JPH0823959A - 細菌検出器具 - Google Patents

細菌検出器具

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JPH0823959A
JPH0823959A JP18201394A JP18201394A JPH0823959A JP H0823959 A JPH0823959 A JP H0823959A JP 18201394 A JP18201394 A JP 18201394A JP 18201394 A JP18201394 A JP 18201394A JP H0823959 A JPH0823959 A JP H0823959A
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JP
Japan
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bacteria
introduction
sample
bacterium
introduction holes
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Withdrawn
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JP18201394A
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English (en)
Inventor
Mikio Sato
幹夫 佐藤
Asami Ito
朝美 伊藤
Hiroaki Iwasaki
浩明 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 試料中の細菌数を迅速、簡便に測定しうる細
菌検出器具を提供する。 【構成】 上部に開口1、底部に吸引手段との接続口2
及び、外周面に上下方向に伸びる突起部を有すると共
に、内部に吸水材4の置かれた略円筒状の基体部Aと、
上下に貫通する複数の管状部5と、上面の周辺部が低く
形成されて丘状の隆起が複数設けられ、且少なくとも管
状部5の上面を覆うように疎水性フィルターを装着して
いる細菌捕集・検出部Bと、上面に複数のロート状の導
入孔8が円周状に設けられ、前記複数の導入孔8の隣り
の導入孔8との間に第2の導入孔8′が設けられ、裏面
の周辺部に前記丘状の隆起に対応する丘状の隆起が複数
設けられ、側面のスカート部10の内面が順次厚肉部と
薄肉部に形成されており、導入孔8にプレフィルターが
装着されている細菌試料導入部Cとから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、専門的な技術や知識を
必要とすることなく、試料中の細菌数を迅速、かつ、簡
便に測定しうる細菌検出器具に関する。本発明は、尿中
の細菌が問題となる診断分野をはじめ、金属加工分野、
腐敗が問題となる染料分野,食品分野、河川,温泉,冷
却水などの環境分野など、広汎な分野において有効に利
用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、尿検査分野などでは、炎症の発見や病状を推定する
ために、尿等の試料中の細菌数等の測定が行なわれてい
る。例えば、尿中の細菌が増殖した場合、細菌尿症と診
断され、尿路感染症が暗示される。従って、早期治療や
薬投与のため、細菌数の測定を行なっている。このよう
な場合の細菌数の測定は、大部分の試料については平板
培養法により行なわれ、多くは市販キットを用いて実施
されている。より具体的には、例えば所定量の試料を寒
天平板培地などの上で37℃程度で24時間程度培養し
て、生成するコロニー数を求め、該コロニー数から細菌
数を測定することにより行なわれている。さらに、特に
重要と思われる尿細菌については、種々の市販のキット
を用いて病原菌の同定が行なわれているのが現状であ
る。しかしながら、これらの方法では、医者が患者の尿
を採取しても、検査結果が判るのは翌日である。したが
って、検査結果を待つことにより処置が遅れ、病状が悪
化したりするなど、病状に合わせた迅速、かつ、適切な
緊急処置ができないという問題がある。さらに、患者は
即日に治療が受けられず、時間的或いは経済的負担も大
きい。また、これらの方法では、特殊な技術や専門知識
が必要であり、培養設備のないところでは測定できない
などの問題点がある。
【0003】また、尿中の細菌を迅速簡便に検出する方
法として、亜硝酸塩試験法、カタラーゼ試験法、微量尿
糖試験法(いずれも「尿検査マニュアル」、吉沢一太
著、医歯薬出版、1991年発行)が知られている。ま
ず亜硝酸塩試験法は、濾紙により細菌を検出するもので
あり、尿中の硝酸塩がある種の細菌により還元されて亜
硝酸塩になることを利用したものであって、この亜硝酸
塩をグリース反応により検出する方法である。しかしな
がら、亜硝酸塩試験法は、硝酸塩還元活性のない菌を検
出することができないという欠点がある。次に、カタラ
ーゼ試験法は試薬が不安定で、特異性が低いという問題
がある。さらに、微量尿糖試験法では、緑膿菌、変形菌
が反応しないなどの問題点がある。
【0004】このため、負に帯電したフィルターを用い
て細菌を検出する方法が提案されている(特開平1−1
24767号公報) 。この方法は、尿を希塩酸溶液等の
強酸で希釈した後、負に帯電したフィルターに(滴下)
吸着し、次いでサフラニンを滴下して染色し、染色後、
希塩酸溶液を滴下して一次洗浄し、次いで希塩酸溶液を
滴下して二次洗浄し、色の強弱により判定するものであ
る。しかしながら、この方法ではフィルターに微生物を
吸着させる際、pH1〜3の強酸による前処理操作が必
要であると共に、希塩酸等の強酸が測定者の皮膚に触れ
ないように注意する必要があり、さらに、過剰な自由色
素を除去するために、二次にわたる洗浄操作を必要とす
るなど、操作が極めて煩雑であるという欠点がある。な
