JPH08227092A - 焦点板及びその製造方法 - Google Patents

焦点板及びその製造方法

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JPH08227092A
JPH08227092A JP3373195A JP3373195A JPH08227092A JP H08227092 A JPH08227092 A JP H08227092A JP 3373195 A JP3373195 A JP 3373195A JP 3373195 A JP3373195 A JP 3373195A JP H08227092 A JPH08227092 A JP H08227092A
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JP
Japan
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thin film
resin layer
focusing screen
laminated
transparent substrate
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JP3373195A
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Inventor
Bunji Akimoto
文二 秋元
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 明るいファインダー像が得られるとともに大
きなボケ量が得られ、しかも回折現象の生じることのな
い焦点板を提供することを目的とする。 【構成】 透明基板の表面に樹脂層を積層し、この樹脂
層の表面に圧縮方向の内部残留応力を有する薄膜を積層
し、これに熱処理して前記樹脂層を軟化させるとともに
前記薄膜を伸張せしめ、もって前記薄膜を皺よらせて焦
点板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はおもに一眼レフカメラに
使用される焦点板に関する。
【0002】
【従来の技術】一眼レフカメラのファインダーにおいて
は撮像光学系による像を焦点板上に結像させ、この像の
ボケ具合を観察してピントを合わせている。このためフ
ァインダー像が明るくて且つハッキリしたボケ像が得ら
れる焦点板が求められるのであるが、実際には、焦点板
の拡散性を大きくするとボケ量は大きくなる反面ファイ
ンダー像が暗くなり、逆に焦点板の拡散性を小さくする
とファインダー像は明るくなるがボケ量が減少するとい
う相反する現象を生じる。
【0003】このような問題点を解決するものとして特
開昭60−114834号公報では、焦点板の表面に微
小なマイクロレンズを規則的なパターンで形成し、マイ
クロレンズのパワーと配列を適切に設定することにより
ボケ量が大きく且つ視野の明るい焦点板を得るようにし
ていたが、規則的なパターンによって回折現象が生じる
ためファインダー像に虹色の干渉色がつくという欠点が
あった。
【0004】そこで本出願人は先に特開昭64−298
27号公報において、マイクロレンズの表面を不規則的
に粗面化することによって回折現象の発生を抑えること
のできる焦点板を提案している。このような焦点板は、
金属面に角錐状の規則的な凸レリーフを形成し、該角錐
状凸レリーフの面に電気めっきを施して各角錐をレンズ
面にする工程と、該電気めっきによるレンズ面をABS
樹脂に転写する工程と、この転写されたABS樹脂をエ
ッチングにより粗面化する工程と、この粗面化されたA
BS樹脂に導電化処理を施す工程と、この導電化された
ABS樹脂を金型に電鋳法により転写し、この転写面を
光学素材に転写する工程とによって製造することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の先願
