JPH08234006A - カプセル型再帰反射シート - Google Patents

カプセル型再帰反射シート

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JPH08234006A
JPH08234006A JP7326300A JP32630095A JPH08234006A JP H08234006 A JPH08234006 A JP H08234006A JP 7326300 A JP7326300 A JP 7326300A JP 32630095 A JP32630095 A JP 32630095A JP H08234006 A JPH08234006 A JP H08234006A
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JP
Japan
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resin
capsule
retroreflective sheet
type retroreflective
sheet according
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Application number
JP7326300A
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English (en)
Inventor
Katsura Ochi
桂 越智
Osamu Tanaka
修 田中
Manabu Ogawa
学 小川
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Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過性保護フィルムと支持体フィルムと
を、両フィルム間に間隙を残したまま部分的に連結する
連結壁の内部に充填不良箇所等がなく均一な構造及び形
状を有しており、強度及び長期耐候性に優れたカプセル
型再帰反射シートを提供すること。 【解決手段】 支持体フィルムを加熱溶融成形すること
により連結壁を形成してなるカプセル型再帰反射シート
において、支持体フィルムは180℃における剪断応力が
9×103〜1×105dyne/cm2の範囲内にある熱溶融性樹
脂と架橋剤とを含有してなり、架橋後に180℃における
剪断応力が1×106dyne/cm2以上の不融性の架橋した樹
脂を形成しうる樹脂組成物よりなることを特徴とするカ
プセル型再帰反射シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路標識、工事標
識等の標識類、自動車、オ−トバイ等の車両のナンバ−
プレート類、衣服、救命具等の安全用資材類、看板等の
マーキング等において有用な長期耐候性などの諸物性に
優れたカプセル型再帰反射シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より光を光源に向けて再帰反射させ
る再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性
を利用して、該シートは、上記のごとき利用分野で広く
利用されている。中でも気体の屈折率が低いことを利用
し、光透過性保護フィルムと支持体フィルムと両フィル
ムを連結する連結壁により気体を封入して、光の再帰反
射性能を高めたカプセル型再帰反射シートは、その優れ
た光再帰反射性能によりその用途が年々拡大しつつあ
る。
【0003】一般に、カプセル型再帰反射シートには、
レンズ型再帰反射性要素を配置したカプセルレンズ型再
帰反射シートと、キューブコーナー型再帰反射性要素を
配置したカプセルキューブコーナー型再帰反射シートが
ある。
【0004】カプセルレンズ型再帰反射シートは一般
に、図1に示すとおり、狭い気体層を介して対向する光
透過性保護フィルム(1)と支持体フィルム(2)及びこれら
両者を結合するために支持体フィルムを部分的に加熱溶
融成形した連続線状の連結壁(3)より構成されており、
該連結壁によって囲まれた多数の密封小区画空室(4)の
支持体フィルム上には、ほぼ下半球面が光反射膜である
金属蒸着膜(5)で覆われたガラスビーズ(6)が実質的に単
層で且つビーズの下半球面が該支持体フィルム中に埋没
するように埋設されている。
【0005】カプセルキューブコーナー型再帰反射シー
トは一般に、図2に示すように、狭い気体層を介して対
向する光透過性保護フィルム(7)と支持体フィルム(9)及
びこれら両者を結合するために支持体フィルムを部分的
に加熱溶融成形した連続線状の連結壁(10)より構成され
ており、該連結壁によって囲まれた多数の密封小区画空
室(11)の光透過性保護フィルム表面にはキューブコーナ
ー型再帰反射性要素(8)が全面にわたって均一に且つ密
に配置されている。
【0006】このようなカプセル型再帰反射シートに対
しては、その再帰反射性能の高さが最も重要な機能とし
て要望されているが、加えて、屋外使用等過酷な条件で
使用した場合でも、その高度の再帰反射性能を長期間維
持することのできる優れた耐候性や、視認性を高めるた
めの再帰反射シートの色の鮮やかさ等も重要な機能とし
て要求される。
【0007】カプセル型再帰反射シートを長期間屋外使
用した場合の再帰反射性能の低下は、ほとんどの場合、
密封小区画空室が破壊され、その中に雨水等が侵入する
ことにより引き起こされる。例えば、外気温度変化に伴
う密封小区画空室中の気体の膨張・収縮の繰り返しや、
再帰反射シートを貼着けた金属板等の被着体の伸縮の繰
り返し等に起因する保護フィルムのクラック;保護フィ
ルムと連結壁間界面での接着破壊;連結壁自体の破壊や
支持体フィルム自体の破壊等により、密封小区画空室の
気密性が失われて空室中に雨水等が侵入し、再帰反射性
能の重要な因子である該空室中の屈折率条件が変動した
り、また、例えばカプセルレンズ型再帰反射シートで
は、光反射膜である金属蒸着膜等が劣化して光反射性能
を失ったりして再帰反射性能が低下する。
【0008】中でも、保護フィルムと支持体フィルムと
を連結する連結壁は、その構成上、歪等の影響を最も受
け易く最も破壊され易い傾向にあり、実際、連結壁破壊
に起因する再帰反射シートの劣化、再帰反射性能の低下
が数多く発生している。従って、再帰反射シートの耐候
性を向上させるためには、優れた強度を有する連結壁を
形成することが最も重要である。
【0009】優れた強度を有する連結壁を形成するため
には、連結壁自体の強度を大きくすることが重要である
が、同時に、支持体フィルムを部分的に加熱溶融成形し
て連結壁を形成する際に、欠陥部のない均一な構造の連
結壁を形成することもまた重要である。
【0010】例えば、カプセルレンズ型再帰反射シート
の製造において、支持体フィルムを部分的に加熱溶融成
形して連結壁を形成する際に、溶融状態となった支持体
フィルムは、その表面に埋設されているレンズ相互間の
間隙を充填しながら流動して保護フィルムに接触し連結
壁を形成するが、この時支持体フィルムの流動性が不十
分であると、連結壁はその内部に充填不良箇所を有する
など不均一な構造や形状となって、その強度はきわめて
弱いものになる。
【0011】また例えば、カプセルキューブコーナー型
再帰反射シートの製造において、支持体フィルムを部分
的に加熱溶融成形して連結壁を形成する際に、溶融状態
となった支持体フィルムは、保護フィルムの背面に均一
且つ密に配置されているキューブコーナー型再帰反射性
要素の間隙に流れ込んで充填し連結壁を形成するが、こ
の時支持体フィルムの流動性が不十分であると、連結壁
はキューブコーナー型再帰反射性要素との界面に充填不
良箇所が形成されるなど不均一な構造となり、その強度
はきわめて弱いものになる。
【0012】以上述べたように、優れた強度を持つ連結
壁を形成するためには、支持体フィルムを部分的に加熱
溶融成形して連結壁を形成する際の支持体フィルムの流
動性が非常に重要である。
【0013】従来より、連結壁の強度を向上させるた
め、種々の試みがなされており、例えば、特公昭61−
13561号公報[=US4,025,159;DE2,
706,589(A)]には、支持体フィルムを加熱溶
融成形して連結壁(結合部組織)を形成した後、この連