お、この方法は、白血球などの動物細胞も吸着し、染色
されるので、細菌特有の検出法とは言えないものであ
る。
【0005】さらに、尿などをEDTA存在下で、正に
帯電した孔径0.65μmの半透膜のエポキシ−ガラス
繊維フィルターに吸着させ、次いでサフラニン染色し、
しかる後、pH2.7〜4.0の洗浄剤で洗浄し、フィ
ルターに吸着された細菌の色の強弱により微生物の生菌
数を測定する方法が提案されている(特公昭56−38
196号公報、米国特許第4,336,337 号明細書) 。しか
しながら、この方法の場合、染色にキレート剤の添加が
不可欠である。しかも、この方法の場合、過剰な色素の
除去に、真空ポンプまたは吸引する設備が必要であり、
装置が大掛かりとなると共に、使用する場所が限定され
てしまうという欠点があった。すなわち、この方法は、
設備の整った大病院でのみ実施が可能であり、我が国で
大多数を占める小規模な病院或いは診療所では、実際上
実施することが困難であった。なお、この方法も、白血
球などの動物細胞も吸着し、染色されるので、細菌特有
の検出法とは言えないものである。
【0006】本出願人は、このような従来の欠点を解消
するものとして、微生物を疎水性フィルター上に捕集
し、次いで染色し、微生物の着色度から試料中の微生物
菌数を測定する方法を既に提案している(特開平4−2
18392号公報) 。この方法によれば、熟練した技術
や専門的な知識、特別な設備などを必要とせず、しかも
迅速、かつ、簡便に試料中の微生物菌数を測定すること
が可能となった。しかし、実際使用してみると、若干着
色度が低く、判定に時間を要するという問題があった。
また、実際上、熟練した技術や専門的な知識、特別な設
備などを必要とせず、しかも迅速、かつ、簡便に試料中
の微生物菌数を測定しうる細菌検出器具自体が強く要望
されていた。
【0007】本発明は、このような従来の欠点を解消
し、特別な設備や専門的な知識・技術を必要とせず、し
かも迅速(30秒以内に)、かつ、簡便に、試料中の細
菌数を測定しうる細菌検出器具を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、上部
に開口1を有し、底部に吸引手段との接続口2を有し、
かつ外周面に上下方向に伸びる複数の突起部3を有する
と共に、内部に吸水材4の置かれた略円筒状の基体部A
と、上下に貫通する複数の管状部5を有すると共に、上
面の周辺部が一段低く形成されて丘状の隆起6が複数設
けられており、かつ少なくとも前記管状部5の上面を覆
うように疎水性フィルター7を装着している細菌捕集・
検出部Bと、上面に複数のロート状の導入孔8が円周状
に設けられていると共に、前記複数の導入孔8の隣りの
導入孔8との間の円周上の中間位置に、第2の導入孔
8’が設けられ、裏面の周辺部に前記丘状の隆起6に対
応する丘状の隆起9が複数設けられ、側面のスカート部
10の内面が順次厚肉部11と薄肉部12に形成されて
おり、かつ前記導入孔8にプレフィルター13が装着さ
れている細菌試料導入部Cとからなり、前記基体部Aの
上に前記細菌捕集・検出部Bが、前記細菌捕集・検出部
Bの上に前記細菌試料導入部Cが順次結合しうるように
され、かつ前記管状部4と導入孔7とが上下方向に一直
線状となるように配置されていると共に、前記細菌試料
導入部Cが前記基体部Aに対して左右方向に回転可能と
されていることを特徴とする細菌検出器具を提供するも
のである。
【0009】以下、本発明の細菌検出器具を図面により
説明する。第1図は、本発明の細菌検出器具の一態様を
示す斜視図であり、この状態はプレフィルターを取り除
く前の状態を示しており、第2図は第1図の状態のもの
を右回りに60度回してプレフィルターを取り除いた状
態を示す斜視図である。また、第3図は第1図に示す本
発明の細菌検出器具を分解した状態を示す斜視図であ
る。次に、第4図は第1図における基体部Aの平面図で
あり、第5図はそのI−I線断面図である。また、第6
図は第1図における細菌捕集・検出部Bの平面図であ
り、第7図はそのII−II線縦断面図である。さら
に、第8図は第1図における細菌試料導入部Cの表面平
面図であり、第9図は第1図における細菌試料導入部C
の裏面平面図であり、第10図は第8図のIII−II
I線断面図である。次に、第11図は第1図に示す本発
明の細菌検出器具の断面説明図であり、第12図は第1
図の状態のものを左回りに60度回してプレフィルター
を取り除いた状態を示す平面図であり、第2図と同様の
状態のものである。また、第13図は、本発明の細菌検
出器具と組み合わせ得る支持部Dの一態様を示す平面図
であり、第14図は第13図の正面図である。最後に、
第15図は本発明の細菌検出器具の裏面図である。
【0010】本発明の細菌検出器具は、基本的に基体部
Aと、細菌捕集・検出部Bと、細菌試料導入部Cとから
なるものである。
【0011】まず基体部Aは、第4図,第5図などに示
すように、上部に開口1を有し、底部に吸引手段との接
続口2を有し、かつ外周面に上下方向に伸びる複数の突
起部3を有すると共に、内部に吸水材4の置かれた略円
筒状のものである。突起部3は通常は、等間隔に数箇所
(図では3箇所)設けておくとよい。この突起部3は、
基体部Aが、後述する細菌試料導入部Cの厚肉部11と
これに隣合う薄肉部12との間の角度の分だけ左右に回
転するときのストッパーの役割を果たしている。第15
図から明らかなように、基体部Aの外寸は、細菌試料導
入部Cの内寸より若干小さいものとされているが、この
突起部3の存在により左右に回転させた場合、両者の左
右への回転が抑えられることになる。
【0012】また、接続口2は、必要に応じて別途用意
するパイプなどの接続部品14を介して吸引手段(例え
ば吸引ポンプ、注射器など)と接続される。この接続口
2は第4図,第5図などに示すように、基体部Aの底部
中央から上へ向かって直立するように設けられている。
その高さは特に制限はないが、通常は基体部Aの高さの
半分程度の高さとする。なお、接続部品14の内部自体
