JPH08230603A - シート取付型サイドエアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートバックの構造を変更せずに取付けを可
能とするとともに、乗員着座時の異物感をなくす。 【構成】 シートバック３の側部３ａに取付けるエアバ
ッグモジュール３０のケース３１の形状を、前端がシー
トバックパッド２０の側部の厚さを一定化するように傾
斜させ、かつ後方側を直角方向に折曲して平面視Ｌ字形
として、このケース３１のサイドエアバッグ３４を収納
した前記前方側をシートフレーム１０の車体側方外側
に、インフレータ３６を収納した前記後方側をシートフ
レーム１０の後ろ側に配設することによって、エアバッ
グモジュール３０をシートバック３の側部３ａの狭いス
ペースに取付け可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車等の車両のシ
ートのシートバック側部に装着されるシート取付型サイ
ドエアバッグ装置に関し、特に、エアバッグモジュール
のモジュールケースの構造とその取付け構造とに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車等の車両のシートにエアバッグを
取付けたシート取付型エアバッグとしては、例えば特開
平４−３４８７１２号公報に記載されたものがある。こ
れは、図４に示すように、後席の乗員を保護するエアバ
ッグ装置で、前席のシート６０のシートバック６０ａ内
に設置され、車両衝突時に後方へ向けてエアバッグを展
開させるようになっている。

【０００３】すなわち、前席のシート６０のシートバッ
ク６０ａは、そのシートフレーム６１のパイプ製のメイ
ンフレーム６１ａを、その後方に空間が画成されるよう
に前方へ突出するように屈曲させて屈曲部６２が形成さ
れ、この屈曲部６２の前記空間に、ケースに収納された
エアバッグ機構６３が、その両側を前記メインフレーム
６１ａに保持されて、ほぼ水平に配設されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
のシートバック６０ａにおいては、シートフレーム６１
の設計段階からエアバッグ機構６３を取付けることを前
提としているため、既存のシートバックには適応できな
い。また、シートバック６０ａの中央部をエアバッグ機
構６３が水平に横断して取付けられているため、着座し
た乗員の背中がエアバッグ機構６３に当たって、異物感
を生じる等の問題があった。また、衝突時における後席
の乗員の保護を目的としたエアバッグ装置であるため、
そのままではサイドエアバッグ装置の取付け構造とする
ことはできなかった。

【０００５】この発明は、上記の事情に鑑みなされたも
ので、従来と同じ構造のシートバックの側部にエアバッ
グモジュールを、外部に突出させずに取付けると共に、
乗員が着座した際の異物感をなくすことができ、さら
に、エアバッグモジュールの組付けが容易なるシート取
付型サイドエアバッグ装置を提供することを目的として
いる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段としてこの発明は、車両シートのシートフレー
ムにシートバックパッドが一体的に被せられたシートバ
ックの側部に、車体側方が開口したモジュールケース
と、このモジュールケース内に収納されたサイドエアバ
ッグと、このサイドエアバッグを膨張させるインフレー
タと、前記モジュールケースの開口部を開閉可能に閉塞
するリッドとを備えたエアバッグモジュールを取付けた
シート取付型サイドエアバッグ装置において、前記モジ
ュールケースが、その車体前方側端部を前記シートバッ
クパッドの左右両端付近の厚さが一定になるように傾斜
させ、かつ車体後方側部分がほぼ直角に折曲されて平面
視Ｌ字形に形成され、この平面視Ｌ字形のモジュールケ
ースの前記開口部が形成されている前方側の一辺内に前
記サイドエアバッグが、また後方側の一辺内に前記イン
フレータがそれぞれ収納されるとともに、このモジュー
ルケースの前記前方側の一辺が前記シートフレームの車
体側方外側に、前記後方側の一辺がシートフレームの車
体後方内側にそれぞれ配置されてシートバックに取付け
られていることを特徴としている。

【０００７】また、請求項１記載のシート取付型サイド
エアバッグ装置において、前記モジュールケースのＬ字
形の両端付近が、直接もしくはブラケットを介して間接
的にそれぞれ前記シートフレームに、車体後方側から着
脱可能に取付けられるように構成することができる。

【０００８】

【作用】上記のように構成することにより、エアバッグ
モジュールのＬ字形のモジュールケースの前端を、シー
トバックパッドの厚さが一定になるように傾斜させると
ともに、この前方側にサイドエアバッグが収納され、後
方側にインフレータが収納され、さらにサイドエアバッ
グが収納された前方側の部分が、シートバック側部のシ
ートフレームの外側に、インフレータが収納された後方
側を前記シートフレームの後方側にそれぞれ配設して取
付けられるため、シートバッグ側部の限られた狭いスペ
ースにエアバッグモジュールが収納される。