結壁に放射線を照射することにより連結壁を架橋させて
強度向上を図ることが提案されている。
【0014】上記特公昭61−13561号公報では、
実施例1に例示されるとおり、カプセル型再帰反射シー
トは、以下に述べるように製造されている。
【0015】まず、熱可塑性ポリマーであるポリエチレ
ン(以下、PEと略記することがある)層上にガラスビ
ーズの一部を埋設し、その上部表面にアルミニウムなど
の金属を蒸着した仮支持体(PE層と紙よりなる)上
に、放射線硬化性組成物を塗布し乾燥させて支持体フィ
ルムを形成する。支持体フィルムは同公報実施例10で
例示されるように、ポリエチレンテレフタレート(以
下、PETと略記することがある)フィルムのごときフ
ィルム上に、同様の放射線硬化性組成物を塗布し乾燥さ
せることにより予め形成しておき、仮支持体上のガラス
ビーズ上に重ね押圧して一体としてもよい。
【0016】次に、感圧接着剤層を有するPETフィル
ムを支持体フィルムの背面に積層し貼り合わせた後、仮
支持体を剥離して、支持体フィルムと該支持体フィルム
中に金属蒸着膜で覆われたほぼ半球部分を埋設支持され
たガラスビーズの層とからなる基体シートをつくる。こ
の基体シートのガラスビーズ埋設側に光透過性の保護フ
ィルム(被覆フィルム)となるポリメチルメタクリレー
トフィルムを重ねて置き、この積層物を一方は平滑な平
面であり他方は凸状突起を有する一対の鋼鉄板に挟んで
加熱することにより、基体シートを部分的に加熱溶融成
形して該保護フィルムと基体シートを網目組織の連結壁
(結合部)によって積層結合し、次いで、得られた積層
シートに放射線を照射し、結合部を硬化してカプセルレ
ンズ型再帰反射シートを製造する。
【0017】上記特許公報においては、連結壁形成後に
放射線を照射して連結壁と保護フィルムとの密着性を上
げることが提案されている。しかし本発明者等が検討し
たところによれば、同公報実施例に開示されているよう
な官能基を持たないアクリル系重合体と二官能性単量体
のみでは、連結壁自体の強度は十分な耐候性を持つまで
には向上せず、他方、該連結壁の強度をさらに高めよう
とすると、加熱溶融成形時における支持体フィルムの流
動性が不十分となり、不均一な構造や不均一な形状の連
結壁が多く形成され、優れた耐候性を有する再帰反射シ
ートが得られ難いという欠点がある。
【0018】また、支持体フィルムに熱可塑性フィルム
を用いる試みもなされており、特開昭62−12104
3号公報[=US4,897,136;US5,064,2
72;EP225,103(A)]には、支持体フィル
ムに高分子量熱可塑性フィルムを用いた、カプセルレン
ズ型再帰反射シートの製造方法が提案されている。しか
しながらこの提案においては、支持体フィルムに熱可塑
性フィルムを用いるため、この支持体フィルムを加熱溶
融成形して得られる連結壁の強度には限界があり十分な
強度を有する連結壁を形成することができない。
【0019】さらに特開昭60−194405号公報
[=US4,653,854;DE3,508,701
(A);GB2,156,274(A)]には、上層側は
下層側より保護フィルムへの接着力が大きく、下層側は
上層側よりも凝集力の大きい二層構造を持つ支持体フィ
ルムを用いる方法が提案されており、同公報には、加熱
によって連結壁の成形が可能な流動状態となるが成形後
に常温で架橋されて硬化する性質の支持体フィルムが望
ましいとの記載がある。
【0020】しかしながら上記特開昭60−19440
5号公報においても、連結壁の加熱溶融成形時の支持体
フィルムの好適な流動特性については具体的には何ら示
されていないし、実際、本発明者等が検討したところに
よれば、同公報の実施例に示される支持体フィルム(支
持フィルム)形成用の樹脂と架橋剤との組合わせでは好
適な流動性は得られず、従って得られる連結壁の強度も
不十分なものとなりがちであることが判明した。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、カプセ
ル型再帰反射シートについて、種々検討を重ねた結果、
連結壁の加熱溶融成形時に好適な流動特性を示す、特定
の架橋剤を含む支持体フィルムを用いることにより、内
部に充填不良箇所のない均一な構造で且つ均一な形状を
有する連結壁を形成し、次いで該連結壁を架橋させてそ
の強度を顕著に向上させることにより、前記従来技術の
欠点がことごとく解消された優れたカプセル型再帰反射
シートが得られることを見い出し本発明を完成するに至
った。
【0022】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、光透過性保護フィルムと、支持体フィルムと、両フ
ィルム間に間隙を残したまま両フィルムを部分的に連結
する連結壁よりなり、該保護フィルム及び/又は該支持
体フィルムには再帰反射性要素が配置されており、該連
結壁は該支持体フィルムを加熱溶融成形することによっ
て形成されているカプセル型再帰反射シートにおいて、
該支持体フィルムが、架橋剤と反応しうる官能基を含有
し且つ180℃における剪断応力が9×103〜1×105dyne
/cm2の範囲内にある熱溶融性樹脂と架橋剤とを含有し
てなり、そして架橋反応後に180℃における剪断応力が
1×106dyne/cm2以上の不融性の架橋した樹脂を形成し
うる樹脂組成物よりなることを特徴とするカプセル型再
帰反射シートが提供される。
【0023】以下、本発明のカプセル型再帰反射シート
についてさらに詳細に説明する。
【0024】本発明のカプセル型再帰反射シートは、均
一な構造で均一な形状の連結壁を形成させるため、支持
体フィルムとして、架橋反応前の剪断応力が従来のもの
と比べて極めて小さい熱溶融性樹脂と架橋剤とを含有し
てなる樹脂組成物を用いることに大きな特徴を有してお
り、該支持体フィルムは、部分的に加熱溶融成形して、
光透過性保護フィルムと支持体フィルムとを両フィルム
間に間隙を残したまま部分的に連結する連結壁を形成し
た後、架橋反応を進行させることにより、従来のものと
比べ同等又はそれ以上の強度を有する不融性の架橋した
樹脂層を形成する。
【0025】支持体フィルムに用いられる熱溶融性樹脂
は、その架橋反応前の剪断応力が180℃において9×103
〜1×105dyne/cm2、好ましくは9.5×103〜9.5×104dy
ne/cm2、特に好ましくは1.4×104〜9×104dyne/cm2
範囲内にあるものであり、そして架橋反応により180℃
における剪断応力が1×106dyne/cm2以上、好ましくは
2×106dyne/cm2以上、特に好ましくは3×106〜3×107
dyne/cm2の範囲内の不融性の架橋した樹脂を形成する
ものである。
【0026】架橋反応前の剪断応力が上記上限値を超え
る熱溶融性樹脂は、連結壁の加熱溶融成形時に好適な流
動特性を示さないため、均一な構造及び形状を有する連
結壁を形成することが困難となるので好ましくなく、他
方、上記下限値未満の小さい剪断応力しかもたない熱溶
融性樹脂は、形成された連結壁の形状保持性が不十分と
なるので好ましくない。また、架橋反応後の架橋した樹
脂の剪断応力が1×106dyne/cm2より小さいと、連結壁
の強度を向上させることができず、得られるカプセル型
再帰反射シートの耐久性が不十分となるので好ましくな
い。
【0027】さらに、架橋反応後の支持体フィルムは、
70℃における引張強度が10kg/cm2以上、より好ましく
は20kg/cm2以上、より一層好ましくは30〜150kg/cm2
の範囲内であり、且つ、0℃における破断伸度が5%以
上、より好ましくは10%以上、さらに一層好ましくは20
〜50%であるという引張特性を有していることが望まし
い。
【0028】ここで、熱溶融性樹脂及び架橋反応後の支
持体フィルムの剪断応力並びに架橋反応後の支持体フィ
ルムの引張特性は以下の方法により測定される。
【0029】熱溶融性樹脂及び架橋した樹脂の剪断応
力:(株)東洋精機製作所製「キャピログラフ」を用いて
JIS K 7199記載の流れ特性試験方法により、熱溶融性樹
脂の剪断応力、及び該熱溶融性樹脂に架橋剤、後記のそ
の他の添加剤(セルロース誘導体、酸化チタンなど)を
配合した樹脂組成物が架橋反応により形成する架橋した
樹脂の剪断応力を、測定温度は180℃、押出速度は5mm
/分にて測定する。