或いは接続部品14の先に連結したミスト吸着材充填用
容器15には、布,綿,ポリエチレン製のミスト吸着材
などからなるミスト吸着材16を内装しておくことが、
細菌汚染を考慮した点で好ましい。第11図や第14図
では、接続部品14の先にミスト吸着材充填用容器15
を接続し、この末端に別途用意した吸引ポンプ等の吸引
手段を接続するものとしている。なお、吸水材4として
は、濾紙,ガーゼ,脱脂綿,不織布などを用いればよ
い。
【0013】なお、基体部Aの下部には、安定性を確保
したり、或いは後述する支持部Dと結合するために、底
面に支持部17を設けておくことが好ましい。さらに、
複数の細菌検出器具(基体部Aと細菌捕集・検出部Bと
細菌試料導入部とからなる狭義の意味の細菌検出器具)
を装着するために、支持部Dを組み合わせることが好ま
しい(この支持部Dを組み合わせたものを、広義の意味
の細菌検出器具と呼び、本発明においては、特に狭義の
細菌検出器具と説明しない限りは、この広義の意味のも
のを指す。)。支持部Dには、第11図、第13図、第
14図に示すように、基体部A底面(下側)の支持部1
7に嵌合する支持孔18が設けられており、また接続部
品14を介して基体部A底部に穿設されている吸引手段
との接続口2に結合しうる接続孔19が穿設されてい
る。これら支持孔18と接続孔19を複数個の細菌検出
器具(狭義の意味のもの)の分だけ設けることにより、
一度に2個以上の細菌検出器具(狭義の意味のもの)を
使用することが可能となる。なお、第11図や第14図
中において、符号20は支持部Dの脚である。
【0014】次に、細菌捕集・検出部Bは、第6図,第
7図などに示すように、上下に貫通する複数の管状部5
を有すると共に、上面の周辺部が一段低く形成されて丘
状の隆起6が複数設けられており、かつ少なくとも前記
管状部5の上面を覆うように疎水性フィルター7を装着
しているものである。この細菌捕集・検出部Bには、通
常、図示したように、前記基体部Aに結合(通常は嵌
合)するための突起部21が設けられている。従って、
この突起部21に対応する切欠き22を基体部Aの上面
周辺部に設けておくとよい。図では2箇所に突起部21
を設けたが、これに限られるものではない。また、後述
する細菌試料導入部Cから導入される色素液や洗浄液な
どの飛散を防ぐために、上下に貫通する管状部5の下端
は、基体部Aに嵌合した際に、基体部Aの高さの1/3
以上、好ましくは底面近くまで達するようにしておく。
【0015】さらに、細菌捕集・検出部Bの上面は円形
で、かつ全体としては平坦とされており、この上面に、
少なくとも前記管状部5の上面を覆うように(図では円
形状の)疎水性フィルター7が装着されている。なお、
細菌捕集・検出部Bの疎水性フィルター7を装着する面
には、疎水性フィルター7を装着する位置を示す印を設
けておくと効率的である。また、管状部5の上部には、
疎水性フィルター7との間に、これを支持する疎水性フ
ィルター支持部材23が設けられている。この疎水性フ
ィルター支持部材23としては、通常、多数の通気孔を
有するプラスチック製部材(例えば、ポリエチレン製部
材)からなるものが用いられる。
【0016】なお、細菌捕集・検出部Bの上面は円形
で、かつ全体としては平坦とされているが、上面の周辺
部が一段低く形成されて丘状の隆起6が複数、図では3
箇所設けられている。この丘状の隆起6は、通常、管状
部5の形成数と同じ数だけ、しかも管状部5の形成位置
と同じ角度にあたる周辺部の位置が一番高くなるように
形成されている。
【0017】本発明において用いる疎水性フィルター7
は、極性が弱いか、或いは極性がなく、過剰の色素の除
去が容易であるため細菌捕集用のフィルターとして好適
である。一方、極性のあるフィルターは過剰の色素の除
去が容易ではないため、好ましくない。このような疎水
性フィルターとしては、例えばナイロン系、ポリテトラ
フルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素
系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、或いはガ
ラス系などの疎水性フィルターが挙げられる。これらの
フィルターの中でも特にポリテトラフルオロエチレンや
ポリプロピレンを材料とする疎水性フィルターが、過剰
の色素の除去が容易であるため好ましい。また、親水性
の材料、例えばニトロセルロース系フィルターを表面処
理により疎水性にすれば、疎水性フィルターとして使用
することができる。ここで表面処理としてはコーティン
グなどであり、コーティングに用いる材料として、前記
ナイロン系,フッ素系,ポリオレフィン系の材料などを
用いることができる。
【0018】この細菌捕集用の疎水性フィルター7のろ
過孔径は、対象とする細菌の種類に応じて適宜選定すれ
ばよいが、通常は1〜4μm程度のものが用いられる。
捕集率やろ過性を考慮すると、2〜3μm程度のものが
好ましい。
【0019】この細菌捕集用の疎水性フィルター7の吸
引ろ過面積(着色面積)の大きさは、見やすければ特に
制限はない。吸引ろ過される部分の形は特に問わない
が、見やすさの点で円形が望ましく、その口径(直径)
が2〜6mm程度の円形のものが好ましい。この細菌捕
集用の疎水性フィルター7全体の大きさは特に制限はな
い。また、この疎水性フィルター7全体の形状は見やす
さの点で円形が好ましく、その口径(直径)は10〜2
5mm程度のものが好ましい。
【0020】この細菌捕集用の疎水性フィルター7の色
としては、用いる色素を考慮して、判定容易な色を定め
ればよい。着色の程度を容易に判定するためには、白色
の疎水性フィルターが好ましい。また、透明,半透明の
疎水性フィルターも用いることができる。
【0021】また、管状部5は、複数設けられており、
図示のものでは、後述する細菌試料導入部Cにおけるロ
ート状の導入孔8の設置数3に対応して3本設けられた
ものを示しているが、これに限られるものではなく、2
