JPH08232795A - ディーゼルエンジン燃料供給機構に用いられる摺動部材 - Google Patents

ディーゼルエンジン燃料供給機構に用いられる摺動部材

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JPH08232795A
JPH08232795A JP7038518A JP3851895A JPH08232795A JP H08232795 A JPH08232795 A JP H08232795A JP 7038518 A JP7038518 A JP 7038518A JP 3851895 A JP3851895 A JP 3851895A JP H08232795 A JPH08232795 A JP H08232795A
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寛 泉田
Takao Nishioka
隆夫 西岡
Akira Yamakawa
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気ガス規制に対応した含有硫黄分の少ない
軽油潤滑下の、高圧燃料噴射による高面圧で高速摺動条
件下で、良好な摺動特性と高い耐摩耗性及び耐焼き付き
性を確保し得るディーゼルエンジンの燃料供給機構に用
いられる摺動部材を提供する。 【構成】 硫黄含有量が0.05重量%以下の軽油を燃
料とするディーゼルエンジンの燃料供給機構の軽油潤滑
部に用いられる、プランジャー1、フェースカム2、タ
ペットローラー3等の摺動部材であって、少なくとも相
手部材と摺動する摺動部がセラミックスからなる摺動部
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車エンジン等の内
燃機関に用いられるディーゼルエンジンの燃料供給機構
用の摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用内燃機関として用いられるディ
ーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは、燃料を高圧噴射す
ることにより微細化し、空気との混合を促すと共に、使
用環境に応じた燃料噴射時期と噴射量の最適化を行うも
のである。
【0003】近年、環境問題が深刻化するにつれて、こ
の燃料噴射機構の高性能化、即ち高圧力化が必要不可欠
の課題として挙げられている。この要求に伴って、燃料
噴射ポンプの摺動部の高面圧化、摺動速度の高速化が必
然となり、その結果として摺動部の摩耗が深刻な問題と
なっている。
【0004】乗用車や小型商用車用のディーゼルエンジ
ンの殆どに採用されている分配型燃料噴射ポンプでは、
フィードポンプで加圧され、レギュレーティングバルブ
の開弁圧力により制御された、燃料の軽油によって潤滑
されている。軽油潤滑はエンジンオイルによる潤滑と比
較して潤滑性能が劣る上、常用回転数も高いために、燃
料供給機構を構成する摺動部品は、高い耐摩耗性と耐焼
き付き性、及び良好な潤滑性能を求められる。
【0005】これらの要求を達成するために、例えばプ
ランジャー、フェイスカム、デスタンスピース等の耐摩
耗性向上のため、フェイスカムに高濃度浸炭や、無電解
ニッケルめっき等を施すことが行われている。又、高圧
噴射用として、フェイスカムの駆動力伝達部にショット
ピーニング等を施すことも行われている。
【0006】一方、中大型商用車用として用いられてい
る列型燃料噴射ポンプでは、プランジャーを境として、
カムやタペット等の動力伝達系はエンジンオイルで潤滑
され、プランジャーとバレルの間はプランジャー頭部か
ら高圧によってリークした燃料とプランジャー上昇時に
吸い上げられたエンジンオイルの混在により潤滑されて
いる。このタイプの燃料噴射ポンプにおいても、その摺
動部に高い潤滑性能、耐摩耗性、耐焼き付き性が要求さ
