JPH08231188A - クレーンの安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建設土木現場などの作業環境化において十分
な信頼性をもつ安価なクレーンの安全装置を提供する。 【構成】 ブームコントロール弁９によりブーム３の俯
仰をコントロールするクレーンに搭載する安全装置にお
いて、ブームコントロール弁９を制御するパイロット油
圧回路中に設けた方向制御弁１９と、ブーム３が所定角
度以上になると方向制御弁１９によりブームコントロー
ル弁９を中立位置にしてブーム３を停止する機械的フィ
ードバック機構ＦＭとを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、油圧式クレーンのブー
ムの角度を制限する安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】建築資材等の吊り上げ作業に用いる油圧
式クレーンは例えば図５に示すように構成されている。
図５において、１はクレーン本体、２は起伏ウインチ、
３はブーム、４は巻き上げウインチを示している。クレ
ーン本体１に取り付けられたブーム３は、クレーン本体
１とブーム３を接続する取り付け軸を中心として上下方
向に回転する。ブーム３の先端部３ａにはペンダロープ
５の一端が取り付けられ、起伏ウインチ２で巻取り繰り
出される起伏ロープはＡフレームシーブ７からブライド
ル６に達し、ブライドル６とＡフレームハンガー８との
間で複数回掛け渡されて、その他端はＡフレームハンガ
ー８に固定される。ウインチ２が回転し起伏ロープを起
伏ウインチ２に巻取ることによりブーム３は起立する。
起伏ウインチ２は油圧モータを原動力として回転し、ブ
ーム３の角度を制御する。

【０００３】このような油圧式クレーンには、ブーム３
の角度が一定限度以上にならないように、ブームが一定
の角度に到達した場合には起伏ウインチ２の巻き上げを
停止し、ブームの上昇を止めるための安全装置が設けら
れている。従来、このような安全装置として、ブームが
一定角度に到達したことをクレーン本体１のリミットス
イッチにより検知し、ブームを自動的に停止するという
ものが知られている（従来例１）。この従来例１は、ブ
ームの角度が一定角度に達した場合には、電磁開閉弁に
よりブームコントロール弁のパイロット圧を制御し、ブ
ームコントロール弁を中立位置に切り替えてブームの上
昇を自動的に停止する。しかし、この従来の安全装置に
おいては、リミットスイッチや電磁開閉弁等の多くの電
子部品を使用するため、土木建設作業現場のような環境
下においては電子部品が故障しやすく装置の信頼性に欠
けるという問題があった。

【０００４】このように信頼性低下の原因となる電子部
品を排除することを目的とした従来技術として、実開昭
６１ー５０１６１号公報（従来例２）に開示されている
ものがあり、この従来技術では、ブームを起伏するメイ
ン油圧回路に設けたアンロード弁を別の油圧制御回路に
より開閉する。この油圧制御回路はシリンダ、連通管、
およびアンロード弁により構成され、ブームが一定角度
に上昇したときにシリンダを押し、これにより加圧され
た静油圧がアンロード弁を開き、メイン油圧回路の圧油
がタンクへ逃げてブームは自動停止する。

【０００５】もう一つの従来技術は実開昭６１ー５０１
６１号公報（従来例３）で開示されているものであり、
機械的なリンク機構によりブームの動きを、ブーム起伏
操作レバーおよびブームコントロール弁に伝達すること
によりブームを自動停止する安全装置である。この安全
装置はブームに隣接する位置に設けたピンと、ピンの動
きをブーム起伏操作レバーおよびブームコントロール弁
に伝達するリンク機構とから構成される。ブームが一定
角度に到達した場合には、ブームがピンを押し、機械的
に連動したブーム起伏操作レバーおよびブームコントロ
ール弁をそれぞれ中立位置に切換え、ブームを自動停止
する。

【０００６】以上のように、ブームの角度を検知し、一
定角度を越えないように自動的にブームを停止する安全
装置が各種考案されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
安全装置には以下のような問題がある。まず、従来例１
においては電子部品を多用するため信頼性に欠けること
はすでに述べた通りである。