本、4本、5本、6本、というように設けることができ
るが、操作の便を考えると、通常、3本程度とするのが
良い。
【0022】さらに、本発明の細菌検出器具における細
菌試料導入部Cは、第8〜12図に示すように、上面に
複数のロート状の導入孔8が円周状に設けられていると
共に、前記複数の導入孔8の隣りの導入孔8との間の円
周上の中間位置に、第2の導入孔8’が設けられ、裏面
の周辺部に前記丘状の隆起6に対応する丘状の隆起9が
複数設けられ、側面のスカート部10の内面が順次厚肉
部11と薄肉部12に形成されており、かつ前記導入孔
8にプレフィルター13が装着されているものである。
【0023】すなわち、まず本発明の細菌検出器具にお
ける細菌試料導入部Cは、全体の形状が略帽子状であ
り、その上面に複数(図では3つ)のロート状の導入孔
8が円周状に設けられている。そして、通常、このロー
ト状の導入孔8の下端にプレフィルター13が装着され
ている。
【0024】このプレフィルター13は、試料中に細菌
より大型の動物細胞、例えば白血球などが共存する場合
に、そのような大型の動物細胞を予め捕集(前処理)し
ておくものであり、例えば、ろ過孔径が6〜8μm程度
のものが用いられる。このフィルターの全体の大きさは
特に制限がないが、その口径(直径)は5〜15mm程
度のものが好ましい。このようなプレフィルター13と
しては、極性が弱いか、或いは極性がなく、細菌の吸着
を妨げないことから、上記した如き疎水性のフィルター
を用いることが好ましい。
【0025】細菌試料導入部Cにおいては、前記複数の
導入孔8の隣りの導入孔8との間の円周上の中間位置
に、第2の導入孔8’が設けられている(第8図では3
つ設けられている。)。また、裏面の周辺部に、細菌捕
集・検出部Bに設けられている丘状の隆起6に対応する
丘状の隆起9が複数設けられている。さらに、側面のス
カート部10の内面が順次厚肉部11と薄肉部12に形
成されている。導入孔8と第2の導入孔8’とは、共に
少なくとも2以上設けられるが、その設置数により、後
に過剰色素の洗浄操作を行なう際の、回転角度が異なる
ことになる。例えば、第8図に示したように、3つの導
入孔8と、3つの第2の導入孔8’の合計6個の導入孔
を設けた場合には、後に過剰色素の洗浄操作を行なう際
の回転角度は6分の1回転(60度)となる。
【0026】また、細菌試料導入部Cには、必要に応じ
て、回転方向や角度などを示す絵表示などを設けておく
こともできる。さらに、細菌試料導入部Cの周囲には、
滑りを防止するために、所定間隔をおいて突起状物24
を設けたり、或いはキザミ目などを設けておくこともで
きる。例えば、3つの第2の導入孔8’の合計6個の導
入孔を設けた場合には、60度毎に突起状物24を6箇
所設けておけば、回転角度を知る目安となる。
【0027】本発明の細菌検出器具は、前記した如き基
体部Aの上に、前記細菌捕集・検出部Bが、前記細菌捕
集・検出部Bの上に前記細菌試料導入部Cが順次結合し
うるようにされ、かつ前記管状部5と導入孔8とが上下
方向に一直線状となるように配置されていると共に、前
記細菌試料導入部Cが前記基体部Aに対して左右方向に
回転可能とされている。
【0028】結合手段は特に制限はなく、嵌合や螺合な
どにより行なうことができる。図面では、基体部Aと細
菌捕集・検出部Bと細菌試料導入部Cとが全て嵌合せし
められたものを示しているが、これに限定されるもので
はない。要するに基体部Aの底部に設けられた吸引手段
との接続口2を除いては、およその密閉状態となるよう
に(厳密には疎水性フィルター7を介して外気は流入す
るので完全密閉状態ではないため)結合しうるものであ
ればよい。
【0029】前記管状部5と導入孔8とは、細菌試料導
入部Cを左右に回転させることにより、上下方向に一直
線状となるような位置関係に配置されているので、この
ように各部を結合させ、適宜、細菌試料導入部Cを左右
に回転させることにより、前記管状部5と導入孔8とが
上下方向に一直線状に並ぶようにする。この状態では細
菌捕集・検出部Bにおける管状部5の上面を覆うように
装着されている疎水性フィルター7と、細菌試料導入部
Cにおける導入孔8の下端に装着されているプレフィル
ター13とが、ほぼ当接する位置に存在するようにな
る。
【0030】また、本発明の細菌検出器具においては、
前記細菌試料導入部Cが、前記基体部A及び細菌捕集・
検出部Bに対して左右方向に回転可能とされており、ま
た細菌捕集・検出部Bに設けられた丘状の隆起6に対応
する丘状の隆起9が、細菌試料導入部Cに複数設けら
れ、さらに細菌試料導入部Cには側面のスカート部10
の内面が順次厚肉部11と薄肉部12に形成されている
ため、例えば細菌試料導入部Cを左へ回転(図では60
度回転)させることにより、細菌試料導入部Cと細菌捕
集・検出部Bとは、第2の導入孔8’における状態が、
当接状態から隔離状態を経て再度当接状態へと変化す
る。
【0031】本発明の細菌検出器具の大きさは特に制限
はないが、例えば一例を挙げると、細菌試料導入部Cの
形状を図示のような略帽子状とした場合、その直径が4
0〜50mm程度、ロート状の導入孔7の上端の直径が
7mm程度、細菌捕集・検出部Bの直径が35〜45m
m程度、全体を結合したときの高さが40〜50mm程
度のものである。本発明の細菌検出器具の容量は、使用
する洗浄液等の液量に応じて選択すればよい。また、材
質についても特に制限はないが、製作のし易さやコスト
の面を考慮すると、通常はポリエチレン,ポリプロピレ
ン,ポリスチレン等の樹脂からなるものが用いられ、そ
の他、ガラス製のものなどが用いられる。
【0032】本発明の細菌検出器具は、以上の如き構造
を有するものである。このような本発明の細菌検出器具
は、吸引手段,色素液,洗浄液,色の対照図と組合せら
れて、細菌数の検出に用いられる。以下、本発明の細菌
検出器具を用いて、細菌の検出を行なう方法について説
明する。この場合、全ての操作は吸引条件下で行なわれ
る。