【0030】架橋した樹脂の引張特性:上記樹脂組成物
を所定条件で架橋反応させて得た架橋した樹脂を測定試
料として、これを幅10mm、長さ46mmにカットし、(株)オ
リエンテック製「テンシロン」を用いて、つかみ間隔10
mm、引張速度100mm/分、測定温度70℃及び0℃で引張
試験を行い、測定温度70℃での最大応力を引張強度と
し、0℃での破断時の伸びを破断伸度とする。
【0031】なお、本発明のカプセル型再帰反射シート
において、支持体フィルムは必ずしも一層である必要は
なく、必要に応じて、種類及び/又は架橋度の相異なる
二層以上の構造をもつ支持体フィルムを用いることもで
き、また、該シートの強度を向上させる等の目的で、必
要に応じて、例えば支持体フィルムの背面に一層以上の
補強層を設けてもよい。
【0032】上記の如き特性を満足する本発明における
支持体フィルムは、前記のように架橋剤と反応しうる官
能基を含有する熱溶融性樹脂と架橋剤とを含有してな
り、架橋反応後に不融性の架橋した樹脂を形成しうる樹
脂組成物よりなるものである。そのような熱溶融性樹脂
としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系
樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレ
フィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂を挙げること
ができ、これらはそれぞれ単独で、或いは2種以上の樹
脂成分と共重合された形で又はブレンドした形で用いる
ことができるが、これらの中で耐候性に優れ、熱溶融特
性の調節が容易なアクリル系樹脂が好ましく、特に少な
くとも2種以上のアクリル系単量体を共重合して得られ
るアクリル系樹脂が好ましい。
【0033】本発明に用いることのできる熱溶融性樹脂
が含有しうる、架橋剤と反応しうる官能基としては、例
えば、水酸基、メチロール基、アミノ基、エポキシ基、
カルボキシル基、メルカプト基等の活性水素含有官能基
を挙げることができ、中でも水酸基が好適である。これ
らの官能基は、上記の樹脂の製造時にこれらの官能基を
有する単量体を共重合するか、これらの樹脂の製造後こ
れらの官能基を有する化合物を反応させるなどの手段に
より導入することができる。
【0034】熱溶融性樹脂中におけるこれらの官能基の
含有量は、特に限定されるものではなく、官能基の種類
や樹脂の種類等に応じて変えることができるが、通常、
熱溶融性樹脂1kg当り0.1〜5当量、特に0.2〜3当量、
さらに特に0.3〜2当量の範囲内とするのが好ましく、こ
れにより、架橋反応後の支持体フィルムの柔軟性を適度
に保持しつつ、架橋反応後の連結壁自体の強度を顕著に
向上させることができる。
【0035】本発明に特に好適に用いることのできる前
記アクリル系樹脂は、例えば、側鎖中に後述する架橋剤
と反応する官能基を有しないアクリル系単量体(以下、
非官能性単量体ということがある)の1種又は2種以上
を主成分とし、これを、側鎖中に水酸基、メチロール
基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、メルカプ
ト基等の活性水素含有官能基を有する単量体(以下、官
能性単量体ということがある)の1種又は2種以上と、
溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの重合法
により共重合させることにより製造することができる。
【0036】上記の非官能性単量体としては、例えば、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピル
アクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリ
レート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレー
ト、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレー
ト、2-エチルヘキシルアクリレート、i-ノニルアクリレ
ート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレー
ト、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレー
ト、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレ
ート、i-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメ
タクリレート、i-ノニルメタクリレート、n-ドデシルメ
タクリレート、i-ドデシルメタクリレート、シクロヘキ
シルメタクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリ
レート類を挙げることができ、また、官能性単量体とし
ては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメ
タクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチル
アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエ
チルアミノエチルメタクリレート等の(ジアルキル)ア
ミノアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジ
ルエーテル等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量
体;アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基含有エ
チレン性不飽和単量体などを挙げることができる。
【0037】上記アクリル系樹脂の中でも、例えば、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアク
リレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等の比較的
ガラス転移温度(以下、Tgと略称することがある)の
低い、好ましくはTgが10℃以下のホモポリマーを与え
る非官能性単量体20〜95重量%、メチルメタクリレー
ト、i-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート等の比較的Tgの高い、好ましくはTgが40℃以上
のホモポリマーを与える非官能性単量体95〜20重量%、
及び2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、アクリル酸、メタアクリル酸等の官能性単量体5
〜15重量%を共重合して得られるアクリル系樹脂が特に
好適である。
【0038】このようなアクリル系樹脂は、一般に、−
30〜50℃、好ましくは−10〜30℃、特に好ましくは−5
〜20℃の範囲内のTgをもつことができ、かかる樹脂を
用いることにより、好適な柔軟性をもち且つ充分な耐熱
性を有する支持体フィルムを形成することができる。な
お、本明細書において、Tgは以下に述べる示差走査熱
量測定法(DSC法)により測定した値である。
【0039】ガラス転移温度(Tg)の測定:厚さ約0.1
mmのアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約2.5mmの
円筒型のセルに、100℃で2時間乾燥した樹脂の試料約1
0mgを秤取して測定試料とし、示差走査熱量計〔Differe
ntal Scanning Calorimeter;セイコー電子工業(株)製
「SSC-5000」型〕を用い、−150℃から昇温速度5℃/m
inで試料のガラス転移温度前後の比熱容量差を測定し、
その結果からTgを決定する。
【0040】また、前記アクリル系樹脂は、一般に、1
万〜20万、好ましくは2万〜10万、特に好ましくは3万
〜8万の範囲内の重量平均分子量(以下、Mwと略称す
ることがある)を有することができる。Mwが該上限値
以下の樹脂は、支持体フィルムを加熱溶融成形して連結
壁を形成する際に、連結壁が不均一な構造及び形態とな
り連結壁の強度や保護フィルムと連結壁との接着強度が
