JPH08158818A - Si3N4系セラミックス製滑りローラーを持つローラータペット - Google Patents

Si3N4系セラミックス製滑りローラーを持つローラータペット

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JPH08158818A
JPH08158818A JP6307812A JP30781294A JPH08158818A JP H08158818 A JPH08158818 A JP H08158818A JP 6307812 A JP6307812 A JP 6307812A JP 30781294 A JP30781294 A JP 30781294A JP H08158818 A JPH08158818 A JP H08158818A
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roller
sliding
tappet
ceramics
cam
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Application number
JP6307812A
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Inventor
Hiroshi Izumida
寛 泉田
Takao Nishioka
隆夫 西岡
Akira Yamakawa
晃 山川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カムとの摺動部の耐摩耗性に優れ、軽量で耐
久性に優れるローラータペットを提供する。 【構成】 カム4と当接するローラーが金属内軸3に回
転自在に直接挿着されたSi34系セラミックス製の滑
りローラー2であって、滑りローラー2を構成するSi
34系セラミックスの3点曲げ強度が平均値で100k
g/mm2以上であり、滑りローラー2のカム4との摺
動部である外周面及び金属内軸3との摺動部である内周
面の表面粗さがRZで0.5μm以下、好ましくは0.1
μm以下である滑りローラーを持つローラータペット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の動弁機構に
おいて、吸排気バルブにカムからの動力を伝えるローラ
ータペットに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジン形式には各種の方式が
存在し、吸排気バルブを駆動する手段によって分類する
ことが可能であり、OHV方式もその一つである。従
来、カムからの動力を伝えるバケット型タペットは、カ
ムとの当接部が主に滑り摺動を行い、そこに負荷される
面圧もかなり大きいことから、摺動部の摩耗という問題
を抱えていた。
【0003】しかも、近年、エンジンの高出力化への要
望が高まってきていることから、エンジンの回転の高速
化は必至であり、動弁系駆動部の慣性荷重の低減の必要
性や、各摺動部に負荷される面圧の増加による摩耗とい
う新たな問題も生じている。
【0004】又、最近では地球規模の環境問題が取り沙
汰されており、自動車の排気ガスではCO2やNOx等が
規制の対象となっている。特にディーゼルエンジンに限
って言えば、その排出するNOxが大きな問題となって
いる。これは、主に過剰燃焼によって発生するものであ
るため、その対策としては、燃料噴射時期の遅延化、燃
料の高圧噴射、排ガス再循環法(EGR)の使用等が上
げられる。
【0005】しかし、いずれの方法にしても、NOx
トレードオフの関係にあるP/M(Particula
te Matter)による摩耗の問題が深刻になって
おり、エンジン内の全ての摺動部における耐摩耗性の向
上が必要となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、カムとの摺動部の耐摩耗性に優れ、軽量
で耐久性に優れるローラータペットを提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するローラタペットは、カムと当接す
るローラーが金属内軸に回転自在に直接挿着されたSi
34系セラミックス製の滑りローラーであって、滑りロ
ーラーを構成するSi34系セラミックスの曲げ強度が
