JP3191599B2 - ディーゼルエンジン燃料供給機構に用いられる摺動部材 - Google Patents
ディーゼルエンジン燃料供給機構に用いられる摺動部材Info
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B3/00—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
Description
燃機関に用いられるディーゼルエンジンの燃料供給機構
用の摺動部材に関する。
ーゼルエンジンの燃料噴射ポンプは、燃料を高圧噴射す
ることにより微細化し、空気との混合を促すと共に、使
用環境に応じた燃料噴射時期と噴射量の最適化を行うも
のである。
の燃料噴射機構の高性能化、即ち高圧力化が必要不可欠
の課題として挙げられている。この要求に伴って、燃料
噴射ポンプの摺動部の高面圧化、摺動速度の高速化が必
然となり、その結果として摺動部の摩耗が深刻な問題と
なっている。
ンの殆どに採用されている分配型燃料噴射ポンプでは、
フィードポンプで加圧され、レギュレーティングバルブ
の開弁圧力により制御された、燃料の軽油によって潤滑
されている。軽油潤滑はエンジンオイルによる潤滑と比
較して潤滑性能が劣る上、常用回転数も高いために、燃
料供給機構を構成する摺動部品は、高い耐摩耗性と耐焼
き付き性、及び良好な潤滑性能を求められる。
ランジャー、フェイスカム、デスタンスピース等の耐摩
耗性向上のため、フェイスカムに高濃度浸炭や、無電解
ニッケルめっき等を施すことが行われている。又、高圧
噴射用として、フェイスカムの駆動力伝達部にショット
ピーニング等を施すことも行われている。
る列型燃料噴射ポンプでは、プランジャーを境として、
カムやタペット等の動力伝達系はエンジンオイルで潤滑
され、プランジャーとバレルの間はプランジャー頭部か
ら高圧によってリークした燃料とプランジャー上昇時に
吸い上げられたエンジンオイルの混在により潤滑されて
いる。このタイプの燃料噴射ポンプにおいても、その摺
動部に高い潤滑性能、耐摩耗性、耐焼き付き性が要求さ
れることは同じであり、例えばエンジンによってはプラ
ンジャー表面にチタンコーティングを施すこともある。
従来より燃料噴射機構への耐摩耗性や耐焼き付き性に対
する配慮は行われてきたが、近年ますます厳しくなって
いる環境規制は、ディーゼルエンジンの燃料噴射機構に
新たな課題を課すものとなっている。
ンプでは軽油により潤滑が行われているが、軽油による
潤滑には軽油に含有される硫黄分の寄与するところが大
きいことは周知の事実である。ところが、軽油中の含有
硫黄分は、排気ガスの悪化やエンジンの燃焼室の腐食摩
耗等を引き起こす要因の一つである。
される傾向にあり、我国では1998年から、軽油中の
含有硫黄分を0.05重量%以下に抑えるという長期規
制が施行されることになっている。この規制により、燃
料供給機構に対する摩耗、焼き付きの問題はより深刻な
ものとなることが予想され、現在の燃料噴射ポンプに使
用されている材質、表面処理等の技術では対応が不可能
であり、早急な問題の解決が望まれている。
な表面処理や応力解析が困難な複雑な加工を行わなくて
も、排気ガスの長期規制に基づく含有硫黄分の少ない軽
油潤滑下において、高圧噴射技術による高面圧で高速摺
動条件の下で、良好な摺動特性と高い耐摩耗性、及び優
れた耐焼き付き性を確保することのできる、ディーゼル
エンジンの燃料供給機構に用いられるフェースカム等の
摺動部材を提供することを目的とする。
め、本発明が提供する摺動部材は、硫黄含有量が0.0
5重量%以下の軽油を燃料とするディーゼルエンジンの
燃料供給機構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材であっ
て、少なくとも相手部材と摺動する摺動部が窒化ケイ素
又はサイアロンを60体積%以上含む焼結体又は複合材
料からなるセラミックスである特徴とする。
部の摺動面の表面粗さが、十点平均粗さRzで0.5μ
m以下であり、好ましくは0.1μm以下である。更
