JPH08225905A - 電着ドラム用チタンリングの製造方法 - Google Patents

電着ドラム用チタンリングの製造方法

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JPH08225905A
JPH08225905A JP2792995A JP2792995A JPH08225905A JP H08225905 A JPH08225905 A JP H08225905A JP 2792995 A JP2792995 A JP 2792995A JP 2792995 A JP2792995 A JP 2792995A JP H08225905 A JPH08225905 A JP H08225905A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チタンリングの溶接部に生じる凝固,変態組
織を母材部組織と同等に改質し、品質のよい電解金属箔
を生産できる電着ドラム用チタンリングの製造方法を提
供する。 【構成】 電解金属箔製造用電着ドラムの陰極となるチ
タンリングの製造方法にあって、円筒状に巻かれた純チ
タン板の対向する両端を突き合わせ溶接する溶接部およ
び熱影響部に生じる凝固、変態組織を母材と同質の組織
に調整する手段において、溶接域を溶接線を中心にリン
グの外側に曲げ加工を施した後、該曲げ加工部をプレス
して元の円弧に復元した屈伸加工部を熱処理する第1工
程と、前記曲げ加工、復元、熱処理を更に1回以上繰り
返す第2工程と、前記曲げ加工により形成する凹部に肉
盛した後圧延加工して熱処理する第3工程を順次施すこ
とを特徴とする電着ドラム用チタンリングの製造方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解メッキ法により銅
箔,ニッケル箔などの金属箔を製造する製箔装置の回転
ドラム陰極に使用されるチタンリングの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板用電解銅箔を中心とする
金属箔の製造に使用される回転ドラム陰極の材質として
のチタンは、特公昭46-90号,特公昭58-24507号等に開
示されているごとく耐食性に優れ、かつ電着金属箔の剥
離性が良いことから広く用いられている。チタンを電着
面とする電解銅箔製造装置は、図1に示すように銅メッ
キ液の器となる浴槽1の中心に回転ドラム陰極2がドラ
ム軸受3にセットされ、その容積の約1/2が電解液5に
浸漬され、陰極に対面して配置される陽極6との間に整
流器7を介して直流が通電され、メッキ浴の一方の側か
ら浴に浸入したチタン面に銅がメッキされ始め、他方の
側の浴面から出るまでに所定の厚みの銅箔となった後、
チタン面から剥がされてボビンに巻き取られ連続的に製
造される。
【0003】図2は回転ドラム陰極の一部破断正面図
で、その代表的寸法はチタン板厚み5〜8mm,直径2〜
3m,幅1〜3mであり、回転軸8を中心に構成される
軟鋼製インナードラム9の外側にチタンリング10が焼嵌
めなどにより嵌め合わされたうえ、表面を機械仕上げ後
研磨して使用される。そして腐食磨耗による厚みの減小
が初期厚みの30〜50%に達すると、インナードラム表面
への圧着力が不均整になって電気的接触抵抗にムラを生
じ、銅箔の厚みの不均一や局部的過熱による変色などの
不具合を生じるため、寿命として更新される。この種の
回転ドラム陰極に使用されるチタンリングは、今日、次
の2つの方法で製造される。その1つは、熱間又は冷間
圧延チタン板をロール成形機により円筒状に巻いて対向
する板の両端を突き合わせ、プラズマ溶接法などにより
溶接する方法であり、他の1つはチタン素材をリング圧
延機にかけて溶接部のないシームレスリングに成形する