の技術では、ABS樹脂にエッチングを施す必要があ
り、そのためにクロム酸−硫酸の化学エッチング液を使
用していた。しかしながらクロム酸は人体に有害である
ため、エッチング液洗浄や廃液処理に特殊な設備を必要
とし、コスト面および作業性に問題があった。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、先願発明のような危険な薬品を使用することなく、
明るいファインダー像が得られるとともに大きなボケ量
が得られ、しかも回折現象の生じることのない焦点板を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に係る本発明の焦点板は、透明基板と、この
透明基板の表面に積層された樹脂層と、この樹脂層の表
面に積層された薄膜とからなり、前記薄膜が皺よって不
規則な凹凸面になっていることを特徴としている。
【0008】また請求項2に係る本発明の焦点板の製造
方法は、透明基板の表面に樹脂層を積層し、この樹脂層
の表面に圧縮方向の内部残留応力を有する薄膜を積層
し、これに熱処理を施して前記樹脂層を軟化させるとと
もに前記薄膜を伸張せしめ、もって前記薄膜を皺よらせ
ることを特徴としている。
【0009】そして請求項3に記載したように、前記薄
膜はSiO2 ,CeO2 ,WO3 ,またはTa2 5
いずれかを含む誘電体薄膜であるのが望ましい。
【0010】また請求項4に記載したように、前記薄膜
は複数層からなる反射防止膜として形成しても良い。
【0011】さらに請求項5に記載したように、基板の
表面に樹脂層を積層し、この樹脂層の表面に圧縮方向の
内部残留応力を有する薄膜を積層し、これに熱処理して
前記樹脂層を軟化させるとともに前記薄膜を伸張せし
め、もって前記薄膜を皺よらせ、これを電鋳反転して型
を製造し、この型を用いたプレス成形によって焦点板を
製造しても良い。
【0012】
【作用】上記構成からなる本発明の焦点板を製造するに
は、樹脂層の表面に圧縮方向の内部残留応力を有する薄
膜を積層してから熱処理を施す。すると内部応力によっ
て薄膜が伸張する。これは面積が大きくなることで内部
に残留している圧縮応力を解放しようとするためであ
る。ところがこのとき薄膜自体は樹脂層の上に形成され
ており、その樹脂層は熱処理により軟化した状態になっ
ている。そのため薄膜が伸張した分だけ皺が発生し樹脂
の表層部と一体的に不規則な凹凸パターンを形成するこ
とになる。そしてこのようなランダムな凹凸パターンで
は回折現象は発生することはない。
【0013】また薄膜材料としては内部に圧縮応力を有
する状態で積層できる透明な素材であればよいが、とく
に請求項3に列挙した材料が適している。本発明では薄
膜内部の圧縮応力が全応力値(内部応力×膜厚)で10
Pa・m程度必要であるが、これらの材料では比較的簡
単にこの値が得られるからである。なおSiO2 の薄膜
をエネルギー硬化性樹脂上に積層した場合、長さ10μ
m,深さ0.1〜1μm程度の微細なすじ状の皺が発生
する。
【0014】また請求項4に記載したように薄膜を複数
層形成し、これらの膜厚,材料を組み合わせて反射防止
膜を構成すると、樹脂表面の反射が防止され、焦点板の
明るさが向上するとともに表面の乱反射によるフレアー
が防止される。
【0015】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明に係る焦点
板及びその製造方法の実施例を説明する。なお、図面の
説明において同一の要素には同一符号を付し、重複する
説明を省略する。
【0016】(実施例1)
【0017】まず、本発明の実施例1を説明する。
【0018】図1は焦点板の製造方法における薄膜積層
後の状態を示す(a)断面図、および(b)平面図であ
り、図2は完成した焦点板を示す(a)断面図、および
(b)平面図である。
【0019】まず、透明基板1の表面に樹脂層2を積層
する。透明基板1は、大きさ30mm×40mm,厚さ1.
