JPH082222A - 車輪情報取得装置 - Google Patents

車輪情報取得装置

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JPH082222A
JPH082222A JP14271494A JP14271494A JPH082222A JP H082222 A JPH082222 A JP H082222A JP 14271494 A JP14271494 A JP 14271494A JP 14271494 A JP14271494 A JP 14271494A JP H082222 A JPH082222 A JP H082222A
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秀樹 大橋
Hiroyuki Kawai
弘之 河井
Hiroyoshi Kojima
弘義 小島
Koji Umeno
孝治 梅野
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Toshiharu Naito
俊治 内藤
Nobuyoshi Onoki
伸好 小野木
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Toyota Motor Corp
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】車輪以外の車両構成要素に起因する周期的外乱
の影響を受けることなく車輪に関する情報を取得可能な
装置を得る。 【構成】電磁ピックアップ12により発生させられたパ
ルス信号に基づいて車輪14の回転速度を逐次決定し、
その回転速度からタイヤ空気圧(車輪に関する情報)を
外乱オブザーバによって推定する装置において、エンジ
ン駆動状態検出装置65およびT/M駆動状態検出装置
66の検出結果に基づき、駆動系から回転速度に侵入し
た周期的外乱の周波数を推定し、外乱オブザーバの推定
に適した適正周波数との差を求め、その差が小さい場合
には推定精度が低下するおそれがあると判定し、外乱オ
ブザーバによる推定を禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車輪の回転速度である車
輪速度に応じた周期的信号に基づいて車輪に関する情報
を取得する装置に関するものであり、特に周期的信号に
侵入した周期的外乱の影響を排除する技術に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車輪速度に応じた周期的信号に基づいて
車輪に関する情報を取得する装置が既に存在する。この
種の装置は一般に、(a) 車輪と共に回転する回転体の回
転を検出して車輪速度に応じた周期的信号を発生させる
信号発生装置と、(b) 発生させられた周期的信号に基づ
いて車輪情報を取得する信号処理装置とを含むように構
成される。
【0003】車輪情報としては例えば、車輪運動状態量
や車輪特性値がある。車輪運動状態量としては例えば、
車輪速度や車輪加速度があり、また、車輪特性値として
は例えば、タイヤ空気圧がある。車輪情報としてタイヤ
空気圧を取得する技術の一従来例が特開平5−1338
31号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】車輪速度に応じた周期
的信号には、車輪の製造ばらつき等、車輪自体の不均一
性に起因する周期的外乱が存在するが、さらに、エンジ
ン,トランスミッション,サスペンションの振動等、車
輪以外の車両構成要素に起因する周期的外乱も存在す
る。そのため、周期的外乱の存在を考慮しないで車輪情
報を取得したのでは、十分には高い精度で車輪情報を取
得することができない。
【0005】このような事情を背景とし、請求項1の発
明は、車輪以外の車両構成要素に起因する周期的外乱が
車輪情報の取得値に悪影響を及ぼす事態を回避すること
により、車輪情報取得装置の信頼性を向上させることを
課題としてなされたものである。
【0006】請求項2の発明は、周期的外乱の周波数が
車輪情報の取得に適した適正周波数に近すぎる場合には
車輪情報の取得を禁止することにより、周期的外乱が車
輪情報の取得値に悪影響を及ぼす事態を回避することを
課題としてなされたものである。
【0007】請求項3の発明は、周期的信号に侵入した
周期的外乱を除去することにより、周期的外乱が車輪情
報の取得値に悪影響を及ぼす事態を回避することを課題
としてなされたものである。
【0008】請求項4の発明は、周期的外乱が周期性を
有することを利用することにより、周期的信号に侵入し
た周期的外乱を除去することを課題としてなされたもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】それぞれの課題を解決す
るために、請求項1の発明は、前記信号発生装置および
信号処理装置を含む車輪情報取得装置において、車輪に
関する情報に車輪以外の車両構成要素に起因する周期的
外乱の影響が混入することを防止する他要素起因外乱混
入防止部を設けたことを特徴とする。
【0010】なお、「車輪以外の車両構成要素」として
は例えば、エンジン,トランスミッション,サスペンシ
ョン等がある。また、「車輪情報」としては例えば、車
輪速度(リム側部回転速度,ベルト側部回転速度)やタ
イヤ接地性を始めとする車輪運動状態量,タイヤ空気
圧,車輪の慣性モーメント,タイヤのばね定数を始めと
する車輪特性値等がある。
【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の車輪
情報取得装置において、前記他要素起因外乱混入防止部
を、前記周期的外乱の周波数を推定し、推定した周期的
外乱周波数と前記信号処理装置が車輪情報の取得を行う
のに適した適正周波数との周波数差が設定値以下である
場合には、信号処理装置による車輪情報の取得を禁止す
る取得禁止部を含むものとしたことを特徴とする。
【0012】請求項3の発明は、請求項1に記載の車輪
情報取得装置において、前記他要素起因外乱混入防止部
を、前記周期的信号に侵入した前記周期的外乱を除去す
る周期的外乱除去部を含むものとしたことを特徴とす
る。
【0013】請求項4の発明は、請求項3に記載の車輪
情報取得装置において、前記信号処理装置を、前記発生
させられた周期的信号に基づいて各車輪速度を順に決定
するものとし、前記周期的外乱除去部を、先に決定した
複数の車輪速度のうち今回決定した車輪速度と予め定め
られた関係を有するものを今回決定した車輪速度に加算
