JPH08239632A - 架橋ポリエチレン系樹脂発泡体からなる粘着テープ基材 - Google Patents

架橋ポリエチレン系樹脂発泡体からなる粘着テープ基材

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JPH08239632A
JPH08239632A JP7047078A JP4707895A JPH08239632A JP H08239632 A JPH08239632 A JP H08239632A JP 7047078 A JP7047078 A JP 7047078A JP 4707895 A JP4707895 A JP 4707895A JP H08239632 A JPH08239632 A JP H08239632A
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JP
Japan
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polyethylene resin
resin
temperature
adhesive tape
cross
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JP7047078A
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Masabumi Nishino
正文 西野
Ippei Fujimoto
一平 藤本
Hidefumi Nagara
英史 長良
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟質合成樹脂発泡体シートからなり、柔軟
で、強度に優れ、無臭で、化学的に安定であり、粘着テ
ープ基材や医療用テープ基材として好適な粘着テープ基
材を提供すること。 【構成】 重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロ
セン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(A)
と、線状低密度ポリエチレン(B)とを含む樹脂組成物
を架橋、発泡させて得られる架橋ポリエチレン系樹脂発
泡体からなる粘着テープ基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエチレン系架橋発
泡体からなる粘着テープ基材に関し、さらに詳しくは、
柔軟性及び機械的強度に優れ、無臭性で、化学的に安定
な粘着テープ基材に関する。本発明の粘着テープ基材
は、粘着テープ用としてだけではなく、人体の皮膚に貼
り付けて用いる医療用湿布材、消炎沈痛プラスター、傷
口に貼る外科用テープなどの医療用テープ基材として好
適である。
【0002】
【従来の技術】従来より、軟質合成樹脂発泡体シートを
粘着テープ基材や医療用テープ基材に用いることは知ら
れている。例えば、均一微細な独立気泡を有し、ある程
度の機械的強度があり、断熱性に優れた低密度ポリエチ
レンの架橋発泡体が粘着テープの基材として使用されて
いる。特公平3−2198号公報には、線状低密度ポリ
エチレン(LLDPE)とエチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)とを含有する樹脂組成物を架橋、発泡させ
た架橋発泡体からなる粘着テープ基材が提案されてい
る。この粘着テープ基材は、低密度ポリエチレンの架橋
発泡体基材に比べて、抗張力、伸度等の機械的強度や柔
軟性、接着性に優れているが、EVAに起因する酢酸ビ
ニル臭があることに加えて、柔軟性を増大させるために
EVAの使用割合を増加させると、機械的強度が低下す
るという問題がある。
【0003】また、医療用湿布材、消炎沈痛プラスタ
ー、傷口に貼る外科用テープなどの医療用テープの基材
として、布地や軟質合成樹脂シートなどに代えて、微細
な独立気泡を有する薄肉の軟質合成樹脂発泡体シートを
使用することは公知である(実開昭59−48612号
公報)。特公平2−33387号公報には、EVAとL
LDPEを含む発泡性樹脂組成物を架橋、発泡させてな
る独立気泡性架橋発泡シートからなる医療用テープ基材
が提案されている。この医療用テープ基材も、前記と同
様、酢酸ビニル臭があり、医療用湿布基材などとして問
題があると共に、柔軟性を増すためにEVAの使用割合
を増加させると、機械的強度が低下するという問題があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軟質
合成樹脂発泡体シートからなり、柔軟で、強度に優れ、
無臭で、化学的に安定であり、粘着テープ基材や医療用
テープ基材として好適なテープ基材を提供することにあ
る。本発明者らは、従来技術の問題点を克服するために
鋭意研究した結果、メタロセン化合物(メタロセン触
媒)を用いて得られたポリエチレン系樹脂と線状低密度
ポリエチレン系樹脂(LLDPE)とを含む樹脂組成物
を架橋、発泡させて得られる架橋ポリエチレン系樹脂発
泡体から形成したテープ基材により、前記目的を達成で
きることを見出した。メタロセン化合物を用いて得られ
るポリエチレン系樹脂として、クロス分別分析や示差走
査熱量計(DSC)による分析等により特定の物性を有
するものを用いると、特に好ましい物性のバランスを有
するテープ基材を得ることができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、重合触
媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用い
て得られたポリエチレン系樹脂(A)と、線状低密度ポ