れることは同じであり、例えばエンジンによってはプラ
ンジャー表面にチタンコーティングを施すこともある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたように、
従来より燃料噴射機構への耐摩耗性や耐焼き付き性に対
する配慮は行われてきたが、近年ますます厳しくなって
いる環境規制は、ディーゼルエンジンの燃料噴射機構に
新たな課題を課すものとなっている。
【0008】即ち、上記したように分配型の燃料噴射ポ
ンプでは軽油により潤滑が行われているが、軽油による
潤滑には軽油に含有される硫黄分の寄与するところが大
きいことは周知の事実である。ところが、軽油中の含有
硫黄分は、排気ガスの悪化やエンジンの燃焼室の腐食摩
耗等を引き起こす要因の一つである。
【0009】このことから、軽油中の含有硫黄分は抑制
される傾向にあり、我国では1998年から、軽油中の
含有硫黄分を0.05重量%以下に抑えるという長期規
制が施行されることになっている。この規制により、燃
料供給機構に対する摩耗、焼き付きの問題はより深刻な
ものとなることが予想され、現在の燃料噴射ポンプに使
用されている材質、表面処理等の技術では対応が不可能
であり、早急な問題の解決が望まれている。
【0010】本発明は、かかる従来の事情に鑑み、特別
な表面処理や応力解析が困難な複雑な加工を行わなくて
も、排気ガスの長期規制に基づく含有硫黄分の少ない軽
油潤滑下において、高圧噴射技術による高面圧で高速摺
動条件の下で、良好な摺動特性と高い耐摩耗性、及び優
れた耐焼き付き性を確保することのできる、ディーゼル
エンジンの燃料供給機構に用いられるフェースカム等の
摺動部材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する摺動部材は、硫黄含有量が0.0
5重量%以下の軽油を燃料とするディーゼルエンジンの
燃料供給機構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材であっ
て、少なくとも相手部材と摺動する摺動部がセラミック
スからなることを特徴とする摺動部材である。
【0012】本発明の摺動部材を構成するセラミックス
は、窒化ケイ素又はサイアロンを60体積%以上含む焼
結体又は複合材料であることが好ましい。又、本発明の
摺動部材又はその摺動部の摺動面の表面粗さは、十点平
均粗さRzで0.5μm以下であることが好ましく、0.
1μm以下であることが更に好ましい。更に、本発明の
摺動部材又は摺動部を構成するセラミックス材は、圧砕
強度が8.0GPa以上であることが好ましい。
【0013】
【作用】従来から、燃料噴射ポンプを構成する摺動部品
の中でも、その摺動部に軽油による潤滑が行われるもの
については、軽油潤滑に加えて高い負荷面圧と摺動速度
に耐え得るだけの、優れた耐摩耗性と耐焼き付き性、並
びに優れた摺動特性が要求されてきた。
【0014】その要求に対し、特開平5−99091号
公報に記載のごとくフェイスカムを硬度Hv900以上
の窒化鋼で作製したり、特開昭61−283759号公
報に記載のごとく燃料噴射ポンプに使用するフェイスカ
ムとの摺動部品をサイアロンセラミックス又はアルミナ
・ジルコニア複合材料で作製することで、素材の低摩擦
係数を利用して耐摩耗性の向上を図る試みがなされてき
た。
【0015】しかし、これらの技術だけでは、現状でデ
ィーゼルエンジン用燃料噴射ポンプに要求されている高
圧噴射技術や、将来の排気ガス長期規制に伴う軽油中の
含有硫黄量の0.2重量%から0.05重量%への低減に
よる潤滑条件の悪化には、十分に対応し得ない。
【0016】これに対して本発明では、高い面圧と高い
摺動速度に耐えられる耐摩耗性と、高い強度を有するセ
ラミックスで摺動部を構成することにより、硫黄含有量
の少ない軽油潤滑下での、より過酷な潤滑条件でも焼き
付くことがなく、耐摩耗性が良好な摺動部材を提供する