リングローリング法であるが、それぞれに長所、短所が
有る。
【0004】その短所は、溶接法に関しては結晶粒度が
ASTME112のNo.6〜8,結晶構造が等軸α晶の組
織を持つ母材部に対して、溶接継手部(以下溶接域と称
す)における溶接部が溶融凝固したままの鋸歯状粗大凝
固組織となり、また、それに接する熱影響部がβ変態点
を超える温度に加熱されることに起因して変化した変態
組織あるいは変態点に近い高温に加熱されて結晶成長し
た粗大粒組織になり、腐食,摩耗性が母材部と異なるこ
とである。
【0005】この様なチタン溶接継手部断面における溶
着金属部,熱影響部,母材部それぞれのマクロ組織,お
よび硬さ分布の詳細は、例えば文献 チタン加工技術
(社)チタニウム協会編P-110,写真4-2(1992)に見ら
れる通りで、このままドラム陰極として使用すると、チ
タン面に電着した銅箔に溶接部および熱影響部の凝固,
変態組織の模様および研磨面の粗さの違いが転写され
て、プリント配線板用銅箔に規定される品質が不合格に
なる。
【0006】従って、溶接法に関しては従来から溶接域
の変態組織を母材部に近似化するための後処理、例えば
特開平2-243790号,特開平4-36488号,特開平4-262872
号などに提案されている組織調整処理を必要とする。こ
れらは何れも金属学的に公知である原理、例えば金属便
覧,日本金属学会編,丸善(1960)P-518 図8・26,圧
延加工,熱処理による結晶粒の変態模式図に示されてい
るように、オーステナイト或いはフェライトなどの単相
金属の初期結晶粒が圧延,熱処理を加えることによって
再結晶し、適性条件のもとで微細化される現象からも明
らかなように、或る粗大結晶粒からなる金属材料を加工
して、その内部に塑性歪を蓄積させた後に適当な温度で
熱処理することにより、加工組織が再結晶し、均質微細
化した結晶が得られる原理を応用したもので、これらの
組織調整手段により、チタンリング溶接域の痕跡は目立
たなくなって、一般には実用上ほぼ問題ないまでに改善
されるに至った。
【0007】しかしながら、急速に進歩し高度に精密化
しつつある多層プリント配線板に使用される一部の銅箔
は、厚み18μm以下の薄厚化と共に表面の凹凸の小さい
ロープロファイル化が進んで、表面特性の一層の均質化
が求められ、それに対応してチタンリング溶接域の改善
された痕跡に対しても一層の改善が求められている。
【0008】他方、溶接ビードのないリングローリング
法に関しては、現在一部に使用されてはいるが、リング
圧延機の圧下能力の制約から結晶の細粒化に必要な塑性
歪を十分加えることが困難なため、電着面に要求される
微細で均質な結晶組織が得難く、かつ製造コストが嵩む
などの問題があるために、最近、特開平6-93400号に見
られる改善すなわち、チタン素材に対して熱間でのリン
グローリングを施し、リング状のチタン製中間製品を
得、この中間製品に対して冷間において再び圧下を加
え、引続き焼鈍し、チタン製電着ドラムを得る方法が提
案されてはいるものの、国内では未だ広く使用されるに
至っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記の通り、溶接によ
り接合して成るチタンリングの溶接域は、そのままでは
マクロおよびミクロ組織が母材部とは違った粗大な凝固
変態組織をなし、腐食磨耗性も母材部と相異する。した
がって、変態した組織を母材と同質とするための後処理
が必要になる。それには原理上、母材の原料から製品に
至るまでの加工履歴に相当する圧錬,圧延,焼鈍などの
加工を加えれば良いことは当然に考えられる。しかしな
がら、溶接域の限られた領域に母材の履歴と同等の加工
を実行するのは困難であるので、それを如何なる代替え
手段で効果的に行うかにある。
【0010】特開平2-243790号,特開平4-262872号は、
