JPH08225597A - 安定なインシュリンアナログ結晶の製造 - Google Patents

安定なインシュリンアナログ結晶の製造

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Publication number
JPH08225597A
JPH08225597A JP7278739A JP27873995A JPH08225597A JP H08225597 A JPH08225597 A JP H08225597A JP 7278739 A JP7278739 A JP 7278739A JP 27873995 A JP27873995 A JP 27873995A JP H08225597 A JPH08225597 A JP H08225597A
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JP
Japan
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solution
lys
insulin
pro
human insulin
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Withdrawn
Application number
JP7278739A
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English (en)
Inventor
Jeffrey C Baker
ジェフリー・クレイトン・ベイカー
Bradley M Roberts
ブラッドリー・マイケル・ロバーツ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eli Lilly and Co
Original Assignee
Eli Lilly and Co
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
    • C07K14/62Insulins

Abstract

(57)【要約】 【課題】 糖尿病の治療に有用なLysB28ProB29
ヒトインシュリンの精製及び製造に有用な、LysB28
ProB29−ヒトインシュリンのアルカリ金属の塩又は
アンモニウムの塩の結晶の製造方法の提供。 【解決手段】 LysB28ProB29−ヒトインシュリ
ン、薬学的に許容し得る保存剤を含む溶液のpHをアル
カリ金属又はアンモニウムの塩基を用いてLysB28
roB29−ヒトインシュリンの等電点以下から約pH8.
5から約pH9.5の間に調整し、結晶化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトインシュリン
の単量体アナログに関する。特に、本発明はインシュリ
ンアナログ結晶の製造方法に関する。該方法は、Lys
B28ProB29−ヒトインシュリンの精製及び製造に有用
である。LysB28ProB29−ヒトインシュリンは、糖
尿病の治療に有用である。
【0002】
【従来の技術】1920年代にインシュリンが導入され
以来、真性糖尿病の治療の改良ために研究が続けられて
来た。大部分は、インシュリンの純度及び利用性に関す
る進歩である。異なる時間で作用する様々な製剤もまた
開発されてきた。これらの改良にもかかわらず、皮下注
射治療は患者に好都合な調節と正常化された血糖値制御
をもたらすには今だに不十分である。患者の一生にわた
って正常な血糖レベルをしばしば越えることは、高血糖
症又は低血糖症を引き起こし、網膜症、神経障害、腎臓
障害、及び微小血管症及び大血管症を含む長期間の合併
症を引き起こす。
【0003】極端な血糖レベルの回避を助けるために糖
尿病はしばしば、毎回食事とともにインシュリンを投与
して複数の注射による治療を行う。しかし、この治療は
まだ至適化されていない。商業的に入手できる最も速効
性のインシュリンは、注射後のピークがあまりにも遅
く、持続時間が長すぎるため、グルコースレベルを適切
に調節することができない。近年、皮下吸収過程の動力
学を改変するインシュリン製剤及びインシュリンアナロ
グ製剤の開発にかなりの努力が費やされている。
【0004】市販のインシュリンの医薬製剤はすべて、
インシュリンを自己会合の状態で主に亜鉛−6量体の形
で含むので、皮下注射蓄積から血流へのインシュリン吸
収の律速段階は、自己会合したインシュリン6量体の解
離であると考えられている。この吸収過程を促進するた
めに単量体インシュリンアナログが開発されている。こ
れらの単量体アナログはヒト本来のインシュリンの生物
学的活性を保持しながら、インシュリンに比べ比較的迅
速に開始する活性を有する。それらは迅速な吸収をもた
らし、注射時間及びインシュリンのピークの作用を食事
の応答に関連する食後のグルコース可動域へより近付け
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
1つの単量体アナログである、LysB28ProB29−ヒ
トインシュリン(LysB28ProB29−hI)の結晶の
新規製造法を提供する。LysB28ProB29−hIは、
米国特許出願第07/388,201号(EPO公開第
383 472号)に開示されている。しかし、米国特
許出願第07/388,201号は、LysB28Pro
B29−hI結晶の商業的に実行可能な製造法は開示して
いない。
【0006】インシュリンの結晶化は当業者にはよく知
られている。最初の発見は1926年にさかのぼり、こ
のときアベル(Abel)がインシュリンを等電的領域にお
いて、ブルシン、ピリジン及び酢酸アンモニウムで緩衝
化した溶液から結晶化した[アベル(Abel)J.J.ら,
プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンセス・U.S.(Proc.Nat'l.Acad.Sci.U.