ことが可能となったものである。
【0017】本発明のディーゼルエンジンの燃料供給機
構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材は、少なくとも相
手部材との摺動部がセラミックス、好ましくはSi34
系セラミックスで構成されている。
【0018】特に本発明は、低硫黄含有の軽油潤滑であ
ると共に、過酷な摺動条件に曝される摺動部材を対象と
していることから、優れた耐摩耗性と耐焼き付き性及び
優れた摺動特性をもつことが必要であり、Si34系セ
ラミックスの中でも窒化ケイ素又はサイアロンを60体
積%以上含む焼結体又は複合材料で構成されることが好
ましい。窒化ケイ素又はサイアロンの割合が60体積%
未満の場合は、低硫黄含有の軽油潤滑下では、高い面圧
と摺動速度により、摩耗、焼き付き、破損等が発生する
危険があるからである。
【0019】又、低硫黄含有の軽油潤滑下における過酷
な潤滑条件の下では、摺動部材に高い耐摩耗性と耐焼き
付き性を持たせるために、相手部材との摺動面の表面粗
さが十点平均粗さRzで0.5μm以下であることが好
ましく、0.1μm以下であることが更に好ましい。
【0020】前記のごとく高圧噴射技術によって燃料噴
射ポンプを構成する摺動部品の摺動条件は過酷であり、
その潤滑形態は主に流体潤滑と境界潤滑とが混在する混
合潤滑状態にあるから、本発明の特徴である耐摩耗性及
び耐焼き付き性の効果を十分に発揮するためには、摺動
面上で局所的に油膜切れを起こした状態である境界潤滑
部分を極力少なくしてやることが必要である。そのため
には、摺動面の表面粗さをRzで0.5μm以下、更に
好ましくは0.1μm以下にすることにより、摺動面に
安定した油膜の形成を促進することが可能となる。
【0021】更に、高圧燃料噴射ポンプを構成する摺動
部品の中には、10.0kgf/mm2以上の面圧を受け
るものもあり、そのような摺動部品を全く偏当たりのな
い理想的な潤滑条件に保つことは事実上不可能である。
応力を受けて変形した摺動部のエッジ部に生ずるヘルツ
応力は、時として摺動部品を破壊に至らしめる程の値を
とることもあり、その圧砕強度に対する考慮が必要であ
る。
【0022】このような燃料の高圧噴射技術によって負
荷される面圧の増加を考慮すると、本発明の摺動部材を
構成するセラミックス材の圧砕強度は8.0GPa以上
であることが好ましい。
【0023】上記した本発明のセラミックスからなる摺
動部材は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンの燃料
供給機構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材であり、例
えば図1に示す分配型噴射ポンプでは、プランジャー
1、フェースカム2、フェースカム2と摺動するタペッ
トローラー3、タペットローラー3のシャフト4、タペ
ットローラー3とシャフト4の間に介在するブッシュ
5、あるいはデスタンスピース等がある。
【0024】
【実施例】実施例1 本発明例のセラミックス系摺動部材として、Si3
4系、SiC系、ZrO2系、Al23系の各焼結体(各
主成分が60体積%以上)からなる、直径60mm×厚
さ5mmのディスクを用意した。
【0025】比較のために、従来例の摺動部材として、
ディーゼルエンジンの燃料供給機構の摺動部に比較的多
く使用されている軸受鋼(SUJ2)からなる、上記と
同じ形状のディスクも用意した。尚、いずれのディスク
も、相手部材であるピンとの摺動面の表面粗さを十点平
均粗さRzで0.5μm以下とした。
【0026】図2に示すように、上記各ディスク6をピ
ンオンディスク摩耗試験機に取り付け、相手部材である
直径5mm×高さ8mmのピン7を同一円周上に等間隔
に3本設置した。尚、相手部材であるピン7は軸受鋼
(SUJ 2)からなり、硬度はHRCで60〜64、HV