JIS R1601に準拠した3点曲げ強度の平均値で
100kg/mm2以上であり、滑りローラーのカムと
の摺動部である外周面及び金属内軸との摺動部である内
周面の表面粗さが十点平均粗さで0.5μm以下、好ま
しくは0.1μm以下であることを特徴とする。
【0008】本発明のローラータペットの滑りローラー
は、前記のごとくSi34系セラミックス焼結体からな
るものである。そのSi34系セラミックス焼結体は、
その結晶相にα−Si34とβ’−サイアロンの両方を
含み、焼結体密度が98%以上であることが好ましい。
【0009】
【作用】本発明のローラータペットは、カムと当接する
ローラー部が窒化ケイ素(Si34)系のセラミックス
製ローラーとなっており、回転可能に取り付けられたロ
ーラーの構造が簡単な滑りローラー方式となっているロ
ーラータペットである。
【0010】本来、滑りローラー方式では、金属内軸と
ローラーとの摺動部の摩擦損失が大きいことや、局部的
な凝着による摩耗や焼き付きの問題があったが、本発明
ではローラーの材質として摩擦係数が小さく且つ表面活
性度が低いSi34系セラミックスを使用することで、
金属内軸との摩擦及び摩耗の程度を少なくすることが可
能となり、滑りローラー方式の採用が可能となったもの
である。
【0011】滑りローラー方式によれば、ローラーとカ
ムとの摺動のタイプが主に「転がり」となるため、カム
との当接部が滑り接触となっている従来のバケット型タ
ペットよりも摺動による摩耗の程度は少ない。かかるロ
ーラー方式のタペットは従来ニードルローラー方式が主
流であったが、本発明では滑りローラー方式を採用して
いる。滑りローラー方式は、ニードルローラー方式より
も構造が簡単であり、従って使用部品も少ないので安価
に製造でき、小型軽量化が可能であって、慣性荷重によ
る負荷の低減にも効果的であることから高回転型エンジ
ンの使用にも適している。
【0012】本発明のローラータペットでは、セラミッ
クス製滑りローラーはSi34系セラミックスで構成さ
れるが、滑りローラーには高い面圧がかかるから、Si
34系セラミックスは高強度であることが必要であり、
具体的には曲げ強度がJISR1601に準拠する3点
曲げ強度の平均で100kg/mm2以上であることが
必要である。3点曲げ強度の平均が100kg/mm2
未満では、摺動時にかかる面圧によりセラミックス滑り
ローラーが破損する危険があるからである。
【0013】かかる高強度のSi34系セラミックスと
しては、結晶相にα−Si34とβ’−サイアロンとを
含み、焼結体密度が98%以上であるSi34系セラミ
ックス焼結体が望ましい。更に、エンジン稼働時にロー
ラータペットのローラー部に負荷される応力を考慮する
と、ローラーを構成するSi34系セラミックス材料
は、焼結体中のα−Si34の含有量が30体積%以下
であること、即ちα−Si34とβ’−サイアロンの各
結晶相のX線回折におけるピーク強度が、両者のピーク
強度の和を100%としたとき、0<α−Si34≦3
0%及び70%≦β’−サイアロン<100%の関係に
あることが好ましい。
【0014】又、エンジン部品の中でも動弁系の摺動条
件は過酷であり、その潤滑形態は主に流体潤滑と境界潤
滑とが混在する混合潤滑状態であるから、本発明のセラ
ミックス製滑りローラーとカム及びローラーと金属内軸
との間の潤滑も混合潤滑の形態を持ち、各部の摺動によ
って発生する摩擦損失は主に境界潤滑部による損失が支
配的である。そこで、これらの摺動部に安定した油膜の
形成を促進し、境界潤滑部を減少させることが必要であ
る。
【0015】そのためには、摺動部の表面粗さを小さく
抑えることが効果的であるからであり、具体的には、本
発明のローラータペットのセラミッスク製滑りローラー
において、ローラーのカムとの摺動部である外周面及び
金属内軸との摺動部である内周面の表面粗さを、十点平
均粗さRZで0.5μm以下とすること、更には0.1μ
m以下とすることが好ましい。
【0016】摺動面粗度を小さくすることにより、他に
もセラミックス製滑りローラーを用いることによるメリ
ットを引き出すことが可能である。即ち、金属の熱膨張
率はSi34系セラミックスの熱膨張率よりもかなり大
きいことから、ローラーと金属内軸とのクリアランスを
適切な値にすることにより、組み立て時には両者のクリ