または減算することを含む演算により、車輪速度に侵入
した周期的外乱を除去するものとしたことを特徴とす
る。
【0014】
【作用】請求項1の発明に係る車輪情報取得装置におい
ては、信号処理部が、信号発生装置から発生した周期的
信号に基づいて車輪情報を取得し、この際、他要素起因
外乱混入防止部が、車輪以外の車両構成要素に起因する
周期的外乱の影響が車輪情報に混入することを防止す
る。この他要素起因外乱混入防止部のいくつかの実施態
様が請求項2〜4に記載されている。
【0015】請求項2の発明に係る車輪情報取得装置に
おいては、他要素起因外乱混入防止部が取得禁止部を含
んでおり、その取得禁止部が、周期的外乱の周波数と信
号処理装置が車輪情報の取得を行うのに適した適正周波
数との周波数差が設定値以下である場合には、信号処理
装置による車輪情報の取得を禁止する。周期的外乱の影
響を受けて取得精度が低下する可能性がある場合には取
得を禁止し、信頼性が低い取得値が外部に対して出力さ
れないようにするのである。
【0016】請求項3の発明に係る車輪情報取得装置に
おいては、他要素起因外乱混入防止部が周期的外乱除去
部を含んでおり、その周期的外乱除去部が、周期的信号
に侵入した周期的外乱を除去する。したがって、周期的
信号に周期的外乱が侵入する状況下でも、周期的外乱の
影響を受けないで車輪情報を取得することが可能とな
る。
【0017】請求項4の発明に係る車輪情報取得装置に
おいては、信号処理装置が、発生させられた周期的信号
に基づいて各車輪速度を順に決定し、周期的外乱除去部
が、先に決定した複数の車輪速度のうち今回決定した車
輪速度と予め定められた関係を有するものを今回決定し
た車輪速度に加算または減算することを含む演算によ
り、車輪速度に侵入した周期的外乱を除去する。周期的
外乱が周期性を有することを利用し、先行する周期的外
乱を遅延させて後続する周期的外乱に加算または減算し
て、周期的外乱を互いに打ち消し合わせることによって
除去するのである。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1の発明によれば、車輪情報の取得値が周期的外乱の影
響を受けずに済むため、車輪情報取得装置の信頼性が向
上するという効果が得られる。
【0019】また、請求項2の発明によれば、周期的外
乱によって取得精度が低下する可能性がある場合には車
輪情報の取得が禁止され、信頼性が低い取得値が外部に
対して出力されずに済むため、取得値を用いる外部装置
の異常作動を回避可能となるという効果が得られる。
【0020】また、請求項3の発明によれば、周期的外
乱の発生の有無を問わず信頼性の高い車輪情報を取得可
能となり、車輪情報取得装置の利用し易さが向上すると
いう効果が得られる。
【0021】また、請求項4の発明によれば、周期的信
号に侵入した周期的外乱を比較的簡単かつ確実に除去可
能となり、車輪情報取得装置の取得精度を安価に向上さ
せ得るという効果が得られる。
【0022】
【発明の望ましい実施態様】以下、各請求項の発明の望
ましい実施態様のいくつかを列挙する。 (1) 請求項2の車輪情報取得装置であって、前記取得禁
止部が、車両の駆動系の駆動状態が、前記周期的外乱の
周波数と前記適正周波数との周波数差が設定値以下とな
るときに成立すべき取得禁止条件を満たすか否かを逐次
判定し、満たす場合には、車輪情報の取得を禁止する車
輪情報取得装置。
【0023】(2) 請求項2の車輪情報取得装置であっ
て、前記取得禁止部が、車両の駆動系の駆動状態に基づ
いて前記周期的外乱の周波数を推定し、推定した周波数
と前記適正周波数との周波数差が設定値以下であるか否
かを逐次判定し、設定値以下である場合には、車輪情報
の取得を禁止する車輪情報取得装置。
【0024】(3) 請求項4の車輪情報取得装置であっ
て、前記周期的外乱除去部が、先に決定された複数の車
輪速度のうち、車輪速度の今回の決定時期より、除去す
べき周期的外乱の1周期と同じ時間だけ過去に決定され
たものの変動成分を今回決定された車輪速度の変動成分
から減算し、その減算により得られた値に車輪速度の固
定成分(例えば、車輪速度の平均値)を加算することに
より、車輪以外の車両構成要素に起因する周期的外乱を
除去して車輪情報を取得する車輪情報取得装置。
【0025】なお、車輪速度の検出値の変動成分は例え
ば、検出値に対してハイパスフィルタ処理を行うことに
よって取得することができ、一方、固定成分は例えば、
検出値に対してローパスフィルタ処理を行うことによっ
て取得することができる。その他の手法によっても取得
することができるのはもちろんである。
【0026】(4) (3) の車輪情報取得装置であって、前
記信号処理装置が、前記信号発生装置から周期的信号を
構成する各単位波が発生させられる毎に各単位波に基づ
いて各元車輪速度を順に決定し、決定した少なくとも1
個の元車輪速度に基づき、予め定められたサンプリング
周期毎にサンプル車輪速度(例えば、決定した少なくと
も1個の元車輪速度の平均値に等しい)を順に決定し、
前記周期的外乱除去部が、先に決定された少なくとも1
個のサンプル車輪速度のうち、サンプル車輪速度の今回
の決定時期より、除去すべき周期的外乱の1周期と同じ
時間だけ過去に決定されたものを今回決定されたサンプ
ル車輪速度から減算することを含む演算により、車輪速
度に侵入した周期的外乱を除去する車輪情報取得装置。
【0027】(5) 請求項1〜4,(1) 〜(4) の車輪情報
取得装置であって、前記信号処理装置が、車輪の少なく
とも車輪速度および慣性モーメントから、車輪に対する
外乱(例えば、路面からの外乱、タイヤ空気圧の変動,
慣性モーメントの変動等の車輪情報)を推定する外乱オ
ブザーバを含む車輪情報取得装置。
【0028】(6) (5) の車輪情報取得装置であって、前
記外乱オブザーバが少なくとも車輪のリム側部慣性モー
メント,ベルト側部慣性モーメント,リム側部−ベルト
側部間のねじりばね定数およびリム側部回転速度から前
記外乱を推定するものであり、かつ、前記車輪速度がリ
ム側部回転速度である車輪情報取得装置。
【0029】(7) (6) の車輪情報取得装置であって、前
記外乱オブザーバが少なくとも車輪のリム側部慣性モー
メント,ベルト側部慣性モーメント,リム側部−ベルト
側部間のねじりばね定数およびリム側部回転速度から前
記外乱とリム側部−ベルト側部間のねじり角を推定する
ものであり、かつ、前記車輪速度がリム側部回転速度で
あり、かつ、前記信号処理装置が、推定した外乱とねじ
り角との関係から車輪のタイヤの空気圧(車輪情報)の
変化を取得するタイヤ空気圧変化取得部を含んでいる車
