に脱臭に寄与しないため、設定さ
れた有効期間前に脱臭効果がなくなってしまうという問
題があった。
【0005】このような問題を解決するため、実開昭5
5−80024号公報、実開昭55−102924号公
報では活性炭を内包するシートを渦巻状、あるいは扇状
にして容器に収納する方法や、また、実開昭57−16
0085号公報では活性炭などの脱臭剤を板状のポリウ
レタンフォームなどの多泡材に含まし活性炭とガスの接
触効率を高める方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように用
いられる活性炭が十分にガスと接触するように工夫さ
れ、吸着脱臭効果が向上した脱臭剤であっても、従来の
活性炭からなる冷凍庫用の脱臭器を、冷凍ストッカーに
用いた場合には、冷凍庫の場合と異なり、十分な脱臭効
果が得られなかった。すなわち、冷凍ストッカーで食品
を保存したとき保存中に次第にいろいろな種類の臭気が
庫内にこもり、香りを楽しむためのお茶など嗜好品に他
の食品の臭いが付着してしまうという問題があり、嗜好
品などは別に他の食品と分けて保存しなければならなか
った。
【0007】従って、本発明は以上の問題点を解決し、
−20〜−30℃の低温でも多種類のガスに対して優れ
た脱臭効果を有し、保存中に嗜好品などの食品に他の食
品の臭いが付着するようなことがなく、長期間使用で
き、省スペース的な冷凍ストッカー用の脱臭器を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、−20℃以
下の低温でも多種類のガスに吸着活性を示す脱臭剤につ
いて鋭意研究を重ねた結果、中性の活性炭と有機酸と遷
移金属とを添着した活性炭とを混合して用いることによ
って、従来吸着除去が困難であったアンモニア類など塩
基性ガスも吸着できる多種類のガスに対して有効な脱臭
剤が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発
明をなすに至った。
【0009】本発明は、中性を示す活性炭と、有機酸と
遷移金属とを添着した活性炭とが配合された冷凍ストッ
カー用脱臭剤であり、添着される遷移金属はアンモニア
など窒素化合物と錯体を形成することができる遷移金属
である。さらに、前記有機酸と遷移金属とを添着した活
性炭は、リンゴ酸と鉄塩とを添着した活性炭であること
を特徴とする。
【0010】また、本発明は、内部を空気が流通するこ
とができる基材に前記脱臭剤を担持した脱臭エレメント
を、開口部を有する外枠ケースに収納した冷凍ストッカ
ー用脱臭器であることを特徴とする。
【0011】さらに、本発明の冷凍ストッカー用脱臭器
は、活性炭の粒径分布が0.35〜1.68mmの範囲
で粒径分布の中央値が0.6〜1.3mmの中性を示す
活性炭と、活性炭の粒径分布が0.35〜1.68mm
の範囲で粒径分布の中央値が0.6〜1.3mmの有機
酸と遷移金属とを添着した活性炭とが配合された冷凍ス
トッカー用脱臭剤をセルサイズが6〜10個/インチの
連続気泡形多孔質基材に担持した脱臭エレメントを備え
ることを特徴とする。
【0012】また、本発明は、前記冷凍ストッカー用脱
臭器を、冷凍ストッカー庫内の下方に設置し、冷凍スト
ッカー庫内の下方に滞留する臭気ガス成分を吸着除去す
ることからなる冷凍ストッカー庫内の脱臭方法であるこ
とを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】従来の冷凍庫用の活性炭からなる脱臭剤を
冷凍ストッカーに用いた場合に、十分な脱臭効果が得ら
れなかった理由は、冷凍ストッカーと一般の冷凍・冷蔵
庫との種々の相違に起因するものと考えられる。すなわ
ち、多種雑多な食品を大量に6〜12カ月以上にわたっ
て長期間保存することを目的とする冷凍ストッカーと、
食品類を短期間保存することを目的とする冷凍・冷蔵庫
との種々の相違によって生じるものであり、冷凍ストッ
カーの特徴としては(1)庫内温度が−20〜−30℃
という非常に低温であること。(2)庫内の容積が大き
い。(3)直冷方式である。(4)冷凍品の種類が多い
点などがあげられる。なお、冷凍ストッカーおよび冷凍
・冷蔵庫との主な相違を表1に示す。
【0015】
【表1】 一方、臭気ガス成分という面から考えると、冷蔵庫内の
臭気成分は多種類にわたるが、特にメチルメルカプタ
ン、二硫化メチル、硫化メチルなどの硫黄化合物の影響
が大きいことが知られている。しかし、冷凍ストッカー
のように保存期間が長期にわたる場合には、水産食品な
どの鮮度の低下に伴うアンモニアやトリメチルアミンな
どの窒素化合物が発生し、臭気成分のひとつとなること
を無視することはできない。
【0016】冷凍・冷蔵庫用の脱臭器に用いられている
活性炭は多種類のガスに対して有効な脱臭剤であるが、
アンモニアに対してはほとんど吸着活性を示さないた
め、一般家庭用の冷凍・冷蔵庫のように比較的短期間の
食品保存の場合には食品の鮮度低下は少なくアンモニア
など発生は僅かであり活性炭を用いても問題は少ないと
と考えられるが、冷凍ストッカー用の場合には活性炭単
独では脱臭が不十分となる。しかし、現実には活性炭以
外に、−20℃以下の低温で脱臭効果が実証されている
脱臭剤はないのが現状である。
【0017】また、脱臭器の構造は大量の食品を保存す
るため省スペースであることが望ましいが、前述のよう
