JPH08228812A - ポリアクリロニトリルに溶着したジッパー体およびジッパー付き包装袋およびジッパー付き包装袋の製造方法 - Google Patents

ポリアクリロニトリルに溶着したジッパー体およびジッパー付き包装袋およびジッパー付き包装袋の製造方法

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JPH08228812A
JPH08228812A JP6003995A JP6003995A JPH08228812A JP H08228812 A JPH08228812 A JP H08228812A JP 6003995 A JP6003995 A JP 6003995A JP 6003995 A JP6003995 A JP 6003995A JP H08228812 A JPH08228812 A JP H08228812A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 食品や医薬品あるいは工業製品等の包装に使
用されるジッパー体とジッパー付き包装袋に関し、包装
袋の最内層となるプラスチック材料にポリアクリロニト
リルを用いた際に、該最内層に溶着可能なジッパーを提
供する。 【構成】 直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特
徴とするポリアクリロニトリルに溶着したジッパー体と
する。このジッパー体が包装袋の最内層にあたるポリア
クリロニトリル面に溶着したものであることを特徴とす
るジッパー付き包装袋とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品や医薬品あるいは
工業製品等の包装に使用されるジッパー体とジッパー付
き包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品・医薬品・工業製品の中には揮発性
成分を含むものが数多くある。これらの内容物が包装体
内に収められた際に生じる『揮発性成分の包装体への収
着』は従来からの課題である。特に医薬品等において
は、あらかじめ包装体への収着を見越して、高価な揮発
性成分を多めに内容物に含有させたりする例も見られ
る。このような収着を解消するために、包装袋の様々な
改良が行われてきたことも事実である。例えば、紙とプ
ラスチック材料により構成された飲料用容器にオレンジ
ジュースを収納する場合、オレンジジュースに含まれる
香気成分の収着を防ぐため、容器最内層となるプラスチ
ック材料をポリエチレンやポリプロピレンといった収着
の大きい樹脂ではなく、ポリエチレンテレフタレートや
エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物といった収着の小
さい樹脂を主体とした材料を用いている。
【0003】そのような中で、ポリアクリロニトリル樹
脂は、オレンジジュース等の香気成分であるd−リモネ
ンや医薬品に使用されるl−メントールといった物質の
収着がほとんど観察されないプラスチック材料として知
られており、一部の医薬品包装等に使用され、また、他
の食品や工業材料等用の包装体の最内層としても最適の
材料である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリアクリロ
ニトリル自体は非常に堅固な樹脂であるため、ジッパー
体の形態に加工できたとしても、凸型と凹型を嵌合する
際、或いは逆に、嵌合状態から凸型と凹型を分ける際
に、割れが生じてしまい、ジッパー体材料として使えな
い欠点がある。また、他のプラスチック材料と比較する
と溶解度係数が大きいため他樹脂との相溶性が小さく、
熱溶着可能な樹脂が見つからない困難があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、食品や医薬品
あるいは工業製品等の包装に使用されるジッパー体とジ
ッパー付き包装袋に関し、包装袋の最内層となるプラス
チック材料にポリアクリロニトリルを用いた際に、該最
内層に溶着可能なジッパーを提供することを要旨とする
ものである。上記の目的を達成するために、本発明で
は、以下の〜の発明をした。 直鎖状低密度ポリエチレンからなることを特徴とする
ポリアクリロニトリルに溶着したジッパー体。 前記直鎖状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒を用
い重合されたものであることを特徴とする請求項1記載
のポリアクリロニトリルに溶着したジッパー体。 該直鎖状低密度ポリエチレンにアンチブロッキング剤
及び/又はスリップ剤を添加したものからなることを特
徴とする請求項1及び請求項2記載のポリアクリロニト
リルに溶着したジッパー体。 乃至記載のジッパー体が包装袋の最内層にあたる
ポリアクリロニトリル面に溶着したものであることを特
徴とするジッパー付き包装袋。 乃至記載のジッパー体を包装袋の最内層にあたる
ポリアクリロニトリル面に溶着する際に、ジッパー体の
溶着面及び/又は前記ポリアクリロニトリル面上の溶着
面をコロナ放電処理することを特徴とするジッパー付き
包装袋の製造方法。 である。
【0006】本発明において、ジッパー体の製造方法
は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に対し、アンチブロ
ッキング剤および/又はスリップ剤を混合してマスター
バッチを作製、異形押し出しによりジッパー体(凹型・
凸型)を成形する。ジッパー体単独で嵌合を繰り返して
も、割れ等を生じることは無かった。好ましくは直鎖状
低密度ポリエチレン樹脂に対し、アンチブロッキング剤