輪情報取得装置。
【0030】
【実施例】以下、各請求項の発明を図示のいくつかの実
施例に基づいて具体的に説明する。図2において10は
ロータ、12は電磁ピックアップである。ロータ10は
図3に示す車輪14と共に回転するものであり、外周に
多数の歯16を備えている。電磁ピックアップ12はそ
れらの歯16の通過に応じて周期的に変化する電圧を発
生する。この電圧は波形整形器18によって矩形波に整
形され、コンピュータ20のI/Oポート22に供給さ
れる。車輪14は4個あり、それらに設けられている各
電磁ピックアップ12が全て波形整形器18を経てコン
ピュータ20に接続されるが、図2には代表的に1組の
みが図示されている。すなわち、本実施例においては、
各電磁ピックアップ12および波形整形器18が互いに
共同して周期的信号としての矩形波状の電圧信号を出力
する形式の「信号発生装置」の一例を構成しているので
ある。
【0031】車輪14は図3に示すように、ホイール2
4の外周にタイヤ26が取り付けられたタイヤ付ホイー
ルであるが、図4に示すように、相対回転可能なリム側
部28とベルト側部30とがねじりばね32によって連
結されたものと考えることができる。上記ロータ10は
ホイール24と一体的に回転するように取り付けられる
ため、電磁ピックアップ12は厳密にはリム側部28の
角速度を検出することになる。
【0032】コンピュータ20は図2に示すように処理
装置としてのCPU40,第一記憶装置としてのROM
42および第二記憶装置としてのRAM44を備えてお
り、ROM42に図5のフローチャートで表される回転
速度演算ルーチンが格納されることによって、図1に示
すリム側部回転速度演算・補正部45を構成している。
このコンピュータ20は別のコンピュータ47と接続さ
れている。このコンピュータ47は図2に示すように、
処理装置としてのCPU48,第一記憶装置としてのR
OM49,第二記憶装置としてのRAM50および入出
力装置としてのI/Oポート51を備えており、ROM
49に図6のフローチャートで表される推定許可・禁止
ルーチンおよび図7のフローチャートで表される相関演
算ルーチンを始めとする種々の制御プログラムが格納さ
れることによって、図1に示す外乱オブザーバ52,推
定許可・禁止部53,前処理部54,相関演算部56,
正規化部58,定数補正部60,判定部62および車輪
速度出力部64を構成している。
【0033】コンピュータ47のI/Oポート51に
は、図2に示すように、エンジン駆動状態検出装置65
とトランスミッション駆動状態検出装置66(以下、ト
ランスミッションを「T/M」と略記する。図において
も同じ)とがそれぞれ接続されている。エンジン駆動状
態検出装置65は、車両の前輪と後輪との少なくとも一
方を駆動するエンジン(図示省略)に設けられ、エンジ
ン回転数Ne 等、エンジン駆動状態を検出して推定許可
・禁止部53に供給するものである。一方、T/M駆動
状態検出装置66は、T/M(手動変速式または自動変
速式),クラッチ,トルクコンバータ,最終減速機等か
らなる駆動系に設けられ、T/Mのシフト段,クラッチ
の係合状態,トルクコンバータの係合状態,最終減速機
の回転数等、駆動系の駆動状態であるT/M駆動状態を
検出して推定許可・禁止部53に供給するものである。
【0034】I/Oポート51にはさらに、判定部62
の判定結果を運転者に知らせる表示装置67も接続され
ている。表示装置67は本実施例においては液晶ディス
プレイであるが、点灯あるいは点滅するランプ等別の表
示装置を用いることも可能であり、音声で運転者に知ら
せる音声報知装置などを含めて種々の形態の報知装置を
採用することが可能である。I/Oポート51にはさら
にまた、ホイール24(リム側部28)に加えられる駆
動・制動トルクを、ホイール24の軸に取り付けられた
歪みゲージ等により検出する駆動・制動トルク検出装置
68も接続されている。
【0035】リム側部回転速度演算・補正部45は上記
4個の車輪14に対応する各電磁ピックアップ12およ
び波形整形器18から供給される矩形波信号(以下、パ
ルス信号ともいう)に基づいて各車輪14の回転速度を
演算する。各パルスの時間間隔に基づいて各元回転速度
を順に決定し、決定した少なくとも1個の元回転速度に
基づき、予め定められたサンプリング周期毎にサンプル
回転速度を順に決定するのである。本実施例において
は、決定した少なくとも1個の元回転速度の平均値とし
てサンプル回転速度が決定されるようになっており、平
均値を求めることが補正の一例である。
【0036】なお、車輪14の回転速度は周速度で演算
されるが、そのためにはタイヤ26の実質的な半径(タ
イヤが荷重で変形した状態における路面から車輪14の
中心までの距離)が必要であり、これはタイヤ26の空
気圧によって変わる。よって、当初は空気圧が正規であ
る場合の正規の半径が使用されるが、後に説明する処理
によってタイヤ26の空気圧変化が判明した場合は、予
めROM42に格納されているタイヤ径テーブルからそ
の空気圧変化に対応したタイヤ半径が読み出されて使用
される。なお、回転速度が角速度で演算される場合には
タイヤ径テーブルは不要である。
【0037】リム側部回転速度演算・補正部45の機能
は図5の回転速度演算ルーチンの実行により果たされ
る。
【0038】本ルーチンにおいてはまず、ステップS5
1(以下、単にS51で表す。他のステップについても
同じ)において、今回のサンプリング周期が開始される
のを待つ状態となる。今回のサンプリング周期が開始さ
れたならば、S52において、今回のサンプリング周期
が終了したか否かが判定される。今回は開始されたばか
りであるから、判定がNOとなり、S53において、電
磁ピックアップ12から1個のパルスが出されるのを待
つ状態となる。出されたならば判定がYESとなり、S
54において、そのパルスの継続時間が計測され、S5
5において、その継続時間に基づいて今回の元回転速度
vが演算される。演算値はRAM44の1サンプリング
分メモリに記憶される。その後、S52に戻る。
【0039】S52〜S55の実行が繰り返されるうち
に今回のサンプリング周期が終了すれば、S52の判定
がYESとなり、S56に移行する。このS56におい
ては、1サンプリング分メモリに記憶されている少なく
とも1個の元回転速度vの平均値vMEANが演算され、そ
れが今回のサンプル回転速度vとしてRAM44のサン
プル回転速度メモリに記憶される。その後、S51に戻
り、新たなサンプリングが開始される。
【0040】次に、外乱オブザーバ52について説明す
