JP3794306B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車等の車両のシート側部に凹所を形成し、該凹所内にエアバッグユニットを収納してなる車両の乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車等の車両において、車室内の乗員に対する保護機能をより高めるものとして、シート側部(具体的には、通常、シートバックの側部)に凹所を形成し、この凹所内にエアバッグユニットを格納しておき、車両がいわゆる側突(側方からの衝突)を受けた際には、このエアバッグユニットからシート側部と車室内側壁部との間にエアバッグが展開することにより、乗員への衝撃入力を吸収しつつ乗員の側方への挙動を規制し、乗員に対する保護機能をより向上させるようにした、所謂、サイドエアバッグは、公知であり、一部では既に実用に供されている。
【0003】
かかるサイドエアバッグのユニット体が格納されるシートバックは、周知のように、フレーム体(シートバックフレーム)を骨組みとしてその周囲を弾性に富んだ軟らかいウレタン発泡体で覆ってシートバック形状を形成し、このウレタン発泡体の外表面を表皮材(シートカバー)で被覆して構成されている。
【0004】
上記サイドエアバッグのユニット体をシート側部に格納する場合、当該シートの製造工程の途中、つまり、最終工程として表皮材の被覆作業よりも前にエアバッグユニットをシート側部の凹所に組み込むのが、従来、一般的である。換言すれば、従来では、シート製造工程の途中でエアバッグユニットをシート側部に内蔵するように(埋め込むように)組み付けるのが一般的である。
そして、側突時には、表皮に設けられた合わせ目(若しくは縫い目)を破ってエアバッグが展開するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、シートの基本的な製造工程の途中に、エアバッグユニットをシート側部に組み付ける組付作業を組み入れることになるので、エアバッグユニットの組付作業自体が作業性が良くなく、また、シート製造工程もそれだけ複雑なものとなるので、シート製造時の作業効率を高めることが難しいという難点がある。また、エアバッグ展開部に対応するシート表皮部分に縫い目を設ける必要があるので、見映えも良くないという問題があった。
【0006】
かかる問題を特に意識したものではないが、例えば特開平10−226303号公報には、シートバックの背面に後付けで取り付けられる樹脂製のバックガーニッシュにエアバッグユニットを固定しておき、シートの基本的な製造工程を終えた後、シート背面側から後付けで上記バックガーニッシュを取り付けることにより、エアバッグユニットがシートバック側部の凹所内に格納されるようにした構成が開示されている。
この構成によれば、確かに、エアバッグモジュールをシート外部から組み付け可能であるので、組付作業性を高めることができる。
【0007】
しかしながら、この従来技術の場合、エアバッグユニットは、シート側ではなく強度及び剛性の低い樹脂製のバックガーニッシュに固定されているので、取付強度及び剛性が十分とは言えず、エアバッグの展開動作が不安定になる惧れがあるという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、シート側部にエアバッグユニットを設けるに際して、エアバッグユニットの取付剛性を確保した上で組付作業性を向上させることができ、且つ、シート外観性を損なうことのない車両の乗員保護装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本願の請求項1に係る発明(以下、第1の発明という)は、表皮材で被覆されるシートの側部に凹所を形成し、該凹所内にエアバッグユニットを収納してなる車両の乗員保護装置であって、上記シートの側部には、シートフレームの一部を構成するサイドプレートが配設されており、上記エアバッグユニットの車幅方向外面部に、エアバッグ展開時に開き動作を行い得る、上記表皮部材で被覆されないカバー体が設けられるとともに、上記エアバッグユニットには、上記カバー体よりも下方に延びる下側取付用ブラケットと、上記カバー体よりも車幅方向内側に位置する上側取付用ブラケットとが設けられ、上記シートを上記表皮材で被覆した状態において、上記下側取付用ブラケットを、上記凹所の下端壁部で、上記サイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた差し込み係合部に係合させる一方、上記上側取付用ブラケットを、上記凹所の上部側壁部で、上記サイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部に上記カバー体側から該固定部を指向してネジ部材で締結固定することにより、上記エアバッグユニットが、少なくとも上下2箇所の取付部で上記凹所に取り付けられていることを特徴としたものである。