アランスが大きく組み立てが容易であって、且つエンジ
ン運転時には熱膨張により両者のクリアランスが強固な
潤滑油膜が形成されるクリアランスにまで縮まり、良好
な潤滑性を得ることが可能である。そのためには、セラ
ミックス製滑りローラーの摺動面の表面粗さを小さく
し、ローラーと金属内軸との摺動面の局所的凸部の接触
を少なくしてやることが有効だからである。
【0017】かかる構成を持つ本発明のローラータペッ
トでは、セラミックス製滑りローラーはニードルベアリ
ング等を介さずに金属内軸に直接支持され、しかもロー
ラーを支持する金属内軸には、ローラーとの潤滑性を向
上させるため、必ずしも潤滑油供給用の細管を設ける必
要はない。これは、Si34系セラミックスが界面活性
度が低いため、セラミックス製滑りローラーと金属内軸
との間に局部的な凝着による摩耗や焼き付きの恐れがな
いこと、Si34系セラミックス製滑りローラーと金属
内軸との低い摩擦係数により、摩擦損失が小さいことに
よるものである。
【0018】更に、本発明のローラータペットでは、セ
ラミックス製滑りローラーを直接支持する金属内軸の摺
動面には、ダイヤモンド状炭素(Diamond Li
keCarbon;アモルファス状炭素又は水素化炭素
とも称する)膜を被覆することが好ましい。金属内軸の
摺動面にダイヤモンド状炭素被膜を設けることにより、
セラミックス製滑りローラーからの攻撃に対して耐摩耗
性を向上させることができ、摩擦損失をより一層低減さ
せる効果がある。尚、ダイヤモンド状炭素被膜の形成に
は、CVD法等の公知の方法を用いることができる。
【0019】
【実施例】実施例1 本発明のローラータペットの滑りローラーとして、焼結
体中の結晶相にα−Si34とβ’−サイアロンの両方
を含み、各結晶相のX線回折におけるピーク強度の比率
がα−Si34:β’−サイアロン=8.4:91.6で
あり、且つ焼結体密度が98%以上であるSi34系焼
結体からなるセラミックス製滑りローラーを用意した。
【0020】又、比較例のタペットとして、本実施例と
同じ構造を持つが、Si34系焼結体以外のセラミック
ス(いずれも焼結体密度98%以上)からなるセラミッ
クス滑りローラーを備えたローラータペットをそれぞれ
用意した。尚、本実施例を含めいずれの滑りローラー
も、カムとの摺動部である外周面及び金属内軸との摺動
部である内周面の表面粗さを、十点平均粗さRZで0.5
μmとした。
【0021】図2に示すように、上記の各セラミックス
製滑りローラー2を、ニードルベアリングを用いず、タ
ペット1の金属内軸3に直接挿着した。次に、得られた
各ローラータペットを、排気量4.2リットルのOHV
方式の動弁系を有する4気筒8バルブの市販車用ディー
ゼルエンジンに取り付けた。この動弁系に、図1に示す
ように、カム4のカム軸5を駆動するモーター6、及び
潤滑油供給用のポンプを取り付けて、カム軸駆動試験機
を構成した。尚、図1において、7はプッシュロッド、
8はロッカーアーム、9はバルブ、10は弁バネ、及び
11はバルブガイドである。
【0022】この試験機を用いて、クランクシャフト回
転数換算にて2000rpmで100時間カム軸5を回
転させ、各試料ごとに100時間後のタペット1の滑り
ローラー2とカム4の摩耗量を調べた。潤滑油温度は実
車搭載時を想定して80℃、潤滑油圧は0.5kgf/
mm2以上とした。尚、摩耗量の測定は、カム4につい
ては図5に示すように長軸方向の長さL、滑りローラー
2については図2に示すように半径方向の厚さD1を、
試験前後に測定し、その差を摩耗量とした。得られた結
果を表1に示した。
【0023】
【表1】 カム摩耗量 ローラー摺動部 3点曲げ強度試 料 ローラータペット (μm) 摩耗量(μm) (kgf/mm2) 1−1 Si3N4系滑りローラー 6 1以下 124 1−2* SiC系滑りローラー 24 1以下 72 1−3* ZrO2系滑りローラー 12 32 123 1−4* Al2O3系滑りローラー 試験中破壊のため測定不能 90 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0024】表1の結果から、SiC系セラミックス滑
りローラーの場合ローラー自体の摩耗はないが、相手側
カムへの攻撃性が大きく、ZrO2系セラミックス滑り
ローラーは逆にローラー自体の摩耗が大きく、Al23