3mmで両面とも研磨されたBK7ガラスの平板である。
樹脂層2はウレタンアクリレート系のエネルギー硬化性
樹脂を厚さ100μmにディッピングしたのち紫外線照
射して硬化させたものである。なお本実施例では透明基
板1と樹脂層2との間の剥離防止のためシランカップリ
ング剤3を介在させている。具体的には信越化学(株)
製KBM−503をエタノール希釈したものを1nm以下
の厚さにスピンコートし、100℃で20分乾燥させ
た。
【0020】なお透明基板の材質としては、ガラスのほ
か合成樹脂の板材でもよい。合成樹脂としてはPMM
A,PC,アモルファスポリオレフィン,TPX,PB
S,CR−39などが使用可能である。特にPMMAは
透明性など光学性能が優れていること、射出成形が容易
であることから好ましい。
【0021】次に、樹脂層2の表面に圧縮方向の内部残
留応力を有する薄膜4を積層する。RFマグネトロンス
パッタリング法によりSiO2 の誘電体薄膜を1000
nmの厚さに成膜した。成膜条件は、基板は加熱せず、A
rガス導入圧1Pa、投入電力500Wである。積層さ
れた薄膜4の内部残留応力は圧縮方向で100Pa・m
であった。これは同一の成膜条件で直径3インチのSi
ウェハに積層したときのウェハの反り量から測定した。
【0022】なおこのような誘電体薄膜を形成するには
真空蒸着法またはスパッタリング法によるのが生産性・
光学性能確保の観点から望ましいが、他の成膜技術たと
えばイオンプレーティング法,PVD法,CVD法など
でも可能である。
【0023】次に、熱処理して樹脂層2を軟化させると
ともに薄膜4を伸張させる。熱処理は温度90℃、湿度
90%の環境に24時間放置した。
【0024】以上の工程によって得られた焦点板の表面
は、図3の顕微鏡写真に示される如く、長さ10μm前
後,深さ1μm程度の細いすじ状に全面が皺よった状態
になっていた。
【0025】(実施例2)
【0026】次に、本発明の実施例2を説明する。
【0027】図4は焦点板の製造方法における(a)熱
処理前の焦点板を示す断面図、および(b)完成した焦
点板を示す断面図である。本実施例は樹脂層の表面にフ
レネルレンズ5を成形した点と、薄膜を多層構造として
反射防止機能を持たせた点において前記実施例1と異な
っている。
【0028】まず、透明基板1の表面に樹脂層2を積層
する。樹脂層2の表面にはフレネルレンズ5が形成され
ている。具体的にはエネルギー硬化性樹脂のディッピン
グを繰り返して厚さ0.6mmに積層し、これにフレネル
レンズ成形型を押しつけて成形し、その後、紫外線照射
して硬化させたものである。
【0029】次に、樹脂層2の表面に圧縮方向の内部残
留応力を有する薄膜4を積層する。電子線加熱の真空蒸
着法により樹脂層2から順に、SiO2 (光学的膜厚nd
=60nm)、CeO2 (nd=36nm)、SiO2 (nd=
185nm)の3層からなる反射防止膜を積層する。成膜
条件は、基板は加熱せず、蒸着室の到達圧力1×10 -3
Pa以下とした。薄膜4の内部残留応力は10Pa・m
であった。
【0030】次に、熱処理して樹脂層2を軟化させると
ともに薄膜4を伸張させる。熱処理は温度70℃、湿度
40%の環境に24時間放置した。
【0031】以上の工程によって得られた焦点板の表面
には、長さ10μm前後,深さ0.2μm程度の細いす
じ状に全面が皺よった状態になっていた。また焦点板の
反射率は図5の如く450〜700nmの範囲で3%以下
であった。
【0032】(実施例3)
【0033】次に、本発明の実施例3を説明する。
【0034】図6は、焦点板の製造方法における、
(a)熱処理前の焦点板を示す断面図、および(b)完
成した焦点板を示す断面図である。本実施例は樹脂層の
表面にマイクロレンズ6を成形した点と、薄膜を多層構
造として反射防止機能を持たせた点、さらに透明基板の
裏面にフレネルレンズ5を設けた点において前記実施例
1と異なっている。
【0035】まず、透明基板1の表面に樹脂層2を積層
する。樹脂層2の表面にはマイクロレンズ6が形成さ
れ、裏面にはフレネルレンズ5が形成されている。表面
のマイクロレンズ6は、エネルギー硬化性樹脂を厚さ1
00μmにディッピングしたのち後述する電鋳型を押し
つけて成形する。裏面のフレネルレンズは前記実施例2
と同様にして成形する。両面の成形後、紫外線照射して
樹脂を硬化させる。
【0036】次に、樹脂層2の表面に圧縮方向の内部残
留応力を有する薄膜4を積層する。マグネトロンスパッ