【０００８】また、従来例２においては、アンロード弁
を開閉するための油圧制御回路を用いるが、油圧制御回
路に多数の部品が使用され、とくに大容量のアンロード
弁は高価であるため、装置が安価で提供できないという
問題がある。

【０００９】さらに、従来例３においては、ブームの運
動と連動させた機械的リンク機構を用いてブーム起伏レ
バーおよびブームコントロール弁を直接に切り替える方
法を採るため、十分な装置の信頼性が得られる。しか
し、ブームとブームコントロール弁を連結する機構が頑
強で複雑にならざるを得なくなるという問題がある。ま
た、ブーム起伏操作レバーが強制的に戻されるため操作
上違和感があるという問題もある。

【００１０】本発明の目的は、建設、土木現場などの作
業環境下において十分な信頼性をもつ安価なクレーンの
安全装置を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】一実施例を示す図１およ
び図３に対応づけて本発明を説明すると、本発明は、メ
イン油圧ポンプ１１と起伏モータ１０の中間に設けたブ
ームコントロール弁９によりブーム３の俯仰をコントロ
ールするクレーンに搭載される安全装置に適用される。
そして、上述の目的は、ブームコントロール弁９を制御
するパイロット油圧回路中に設けた安全弁（１９、２
０）と、ブーム３と連結され、ブーム３が所定の角度以
上になると安全弁（１９、２０）によりブームコントロ
ール弁９を中立位置にして起伏モータ１０を停止させる
機械的フィードバック機構ＦＭとから構成されるもので
ある。請求項２の発明は安全弁を方向制御弁１９とした
もの、請求項３の発明は安全弁を減圧弁２０としたもの
である。

【００１２】

【作用】ブーム３が一定角度まで上昇すると、機械的フ
ィードバック機構ＦＭにより安全弁（１９、２０）が操
作されて中立位置に切換わり、ブーム３が停止する。請
求項３の発明では、ブーム３の上昇により減圧弁２０が
出力するパイロット圧力は徐々に低下し、ブーム３は徐
々に遅くなって停止する。

【００１３】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。

【００１４】

【実施例】

―第１の実施例― 以下、図１および図２を参照して、本発明の第１の実施
例を説明する。図１は本発明の実施例による安全装置を
用いたクレーンの油圧回路を示す油圧回路図である。こ
の油圧回路はメイン油圧回路とパイロット油圧回路とか
らなり、メイン油圧回路は、ブームコントロール弁９
と、起伏モータ１０と、メイン油圧ポンプ１１と、カウ
ンタバランス弁１２と、リリーフ弁１３と、オイルタン
ク１４と、これらを接続する管路とから構成される。パ
イロット油圧回路は、制御用ポンプ１５と、起伏レバー
１８の操作量に応じたパイロット圧力を出力する減圧弁
１６、１７と、方向制御弁１９と、ブームコントロール
弁９のスプールを切り替えるためのパイロット操作部９
ａおよび９ｂと、リリーフ弁２１と、オイルタンク１４
と、これらを接続するための管路とから構成される。

【００１５】図２は、方向制御弁１９を操作する機械的
フィードバック機構ＦＭを示す。このフィードバック機
構ＦＭは、クレーン本体１のブーム３に隣接した位置に
取り付けられたレバー２２と、方向制御弁１９の近傍に
取り付けられ、スプリング２４を有するレバー２５と、
レバー２２とレバー２５を接続する可撓ケーブル２３と
から構成される。レバー２５は、ブラケット２６に左右
に移動可能に保持され、スプリング２４により図３にお
いて右方に付勢されている。