S.),12巻,132頁,(1926年)]。ピーター
ソン(Peterson)らは、米国特許第2,920,104
号の中でインシュリン結晶及び製剤並びにそれらの製造
方法を記載している。R.L.ジャクソン(Jackson)は
米国特許第3,719,655号の中で、インシュリン
のアンモニウム及びアルカリ金属塩の製造方法について
開示している。この方法は豚肉又は牛肉インシュリン、
及び0.2molarから1.0molarの濃度の、アルカリ金属
カチオンとアンモニウムカチオンからなる群から選択さ
れたカチオンを含んでなる豚肉又は牛肉インシュリンを
含む溶液の塩基性をアルカリ金属又はアンモニウムの塩
基でpH約7.2からpH約10.0に調整することを含
んでなる。この方法は、pH8.2でインシュリン結晶
の収率が最大になる「8.2プロセス」として商業的に
発展した。最も意味深いのは、LysB28ProB29−ヒ
トインシュリンをナトリウム結晶を形成するためにジャ
クソンの文献に記載されたpH8.2の条件に付した場
合、このような結晶化は起こらないということである。
【0007】本発明は、単量体LysB28ProB29−ヒ
トインシュリンが会合及び結晶化し得るような特異的条
件を提供する。したがって、本発明は、LysB28Pr
B29−hIの結晶化の方法を提供する。この方法は、
高品質、高収率のアルカリ金属又はアンモニウムの塩を
結晶として大規模に製造する。この結晶は安定な、固体
の形の分子となる。結晶固体は特に有利である、なぜな
らばそれらは非晶性の固体よりも、より簡単にキャラク
タライズされ、精製され、そして薬品としてより優美で
あるからである。この方法は商業的な応用にふさわしい
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、LysB28
roB29−ヒトインシュリンのアルカリ金属の塩又はア
ンモニウムの塩の結晶の製造法を提供し、該方法は溶液
のpHを、LysB28ProB29−ヒトインシュリンの等
電点以下のpHから、pH約8.5からpH約9.5の間
にアルカリ金属又はアンモニウムの塩基で調整すること
を含んでなり、該溶液は約5mg/mLから約50mg
/mLのLysB28ProB29−ヒトインシュリン、薬学
的に許容し得る保存剤、及び初濃度 約30mMから約
100mMのカチオンを含んでなり、該カチオンはアル
カリ金属又はアンモニウムからなる群から選択されるも
のである。
【0009】本開示において使用されるすべてのアミノ
酸の略号は、37連邦法施行規則§1.822(b)(2)
で示されるように米国特許商標局によって認められてい
るものである。
【0010】上記の通り、本発明はLysB28ProB29
−ヒトインシュリンのアルカリ金属の塩又はアンモニウ
ムの塩の結晶の製造法を提供する。「LysB28Pro
B29−ヒトインシュリン」又は「LysB28ProB29
hI」なる用語は、2量化又は自己会合しにくい即効性
インシュリンアナログである。本明細書の一部を構成す
る米国特許出願第07/388,201号(EPO公開
第383 472号)に記載されているように、Lys
B28ProB29−hIは、B鎖のB28位でプロリンがリジ
ンで置換されており、B鎖のB29位でリジンがプロリン
で置換されているヒトインシュリンである。
【0011】「等電点」なる用語は、溶液中でLys
B28ProB29−hIの正味の電荷が0であるpHを意味
する。LysB28ProB29−hIの等電点はpH約5.