リエチレン(B)とを含む樹脂組成物を架橋、発泡させ
て得られる架橋ポリエチレン系樹脂発泡体からなる粘着
テープ基材が提供される。本発明の粘着テープ基材は、
医療用テープの基材としても好適なものである。以下、
本発明について詳細に説明する。
【0006】ポリエチレン系樹脂(A) 本発明で使用するポリエチレン系樹脂としては、エチレ
ンの単独重合体あるいはエチレンとα−オレフィンとの
共重合体を挙げることができる。α−オレフィンとして
は、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン等が挙げられる。本発明で使用するポ
リエチレン系樹脂は、重合触媒として四価の遷移金属を
含むメタロセン化合物を用いて、エチレンまたはエチレ
ンとα−オレフィンとを重合することにより得ることが
できる。
【0007】本発明で使用するポリエチレン系樹脂は、
密度が0.840〜0.950g/cm3であり、クロ
ス分別法によって10重量%溶出したときの温度
(T1)から100重量%溶出終了したときの温度
(T2)の幅(T2−T1)が30℃以下、かつ、重量平
均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値が1.5〜
3.5のものが好ましい また、本発明で使用するポリエチレン系樹脂は、示差走
査熱量計(DSC)を用いて測定した結晶融解ピークが
1つであり、かつ、融解ピーク温度(T3)より全結晶
が融解し終わるまでの温度(T4)の幅(T4−T3)が
20℃以内のものが好ましい。このようなポリエチレン
系樹脂をLLDPEと組み合わせて使用することによ
り、柔軟で、強度に優れ、無臭で、化学的に安定であ
り、粘着テープ基材や医療用テープ基材として好適なテ
ープ基材を得ることができる。
【0008】(メタロセン化合物)メタロセン化合物
は、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟ん
だ構造の化合物であり、ビス(シクロペンタジエニル)
金属錯体が代表的なものである。メタロセン化合物とし
て、具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パ
ラジウム、ハフニウム、白金等の四価の遷移金属に、1
または2以上のシクロペンタジエニル環またはその類縁
体がリガンド(配位子)として存在する化合物が挙げら
れる。メタロセン化合物は、重合触媒として使用される
ために、メタロセン触媒ともいわれる。
【0009】リガンドの具体例としては、シクロペンタ
ジエニル環;炭化水素基、置換炭化水素基または炭化水
素−置換メタロイド基により置換されたシクロペンタジ
エニル環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデ
ニル環;及び炭化水素基、置換炭化水素基または炭化水
素−置換メタロイド基により置換されたインデニル環等
が例示される。これらのπ電子系の不飽和化合物以外に
も、リガンドとして、塩素、臭素等の一価のアニオンリ
ガンド、または二価のアニオンキレートリガンド、炭化
水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシ
ド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホ
スフィド等が遷移金属原子に配位結合していてもよい。
シクロペンタジエニル環に置換する炭化水素基として
は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミ
ル、イソアミル、ヘキシル、イソブチル、ヘプチル、オ
クチル、ノニル、デシル、セチル、2−エチルヘキシ
ル、フェニル等が挙げられる。
【0010】このようなメタロセン化合物としては、例
えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチ
ルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムト
リス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチ
ルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシク
ロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウム
ジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタ
ジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウム
クロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペ
ンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジク
ロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミ
ド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミ
ド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピル
アミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチル
アミド)(ジ−n−プロピルアミド)等が例示できる。
【0011】メタロセン化合物は、金属の種類や配位子