【0010】
また、本願の請求項2に係る発明(以下、第2の発明という)は、表皮材で被覆されるシートの側部に凹所を形成し、該凹所内にエアバッグユニットを収納してなる車両の乗員保護装置であって、上記シートの側部には、シートフレームの一部を構成するサイドプレートが配設されており、上記エアバッグユニットの車幅方向外面部に、エアバッグ展開時に開き動作を行い得る、上記表皮部材で被覆されないカバー体が設けられるとともに、上記エアバッグユニットには、上記カバー体よりも下方に延びる下側取付用ブラケットと、上記カバー体よりも車幅方向内側に位置する上側取付用ブラケットとが設けられ、上記シートの上部から上記凹所の下端部近傍までを上記表皮材で被覆した状態において、上記下側取付用ブラケットを、上記凹所の下端壁部で、上記サイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた穴部に挿通させてネジ部材で締結固定する一方、上記上側取付用ブラケットを、上記凹所の上部側壁部で、上記サイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部に上記カバー体側から該固定部を指向してネジ部材で締結固定することにより、上記エアバッグユニットが、少なくとも上下2箇所の取付部で上記凹所に取り付けられていることを特徴としたものである。
【0011】
更に、本願の請求項3に係る発明(以下、第3の発明という)は、上記第1又は第2の発明において、上記カバー体には、上記上側取付用ブラケットのネジ部材による締結固定部分を覆うキャップ部材が着脱可能に設けられ、該キャップ部材の上記カバー体からの移動量を規制する規制手段が設けられていることを特徴としたものである。
また更に、本願の請求項4に係る発明(以下、第4の発明という)は、上記第1又は第2の発明において、上記上側取付用ブラケットには、上記上部取付ブラケットへの締結固定用のボルトを挿通させる貫通穴が形成されており、該貫通穴は、上記エアバッグユニット内に配置されるインフレータよりも上側に位置することを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシートを背面側から見て示した斜視図である。この図に示すように、上記シート1は、乗員が着座するシートクッション2と、該シートクッション2の後端側にリクライニング機構(不図示)を介して取り付けられたシートバック3(背もたれ部)とを基本的な要素として構成されている。
【0013】
上記シート1には、側突時における着座乗員の保護機能をより高める乗員保護装置として、側突時にシート側部と車室内側壁部との間に膨張展開するエアバッグ(所謂、サイドエアバッグ)が組み込まれる。かかるエアバッグユニットを組み込むために、シート1の側部、具体的にはシートクッション3の側部に、所定サイズの凹所4が形成されている。該凹所4は、車室内側壁部に対向る方向(図1における右方)と、好ましくは、車体後方側(図1における左斜め下方)に向かって開口している。
【0014】
図2〜図5は、上記凹所4に組み付けられるエアバッグユニット10及びそのカバー体20(化粧カバー)を示している。該化粧カバー20は、上記エアバッグユニット10がシート1の外部から直接目に触れることを回避するために、その車幅方向外面部に配設されるもので、後述するように、エアバッグ展開時には、その膨張圧力でスムースに開き動作を行い得るように構成されている。
この化粧カバー20は、エアバッグユニット10に対して一体的に組み付けられてエアバッグ装置アッセンブリ9を構成している。尚、上記化粧カバー20のエアバッグユニット10への組付構造については後述する。
【0015】
図2〜図5から良く分かるように、上記エアバッグユニット10は、そのケース体11(ユニットケース)の内部に、折り畳み状態のエアバッグ12及びこれを作動させるためのインフレータ13等が組み込まれて構成されている(主として、図4及び図5参照)。エアバッグユニット10の背面側には、該ユニット10をシート側部の凹所4に組み付ける際に、その位置決めを行うための2本の位置決め部材19が所定量突出するように設けられている。