【0033】検出するに際し、まず基体部Aの内部の低
い位置に吸水材4を入れ、次に、底部に設けられた吸引
手段との接続口2に接続部品14を連結し、この接続部
品14の内部か、或いは接続部品14の先にミスト吸着
材充填用容器15を連結し、その先に別途用意する吸引
手段を接続する。なお、吸引手段との接続は、次に述べ
る全体の結合後であってもよい。また、支台部Dを用い
る場合には、予め支台部Dに穿設されている接続孔19
の中に接続部品14を嵌め込み、この接続部品14の内
部か、或いは接続部品14の先にミスト吸着材充填用容
器15を連結し、その先に別途用意する吸引手段を接続
する。同時に、基体部Aの底面に設けられた支持部17
を支台部Dに設けられている支持孔18に嵌め込み固定
する。
【0034】次に、この基体部Aの上部に、細菌捕集・
検出部Bを結合し、さらに、この細菌捕集・検出部Bの
上部に細菌試料導入部Cとを被せ、左右に回転させて、
管状部5と導入孔8とが上下方向に一直線状に並ぶよう
にする。このように全体がおよその密閉状態となるよう
に結合して、検出の準備をする。以上のように、基体部
Aと細菌捕集・検出部Bと細菌試料導入部Cとを、およ
その密閉状態となるように結合することにより、吸引可
能となる。この状態では、細菌捕集・検出部Bにおける
管状部5の上面を覆うように装着されている疎水性フィ
ルター7と、細菌試料導入部Cにおける導入孔8の下端
に装着されているプレフィルター13とが、ほぼ当接す
る位置に存在するようになる。
【0035】以上のようにして全体を結合した後、吸引
手段より吸引しながら、試料採取ピペットなどを用い
て、細菌を含んだ試料(例えば尿など)を細菌試料導入
部Cのロート状の導入孔8からプレフィルター13に滴
下する。なお、検体(試料)の量は、2〜3滴程度で充
分であり、通常、50〜500μl、望ましくは100
〜300μlである。
【0036】本発明の細菌検出器具により細菌数を検出
することができる試料は、特に制限はなく、例えば尿を
初めとして、切削油,圧延油,熱処理油などの水溶性金
属加工油、液体調味料(例えば醤油,ソースなど),液
体飲食品(例えば発酵乳・乳酸菌飲料など),酒類(例
えばワイン,清酒など)などの液状食品、粉末や固形食
品(例えば野菜,魚肉など)の場合には洗浄した試料、
水溶性塗料等、さらには河川水,池水,水槽水,生活廃
水、温泉水,冷却水などの水等にも幅広く適用すること
ができる。なお、試料は必要に応じて、適宜、希釈した
り、或いは例えば固形食品などの場合には破砕した後
に、希釈したりするなどして測定用試料とするとよい。
本発明の細菌検出器具は、このような試料中に存在する
細菌、例えば大腸菌( Escherichia Coli ),黄色ブド
ウ球菌( Staphylococcus aureus ),緑膿菌( Pseudom
onas aeruginosa ) などについて、その総数を迅速に測
定しようとするものである。
【0037】このように吸引しながら、細菌を含んだ試
料をプレフィルター13に滴下すると、細菌を含んだ試
料中に含まれる、細菌より大型の動物細胞、例えば白血
球などがプレフィルター13上に残り、除去される。
【0038】一方、プレフィルター13を通過した、細
菌を含んだ試料は、次に細菌捕集・検出部Bにおける、
上下に貫通する管状部5の上面を覆うように装着されて
いる疎水性フィルター7に出会う(接触する)こととな
る。この結果、疎水性フィルター7に試料中の細菌が捕
集される。ここで本発明のような吸引濾過により行なう
手法は、加圧濾過の手法に比べ、吸引しながら一連の操
作で、捕集、染色、洗浄ができ、加圧濾過の手法のよう
なフィルターの差換えなどの操作がない点で好ましい。
また、疎水性フィルター7を通過した、残りの試料液
は、細菌捕集・検出部Bにおける、上下に貫通する管状
部5を通して、この管状部5の下側に置かれている吸水
材4に吸収される。
【0039】次に、必要に応じて、プレフィルター8の
上から、洗浄液を滴下して洗浄を行なう。洗浄液は、後
述する色素の洗浄に用いる洗浄液と同様のものでよい。
この洗浄液は、2〜3滴程度で充分であり、通常、50
〜500μl、望ましくは100〜300μlである。
なお、この洗浄も吸引条件下で行なう。この洗浄によ
り、感度が向上するとともに染色以降の濾過が容易にな
る。
【0040】次いで、上記のように吸引ろ過により細菌
捕集用の疎水性フィルター7へ捕集され、かつ洗浄され
た試料(細菌)について、染色を行なう。ここで細菌の
染色は各種色素を用い、これを色素液とし、この色素液
を、吸引条件下に、細菌を捕集した後の細菌捕集用の疎
水性フィルター7に添加(通常は滴下)することにより
行なえばよい。染色に用いる色素としては、細菌の染色
に使用可能な色素であればよく、例えばフクシン,サフ
ラニン,クリスタルバイオレット,ビクトリアブルーな
どが挙げられ、特に過剰の色素の除去のし易さの点よ
り、フクシン,サフラニンが好ましい。
【0041】上記色素は、水溶液(色素液)として使用
される。色素液とする際、必要に応じて、防腐剤、界面
活性剤等を添加することもできる。色素液の濃度は、通
常、0.0005〜2.0 %(w/v)、好ましくは 0.002〜1
%(w/v)とする。ここで色素液の濃度が、0.0005%
未満であると着色が不充分となり、一方、色素液の濃度
が2.0 %を超えると過剰の色素の除去が困難となるた
め、いずれも好ましくない。なお、必要に応じて、上記
の色素液に防腐剤としてエタノールを添加する場合には
1〜20%(v/v)添加すればよく、また、界面活性
剤を添加する場合には、界面活性剤を0.0001〜1%(w
/v)の割合で添加すればよい。上記色素液の調製にあ
たっては、予め所定濃度の色素液を作製しておき、これ
を後述する如き洗浄液を用いて希釈して、所望する濃度
のものとしてもよい。また、色素液の添加量(滴下量)
は、2〜3滴で充分であり、通常、100〜300μl
である。さらに、試料液量当たりの色素液量比は、0.