に袋状に活性炭を充填しただけの脱臭器では、効率よく
持続的に脱臭するためには大量の活性炭が必要となり脱
臭器が大型化してしまう。
【0018】さらに、冷凍・冷蔵庫は間冷方式であり、
冷却した空気を庫内に循環することにより庫内の温度を
維持しているが、冷凍ストッカーは直冷方式で急速冷凍
時以外は冷却ファンは作動せず、通常運転時においては
庫内の空気は自然の拡散のみで僅かに流動しているにす
ぎない。従って、脱臭器用のファンモータを組み込み、
庫内の空気を循環させるような脱臭器とすれば、ガスと
脱臭剤との接触の機会は増すため脱臭効率はあがるが、
装置全体が大型になってしまうという問題が生じる。
【0019】すなわち、本発明の目的とする脱臭器を得
るためには、次のことを解決する必要がある。
【0020】(1)−20℃以下の低温でも多種類のガ
スに対して脱臭効果のある脱臭剤を見いだすこと。
【0021】(2)省スペースな脱臭器であること。具
体的には、充填形式やファンモータを用いないで、効果
的に脱臭効果のある脱臭エレメントおよび脱臭器を構成
すること。
【0022】(3)交換頻度の少ない長寿命な脱臭器で
あること。具体的には、必要最小限度の脱臭剤で、この
脱臭剤の能力を最大限に引き出せる方式の脱臭エレメン
トおよび脱臭器であること。
【0023】本発明は以上の点を解決したものであっ
て、中性の活性炭とアンモニアやトリメチルアミンなど
の窒素化合物と錯体を形成する遷移金属と有機酸とを添
着した活性炭からなる脱臭剤と、該脱臭剤をウレタンフ
ォームなどの基体に担持させた脱臭エレメントと、該脱
臭エレメントを組み込んだ脱臭器とについてのものであ
り、特に、冷凍ストッカーの脱臭に適したものであるこ
とを特徴とする。
【0024】本発明の脱臭剤に用いる中性の活性炭は、
一般にいわゆる活性炭として用いられている通常の活性
炭であり、これらの中性の活性炭は、例えばヤシ殻など
を原料にし乾留炭化し、水蒸気などを用い賦活した原料
炭を、塩酸および水で洗浄し、ヤシ殻など原料に起因す
る灰分を除去したものである。このような活性炭はpH
5〜8の中性を示し、発達した細孔を有し、炭化水素に
対する吸着能を示す指標としてのベンゼン吸着能(JI
S K1474による試験法)は30重量%以上の値を
示すものである。
【0025】本発明に用いる有機酸と遷移金属とを添着
した活性炭において、添着に用いることができる遷移金
属はアンモニアやトリメチルアミンなどの窒素化合物と
錯体を形成する遷移金属であることが必要である。錯体
を形成する遷移金属として、例えば、鉄、チタン、白金
やパラジウムのような貴金属類、銅、ニッケル、コバル
トなどがあげられるが、鉄およびチタンが安全性の面か
ら、またその中でも鉄が脱臭性能の面から好ましい。一
方、有機酸としてはリンゴ酸、特公昭61−43091
号公報に記載のL−アスコルビン酸、特開昭61−23
2852号公報に記載のエリソルビン酸、特開昭63−
194662号公報に記載のフィチン酸などがあげられ
る。遷移金属と有機酸との組合せは種々の組合せが可能
であるが、特にリンゴ酸と鉄との組合せが、アンモニア
など窒素化合物の吸着性が高く性能の面で好ましい。本
発明で使用する添着炭は、上述の遷移金属の塩と有機酸
とを活性炭に添着することによって得られる。以下、活
性が高く好ましいリンゴ酸と鉄塩とを添着した活性炭を
例として、詳細に説明する。
【0026】リンゴ酸と鉄塩とを添着した活性炭は、中
性を示す通常の活性炭にリンゴ酸と鉄塩とを添着させた
もので、化学的に酸性を示し、そのpHは一般に1〜3
である。リンゴ酸添着量は一般に5〜30重量%の範囲
であり、鉄塩には例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩
化第一鉄、塩化第二鉄、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄な
どが用いられ、その添着量は3〜25重量%の範囲で用
いられる。
【0027】添着活性炭はリンゴ酸および鉄塩の混合溶
液中に活性炭を浸漬し、細孔中に充分吸着させた後、濾
別乾燥することにより製造することができる。得られた
添着活性炭はpH1〜3の酸性の値を示し、アンモニア
の吸着量としては7重量%以上のものが得られる。
【0028】本発明の脱臭剤は、以上の活性炭を混合す
ることにより得られる。両活性炭の混合量は脱臭対象の
臭気ガス成分の組成により定められ、リンゴ酸・鉄塩添
着炭の量が多いほど、アンモニアなど塩基性化合物に対
する吸着活性は高まるが、中性の活性炭の量が減少する
ためリンゴ酸・鉄塩添着炭を加えない場合に比べて硫化
メチルなどのガスに対する吸着活性は低下するようにな
る。冷凍ストッカー用の脱臭剤として用いる場合には、
冷凍ストッカー内の臭気ガス成分の組成からみて、中性
の活性炭とリンゴ酸・鉄塩添着炭の混合比は重量比で7
0〜90:10〜30の範囲で混合するといずれの種類
のガスに対しても十分に吸着、脱臭することができる脱
臭剤が得られる。
【0029】用いる活性炭の粒径は、臭気ガスと接触で
きる活性炭自体の表面積や脱臭エレメントの基材に対す
る担持状態や担持量などに影響を与え吸着性能を変化さ
せる。また、活性炭の粒径は単一の値を示すものではな
く一定の範囲に分布する値を持っている。従って、この
粒径分布の中央値を用いて活性炭の粒径を示すと、0.