る。外乱オブザーバ52は、車輪14の図4に示すモデ
ルに基づいて構成されている。以下、この外乱オブザー
バ52の構成について説明する。車輪14を、慣性モー
メントJR のリム側部28と慣性モーメントJB のベル
ト側部30とがばね定数Kのねじりばね32により接続
されたものとしてモデル化すれば、(2) 〜(4) の状態方
程式が成立し、これによって線形システムが構成され
る。 JR ωR ′=−KθRB+T1 ・・・(2) JB ωB ′= KθRB−Td ・・・(3) θRB′=ωR −ωB ・・・(4) ただし、 ωR :リム側部28の角速度 ωR ′:リム側部28の角加速度 ωB :ベルト側部30の角速度 ωB ′:ベルト側部30の角加速度 θRB :リム側部28とベルト側部30とのねじり角 T1 :駆動・制動トルク検出装置68により検出され
る駆動・制動トルク Td :路面からのトルク
【0041】なお、実際にはリム側部28とベルト側部
30との間にはダンパが存在するが、その影響は比較的
小さいため、本実施例においてはその存在が無視されて
いる。
【0042】上記状態方程式をベクトルおよび行列を用
いて表せば(5) 式となる。
【0043】
【数1】
【0044】ここで、タイヤ26の空気圧が変化し、ね
じりばね32のばね定数がKからK+ΔKに変化したと
きの車輪14の運動は(6) 式で表される。
【0045】
【数2】
【0046】すなわち、ばね定数KがΔKだけ変化する
ことは正常なタイヤ26に(6) 式の右辺の最終項で表さ
れる外乱が加えられるのと等価である。この外乱にはば
ね定数Kの変化量ΔKの情報が含まれており、かつ、ば
ね定数Kはタイヤ26の空気圧に応じて変化するので、
この外乱を推定することによってタイヤの空気圧の変化
量を推定することができる。この外乱の推定に外乱オブ
ザーバの手法を用いるのであり、いま路面からのトルク
d をも外乱として扱うことにすれば、推定すべき外乱
wは(7) 式で表される。
【0047】
【数3】
【0048】しかし、理論上、外乱[w]の中の一つの
要素しか推定できないため、第2要素であるw2 を推定
することとする。外乱w2 を(8) 式で定義すれば、車輪
14の状態方程式は(9) 式のようになるため、この(9)
式に基づいて外乱オブザーバを構成する。 w2 =(−1/JB )Td +(ΔK/JB )θRB・・・(8)
【0049】
【数4】
【0050】外乱オブザーバは外乱をシステムの状態変
数の一つとして推定するものである。そこで、(8) 式の
外乱w2 をシステムの状態に含めるために、推定すべき
外乱のダイナミクスを(10)式で近似する。 w2 ′=0・・・(10) これは図8に示すように連続して変化する外乱を階段状
に近似(零次近似)することを意味し、外乱オブザーバ
52の外乱推定速度を推定すべき外乱の変化に比べて十
分速くすれば、この近似は十分に許容される。(10)式よ
り、外乱w2 をシステムの状態に含めると(11)式の拡張
系が構成される。
【0051】
【数5】
【0052】(11)式において[ωB θRB2T
検出できない状態となる。したがって、このシステムに
基づいて外乱オブザーバ52を構成すれば、外乱w2
(車輪情報)と元々測定できない状態変数ωB ,θ
RB(車輪情報)とを推定することができる。記述を簡単
にするために、(11)式のベクトルおよび行列を分解して
次のように表すこととする。
【0053】
【数6】
【0054】このとき、状態[z]=[ωB θRB
2T を推定する最小次元オブザーバの構成は(12)式で
表される。 [zp ′]=[A21][xa ]+[A22][zp ]+[B2 ][u]+[G]{ [xa ′]−([A11][xa ]+[A12][zp ]+[B1 ][u])}=( [A21]−[G][A11])[xa ]+([A22]−[G][A12])[zp ] +[G][xa ′]+([B2 ]−[G][B1 ])[u]・・・(12) ただし、 [zp ] :[z]の推定値 [zp ′]:推定値[zp ]の変化率 [G] :外乱オブザーバ52の推定速度を決めるゲ
イン この方程式をブロック線図で表わすと図9のようにな
る。なお、図において[I]は単位行列、sはラプラス
演算子である。また、真値[z]と推定値[zp ]との
誤差[e]を[e]=[z]−[zp]とおき、誤差
[e]の変化率を[e′]とすると、(13)式の関係を得
る。 [e′]=([A22]−[G][A12])[e]・・・(13) これは外乱オブザーバ52の推定特性を表しており、行
列([A22]−[G][A12])の固有値がすなわち外
乱オブザーバ52の極となる。したがって、この固有値
がs平面の左半面において原点から離れるほど外乱オブ
ザーバ52の推定速度が速くなる。オブザーバゲイン
[G]は希望の推定速度になるように決定すればよい。
【0055】なお、以上は、外乱w2 が前記(8) 式、す
なわちw2 =(−1/JB )Td +(ΔK/JB )θRB
で表されるものとして、外乱オブザーバ52のうち、ね
じりばね32のばね定数KがΔK変化した場合の外乱w
2 を推定する部分の構成を説明したが、外乱オブザーバ
52の、ベルト側部30の慣性モーメントJB がJB
ΔJB に変化した場合、ならびにリム側部28の慣性モ
ーメントJR がJR +ΔJR に変化した場合の外乱をそ
れぞれ推定する部分も同様にして構成することができ
る。
【0056】前処理部54は、相関演算部56における
演算の前処理を行う部分である。検出されたリム側部2
8の角速度ωR と外乱オブザーバ52において推定され
たベルト側部30の角速度推定値ωBpとから角加速度ω
R ′(車輪情報)と角加速度推定値ωBp′(車輪情報)
とが求められるのである。
【0057】上記外乱w2p,角速度ωR ,ωBp,角加速
度ωR ′,ωBp′,ねじり角θRBp等を用いて相関演算
部56において相関演算が行われ、正規化部58で正規
化が行われて、ねじりばね32のばね定数Kの変化(車
輪情報)が求められる。
【0058】まず、相関演算部56において、図7のフ
ローチャートで表されるばね定数変化取得用相関演算ル
ーチンが実行される。S21の初期設定において、整数
iが1にリセットされ、前記(8) 式で表される外乱w2
の推定値w2pとねじり角推定値θRBp との相互相関C
(w2p,θRBp)とねじり角推定値θRBp の自己相関C
(θRBp ,θRBp )とが0にリセットされる。RAM5
0の相互相関メモリおよび自己相関メモリの内容が0に
されるのである。
【0059】続いて、S22で現時点の外乱推定値w