溶接部及びその周辺の変態組織をそれぞれの提案する圧
下,焼鈍手段により再結晶させて結晶粒の大きさを調整
するもので、かつて問題視されて来た銅箔面へ転写され
る溶接部跡を目立たなくするのに貢献している。しかし
ながら、前記の通り高度に精密なプリント配線板用薄
厚、ロープロファイル銅箔を製造するためのチタンリン
グに対しては、さらに改善が求められている。即ち、例
えば特開平4-262872号などのような溶接部及び溶接部近
傍を外側へ押出して形成された内側凹部に外面を冷却し
ながら肉盛り溶接し、続いてこの肉盛り部に温間又は冷
間にて押潰し加工を施し、続いて該押潰し加工部に焼鈍
処理を施すごとき調整手段によっても、溶接部跡には造
箔業界の厳しい検査の指摘する斑点模様の組織むらが散
在することがある。
【0011】この組織むらは、一般用銅箔の製造には余
り問題にならない程に僅少ではあるが、組織むらは、銅
箔の製造工程におけるチタン電着面の硫酸酸性銅メッキ
浴および電着面からの銅箔剥離による化学的,物理的腐
食摩耗にもとづく表面粗さの経時変化が母材部と異な
り、銅箔にその斑点模様を写し出して精密プリント配線
板用銅箔に求められる品質に不合格となるため、銅箔の
溶接域の部分を切除して使用しなければならず、作業性
の低下およびコスト高を招いている。よって、本発明者
らは前記提案の組織調整手段によって改善はされたもの
の、なお僅かに存在するチタンリング溶接域の斑点模様
を消去することを課題として取り組んだ結果、本発明を
完成させるに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特開平2-
243790号,特開平4-262870号などの肉盛り,圧下,熱処
理の再結晶化手段により母材組織に近似化された溶接域
の研磨面になお、僅かに散在する斑点模様の組織むらに
注目しその原因を克明に追求した結果、再結晶化手段に
より微細化しかつ粒界が鮮明化した結晶粒の中に、組織
改善前の粗大組織を押し潰した時の圧下変形組織の片鱗
とみられる粒界が不鮮明な結晶群が混在することを認
め、1回の肉盛り,圧下,熱処理のみでは変態組織全体
を改質するために必要な塑性歪を十分行き亘らせること
は困難と判断した。
【0013】この判断をもとに、組織改善手段について
追求し実験を重ねた結果、次に記す3段階の加工工程を
経ることによって、本発明の課題である溶接域の組織む
らをより一層減少させることが可能となり、結晶粒度,
研磨性,耐食性を母材により一層近似させ得ることを見
出した。
【0014】第1工程 1.溶接域を溶接線を中心にリングの外側に突出する曲
げ加工を施す。 2.曲げ加工部をプレスして元の円弧に復元する。 3.上の屈伸加工部を熱処理する。
【0015】第2工程 第1工程と同じ要領の屈伸加工,熱処理を1回以上繰り
返す。
【0016】第3工程 1.前工程と同様に溶接域をリングの外側に突出する曲
げ加工を施す。 2.曲げ加工部の凹部の両側の母材部と熱影響部の境界
部に、母材厚みの15〜20%の高さの肉盛りをし、次いで
その内側凹部を埋める肉盛りをする。 3.肉盛り部全体を母材板厚に等しくなるようにプレス
する。 4.上記加工部を熱処理する。 以上の工程を経た溶接域組織は母材部組織に極めて近似
し、従来法に散見された組織むらの殆ど見られない均質
緻密な結晶組織に蘇生される。
【0017】
【作用】上述の円筒状に巻いて突き合わせ溶接した後に
行われる第1,第2,第3工程の各曲げ加工の作用につ
いて説明する。
【0018】第1工程における曲げ加工は、溶接部を中
心とした溶接域の凝固,変態組織を改質する基本的手段
である圧下,熱処理に先立って,圧延のみでは到達し得
ない組織の局所に再結晶化の塑性歪を与える作用をす
る。即ち、金属組織中の結晶群(塊)は圧延によって押し
潰されて偏平状に変形し、その粒界に塑性歪を蓄積し、