6〜1.3mmの範囲、活性炭の粒径分布の範囲で示す
と0.35〜1.68mmの範囲に分布を有するもの
が、基体に担持したとき担持量が多くまた臭気ガスと接
触する活性炭自体の表面積も大きくなり優れた脱臭効果
が得られる。
【0030】このように、−20℃以下の低温下におい
て中性の活性炭は室温のときと同様にメチルメルカプタ
ンや硫化メチルなど含硫化合物を初めとする広範囲の種
々のガス成分を吸着する能力をもち、リンゴ酸と鉄塩と
を添着した活性炭は−20℃以下の低温下でも、アンモ
ニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物に対して高い
吸着能を有しているため、従来の活性炭では除去するこ
とが困難であったアンモニアなど窒素化合物も効率よく
除去され、−20℃以下の低温下でも脱臭性能が低下す
ることのない脱臭剤が得られる。
【0031】本発明の脱臭エレメントは上述の活性炭か
らなる脱臭剤を基材に担持させることによって作製され
る。
【0032】担持させる基材としては、セル形状が円形
のロールコア担体、六角形のハニカム担体、波状のコル
ゲート担体などセル形状が中空の紙やプラスチック製の
基材、また、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォ
ームなどの連続気泡形多孔質樹脂や発泡アルミニウムな
どの連続気泡形多孔質金属の基材があげられる。基材は
脱臭エレメントへの活性炭の担持量や脱臭器として用い
た場合の圧損失などを考慮して選択されるが、本発明の
冷凍ストッカー用脱臭器のように空気を強制的に循環し
て脱臭させる方式でない脱臭器の場合には、連続気泡形
多孔質基材が担持量を多くすることができ、また、活性
炭とガスの広い接触面積を確保することができるため好
ましく、また、樹脂製のものが操作性や価格の面からも
好ましく、特に、ポリウレタンが、耐低温特性、耐薬品
性、耐侯性、耐油性が優れ、かつ引張や圧縮などの物理
的応力に対して強靭であり、好ましいものであるため、
ポリウレタンフォームからなる連続気泡形多孔質基材を
用いた場合を例として説明する。
【0033】本発明で用いるポリウレタンフォームは三
次元構造の骨格組織をもつ連続気泡を有しており、この
気泡の大きさは「セル数」として1インチ当りに存在す
る気泡の数で示され、セル数が多いほど気泡は細かくな
り基材の表面積は増加する。しかし、基材に担持される
活性炭の量は、用いる活性炭の粒径とポリウレタンフォ
ームの気泡の大きさとによって決まり、ポリウレタンフ
ォームの内部の気泡にまで活性炭が十分に入り込むこと
ができるような大きさの連続気泡を有するものがよい。
例えば、活性炭の粒径の範囲が0.35〜1.68mm
の範囲の活性炭を用いる場合にはポリウレタンフォーム
のセル数は6〜10個/インチのものが好ましい。
【0034】また、活性炭の基材への担持は、アクリル
エマルジョンからなる粘着剤液に、ポリウレタンフォー
ムなどの担体基材を浸漬してアクリルエマルジョンを含
浸塗布し、約60℃で1時間以上乾燥させ充分に水分を
除去した後、活性炭を接着する。また、用いる粘着剤と
しては、ゴム系、ビニルエーテル系、シリコーン系の粘
着剤も使用でき、担体基材に粘着剤をスプレー塗布して
も作製することができる。なお、有機系溶剤を含有する
粘着剤を用いた場合には、溶剤が活性炭に吸着されるこ
とがあり、溶剤が残らないようにするために、さらに高
温、減圧下で処理しなければならない場合もあるため、
水系のアクリルエマルジョンが好ましい。
【0035】このようにして担持した活性炭はポリウレ
タンフォームの外側で密に、内部で疎に担持されてお
り、トータルの担持量としては1500〜3000g/
2 の範囲が好ましい。
【0036】次に、この得られた脱臭エレメントを用い
た脱臭器について説明する。
【0037】本発明の脱臭器1は、上述の方法によって
得られた脱臭エレメントを通気性のケース内に収納した
もので、例えば、図1に示すような構成を有している。
すなわち、脱臭エレメント2は、脱臭剤が基材から脱落
しないように、また、脱臭剤に直接水がかからないよう
にするため、通気性を有するポリエステル製の不織布か
らなる保護シート3で覆い、庫内の空気が脱臭エレメン
ト2に流入するための開口部4を有する外枠ケース5内
に収納されている。この外枠ケース5の開口部分4は、
庫内の凍った冷凍食品によって保護シートが突き破ら
れ、なかの脱臭剤が露出しこぼれ落ちるのを防止するた
め、ポリエチレン性の保護ネット6で覆われている。ま
た、脱臭エレメントの保護のためには、保護ネット6の
かわりに外枠ケース5を一体成形してネット状またはス
リット状などの開口部を有する外枠ケースとすることも
できる。なお、冷凍ストッカー用などのように食料品と
混在して使用する脱臭器の場合には、脱臭器の各部の材
料は食品衛生法に適合するものを採用して構成すること
が必要となる。
【0038】本発明の脱臭器を冷凍ストッカーに用いる
場合には、例えば、冷凍ストッカーの側壁面に設置して