著しく低下するといった不都合を生ずることがないので
好ましく、該下限値以上のMwをもつ樹脂は、ガラスビ
ーズを支持体フィルム中に押し込んで埋設するに際し
て、例えばニップ圧、ニップ温度など加工条件のわずか
な変動によりガラスビーズの埋没度合が変化してしまう
などの不都合が生ずることがないのでので好ましい。な
お、本明細書においてMwは、ゲル・パーミエイション
・クロマトグラフィ法(GPC法)により測定した値で
ある。
【0041】以上に述べた如き樹脂と併用することので
きる架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合
物、ポリアジリジン化合物、ポリエポキシ化合物、アミ
ノ系樹脂などを挙げることができ、中でもポリイソシア
ネート化合物が好適である。架橋剤の使用量は、厳密に
制限されるものではなく、架橋剤の種類や樹脂の種類等
に応じて広い範囲にわたって変えることができるが、一
般には、熱溶融性樹脂中の官能基1当量に対して、0.25
〜1.5当量、好ましくは0.5〜1.2当量、特に好ましくは
0.6〜1.1当量の範囲内とすることができる。
【0042】本発明に特に好適に用いられる熱溶融性樹
脂の官能基と架橋剤との組合わせのうちでも、架橋反応
が比較的緩やかで連結壁の加熱溶融成形時にも該熱溶融
性樹脂の流動性を阻害することがなく、その後の架橋反
応が常温で進行し、好ましくない副反応が生じず、架橋
密度が高くなって連結壁自体の強度が向上する等の理由
から、官能基として水酸基を用い、架橋剤としてポリイ
ソシアネート化合物を用いるのが特に好ましい。
【0043】本発明において特に好適に用いることがで
きる架橋剤である前記ポリイソシアネート化合物の具体
例としては、例えば、1,3-又は1,4-フエニレンジイソシ
アネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、1,
5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフエニルメタ
ンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフエニルメタン-
4,4'-ジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネ
ート等の芳香族ポリイソシアネート;例えば、1,4-テト
ラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレン
ジイソシアネート、1,8-オクタメチレンジイソシアネー
ト、1,10-デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポ
リイソシアネート;例えば、1,3-又は1,4-シクロヘキシ
レンジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン-2,4-
又は-2,6-ジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
1,3-イソシアネートメチルシクロヘキサン等の脂環族ポ
リイソシアネート;これらイソシアネートの2量体又は
3量体;これらイソシアネートと、例えば、エチレング
リコール、トリメチロールプロパン等の2価又は3価の
ポリオールとのアダクト体などが挙げられる。
【0044】これらのポリイソシアネート化合物のうち
でも、得られる再帰反射シートの耐候性のよさ、耐黄変
性の優秀さ等の観点から、脂肪族ポリイソシアネート化
合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、これらイソシ
アネートの2量体または3量体、これらイソシアネート
と2価又は3価のポリオールとのアダクト体などを使用
することが好ましい。
【0045】本発明において支持体フィルムを構成する
前記樹脂組成物には、架橋剤と反応しうる官能基を含有
する熱溶融性樹脂と架橋剤との他に、さらに必要に応じ
て、セルロース誘導体を含有させることができる。該セ
ルロース誘導体は、支持体フィルムの改質剤として機能
し、該支持体フィルムに優れた耐伸縮強度、耐熱性等の
機能を付与することができ、その結果、本発明のカプセ
ル型再帰反射シートに優れた耐候性等の特性を付与する
ことができる。
【0046】上記のセルロース誘導体としては、そのT
gが好ましくは90℃以上、より好ましくは100〜190℃、
さらに好ましくは100〜170℃の範囲内であるものを用い
るのがよく、また、該セルロース誘導体は、一般に、1
5,000以上、特に20,000〜80,000の範囲内の数平均分子
量(Mn)がをもつものが好ましい。
【0047】セルロース誘導体の種類は、特に限定され
るものではなく、市販の各種セルロース誘導体を用いる
ことができるが、通常は耐水性に優れ、改質効果の大き
いセルロースエステルを使用するのが好ましく、特にア
シル化率が10〜90%、好ましくは30〜70%、さらに好ま
しくは40〜60%の範囲内のセルロースのアシルエステル
を用いるのが好適である。このようなセルロースアシル
エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート
プロピオネート等が特に好適に用いられる。
【0048】このようなセルロース誘導体は、前記熱溶
融性樹脂100重量部に対して、一般に0〜50重量部、好
ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部
の範囲内の割合で使用することができる。
【0049】本発明に用いることのできる前記樹脂組成
物はまた、必要に応じて、有機溶剤不溶性ないし難溶性
及び/又は熱不融性ないし難融性の微粒子状樹脂を熱溶
融性樹脂マトリックス相中に添加分散させて用いること
もできる。該微粒子状樹脂は、通常、平均粒子径が0.01
〜4.0μm程度の単層単一球状、複層単一球状又はこれら
単一球状がいくつか集合して形成された複合球状等の粒
子形状であって、該微粒子状樹脂を構成する樹脂成分は
架橋反応等によって極めて大きい分子量を有するもので
あり、具体的には、例えば、「工業材料」(日刊工業新
聞社発行)第38巻第9号(1990年)第100頁の微粉状ポ
リマーの商品名とメーカー一覧に記載されている微粉状
ポリマー、特公昭59−36645号公報(=US4,
025,525)に記載されている多層構造重合体組成
物等が挙げられる。このような微粒子状樹脂は、前記熱
溶融性樹脂100重量部に対して、一般に50重量部以下、
例えば3〜30重量部、特に5〜20重量部の範囲内の割合
で用いることができる。
【0050】本発明において支持体フィルムを構成する
前記樹脂組成物には、必要に応じてさらに、例えば、酸
化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、黄鉛、シアニンブルー、シアニングリーン等の
体質顔料ないし着色顔料;例えば、ベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シア
ノアクリレート系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;例え
ば、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノー
ル系光安定剤等の光安定剤;例えば、フェノール系酸化
防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸
化防止剤等の酸化防止剤;例えば、イミダゾール誘導
体、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、クマリン
誘導体、イミダゾロン誘導体等の蛍光漂白剤などその他
の添加剤を通常の量で配合することができる。
【0051】本発明において用いられる前記樹脂組成物
は、好ましくは800〜4,000g/10分、より好ましくは900
〜3,000g/10分、特に好ましくは1,000〜2,000g/10分
の範囲内の溶融指数(以下、MI値ということがある)
をもつことができる。該樹脂組成物のMI値が該上限値
以下であれば、ガラスビーズを支持体フィルム中に押し
込んで埋設するに際して、例えばニップ圧、ニップ温度