【０００９】また、平面視Ｌ字型のモジュールケースの
両端付近が、直接もしくはブラケットを介して間接的に
それぞれ前記シートフレームに、車体後方側からボルト
締結するので、エアバッグモジュールの組付け交換作業
が、シートバックの後方側から行うことが可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明のサイドエアバッグ装置の一
実施例を、図１ないし図３に基づいて説明する。

【００１１】このサイドエアバッグ装置は、側面衝突時
にシートに着座する乗員を保護するもので、例えば図１
に示すよう運転席のシート１は、水平なシートクッショ
ン２の後ろにシートバック３が起立して構成され、この
シートバック３のドア側の側部３ａの高所にエアバッグ
モジュール３０が取付けられている。

【００１２】シートバック３は既存のものと同じ構造で
あり、図３に示すように金属製のシートフレーム１０と
厚い弾性体によるシートバックパッド２０とバックボー
ド１５とを備えている。シートフレーム１０は、ほぼ台
形に形成される左右の脚部１１ａ（一方は図示せず）を
後ろの連結部１１ｂで一体化した板部材１１を有し、こ
の板部材１１の脚部１１ａの間にコ字形に折り曲げたパ
イプ部材１２と、このパイプ部材１２の互いに対向する
部分間を連結部材１３により結合して、着座した乗員の
上半身の荷重を支えることが可能に形成されている。

【００１３】またシートバックパッド２０は、着座した
乗員の背中Ｓが当たる前部２１に、左右の両側部２２
（一方図示せず）と上下部２３，２４と後部２５とを一
体化して袋状に形成され、その後方部分には、シートバ
ック３の形状に合わせて縦に細長い方形の開口部が形成
され、その外側には必要に応じてシート表皮が被せられ
ている。ここで、図２に示すように前部２１の大部分と
側部２２のパッド厚さはほぼ同じであるが、前部２１の
左右両端に肉厚を厚くした厚肉部２６が設けられて、背
中Ｓの湾曲に沿ったバケット状に形成されている。

【００１４】そこで、シートフレーム１０の板部材１
１、パイプ部材１２、連結部材１３の周囲に、シートバ
ックパッド２０の前部２１、左右の両側部２２、上下部
２３，２４、後部２５が緊張して一体的に被せられ、シ
ートバックパッド２０の後方を覆うようにバックボード
１５が取付けられて、シートバック３が図２に示すよう
に密閉構造に構成されている。そして、シートバックパ
ッド２０の側部２２に縦に長い台形状の開口部２２ａが
形成され、バックボード１５の対応する箇所にも開口部
１５ａが形成されている。

【００１５】ここで、前述したシートバック３の構造で
は、その側部３ａにシートバックパッド２０の側部２２
のパッド厚さに応じたスペースが有る。また、パッド側
部２２の内側では、前方の半分の領域にシートフレーム
１０の板部材１１が接触するが、その後ろのバックボー
ド１５との領域は空いているため、これらスペースをエ
アバッグモジュール３０の装着に利用することができ
る。

【００１６】そこで、エアバッグモジュール３０の構造
について説明すると、図２および図３に示すように、モ
ジュールケース３１がエアバッグ室３２とインフレータ
室３３に分けて形成されている。すなわち、エアバッグ
室３２は、シートバック側部３ａより狭い幅でシートバ
ックパッド２０の側部２２の厚さとほぼ同じ深さを有し
て縦に長い台形箱形に形成され、底の前方の一部がシー
トフレーム１０の板部材１１に当接することが可能にな
っている。インフレータ室３３は、板部材１１とバック
ボード１５の間の隙間ａでシートバック３内部に収納可
能な縦長の筒状に形成されている。そして、エアバッグ
室３２の後ろにインフレータ室３３が直角に連通され、
平面視Ｌ字形に屈曲形成されている。

【００１７】ここで、エアバッグ室３２は、横幅が広い
方が良いが、シートバックパッド２０の厚肉部２６に突
入すると、乗員の座り心地を損なう。そこで、エアバッ
グ室３２の前面３２ａが、シートバックパッド内側角部
２０ａの付近から厚肉部２６の厚さｄを一定に確保する
ように斜め外側に傾斜して形成されている。これによ
り、エアバッグ室３２のサイドエアバッグ膨張時には、
サイドエアバッグが傾斜した前面３２ａにより乗員側に
案内されて有利になる。また、エアバッグ室３２の傾斜
した前面３２ａの形状により、シートバックパッド２０
の開口部２２ａの前面２２ｂも同一に傾斜して形成され
ている。