で680〜800である。又、ピン7の摺動面の表面粗
さも、十点平均粗さRzで0.5μm以下とした。
【0027】上記の各ディスク6とピン7を用いて、固
定したピン7に対してディスク6を1.5m/secの
摺動速度で回転させ、ピン7に試験機の最大許容面圧1
5.0kgf/mm2までの荷重を徐々にかけながら、灯
油潤滑下で焼き付き荷重を測定した。灯油を用いたの
は、排気ガスの長期規制後の低硫黄含有軽油を想定した
ものである。焼き付き荷重は、焼き付きが発生した時点
(回転トルクが極端に上昇したとき)の面圧とした。結
果を表1に示した。
【0028】
【表1】試料 ディスク ピ ン 焼 き 付 き 荷 重 1−1 Si3N4 SUJ2 15.0kgf/mm2まで焼き付き無し 1−2 SiC SUJ2 15.0kgf/mm2まで焼き付き無し 1−3 ZrO2 SUJ2 15.0kgf/mm2まで焼き付き無し 1−4 Al2O3 SUJ2 15.0kgf/mm2まで焼き付き無し 1−5* SUJ2 SUJ2 6.6kgf/mm2で焼き付き (注)表中の*を付した試料は従来例である。
【0029】上記の結果から、本発明例のセラミックス
系摺動部材は、試験により焼き付きの発生する荷重の確
認はできなかったが、15.0kgf/mm2まで全く焼
き付きの発生が無かったことから、低硫黄含有軽油潤滑
に相当する過酷な潤滑条件下で、従来の軸受鋼製の摺動
部材に比べて、極めて高い耐焼き付き性を持つことが分
かる。
【0030】実施例2 上記実施例1と同一の材質及び形状のディスク6とピン
7を用意し、図2に示すようにピンオンディスク摩耗試
験機により、灯油潤滑下に摺動速度1.0m/sec、
負荷荷重(面圧)5.0kgf/mm2の条件で摺動さ
せ、摺動距離20kmの時点での各ディスク6とピン7
の摩耗量を測定した。その結果を表2に示した。
【0031】
【表2】試料 ディスク ピ ン ピン摩耗量 ディスク摩耗量 2−1 Si3N4 SUJ2 3μm 測定限界値以下 2−2 SiC SUJ2 35μm 測定限界値以下 2−3 ZrO2 SUJ2 4μm 21μm 2−4 Al2O3 SUJ2 4μm 測定限界値以下 2−5* SUJ2 SUJ2 31μm 6μm(深さ50μm以上の焼付痕点在) (注)表中の*を付した試料は従来例である。
【0032】上記の結果から、低硫黄含有軽油潤滑に相
当する過酷な潤滑条件下において、本発明例の摺動部材
の耐摩耗性及び相手部材攻撃性は、従来の軸受鋼製の摺
動部材に比べて優れており、焼き付き痕が全く無いこと
から耐焼き付き性にも優れていることが分かる。特にS
34系焼結体からなるセラミックス系摺動部材は、耐
摩耗性及び相手部材攻撃性が共に優れている。
【0033】実施例3 セラミックス系摺動部材として実施例1と同一形状のデ
ィスクを、下記表3に示すSi34又はサイアロンの含
有量(体積%)が異なる種々のSi34系焼結体から作
製した。又、従来例の摺動部材として、ディーゼルエン
ジンの燃料供給機構の摺動部に比較的多く使用されてい
る軸受鋼(SUJ2)からなる、上記と同じ形状のディ
スクも用意した。尚、いずれのディスクも、相手部材で
あるピンとの摺動面の表面粗さを十点平均粗さRzで
0.5μm以下とした。
【0034】これら各ディスク6を、図2に示すように
ピンオンディスク摩耗試験機に取り付け、相手部材とし
て実施例1と同じ軸受鋼製のピン7を用い、図1に示す
分配型燃料噴射ポンプのフェースカム2と摺動を行うタ
ペットローラー3に使用されるブッシュ5が、燃料の高
圧噴射時に負荷されると思われる摺動条件、即ち摺動速
度7.5m/sec及び負荷面圧10.0kgf/mm2
の条件で、灯油潤滑下に摺動させた。摺動距離20km
の時点での摩耗量を測定し、結果を表3に併せて示し
た。
【0035】