など加工条件の僅かな変動によりガラスビーズの埋没度
合が変化してしまうなどの不都合が生ずることがないの
で好ましく、該下限値以上であれば、支持体フィルムを
加熱溶融成形して連結壁を形成する際に、連結壁が不均
一な構造及び形態となり連結壁の強度や保護フィルムと
連結壁との接着強度が著しく低下するといった不都合を
生ずることがないのでので好ましい。なお該MI値は、
下記に述べるようにしてASTM D 1238に準じて測定した
値である。
【0052】溶融指数(MI値)の測定:(株)テクノ・
セブン製「メルトインデクサー」を用い、ASTM D 1238
記載の流れ特性試験方法により溶融指数を求める。測定
温度は230℃、荷重は1.2kgとする。なお測定試料として
は、熱溶融性樹脂に架橋剤を除く各種添加物を所定量配
合して得られた支持体フィルム形成用樹脂組成物の溶液
より作成したものを使用する。
【0053】本発明のカプセル型再帰反射シートは、支
持体フィルムの構成材料として、以上に述べた、180℃
における剪断応力が9×103〜1×105dyne/cm2の範囲
内にある熱溶融性樹脂と架橋剤とを含有してなり、架橋
反応後に180℃における剪断応力が1×106dyne/cm2
上の不融性の樹脂となるような樹脂組成物を用いる点を
除けば従来より既知の材料及び方法、例えば、特開昭6
0−194405号公報(=US4,653,854)、
特開平2−196653号公報等に記載の材料及び方法
を用いて製造することができる。
【0054】その一例としてカプセルレンズ型再帰反射
シートの製造例を以下に示す。
【0055】まず、ポリエチレン等の熱可塑性ポリマー
を表面層として有する工程紙などを仮支持体として用
い、これを加熱することにより該熱可塑性ポリマー層を
軟化させ、その上に、屈折率が約1.7〜2.0程度、平均粒
子径が20〜150μm程度のガラスビーズを密に且つ実質的
に単層となるように散布し、ニップロール等を用いて該
ガラスビーズをその直径の約1/3〜1/2程度が熱可塑性ポ
リマー層中に埋没するように埋設し、露呈しているガラ
スビーズ表面に光反射性要素としてアルミニウム等の金
属を真空蒸着してガラスビーズの約半球面を金属蒸着膜
で覆う。
【0056】次に、例えばシリコーン系剥離処理剤で表
面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム等の工
程基材上に、予め溶液コーティング法等によって形成し
た支持体フィルムを、該支持体フィルムと上記仮支持体
上のガラスビーズの金属蒸着された面とが対向するよう
に重ね合わせ、必要ならば熱をかけ支持体フィルムを軟
化させながら、ニップロール等を用いてガラスビーズを
その直径の1/3〜1/2程度が支持体フィルム中に埋没する
ように押し込む。この時、仮支持体の前記熱可塑性ポリ
マー上にある金属蒸着膜が支持体フィルムに転写しない
ように、金属蒸着膜と支持体フィルム表面との間に少し
間隙をあけるようにして押し込むことが好ましい。また
この時、ガラスビーズが埋設され金属蒸着膜が施された
仮支持体の金属蒸着膜上に、例えば、カップリング剤を
含有した薄膜など適宜の薄膜を設けて、金属蒸着膜が直
接支持体フィルムと接触しないようにすることもでき
る。上記カップリング剤としては、例えば、メチルメト
キシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルメトキシ
シラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルメトキシシ
ラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイ
ソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジト
リデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリ
ルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファ
イト)チタネート等のチタネート系カップリング剤;ジ
イソプロピレートアルミニウムオレイルアセトアセテー
ト、イソプロピレート(アクリレート)アルミニウムオ
レイルアセトアセテート、イソプロピレート(アセトア
セテート)アルミニウムオレイルアセトアセテート等の
アルミニウム系カップリング剤;2-アミノプロピオニル
ジルコアルミネート、2-カルボキシプロピオニルジルコ
アルミネート、ミリストイルジルコアルミネート等のジ
ルコアルミネート系カップリング剤などを挙げることが
できる。
【0057】支持体フィルムの厚みは、厳密に制限され
るものではなく、使用する樹脂の種類、ガラスビーズの
大きさなどに応じて広範囲にわたって変えることができ
るが、一般には、20〜200μm、好ましくは30〜150μm、
さらに好ましくは50〜120μmの範囲内に設定するのが好
都合である。
【0058】なお、上記支持体フィルムは前記のように
必ずしも一層である必要はなく、必要に応じて、種類及
び/又は架橋度の相異なる二層以上の構造を持つ支持体
フィルムを用いることもできる。このような複層の支持
体フィルムも、前記と同様、それぞれ架橋剤と反応しう
る官能基を含有する熱溶融性樹脂と架橋剤とを含有して
なり、架橋反応後に不融性の架橋した樹脂を形成しうる
樹脂組成物により形成することができる。
【0059】このような複層の支持体フィルムをつくる
ための熱溶融性樹脂としては、前記と同様、例えば、ア
クリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニル系
樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
アミド系樹脂等の樹脂等が使用され、これらはそれぞれ
単独で或いは2種以上の樹脂成分と共重合された形で又
はブレンドした形で用いることができる。これら熱溶融
性樹脂のTg、Mw、官能基の種類と含有量、良好な架橋
剤の組合わせと添加量及びその他の添加剤(セルロース
誘導体、体質顔料ないし着色顔料、紫外線吸収剤、光安
定剤、酸化防止剤、蛍光漂白剤等)などは、前記支持体
フィルムについて述べたと同様のものとすることがで
き、複層の互いに隣接する層は、それぞれ異なる種類の
熱溶融性樹脂、異なる種類の架橋剤、異なる配合組成及
び/又は異なる架橋度の層とすることができる。各層の
厚みは設ける層の数に応じて広範囲にわたって変えるこ
とができるが、通常は、支持体フィルム全体の厚みが前
記のとおり20〜200μmの範囲内になるように設定するの
が好都合である。
【0060】また、本発明のカプセル型再帰反射シート
において、その強度を向上させる等の目的で、必要に応
じて、例えば支持体フィルムの背面に一層以上の補強層
を設けることもできる。このような補強層も、前記と同
様、架橋剤と反応しうる官能基を含有する熱溶融性樹脂
と架橋剤とを含有してなり、架橋反応後に不融性の架橋
した樹脂を形成しうる樹脂組成物により形成することが
できるが、通常、支持体フィルムより架橋度を高くする
など相対的に強靭なものとするのが好ましい。該補強層
の厚みは、一般に10〜100μm、特に30〜80μmの範囲内
に設定するのが好都合である。
【0061】さらに、光透過性保護フィルムとの密着性
の向上、連結壁の強度向上等の観点から、場合により、
支持体フィルムの層のうちビーズを埋設支持する側の表
面の層を低架橋度に設定し、補強層に近くなるに従って
熱溶融性樹脂の官能基含有量及び/又は架橋剤添加量を
増して架橋度を増加させた層を順番に積層して支持体フ
ィルム及び支持体フィルム−補強層積層物を形成するこ
ともできる。
【0062】次に、工程基材上の支持体フィルムと前記
仮支持体上のガラスビーズの金属蒸着された面とが対向
するように重ね合わされた積層物から、該仮支持体を剥
離し、露呈したガラスビーズ面に光透過性保護フィルム
を重ね合わせる。
【0063】本発明のカプセル型再帰反射シートに用い
うる光透過性保護フィルムは、少なくとも20%以上、好
ましくは40%以上の全光線透過率を有し、ある程度の柔
軟性を有するものであればその材質には特に制限はな
く、例えば、アクリル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フ
ィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、塩化ビニル系樹
脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリエ
ステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム
などが挙げられる。これらの光透過性保護フィルムとし
ては、耐候性に優れたフィルムが好ましく、中でも、ア
クリル系樹脂フィルム及びフッ素系樹脂フィルムが耐候
性に優れており、屋外において長期使用する再帰反射シ
ート用の保護フィルムとして特に好適である。
【0064】これら保護フィルムは一般に、未延伸のも
のであることが好ましい。その理由は、一軸または多軸
延伸したフィルムは機械的強度は大きくなるものの、フ
ィルム中に歪が残り、得られる再帰反射シートの耐久性
を損なうことがあるからである。
【0065】また、保護フィルムは、前述した支持体フ
ィルムとの接着性が乏しい場合には、支持体フィルムに
面する表面に接着性向上処理を施しておくことが望まし
い。接着性向上処理としては、それ自体既知の方法を採
用することができ、例えば、コロナ放電処理、プラズマ
放電処理、プラズマコート処理等を用いることができ
る。中でも、コロナ放電処理は比較的操作が容易で且つ
効果的にも優れており、好適な手段である。
【0066】保護フィルムの厚みは、再帰反射シートの
用途等に応じて広い範囲にわたり変えることができる
が、通常、20〜200μm、好ましくは40〜150μm、特に好
ましくは50〜100μmの範囲内とすることができる。
【0067】次いで、支持体フィルムと保護フィルムと
を重ね合わせたものを、その状態を保持しつつ、連続線
状の突起を有するエンボスロール等を用いて支持体フィ
ルムを加熱しながら部分的に加熱溶融成形し、保護フィ
ルムと支持体フィルムとを連続線状の連結壁により連結
する。この後例えば約30〜約40℃の温度に加温すること
により又は室温に所定時間放置することにより、支持体
フィルム及び連結壁を形成する樹脂組成物を架橋させ、
不融性の架橋した樹脂層を形成させる。
【0068】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。
【0069】実施例1 軟化温度約105℃のポリエチレン(PE)を紙にラミネ
ートした仮支持体を約105℃に加熱し、この上に平均粒
子径約65μm、屈折率約1.91のガラスビーズを均一に且
つ密に単層で分散させた後、ニップロールにより加圧し
てガラスビーズをその直径の約1/3だけPE中に埋め込
んだ。
【0070】その後、仮支持体のガラスビーズが露呈し
ている面に、アルミニウムを真空蒸着し、ガラスビーズ
のほぼ半球面に厚さ約0.1μmの金属蒸着膜を形成した。
【0071】次に、剥離処理を施した厚さ20μmのポリ
エチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、固形
分50重量%のアクリル系樹脂溶液〔メチルメタクリレー
ト(MMA)34重量%、エチルアクリレート(EA)61
重量%、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)5重量%を共重合させたアクリル系樹脂(Tg約10
℃、Mw約4万、OH基量約0.38当量/kg、剪断応力6.5
×104dyne/cm2)の酢酸エチル/トルエン溶液〕100重
量部と酸化チタン15重量部を混合して得られるアクリル
系樹脂溶液に対し、固形分15重量%のセルロースアセテ
ートブチレート(CAB)(Tg約130℃、Mn約3万、
アシル化率約52%)を含むメチルイソブチルケトン(M
IBK)溶液33重量部及び固形分75重量%のヘキサメチ
レンジイソシアネート(HMDI)系架橋剤「スミジュ
ールN」〔ビウレットタイプ、住友バイエルウレタン
(株)製〕5重量部〔NCO基/OH基=約1.0(当量
比)〕を混合して得られる支持体フィルム形成用樹脂組
成物溶液を塗布・乾燥して厚さ約110μmの支持体フィル
ムを得た。この支持体フィルムのMI値を測定したとこ
ろ1300g/10分であった。
【0072】この支持体フィルムを、先に作った仮支持
体上の金属蒸着されたガラスビーズの上に重ね合わせ、
70℃に加熱しながら、900kg/mの線圧で加圧して、ガラ
スビーズの直径の約1/3を支持体フィルム中に埋め込ん
だ。次いで、得られた積層シートから仮支持体であるP
Eラミネート紙を剥離して、ガラスビーズを支持体フィ
ルムに転写した。
【0073】次に、ガラスビーズが転写された支持体フ
ィルム上に、厚さ約75μm、全光線透過率約93%の無延
伸アクリルフィルムを、ガラスビーズとアクリルフィル
ムが対向するように重ね合わせ、線幅約0.3mmの網目状
突起を有する表面温度が約170℃の金属ロールと表面温
度が約60℃のゴムロールの間を、アクリルフィルム側が
ゴムロールと接触するようにして通過させながら、金属
ロールを剥離処理PETフィルム側から加圧押し当てて
部分的加熱溶融成形を行った。その後、室温で20日間エ
ージングし、支持体フィルムの架橋を実質的に完結させ
た。支持体フィルムの架橋反応後の剪断応力は1.2×107
dyne/cm2で、70℃における引張強度が38kg/cm2であ
り、0℃における伸びが36%であった。
【0074】得られた加熱溶融成形物より、剥離処理P
ETフィルムを除去し、別途厚さ約75μmのシリコン処
理PET剥離フィルム上に形成した厚さ約40μmのアク
リル系感圧接着剤〔日本カーバイド工業(株)製、商品名
「ニッセツ KP−997」により作成〕を、支持体フィルム
と感圧接着剤が接触するようにして積層貼り合わせて再
帰反射シートを作成した。
【0075】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においても、再帰反射性能低下率
が少なく、光透過性保護フィルムの剥がれもほとんど無
い優れた特性を有するものであった。
【0076】実施例2 実施例1において、支持体フィルム形成用樹脂組成物溶
液として、固形分50重量%のアクリル系樹脂溶液〔MM
A 22重量%、EA 63重量%、HEMA 15重量%を共
重合させたアクリル系樹脂(Tg約5℃、Mw約7万、O
H基量約1.15当量/kg、剪断応力7.7×104dyne/cm2
の酢酸エチル/トルエン溶液〕100重量部と酸化チタン1
5重量部を混合して得られるアクリル系樹脂溶液に対
し、固形分15重量%のCAB(実施例1で用いたものと
同じ)を含むMIBK溶液33重量部及び固形分75重量%
のHMDI系架橋剤(実施例1で用いたもの)14重量部
〔NCO基/OH基=約0.9(当量比)〕を混合して得
られる樹脂組成物溶液を用いた以外は全て実施例1と同
様にして再帰反射シートを作成した。
【0077】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においても、再帰反射性能低下率
が少なく、光透過性保護フィルムの剥がれもほとんど無
い優れた特性を有するものであった。
【0078】実施例3 実施例1で用いたと同様のPETフィルム上に、固形分
50重量%のアクリル系樹脂溶液〔MMA 20重量%、E
A 65重量%、HEMA 15重量%を共重合体させたアク
リル系樹脂(Tg約2℃、Mw約12万、OH基量約1.15当
量/kg)の酢酸エチル/トルエン溶液〕100重量部に対
し、固形分75重量%のHMDI系架橋剤(実施例1で用
いたもの)14重量部〔NCO基/OH基=約0.9(当量
比)〕を混合して得られる補強層形成用樹脂溶液を塗布
し、乾燥して厚さ約30μmの補強層を得た。次いでこの
補強層の上に実施例1と同様の支持体フィルム形成用樹
脂組成物溶液を塗布し、乾燥して厚さ約75μmの支持体
フィルムを形成することにより補強層−支持体フィルム
積層物を得た。次に実施例1における支持体フィルムの
代わりに、この積層物を用いた以外は全て実施例1と同
様にして再帰反射シートを作成した。
【0079】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においても、再帰反射性能低下率
が少なく、光透過性保護フィルムの剥がれもほとんど無
い優れた特性を有するものであった。