尚、このエアバッグユニット10自体は、従来、良く知られているものと同様のものであるので、その作動の詳細や個々の構成要素についての詳細な説明及び図示は省略する。
【0016】
上記エアバッグユニット10のユニットケース11の背面側の下部には、上記化粧カバー20よりも下方に延びるブラケット15(下側取付用のロアブラケット)の上部が、例えば溶接によって固着されている。
また、上記ユニットケース11の背面側の上部には、上記化粧カバー20から突出しない範囲内で該化粧カバー20よりも車幅方向内側に位置するブラケット16(上側取付用のアッパブラケット)の下部が、例えば溶接によって固着されている。このアッパブラケット16の上端近傍には、固定用ボルト31(図1参照)を挿通させるための貫通穴16hが設けられている。
【0017】
このアッパブラケット16の貫通穴16hに対応して、化粧カバー20には、固定用ボルト31の挿通及び締付作業に適応したサイズの開口20hが形成されている。該開口20は、エアバッグユニット10の組付作業が終了した後には、着脱可能な略平板状のキャップ21によって閉じられる。
従って、アッパブラケット16を固定用ボルト31によって固定した後には、この固定部分はキャップ21で覆われて外部から見えることはなく、シート1の外観性が損なわれることはない。
【0018】
また、図6に示すように、上記キャップ21には、先端に係止部22cを有する脚部22が一体的に形成されている。この脚部22の係止部22cは、例えば化粧カバー20の裏面側の適所に、例えばネジ部材(不図示)を用いて固定されるようになっている。
従って、例えばエアバッグ12の展開時に化粧カバー20が開く際など、化粧カバー20に大きな外力が作用した場合でも、キャップ21の化粧カバー20からの移動量を確実に規制して該キャップ21が飛散することを確実に防止でき、安全性をより向上させることができる。
【0019】
図7は、上記キャップ21の変形例を示している。この変形例に係るキャップ21’では、脚部22の先端に正面視で矢印形の係止部22c’が設けられており、この矢印形の係止部22c’を、例えば化粧カバーに形成された対応するスロット部(不図示)に嵌め込むことにより、キャップ21’の脱落時の移動量が規制される。
【0020】
図8はエアバッグ装置アッセンブリ9(エアバッグユニット10及び化粧カバー20)のシートバック3側部の凹所4への組付状態を示す断面説明図、また、図9及び図10はその要部を拡大して模式的に示す拡大断面説明図である。
これらの図に示すように、シートバック3側部の凹所4の壁面は、好ましくは樹脂製のベース板5で構成されており、該ベース板5は、シートバック3のシートフレーム(不図示)の一部を構成する好ましくは鋼板製のサイドプレート40に対して、例えば複数のリベット49により強固に固定されている。
【0021】
上記ベース板5の下壁部の裏面側には、サイドプレート40に固定された断面L字形の下部取付ブラケット43が位置しており(図8参照)、該下部取付ブラケット43の支持面とベース板5の下壁部とには、エアバッグユニット10のロアブラケット15の下端側を差し込めるように、上下方向に対応した部位に所定サイズのスロット部43s,4sが形成されている。
【0022】
尚、上記ベース板5の下壁部に設けられたスロット部4sの場合、より好ましくは、初めから開口したスロットではなく、ロアブラケット15の下端部を差し込むことによって樹脂片が押し開かれるように構成されており、その押し開かれた状態で、樹脂片が残存した部分をヒンジの支点としてロアブラケット15の差し込み部分を付勢するようになっている。
【0023】
これにより、ロアブラケット15の下端側が上記スロット4s及び43sに差し込まれた状態で、ガタツキが生じることが抑制されている。
更に、好ましくは、ロアブラケット15の下端側の先端部分は若干外側に向かって傾斜しており、スロット4s及び43sに差し込まれた後は容易に抜脱されることがないようになっている。
【0024】
一方、サイドプレート40の上部には、図9に詳しく示すように、ベース板5の背面側に位置するように、上部取付ブラケット41の基端部が固着され、該上部取付ブラケット41の背面側にはナット42が例えば溶接により固定されている。このナット41は、エアバッグ装置アッセンブリ9が組み付けられた際には、アッパブラケット16の貫通穴16h及び化粧カバー20の開口20hと、水平方向において対応するように位置設定されている。尚、ベース板5及び上部取付ブラケット41のナット42のネジ穴に対応した箇所にも貫通穴が形成されている。