【表3】ディスク組成試料 (体積%) ピン摩耗量 ディスク摩耗量 3−1 Si3N4(90%) 56μm 測定限界値以下 3−2 Si3N4(80%) 62μm 測定限界値以下 3−3 Si3N4(70%) 68μm 測定限界値以下 3−4 Si3N4(60%) 87μm 2.3μm 3−5 Si3N4(50%) 156μm 25.4μm 3−6 サイアロン(90%) 48μm 測定限界値以下 3−7 サイアロン(80%) 49μm 測定限界値以下 3−8 サイアロン(70%) 57μm 測定限界値以下 3−9 サイアロン(60%) 91μm 測定限界値以下 3−10 サイアロン(50%) 139μm 24.7μm 3−11* SUJ2 焼き付きのため測定不能 (注)表中の*を付した試料は従来例である。
【0036】上記の結果から、高圧噴射で且つ低硫黄含
有軽油潤滑に相当する過酷な潤滑条件下において、本発
明のSi34又はサイアロンを主成分とするSi34
焼結体からなる摺動部材は、従来の軸受鋼製の摺動部材
に比べて、耐焼付性に優れると共に耐摩耗性及び相手部
材攻撃性に優れ、特にSi34又はサイアロンの含有率
が60体積%以上の場合には、一層優れた特性を有する
ことが分かる。
【0037】実施例4 本発明例の摺動部材として、サイアロン含有率が70体
積%のSi34系焼結体からなる、実施例1と同じ形状
のディスクを用意し、各ディスクの摺動面の表面粗さ
(十点平均粗さRz)を、下記表4に示すごとく変化さ
せた。又、相手部材であるピンは軸受鋼(SUJ2)と
し、その摺動面の表面粗さRzは0.5μmとした。
【0038】各ディスク6とピン7を、図2に示すよう
にピンオンディスク摩耗試験機に取り付け、図1に示す
分配型燃料噴射ポンプのフェースカム2と摺動を行うタ
ペットローラー3のブッシュ5が、燃料の高圧噴射時に
負荷されると思われる摺動条件、即ち摺動速度7.5m
/sec及び負荷面圧10.0kgf/mm2の条件で、
灯油潤滑下に摺動させた。摺動距離20kmの時点での
摩耗量を測定し、結果を表4に併せて示した。
【0039】
【表4】 表面粗さ試料 ディスク Rz(μm) ピン摩耗量 ディスク摩耗量 4−1 サイアロン 0.05 11μm 測定限界値以下 4−2 サイアロン 0.1 12μm 測定限界値以下 4−3 サイアロン 0.3 33μm 測定限界値以下 4−4 サイアロン 0.5 56μm 測定限界値以下 4−5 サイアロン 0.7 153μm 測定限界値以下
【0040】上記の結果から、高圧噴射で且つ低硫黄含
有軽油潤滑に相当する過酷な潤滑条件下において、本発
明のSi34系焼結体からなる摺動部材は、その表面粗
さRzが小さくなるに伴い相手部材攻撃性が少なくな
り、Rzが0.5μm以下で更に良好であることが分か
る。特に表面粗さRzが0.1μm以下になると極めて
良好な摺動特性を示し、それ以上の表面粗さの改善は必
要ないことも分かる。
【0041】実施例5 本発明例の摺動部材として、図1に示す分配型燃料噴射
ポンプのフェースカム2と摺動を行うタペットローラー
3のブッシュ5を、サイアロン含有率が70体積%で下
記表5に示す圧砕強度を有する各Si34系焼結体で作
製した。尚、焼結体の圧砕強度は結晶粒径などに依存す
る。
【0042】各ブッシュ5を、それぞれ図1に示す分配
型燃料噴射ポンプのタペットローラー3に取り付け、市
販のディーゼルエンジンに組み込んだ。このブッシュ5
が燃料の高圧噴射時に負荷されると思われる摺動条件、
即ち摺動速度7.5m/sec及び負荷面圧10.0kg
f/mm2の条件で、灯油潤滑下にエンジンを回転数6
000rpmで運転し、100時間の耐久試験を実施し
た。
【0043】この耐久試験において、使用した各ブッシ
ュ5が破壊されるまでの時間を測定し、その結果を各ブ
ッシュ素材の圧砕強度及び結晶粒径と共に表5に示し
た。尚、結晶粒径の測定は、試料を鏡面加工した後イオ
ンエッチングを行い、測定距離50μmでの線密度をと
ったものであり、任意に4カ所を抽出して測定した平均
値を表5に示した。
【0044】