の構造を変え、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせる
ことにより、各種オレフィンの重合の際、触媒としての
作用を発揮する。より具体的に、重合は、通常、これら
メタロセン化合物に共触媒としてメチルアルミノキサン
(MAO)、ホウ素系化合物等を加えた触媒系で行われ
る。メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、1
0〜1,000,000モル倍、好ましくは50〜5,
000モル倍である。重合条件については、特に制限は
無く、例えば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的
に不活性媒体の存在しない塊状重合法、及び気相重合法
などが利用できる。重合温度は、通常、−100℃から
300℃、重合圧力は、通常、常圧から100kg/c
2で行うのが一般的である。
【0012】メタロセン触媒は、活性点の性質が均一で
あるという特徴を有している。メタロセン触媒は、各活
性点が同じ活性度を備えているため、合成するポリマー
の分子量、分子量分布、組成、組成分布の均一性が高ま
る。したがって、これらのメタロセン触媒にて重合され
たポリオレフィンは、分子量分布が狭く、共重合体の場
合、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合
で導入されている。メタロセン化合物を重合触媒として
用いて得られたポリエチレン系樹脂としては、例えば、
ダウ・ケミカル社のCGCT、エクソン・ケミカル社の
EXACTなどが市販されている。
【0013】(密 度)本発明で使用するポリエチレン
系樹脂(A)の密度は、通常、0.840〜0.950
g/cm3、好ましくは0.860〜0.930g/c
3の範囲である。密度が0.840g/cm3未満で
は、ポリエチレン系樹脂の結晶性が低く、発泡体の抗張
力などの機械的強度が低下する。密度が0.950g/
cm3を超えると、得られる発泡体の柔軟性及び伸びが
低下する。
【0014】(クロス分別法)本発明で採用しているク
ロス分別法とは、以下に示すとおりである。先ず、ポリ
エチレン系樹脂を140℃あるいはポリエチレン系樹脂
が完全に溶解する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解
し、次いで、一定速度で冷却し、予め用意しておいた不
活性担体の表面に、薄いポリマー層を結晶性の高い順及
び分子量の大きい順に生成させる。次に、温度を連続的
または段階的に昇温し、順次溶出した成分の濃度を検出
して、組成分布(結晶性分布)を測定する。これを温度
上昇溶離分別(Temperature Rising
Elution Fractionation;TR
EF)という。同時に、順次溶出した成分を高温型GP
C(Size Exclusion Chromato
graph;SEC)により分析して、分子量と分子量
分布を測定する。本発明では、上述した温度上昇溶離分
別部分と高温GPC部分の両者をシステムとして備えて
いるクロス分別クロマトグラフ装置(三菱油化社製CF
C−T150A型)を使用して、上述データを測定し
た。
【0015】本発明で用いるポリエチレン系樹脂は、好
ましくは、クロス分別法により10重量%溶出したとき
の温度から100重量%溶出終了したときの温度の幅が
通常30℃以下、好ましくは28℃以下である。この温
度幅が30℃超過であると、ポリエチレン系樹脂の中に
結晶性の高い成分と低い成分とが同時に存在することに
なり、発泡時溶融樹脂の粘度にむらが生じて、均一な発
泡体を得ることが困難である。本発明で用いるポリエチ
レン系樹脂は、好ましくは、クロス分別法により測定さ
れた重量平均分子量/数平均分子量の値が、通常、1.
5〜3.5、好ましくは1.7〜3.0の範囲内にあ
る。この値が1.5未満であると、発泡体の強度は向上
するが、樹脂が溶融時に流れにくくなり、成形が困難と
なる。一方、この値が3.5を越えると、分子量分布の
バラツキが大きくなって、分子量の低い分子と高い分子
の存在比率が高くなり、発泡時に溶融樹脂の粘度にむら
が生じて、均一な発泡体を得ることが困難となる。
【0016】(示差走査熱量分析)本発明における示差
走査熱量分析は、以下の方法で行った。約10mgのポ
リエチレン系樹脂サンプルを、白金パンに入れ、示差走
査熱量計(DSC:セイコー電子社製SSC5200
型)にて測定した。測定条件は、サンプルを一度溶融さ
せた後、5℃/分の速度で−50℃まで冷却させ、それ
から5℃/分の速度で昇温して測定した。本発明で用い
るポリエチレン系樹脂は、通常、示差走査熱量分析にお
ける結晶融解ピークが1つであり、融解ピーク温度より
全結晶が融解し終るまでの温度の幅が20℃以内である
ものであることが好ましい。結晶融解ピークが1つであ
るとは、2つ以上のピークに明瞭に分かれていない場合
を包含する。結晶融解ピークが複数個存在するというこ
とは、結晶性の異なる成分が複数個存在することを意味
し、その場合、発泡時に溶融樹脂の粘度にむらを生じ
て、均一な発泡体を得ることが困難となる。融解ピーク
が1つであっても、融解ピーク温度から全結晶が融解し
終るまでの温度の幅が20℃を越えると、ポリエチレン
系樹脂中の分子間で結晶性の高いものと低いものとの結
晶性の差が大きくなり、やはり、発泡時に溶融樹脂の粘
度にむらが生じて、均一な発泡体を得ることが困難とな
る。
【0017】線状低密度ポリエチレン(B) 本発明で用いる線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
とは、例えば、中低圧下のイオン重合反応により、エチ