系セラミックス滑りローラーの場合は途中で破壊し、使
用に耐えないものであることが分かった。
【0025】一方、本発明のSi34系滑りローラー
は、Si34系セラミックスの持つ高い硬度と低い表面
活性度によって、100時間後の摺動部摩耗が殆どな
く、相手材であるカムへの攻撃性も他の比較例と比べ極
めて小さく、信頼性の上でも優れていることが分かる。
【0026】実施例2 3点曲げ強度の異なるSi34系セラミックス滑りロー
ラーで、カムとの摺動部である外周面及び金属内軸との
摺動部である内周面の表面粗さを十点平均粗さRZで約
0.1μmのものを用意し、それぞれ実施例1と同様に
金属内軸に直接挿着してローラータペットを構成した。
【0027】得られた各試料のローラータペットを実施
例1と同様に、排気量4.2リットルのOHV方式の動
弁系を有する4気筒8バルブの市販車用ディーゼルエン
ジンに取り付け、クランクシャフト回転数換算にて60
00rpm(使用エンジンのレッドゾーン)で1時間カ
ム軸を回転させた。潤滑油温度は実車搭載時を想定して
80℃、潤滑油圧は1.0kgf/mm2以上とした。各
試料ごとに1時間の運転終了時のローラーの破損の程度
(全バルブ数8中の破損数)を調べ、結果を表2に示し
た。
【0028】
【表2】 3点曲げ強度 破損の程度試 料 ローラータペット (kgf/mm2) (破損数/全数) 2−1 Si3N4系ローラー 152 0/8 2−2 〃 124 0/8 2−3* 〃 105 0/8 2−4* 〃 95 6/8 2−5* 〃 88 8/8 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0029】表2の結果から明らかなように、本発明の
ローラータペットのSi34系セラミックス滑りローラ
ーは、使用に耐え得る強度として3点曲げ強度(JIS
R1601)で100kgf/mm2以上必要であるこ
とが分かる。
【0030】実施例3 実施例1の試料1−1と同じ3点曲げ強度が124kg
/mm2であるSi34系セラミックス滑りローラーを
用意し、カムとの摺動部である外周面及び金属内軸との
摺動部である内周面の表面粗さを十点平均粗さRZで0.
09μm、0.49μm、0.97μmのものを用意し、
それぞれ実施例1と同様に金属内軸に直接挿着してロー
ラータペットを構成した。
【0031】又、比較のために、摺動部の表面粗さRZ
が0.08μmと0.49μmの図3に示すニードルロー
ラー式(従来品)と、摺動部の表面粗さRZが0.09μ
mと0.47μmの図4に示すバケット式(従来品)の
タペットをそれぞれ用意した。尚、ニードルローラー式
タペットのローラー12は高炭素クロム軸受鋼(SUJ
2)製を使用し、金属内軸3との間にニードルベアリン
グ13を備えている。バケット式タペットのカムとの摺
動部には超硬合金製チップ14を用いた。
【0032】これら各試料のタペットを実施例1と同様
に、排気量4.2リットルのOHV方式の動弁系を有す
る4気筒8バルブの市販車用ディーゼルエンジンに取り
付け、クランクシャフト回転数換算にて2000rpm
で100時間カム軸を回転させた。潤滑油温度は実車搭
載時を想定して80℃、潤滑油圧は0.5kgf/mm2
以上とした。実施例1と同様に100時間後のカムとロ
ーラー摺動部の摩耗量を測定し、その結果を表3に示し
た。尚、バケット式タペットの摺動部摩耗量は、図4に
示すように、試験前後の超硬合金製チップ14の厚さD
2の差を求めて摩耗量とした。
【0033】
【表3】 表面粗さ カム摩耗量 タペット摺動部 試 料 タ ペ ッ ト Z(μm) (μm) 摩耗量(μm) 3−1 Si3N4系滑りローラー 0.49 6 1以下 3−2 Si3N4系滑りローラー 0.08 3 1以下 3−3* Si3N4系滑りローラー 0.97 38 1以下 3−4* バケット式 0.49 138 60 3−5* バケット式 0.09 52 33 3−6* ニードルローラー式 0.49 25 41 3−7* ニードルローラー式 0.08 16 26 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0034】表3の結果から、従来のバケット式タペッ
トでは、相手材カムとの当接面で滑り接触が行われてお