【００１８】そして、エアバッグ室３２にサイドエアバ
ッグ３４が折り畳んで収納されるとともに、リッド３５
が前方に開くように取付けられる。また、インフレータ
室３３にインフレータ３６がサイドエアバッグ３４と連
通して収納され、こうして一体的にユニット化されてい
る。

【００１９】次に、エアバッグモジュール３０の取付け
構造について説明すると、モジュールケース３１のエア
バッグ室３２は底の前方の一部がシートフレーム１０の
板部材１１に当接するため、エアバッグ室３２の底の先
端の長さ方向中間に係合手段４０としての係合爪４１が
突設され、板部材１１の係合爪４１と対応する位置に係
１合孔４２が設けられている。係合爪４１は、底から真
直ぐ前方に延びて形成され、後方から係合爪４１を係合
孔４２に引掛けて係合することができ、この係合により
モジュールケース３１の外側への飛び出しを防止するよ
うになっている。

【００２０】また、インフレータ室３３の底の上部、エ
アバッグ室３２の底のインフレータ室３３から外れた下
部にそれぞれ締結手段４５，５０としてのブラケット４
６，５１が突設されている。そして、モジュールケース
３１をシートバック３の側部３ａに沿って縦長に配置し
た際のシートフレーム１０の各ブラケット４６，５１と
対応する位置に、ナット４９を備えたブラケット４７，
５２が設けられ、これら２箇所のブラケット４６，４７
およびブラケット５１，５２を合わせてボルト４８，５
３により締結するようになっている。

【００２１】そこで、シートバック３にエアバッグモジ
ュール３０を取付ける場合について説明すると、先ず、
シートフレーム１０の周囲にシートバックパッド２０を
一体的に被せる。すると、シートバックパッド２０の側
部２２の開口部２２ａにシートフレーム１０の板部材１
１の一部と共に係合孔４２が露出し、シートフレーム１
０の後方も露出する。そこで、シートバックパッド２０
の開口部２２ａにモジュールケース３１を後方から挿入
しつつその係合爪４１を係合孔４２に引掛けることで容
易に係合され、この係合によりモジュールケース３１の
前部がシートフレーム１０に固定される。その後、２箇
所の締結手段４５，５０を位置合わせして後方からボル
ト締めすることにより、そのモジュールケース３１の後
部がシートフレーム１０に固定される。

【００２２】こうして、全て後方からの作業によりモジ
ュールケース３１がシートフレーム１０に容易に取付け
られ、この場合に前方の長手方向中間の係合手段４０
と、後方の上下２箇所の締結手段４５，５０でモジュー
ルケース３１が強固に取付けられる。このため、サイド
エアバッグ３４の展開時の反力をシートフレーム１０で
確実に受けることが可能になる。

【００２３】その後、エアバッグモジュール３０にハー
ネス等を接続し、シートバックパッド２０の後方にバッ
クボード１５を取付けて、シートバック３の組付けが完
了する。

【００２４】このシートバック３の組付け状態では、図
２に示すようにモジュールケース３１のエアバッグ室３
２が、シートバックパッド２０の側部２２のパッド厚さ
を利用して、そのシートバックパッド２０の開口部２２
ａの板部材１１外側に、薄いリッド３５のみをパッド外
部に出し、傾斜する前面３２ａを開口部２２ａの同一の
前面２２ｂに合致して埋め込んで設置される。また、エ
アバッグ室３２の後ろのインフレータ室３３が、シート
フレーム１０の板部材１１とバックボード１５の間の隙
間ａを利用してそこに設置される。こうして、モジュー
ルケース３１は既存のシートバック３の側部３ａに、限
られたスペースを利用して確実に内蔵される。

【００２５】次に、上記のように構成されるこの実施例
の作用を説明すると、シートバック３の側部３ａにエア
バッグモジュール３０が、薄いリッド３５のみを外に出
した状態で内蔵されているため、見栄えが良くなる。ま
た、エアバッグモジュール３０はシートベルトや車体の
センタピラーと全く干渉しなくなるので、シートベルト
やシートアジャストの操作不良を生じなくなる。

【００２６】したがって、シートバック３は、内部に突
起物が無く、シートバックパッド２０の前部２１の左右
両端の厚肉部２６がエアバッグ室３２の傾斜した前面３
２ａにより一定の厚さｄが確保されている。このため、
シート１に着座した乗員の背中Ｓがシートバック３に押
し当てられた場合に、前部２１と共に厚肉部２６で充分
なクッションストロークが得られ、これにより異物感を
生じないで、常に良好な座り心地が得られるとともに、
追突された時のように、乗員がシートバック３に強く押
し付けられた場合にも底突きせず、充分緩衝することが
できる。