レンに、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−へプテン、
1−オクテン等のα−オレフィンを少量(約1〜10モ
ル%)共重合させることにより、直鎖状の幹ポリマーに
適当数の短鎖分岐を導入し、それにより密度を通常の高
圧法低密度ポリエチレンの範囲まで低下させたポリマー
である。LLDPEは、密度0.915〜0.940g
/cm3、メルトインデックス0.5〜50g/10分
のものが好ましく、より好ましくはメルトインデックス
が1.0〜10g/10分のものであり、例えば、Ul
tzex−3021F、2020L(三井石油化学
(株)製)、DAGA7342、CRSN7345(ユ
ニオンカーバイト社製)等が挙げられる。
【0018】LLDPEの配合割合は、テープ基材の具
体的な用途、使用箇所等により要求物性(柔軟性や伸び
など)が異なるため、適宜定めることができるが、その
配合割合が多くなり過ぎると柔軟性及び伸びが低下す
る。したがって、ポリエチレン系樹脂(A)とLLDP
E(B)との配合割合(A:B)は、重量比で、通常、
40:60〜95:5、好ましくは50:50〜90:
10、より好ましくは60:40〜85:15である。
【0019】架橋ポリエチレン系樹脂発泡体 ポリエチレン系樹脂(A)とLLDPE(B)とを含む
樹脂組成物を架橋、発泡させるには、樹脂組成物に有機
系熱分解型発泡剤を配合し、常法により架橋、発泡させ
ればよい。本発明で使用する有機系熱分解型発泡剤と
は、加熱により分解して気体を発生する化合物であり、
具体的には、アゾジカルボンアミド、オキシベンゼンス
ルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラ
ミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシ
ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソ
ブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ヒドラゾ
ジカルボンアミド等が例示される。これらは単独で用い
てもよいし、併用してもよい。
【0020】有機系熱分解型発泡剤は、樹脂成分100
重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜20
重量部の割合で使用する。有機系熱分解型発泡剤の使用
割合は、少な過ぎると樹脂組成物の発泡性が低下し、多
過ぎると得られる発泡体の強度が低下する。発泡倍率
は、2倍以上であり、好ましくは5〜25倍である。発
泡倍率が2倍未満であると、柔軟性が不足する。本発明
においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、例え
ば、発泡助剤、架橋助剤、過酸化物などの架橋剤、他の
熱可塑性樹脂、フェノール系、リン系、アミン系、イオ
ウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、難燃剤、充填剤、
帯電防止剤、安定剤、顔料等を添加してもよい。
【0021】本発明では、前記各成分を配合して得られ
た発泡性樹脂組成物を所定形状に成形した後、架橋・発
泡して架橋ポリエチレン系樹脂発泡体を製造する。具体
的には、例えば、下記の製造方法が挙げられる。各配合
成分の所定量を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリー
ミキサー、ニーダーミキサー、ロール等の混練装置を用
いて、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融混練
して、発泡性樹脂組成物を作成し、これをシート状に成
形する。次いで、得られた発泡性樹脂組成物シートに電
離性放射線を所定量照射してポリエチレン系樹脂成分を
架橋させ、次いで、架橋シートを発泡剤の分解温度以上
に加熱して発泡させる。電離性放射線としては、α線、
β線、γ線、電子線等を挙げることができる。また、電
離性放射線による照射架橋にかえて、過酸化物架橋やシ
ラン架橋を行うことができる。
【0022】電離性放射線の照射量は、多官能モノマー
の種類や目的とする架橋の度合によって異なるが、通
常、0.1〜50Mrad、好ましくは0.5〜20M
radである。照射線量が少な過ぎると得られる発泡体
の機械的強度や耐熱性が不十分となり、多過ぎると得ら
れる発泡体が硬くなり過ぎる。このようにして得られた
架橋ポリエチレン系樹脂発泡体は、均一な気泡構造を有
している。また、本発明の架橋ポリエチレン系樹脂発泡
体は、柔軟性に優れ、抗張力などの機械的強度が高く、
無臭性で、耐溶剤性などの化学的安定性が良好である。
したがって、この架橋ポリエチレン系樹脂発泡体から形
成されたテープ基材は、粘着テープ基材として、あるい
は人体の皮膚に貼り付けて用いる医療用湿布材、消炎沈
痛プラスター、傷口に貼る外科用テープなどの医療用テ
ープ基材として好適である。
【0023】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。物性の測定法は、次の通
りである。 (1)抗張力及び伸び 抗張力(引張強さ)及び伸びは、JIS−K−6767
に従って測定した。 (2)臭い シート状の発泡体サンプルの臭いを嗅ぐ官能検査法によ
り、臭いの有無とその種類を判定した。 (3)耐溶剤性 シート状の発泡体サンプルをトルエン中に30℃で24
時間浸漬した後、表面の荒れの有無を目視で判定した。
シート表面に変化のない場合を○とした。
【0024】[実施例1]重合触媒としてメタロセン化
合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードN
o.A1)(エクソン・ケミカル社製EXACT302
7:表1に、密度、重量平均分子量/数平均分子量、ク
ロス分別法及びDSCの測定結果を示す。)70重量部
と、線状低密度ポリエチレン(密度0.918g/cm
3、メルトインデックス2.0g/10分)30重量部
とをブレンドした樹脂混合物に、有機系熱分解型発泡剤
としてアゾジカルボンアミド5重量部、及び発泡助剤3
重量部を添加したものを押出機でシート状に成形し、次
いで、2.5Mradの電子線を照射して架橋した後、
250℃のオーブンに連続的に通して加熱発泡させ、厚
み約1mmの架橋ポリエチレン系樹脂発泡体シートを得
た。得られた発泡体シートは、柔軟性を有し、均一に分
散された独立気泡を有していた。この発泡体シートの評
価結果を表2に示す。
【0025】[実施例2]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
2)(エクソン・ケミカル社製EXACT4011:
表1に、密度、重量平均分子量/数平均分子量、クロス
分別法及びDSCの測定結果を示す。)を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして架橋ポリエチレン系樹脂発
泡体シートを作成した。得られた発泡体シートは、柔軟
性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。こ
の発泡体シートの評価結果を表2に示す。
【0026】[実施例3]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
3)(エクソン・ケミカル社製EXACT3001:
表1に、密度、重量平均分子量/数平均分子量、クロス
分別法及びDSCの測定結果を示す。)を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして架橋ポリエチレン系樹脂発
泡体シートを作成した。得られた発泡体シートは、柔軟
性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。こ
の発泡体シートの評価結果を表2に示す。
【0027】[実施例4]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
4)(エクソン・ケミカル社製AFINITY、PL
1880:表1に、密度、重量平均分子量/数平均分子
量、クロス分別法及びDSCの測定結果を示す。)を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋ポリエチレ
ン系樹脂発泡体シートを作成した。得られた発泡体シー
トは、柔軟性を有し、均一に分散された独立気泡を有し
ていた。この発泡体シートの評価結果を表2に示す。
【0028】[実施例5]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
5)(エクソン・ケミカル社製EXACT2009:
表1に、密度、重量平均分子量/数平均分子量、クロス
分別法及びDSCの測定結果を示す。)を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして架橋ポリエチレン系樹脂発
泡体シートを作成した。得られた発泡体シートは、柔軟
性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。こ
の発泡体シートの評価結果を表2に示す。
【0029】[比較例1]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂(昭和電工社製ショーレッックスEL12−5:密
度0.932g/cm3、メルトインデックス2.0g
/10分、酢酸ビニル含有量15重量%)を用いたこと
以外は、実施例1と同様にして架橋ポリエチレン系樹脂
発泡体シートを作成した。得られた発泡体シートは、柔
軟性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。
この発泡体シートの評価結果を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(脚注) Mw=重量平均分子量、 Mn=数平均分子量 T1=クロス分別分析による全樹脂の10重量%が溶出
する温度 T2=クロス分別分析による全樹脂の100重量%が溶
出終了する温度 T2−T1=温度の幅 T3=DSC分析による融解ピーク温度 T4=DSC分析による融解終了温度 T4−T3=温度の幅 ピーク数=結晶融解ピーク数
【0032】
【表2】
【0033】表2の結果から明らかなように、本発明で
使用する架橋ポリエチレン系発泡体シート(実施例1〜
5)は、柔軟性があり、抗張力及び伸びが良好で、しか
も、無臭性で、耐溶剤性に優れている。これらの特性を
有する架橋ポリエチレン系樹脂発泡体シートは、特に粘
着テープ基材として好適なものである。これに対し、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)と線状低密
度ポリエチレン(LLDPE)とのブレンド物を用いた
場合(比較例1)には、EVAの配合割合が大きいた
め、柔軟性はあるものの、抗張力が低下し、しかも酢酸
ビニル臭が残っており、耐溶剤性も不十分である。
【0034】[実施例6]重合触媒としてメタロセン化
合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードN
o.A1:エクソン・ケミカル社製EXACT302
7)80重量部と、線状低密度ポリエチレン(密度0.