2p(i) およびねじり角推定値θRBp(i)が読み込まれ、S
23で外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)
の積が演算され、相互相関C(w2p,θRBp )に加算さ
れる。ただし、最初にS23が実行される際には相互相
関C(w2p,θRBp )が0であるため、相互相関メモリ
に外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)との積
が格納されるのみである。同様にS24でねじり角推定
値θRBp(i)の二乗が演算され、自己相関メモリの自己相
関C(θRBp ,θRBp )に加算される。
【0060】S25において整数iが予め定められた整
数M以上になったか否かが判定されるが、当初は判定が
NOであるため、S26で整数iが1増加させられ、再
びS22〜S24が実行される。この実行がM回繰り返
されたときS25の判定がYESとなり、ばね定数変化
取得用相関演算ルーチンの1回の実行が終了する。
【0061】相関演算部56において以上のようにして
相互相関C(w2p,θRBp )と自己相関C(θRBp ,θ
RBp )とが求められた後、正規化部58において(21)式
によりLK 値が求められ、RAM50のLK 値メモリに
格納される。 Lk =C(w2p,θRBp )/C(θRBp ,θRBp )・・・(21) このLK 値は前記(8) 式に基づき、(22)式で表される。 Lk =(−1/JB )C0 +ΔK/JB ・・・(22) ただし、C0 はC(Tdp,θRBp )/C(θRBp ,θ
RBp )で表される値であり、ばね定数Kの変化とは無関
係であるので、タイヤ空気圧が正常の状態で予め求めて
おくことによって補償することができる。また、C(T
dp,θRBp )は外乱トルクTd の推定値とねじり角θRB
の推定値との相互相関を表している。
【0062】定数補正部60においては、以上のように
して取得され、LK 値メモリに格納されているLK =C
(w2p,θRBp )/C(θRBp ,θRBp )に基づいてね
じりばね32のばね定数Kの補正が行われる。LK は前
述のように、 LK =(−1/JB )C0 +ΔK/JB で表されるため、予めLK とΔKの関係がばね定数変化
テーブルとしてROM49に格納されており、このテー
ブルに基づいてばね定数変化量ΔKが求められ、この変
化量だけ外乱オブザーバ52のばね定数Kが補正される
のである。
【0063】キースイッチがONにされて後始めて外乱
オブザーバ52が作動させられる際にはばね定数K,慣
性モーメントJR および慣性モーメントJB として正規
の値が使用されるが、一旦補正が行われれば、ばね定数
Kとして補正後の値が使用される。したがって、その状
態で得られたばね定数変化量ΔKは補正後の値からの補
正量となる。しかるに、判定部62においては正規の値
からの変化量が必要であるため、キースイッチがONに
されたとき、ばね定数補正値メモリがクリアされ、定数
補正部60において補正が行われる毎に補正値ΔKがメ
モリの内容に加算される。
【0064】判定部62においては、ばね定数補正値メ
モリに記憶されている補正値ΔKがROM49に格納さ
れている基準値ΔK0 と比較される。補正値ΔKが負の
値である基準値ΔK0 より小さい場合にはタイヤ26の
空気圧が異常に低いと判定されて、表示装置66により
運転者に知らされる。なお、ROM49には、ばね定数
変化量ΔKと空気圧変化量ΔPとの関係が空気圧テーブ
ルとして格納されており、これを用いて現在のばね定数
変化量ΔKに対応する空気圧変化量ΔPが決定されるよ
うにもなっている。
【0065】車輪速度出力部64においては、リム側部
回転速度演算・補正部45から供給される回転速度vが
外乱オブザーバ52により推定された外乱に基づいて補
正された上で出力される。前述のように、外乱オブザー
バ52の(11)式に基づいて構成される部分によって推定
される外乱w2pは、(8) 式に示すように、w2p=(−1
/JB )Td +(ΔK/JB )θRBで表されるが、この
式の右辺の第2項は定数補正部62において前述のよう
に継続的に補正され、かつ、急激に変化するものではな
いため、第1項に比較して無視できるほど小さい。した
がって、車輪速度出力部64においては、外乱オブザー
バ52の(11)式に基づいて構成される部分によって推定
される外乱w2pが(−1/JB )Td であるとみなして
回転速度vの補正が行われる。
【0066】具体的には、外乱w2p=(−1/JB )T
d に−JB を掛けて外乱トルクTdが求められ、(27)式
で、その外乱トルクTd にのみ起因するリム側部28の
角速度推定値ωRpが求められる。 ωRp(s) ={[D](s[I]−[E])-1[F]}Td (s) ・・・(27) ただし、 [I] :単位行列 s :ラプラス演算子 ωRp(s) :角速度推定値ωRpをラプラス変換した値 Td (s) :外乱トルクTd をラプラス変換した値 また、[D],[E],[F]はそれぞれ次式で表され
るベクトルおよび行列である。
【0067】
【数7】
【0068】上記角速度推定値ωRpは、車輪14の回転
速度vの乱れの、路面から車輪14に加えられる外乱に
よる成分であるから、この角速度推定値ωRpを車輪14
の周速度に換算した値だけ、リム側部回転速度演算・補
正部45から供給される回転速度vが補正され、路面か
らの外乱に起因する回転速度vのノイズが除去される。
【0069】以上詳記した外乱オブザーバ52等は、そ
の作動が常に許可されるわけではない。図1の推定許可
・禁止部53により、外乱オブザーバ52等がタイヤ空
気圧の推定を精度よく行うことができるか否かが判定さ
れ、精度よく行うことができると予測される場合にのみ
許可され、精度よく行うことができないと予測される場
合には禁止されるようになっている。
【0070】この推定許可・禁止部53の機能は図6の
推定許可・禁止ルーチンの実行により果たされる。以
下、本ルーチンの内容を説明するが、まず概略的に説明
する。
【0071】外乱オブザーバ52が推定を精度よく行う
ためには、回転速度vに侵入する周期的外乱の周波数が
適正周波数、すなわち外乱オブザーバ52が精度よく推
定を行うのに適した周波数から十分に外れていることが
必要である。周期的外乱周波数が適正周波数に十分に近
い場合には、外乱オブザーバ52による推定値が周期的
外乱の影響を強く受けてしまい、推定精度が低下するお
それがあるからである。
【0072】一方、本実施例においては、回転速度vに