【００１６】上述の油圧回路は以下のように機能する。
まず、図１においては、ブームコントロール弁９は中立
位置にあり、オイルタンク１４からメイン油圧ポンプ１
１により吸込まれて吐き出された油は、ブームコントロ
ール弁９を経由してオイルタンク１４に戻る。一方、図
１において、ブームコントロール弁９がイ位置に切替え
られている場合には、メイン油圧ポンプ１１から吐き出
される油はブームコントロール弁９を経て起伏モータ１
０を回転させ、カウンタバランス弁１２を経由し、再び
ブームコントロール弁９を経てオイルタンク１４に排出
される。このとき、起伏モータ１０の回転によりブーム
３が降下する。他方、ブームコントロール弁９がロ位置
に切替えられている場合には、ポンプ１１から吐き出さ
れた油は起伏モータ１０を反対方向に回転させ、ブーム
３が上昇する。

【００１７】一方、上述のブームコントロール弁９はパ
イロット油圧回路により制御される。まず、油は制御用
油圧ポンプ１５によりオイルタンク１４から吸込んで吐
出され、リリーフ弁２１によりほぼ一定の圧力に調整さ
れる。その油圧力は、起伏レバー１８により制御される
減圧弁１６および方向制御弁１９を経由してパイロット
操作部９ａに導かれるとともに、起伏レバー１８により
制御される減圧弁１７を経由してパイロット操作部９ｂ
に導かれる。

【００１８】図１においては起伏レバー１８が中立の位
置にあり、減圧弁１６および減圧弁１７の出力ポートは
タンク１４に連通している。したがって、パイロット操
作部９ａおよび９ｂには油圧がかからずブームコントロ
ール９のスプールは中立位置にある。ここで、起伏レバ
ー１８を図１において右に傾けると、減圧弁１６が操作
され、その操作量に応じたパイロット圧力がパイロット
操作部９ａにかかり、ブームコントロール弁９のがロ位
置に切り替えられる。これにより、ポンプ１１の吐出油
が起伏モータ１０を回転させ、ブーム３は上昇する。こ
れとは反対に、図１の状態から、起伏レバー１８を左に
傾けると、減圧弁１７からパイロット圧力が出力されて
パイロット操作部９ｂにパイロット圧力がかかり、ブー
ムコントロール弁９がイ位置に切り替えられて、ブーム
３は下降する。以上のように、起伏レバー１８の操作に
よりブーム３の俯仰動作がコントロールされる。

【００１９】次に実施例の安全装置が働く場合について
説明する。まず、オペレーターが起伏レバー１８を図１
において右側に傾けておくことにより、ブーム３が上昇
を続ける。ブーム３が一定以上の角度まで上昇すると、
ブーム３によりレバー２２は反時計回転方向に回動して
可撓ケーブル２３が引かれる。この可撓ケーブル２３に
接続されたレバー２５は、図２において左にスライド
し、レバー２５と接触する方向制御弁１９のレバー１９
ａが押し込まれ、方向制御弁１９のスプールが図１にお
いて下方向に切り替わる。すなわち、イ位置に切り替わ
る。このように方向制御弁１９が切り替わることにより
減圧弁１６とパイロット操作部９ａが切り離されるとと
もに、パイロット操作部９ａ側がタンク１４と連通し、
ブームコントロール弁９は戻りばねの力により中立位置
に戻される。したがって、ブーム３は自動的に停止す
る。

【００２０】このように自動停止した後に、操作レバー
１８をブーム下げ側に操作すると、減圧弁１７からのパ
イロット圧力はパイロット操作部９ｂに作用し、ブーム
コントロール弁９は図１のイ位置に切り替わる。したが
って、起伏モータ１０がブーム下げ方向に回転し、ブー
ム３は下降する。ブーム３が所定角度以下にまで下降す
ると、レバー２５はばね２４のばね力で図３において右
方へ動作し、方向切換弁１９はロ位置に切り替わるか
ら、以降、ブーム上げ下げが可能となる。