4である。
【0012】「薬学的に許容し得る保存剤」なる用語
は、微生物の増殖を防止するために非経口製剤に普通用
いられる試薬を意味する。薬学的に許容し得る保存剤に
はフェノール、m−クレゾール、レソルシノール、及び
メチルパラベンが含まれる。
【0013】「アルカリ金属」なる用語は当業者には知
られており、リチウム、ナトリウムカリウム、ルビジウ
ム及びセシウムが含まれる。好ましくは、アルカリ金属
はナトリウム又はカリウムである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、LysB28ProB29
hIを保存剤の存在下でアルカリ金属又はアンモニウム
で結晶化させて安定な結晶固体を製造する条件を開示す
る。結晶化の間のLysB28ProB29−hIの濃度は約
5mg/mLから約50mg/mLである。好ましく
は、約18mg/mLから約22mg/mLの間であ
り、最も好ましくは、約20mg/mLの濃度である。
LysB28ProB29−hIの溶液は、アナログを水性の
希釈剤中に溶解することによって調製する。酸溶解のよ
うに一般に知られているものによって溶解を助けてもよ
く、すなわち生理的に許容される酸、好ましくは0.5
Nから1.0Nの酢酸でpHを約3.0から3.5に下げ
る。他の生理的に許容される酸にはクエン酸及びリン酸
が含まれる。酸の選択は決定的なものではない。しか
し、酢酸塩、リン酸塩、又はクエン酸塩が緩衝液として
結晶化に必要なpH調整を促進するということは、当業
者は認識するであろう。他の酸は、二塩基リン酸ナトリ
ウム、TRIS、酢酸ナトリウム、又はクエン酸ナトリ
ウムなどの生理的に許容される緩衝液とともに使用し得
る。緩衝液の選択及び濃度は当業者には知られていると
ころである。
【0015】保存剤は、LysB28ProB29−hIの等
電点より低いpHでアナログ溶液に加える。通常、保存
剤の濃度はモル過剰であり、具体的には約0.005m
Mから約0.05mMである。より好ましくは、保存剤
は0.023mMの濃度(体積で0.3%)の液化フェノ
ールである。
【0016】pH調整前の溶液のカチオン濃度は約30
mMから約100mMである(後述のカチオン初濃
度)。好ましくは、カチオン初濃度は30mMから50
mMである。最終カチオン濃度はpH調整に用いるアル
カリ金属又はアンモニウムの量によって変更可能であ
る。通常、最終カチオン濃度は約500mMから800
mMの間である。カチオンはアルカリ金属又はアンモニ
ウムからなる群から選択される。好ましくは、カチオン
はナトリウムである。
【0017】pHをLysB28ProB29−ヒトインシュ
リンの等電点以下から約8.5から9.5の間、好ましく
は約8.9から約9.1の間にアルカリ金属又はアンモニ
ウムの塩基で調整する。好ましいアルカリ金属の塩基は
水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、又は水酸化カ
リウムである。最も好ましくは、塩基は水酸化ナトリウ
ムである。
【0018】LysB28ProB29−hIを希釈剤に溶解
する方法、又は保存剤、カチオン、及びLysB28Pr
B29−hIを希釈剤に加える順序は、本法については
決定的なものではない。結晶化の温度もまた決定的なも
のではない。許容できる温度範囲は、約4℃から約26
℃である。好ましくは、約4℃から約6℃である。
【0019】結晶は撹拌して、又は撹拌せずに生成し、
集め、洗浄し得る。請求の範囲に記載されている方法に
よって調製した結晶は、残留する溶解性タンパクの除去
に用いる洗浄の条件に敏感である。したがって、結晶は
酢酸ナトリウム中で好ましく洗浄して再溶解を防止す
る。好ましくは、結晶化は撹拌しながら行う。
【0020】LysB28ProB29−hIは必要であれば
濾過を容易にするために再結晶してもよい。結晶は集め
て、慣用の方法により乾燥し得る。本発明にしたがって
製造した結晶は商業的規模において高品質、高収率であ
る。結晶は、充填/仕上げの操作のための取り扱い及び
調剤に適当である安定な固体の形の薬物原材料を提供す
る。本結晶化法によって物質の純度又は凝集動力学が変
化することはない。
【0021】最も意味深いのは結晶化の条件が保存剤、
塩基及びカチオン濃度の選択に敏感であることであり、
すなわち、製造工程を実施する当業者は明確な結晶に到
達するために本明細書中で定義したパラメーターを調整
するであろう。それぞれの保存剤−カチオン−塩基の組
み合わせのための至適条件は、開示の範囲内で変更す
る。
【0022】豚肉又は牛肉インシュリンの結晶の形成は
広く研究されてきた。ジャクソンの米国特許第3,71
9,655号は牛肉又は豚肉インシュリンのアンモニウ
ム及びアルカリ金属の塩の製造法を開示している。この
方法は豚肉又は牛肉インシュリン及びアルカリ金属カチ
オン又はアンモニウムカチオンからなる群から選択され
る0.2molarから0.1molarの濃度のカチオンを含んで
なる溶液を含む豚肉又は牛肉インシュリンの塩基性を、
pH約7.2からpH約10.0にアルカリ金属又はアン
モニウムの塩基を用いて調整することを含んでなる。イ
ンシュリン結晶の最大の収量はpH8.2においてであ
る。ジャクソンはさらに保存剤(フェノール又はメチル
p−ヒドロキシ安息香酸)の存在はインシュリンのナ
トリウム又はアンモニウム結晶化の性質又は収率を変え