タリング法により樹脂層2から順に、SiO2 (nd=6
0nm)、Ta2 5 (nd=36nm)、SiO2 (nd=1
85nm)の3層からなる反射防止膜を積層する。成膜条
件は、基板は加熱せず、処理室の到達圧力1Paとし
た。薄膜4の内部残留応力は20Pa・mであった。
【0037】次に、熱処理して樹脂層2を軟化させると
ともに薄膜4を伸張させる。熱処理は温度40℃、湿度
90%の環境に24時間放置した。
【0038】以上の工程によって得られた焦点板の表面
には、長さ10μm前後,深さ0.2μm程度の細いす
じ状に全面が皺よった状態になっていた。また焦点板の
反射率は図7の如く450〜700nmの範囲で3%以下
であった。
【0039】次に、本実施例で使用した電鋳型の作り方
について図8〜図10を参照して説明する。
【0040】まず30mm×40mm高さ20mmの直方体の
金属片よりなるマスター型ブランク7の30mm×40mm
の平面に機械加工により規則的な角錐レリーフ8を形成
する。角錐レリーフ8は先端角120度のバイトによっ
て40mmの辺に平行に15μmピッチで平行に溝加工を
したのち、その溝に対し120度,240度をなす方向
に同ピッチで溝加工して形成され、六角錐9と三角錐1
0とが規則的に配列されている。
【0041】図10において、11は角錐レリーフ8面
に施したニッケルの電気めっき層であり、めっきによる
スムージングによって角錐頂部と稜線を丸め、各角錐レ
リーフ8をマイクロ凸レンズ12に形成する。なおニッ
ケル電気めっきは、ワット浴を用い基礎光沢剤としてア
トテック社製のベロアNo50(商品名)をめっき液1
リットル当たり20ミリリットル加えて、液温を50〜
54℃に保ちカソードロッキング法により行う。このよ
うにしてマイクロレンズ作成用のマスター型7aを得
る。そしてこのマスター型7aを電鋳反転することによ
りマイクロレンズ12を反転凹にした電鋳型7bを作成
した。
【0042】(実施例4)
【0043】次に、本発明の実施例4を説明する。
【0044】図11は焦点板を構成する透明基板を示す
断面図である。また図12は焦点板の製造方法における
熱処理前の焦点板を示す断面図であり、図13は完成し
た焦点板を示す断面図である。本実施例は前記実施例3
をより簡易化したものであって、ガラス基板を使用せず
にあらかじめ裏面にフレネルレンズ5が形成された透明
樹脂板を請求項にいう透明基板として使用した点が異な
っている。
【0045】まず、透明基板1の表面に樹脂層2を積層
する。透明基板1は、大きさ30mm×40mm,中心部の
厚さ1mmで裏面にフレネルレンズ5が形成されたPMM
A樹脂板である。樹脂層2の表面には前記実施例3と同
様に電鋳型を用いてマイクロレンズ6が形成されてい
る。
【0046】次に、樹脂層2の表面に圧縮方向の内部残
留応力を有する薄膜4を積層する。電子線加熱の真空蒸
着法により樹脂層2から順に、SiO2 (nd=25n
m)、WO3 (nd=30nm)、SiO2 (nd=47n
m)、WO3 (nd=260nm)、SiO2 (nd=123n
m)の5層からなる反射防止膜を積層する。成膜条件
は、基板は加熱せず、蒸着室の到達圧力1×10-3Pa
以下とした。薄膜4の内部残留応力は30Pa・mであ
った。
【0047】次に、熱処理して樹脂層2を軟化させると
ともに薄膜4を伸張させる。熱処理は温度60℃、湿度
80%の環境に24時間放置した。
【0048】以上の工程によって得られた焦点板の表面
には、長さ10μm前後,深さ0.3μm程度の細いす
じ状に全面が皺よった状態になっていた。また焦点板の
反射率は図14の如く400〜700nmの範囲で1%以
下であった。
【0049】(実施例5)
【0050】次に、本発明の実施例5を説明する。
【0051】図15は焦点板を構成する透明基板を示す
断面図である。また図16は焦点板の製造方法における
熱処理前の焦点板を示す断面図であり、図17は完成し
た焦点板を示す断面図である。本実施例は焦点板の表面
にフレネルレンズ5を形成し皺よらせるとともに、裏面
にはマイクロレンズ6を形成したものである。ただし実
際に使用する際にはフレネルレンズ5を下面(撮影レン
ズ側)に向けて使用するものである。
【0052】まず、透明基板1の表面に樹脂層2を積層
する。透明基板1は、大きさ30mm×40mm,厚さ1mm
で裏面に微小なマイクロレンズ6が規則配列されたPM