熱処理時の再結晶核を生み出すが、圧下率を高めるだけ
では組織全体に再結晶エネルギーを等しく浸透させるこ
とは不可能である。すなわち、前記した斑点模様の組織
むらは、十分な塑性歪が行き届かなかったことによる残
留圧下組織とみられる。これに対して曲げ加工の塑性変
形の形態は圧延とは異なるが、曲げ変形の外側の組織に
は引っ張り応力が、内側の組織には圧縮応力が加えられ
て、凝固,変態組織の結晶構造に、すべりと双晶が関与
する塑性変形を与え、圧延のみでは到達出来ない局所に
塑性歪を行き届かせる作用をする。
【0019】第2工程の曲げ加工の作用は第1工程と全
く同様である。チタン圧延板が製造される工程で、数段
階の圧延焼鈍が繰り返されてはじめて緻密で均質な組織
の製品になるのと同様に、繰り返しによって均質化が高
められる。しかし、その回数は多い程良いというもので
はない。経済的でないことはいうまでもないが、母材の
組織以上に細密にする必要はないからで、経験上1回乃
至2回で目的が達成される。
【0020】第3工程の曲げ加工の作用は2つある。そ
の1つは第1,第2工程と同様であり、繰り返し効果と
して作用する。もう1つは圧延,熱処理の原理的再結晶
作用を行わせ、目的とする緻密な微細粒組織に仕上げて
完成させることである。本発明においては、従来法が溶
接部の母材のV字開先の凹部、或いは溶接部及び溶接部
近傍を押し出し加工した溝状の凹部に肉盛りするのに対
して、熱影響部と母材部との境界が曲げ幅の両側に位置
する寸法の押型,受型で成形され、その境界部に母材の
厚みの15〜20%の高さの肉盛りが行われ、次いでこれに
よって形成された凹部を満たす肉盛りが行われる。
【0021】この様にして、次に行われる押し潰し加工
によって肉盛り部全体の厚みが母材厚みに等しくしたと
きの圧下率は、溶接部が約60%で最大となり、母材部と
の境界が約20%で最小となって、その間は溶接部からの
距離に逆比例して減小し、熱影響率の大きさにほぼ比例
するように考慮されている。これによって溶接部,熱影
響部の夫々の位置における再結晶粒の粒度が均整化され
る特徴が生まれる。以上の具体的作用を以下の実施例で
詳しく述べる。
【0022】
【実施例】図3〜図7は本発明の実施例を示す。図3は
チタンリングの溶接部の組織調整における主要工程を示
す。曲げ加工にはV曲げ,U曲げ,R曲げなどが適用出
来るが、ここではV曲げを代表させて例示する。図4〜
図7は各工程における溶接部近傍の研磨表面の結晶組織
の50倍倍率で撮影した顕微鏡写真である。以下に手順を
追って説明する。
【0023】厚み12mmの熱間圧延チタン板を冷間圧延し
た厚み6.5mmのチタン板をロール成型機で内径500mm,幅
300mmの円筒状に巻いてリングに成形し、対向するチタ
ン板の両端部を突合せアルゴンガスでシールドしながら
プラズマ溶接法により突合せ部を一端から他端に連続し
て溶接した。図3(A)はチタンリングの溶接部近傍を示
し、符号11が溶接部でその幅は約3mmであった。また、
溶接部に隣接した符号12が結晶組織が変態した熱影響部
でその幅は左右それぞれ約10mmであった。その外側の符
号13が材料チタン板の組織を有する母材部で符号14が母
材部と熱影響部との境界部である。
【0024】図4は上述のチタン板から切り出した厚み
6.5mm,幅300mm,長さ200mmの板2枚を用いて両者の幅同
志を突き合わせ、上記と全く同じ条件でプラズマ溶接し
て一体化した試験板について、表面を研磨した後、腐食
液により腐食させた面の母材部,熱影響部,溶接部のそ
れぞれを50倍の倍率で撮影した顕微鏡写真で、(c)が母
材部,(a)が熱影響部,(b)が溶接部である。なお、試験
板は上記チタンリングからは直接顕微鏡観察出来ない為
に実物に代替えさせたものではあるが、実物と完全に加