ないと開示している。驚くべきことにpH及び保存剤の
存在は請求の範囲に記載した方法に深く影響している。
【0023】表1は、LysB28ProB29−hIの結晶
化に及ぼすpH及び保存剤の影響を示している。この実
験において、カチオンの初濃度を37.5mMに固定し
た。最終濃度はpHの調整に必要なカチオンの量に従っ
て変えた。「結晶生成せず」なる表示は、結晶が得られ
なかったか又は圧倒的に非晶性の生成物が得られたこと
を示している。「結晶生成」なる表示は本製造法により
結晶が生成したことを示している。
【表1】 表1に開示されたデータは、保存剤が結晶化において必
要な要素であることを示している。データはさらにpH
に対する結晶化の感受性を示している。結晶化はpH約
8.5からpH約9.5で行われる。
【0024】最も意外なのは、溶解性LysB28Pro
B29−hIは、インシュリン結晶を調製する条件下では
結晶化しないということである。表2はジャクソンの米
国特許第3,719,655号に記載されている商業的
な8.2法におけるヒトインシュリン、8.2法における
LysB28ProB29−hI、及び請求の範囲に記載の方
法におけるLysB28ProB29−hIの比較を表してい
る。
【表2】
【0025】LysB28ProB29−hIは古典的な(溶
液)方法、固相法、半合成法、及びより最近の組み替え
DNA法を含む、様々な確認されたペプチド合成技術の
いずれかによって製造し得る。例えばチャンス(Chanc
e)らの米国特許出願第07/388,201号、EP
O公開第383 472号はLysB28ProB29−ヒト
インシュリンの製造を開示している。
【0026】以下の実施例は、単にインシュリンアナロ
グの製造及び本発明のさらなる実例を提供するものであ
る。本発明の範囲は単に以下の実施例からなると解釈さ
れるものではない。以下の実施例においてカチオンの最
終濃度は、初めのカチオン含量をpH調整及びその後の
塩のスパイキング(spiking)の間に加えたカチオンの
総量に加えることによって計算した。このカチオンの総
量を結晶化の最終体積(最初の溶液+pH調整の間に加
えた体積)で割り、最終のモル濃度を得る。
【0027】
【実施例】実施例1 25mg/mLのLysB28ProB29−hI溶液 4m
Lと氷酢酸 0.1mL、純水 0.81mL、及び2M
NaCl 0.094mLを混合してタンパク20mg/
mL、NaCl 37.5mM、及び酢酸 0.75Mであ
る溶液にすることにより試料を調製した。液化フェノー
ルを加え、0.3%(体積/体積)の溶液にした(0.0
23mM)。次いで10% NaOH溶液1.4mLでp
Hをおよそ9.0に上げた。次にこれを穏やかに撹拌し
ながら5℃に24時間保ち、その後、明確な結晶を観察
した。
【0028】実施例2及び3 2つの試料を実施例1に類似の方法で調製した。各試料
はNaClを37.5mM、酢酸を0.75M、及び液化
フェノールを0.3% 体積/体積含む。しかし、1つの
溶液はLysB28ProB29−hI 10mg/mLを含
み、他方の溶液はLysB28ProB29−hIを25mg
/mL含む。各溶液のpHを10%NaOHでおよそ
9.0に調整した。次に両方の試料を穏やかに撹拌しな
がら24時間5℃に保った後、明確な結晶を観察した。
【0029】実施例4及び5 2つの試料を実施例1に類似の方法で調製した。各試料
はタンパクを20mg/mL、NaClを37.5mM
、及び酢酸を0.75Mを含む。しかし、1つの溶液は
液化フェノールを0.1% 体積/体積含み、他方の溶液
は液化フェノールを0.5% 体積/体積含む。各溶液の
pHを10% NaOHでおよそ9.0に調整した。次い
で、両方の試料を穏やかに撹拌しながら24時間5℃に
保った後、明確な結晶を観察した。
【0030】実施例6、7及び8 試料を実施例1に類似の方法で調製した。各試料はタン
パクを20mg/mL、酢酸を0.75M、及び液化フ
ェノールを0.3% 体積/体積含む。しかし、1つの溶
液はNaClを25mM含み、1つはNaClを50m
M含み、1つはNaClを200mM含む。各溶液のp
Hを10% NaOHでおよそ9.0に調整した。試料を
穏やかに撹拌しながら24時間5℃に保った。この後、
初濃度25mMのNaClを含む溶液は結晶も非晶性の
沈殿も存在せず透明のままであった。初濃度50mM及
び200mMのNaClを含む溶液は明確な結晶を非晶
性の沈殿とともに含んでいた。
【0031】実施例9及び10 2つの試料を実施例1に類似の方法で調製した。各試料
はタンパクを20mg/mL、NaClを37.5mM
、及び液化フェノールを0.3%体積/体積含む。しか
し、1つの溶液は0.5N 酢酸を含み、他方の溶液は
1.0N 酢酸を含む。各溶液のpHを10% NaOH
でおよそ9.0に調整した。次いで、両方の試料を穏や
かに撹拌しながら24時間5℃に保った。0.5N 酢酸
中で行った結晶化により明確な結晶が生成した。1.0
N 酢酸中で行った結晶化は小さな結晶と非晶性の沈殿
を含んでいた。
【0032】実施例11、12、13、及び14 試料を実施例1に類似の方法で調製した。各試料はタン
パクを20mg/mL、NaClを37.5mM、0.7
5N 酢酸、及び液化フェノールを0.3%体積/体積含
む。各溶液のpHを10% NaOHで8.2から10.