侵入し得る周期的外乱のうち、駆動系から侵入する周期
的外乱に着目し、回転速度vに侵入した駆動系周期的外
乱の振動周波数(以下、「駆動系振動周波数」という)
が上記適正周波数に十分に近い場合に、外乱オブザーバ
52が推定を正常に行い得ないと判定される。駆動系振
動周波数fD は、エンジン回転数Ne 等、エンジン駆動
状態やT/Mのシフト段S等、T/M駆動状態から推定
可能である。これに対し、外乱オブザーバ52の適正周
波数fOPT は予め定められている。
【0073】そこで、本実施例においては、エンジン駆
動状態およびT/M駆動状態がそれぞれ逐次検出され、
それらが、駆動系振動周波数fD と適正周波数fOPT
の周波数差Δfがしきい値A以下となるときに成立すべ
き条件である推定禁止条件を満たすか否かが逐次判定さ
れる。
【0074】次に、この推定許可・禁止ルーチンの内容
を図6に基づいて具体的に説明する。まず、S71にお
いて、エンジン駆動状態検出装置65により現在のエン
ジン駆動状態が検出され、次に、S72において、T/
M駆動状態検出装置66により現在のT/M駆動状態が
検出される。その後、S73において、現在のエンジン
駆動状態およびT/M駆動状態が上記推定禁止条件(R
OM49に予め格納されている)を満たすか否かが判定
される。満たさない場合には、判定がNOとなり、S7
4において、禁止フラグがOFF状態とされる。
【0075】禁止フラグはRAM50に設けられてい
て、OFF状態で外乱オブザーバ52による推定を許可
することを示し、ON状態で推定を禁止することを示す
フラグである。この禁止フラグは逐次外乱オブザーバ5
2により監視されていて、その禁止フラグのON・OF
F状態に応じて外乱オブザーバ52の作動が禁止・許可
されることになる。禁止フラグは今回、OFF状態にあ
るから、外乱オブザーバ52による推定が許可されるこ
とになる。これに対し、現在のエンジン駆動状態および
T/M駆動状態が上記推定禁止条件を満たす場合には、
S73の判定がYESとなり、S75において、禁止フ
ラグがON状態とされる。その結果、今回は外乱オブザ
ーバ52による推定が禁止されることになる。いずれの
場合にもその後、S71に戻る。
【0076】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータ20,47,エンジン駆動状
態検出装置65,T/M駆動状態検出装置66および駆
動・制動トルク検出装置68が互いに共同して、各請求
項の発明における「信号処理装置」の一例を構成し、特
に、コンピュータ47のうち図6の推定許可・禁止ルー
チンを実行する部分がエンジン駆動状態検出装置65お
よびT/M駆動状態検出装置66と共同して、請求項1
の発明における「他要素起因外乱混入防止部」の一例を
構成し、また、請求項2の発明における「取得禁止部」
の一例を構成しているのである。
【0077】次に、各請求項の発明を別の実施例に基づ
いて具体的に説明する。なお、本実施例は先の実施例と
共通する部分が多く、異なる部分は推定許可・禁止ルー
チンのみであるから、本ルーチンについてのみ詳細に説
明し、共通の部分については詳細な説明を省略する。
【0078】本実施例においては、推定許可・禁止ルー
チンとして図10のフローチャートで表されているもの
がROM49に格納されている。本ルーチンも先の実施
例における図6のルーチンと同様に、回転速度vに侵入
し得る周期的外乱のうち、エンジン,T/M等からなる
駆動系から侵入する周期的外乱に着目し、回転速度vに
侵入した駆動系周期的外乱の振動周波数が上記適正周波
数に十分に近い場合に、外乱オブザーバ52が推定を正
常に行い得ないと判定して、外乱オブザーバ52による
推定を禁止するものである。ただし、先の実施例におい
ては現在のエンジン駆動状態およびT/M駆動状態から
直ちに推定の許可・禁止が判定されるようになっている
のに対し、本実施例においては、まず現在のエンジン駆
動状態およびT/M駆動状態から現在の駆動系振動周波
数fD が推定され、これが上記適正周波数fOPT に十分
に近いか否かが判定され、十分に近い場合に外乱オブザ
ーバ52による推定を禁止する禁止フラグがON状態と
されるようになっている。
【0079】具体的には、まず、S91において、エン
ジン駆動状態検出装置65により現在のエンジン駆動状
態が検出され、次に、S92において、T/M駆動状態
検出装置66により現在のT/M駆動状態が検出され
る。その後、S93において、現在のエンジン駆動状態
およびT/M駆動状態から現在の駆動系振動周波数fD
が推定される。エンジン駆動状態(例えば、直列6気
筒,V型8気筒等のエンジン形式に基づく)およびT/
M駆動状態と駆動系振動周波数fD との関係であって事
前に取得されたものがテーブル,関数等としてROM4
9に予め格納されており、その関係に従って現在の駆動
系振動周波数fD が推定されるのである。続いて、S9
4において、外乱オブザーバ52の適正周波数fOPT
ROM49から読み込まれる。適正周波数fOPT も予め
ROM49に格納されている。
【0080】その後、S95において、推定された駆動
系振動周波数fD と読み込まれた適正周波数fOPT との
周波数差Δfがしきい値Aより小さいか否かが判定され
る。駆動系振動周波数fD が適正周波数fOPT に近す
ぎ、外乱オブザーバ52の推定精度が低下するおそれが
あるか否かが判定されるのである。今回は周波数差Δf
がしきい値Aより小さくはないと仮定すれば、判定がN
Oとなり、S96において禁止フラグがOFF状態とさ
れ、外乱オブザーバ52による推定が許可される。これ
に対し、周波数差Δfがしきい値Aより小さいと仮定す
れば、判定がYESとなり、S97において、禁止フラ
グがON状態とされ、外乱オブザーバ52による推定が
禁止される。いずれの場合にもその後、S91に戻る。
【0081】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータ20,47,エンジン駆動状
態検出装置65,T/M駆動状態検出装置66および駆
動・制動トルク検出装置68が互いに共同して、各請求
項の発明における「信号処理装置」の一例を構成し、特
に、コンピュータ47のうち図10の推定許可・禁止ル
ーチンを実行する部分がエンジン駆動状態検出装置65
およびT/M駆動状態検出装置66と共同して、請求項
1の発明における「他要素起因外乱混入防止部」の一例
を構成し、請求項2の発明における「取得禁止部」の一
例を構成しているのである。
【0082】次に、各請求項の発明をさらに別の実施例
に基づいて具体的に説明する。先の二実施例においては