用いることができる。図2は冷凍ストッカー10の庫内
の一例であって、庫内に冷凍器などを収納するための段
差11を有し、段差の上部はファン13を備える急凍ゾ
ーン14であり食品を急速冷凍する場合に用いる。ま
た、参照符号15は凍結した食品を保存するための保存
ゾーンであり、参照符号16は両ゾーンを仕切る取り外
し自由な仕切板である。図2では本発明の脱臭器1を段
差11を利用して壁面に設置する例を示している。設置
に際し脱臭器の背面すなわち脱臭器と冷凍ストッカー壁
面との間に空間部を設けておくと、この空間部からも庫
内の空気が脱臭器内に侵入し脱臭効率が高められるた
め、空間部が確保されるような保持部材を用いて壁面と
密着しないように設置することが好ましい。
【0039】また、冷凍ストッカーのように−20〜−
30℃の低温の状態では臭気成分のガスは庫内の底部に
滞留しているため、脱臭器はできるだけ低い位置に、ま
た冷凍ストッカーの底部をできるだけ広い面積でカバー
するように設置することが好ましい。このような設置方
法に適する脱臭器のその他の形状を図3A〜Cに例示す
る。図3Aは脱臭器を保持する脚部21をもち任意の位
置に立てて使用することができる。図3Bはさらに脱臭
器の外側に保護ケース22を設けた例であり、保護ケー
ス22には空気流通口23を設け、庫内空気が流入する
ようにしてある。また、図3Cは冷凍ストッカーの底部
に平行に横置きにして使用するための脱臭器であるが、
この場合保護ケース22の上面には空気流通口は設けら
れていない。これは、保存食品などから水滴や氷などが
落下し脱臭エレメントが濡れるのを防止するためであ
り、庫内の空気は側面の開口部や空気流通口23から脱
臭器ないに流入することになる。
【0040】脱臭器の大きさは冷凍ストッカーなどの容
量により定められるものであり、このような脱臭器を冷
凍ストッカーの大きさにあわせて1個あるいは複数個設
置して脱臭を行う。
【0041】
【作用】本発明の脱臭剤のリンゴ酸と鉄塩とを添着した
活性炭は、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化
合物に対して、鉄と錯体を形成することによってこれら
のガスを吸着し、中性の活性炭は、広範囲に種々のガス
成分をその細孔内に物理的に吸着するため、−20〜−
30℃という低温下でもアンモニアを含めて多種類のガ
スに対して高い吸着能を示すことができる。さらに、こ
の脱臭剤をポリウレタンフォームに担持した脱臭エレメ
ントは担持量が多く、臭気ガスとの広い接触面積を確保
することができる。
【0042】
【実施例】次に実験例および実施例によって本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0043】実験1 脱臭剤の選定するため次の実験を行った。標準ガスとし
てメチルメルカプタン、硫化メチルおよびアンモニアを
用い、3リットルの三角フラスコに上記の標準ガスと各
種脱臭剤を入れ、周囲温度を20℃、−5℃および−3
0℃として静置し、ガスを吸着させ脱臭テストを行っ
た。
【0044】この実験で、周囲温度が20℃および−5
℃の時にはフラスコ内のガスが均一に分散しているが、
−30℃の場合にはガスはフラスコ内の下方に滞留し、
フラスコの上下で濃度が不均一となった。このような低
温時における悪臭ガスの挙動は実際の冷凍ストッカーで
も認められ、内部の空気の強制循環を行わないため、悪
臭ガスは食品の保存中冷凍ストッカーの底部に滞留して
いることになる。
【0045】従って、実験を行うに当たって、周囲温度
が−30℃の場合フラスコ内の正確なガス濃度の測定が
不可能であるため、標準ガスと脱臭剤を三角フラスコに
入れ、メチルメルカプタンおよびアンモニアの場合には
3分、硫化メチルの場合には10分間、−30℃に保持
した後、20℃で保持し初期の標準ガスが90%除去さ
れるまでに必要なトータルの所要時間を求め、初めから
20℃に保持した場合に90%除去するのに必要な所要
時間とを比較する間接的な方法によって評価した。すな
わち、−30℃においても20℃の場合と同様な脱臭性
能が発揮されていれば、トータルの所要時間は、初めか
ら20℃に保持した場合と同じ所要時間を示すのに対
し、脱臭性能が低温下で低下した場合には、トータルの
所要時間に遅れが生じるようになると考えたからであ
る。
【0046】使用する脱臭剤は食品類と直接接触するお
それのあるものであり、安全性を重視し、食品添加物と
して認められているものや安全性が確認されている物質
から選択しなければならず、例えば、塩酸、硫酸、リン
酸などの強酸類や銅、鉛などの重金属類からなる脱臭剤
はアンモニアに対しても強力な脱臭性能を有してはいる
が、これらの安全性を考慮すると用いることはできな
い。実験に用いた脱臭剤を以下に示す。
【0047】(1)活性炭の製造工程で酸による洗浄を
行い化学的に中性である前述の中性の活性炭(比表面
積:1000m2 /g以上、細孔半径のピーク値:10
Å、pH:5〜8)。
【0048】(2)製造工程で酸による洗浄を行ってい