0の範囲の異なるpHに調整した。すべての試料を穏や
かに撹拌しながら24時間5℃に保った。pHおよそ
8.2で行った結晶化は結晶も非晶性の沈殿も生成しな
かった。pHおよそ8.5で行った結晶化は明確でない
結晶と非晶性の沈殿を生成した。pHおよそ9.5で行
った結晶化は明確な結晶を生成した。pHおよそ10.
0で行った結晶化は結晶も非晶性の沈殿も生成しなかっ
た。
【0033】実施例15 実施例1に記載された結晶化をおよそ23℃の温度で繰
り返した。この温度で24時間穏やかに撹拌すると、明
確な結晶が観察された。
【0034】実施例16 実施例1に記載された結晶化を保存剤なしで繰り返し
た。24時間5℃で穏やかに撹拌しても、結晶も非晶性
の沈殿も観察されなかった。
【0035】実施例17 実施例1に記載された結晶化をLysB28ProB29−h
Iではなくヒトインシュリンを用いて繰り返した。およ
そpH9.0で溶液は乳白色になり、これは非晶性の沈
殿の存在を示している。これを顕微鏡で確認した。24
時間5℃で穏やかに撹拌しても、溶液はなお、非晶性の
沈殿のみを含んでいた。
【0036】実施例18 実施例1に記載された結晶化を、保存剤の添加がpHを
およそ9.0に調整した後であることを除いて繰り返し
た。24時間5℃で穏やかに撹拌しても、圧倒的な量の
非晶性の沈殿と単離された結晶が観察された。この物質
はさらなる処理には適さない。
【0037】実施例19、20、及び21 様々な保存剤を用いて実施例1に記載の結晶化を繰り返
した。各保存剤を0.023mMになるように結晶化溶
液に加えた。用いた保存剤はメタ−クレゾール、レソル
シノール、及びメチルパラベンであった。5℃で24時
間穏やかに撹拌すると各試料中に結晶が観察された。メ
タ−クレゾールの存在下で行った結晶化は双晶挙動を示
す長方形の結晶を生成した。レソルシノールの存在下で
生成した結晶は事実上板状であり、メチルパラベンの存
在下で生成した結晶は八面体であった。
【0038】実施例22及び23 ナトリウム以外のカチオンを用いて実施例1に記載の結
晶化を繰り返した。各試料はタンパクを20mg/m
L、及び0.75N 酢酸、液化フェノールを0.3%体
積/体積、及びカリウム又はアンモニウムのいずれかの
カチオンの塩化物の塩を37.5mM含む。各溶液のp
Hを10% KOH又は濃水酸化アンモニウム溶液を用
いてpHをおよそ9.0に調整した。5℃で24時間穏
やかに撹拌すると各試料中に結晶が観察された。
【0039】実施例24及び25 0.5N 酢酸中のLysB28ProB29−hIの試料を透
析濾過(diafilter)して緩衝液を0.1M クエン酸又
は0.1M リン酸のいずれかに交換した。次いで各溶液
をタンパクが20mg/mL、及びNaClが37.5
mM、液化フェノールが0.3%体積/体積である結晶
化に付した。各溶液のpHを10% NaOHを用いて
pHをおよそ9.0に調整した。5℃で24時間穏やか
に撹拌してもいずれの試料中にも結晶は観察されなかっ
た。さらなるNaClを溶液(リン酸試料中に4M N
aClを0.4mL、クエン酸試料中に4M NaClを
0.3mL)に加えた。溶液を24時間撹拌した。両方
の溶液中に均一な結晶が観察された。
【0040】実施例26 ジャクソンの米国特許第3,719,655号に記載
の、pH8.2の方法を用いて結晶化を行った。0.75
N 酢酸中の20mg/mL LysB28ProB29−hI
の5mLの試料を調製した。この溶液にエデト酸ナトリ
ウムを8g/Lの量で加えた。NaCl 0.05gをこ
の溶液に加えた。この溶液のpHを10%NaOH溶液
を用いて8.4に調整した。この溶液に液化フェノール
を3.3mL/Lになるように加えた。NaCl 0.0
25gをこの溶液にさらに加えた。溶液の最終のpHは
8.22であった。室温で1時間撹拌しても結晶は観察
されず、非晶性の沈殿のみが観察された。
【0041】実施例27 酢酸緩衝液 5.68L中の、1プロセスで99.7ベー
スグラム(basegrams)のLysB28ProB29