および/又はスリップ剤を重量比率で2〜10%ずつ混
合するのが良い。ジッパー体の素材となる直鎖状低密度
ポリエチレンは、ポリエチレンの中でもヒートシール時
の密封性が良い樹脂であり、また、良好な耐油性、耐薬
品性等の性状を示す。また、比較的軟らかい樹脂である
ことから、ジッパー体に成形した際に、嵌合を繰り返す
ことにより割れを生じたりすることが無く、密封性も良
いという特性を持っている。特に、重合にメタロセン触
媒を用いた直鎖状低密度ポリエチレンは、分子配向の揃
った構造的特徴から、特に強いシール強度を示すので最
適である。アンチブロッキング剤としては、タルク、ゼ
オライト、ケイ藻土、酸化ケイ素、炭酸カルシウム等が
利用できる。スリップ剤としては、ステアリン酸アマイ
ド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘン酸
アマイドといった脂肪族アマイド等が利用できる。次に
コロナ放電処理は、対象物表面にコロナ放電を行うこと
により、処理表面の物理的な凹凸化や、表面付近の化学
構造の酸化といった現象を起こすことで、接着や熱溶着
の強度を増すことを目的に行うものである。コロナ放電
処理の加工条件は、放電ギャップが1〜15mm、基材
送り速度が100〜1000cm/min、処理強さが
300〜1000W/m2 /minである。
【0007】本発明のジッパー付き包装袋の製造方法に
ついて説明する。まずジッパー付き包装袋のもととなる
積層体とは、基本的には印刷基材、バリヤー層及び最内
層のポリアクリロニトリル樹脂から構成される。そして
ポリアクリロニトリルは、l−メントールの収着の少な
いプラスチック材料である。更に、この積層体を用いて
l−メントールを含む製剤の包装袋を作製する場合は、
ポリアクリロニトリルを内面にして製袋し、包装袋への
l−メントールの収着を防止する。
【0008】次に、本発明の包装袋のもとになる積層体
を構成するポリアクリロニトリル樹脂、バリヤー層、印
刷基材について更に詳細に説明する。ポリアクリロニト
リル樹脂としては、タマポリ(株)製 ハイトロンB
X,三井東圧化学(株)製 ゼクロンがある。又、押し
出しグレードとして、三井東圧化学(株)製 バレック
スが利用できる。 ポリアクリロニトリル層の厚さは、
10〜100μmの範囲で使用できるが、20〜60μ
mが好ましい。
【0009】バリヤー層としては、アルミニウム箔が最
も一般的に用いられるが、その他の金属箔として、金、
銀、銅、鉄、鉛、錫等の箔も使用できる。また、PET
フィルム等に真空蒸着やスパッタリング等によって、ア
ルミニウム、錫、真鍮等の金属薄膜を形成した蒸着フィ
ルムも使用できる。透明バリヤー層として、SiO2
Al2 3 等の金属酸化物をPETフィルム等のプラス
チックフィルムに蒸着したものも使用できる。
【0010】印刷基材としては、通常印刷基材として用
いられるものは使用でき、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン等のプラ
スチックフィルム、紙、セロハン、金属箔、又はこれら
の複合フィルムが使用できる。
【0011】上記印刷基材、バリヤー層、ポリアクリロ
ニトリルフィルムをラミネートする方法としては、従来
より公知のドライラミネーション法、押し出しラミネー
ション法、ウェットラミネーション法等が利用できる。
例えば、PET/Al/PANの構成の積層材を作製す
る場合、PETとAlはPEの押し出しラミネーション
法によりラミネートして、PET/PE/Alとし、更
に、この積層材とPANをドライラミネーション法でラ
ミネート(以下LMDとする)して、PET/PE/A
l/LMD/PANの構成の積層材を作製する。また、
PANの押し出しグレードを利用する場合には、先ず、
AlにPANを押し出して、Al/PANの積層体を作
製し、更にこの積層体とPETをPEの押し出しラミネ
ーション法によりラミネートする。上記記号は下記の物
質を示すものとする。以下同様とする。 ・PET ポリエチレンテレフタレート ・PE ポリエチレン ・Al アルミニウム ・PAN ポリアクリロニトリル
【0012】例えば、l−メントール又はl−メントー
ルを含む製剤の包装袋において、該包装袋の最内層がl
−メントールの収着を抑制するポリアクリロニトリルか
らなることを特徴とする積層体とした。即ち、l−メン
トールの収着の少ないポリアクリロニトリル樹脂を使用
して積層材を作製し、その積層材を用いてl−メントー
ルを含む製剤の包装袋を作り、l−メントールを含む製
剤との接触面がl−メントールの収着の少ない樹脂とな
るようにした。例えば、積層材をPET/PE/Al/
PAN(製剤との接触面)とする。
【0013】この積層体において、ジッパー体が溶着さ
れるポリアクリロニトリル面及び/又はジッパー体の溶
着面に対してコロナ放電処理を行った後、ヒートシール
によりジッパー体を積層体に溶着、ボトムシール、サイ
ドシール、及び切り離しを行って、ジッパー付き包装袋
を作製した。ここで、ジッパー体の溶着面とは、ジッパ
ー体の嵌合部に連続し、嵌合する方向に対して垂直に広
がったジッパー体基部の裏面(嵌合部の反対側の面)の
ことである。このようにしてできたl−メントールを含
む製剤のジッパー付き包装袋の場合、最内層のPANは
l−メントールの収着が非常に少ないので、l−メント
ールを含む製剤の有効成分を減少させることがない。ま
た、ジッパー体は密封性に優れ、PANにはシール性が
あるので、製剤の有効成分を密封することができる。更
に、バリヤー層としてアルミニウム箔を使用しているの
で、製剤の有効成分や水分等が包装袋の外に揮散するこ
とがなく、有効期間を長期間維持することができる。
【0014】
【作用】本発明において、直鎖状低密度ポリエチレン