に、本発明の摺動部材又は摺動部を構成するセラミック
ス材は、圧砕強度が8.0GPa以上であることが好ま
しい。
の中でも、その摺動部に軽油による潤滑が行われるもの
については、軽油潤滑に加えて高い負荷面圧と摺動速度
に耐え得るだけの、優れた耐摩耗性と耐焼き付き性、並
びに優れた摺動特性が要求されてきた。
公報に記載のごとくフェイスカムを硬度Hv900以上
の窒化鋼で作製したり、特開昭61−283759号公
報に記載のごとく燃料噴射ポンプに使用するフェイスカ
ムとの摺動部品をサイアロンセラミックス又はアルミナ
・ジルコニア複合材料で作製することで、素材の低摩擦
係数を利用して耐摩耗性の向上を図る試みがなされてき
た。
ィーゼルエンジン用燃料噴射ポンプに要求されている高
圧噴射技術や、将来の排気ガス長期規制に伴う軽油中の
含有硫黄量の0.2重量%から0.05重量%への低減に
よる潤滑条件の悪化には、十分に対応し得ない。
摺動速度に耐えられる耐摩耗性と、高い強度を有するセ
ラミックスで摺動部を構成することにより、硫黄含有量
の少ない軽油潤滑下での、より過酷な潤滑条件でも焼き
付くことがなく、耐摩耗性が良好な摺動部材を提供する
ことが可能となったものである。
構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材は、少なくとも相
手部材との摺動部がSi 3 N 4 系セラミックス、即ち窒
化ケイ素又はサイアロンを60体積%以上含む焼結体又
は複合材料で構成されている。
ると共に、過酷な摺動条件に曝される摺動部材を対象と
していることから、摺動部のセラミックス材は窒化ケイ
素又はサイアロンを60体積%以上含むことがことが必
要である。窒化ケイ素又はサイアロンの割合が60体積
%未満の場合は、低硫黄含有の軽油潤滑下では、高い面
圧と摺動速度により、摩耗、焼き付き、破損等が発生す
る危険があるからである。
な潤滑条件の下では、摺動部材に高い耐摩耗性と耐焼き
付き性を持たせるために、相手部材との摺動面の表面粗
さが十点平均粗さRzで0.5μm以下であることが必
要であり、0.1μm以下であることが好ましい。
射ポンプを構成する摺動部品の摺動条件は過酷であり、
その潤滑形態は主に流体潤滑と境界潤滑とが混在する混
合潤滑状態にあるから、本発明の特徴である耐摩耗性及
び耐焼き付き性の効果を十分に発揮するためには、摺動
面上で局所的に油膜切れを起こした状態である境界潤滑
部分を極力少なくしてやることが必要である。そのため
には、摺動面の表面粗さをRzで0.5μm以下、更に
好ましくは0.1μm以下にすることにより、摺動面に
安定した油膜の形成を促進することが可能となる。
部品の中には、10.0kgf/mm2以上の面圧を受け
るものもあり、そのような摺動部品を全く偏当たりのな
い理想的な潤滑条件に保つことは事実上不可能である。
応力を受けて変形した摺動部のエッジ部に生ずるヘルツ
応力は、時として摺動部品を破壊に至らしめる程の値を
とることもあり、その圧砕強度に対する考慮が必要であ
る。
荷される面圧の増加を考慮すると、本発明の摺動部材を
構成するセラミックス材の圧砕強度は8.0GPa以上
であることが好ましい。
動部材は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンの燃料
供給機構の軽油潤滑部に用いられる摺動部材であり、例
えば図1に示す分配型噴射ポンプでは、プランジャー
1、フェースカム2、フェースカム2と摺動するタペッ
トローラー3、タペットローラー3のシャフト4、タペ
ットローラー3とシャフト4の間に介在するブッシュ
5、あるいはデスタンスピース等がある。
4系、SiC系、ZrO2系、Al2O3系の各焼結体(各
主成分が60体積%以上)からなる、直径60mm×厚
さ5mmのディスクを用意した。
ディーゼルエンジンの燃料供給機構の摺動部に比較的多
く使用されている軸受鋼(SUJ2)からなる、上記と
同じ形状のディスクも用意した。尚、いずれのディスク
も、相手部材であるピンとの摺動面の表面粗さを十点平
均粗さRzで0.5μm以下とした。
ンオンディスク摩耗試験機に取り付け、相手部材である