−ヒトインシュリンをガラス容器中、酢酸/塩溶液(水
5Lと氷酢酸 0.215L及び塩化ナトリウム 11g
を混合した溶液1.32L)で希釈し、276nmでの
吸光度を20.1とした。この物質を0.2ミクロンのフ
ィルターに通した。液化フェノールをこの溶液に3.3
mL/L(合計22.6mL)になるように加え、得ら
れた溶液のpHを3 以下と確認した。溶液に水酸化ナ
トリウム(10%重量/体積の溶液)1.75mLを加
え、pHを8.99に調整した。次いで、溶液を2〜8
℃で15分間撹拌し、撹拌を終了し、得られた結晶を2
4時間沈降させた。結晶が沈降したら、上澄み 6.2L
を傾斜し、結晶を残りの容積中でスラリーとし、1L容
の遠心管中、DPR6000遠心分離機を用いて400
0rpm(およそ4000×G)で10〜20分間遠心
分離した。遠心物は傾斜した。結晶(およそ350mL
の押し固められた堆積物)を1M 酢酸ナトリウム1.3
Lでスラリーにして4000rpmで10〜20分間再
度遠心分離した。次いで結晶を撹拌しながらおよそ11
Lの冷却したアルコール SD No.3Aアブソリュー
ト(2〜8℃)に加え、4000rpmで15分間再度
遠心分離した。アルコール遠心物を傾斜し、アルコール
洗浄をさらに2回繰り返した。アルコールで洗浄された
結晶(湿重量292g)を減圧乾燥した。全収率は90
%以上であった。続く幾つかの方法による分析は、この
結晶化法により物質の純度又は凝集動力学が変化するこ
とはないということを示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブラッドリー・マイケル・ロバーツ アメリカ合衆国46143インディアナ州グリ ーンウッド、ランニング・ブルック・コー ト2280番

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LysB28ProB29−ヒトインシュリン
    のアルカリ金属又はアンモニウムの塩の結晶の製造方法
    であって、該方法は溶液のpHをLysB28ProB29
    ヒトインシュリンの等電点以下のpHからpH約8.5
    からpH約9.5の間に、アルカリ金属又はアンモニウ
    ムの塩基を用いて調整することを含んでなり、該溶液は
    約5mg/mLから約50mg/mLのLysB28Pr
    B29−ヒトインシュリン、薬学的に許容し得る保存
    剤、及び初濃度が約30mMから約100mMであるカ
    チオンを含んでなり、該カチオンはアルカリ金属又はア
    ンモニウムからなる群から選択される方法。
  2. 【請求項2】 pHが8.9から9.1に調整される請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 溶液が、酢酸塩、リン酸塩又はクエン酸
    塩から選択される緩衝液をさらに含んでなる請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 LysB28ProB29−ヒトインシュリン
    のアルカリ金属又はアンモニウムの塩の結晶の製造方法
    であって、溶液のpHをpH5.4以下からpH8.9か
    ら9.1の間に、ナトリウム、カリウム又はアンモニウ
    ムの塩基で調整することを含んでなり、該溶液はLys
    B28ProB29−ヒトインシュリンを18mg/mLから
    22mg/mL、フェノール、酢酸塩緩衝液及びナトリ
    ウム、カリウム又はアンモニウムカチオンを30mM〜
    100mMの濃度で含んでなる方法。
JP7278739A 1994-10-31 1995-10-26 安定なインシュリンアナログ結晶の製造 Withdrawn JPH08225597A (ja)

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CA2161495A1 (en) 1996-05-01
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