り、転がり接触を主にするローラータペットと比較して
大きな摩耗が起こっていることが分かる。異なる摺動面
粗さを持つ試料3−4と3−5では、摺動部の表面粗さ
が大きい試料3−4ほど摩耗量も大きくなっている。
【0035】又、従来の軸受鋼をローラー部材に用いた
ニードルローラー式タペットでは、ローラーとカムの間
に局部的な凝着が発生し、カム及びローラー摺動部の摩
耗が発生している。この場合においても、カムとローラ
ーそれぞれの摺動部の摩耗については、摺動部の表面粗
さが大きいほど摩耗が大きいことが分かる。
【0036】一方、本発明のSi34系セラミックス滑
りローラーを用いるタペットでは、その高い硬度と低い
表面活性度によって、それ自身100時間後の摺動摩耗
が殆どなく、中でも摺動部の表面粗さRZが0.5μm以
下の試料3−1及び3−2では相手材であるカムへの攻
撃性も極めて小さく、更に0.1以下ではカムの摩耗が
一層小さくなることが分かる。しかし、同じSi34
滑りローラーでも、摺動部のRZが0.5μmを越える試
料3−3ではカムへの攻撃性が一段と増していることが
分かる。
【0037】実施例4 同じSi34系セラミックス滑りローラーでも、α−S
34とβ’−サイアロンを含み、そのα−Si34
含有率が異なるセラミックス滑りローラーを用意し、各
試料とも摺動面の表面粗さRZを約0.1μmとした。各
Si34系滑りローラーを、実施例1と同様に金属内軸
に直接挿着してローラータペットを構成した。
【0038】得られた各Si34系滑りローラーを持つ
ローラータペットを、実施例2と同様に排気量4.2リ
ットルのOHV方式の動弁系を有する4気筒8バルブの
市販車用ディーゼルエンジンに取り付け、潤滑油温度は
実車搭載時を想定して80℃、潤滑油圧は1.0kgf
/mm2以上として、クランクシャフト回転数換算にて
6000rpmでカム軸を1時間回転させた。
【0039】表4に、各試料のα−Si34含有率(α
−Si34とβ−Si34の各結晶相のX線回折におけ
る両者のピーク強度の和を100%として算出)と共
に、運転終了時におけるローラーの破損の程度(全バル
ブ数8個中の破損の数)を示した。
【0040】
【表4】 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0041】表4の結果から分かるように、0<α−S
34含有率≦30体積%の条件を満たすSi34系セ
ラミックス滑りローラーを用いることによって、本発明
の目的であるSi34系セラミックス製滑りローラータ
ペットとしてより高い信頼性を持つことが可能である。
【0042】実施例5 滑りローラーとの摺動面にDLC膜をコーティングした
金属内軸と、DLC膜を有しない金属内軸とを用意し、
それぞれ前記実施例1の試料1−1と同じSi34系セ
ラミックス製滑りローラーを直接挿着した本発明のロー
ラータペットと、比較例として軸受鋼製のローラーを直
接挿着したローラータペットを作製した。尚、いずれの
滑りローラーも、摺動部の表面粗さRZは約0.1μmと
した。
【0043】得られた各ローラータペットを、前記実施
例と同様に排気量4.2リットルのOHV方式の動弁系
を有する4気筒8バルブの市販車用ディーゼルエンジン
に取り付けて、潤滑油温度は実車搭載時を想定して80
℃、潤滑油圧は1.0kgf/mm2以上とし、クランク
シャフト回転数換算にて2000rpmでカム軸を10
0時間カム軸を回転させた。運転終了後、金属内軸の摩
耗量(軸直径の運転前後の差)を測定し、結果を表5に
示した。
【0044】
【表5】試 料 ローラー 金属内軸 摩耗量(μm) 5−1 Si3N4 DLC膜 3 5−2 Si3N4 未処理 6 5−3* 軸受鋼 未処理 31 5−4* 軸受鋼 DLC膜 21 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0045】表5の結果から分かるように、滑りローラ
ーに本発明のSi34系セラミックス製滑りローラーを
用いることによって、金属内軸の摩耗を効果的に抑制す
ることが可能であり、更に金属内軸にDLC膜をコーテ
ィングすることにより、一層の耐摩耗性の向上を図るこ
とができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、従来のバケット型タペ
ットと比較して、カムとタペットの間の摩耗を大幅に低