【００２７】そして、側面衝突時にはインフレータ３６
のガス発生剤が着火して多量のガスが発生し、このガス
がエアバッグ室３２のサイドエアバッグ３４に導入され
る。このため、サイドエアバッグ３４は膨張して、その
圧力によりリッド３５を開きなが押し出され、図１に二
点鎖線で示したように、ドアと着座している乗員との間
の空間に展開する。このため、乗員がドアに二次衝突す
る際の衝撃がサイドエアバッグ３４により吸収緩和され
る。

【００２８】また、この実施例においては、エアバッグ
モジュール３０のモジュールケース３１が、エアバッグ
室側の長手方向中間に後方からシートフレーム１０に係
合することが可能な係合手段４０が設けられ、インフレ
ータ室側とエアバッグ室側の上下２箇所にシートフレー
ム１０に締結する締結手段４５，５０が設けられている
ため、全て後方からの作業によりモジュールケース３１
がシートフレーム１０に容易かつ強固に取付けられる。

【００２９】なお、この実施例においては、運転席のサ
イドエアバッグ装置について説明したが、助手席や後部
座席のサイドエアバッグ装置にも同様に実施することが
できる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明のサイドエ
アバッグ装置は、エアバッグモジュールのＬ字形のモジ
ュールケースの前端を、シートバックパッドの厚さが一
定になるように傾斜させて形成したので、乗員が着座し
た際の異物感がなくなるとともに、モジュールケースを
Ｌ字型に形成して、サイドエアバッグを収納した部分を
シートバック側部のシートフレームの外側に、インフレ
ータを収納した部分を前記シートフレームの後方側にそ
れぞれ配設して取付けたので、シートバック側部の限ら
れたスペースにサイドエアバッグ装置を収納することが
できる。またシートバックから突出しないため、シート
ベルトが引っ掛かったり、シートの位置調整の邪魔とな
ることがなく、また見栄えが良くなる。また、平面視Ｌ
字型のモジュールケースの両端付近を、シートフレーム
に、車体後方側からボルト締結して取付けるため、エア
バッグモジュールの取付け・交換作業が容易となる等の
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のサイドエアバッグ装置を装着した助
手席シートの斜視図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【図３】シートバックとエアバッグモジュールの分解斜
視図である。

【図４】従来のシート取付型エアバッグ装置を備えたシ
ートの断面図である。

【符号の説明】

３ シートバック ３ａ 側部 １０ シートフレーム １５ バックボード ２０ シートバックパット ２２ 側部 ２２ａ 開口部 ２６ 厚肉部 ３０ エアバッグモジュール ３１ モジュールケース ３２ エアバッグ室 ３２ａ 前面 ３３ インフレータ室 ３４ サイドエアバッグ ３５ リッド ３６ インフレータ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両シートのシートフレームにシートバ
   ックパッドが一体的に被せられたシートバックの側部
   に、車体側方が開口したモジュールケースと、このモジ
   ュールケース内に収納されたサイドエアバッグと、この
   サイドエアバッグを膨張させるインフレータと、前記モ
   ジュールケースの開口部を開閉可能に閉塞するリッドと
   を備えたエアバッグモジュールを取付けたシート取付型
   サイドエアバッグ装置において、 前記モジュールケースが、その車体前方側端部を前記シ
   ートバックパッドの左右両端付近の厚さが一定になるよ
   うに傾斜させ、かつ車体後方側部分がほぼ直角に折曲さ
   れて平面視Ｌ字形に形成され、この平面視Ｌ字形のモジ
   ュールケースの前記開口部が形成されている前方側の一
   辺内に前記サイドエアバッグが、また後方側の一辺内に
   前記インフレータがそれぞれ収納されるとともに、この
   モジュールケースの前記前方側の一辺が前記シートフレ
   ームの車体側方外側に、前記後方側の一辺がシートフレ
   ームの車体後方内側にそれぞれ配置されてシートバック
   に取付けられていることを特徴とするシート取付型サイ
   ドエアバッグ装置。
2. 【請求項２】 前記モジュールケースのＬ字形の両端付
   近が、直接もしくはブラケットを介して間接的にそれぞ
   れ前記シートフレームに、車体後方側から着脱可能に取
   付けられていることを特徴とする請求項１記載のシート
   取付型サイドエアバッグ装置。