2〜3.0、好ましくは0.5〜2.0とする。0.2
未満では着色不良となり、3.0を超えると色素液が無
駄になり、いずれも好ましくない。
【0042】その後、本発明の細菌検出器具において
は、細菌試料導入部Cを取り外す必要はなく、細菌試料
導入部Cを、例えば左回りに所定角度回転させることに
より(図面では6分の1回転させることにより)、細菌
試料導入部Cを取り外したと同様の効果が図れる。すな
わち、細菌試料導入部Cを、例えば左回りに6分の1回
転させることにより、ある特定のロート状の導入孔8の
隣にある第2の導入孔8’が、従来のロート状の導入孔
8の位置に来るため、この第2の導入孔8’と前記管状
部5とが上下方向に一直線状となり、またロート状の導
入孔8の下端に装着されたプレフィルター13がロート
状の導入孔8と一緒に回転し、結果的にプレフィルター
13が除去されたと同様の結果となる。
【0043】従って、この状態で、第2の導入孔8’か
ら洗浄液を滴下することにより、過剰の色素を除去する
ことができる。このようにして細菌捕集用の疎水性フィ
ルター7に捕集され、かつ、染色された試料(細菌)か
ら、過剰の色素を洗浄により除去する。具体的には、吸
引条件下に、洗浄液を細菌試料導入部Cに設けられた第
2の導入孔8’から滴下すると、洗浄液は第2の導入孔
8’からを通じて、細菌捕集・検出部Bの管状部5の上
面に装着された疎水性フィルター7の上に滴下すること
になり、この結果、洗浄が行なわれることになる。な
お、プレフィルター13を取り除いてから、洗浄しても
よいし、或いは色素液を添加(滴下)して染色を行なっ
てもよい。
【0044】ここで用いる洗浄液としては、水,各種緩
衝液(pH6〜8程度のもの)を使用することができ
る。さらに、必要に応じて、各種界面活性剤を添加した
ものを用いてもよい。界面活性剤は、0.0001〜1.0 %
(w/v)の割合で添加すればよい。
【0045】洗浄液の使用量は、疎水性フィルターの吸
引ろ過面積(動物細胞捕集面積、すなわち着色面積)に
依存するため、一義的に決定することは困難であるが、
2〜3滴で充分であり、通常は50〜500μ1、好ま
しくは100〜200μ1とする。この場合、洗浄液の
使用量が50μ1未満であると洗浄が不充分であり、一
方、洗浄液の使用量が500μ1を超えると、細菌から
色素が漏出する可能性がある。洗浄液の使用量は、色の
対照表や検量線を作成する際の使用量と、細菌数未知試
料を洗浄する使用量とを等量にすることが、誤差を抑え
る意味で好ましい。
【0046】このように、本発明の細菌検出器具によれ
ば、細菌捕集用の疎水性フィルター7への捕集,染色及
び過剰の色素の洗浄除去を全て吸引条件下で行なうこと
ができるばかりか、プレフィルターを取り外すために細
菌試料導入部Cを取り外す必要がなく、バイオハザード
を除去することができると共に、複数の導入孔8から、
複数の検体(細菌試料)を同時に測定することができ
る。以上のようにして、本発明の細菌検出器具を用い、
複数の検体(細菌試料)を吸引ろ過しながら、各疎水性
フィルターに捕集し、染色し、次いで過剰の色素を洗浄
により除去し、各細菌の着色度から、それぞれの試料中
の細菌数を測定すればよい。
【0047】なお、本発明においては、色の対照図は別
途用意しておくものとし、上記の如くして得られた各疎
水性フィルター7の着色度と、別途用意された色の対照
図とを目視により比較して、各試料中の細菌数を測定す
る。細菌捕集用の疎水性フィルター7上に存在する細菌
の着色度、即ち色の強度を、色の対照図と比較すること
により、試料中の細菌数の測定を行なえばよい。
【0048】色の対照図は、細菌数が既知の試料を用
い、例えば特開平4−218392号公報や特願平5−
121963号明細書に記載した方法で染色,洗浄した
細菌捕集用の疎水性フィルターをカラー写真に撮ること
により、又は、この染色された細菌捕集用の疎水性フィ
ルターと同程度にろ紙等を着色したり、或いは同程度の
色を紙に印刷することにより、作成することができる。
【0049】例えば、尿中の細菌数を測定する場合に
は、次のようにして色の対照図を作成する。すなわち、
尿中細菌は健常人の尿にも低濃度〔多い場合でも1ml
(ミリリットル)当り1万個程度〕存在する。1ml当
り10万個以上の場合には有意と判断され、1ml当り
100万個以上の場合には細菌感染(細菌尿症)が確定
的である。従って、通常、1万個/ml,10万個/m
l,100万個/mlの3点の場合の標準色対照図を作
成すればよい。
【0050】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 実施例1 第1〜15図に示す如き細菌検出器具を用い、細菌尿患
者(女性、52才),健常人(男性、55才)の放出
尿、2種の乳酸菌飲料〔商品名:ブルガリア、明治乳
業製造、商品名:カスタード、高梨乳業製造〕の合計
4種を試料として、細菌数の測定を行なった。なお、尿
試料はそのまま使用し、乳酸菌飲料は滅菌水で1千倍に
希釈した液について分析を行なった。
【0051】ここで細菌検出器具は、3個のロート状の
導入孔8を有し、その大きさは細菌試料導入部Cの直径
が45mm、各ロート状の導入孔8の上端の直径が8m
m、細菌捕集・検出部Bの直径が40mm、全体を結合
したときの高さが38mmであった。また、プレフィル
ター13としては、細菌以外の大型の細胞を除去するた
めに、直径13mmのポリプロピレン製のプレフィルタ
ー13(ろ過孔径7μm)を用いた。さらに、細菌捕集
用の疎水性フィルター7としては、直径25mmのポリ
テトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター(ろ過
孔径3μm、東洋濾紙製)を用いた。まず、基体部Aの
内部の底面に吸水材(脱脂綿)4を入れ、次に、疎水性
フィルター7を貼付した細菌捕集・検出部Bを結合し
た。
【0052】次に、プレフィルター13を貼付した細菌
試料導入部Cを、細菌捕集・検出部Bの上から被せて、
上から押さえながら、右回りに回転させて、全体がおよ
その密閉状態となるように結合して、検出の準備をし
た。この際、管状部5と導入孔8とが上下方向に一直線
状に並ぶように細菌試料導入部Cを回転させた。なお、