ない活性炭である酸未洗浄の活性炭(比表面積:800
2 /g以上、細孔半径のピーク値:10Å、pH:9
〜11)。
【0049】(3)製造工程で通常の場合よりも賦活操
作を長時間行い、通常の活性炭より細孔が発達し、比表
面積が大きく、酸による洗浄を行わないためアルカリ分
を含有している活性炭であるアルカリ含有活性炭(比表
面積:1600m2 /g以上、細孔半径のピーク値:1
3Å、pH:9〜11)。
【0050】(4)中性の活性炭にリンゴ酸と鉄塩を添
着した活性炭である前述のリンゴ酸・鉄塩添着炭(アン
モニア吸着量:7重量%以上、pH:1〜3)。
【0051】(5)石炭ピッチ系の活性炭素繊維。
【0052】(6)二酸化チタン−酸化亜鉛系脱臭剤。
【0053】用いた各々の活性炭の粒径は0.35〜
4.76mmであり、活性炭素繊維は繊維の太さが10
〜20μm、比表面積が700〜2000m2 /g、繊
維含有率は80〜100%のものであり、また、二酸化
チタン−酸化亜鉛系脱臭剤は粒径が0.35〜0.84
mmのものを用いて検討した。
【0054】実験は、標準ガスの初期濃度はメチルメル
カプタンおよび硫化メチルは3ppm、アンモニアは1
0ppmで行い、脱臭剤は1gを用いて行った。なお、
ガスの分析はガスクロマトグラフまたはガス検知管によ
って行い、フラスコ内ガスの濃度を経時的に測定し、各
々のガスについて初期の濃度から90%除去されるまで
の時間を求めた。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】 表2からから、活性炭の種類により脱臭性能が異なるこ
とがわかる。すなわち、メチルメルカプタンおよび硫化
メチルに対して、アルカリ含有活性炭では−5℃以下で
は脱臭性能が低下し、酸未洗浄の活性炭では−30℃で
脱臭性能が低下している。一方、中性の活性炭では−3
0〜20℃の温度範囲で脱臭性能の変化はみられない。
【0056】この結果は、中性の活性炭では細孔内への
物理吸着によって脱臭されるため、温度の影響は比較的
少ないが、酸未洗浄の活性炭やアルカリ含有活性炭では
活性炭内部に含まれているアルカリ分と反応することに
よって脱臭される化学吸着によるものであるため、温度
の影響を強く受け、−30℃の低温で脱臭性能が低下し
たものと考えられる。
【0057】一方、アンモニアに対しては、中性の活性
炭、酸未洗浄の活性炭およびアルカリ含有活性炭とも脱
臭能力は低いが、リンゴ酸・鉄塩添着炭は温度の影響を
受けることなく優れた脱臭能力を有していることがわか
る。
【0058】この理由としては次のように考えることが
できる。すなわち、鉄、チタン、ニッケル、コバルトな
どの遷移金属では、電子構造からみて最外殻に電子が未
充填の軌道(d軌道、f軌道)があり、電子過剰の分子
(配位子)とは未充填の軌道を介して容易に錯体を形成
する。例えば、鉄の場合にはアンモニア、シアン、1,
10−フェナントロリン、β−ジケトンなどの配位子と
多くの錯体を作ることが知られている。
【0059】従って、本脱臭剤で起こる反応も鉄とアン
モニアとの錯体形成反応であり、反応前の鉄塩の時より
錯体を形成した状態の方が電子構造上安定であり、形成
に必要な活性化エネルギーも小さく、通常の化学反応と
異なり温度依存性がないため、−20℃以下の低温下で
も大きな吸着能を示すものと考えられる。なお、二酸化
チタン−酸化亜鉛系脱臭剤も、リンゴ酸・鉄塩添着炭に
比べると活性は低いが、−20℃以下の低温での活性が
保たれていることも同様にチタンとアンモニアとの錯体
形成による結果と考えることができる。
【0060】活性炭素繊維は、通常の活性炭では脱臭さ
れにくいアンモニアに対して高い吸着性を示したが、硫
化メチルに対しての吸着性は低い。これは、一般に固形
の活性炭にはメソ孔(孔径:1〜25nm)、ミクロ孔
(孔径:0.4〜1nm)、サブミクロ孔(孔径:0.
4nm以下)があることが知られているが、活性炭素繊
維では、このうちでも特にミクロ孔がきわめて発達して
いるため、分子の小さなアンモニアはこのミクロ孔に吸
着され除去されるが、分子の大きな硫化メチルは吸着さ
れにくいためと考えられる。
【0061】このように活性炭素繊維は、大きな分子に
対して吸着が十分でなく、また一旦吸着したガスを脱着
しやすいという欠点があり、さらに比重が小さいため、
十分な重量の活性炭素繊維を用いると容積が増大しコン
パクト化できないものであった。
【0062】一方、活性炭の粒径については、同じ量の
活性炭を用いた場合、粒径が小さい程表面積が大きくな
るので活性炭とガスとの接触機会は増加し、脱臭速度が
速くなると推定できるが、実験結果は、活性炭の粒径が
粒径分布の中央値で0.6〜1.3mm、粒径分布とし
て0.35〜1.68mmの範囲では変わりがなく、粒
径分布の中央値で2.4mm、粒径分布として1.41
〜3.36mmの範囲を超えると脱臭速度が減少してい
ることを示している。
【0063】以上の結果より、粒径が粒径分布の中央値
で0.6〜1.3mm、粒径分布として0.35〜1.