【0080】実施例4 実施例3と同様にして、補強層−支持体フィルム積層物
を形成した後、実施例1における無延伸アクリルフィル
ムの代わりに、暑さ50μmのPETフィルム上に押し
出し成形した厚さ約50μmのポリフッ化ビニリデン系
樹脂フィルム[電気化学工業(株)製品「DXフィル
ム」]を用い、ガラスビーズとポリフッ化ビニリデン系
樹脂フィルムが対向するように重ね合わせ、ポリフッ化
ビニリデン系樹脂フィルム側のPETがゴムロールと接
触するようにして部分的熱溶融成形を行った以外は全て
実施例1と同様にして再帰反射シートを作成した。
【0081】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においても、再帰反射性能低下率
が少なく、光透過性保護フィルムの剥がれもほとんど無
い優れた特性を有するものであった。
【0082】比較例1 実施例1において、支持体フィルム形成用樹脂混合液と
して、固形分50重量%のアクリル系樹脂溶液〔MMA 2
5重量%、EA 70重量%、HEMA 5重量%を共重合
体させたアクリル系樹脂(Tg約0℃、Mw約2万、OH
基量約0.38当量/kg、剪断応力8.5×103dyne/cm2)の
酢酸エチル/トルエン溶液〕100重量部と酸化チタン15
重量部を混合して得られるアクリル系樹脂溶液に対し、
固形分15重量%のCAB(実施例1で用いたものと同
じ)を含むMIBK溶液33重量部及び固形分75重量%の
HMDI系架橋剤(実施例1で用いたもの)5重量部
〔NCO基/OH基=約1.0(当量比)〕を混合して得
られる樹脂組成物溶液を用いた以外は、全て実施例1と
同様にして再帰反射シートを作成した。
【0083】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。そして得られたカプセルレンズ型再帰反射
シートは、過酷な耐候性試験においては、再帰反射性能
低下率が大きく、また光透過性保護フィルムの剥がれも
大きく十分な耐候性を得ることができなかった。
【0084】比較例2 実施例1において、支持体フィルム形成用樹脂混合液と
して、固形分40重量%のアクリル系樹脂溶液〔MMA 4
0重量%、EA 55重量%、HEMA 5重量%を共重合
体させたアクリル系樹脂(Tg約16℃、Mw約4万、OH
基量約0.38当量/kg、剪断応力8.4×104dyne/cm2)の
酢酸エチル/MIBK溶液〕100重量部と酸化チタン40
重量部を混合して得られるアクリル系樹脂溶液に対し、
固形分75重量%のHMDI系架橋剤(実施例1で用いた
もの)1.4重量部〔NCO基/OH基=約0.35(当量
比)〕を混合して得られる樹脂組成物溶液を用いた以外
は、全て実施例1と同様にして再帰反射シートを作成し
た。
【0085】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。そして得られたカプセルレンズ型再帰反射
シートは、過酷な耐候性試験においては、再帰反射性能
低下率が大きく、また光透過性保護フィルムの剥がれも
大きく十分な耐候性を得ることができなかった。
【0086】比較例3 実施例1において、支持体フィルム形成用樹脂混合液と
して、固形分50重量%のアクリル系樹脂溶液〔MMA 3
4重量%、EA 61重量%、HEMA 5重量%を共重合
体させたアクリル系樹脂(Tg約10℃、Mw約15万、OH
基量約0.38当量/kg、剪断応力1.5×105dyne/cm2)の
酢酸エチル/トルエン溶液〕100重量部と酸化チタン15
重量部を混合して得られるアクリル系樹脂溶液に対し、
固形分15重量%のCAB(実施例1で用いたものと同
じ)を含むMIBK溶液33重量部及び固形分75重量%の
HMDI系架橋剤(実施例1で用いたもの)5重量部
〔NCO基/OH基=約1.0(当量比)〕を混合して得
られる樹脂組成物溶液を用いた以外は、全て実施例1と
同様にして再帰反射シートを作成した。
【0087】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においては、再帰反射性能低下率
が大きく、また光透過性保護フィルムの剥がれも大きく
十分な耐候性を得ることができなかった。
【0088】比較例4 実施例1におけるガラスビーズが転写された支持体フィ
ルムを室温で20日間エージングし、支持体フィルムの架
橋を実質的に完結させた後、加熱溶融成形時の金属ロー
ル表面温度を約190℃とする以外は全て実施例1と同様
にして再帰反射シートを作成した。
【0089】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においては、再帰反射性能低下率
が大きく、また光透過性保護フィルムの剥がれも大きく
十分な耐候性を得ることができなかった。
【0090】比較例5 実施例1において、支持体フィルムとして、固形分30重
量%のアクリル系樹脂溶液〔MMA 55重量%、EA 45
重量%を共重合させたアクリル系樹脂(Tg約30℃、Mw
約4万、OH基量0当量/kg、剪断応力8.3×104dyne/
cm2)の酢酸エチル/トルエン溶液〕100重量部と酸化チ
タン9.4重量部を混合して得られるアクリル系樹脂溶液
に対し、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDD
A)5重量部及びステアリン酸 0.15重量部を混合して得
られる支持体フィルム形成用樹脂組成物溶液を塗布・乾
燥して得られた厚さ約60μmの支持体フィルム(剪断応
力は8.3×104dyne/cm2)を用い、また光透過性保護フ
ィルムとして、厚さ約75μm、全光線透過率約93%の無
延伸アクリルフィルムを用い、部分的加熱溶融成形時の
網目状突起を有する金属ロールの表面温度を約150℃と
し、さらに部分的加熱溶融成形後、線量1.5Mradを放射
する190kVの電子線を照射して支持体フィルムの架橋を
実質的に完結させた以外は、実施例1と同様にして再帰
反射シートを作成した。
【0091】支持体フィルムを形成する樹脂組成物の組
成、諸特性値及び架橋した樹脂の諸特性値を表1に、そ
して得られたカプセルレンズ型再帰反射シートの性能を
表2に示す。得られたカプセルレンズ型再帰反射シート
は、過酷な耐候性試験においては、再帰反射性能低下率
が大きく、また光透過性保護フィルムの剥がれも大きく
十分な耐候性を得ることができなかった。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】表2に用いた各試験項目の測定法は次のと
おりである。
【0095】(1) 耐候性試験 再帰反射シートを50mm×50mmにカットし、シリコーン処
理PET剥離フィルムを剥し、再帰反射シートをアルミ
ニウムパネルに貼り付けた。貼り付け試料を促進耐候性
試験器〔スガ試験器(株)製、「光コントロールウエザー
メーター」〕に入れ、500時間促進耐候性試験を実施し
た。その後、貼り付け試料を取り出し、冷熱サイクル試
験器〔タバイエスペック(株)製、「ヒートショックチャ
ンバーTSR−63」〕を用い、冷熱サイクル試験を実施
した。なお、冷熱サイクルは下記条件を1サイクルとし
て300サイクル実施した。
【0096】冷熱サイクル条件:−40℃×30分→室温×
15分→145℃×30分→室温×15分 (測定項目)(1-1) 反射性能低下率(%) 下記の測定器を用い、耐候性試験前後の試料の再帰反射
性能を測定し、下記の計算式により反射性能低下率を算
出した。
【0097】
【数1】
【0098】再帰反射性能測定器:アドバンスト・レト
ロ・テクノロジー社(Advanced Retro Technology, IN
C.)製「モデル(MODEL)920」 なお、角度条件は観測角0.2゜、入射角5゜を採用した。
【0099】(1-2) 収縮長さ(mm) 耐候性試験後の試料の光透過性保護フィルムの収縮長さ
を、端部より最大収縮した部分で測定し、その長さを以
て収縮長さとした。
【0100】(1-3) 光透過性保護フィルム剥がれ長さ
(mm) 耐候性試験後の試験片の光透過性保護フィルムと支持体
フィルムとの結合部分の破壊された部分を、端部より最
大長さの破壊された部分で測定し、その長さを以て光透
過性保護フィルム剥がれ長さとした。
【0101】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明のカプセル型