吸引濾過される部分の口径は3mmとなるように、細菌
捕集・検出部Bの上部が構成されており、細菌試料導入
部Cにおける各ロート状の導入孔8の下部(直径3m
m)と符号するように構成されている。細菌試料導入部
Cには、第2の導入孔8’(直径8mm)が3個設けら
れているが、後述するように、過剰色素の洗浄に使用さ
れる。なお、染色液を添加した後、細菌試料導入部Cを
左回りで6分の1回転させた際、細菌捕集用の疎水性フ
ィルター7の着色部分が、第2の導入孔8’の中心部分
に来るように構成されている。また、プレフィルター1
3は、細菌試料導入部Cの表面に、細菌捕集用の疎水性
フィルター7は、細菌捕集・検出部Bにの裏面にそれぞ
れ貼付されている。
【0053】次に、ミスト吸着材充填用容器15にミス
ト吸着材16を入れて、接続部品14に連結して、支台
部Dに結合した。ミスト吸着材充填用容器15を吸引ポ
ンプに連結した。前述のようにして基体部A、細菌捕集
・検出部B、細菌試料導入部Cを結合した後、支台部D
に上から押さえつけるようにして連結し、吸引ポンプよ
り吸引しながら、試料採取ピペットなどを用いて、細菌
を含んだ試料2滴(約100μl)を細菌試料導入部C
のロート状の導入孔8からプレフィルター13に滴下す
ることにより、細菌を含んだ試料中に含まれる、細菌よ
り大型の動物細胞をこのプレフィルター13で除去する
と共に、細菌捕集用の疎水性フィルター7に細菌を捕集
した。ロート状の導入孔8は3個あるので、3個の分析
が可能である。次いで、吸引濾過しながら、プレフィル
ター13の上から、洗浄液〔 0.05 %(W/V )ツイーン2
0添加PBS緩衝液,pH7.0〕100μl を滴下し
て洗浄を行なった。その後、吸引濾過しながら、フクシ
ン染色液(濃度 0.005 % , W/V )を約100μl滴下
し、細菌捕集用の疎水性フィルター7に捕集された細菌
を染色した。
【0054】次いで、細菌試料導入部Cを左回りに60
度回転させ、この細菌試料導入部Cのロート状の導入孔
8の下端に装着されたプレフィルター13を移動させて
除いた。
【0055】同様に吸引条件下で、洗浄液〔 0.05 %(W/
V )ツイーン20添加PBS緩衝液,pH7.0〕10
0μl を、第2の導入孔8’の上から細菌捕集用の疎水
性フィルター7の上に滴下することにより、洗浄を行な
い、過剰の色素を除去した。操作は、全て吸引条件下で
行なった。使用する試薬類は、使用に当たり、0.5μ
mのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィル
ター(東洋濾紙製)でろ過して、微粒子を除去した。こ
の細菌捕集用の疎水性フィルター7上に存在する細菌の
着色度( 直径3mmの円の着色度) を、別途用意した色の
対照図(後述する)と目視により比較観察した結果、下
記の第1表の通りであった。測定時間は30秒であっ
た。なお、比較のために、寒天平板培養で測定した細菌
数も併せて示した。なお、尿試料ではCLED寒天平板
培地(日水製薬製)を用い、乳酸菌飲料では、BCP添
加プレートカウント寒天培地(栄研化学製)を用いてそ
れぞれ培養し、コロニー数より細菌数を計数した。な
お、尿試料はそのまま使用し、発酵乳は滅菌水で1千倍
に希釈した液について分析を行なった。
【0056】
【表1】
【0057】なお、色の対照図は、下記の如くして作成
したものを用いた。種菌として、大腸菌( Escherichia
coli )( ATCC 11303 ) 及び黄色ブドウ球菌( Staphyl
ococcus aureus )( IFO 3183 )を用いて以下の試験を行
なった。肉汁ブイヨン培地に種菌を接種して、37℃で
24時間の静置培養を行ない、培養液を標準試料用菌懸
濁液とした。一方、健常人男子の放出尿を採取して、ろ
過孔径が0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製メ
ンブレンフィルター(東洋濾紙製)でろ過して、細菌希
釈用液を調製した。この標準試料用菌懸濁液に所定量の
前記細菌希釈用液を添加して、各細菌数が1000個
/ml程度、1万個/ml程度、10万個/ml程
度、100万個/ml程度、1000万個/ml程
度の濃度となるように、5種の標準試料を調製した。な
お、細菌数はCLED寒天平板培地で、37℃、24時
間培養した際のコロニー数により計数した。
【0058】以下、上記した如き、細菌数の測定と同様
の手法にて、細菌の捕集と染色操作を行なった。細菌捕
集用の疎水性フィルター7上に存在する細菌の着色度(
直径3mmの円の着色度) を目視により観察した結果、下
記の第2表の通りであった。なお、尿の代わりに滅菌水
を希釈剤として用いた場合も同様の結果であった。これ
らの着色したフィルターを、標準サンプルとしてカラー
写真にとり、色の対照図とした。なお、大腸菌と黄色ブ
ドウ球菌との間で着色の程度に大差はなかった。
【表2】
【0059】比較例1 特開平4−218392号に記載された方法に従って、
尿中の細菌数を測定したところ、測定時間は3分であっ
た。
【0060】
【発明の作用・効果】本発明の細菌検出器具によれば、
試料中の細菌を吸引ろ過しながら疎水性フィルターに捕
集し、その後に、染色,洗浄を行なえばよく、吸引ろ過
条件下で連続的に、細菌の捕集,染色,洗浄の一連の操
作ができ、操作工程が簡便である。従って、本発明の細
菌検出器具によれば、専門的な技術や知識を必要とせ
ず、しかも、迅速、かつ、簡便に試料中の細菌数を測定
することができる。本発明の細菌検出器具によれば、通
常、30秒以内に判定可能である。しかも本発明の細菌
検出器具によれば、細菌の培養なしに、細菌の有無が分
かるので、病院の細菌検査の検体スクリーニングに活用
することができ、患者及び病院の経費軽減に貢献するこ
とができる。また、本発明の細菌検出器具は非常にシン
プルなものであって、吸引ポンプ等の吸引手段や色素
液、洗浄液等さえ用意すればよく、特別な機器を必要と
しないので、小規模な病院或いは診療所でも測定するこ
とができる。吸引ポンプや吸引設備がない場合には注射
器を用いて吸引すればよく、電源のない場所でも測定で
きるので、電源のない部屋や野外でも測定することがで
きる。さらに、本発明の細菌検出器具は、疎水性フィル