68mmの範囲の中性の活性炭およびリンゴ酸・鉄塩添
着炭を組み合わせたものが冷凍ストッカー用の脱臭剤と
して好ましいものであることがわかる。
【0064】実験2 次に、冷凍ストッカー用に好ましい脱臭剤エレメントを
作製するために活性炭吸着剤を担持する基材について検
討した。
【0065】基材としては、セル形状が円形のロールコ
ア、波状のコルゲトコアおよびポリウレタンフォームに
ついて検討した。脱臭剤は中性の活性炭とリンゴ酸・鉄
塩添着炭を重量比で5:1に混合し、活性炭の粒径分布
が0.25〜0.5mmのものと0.34〜0.84m
mのものとを2種類調製した。
【0066】ついで、基材をアクリルエマルジョンに含
浸させ、脱臭剤を振りかけて脱臭剤を担持させ乾燥する
ことによって、厚さ10〜20mmの脱臭エレメントを
作製した。担持量は脱臭エレメントの担持前後の重量か
ら求めた。その後、脱臭エレメントをフィルターとして
セットしメチルメルカプタン10ppmを含む空気を流
量0.5〜1.5m/秒でワンパスした場合のメチルメ
ルカプタンの除去率を求めた。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】 表3によると、ポリウレタンフォームは担持量および脱
臭性能ともに優れているのに対し、ロールコアでは担持
量および脱臭性能ともに低く、また、コルゲートコアで
は担持量についてはポリウレタンフォームと同等である
が、脱臭性能は劣っていることがわかる。
【0068】ポリウレタンフォームは多孔質であるた
め、ガス分子が1番目の層にある吸着剤に吸着されずに
通過しても2番目以降の層にある吸着剤で吸着される脱
臭性能高くなるが、反面、ロールコアやコルゲートコア
に比べて通気抵抗は大きくなる。しかし、このことはモ
ーターファンなどによって強制的にフィルターを通して
循環させて脱臭を行わない冷凍ストッカー用脱臭器に適
用する場合には問題とはならない。
【0069】また、ポリウレタンフォームを基材した場
合、粒径分布が0.35〜0.84mmの範囲の脱臭剤
を担持したものが担持量、脱臭性能とも最も優れてい
た。粒径分布が0.25〜0.5mmの範囲のものは同
一重量を担持させた場合、粒径が小さいので表面積が大
きくなり、0.35〜0.84mmの範囲の時と同等以
上の脱臭性能が得られるはずであるが、実際には、担持
量が少なくなってしまうため、脱臭能力は低くなってい
る。
【0070】粒径分布が0.35〜1.68mmの範囲
の脱臭剤をポリウレタンフォームに担持させる場合、ポ
リウレタンフォームのセルサイズは6〜10個/インチ
の比較的粗いポリウレタンフォームが好ましい。
【0071】実験3 次に脱臭エレメントによる脱臭について検討した。粒径
分布が0.35〜0.84mmの範囲の中性の活性炭と
リンゴ酸・鉄塩添着炭を重量比5:1に混合して調製し
た脱臭剤を平均セルサイズ6個/インチのポリウレタン
フォームに担持させ、50mm×20mm×厚さ15m
mの脱臭エレメントを作製し、各々10ppmのメチル
メルカプタン、硫化メチルおよびアンモニアを含む3リ
ットルのフラスコ内にこの脱臭エレメントを静置し、温
度20℃、湿度50%RHの条件で各ガスについて30
分後の除去率を求めた。結果を表4に示す。
【0072】
【表4】 表4によると、30分で各ガスとも脱臭されており、メ
チルメルカプタンとアンモニアとはほぼ同様な除去率を
示しており、メチルメルカプタンを吸着する中性の活性
炭とアンモニアを吸着するリンゴ酸・鉄塩添着炭が好ま
しい比率で配合されていることがわかる。すなわち、中
性の活性炭とリンゴ酸・鉄塩添着炭の配合量は重量比で
70〜90:10〜30の範囲が好ましい結果を与え
る。
【0073】実験4 次に、脱臭エレメントの担持方式と充填方式とについて
脱臭性能を比較検討した。セルサイズ平均6個/インチ
の50mm×20mm×厚さ15mmの大きさのポリウ
レタンフォームに粒径分布0.35〜0.84mmの範
囲の中性の活性炭およびリンゴ酸・鉄塩添着炭を重量比
で5:1に混合した調製した脱臭剤を2g担持させ脱臭
エレメントを作製した。また、同じ脱臭剤2gを通気性
のある紙製の袋に充填し、充填方式脱臭エレメントを作
製した。ついで、初期のメチルメルカプタンの濃度を1
ppmとした3リットルフラスコに、担持方式の脱臭エ
レメント、充填方式の脱臭エレメントおよび充填剤粉末
2gをそのまま加え、静置した状態でガスの濃度をガス
クロマトグラフを用い経時的に測定し、ガス残存率を求
めた。結果を脱臭剤を用いなかった場合の自然減衰とと
もに図4に示す。
【0074】図4によると、20分後に、充填方式では
45%のガス除去率しか得られていないが、ポリウレタ
ンフォームに担持したものは72%の除去率が得られ
た。脱臭剤のみを加えた場合のガス除去率は78%であ
ることを考慮すると、ポリウレタンフォームの担体に担