は、ポリアクリロニトリルとの溶着が良く、また、良好
な耐油性、耐薬品性等の性状を示す。また、比較的軟ら
かい樹脂であることから、ジッパー体に成形した際に、
嵌合を繰り返すことにより割れを生じたりすることが無
く、密封性も良いという特性を持っている。さらに、重
合にメタロセン触媒を用いた直鎖状低密度ポリエチレン
を使用すれば、分子配向の揃った構造的特徴から、特に
強いシール強度を示すことになる。コロナ放電処理は、
対象物表面にコロナ放電を行うことにより、処理表面の
物理的な凹凸化や、表面付近を酸化することで、接着や
熱溶着の強度を増す作用を有するものである。
【0015】
【実施例】次に、具体的な実施例に基づいて、本発明を
詳細に説明する。 (実施例1) ジッパー体の作製 ダウ・ケミカル社製 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
(AFFINITY PF1140)に対し三井石油化
学工業(株)製 アンチブロッキング剤(AB−10)
およびスリップ剤(SQ−3)を重量比率で3%ずつ混
合してマスターバッチを作製、異形押し出しによりジッ
パー体(凹型・凸型)を成形した。ジッパー体単独で嵌
合を繰り返しても、割れ等を生じることは無かった。
【0016】(実施例2) ジッパー付き包装袋の作製 印刷基材として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテ
レフタレート(以下PETとする)フィルム(東レ
(株)製)の片面にグラビア印刷により印刷層を設け、
その印刷面と厚さ9μmのAl箔をPEによる押し出し
ラミネーション法によりラミネートした。
【0017】次に、この積層フィルムのAl箔面にポリ
ウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製)を3g/m
2 (乾燥状態で)塗布し、非収着性シール層として、厚
さ30μmのPANフィルム(タマポリ(株)製 ハイ
トロンBX )をドライラミネーション法によりラミネ
ートして下記の積層材を作製した。 ・PET 12 /PE 15 /Al 9/LMD/PAN 30 前記層構成の数字は厚さを示し、単位はμmである。以
下同様とする。この積層体において、ジッパー体が溶着
されるポリアクリロニトリルフィルム面及びジッパー体
の溶着面に対してコロナ放電処理を行った後、ヒートシ
ールによりジッパー体を積層体に溶着、ボトムシール、
サイドシール、及び切り離しを行って、ジッパー付き包
装袋を作製した。このジッパー付き包装袋について、開
閉封テストを繰り返し行っても、ジッパー体と袋体との
剥離やジッパー体の割れは生じなかった。また、ジッパ
ー付き包装袋の中に、揮発性の高い薬剤の代表としてl
−メントールを封入し、3か月間の放置前後の包装袋の
重量を測定したところ、殆ど変化が見られなかった。ま
た、封入したl−メントールの重量の変化も殆ど見られ
ず、内容物であったl−メントールの袋外への飛散も観
察されないほど、ジッパーの密封性は良好であった。
【0018】
【発明の効果】本発明のジッパー体およびジッパー付き
包装袋によれば、例えばl−メントールを含む製剤の包
装袋の内面層として、内容物の収着の極めて少ないプラ
スチック材料としてポリアクリロニトリルを使用しても
ジッパー体が容易に溶着できる上に、密封性やバリア性
も良好なので、包装材に対する内容物の飛散が非常に少
なくなり、製剤の有効成分であるl−メントールは殆ど
減少しなくなるので、長期間に渡って製剤の有効期間を
維持することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 55:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直鎖状低密度ポリエチレンからなること
    を特徴とするポリアクリロニトリルに溶着したジッパー
    体。
  2. 【請求項2】 前記直鎖状低密度ポリエチレンがメタロ
    セン触媒を用い重合されたものであることを特徴とする
    請求項1記載のポリアクリロニトリルに溶着したジッパ
    ー体。
  3. 【請求項3】 該直鎖状低密度ポリエチレンにアンチブ
    ロッキング剤及び/又はスリップ剤を添加したものから
    なることを特徴とする請求項1及び請求項2記載のポリ
    アクリロニトリルに溶着したジッパー体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載のジッパー体
    が包装袋の最内層にあたるポリアクリロニトリル面に溶
    着したものであることを特徴とするジッパー付き包装
    袋。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3記載のジッパー体
    を包装袋の最内層にあたるポリアクリロニトリル面に溶
    着する際に、ジッパー体の溶着面及び/又は前記ポリア
    クリロニトリル面上の溶着面をコロナ放電処理すること
    を特徴とするジッパー付き包装袋の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10192318A (ja) * 1996-12-27 1998-07-28 Alcare Co Ltd スト−マ装具及び嵌合式医療用具
JP2016116661A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 シーアイ化成株式会社 嵌合具及び嵌合具付き袋体

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