【００２１】―実施例２― 第１の実施例の機械的フィードバック機構ＦＭに代え
て、図３に示すように、ブーム近傍に取り付けた２つの
支持体３３と、支持体３３に開けられた孔を貫通してス
ライドするストライカ３１と、ストライカ３１に巻き付
いて取り付けられ、支持体３３によってストライカ３１
を図中の右方へ付勢するスプリング３２とから構成され
る機械的フィードバック機構ＦＭＡを採用してもよい。
ブーム３が所定以上の角度になると、ブーム３の上昇運
動によりストライカ３１はばね３２の戻し力に抗して左
方に移動し、ストライカ３１は方向切換弁１９のレバー
１９ａを操作し、方向切換弁１９は図１のイ位置に切替
わって、ブームコントロール弁９が中立位置に復帰す
る。したがって、第１の実施例と同様の機能が発揮され
る。

【００２２】―第３の実施例― 図４に示すように、第１の実施例の方向制御弁１９に代
えて減圧弁２０を用いることができる。この場合、ブー
ム３の上昇運動に連動して減圧弁２０が徐々に操作され
るから、パイロット操作部９ａに作用するパイロット圧
力が徐々に低下する。このため、ブーム３の上昇速度が
徐々に遅くなり、減圧弁２０からの出力圧が所定の値以
下まで低下すると、ブームコントロール弁９は中立位置
に復帰する。したがって、ブーム３が自動停止する際の
衝撃が低減される。

【００２３】なお、第３の実施例の機械的フィードバッ
ク機構ＦＭに代えて、第２の実施例の機構ＦＭＡを用い
ることができる。この場合、第３の実施例と同様の作用
効果が得られる。

【００２４】なお、本発明は以上の実施例に限定され
ず、たとえば、機械的フィードバック機構としてリンク
機構を用いることもできる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の安全装置
は、ブームが所定角度に達した時に、ブームと連動する
機構によりブームパイロット回路中の安全弁を操作しブ
ームを停止するようにしたので、従来例２および３と同
様に、電子部品を使用せず信頼性の向上が図られ、従来
例２のように大型アンロード弁を用いたり、そのアンロ
ード弁を操作するシリンダその他の多くの油圧回路部品
を必要とせず、部品点数の削減にともなうコストダウン
が可能となり、さらには、従来例３のようにブームコン
トロール弁を操作するだけの頑強なリンク機構などの機
械的フィードバック機構が不要となるばかりか、ブーム
操作レバーは中立に戻す必要がなく、操作上の違和感も
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の安全装置を搭載したク
レーンの油圧回路図である。

【図２】本発明の第１の実施例の安全装置の機械的フィ
ードバック機構を示す図である。

【図３】本発明の第２の実施例の安全装置の機械的フィ
ードバック機構を示す図である。

【図４】本発明の第３の実施例の安全装置を搭載したク
レーンの油圧回路図である。

【図５】油圧式クレーンを示す全体構成図である。

【符号の説明】

３ ブーム ９ ブームコントロール弁 １９ 方向制御弁 ２０ 減圧弁 ＦＭ 機械的フィードバック機構

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 油圧ポンプと起伏モータの中間に設けた
   ブームコントロール弁によりブームの俯仰をコントロー
   ルするクレーンに搭載する安全装置において、 前記ブームコントロール弁を制御するパイロット油圧回
   路中に設けた安全弁と、 前記ブームと連結され、ブームが所定の角度以上になる
   と前記安全弁により前記ブームコントロール弁を中立位
   置にして前記起伏モータを停止させる機械的フィードバ
   ック機構とを有することを特徴とする安全装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の安全装置において、前
   記安全弁が方向制御弁であり、前記ブームが所定の角度
   以上になると前記ブームコントロール弁に作用するパイ
   ロット圧力がタンク圧となるように切替わることを特徴
   とするクレーンの安全装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の安全装置において、前
   記安全弁は、前記ブームの角度が大きくなるほど前記ブ
   ームコントロール弁へのパイロット圧力を低減する減圧
   弁であることを特徴とするクレーンの安全装置。