持することよる吸着能の減少は僅かであり、充填方式に
比べ活性炭表面が有効に用いられていることがわかる。
【0075】実施例1 次に本発明の脱臭剤を用いて脱臭器を作製し、脱臭性能
について検討した。
【0076】(1)冷凍ストッカー内の脱臭効果 粒径0.35〜0.84mmの中性の活性炭およびリン
ゴ酸・鉄塩添着炭を重量比で5:1の割合で混合して脱
臭剤を調製した。ついで、セルサイズ平均6個/イン
チ、495mm×190mm×厚さ15mmのポリウレ
タンフォームをアクリルエマルジョンに含浸し、脱臭剤
を担持させ乾燥することにより脱臭エレメントを作製し
た。担持量は200gであった。さらに、作製した脱臭
エレメントを、目付量46.4g/m2 、通気度105
8cc/cm2 /秒、厚さ0.55mmのポリエステル
製の不織布でくるみ、端面を熱融着した。ついで、この
脱臭エレメントの片面に経糸のピッチ1.9mm、緯糸
のピッチ2.8mm、遮蔽率42%の高密度ポリエチレ
ン製ネットをあて、塩化ビニル製の樹脂枠内に収納し、
裏面をSUS304製の棒により固定し、図1に示すよ
うな脱臭器を作製した。
【0077】得られた脱臭器を図2に示すように内容積
320リットルの冷凍ストッカーの壁面下部に設置し、
食料品として肉、魚、冷凍野菜、生しいたけ、パン、
餅、海苔などを収納し、脱臭前および脱臭開始から3日
経過後の冷凍ストッカー内の臭気をサンプリングし3人
のパネラーによる官能試験を行って脱臭効果を評価し
た。評価には環境庁による次に示す0〜5の6段階臭気
強度表示法を用いた。結果を表5に示す。
【0078】環境庁6段階臭気強度表示法 0:無臭 1:やっと感知できるにおい 2:弱いにおい 3:楽に感知できるにおい 4:強いにおい 5:強烈なにおい
【表5】 比較例1 上述のポリエステル製不織布を熱融着して作製した、4
0mm×80mmの大きさの16個の袋に、実施例1で
使用した脱臭剤を1個当り約12.5g、合計200g
を充填し充填方式の脱臭エレメントを作製した。ついで
得られた充填方式の脱臭エレメントを冷凍ストッカーの
底面中央部下方に分割して配置し、実施例1と同様にし
て脱臭性能を評価した。結果を表5に示す。
【0079】比較例2 活性炭15gおよび活性炭素繊維1gからなる市販の冷
凍・冷蔵庫用脱臭剤16個を用い、比較例2と同様にし
て評価した。さらに、脱臭剤を用いなかった場合につい
ても同様に評価を行い、結果を表5に示す。
【0080】(2)付着臭に対する効果 次に冷凍ストッカーによる食品の保存中における、氷お
よびお茶に対する他の食品からの臭気の移行の有無につ
いて検討した。
【0081】検討は、実施例1で作製した脱臭器を図2
に示すように内容積320リットルの冷凍ストッカーの
壁面下部に設置し、食料品として肉、魚、冷凍野菜、生
しいたけ、パン、餅、海苔などを収納し、さらに氷およ
びお茶を収納して脱臭前および脱臭開始から5日経過後
の氷およびお茶に対する付着臭を3人のパネラーによる
官能試験を行って氷およびお茶への臭気の移行について
評価した。評価はTIA尺度を準用した次に示す0〜3
の4段階の基準を用いて行った。また、比較のため脱臭
器を用いなかった場合(比較例3)、内容量320リッ
トルの冷凍ストッカーに氷のみを収納した場合(比較例
4)および室内にお茶を放置した場合(比較例5)につ
いて、同様に評価を行い、結果をあわせて表6に示す。
【0082】評価基準 0:付着臭なし 1:わずかに付着臭がする 2:付着臭がはっきりとわかる 3:強い付着臭がする
【表6】 表6の結果より、他の食品からの氷やお茶への臭気の移
行も防止できることがわかる。
【0083】(3)寿命テスト 実施例1で作製した脱臭器を図2に示すように内容積3
20リットルの冷凍ストッカーの壁面下部に設置し、食
料品として肉、魚、冷凍野菜、生しいたけ、パン、餅、
海苔などを収納し、経日的に冷凍ストッカー内の臭気を
実施例1と同様にして官能評価し、経過日数(x)に対
する脱臭前と脱臭開始後との臭気強度差(y)をプロッ
トし、これより回帰直線 y=−1.522+0.296log x (1) を求めた。結果を図5に示す。
【0084】図5によると、求めた回帰直線式1より1
年後、2年後および3年後の臭気強度差は、それぞれ−
0.77、−0.68および−0.62となる。
【0085】一方、単一ガスでの臭気強度(I)とガス
濃度(C)との間にはウェーバ−ヘヒナー則(2)が成
立することが知られている。
【0086】 I=k・logC (2) ここで、kは定数である。
【0087】また、環境庁では各臭気ガス52成分につ
いて臭気強度(Y)とガス濃度(X)との間の関係式
(3)を発表している(環境庁監修「ハンドブック 悪
臭防止法」参照)。
【0088】 Y=A・logX + B (3) この式で、A、Bは定数であって、Aの値は0.604
〜2.17の範囲にあり、これらの値を平均すると1.