【0025】
上記凹所4にエアバッグユニット10を組み付ける際には、まず、該エアバッグユニット10と化粧カバー20とを相互に組み付けてエアバッグ装置アッセンブリ9を構成する。
上記化粧カバー20の裏面側には、図11及び図12に示すように、該化粧カバー20をエアバッグユニット10に取り付けるために、上下一対の取付脚部26と前後一対の取付脚部27とが突設されている。
【0026】
上記上下の取付脚部26には、係合用の穴部26hが形成されており、この穴部26hにエアバッグユニット10のユニットケース11の上下の端部を係合させることにより、化粧カバー20がエアバッグユニット10に組み付けられる。
また、具体的には示さなかったが、前後の取付脚部27にも上下の脚部26と同様の係合穴が形成されている。後側の取付脚部27を例にとって説明すれば、図13に示されるように、ユニットケース11の後面には爪部材18が突設されており、化粧カバー20をエアバッグユニット10に組み付ける際には、この爪部材18が取付脚部27の係合用穴部27hに係合するようになっている。
【0027】
尚、上記図13に示されるように、化粧カバー20の比較的後部の内面側、より好ましくは、平面視で曲面状部分と平面状部分との境界部の内面側には、上下方向に伸長する溝部25が形成されており、図14に示すように、エアバッグ12が膨張展開する際には、その膨張圧力の作用により、化粧カバー20の前側(平面状部分)が、上記溝部25を支点として開き動作を行なうようになっている。すなわち、上記溝部25が化粧カバー20の開き動作のヒンジ部(所謂、PPヒンジ)の役割を果たすようになっている。
【0028】
上述のように、化粧カバー20の各取付脚部26,27により、該化粧カバー20をユニットケース11に組み付けてエアバッグ装置アッセンブリ9が構成される。
本実施の形態では、表皮材Fb(シートカバー)でウレタン発泡体Ruを覆う被覆作業を含め、シート1の基本的な製造工程を終えた後、シート1の外部から後付けで、上記エアバッグ装置アッセンブリ9の組付作業を行うことができるようになっている。
【0029】
すなわち、図1に示すように、まず、ロアブラケット15の下端側をシートバック3の側部に形成された凹所4の下壁部のスロット4sに対し、上方から差し込んでエアバッグ装置アッセンブリ9の下部を固定する。次に、固定用ボルト31を化粧カバー20の開口20h及びアッパブラケット16の貫通穴16hから順次挿通させ、シートバック3のサイドプレート40の上部取付ブラケット41に固定された上述のナット42に螺着させて締め付ける。これにより、エアバッグ装置アッセンブリ9の上部が締結固定される。
【0030】
このようにしてエアバッグ装置アッセンブリ9を上下2点で強固に固定した後、化粧カバー20の開口20hをキャップ21で閉じて組付作業が終了する。
従って、上部の固定用ボルト31の固定部分が外部から見えることはなく、シート1の外観性が損なわれることはない。
【0031】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、エアバッグ装置アッセンブリ9は、上記ロアブラケット15の下端側をシートバック3側部の凹所4の下端壁部の差し込みスロット4sに係合させる一方、アッパブラケット16を上記凹所4の上部側壁部に設けられた固定部(上部取付ブラケット41)に固定用ボルト31で締結固定することにより、シートバック3の側部の凹所4に取り付けられる。
【0032】
すなわち、エアバッグユニット10をシート1の外部から、しかも、シートカバーFbの被覆作業も含めてシート1の基本的な製造工程を終えた後に(つまり、後付けで)、取り付けることができるので、従来、シート製造工程の途中でエアバッグユニットをシート側部に埋め込むように組み付ける場合に比べて、エアバッグユニット10の組付作業が容易となりその作業性を向上させることができるのである。
【0033】