直径5mm×高さ8mmのピン7を同一円周上に等間隔
に3本設置した。尚、相手部材であるピン7は軸受鋼
(SUJ 2)からなり、硬度はHRCで60〜64、HV
で680〜800である。又、ピン7の摺動面の表面粗
さも、十点平均粗さRzで0.5μm以下とした。
定したピン7に対してディスク6を1.5m/secの
摺動速度で回転させ、ピン7に試験機の最大許容面圧1
5.0kgf/mm2までの荷重を徐々にかけながら、灯
油潤滑下で焼き付き荷重を測定した。灯油を用いたの
は、排気ガスの長期規制後の低硫黄含有軽油を想定した
ものである。焼き付き荷重は、焼き付きが発生した時点
(回転トルクが極端に上昇したとき)の面圧とした。結
果を表1に示した。
試料は従来例である(以下同様)。
は、試験により焼き付きの発生する荷重の確認はできな
かったが、15.0kgf/mm2まで全く焼き付きの
発生が無かったことから、低硫黄含有軽油潤滑に相当す
る過酷な潤滑条件下で、従来の軸受鋼製の摺動部材に比
べて、極めて高い耐焼き付き性を持つことが分かる。
7を用意し、図2に示すようにピンオンディスク摩耗試
験機により、灯油潤滑下に摺動速度1.0m/sec、
負荷荷重(面圧)5.0kgf/mm2の条件で摺動さ
せ、摺動距離20kmの時点での各ディスク6とピン7
の摩耗量を測定した。その結果を表2に示した。
当する過酷な潤滑条件下において、本発明例のSi 3 N
4 系摺動部材は耐摩耗性及び相手部材攻撃性が共に従来
の軸受鋼製の摺動部材や他のセラミックス製の摺動部材
に比べて優れており、焼き付き痕が全く無いことから耐
焼き付き性にも優れていることが分かる。
ィスクを、下記表3に示すSi3N4又はサイアロンの含
有量(体積%)が異なる種々のSi3N4系焼結体から作
製した。又、従来例の摺動部材として、ディーゼルエン
ジンの燃料供給機構の摺動部に比較的多く使用されてい
る軸受鋼(SUJ2)からなる、上記と同じ形状のディ
スクも用意した。尚、いずれのディスクも、相手部材で
あるピンとの摺動面の表面粗さを十点平均粗さRzで
0.5μm以下とした。
ピンオンディスク摩耗試験機に取り付け、相手部材とし
て実施例1と同じ軸受鋼製のピン7を用い、図1に示す
分配型燃料噴射ポンプのフェースカム2と摺動を行うタ
ペットローラー3に使用されるブッシュ5が、燃料の高
圧噴射時に負荷されると思われる摺動条件、即ち摺動速
度7.5m/sec及び負荷面圧10.0kgf/mm2
の条件で、灯油潤滑下に摺動させた。摺動距離20km
の時点での摩耗量を測定し、結果を表3に併せて示し
た。
有軽油潤滑に相当する過酷な潤滑条件下において、本発
明のSi3N4又はサイアロンの含有率が60体積%以
上のSi3N4系焼結体からなる摺動部材は、その含有
率50体積%以下の参考例及び従来の軸受鋼製の摺動部
材に比べて、耐焼付性に優れると共に耐摩耗性及び相手
部材攻撃性において一層優れた特性を有することが分か
る。
積%のSi3N4系焼結体からなる、実施例1と同じ形状
のディスクを用意し、各ディスクの摺動面の表面粗さ
(十点平均粗さRz)を、下記表4に示すごとく変化さ
せた。又、相手部材であるピンは軸受鋼(SUJ2)と
し、その摺動面の表面粗さRzは0.5μmとした。
にピンオンディスク摩耗試験機に取り付け、図1に示す
分配型燃料噴射ポンプのフェースカム2と摺動を行うタ
ペットローラー3のブッシュ5が、燃料の高圧噴射時に
負荷されると思われる摺動条件、即ち摺動速度7.5m
/sec及び負荷面圧10.0kgf/mm2の条件で、
灯油潤滑下に摺動させた。摺動距離20kmの時点での
摩耗量を測定し、結果を表4に併せて示した。
有軽油潤滑に相当する過酷な潤滑条件下において、表面
粗さRzが0.5μm以下の本発明の摺動部材は相手部
材攻撃性が少なく、またRzが小さくなるに伴い相手部
材攻撃性が少なくなることが分かる。特にRzが0.1
μm以下になると極めて良好な摺動特性を示し、それ以
上の表面粗さの改善は必要ないことも分かる。
ポンプのフェースカム2と摺動を行うタペットローラー
3のブッシュ5を、サイアロン含有率が70体積%で下