ターの濾過孔径を選択することにより、多くの細菌に適
用できるので、応用範囲も極めて広い。
【0061】また、本発明の細菌検出器具は、極めて簡
単、かつ、安価なものであって、特別な機器を必要とし
ないので、どのような現場においても使用することがで
きるという利点がある。特に、本発明の細菌検出器具は
一般の素人も使用することができるため、簡単に河川,
温泉水,海,池などの身の回りの水質の検査などが可能
となり、環境保全にも貢献することができるという特質
がある。さらに、本発明の細菌検出器具によれば、プレ
フィルターを取り外すために細菌試料導入部Cを取り外
す必要がなく、バイオハザードを除去することができ
る。また、本発明の細菌検出器具によれば、複数の検体
(細菌試料)を同時に測定することができる。従って、
本発明は、尿検査分野(診断領域)をはじめ、各種検査
に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の細菌検出器具の一態様を示
す斜視図であり、この状態はプレフィルターを取り除く
前の状態を示している。
【図2】第2図は第1図の状態のものを左回りに60度
回してプレフィルターを取り除いた状態を示す斜視図で
ある。
【図3】第3図は第1図に示す本発明の細菌検出器具を
分解した状態を示す斜視図である。
【図4】第4図は第1図における基体部Aの平面図であ
る。
【図5】第5図は第4図のI−I線断面図である。
【図6】第6図は第1図における細菌捕集・検出部Bの
平面図である。
【図7】第7図は第6図のII−II線縦断面図であ
る。
【図8】第8図は第1図における細菌試料導入部Cの表
面平面図である。
【図9】第9図は第1図における細菌試料導入部Cの裏
面平面図である。
【図10】第10図は第8図のIII−III線断面図
である。
【図11】第11図は第1図に示す本発明の細菌検出器
具の断面説明図である。
【図12】第12図は第1図の状態のものを左回りに6
0度回してプレフィルターを取り除いた状態を示す平面
図である。
【図13】第13図は、本発明の細菌検出器具と組み合
わせ得る支持部Dの一態様を示す平面図である。
【図14】第14図は第13図の正面図である。
【図15】第15図は本発明の細菌検出器具の裏面図で
ある。
【符号の説明】
A 基体部 B 細菌捕集・検出部 C 細菌試料導入部 D 支台部 1 開口 2 接続口 3 突起部 4 吸水材 5 管状部 6 丘状の隆起 7 疎水性フィルター 8 ロート状の導入孔 8’第2の導入孔 9 丘状の隆起 10 スカート部 11 厚肉部 12 薄肉部 13 プレフィルター 14 接続部品 15 ミスト吸着材充填用容器 16 ミスト吸着材 17 支持部 18 支持孔 19 接続孔 20 脚 21 突起部 22 切欠き 23 フィルター支持部材 24 突起状物

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部に開口1を有し、底部に吸引手段と
    の接続口2を有し、かつ外周面に上下方向に伸びる複数
    の突起部3を有すると共に、内部に吸水材4の置かれた
    略円筒状の基体部Aと、上下に貫通する複数の管状部5
    を有すると共に、上面の周辺部が一段低く形成されて丘
    状の隆起6が複数設けられており、かつ少なくとも前記
    管状部5の上面を覆うように疎水性フィルター7を装着
    している細菌捕集・検出部Bと、上面に複数のロート状
    の導入孔8が円周状に設けられていると共に、前記複数
    の導入孔8の隣りの導入孔8との間の円周上の中間位置
    に、第2の導入孔8’が設けられ、裏面の周辺部に前記
    丘状の隆起6に対応する丘状の隆起9が複数設けられ、
    側面のスカート部10の内面が順次厚肉部11と薄肉部
    12に形成されており、かつ前記導入孔8にプレフィル
    ター13が装着されている細菌試料導入部Cとからな
    り、前記基体部Aの上に前記細菌捕集・検出部Bが、前
    記細菌捕集・検出部Bの上に前記細菌試料導入部Cが順
    次結合しうるようにされ、かつ前記管状部5と導入孔8
    とが上下方向に一直線状となるように配置されていると
    共に、前記細菌試料導入部Cが前記基体部Aに対して左
    右方向に回転可能とされていることを特徴とする細菌検
    出器具。
  2. 【請求項2】 上部に開口1を有し、底部に吸引手段と
    の接続口2を有し、かつ外周面に上下方向に伸びる複数
    の突起部3を有すると共に、内部に吸水材4の置かれた
    略円筒状の基体部Aと、上下に貫通する複数の管状部5
    を有すると共に、上面の周辺部が一段低く形成されて丘
    状の隆起6が複数設けられており、かつ少なくとも前記
    管状部5の上面を覆うように疎水性フィルター7を装着
    している細菌捕集・検出部Bと、上面に複数のロート状
    の導入孔8が円周状に設けられていると共に、前記複数
    の導入孔8の隣りの導入孔8との間の円周上の中間位置
    に、第2の導入孔8’が設けられ、裏面の周辺部に前記
    丘状の隆起6に対応する丘状の隆起9が複数設けられ、
    側面のスカート部10の内面が順次厚肉部11と薄肉部
    12に形成されており、かつ前記導入孔8にプレフィル
    ター13が装着されている細菌試料導入部Cと、支持部
    Dからなり、前記支持部Dのうえに前記基体部Aが、前
    記基体部Aの上に前記細菌捕集・検出部Bが、前記細菌
    捕集・検出部Bの上に前記細菌試料導入部Cが順次結合
    しうるようにされ、かつ前記管状部5と導入孔8とが上
    下方向に一直線状となるように配置されていると共に、
    前記細菌試料導入部Cが前記基体部Aに対して左右方向
    に回転可能とされていることを特徴とする細菌検出器
    具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013015530A (ja) * 2012-09-05 2013-01-24 Asahi Group Holdings Ltd 微生物の検出方法
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