【表5】圧砕強度 結 晶 粒 径試料 (GPa) (線密度/50μm) 耐久試験結果 5−1 9.0 150 100hまで未破壊 5−2 8.1 123 100hまで未破壊 5−3 7.2 98 63hで破壊 5−4 6.0 85 5.5hで破壊 5−5 5.1 64 運転開始直後破壊
【0045】上記の結果から、低硫黄含有軽油潤滑に相
当する過酷な潤滑条件下と燃料の高圧噴射に要求される
条件下において、本発明のSi34系焼結体からなる摺
動部材は、その圧砕強度が高くなるにつれて耐久性が増
し、特に8.0GPa以上の圧砕強度では非常に優れた
耐久性を備えることが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、従来の軸受鋼を用いた
ディーゼルエンジンの燃料供給機構で深刻な問題となっ
ている燃料高圧噴射技術や、低硫黄含有軽油での潤滑か
ら生じる摺動部材の摩耗及び焼き付きを、有効に抑制す
ることが可能である。
【0047】即ち、本発明は、排気ガス規制への対策技
術であるEGR(ExhaustGas Recirc
ulation)が抱えている還流ガス中の硫黄酸化物
による燃焼室の摩耗問題や、ディーゼル燃料の高圧噴射
技術が抱える燃料供給系の摩耗問題等に対する有効な解
決手段となるものである。
【0048】従って、本発明のセラミックス系摺動部材
をディーゼルエンジンの燃料供給機構に用いることによ
って、摺動部材に特別な表面処理や応力解析が困難な複
雑な加工を行わなくても、排気ガス規制による含有硫黄
分の少ない軽油潤滑下に、高圧噴射による高面圧で高速
摺動の条件下でも、良好な摺動特性と高い耐摩耗性、及
び優れた耐焼き付き性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプにおける
フェースカムとタペットローラー周辺の機構を示す概略
の一部切欠側面図である。
【図2】ピンオンディスク摩耗試験の概略説明図であ
る。
【符号の説明】
1 プランジャー 2 フェースカム 3 タペットローラー 4 シャフト 5 ブッシュ 6 ディスク 7 ピン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄含有量が0.05重量%以下の軽油
    を燃料とするディーゼルエンジンの燃料供給機構の軽油
    潤滑部に用いられる摺動部材であって、少なくとも相手
    部材と摺動する摺動部がセラミックスからなることを特
    徴とする前記摺動部材。
  2. 【請求項2】 上記セラミックスが窒化ケイ素又はサイ
    アロンを60体積%以上含む焼結体又は複合材料である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 相手部材と摺動する摺動部の摺動面の表
    面粗さが、十点平均粗さRzで0.5μm以下であるこ
    とを特徴とする、請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 【請求項4】 相手部材と摺動する摺動部の摺動面の表
    面粗さが、十点平均粗さRzで0.1μm以下であるこ
    とを特徴とする、請求項1又は2に記載の摺動部材。
  5. 【請求項5】 相手部材と摺動する摺動部を構成するセ
    ラミックス材の圧砕強度が8.0GPa以上であること
    を特徴とする、請求項1又は2に記載の摺動部材。
  6. 【請求項6】 上記セラミックスからなる摺動部材が、
    プランジャー、フェースカム、フェースカムと摺動する
    タペットローラー、タペットローラーのシャフト、タペ
    ットローラーとシャフトの間に介在するブッシュ、又は
    デスタンスピースであることを特徴とする、請求項1又
    は2に記載の摺動部材。
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