記表5に示す圧砕強度を有する各Si3N4系焼結体で作
製した。尚、焼結体の圧砕強度は結晶粒径などに依存す
る。
型燃料噴射ポンプのタペットローラー3に取り付け、市
販のディーゼルエンジンに組み込んだ。このブッシュ5
が燃料の高圧噴射時に負荷されると思われる摺動条件、
即ち摺動速度7.5m/sec及び負荷面圧10.0kg
f/mm2の条件で、灯油潤滑下にエンジンを回転数6
000rpmで運転し、100時間の耐久試験を実施し
た。
ュ5が破壊されるまでの時間を測定し、その結果を各ブ
ッシュ素材の圧砕強度及び結晶粒径と共に表5に示し
た。尚、結晶粒径の測定は、試料を鏡面加工した後イオ
ンエッチングを行い、測定距離50μmでの線密度をと
ったものであり、任意に4カ所を抽出して測定した平均
値を表5に示した。
当する過酷な潤滑条件下と燃料の高圧噴射に要求される
条件下において、本発明のSi3N4系焼結体からなる摺
動部材は、その圧砕強度が高くなるにつれて耐久性が増
し、特に8.0GPa以上の圧砕強度では非常に優れた
耐久性を備えることが分かる。
ディーゼルエンジンの燃料供給機構で深刻な問題となっ
ている燃料高圧噴射技術や、低硫黄含有軽油での潤滑か
ら生じる摺動部材の摩耗及び焼き付きを、有効に抑制す
ることが可能である。
術であるEGR(ExhaustGas Recirc
ulation)が抱えている還流ガス中の硫黄酸化物
による燃焼室の摩耗問題や、ディーゼル燃料の高圧噴射
技術が抱える燃料供給系の摩耗問題等に対する有効な解
決手段となるものである。
をディーゼルエンジンの燃料供給機構に用いることによ
って、摺動部材に特別な表面処理や応力解析が困難な複
雑な加工を行わなくても、排気ガス規制による含有硫黄
分の少ない軽油潤滑下に、高圧噴射による高面圧で高速
摺動の条件下でも、良好な摺動特性と高い耐摩耗性、及
び優れた耐焼き付き性を確保することができる。
フェースカムとタペットローラー周辺の機構を示す概略
の一部切欠側面図である。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 硫黄含有量が0.05重量%以下の軽油
を燃料とするディーゼルエンジンの燃料供給機構の軽油
潤滑部に用いられる摺動部材であって、少なくとも相手
部材と摺動する摺動部が窒化ケイ素又はサイアロンを6
0体積%以上含む焼結体又は複合材料からなるセラミッ
クスであり、該摺動部の摺動面の表面粗さが十点平均粗
さRzで0.5μm以下であることを特徴とする摺動部
材。 - 【請求項2】 前記摺動部の摺動面の表面粗さが十点平
均粗さRzで0.1μm以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の摺動部材。 - 【請求項3】 前記摺動部を構成するセラミックス材の
圧砕強度が8.0GPa以上であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の摺動部材。 - 【請求項4】 前記摺動部を備える摺動部材が、プラン
ジャー、フェースカム、フェースカムと摺動するタペッ
トローラー、タペットローラーのシャフト、タペットロ
ーラーとシャフトの間に介在するブッシュ、又はデスタ
ンスピースであることを特徴とする、請求項1又は2に
記載の摺動部材。
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JPH08232795A JPH08232795A (ja) | 1996-09-10 |
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Family
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-
1995
- 1995-02-27 JP JP03851895A patent/JP3191599B2/ja not_active Expired - Fee Related
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