MA樹脂板である。樹脂層2の表面には前記実施例2と
同様にしてフレネルレンズ5が形成されている。
【0053】次に、樹脂層2の表面に圧縮方向の内部残
留応力を有する薄膜4を積層する。電子線加熱の真空蒸
着法により樹脂層2から順に、SiO2 (nd=25n
m)、Ta2 5 (nd=30nm)、SiO2 (nd=47n
m)、Ta2 5 (nd=260nm)、SiO2 (nd=1
23nm)の5層からなる反射防止膜を積層する。成膜条
件は、基板は加熱せず、蒸着室の到達圧力1×10-3
a以下とした。薄膜4の内部残留応力は40Pa・mで
あった。
【0054】次に、熱処理して樹脂層2を軟化させると
ともに薄膜4を伸張させる。熱処理は温度70℃、湿度
70%の環境に24時間放置した。
【0055】以上の工程によって得られた焦点板の表面
には、長さ10μm前後,深さ0.4μm程度の細いす
じ状に全面が皺よった状態になっていた。また焦点板の
反射率は図18の如く400〜700nmの範囲で1%以
下であった。
【0056】なお、上記実施例の説明から理解されるよ
うに、各請求項に記載された本発明は以下のように具体
化することが可能である。
【0057】(1)請求項1,2における樹脂としてエ
ネルギー硬化性樹脂を用いること。本発明では透明基板
の表面に積層した樹脂層を熱処理により軟化させる必要
があるので、熱可塑性を有する樹脂を用いる必要がある
が、特にエネルギー硬化性樹脂が好適である。これは、
一般にエネルギー硬化性樹脂は通常の熱可塑性樹脂より
も可撓性が高く粘性的であり、とくに高温高湿度環境に
おいてこの性質が増進し非常に変形しやすくなるからで
ある。そして、所定の皺が形成された後、通常の環境に
戻せば、もとの形状に戻ることはなく長期的に安定した
状態になる。
【0058】(2)請求項1,2における樹脂層の表面
にあらかじめマイクロレンズやフレネルレンズを形成し
ておき、この上に薄膜を積層して皺を発生させると、前
記先願における発明と同等の効果つまりマイクロレンズ
の規則配列による回折現象を不規則な皺によって抑止す
る効果を有する焦点板を簡単に製造することができる。
【0059】(3)請求項1,2における透明基板の裏
面にフレネルレンズを形成すること。この場合には、集
光用のフレネルレンズを一体化してコンパクトな焦点板
を得ることができる。
【0060】(4)請求項2における熱処理が温度60
〜100℃かつ湿度80〜100%の環境に10分以上
放置する工程であること。熱処理は温度40〜120℃
であるか、または湿度40〜100%の環境に放置する
ことでも一応目的を達することができる。しかし、とく
に皺を深く形成するには、温度60〜100℃かつ湿度
80〜100%の環境が好ましい。この場合、放置後1
0分程度から徐々に皺が形成され、24時間程度でパタ
ーン形成の進行が停止し、形状が安定する。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の焦点板及び
その製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0062】請求項1,2によれば、表面が皺よって不
規則な凹凸面であり十分な拡散性を有する焦点板を金型
などを使用せず簡単に得られる。そして本発明ではクロ
ム酸などの有害物質を使用しないため安全であり、廃液
処理施設等に特殊な設備を要することもない。
【0063】請求項3によれば、適切な材料の選択によ
り薄膜内部に十分な圧縮応力を発生させることができ、
微細で深い皺を形成することが可能になる。
【0064】請求項4によれば、焦点板の表面に反射防
止膜が形成されているので、樹脂表面の反射が防止さ
れ、焦点板の明るさが向上するとともに表面の乱反射に
よるフレアーを防止することができる。
【0065】請求項5によれば、本発明による焦点板を
母型としてプレス成形型を得るので、請求項1によって
製造するのと同等な焦点板をより安価に大量生産でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による焦点板の製造方法にお
ける薄膜積層後の状態を示す(a)断面図、および
(b)平面図である。
【図2】本発明の実施例1によって完成した焦点板を示
す(a)断面図、および(b)平面図である。
【図3】本発明の実施例1の焦点板について、(a)熱
処理前の状態、および(b)熱処理後に完成した焦点板