この場合において、エアバッグユニット10は、シートバック3側部の凹所4に対して直接に組み込まれるので、その取付剛性を十分に確保することができる。しかも、シートカバーFsに縫い目(合わせ目)を形成する必要が無いので、シート1の外観性を損なうことも無い。また、エアバッグユニット10の凹所4への固定は、上記ロア及びアッパの取付用ブラケット15,16を介して行われるので、化粧カバー20自体が過度に大きくなることを抑制でき、この点においてもシート外観性への影響を抑えることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図15〜図17を参照しながら説明する。尚、以下の説明において、上述の第1の実施の形態における場合と、同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図15及び図16から良く分かるように、本第2の実施の形態に係るエアバッグ装置アッセンブリ59は、ロアブラケット55の下端部近傍に貫通穴55hが形成されている点を除いては、第1の実施の形態におけるもの9と基本的には、略同一である。尚、より好ましくは、上記ロアブラケット55は、第1の実施の形態におけるものに比して若干長く形成され、また、その下端側は末端まで傾斜することなく真直するように形成されている(図17参照)。
【0035】
また、サイドプレート40の下部側には、スロット4s’から差し込まれたロアブラケット55の背面側に位置するように、略閉断面状の下部取付ブラケット45の基端部が固着され、その背面側には、ナット46が例えば溶接により固定されている。このナット46は、ロアブラケット55がスロット4s’から差し込まれた際には、ロアブラケット55の貫通穴55hと水平方向において対応するように位置設定されている。
【0036】
尚、サイドプレート40及び下部取付ブラケット45のナット46のネジ穴に対応した箇所にも貫通穴が形成されている。
更に、シートバック3側部のウレタン発泡体Ruにも、固定用ボルト32の締付作業を行えるように、上記ナット46と水平方向に対応する部分に、側方に開口する挿通孔3hが形成されている。
【0037】
本実施の形態では、シート1の基本的な製造組立工程を終えた後、シートバック3の上方から被せるようにして(図15における下方向きの破線矢印参照)ウレタン発泡体Ruを覆う表皮材Fb(シートカバー)の被覆作業の終期に、シート1の外部から上記エアバッグ装置アッセンブリ59の組付作業を行うようにしている。
すなわち、図15に示されるように、シートカバーFbをシートバック3側部の挿通孔3hの直上側まで被覆した状態で、シートカバー被覆作業を中断し、エアバッグ装置アッセンブリ59の組付作業が行われる。
【0038】
まず、ロアブラケット55の下端側をシートバック3の側部に形成された凹所4の下壁部のスロット4s’に対して上方から差し込み、その差し込み状態で、固定用ボルト32を上記挿通孔3h及びロアブラケット55の貫通穴55hから順次挿通させ、サイドプレート40の下部取付ブラケット45に固定された上述のナット46に螺着させて締め付ける。これにより、エアバッグ装置アッセンブリ59の下部が強固に締結固定される。
【0039】
次に、該エアバッグ装置アッセンブリ59の上部の固定が行われるが、この固定の構造および作業は、第1実施例における場合と同一である。
このようにしてエアバッグ装置アッセンブリ59を上下2点で固定した後、シートカバーFbの被覆作業の残りが再開され、シートバック3の下端部まで被覆される。尚、このシートカバーFb被覆作業の残りを、エアバッグ装置アッセンブリ59の下部の固定作業を終えた後、上部の固定作業の前に行うようにしても良い。
【0040】
以上説明したように、本第2の実施の形態においても、エアバッグユニット10をシート外部から組み付けることができるので、上述の第1の実施の形態における場合と類似した作用効果が得られる。異なる点は、エアバッグ装置アッセンブリ59の(つまり、エアバッグユニット10の)凹所4への組付作業を、シートカバー被覆作業が完全に終了してから行うのではなく、若干残った状態で行うことである。
この点において、第1の実施の形態の方が組付作業性に優れているが、第2の実施の形態の場合には、上下2点共に締結固定されるので、エアバッグユニット10の取付強度はより向上する。
【0041】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
本願の第1の発明によれば、エアバッグユニットは、下側取付用ブラケットをシート側部の凹所下端壁部でサイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた差し込み係合部に係合させる一方、上側取付用ブラケットを上記凹所の上部側壁部でサイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部にネジ部材で締結固定することにより、シート側部の凹所に取り付けられる。すなわち、エアバッグユニットをシートの外部から、しかも、シート表皮材の被覆作業も含めてシートの基本的な製造工程を終えた後に(つまり、後付けで)、取り付けることができるので、従来、シート製造工程の途中でエアバッグユニットをシート側部に埋め込むように組み付ける場合に比べて、エアバッグユニットの組付作業が容易となりその作業性を向上させることができる。