918g/cm3、メルトインデックス2.0g/10
分)20重量部とをブレンドした樹脂混合物に、有機系
熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド10重量
部、及び発泡助剤3重量部を添加したものを押出機でシ
ート状に成形し、次いで、2.5Mradの電子線を照
射して架橋した後、250℃のオーブンに連続的に通し
て加熱発泡させ、厚み約2mmの架橋ポリエチレン系樹
脂発泡体シートを得た。得られた発泡体シートは、柔軟
性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。こ
の発泡体シートの評価結果を表3に示す。
【0035】[実施例7]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
2:エクソン・ケミカル社製EXACT4011)を
用いたこと以外は、実施例6と同様にして架橋ポリエチ
レン系樹脂発泡体シートを作成した。得られた発泡体シ
ートは、柔軟性を有し、均一に分散された独立気泡を有
していた。この発泡体シートの評価結果を表3に示す。
【0036】[実施例8]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
3:エクソン・ケミカル社製EXACT3001)を
用いたこと以外は、実施例6と同様にして架橋ポリエチ
レン系樹脂発泡体シートを作成した。得られた発泡体シ
ートは、柔軟性を有し、均一に分散された独立気泡を有
していた。この発泡体シートの評価結果を表3に示す。
【0037】[実施例9]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化合
物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードNo.
4:エクソン・ケミカル社製AFINITY、PL1
880)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして架
橋ポリエチレン系樹脂発泡体シートを作成した。得られ
た発泡体シートは、柔軟性を有し、均一に分散された独
立気泡を有していた。この発泡体シートの評価結果を表
3に示す。
【0038】[実施例10]ポリエチレン系樹脂(コー
ドNo.A1)に代えて、重合触媒としてメタロセン化
合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂(コードN
o.A5:エクソン・ケミカル社製EXACT200
9)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして架橋ポ
リエチレン系樹脂発泡体シートを作成した。得られた発
泡体シートは、柔軟性を有し、均一に分散された独立気
泡を有していた。この発泡体シートの評価結果を表3に
示す。
【0039】[比較例2]ポリエチレン系樹脂(コード
No.A1)に代えて、エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂(昭和電工社製ショーレッックスEL12−5:密
度0.932g/cm3、メルトインデックス2.0g
/10分、酢酸ビニル含有量15重量%)を用いたこと
以外は、実施例6と同様にして架橋ポリエチレン系樹脂
発泡体シートを作成した。得られた発泡体シートは、柔
軟性を有し、均一に分散された独立気泡を有していた。
この発泡体シートの評価結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3の結果から明らかなように、本発明で
使用する架橋ポリエチレン系発泡体シート(実施例6〜
10)は、柔軟性があり、抗張力及び伸びが良好で、し
かも無臭性で、耐溶剤性に優れている。これらの特性を
有する架橋ポリエチレン系樹脂発泡体シートは、特に医
療用テープ基材として好適なものである。これに対し
て、EVAとLLDPEとのブレンド物を用いた場合
(比較例2)には、EVAの配合割合が大きいため、柔
軟性はあるものの、抗張力が低下し、しかも酢酸ビニル
臭が残っており、耐溶剤性も不十分で、医療用テープ基
材としては十分に満足できるものではない。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟で、強度に優れ、
無臭で、化学的に安定であり、粘着テープ基材として好
適なテープ基材が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 23:04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合触媒として四価の遷移金属を含むメ
    タロセン化合物を用いて得られたポリエチレン系樹脂
    (A)と、線状低密度ポリエチレン(B)とを含む樹脂
    組成物を架橋、発泡させて得られる架橋ポリエチレン系
    樹脂発泡体からなる粘着テープ基材。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン系樹脂(A)が、密度が
    0.840〜0.950g/cm3であり、クロス分別
    法によって10重量%溶出したときの温度から100重
    量%溶出終了したときの温度の幅が30℃以下、かつ、
    重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値が
    1.5〜3.5のものである請求項1記載の粘着テープ
    基材。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン系樹脂(A)が、示差走査
    熱量計(DSC)を用いて測定した結晶融解ピークが1
    つであり、かつ、融解ピーク温度より全結晶が融解し終
    わるまでの温度の幅が20℃以内のものである請求項1
    または2記載の粘着テープ基材。
  4. 【請求項4】 医療用テープ基材である請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の粘着テープ基材。
JP7047078A 1995-03-07 1995-03-07 架橋ポリエチレン系樹脂発泡体からなる粘着テープ基材 Pending JPH08239632A (ja)

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