いずれも、駆動系振動周波数fD が適正周波数fOPT
近すぎる場合に外乱オブザーバ52による推定が禁止さ
れるようになっているが、本実施例においては、駆動系
から回転速度vに侵入した周期的外乱が除去されること
により、周期的外乱による推定精度の低下が抑制される
ようになっている。
【0083】図2のコンピュータ20のROM42に、
図5の回転速度演算ルーチンおよび図12の周期的外乱
除去ルーチンを始めとする種々の制御プログラムが格納
されにことによって、リム側部回転速度演算・補正部4
5が、図11に機能ブロック図で示すように、元回転速
度演算部70,信号遅延・重ね合わせ部72,駆動系振
動周波数記憶部74,駆動系振動周波数推定部76およ
びアドレス数演算部78を含むものとして構成されてい
る。
【0084】元回転速度演算部70の機能は図5の回転
速度演算ルーチンの実行によって果たされる。本ルーチ
ンについては既に詳述したため、説明を省略する。信号
遅延・重ね合わせ部72は、駆動系からの周期的外乱が
周期性を有することを利用することにより、元回転速度
演算部70により決定されてRAM44の前記サンプル
回転速度メモリに既に記憶されている複数のサンプル回
転速度vのうち、今回のサンプル回転速度vの決定時期
より、周期的外乱の1周期と同じ時間だけ過去に決定さ
れたサンプル回転速度vの変動成分を今回決定されたサ
ンプル回転速度vの変動成分から減算することによっ
て、回転速度vに侵入した周期的外乱を除去するもので
ある。
【0085】駆動系振動周波数記憶部74は、エンジン
駆動状態およびT/M駆動状態と駆動系振動周波数fD
との関係を予め記憶するものである。
【0086】駆動系振動周波数推定部76は、駆動系振
動周波数記憶部74に予め記憶されているエンジン駆動
状態およびT/M駆動状態と駆動系振動周波数fD との
関係に従い、検出された現在のエンジン駆動状態および
T/M駆動状態に対応する駆動系振動周波数fD を推定
するものである。
【0087】アドレス数演算部78は、信号遅延・重ね
合わせ部72における1周期分メモリのアドレス数を演
算するものである。信号遅延・重ね合わせ部72は、除
去すべき周期的外乱の1周期と同じ時間内にサンプリン
グされたサンプル回転速度vを記憶し、かつ、たえず最
新の値に逐次更新する。したがって、除去すべき周期的
外乱の1周期と同じ時間内にサンプリングされるサンプ
ル回転速度vの数、すなわち、1周期分メモリにおいて
サンプル回転速度vが記憶されるべき記憶アドレスの数
を求める必要がある。このアドレス数は、除去すべき周
期的外乱の周期TD をサンプリング周期TS で割り算す
ることによって求められ、また、除去すべき周期的外乱
の周期TD は駆動系振動周波数fD の逆数として求める
ことができる。
【0088】それら信号遅延・重ね合わせ部72,駆動
系振動周波数記憶部74,駆動系振動周波数推定部76
およびアドレス数演算部78のそれぞれの機能は図12
の周期的外乱除去ルーチンの実行によって果たされる。
以下、本ルーチンの内容を図12に基づいて具体的に説
明する。
【0089】まず、S101において、エンジン駆動状
態検出装置65により現在のエンジン駆動状態が検出さ
れ、次に、S102において、T/M駆動状態検出装置
66により現在のT/M駆動状態が検出される。続い
て、S103において、それら検出されたエンジン駆動
状態およびT/M駆動状態と、ROM42に予め記憶さ
れている上記関係に従い、現在の駆動系振動周波数fD
が推定される。
【0090】その後、S104において、推定された駆
動系振動周波数fD の逆数として、除去すべき周期的外
乱の周期TD が演算される。続いて、S105におい
て、演算された周期TD を予め設定されているサンプリ
ング周期TS で割り算することによって、1周期分メモ
リにおけるアドレスの数が演算される。
【0091】その後、S106において、RAM44の
サンプル回転速度メモリから今回のサンプル回転速度v
が読み込まれる。さらに、今回のサンプル回転速度vの
オフセット値(固定成分の一例)、すなわちサンプル回
転速度vの時間的経過を表すグラフに近似する滑らかな
曲線上の各値が求められる。具体的には、最新の設定複
数個のサンプル回転速度vの平均値としてオフセット値
が求められる。オフセット値もRAM44に記憶され
る。
【0092】続いて、S107において、今回のサンプ
ル回転速度vからオフセット値を減算した値が変動回転
速度Δv(変動成分の一例)とされ、これがRAM44
の1周期分メモリの今回アドレスに記憶される。この
際、次のようにして回転速度vに侵入した周期的外乱が
除去される。
【0093】すなわち、まず、今回求められた変動回転
速度Δvが新変動回転速度Δvとされ、その後、1回転
分メモリに既に記憶されている複数の変動回転速度Δv
のうち、今回の新変動回転速度Δvと記憶アドレスが一
致するものが読み出される。すなわち、現在からちょう
ど、除去すべき周期的外乱の1周期と同じ時間が経過す
る前に求められた変動回転速度Δvが今回の新変動回転
速度Δvに対応する旧変動回転速度Δvとして読み出さ
れるのである。次に、今回の新変動回転速度Δvから旧
変動回転速度Δvが減算されることによって今回の合成
変動回転速度ΔvR が取得される。さらに、その合成変
動回転転速度ΔvR に前記オフセット値(固定成分の一
例)が加算されることにより、今回の最終的な回転速度
v(補正後の回転速度v)が取得される。この最終的な
回転速度vは、駆動系から元回転速度vに侵入した周期
的外乱が除去されたものとなっている。
【0094】その後、S108において、1回転分メモ
リにおいて今回の新変動回転速度Δvに対応する旧変動
回転速度Δvがその新変動回転速度Δvに書き換えられ
る。その後、S109において、今回の除去周期TE
経過したか否かが判定される。1周期分メモリのアドレ
ス数の決定が除去周期TE 毎に逐次行われるようになっ
ていて、S109においては、今回の除去周期が終了し
たか否かが判定されるのである。未だ今回の除去周期は
終了しないと仮定すれば、判定がNOとなり、S106
に戻るが、終了したと仮定すれば、判定がYESとな
り、S101に戻り、新たなアドレス数の下に周期的外
乱の除去が行われることになる。なお、除去周期TE
除去すべき周期的外乱の周期TD と等しい値としたり、
それより大きな値とすることができる。
【0095】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータ20,47,エンジン駆動状