この場合において、エアバッグユニットは、シート側部の凹所で、シートフレームの一部を構成する上記サイドプレートの上部取付ブラケット及び下部取付ブラケットに取り付けられるので、その取付剛性を十分に確保することができる。しかも、シート表皮に縫い目(合わせ目)を形成する必要が無いので、シート外観性を損なうことも無い。また、エアバッグユニットの凹所への固定は、上記下側及び上側の取付用ブラケットを介して行われるので、カバー体自体が過度に大きくなることを抑制でき、この点においてもシート外観性への影響を抑えることができる。
【0043】
また、本願の第2の発明によれば、エアバッグユニットは、下側取付用ブラケットをシート表皮材被覆前にシート側部の凹所下端壁部でサイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた穴部に挿通させてネジ部材で締結固定する一方、上側取付用ブラケットを上記凹所の上部側壁部でサイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部にネジ部材で締結固定することにより、シート側部の凹所に取り付けられる。従って、シートの基本的な製造工程をほぼ終えた後、シート表皮材の被覆作業を行う前に下側取付用ブラケットの締結固定作業を行えば良い。すなわち、エアバッグユニットをシートの外部から、シートの基本的な製造工程のほぼ終期に、取り付けることができるので、従来、シート製造工程の途中でエアバッグユニットをシート側部に埋め込むように組み付ける場合に比べて、エアバッグユニットの組み付け作業が容易となりその作業性を向上させることができる。
この場合において、エアバッグユニットは、シート側部の凹所で、シートフレームの一部を構成する上記サイドプレートの上部取付ブラケット及び下部取付ブラケットに取り付けられるので、その取付剛性を十分に確保することができる。しかも、シート表皮に縫い目(合わせ目)を形成する必要が無いので、シート外観性を損なうことも無い。また、エアバッグユニットの凹所への固定は、上記下側及び上側の取付用ブラケットを介して行われるので、カバー体自体が過度に大きくなることを抑制でき、この点においてもシート外観性への影響を抑えることができる。
【0044】
更に、本願の第3の発明によれば、基本的には、上記第1又は第2の発明と同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上記カバー体には、上側取付用ブラケットのネジ部材による締結固定部分を覆うキャップ部材が着脱可能に設けられているので、上側取付用ブラケットの固定部分が外部から見えることはなく、シート外観性を損なうことは無い。また、キャップ部材のカバー体からの移動量を規制する規制手段が設けられているので、例えばエアバッグ展開時にカバー体が開く際など、カバー体に大きな外力が作用した場合でも、キャップ部材が飛散することを確実に防止できる。
また更に、本願の第4の発明によれば、基本的には、上記第1又は第2の発明と同様の効果を奏することができる。しかも、その上、上記上側取付用ブラケットには、上記上部取付ブラケットへの締結固定用のボルトを挿通させる貫通穴が形成されており、該貫通穴は、エアバッグユニット内に配置されるインフレータよりも上側に位置するので、上側取付ブラケットを用いた取付作業において上記インフレータが邪魔になることを回避でき、取付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るシートを背面側から見て示した斜視図である。
【図2】 上記シートの凹所に組み付けられるエアバッグ装置アッセンブリの側面図である。
【図3】 図2のY3−Y3方向からの矢視図で上記エアバッグ装置アッセンブリの正面図である。
【図4】 図2のY4−Y4方向からの矢視図で上記エアバッグ装置アッセンブリの背面図である。
【図5】 図2のY5−Y5方向からの矢視図で上記エアバッグ装置アッセンブリの平面図である。
【図6】 化粧カバーのキャップの正面図である。
【図7】 上記キャップの変形例を示す正面図である。
【図8】 エアバッグユニット及び化粧カバーのシートバック側部の凹所への組付状態を示す断面説明図である。
【図9】 図8の組付状態の要部を拡大して模式的に示す拡大断面説明図である。
【図10】 図8の組付状態の他の要部を拡大して模式的に示す拡大断面説明図である。