29となる。混合ガスについてもウェーバー−ヘヒナー
則に従うと仮定すると、(1)式の臭気強度差(y)は
ガス残存度C/C0 との関係式(4)と書き表すことが
できる。
【0089】 y=m・log(C/C0 ) (4) ここで、Cは脱臭後の冷凍ストッカー内のガス濃度 C0 は脱臭前の冷凍ストッカー内のガス濃度 mは定数である。この定数mを平均値である1.29と
すると(4)式より臭気強度差からガス除去率が求めら
れ、3日後の臭気強度差−1.3はガス除去率90%に
相当し、それぞれ、1年後の−0.77は75%に、2
年後の−0.68は70%に、3年後の−0.62は6
7%に相当し、まだ十分な脱臭能力を有していることが
わかる。
【0090】また、冷凍ストッカーには実施例で用いた
320リットルの容量の他に180リットルおよび25
0リットルのものもある。これらの容量のものに対して
は、脱臭剤の量を180リットルの場合約110g、2
50リットルの場合で約160gを用いれば、理論上実
施例1で作製した脱臭器と同一の寿命が得られる。
【0091】これらの量の脱臭剤を担持する場合、実施
例1の担持量、担持状態および脱臭性能の結果から脱臭
エレメントの厚さが15mmのとき、約280mm以上
×約110mm以上の脱臭エレメントとすれば実施例1
とほぼ同一の脱臭効果を得ることができる。
【0092】また、本脱臭エレメントは脱臭剤はポリウ
レタンフォームの表面に密に、中心部は疎に担持されて
おり、脱臭効果の発現には表面付近の脱臭剤の寄与が大
きいため、ポリウレタンフォームの厚みを変えても脱臭
性能に大きな変化は生じない。同一の面積を有するポリ
ウレタンフォーム場合、ポリウレタンフォームの厚みを
15mmから10mmにすると、担持量は約70%に、
また30mmと増加させると、担持量は約180%と変
化する。ここで実施例1の脱臭器の寿命を仮に2年とす
ると、担持された量から考えると、厚さ10mmの場合
で約1.4年、30mmの場合で約3.6年の有効な寿
命をもつ脱臭器が得られることになる。
【0093】なお、脱臭性能を高めるためには、ガスと
活性炭との接触面積を広げる意味で脱臭エレメントを複
数個を冷凍ストッカーの下方の四隅を利用して設置する
とよい結果が得られる。
【0094】
【発明の効果】本発明によると、−20〜−30℃の低
温下でも、アンモニアなど窒素化合物を初めとする多種
類の臭気ガスに対して脱臭性能が優れた脱臭剤が得ら
れ、これにより冷凍ストッカー用として好適な脱臭器が
得られる。また、本脱臭器は強力な脱臭効果が長期間持
続するため、最低1年は交換しなくともよいメンテナン
ス性のよい脱臭器が得られる。さらに、長期間持続する
優れた脱臭効果により、庫内の臭気が保存していた食品
に移ってしまうような食品への付着臭も防止できるの
で、これまでは別々に保存しなければならなかったお茶
などの嗜好品も他の食品と一緒に長期保存ができるよう
になる。
【0095】なお、食品類を−20〜−30℃の低温で
保存する場合、発生する臭気ガスは庫内の下方に滞留し
ているため、本脱臭器は冷凍ストッカーの下方の壁面や
底部などに設置することにより省スペースかつ効率よく
庫内の臭気を脱臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭器の構成を分解して示す斜視図。
【図2】本発明の脱臭器を冷凍ストッカーに使用する場
合の設置例を示す斜視図。
【図3】本発明の脱臭器の他の実施例で、AおよびBは
任意の位置に立てて使用するもので、Cは底部に平行に
横置きにして使用する脱臭器を示す斜視図。
【図4】担持方式の脱臭エレメントと充填方式の脱臭エ
レメントについて、ガス残存率の時間変化を示すグラ
フ。
【図5】経過日数に対する脱臭前と脱臭開始後との臭気
強度差との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 脱臭器 2 脱臭エレメント 3 保護シート 4 開口部 5 外枠ケース 6 保護ネット 10 冷凍ストッカー 11 段差 13 ファン 14 急凍ゾーン 15 保存ゾーン 16 仕切板 21 脚部 22 保護ケース 23 空気流通口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性を示す活性炭と、有機酸と遷移金属
    とを添着した活性炭とが配合された冷凍ストッカー用脱
    臭剤。
  2. 【請求項2】 前記有機酸と遷移金属とを添着した活性
    炭は、リンゴ酸と鉄塩とを添着した活性炭である請求項
    1に記載の冷凍ストッカー用脱臭剤。
  3. 【請求項3】 内部を空気が流通することができる基材
    に請求項1または2に記載の脱臭剤を担持した脱臭エレ
    メントを、開口部を有する外枠ケースに収納した冷凍ス
    トッカー用脱臭器。
  4. 【請求項4】 活性炭の粒径分布が0.35〜1.68
    mmの範囲で粒径分布の中央値が0.6〜1.3mmの
    中性を示す活性炭と、活性炭の粒径分布が0.35〜
    1.68mmの範囲で粒径分布の中央値が0.6〜1.
    3mmの有機酸と遷移金属とを添着した活性炭とが配合
    された冷凍ストッカー用脱臭剤をセルサイズが6〜10
    個/インチの連続気泡形多孔質基材に担持した脱臭エレ
    メントを備える冷凍ストッカー用脱臭器。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の冷凍ストッカ
    ー用脱臭器を、冷凍ストッカー庫内の下方に設置し、冷
    凍ストッカー庫内の下方に滞留する臭気ガス成分を吸着
    除去することを特徴とする冷凍ストッカー庫内の脱臭方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11226338A (ja) * 1998-02-19 1999-08-24 Takuma Co Ltd イオン交換フィルタ及びその製造方法及びフィルタ装置
JP2012115799A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Midori Anzen Co Ltd フィルタ枠

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