工条件を合わせているので、試験板の結果は実物の結果
とほぼ同じであることを確認している。これから判るよ
うに、母材部(c)は冷間圧延チタン板の特徴的組織であ
る粒界,凹凸が鮮明で均質な微細結晶であるが、溶接部
(b)は母材部が溶融点(1688℃)以上に加熱されて溶融し
た後冷却されて凝固し、β晶からα晶に変化したままの
凝固組織であり、β変態点(882℃)以上に加熱された部
分と882℃以下ではあるが加熱されて結晶成長した部分
を持つ熱影響部(a)も、母材部(c)の組織とは一変した粗
大な変態組織になっていることが認められる。
【0025】次に、溶接部を中心とした溶接域の範囲
が、図3(B)のように、溶接部11が外側に突き出た形に
V曲げされた。このV曲げは型幅=20mm,角度=110゜
のダイとスプリングバッグ防止のため先端にビードをつ
けたポンチが用いられ、プレスした後の熱影響部と母材
部との境界がほぼ型幅の両端に一致し、凸部15の高さ及
び凹部16の深さは約7mmであった。
【0026】次に、V曲げされた部分に厚み6.5mm,内
径500mmの円弧の曲面に一致させた型でプレスされ、元
のシリンダーの円弧に復元された。
【0027】続いて、溶接域を高周波誘導加熱装置で59
0℃に昇温して15分保持した後、自然放冷された。この
加熱条件は、母材の冷間圧延チタン板が冷間加工後に取
られた熱処理条件にもとづいて決められた。
【0028】前記の試験板が上記と全く同一条件でV曲
げ,熱処理された後の表面組織が顕微鏡観察され写真撮
影された。図5(a)が熱影響部,(b)が溶接部である。こ
れから明らかなように、両者共に未だ母材の組織とかけ
離れてはいるが、図4(a),(b)の粒界の全く見られない
粗大組織が分裂して、凹凸のある結晶組織に変化してい
るのが認められる。
【0029】次いで第2工程としてチタンリングの溶接
域が第1工程と全く同じ条件でV曲げ,熱処理された。
この繰り返し加工後の熱影響部と溶接部の組織は、同じ
加工が施された試験板の顕微鏡写真である図6(a)(熱影
響部),(b)(溶接部)から知ることが出来る。両者の写真
における組織は図5(a),(b)と比べて明らかに再結晶組
織が母材に近づいていることが認められる。
【0030】次いで第3工程が次のように施工された。
先ず初めに溶接域のV曲げが第1,第2工程と同様に行
われた。既述のように、その目的の1つは屈曲による塑
性歪の付与であり、第2の目的は押し潰し圧下による塑
性歪付与である。第2の目的のために図3に示すV曲げ
の幅の両端の母材部と熱影響部との境界部14の位置に母
材と同等のJIS1種チタン溶加棒によって符号17の肉
盛り(A)が高さ1.6mm、巾4mmの寸法でTIG溶接さ
れ、次いでこれによって形成された凹部に図3D符号18
に示す肉盛り(B)がTIG溶接された。何れの溶接もチ
タンリングの外側を冷却して行われた。
【0031】次に、肉盛りされた曲げ部全体がプレスさ
れて母材部13の厚み6.5mmとほぼ等しい厚みに成型さ
れ、図3(E)のように、チタンリングはほぼ真円に復元
した。目的とする組織改質に重要な圧下率εは、一般に
母材厚みtと埋め溶接された溶接材厚みt’から次式に
よって表される。
【0032】
【数1】
【0033】但し、本発明においては溶接部と、熱影響
部と母材部との境界部はほぼ上式に近似するが、その中
間部は傾斜面であるため位置によって異なり、溶接部の
最大値と熱影響部端部の最小値の範囲内における各位置
の圧下率は母材部からの距離にほぼ逆比例して減小す
る。ちなみに母材部は約60%,熱影響部端部は約20%,
その間の熱影響部は20〜60%の圧下率の塑性歪が与えら
れたことになる。
【0034】この後、上記加工部位が590℃に加熱さ
れ、15分保持後放冷された。上記と同一条件でV曲げ、
肉盛り溶接、圧延、熱処理された試験板の溶接部、熱影