【図11】 化粧カバーの背面側の模式的な説明図である。
【図12】 図11のY12−Y12線に沿った断面説明図である。
【図13】 エアバッグユニットの凹所への組付状態を模式的に示す平面説明図である。
【図14】 エアバッグの展開状態を模式的に示す平面説明図である。
【図15】 本発明の第2の実施の形態に係るシートを背面側から見て示した斜視図である。
【図16】 上記第2の実施の形態に係るエアバッグ装置アッセンブリの正面図である。
【図17】 上記第2の実施の形態に係るエアバッグユニット及び化粧カバーのシートバック側部の凹所への組付状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1…シート
3…シートバック
4…凹所
4s,4s’…スロット
9…エアバッグ装置アッセンブリ
10…エアバッグユニット
12…エアバッグ
15,55…ロアブラケット
20…化粧カバー
21,21’…キャップ
22,22’…(キャップの)脚部
22c,22c’…係止部
31,32…固定用ボルト
42…ナット
Fb…シートカバー
Claims (4)
- 表皮材で被覆されるシートの側部に凹所を形成し、該凹所内にエアバッグユニットを収納してなる車両の乗員保護装置であって、
上記シートの側部には、シートフレームの一部を構成するサイドプレートが配設されており、
上記エアバッグユニットの車幅方向外面部に、エアバッグ展開時に開き動作を行い得る、上記表皮部材で被覆されないカバー体が設けられるとともに、
上記エアバッグユニットには、上記カバー体よりも下方に延びる下側取付用ブラケットと、上記カバー体よりも車幅方向内側に位置する上側取付用ブラケットとが設けられ、
上記シートを上記表皮材で被覆した状態において、上記下側取付用ブラケットを、上記凹所の下端壁部で、上記サイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた差し込み係合部に係合させる一方、上記上側取付用ブラケットを、上記凹所の上部側壁部で、上記サイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部に上記カバー体側から該固定部を指向してネジ部材で締結固定することにより、
上記エアバッグユニットが、少なくとも上下2箇所の取付部で上記凹所に取り付けられていることを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 表皮材で被覆されるシートの側部に凹所を形成し、該凹所内にエアバッグユニットを収納してなる車両の乗員保護装置であって、
上記シートの側部には、シートフレームの一部を構成するサイドプレートが配設されており、
上記エアバッグユニットの車幅方向外面部に、エアバッグ展開時に開き動作を行い得る、上記表皮部材で被覆されないカバー体が設けられるとともに、
上記エアバッグユニットには、上記カバー体よりも下方に延びる下側取付用ブラケットと、上記カバー体よりも車幅方向内側に位置する上側取付用ブラケットとが設けられ、
上記シートの上部から上記凹所の下端部近傍までを上記表皮材で被覆した状態において、上記下側取付用ブラケットを、上記凹所の下端壁部で、上記サイドプレートの下部取付ブラケットに設けられた穴部に挿通させてネジ部材で締結固定する一方、上記上側取付用ブラケットを、上記凹所の上部側壁部で、上記サイドプレートの上部取付ブラケットに設けられた固定部に上記カバー体側から該固定部を指向してネジ部材で締結固定することにより、
上記エアバッグユニットが、少なくとも上下2箇所の取付部で上記凹所に取り付けられていることを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 上記カバー体には、上記上側取付用ブラケットのネジ部材による締結固定部分を覆うキャップ部材が着脱可能に設けられ、該キャップ部材の上記カバー体からの移動量を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の乗員保護装置。
- 上記上側取付用ブラケットには、上記上部取付ブラケットへの締結固定用のボルトを挿通させる貫通穴が形成されており、該貫通穴は、上記エアバッグユニット内に配置されるインフレータよりも上側に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の乗員保護装置。
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