の表面の状態、をそれぞれ撮影した顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例2による焦点板の製造方法にお
ける、(a)熱処理前の焦点板を示す断面図、および
(b)完成した焦点板を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例2による焦点板についての分光
反射率特性を示すグラフで、横軸は波長、縦軸は反射率
である。
【図6】本発明の実施例3による焦点板の製造方法にお
ける、(a)熱処理前の焦点板を示す断面図、および
(b)完成した焦点板を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3による焦点板についての分光
反射率特性を示すグラフで、横軸は波長、縦軸は反射率
である。
【図8】実施例3の焦点板の製造に使用される電鋳型の
製造方法を説明する図である。
【図9】実施例3の焦点板の製造に使用される電鋳型の
製造方法を説明する図である。
【図10】実施例3の焦点板の製造に使用される電鋳型
の製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の実施例4の焦点板を構成する透明基
板を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例4による焦点板の製造方法に
おける熱処理前の焦点板を示す断面図である。
【図13】本発明の実施例4による焦点板の製造方法に
おける完成した焦点板を示す断面図である。
【図14】本発明の実施例4による焦点板についての分
光反射率特性を示すグラフで、横軸は波長、縦軸は反射
率である。
【図15】本発明の実施例5の焦点板を構成する透明基
板を示す断面図である。
【図16】本発明の実施例5による焦点板の製造方法に
おける熱処理前の焦点板を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例4による焦点板の製造方法に
おける完成した焦点板を示す断面図である。
【図18】本発明の実施例5による焦点板についての分
光反射率特性を示すグラフで、横軸は波長、縦軸は反射
率である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 樹脂層 3 カップリング剤 4 薄膜(誘電体薄膜) 5 フレネルレンズ 6 マイクロレンズ 7 マスター型ブランク 8 角錐レリーフ 9 六角錐 10 三角錘 11 めっき層 12 マイクロレンズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、この透明基板の表面に積層
    された樹脂層と、この樹脂層の表面に積層された薄膜と
    からなり、前記薄膜が皺よって不規則な凹凸面になって
    いることを特徴とする焦点板。
  2. 【請求項2】 透明基板の表面に樹脂層を積層し、この
    樹脂層の表面に圧縮方向の内部残留応力を有する薄膜を
    積層し、これに熱処理して前記樹脂層を軟化させるとと
    もに前記薄膜を伸張せしめ、もって前記薄膜を皺よらせ
    ることを特徴とする焦点板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜がSiO2 ,CeO2 ,W
    3 ,またはTa2 5のいずれかを含む誘電体薄膜で
    ある請求項1記載の焦点板または請求項2記載の焦点板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜が複数層からなる反射防止膜と
    なっていることを特徴とする請求項1記載の焦点板また
    は請求項2記載の焦点板の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板の表面に樹脂層を積層し、この樹脂
    層の表面に圧縮方向の内部残留応力を有する薄膜を積層
    し、これに熱処理して前記樹脂層を軟化させるとともに
    前記薄膜を伸張せしめ、もって前記薄膜を皺よらせ、こ
    れを電鋳反転して型を得ることを特徴とする焦点板成形
    型の製造方法。
JP3373195A 1995-02-22 1995-02-22 焦点板及びその製造方法 Withdrawn JPH08227092A (ja)

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