響部の表面が研磨された後、顕微鏡観察された。それぞ
れのミクロ組織は、粒界が鮮明な微細粒が均整に揃い、
母材のミクロ組織に極めて近似していることが認められ
た。図7はその顕微鏡写真で、(a)が熱影響部,(b)が溶
接部であり、これを図4(c)の母材部の顕微鏡写真と対
比することによりほぼ完全に改質されていることが分か
る。
【0035】また、改質部位の硬度をビッカース硬さ試
験機にかけて測定した結果のHv値は母材部115〜130,
溶接部120〜130,熱影響部109〜117で硬度も極めて近似
していることが確認された。
【0036】熱処理を終了した実物のチタンリングは、
この後電着ドラムの基体であるインナードラムに焼嵌め
され、その表面層約0.5mmが機械切削された後、研磨機
にかけられて、表面粗さ(Ra)が約0.25μmに仕上げら
れてから、溶接継手部が入念に目視検査された。その結
果、従来法では明瞭に判別された溶接跡の模様は、極め
て見難く、かつ従来法に散見された組織むらも殆ど認め
られなかった。
【0037】
【発明の効果】上記の通り、本発明の熱間又は冷間圧延
チタン板を材料として製造される電着ドラム用チタンリ
ングは、チタン板をロール成形して突き合わせ部を溶接
することにより生じる溶接部および熱影響部の凝固,変
態組織が、均質緻密な母材部の組織とほぼ等しく再生さ
れ、かつ、従来の組織改善処理方法に見られる組織むら
を殆ど無いまでに均質微細化することが可能となり、薄
厚,ロープロファイル銅箔に求められる高品質銅箔を歩
留まり良く製造することができ、総合的に優れた経済効
果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解銅箔製造装置の正面略図である。
【図2】電着ドラムの構造およびこれを構成するチタン
リングの取り付け位置を示す一部破断正面図である。
【図3】本発明のチタンリングの製造におけるチタン板
溶接部および熱影響部の組織改善の主要工程を示す部分
断面図である。
【図4】従来のチタンリングの母材となる冷間圧延チタ
ン板の組織の顕微鏡写真であり、(a)は熱影響部、(b)は
溶接部そして(c)は母材部である。
【図5】本発明の組織改善処理における第1工程を終了
した段階での(a)は溶接部、(b)は熱影響部の組織の顕微
鏡写真である。
【図6】本発明の組織改善処理における第2工程を終了
した段階での(a)は溶接部、(b)は熱影響部の組織の顕微
鏡写真である。
【図7】本発明の組織改善処理における第3工程を終了
し完成した段階での(a)は溶接部、(b)は熱影響部の組織
の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 チタンリング 11 溶接部 12 熱影響部 13 母材部 14 境界部 15 曲げ凸部 16 曲げ凹部 17 肉盛り部A 18 肉盛り部B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解金属箔製造用電着ドラムの陰極とな
    るチタンリングの製造方法にあって、円筒状に巻かれた
    純チタン板の対向する両端を突き合わせ溶接する溶接部
    および熱影響部に生じる凝固、変態組織を母材と同質の
    組織に調整する手段において、溶接域を溶接線を中心に
    リングの外側に曲げ加工を施した後、該曲げ加工部をプ
    レスして元の円弧に復元した屈伸加工部を熱処理する第
    1工程と、前記曲げ加工、復元、熱処理を更に1回以上
    繰り返す第2工程と、前記曲げ加工により形成する凹部
    に肉盛した後圧延加工して熱処理する第3工程を順次施
    すことを特徴とする電着ドラム用チタンリングの製造方
    法。
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