再帰反射シートは、支持体フィルムとして、架橋反応前
の剪断応力が従来のものと比べて極めて小さい熱溶融性
樹脂と架橋剤とを含有してなる樹脂組成物よりなるもの
を用いる点に大きな特徴を有しており、これにより、該
支持体フィルムが部分的に加熱溶融成形されて光透過性
保護フィルムと支持体フィルムとを、両フィルム間に間
隙を残したまま部分的に連結する連結壁を形成する際
に、均一な構造で均一な形状の連結壁を形成することが
できる。また、該支持体フィルムは連結壁形成後、架橋
反応の進行により従来のものと比べ同等又はそれ以上の
強度を有する不融性の架橋した樹脂を形成し連結壁自体
の強度を向上させることにより、苛酷な使用条件下にお
いても優れた耐候性を有するカプセル型再帰反射シート
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カプセルレンズ型再帰反射シートの断面構造を
示すモデル図である。
【図2】カプセルキューブコーナー型再帰反射シートの
断面構造を示すモデル図である。
【符号の説明】
1・・・・・・光透過性保護フィルム 2・・・・・・支持体フィルム 3・・・・・・連続線状の連結壁 4・・・・・・密封小区画空室 5・・・・・・金属蒸着膜 6・・・・・・ガラスビーズ 7・・・・・・光透過性保護フィルム 8・・・・・・キューブコーナー型再帰反射性要素 9・・・・・・支持体フィルム 10・・・・・・連続線状の連結壁 11・・・・・・密封小区画空室

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性保護フィルムと、支持体フィル
    ムと、両フィルム間に間隙を残したまま両フィルムを部
    分的に連結する連結壁よりなり、該保護フィルム及び/
    又は該支持体フィルムには再帰反射性要素が配置されて
    おり、該連結壁は該支持体フィルムを加熱溶融成形する
    ことによって形成されているカプセル型再帰反射シート
    において、該支持体フィルムが、架橋剤と反応しうる官
    能基を含有し且つ180℃における剪断応力が9×103〜1
    ×105dyne/cm2の範囲内にある熱溶融性樹脂と架橋剤と
    を含有してなり、そして架橋反応後に180℃における剪
    断応力が1×106dyne/cm2以上の不融性の架橋した樹脂
    を形成しうる樹脂組成物よりなることを特徴とするカプ
    セル型再帰反射シート。
  2. 【請求項2】 熱溶融性樹脂の180℃における剪断応力
    が9.5×103〜9.5×104dyne/cm2の範囲内にある請求項
    1に記載のカプセル型再帰反射シート。
  3. 【請求項3】 官能基が活性水素含有官能基である請求
    項1に記載のカプセル型再帰反射シート。
  4. 【請求項4】 官能基の含有量が熱溶融性樹脂1kg当り
    0.1〜5当量である請求項1〜3のいずれかに記載のカ
    プセル型再帰反射シート。
  5. 【請求項5】 熱溶融性樹脂が、アクリル系樹脂、ポリ
    ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹
    脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹
    脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリアミド系樹脂よりな
    る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる請求項
    1〜4のいずれかに記載のカプセル型再帰反射シート。
  6. 【請求項6】 熱溶融性樹脂がアクリル系樹脂からなる
    請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル型再帰反射シ
    ート。
  7. 【請求項7】 アクリル系樹脂が−30〜50℃の範囲内の
    ガラス転移温度(Tg)を有する請求項6に記載のカプセル
    型再帰反射シート。
  8. 【請求項8】 アクリル系樹脂が10000〜200000の範囲
    内の重量平均分子量を有する請求項6又は7に記載のカ
    プセル型再帰反射シート。
  9. 【請求項9】 架橋剤がポリイソシアネート化合物、ポ
    リアジリジン化合物、ポリエポキシ化合物及びアミノ系
    樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤で
    ある請求項1〜8のいずれかに記載のカプセル型再帰反
    射シート。
  10. 【請求項10】 架橋剤がポリイソシアネート化合物で
    ある請求項1〜8のいずれかに記載のカプセル型再帰反
    射シート。
  11. 【請求項11】 熱溶融性樹脂が活性水素含有官能基を
    含有するアクリル系樹脂からなり、架橋剤がポリイソシ
    アネート化合物である請求項1に記載のカプセル型再帰
    反射シート。
  12. 【請求項12】 樹脂組成物が架橋剤を熱溶融性樹脂の
    官能基1当量に対して0.25〜1.5当量の範囲内の割合で
    含有する請求項1〜11のいずれかに記載のカプセル型
    再帰反射シート。
  13. 【請求項13】 活性水素含有官能基が水酸基である請
    求項3又は11に記載のカプセル型再帰反射シート。
  14. 【請求項14】 ポリイソシアネート系化合物が、脂肪
    族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、こ
    れらポリイソシアネートの2量体または3量体又はこれ
    らイソシアネートと2価もしくは3価のポリオールとの
    アダクト体である請求項10又は11に記載のカプセル
    型再帰反射シート。
  15. 【請求項15】 樹脂組成物がセルロース誘導体をさら
    に含有する請求項1に記載のカプセル型再帰反射シー
    ト。
  16. 【請求項16】 樹脂組成物がセルロース誘導体を熱溶
    融性樹脂100重量部に対して1〜40重量部の範囲内の割
    合で含有する請求項15に記載のカプセル型再帰反射シ
    ート。
  17. 【請求項17】 セルロース誘導体が90℃以上のガラス
    転移温度(Tg)を有する請求項15に記載のカプセル
    型再帰反射シート。
  18. 【請求項18】 セルロース誘導体が15000以上の数平
    均分子量を有する請求項15〜17のいずれかに記載の
    カプセル型再帰反射シート。
  19. 【請求項19】 樹脂組成物が架橋反応前に800〜4000g
    /10分の範囲内の溶融指数を有する請求項1〜18のい
    ずれかに記載のカプセル型再帰反射シート。
  20. 【請求項20】 架橋した樹脂の180℃における剪断応
    力が2×106dyne/cm2以上である請求項1〜19のいず
    れかに記載のカプセル型再帰反射シート。
  21. 【請求項21】 架橋した樹脂の70℃における引張強度
    が10kg/cm2以上である請求項1〜20のいずれかに
    記載のカプセル型再帰反射シート。
  22. 【請求項22】 架橋した樹脂の0℃における破断伸度
    が5%以上である請求項1〜21のいずれかに記載のカ
    プセル型再帰反射シート。
  23. 【請求項23】 保護フィルムがアクリル系樹脂フィル
    ム又はフッ素系樹脂フィルムである請求項1〜22のい
    ずれかに記載のカプセル型再帰反射シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003108053A (ja) * 2001-09-27 2003-04-11 Nippon Carbide Ind Co Inc 標識用基材及び標識システム
EP3343253A4 (en) * 2015-05-05 2018-07-04 Nippon Carbide Industries (Hangzhou) Co., Ltd. Retro-reflection sheet and vehicle plate

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