減させることができる。したがって、本発明は、これか
らのエンジンの高回転化、高出力化への指向や、特にデ
ィーゼルエンジンに予想されるP/M問題など、益々過
酷になる摩耗問題に対する有効な解決手段となるもので
ある。
【0047】又、本発明のSi34系セラミックス製滑
りローラータペットは、従来のニードルローラータペッ
トと比較して、ニードルベアリングを必要とせず、金属
内軸に直接挿着できるため構造が極めて簡単であるか
ら、経済的にも極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSi34系セラミックス製滑りローラ
ーを備えたローラータペットをエンジン動弁系(OHV
式)に取り付けたカム軸駆動試験機を示す概略の一部切
欠側面図である。
【図2】滑りローラー式のタペットを示す概略の側面図
である。
【図3】ニードルローラー式のタペットを示す概略の側
面図である。
【図4】バケット型のタペットを示す概略の側面図であ
る。
【図5】カムの摩耗量の測定箇所を示す概略の側面図で
ある。
【符号の説明】
1 タペット 2 滑りローラー 3 金属内軸 4 カム 5 カム軸 6 モーター 7 プッシュロッド 8 ロッカーアーム 9 バルブ 10 弁バネ 11 バルブガイド 12 ローラー 13 ニードルベアリング 14 超硬合金製チップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/599

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸排気バルブにカムからの動
    力を伝えるローラータペットにおいて、カムと当接する
    ローラーが金属内軸に回転自在に直接挿着されたSi3
    4系セラミックス製の滑りローラーであって、該滑り
    ローラーを構成するSi34系セラミックスの曲げ強度
    がJIS R1601に準拠した3点曲げ強度の平均値
    で100kg/mm2以上であり、滑りローラーのカム
    との摺動部である外周面及び金属内軸との摺動部である
    内周面の表面粗さが十点平均粗さで0.5μm以下であ
    ることを特徴とするSi34系セラミックス製滑りロー
    ラーを持つローラータペット。
  2. 【請求項2】 前記セラミッスク製滑りローラーのカム
    との摺動部である外周面及び金属内軸との摺動部である
    内周面の表面粗さが、十点平均粗さで0.1μm以下で
    あることを特徴とする、請求項1に記載のSi34系セ
    ラミックス製滑りローラーを持つローラータペット。
  3. 【請求項3】 前記セラミックス製滑りローラーを構成
    するSi34系セラミックス焼結体が、その結晶相にα
    −Si34とβ’−サイアロンの両方を含み、焼結体密
    度が98%以上であることを特徴とする、請求項1に記
    載のSi34系セラミックス製滑りローラーを持つロー
    ラータペット。
  4. 【請求項4】 Si34系セラミックス焼結体中のα−
    Si34とβ’−サイアロンの各結晶相のX線回折にお
    けるピーク強度が、両者のピーク強度の和を100%と
    したとき、0<α−Si34≦30%及び70%≦β’
    −サイアロン<100%の関係にあることを特徴とす
    る、請求項3に記載のSi34系セラミックス製滑りロ
    ーラーを持つローラータペット。
  5. 【請求項5】 前記セラミックス製滑りローラーを直接
    支持する金属内軸が、滑りローラーとの潤滑性を向上さ
    せるための潤滑油供給用の細管又はブッシュを備えない
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のS
    34系セラミックス製滑りローラーを持つローラータ
    ペット。
  6. 【請求項6】 前記セラミックス製滑りローラーを直接
    支持する金属内軸の摺動面が、ダイヤモンド状炭素膜で
    被覆されていることを特徴とする、請求項1〜5のいず
    れかに記載のSi34系セラミックス製滑りローラーを
    持つローラータペット。
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