態検出装置65およびT/M駆動状態検出装置66が各
請求項の発明における「信号処理装置」の一例を構成
し、特に、コンピュータ20のうち図12の周期的外乱
除去ルーチンを実行する部分がエンジン駆動状態検出装
置65およびT/M駆動状態検出装置66と共同して、
請求項1の発明における「他要素起因外乱混入防止部」
の一例を構成し、また、請求項3および4の各発明にお
ける「周期的外乱除去部」の一例を構成しているのであ
る。
【0096】なお、本実施例においては、回転速度vに
侵入した周期的外乱のうち、駆動系からの周期的外乱の
みが除去され、それ以外の周期的外乱、例えば、車輪の
不均一性に起因する周期的外乱が除去されるようにはな
っていない。しかし、例えば、駆動系からの周期的外乱
の周期TD と車輪自体の周期的外乱の周期TW との最小
公倍数を求め、その最小公倍数の周期に応じて前記1回
転分メモリのアドレス数が変化するようにすれば、駆動
系からの周期的外乱と車輪自体の周期的外乱との双方が
同時に除去可能となる。
【0097】その他、いちいち例示することはしない
が、種々の改良,変形を加えた態様で各請求項の発明を
実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜4の発明に共通の一実施例である車
輪情報取得装置の機能ブロック図である。
【図2】上記車輪情報取得装置の構成ブロック図であ
る。
【図3】上記車輪情報取得装置により外乱を検出される
車輪の一部を示す断面図である。
【図4】上記車輪の力学モデルを示す図である。
【図5】上記車輪情報取得装置の一構成要素であるコン
ピュータのROMに格納されている制御プログラムを示
すフローチャートである。
【図6】上記車輪情報取得装置の一構成要素であるコン
ピュータのROMに格納されている別の制御プログラム
を示すフローチャートである。
【図7】上記車輪情報取得装置の一構成要素であるコン
ピュータのROMに格納されているさらに別の制御プロ
グラムを示すフローチャートである。
【図8】上記車輪情報取得装置における外乱のダイナミ
クスの近似を説明するためのグラフである。
【図9】上記車輪情報取得装置における外乱オブザーバ
の構成を示すブロック線図である。
【図10】別の実施例である車輪情報取得装置の一構成
要素であるコンピュータのROMに格納されている制御
プログラムを示すフローチャートである。
【図11】さらに別の実施例である車輪情報取得装置の
うちリム側部回転速度演算・補正部およびそれに関連す
る部分を取り出して示す機能ブロック図である。
【図12】その車輪情報取得装置の一構成要素であるコ
ンピュータのROMに格納されている制御プログラムを
示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 ロータ 12 電磁ピックアップ 14 車輪(タイヤ付ホイール) 20 コンピュータ 24 ホイール 26 タイヤ 28 リム側部 30 ベルト側部 32 ねじりばね 47 コンピュータ 52 外乱オブザーバ 65 エンジン駆動状態検出装置 66 T/M駆動状態検出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 秀樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 河井 弘之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小島 弘義 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 梅野 孝治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 内藤 俊治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 小野木 伸好 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪と共に回転する回転体の回転を検出し
    て車輪の回転速度である車輪速度に応じた周期的信号を
    発生させる信号発生装置と、 発生させられた周期的信号に基づいて車輪に関する情報
    を取得する信号処理装置とを含む車輪情報取得装置にお
    いて、 前記車輪に関する情報に前記車輪以外の車両構成要素に
    起因する周期的外乱の影響が混入することを防止する他
    要素起因外乱混入防止部を設けたことを特徴とする車輪
    情報取得装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の車輪情報取得装置であっ
    て、前記他要素起因外乱混入防止部が、前記周期的外乱
    の周波数と前記信号処理装置が車輪情報の取得を行うの
    に適した適正周波数との周波数差が設定値以下である場
    合には、信号処理装置による車輪情報の取得を禁止する
    取得禁止部を含んでいる車輪情報取得装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の車輪情報取得装置であっ
    て、前記他要素起因外乱混入防止部が、前記周期的信号
    に侵入した前記周期的外乱を除去する周期的外乱除去部
    を含んでいる車輪情報取得装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の車輪情報取得装置であっ
    て、前記信号処理装置が、前記発生させられた周期的信
    号に基づいて各車輪速度を順に決定するものであり、前
    記周期的外乱除去部が、先に決定した複数の車輪速度の
    うち今回決定した車輪速度と予め定められた関係を有す
    るものを今回決定した車輪速度に加算または減算するこ
    とを含む演算により、車輪速度に侵入した周期的外乱を
    除去するものである車輪情報取得装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002081989A (ja) * 2000-09-06 2002-03-22 Aisin Seiki Co Ltd 車両重量推定装置
US11524533B2 (en) 2018-11-06 2022-12-13 Hyundai Motor Company Apparatus and method for estimating tire resonance frequency

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