JPH08221880A - 磁気ディスク装置及び磁気ディスク装置内の塵埃除去方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、磁気ディスク装置に関し、磁気ディ
スクが収容されるヘッドディスクアッセンブリ内の塵埃
粒子による汚染防止に適用して効果のある技術に関す
る。 【構成】磁気ディスク４を介したスピンドル７は、スピ
ンドル回転制御部１０からの指令により、スピンドル回
転シーケンス動作１を行なう。スピンドル停止時より回
転直後は、Ｒ／Ｗ動作を行なう通常回転数１ｄより高速
定常回転状態１ｂを一定時間維持し、その後Ｒ／Ｗ動作
時の通常回転数１ｄとする２段階の定常回転数制御を行
なう。上記高速定常回転時１ｂ中に、シーク制御部１１
より磁気ディスク４の内周側から外周側方向に、塵埃除
去シークを行なう。 【効果】スピンドル回転直後に浮遊した塵埃を初期段階
にすばやく除去し、更に通常回転数に戻してからのＡＤ
Ａ機構部品からの離脱塵埃を防止し、磁気ディスク装置
の動作の信頼性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置に関
し、磁気ディスクが収容されるヘッドディスクアッセン
ブリ（以後ＨＤＡと略す）内の塵埃粒子による汚染防止
に適用して効果のある技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】磁気ディスク装置では、記録媒体である
磁気ディスクに記録再生できる記録密度は、回転する磁
気ディスクと、この磁気ディスクに対する情報の記録再
生を行なう磁気ヘッドとの間隙に逆比例する関係にある
ため、記録密度向上の要請に呼応して磁気ヘッドと磁気
ディスクとの間隙は、狭小化の一途を辿っている。この
ため、磁気ディスクの環境中の浮遊塵埃や微細な油滴な
どのいわゆる空中浮遊物が、高速で回転する磁気ディス
クと磁気ヘッドの不測の接触や衝突を引き起し、磁気デ
ィスクや磁気ヘッドが損傷する。空中浮遊物の原因であ
る外気からの塵埃侵入を防止するため、磁気ディスク、
磁気ヘッドの収容部は、密閉構造となっている。また、
収容室内部の発塵、たとえば、コンタクトスタートスト
ップ（ＣＳＳ）時の、スピンドル起動停止時に磁気ディ
スクと磁気ヘッドの摺動による発塵や、スピンドル回転
時に、磁気ディスクの回転流による風力による機構部品
付着塵埃の巻き上げ発塵、また、ＳＥＥＫ時稼働部から
の発塵を低減させるため、磁気ディスクの回転により生
ずる空気流を内部エアーフィルタに循環させて、空気を
清浄化する技術が公知されている。

【０００３】また、磁気ディスクの表面に付着した塵埃
の除去方法については、特公平２−６１５６号公報にお
いて、データの記録再生時より低い浮上量で、ディスク
上をシークすることにより、磁気ディスクの表面に付着
した塵埃を剥離し、剥離した塵埃を集塵する方式が開示
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術は、塵埃
除去時の回転数は、通常Ｒ／Ｗ時回転数と同じか、ディ
スククリーニングについては、通常回転数より低い回転
数で行なっているため、ＨＤＡ組立直後の動作開始時
や、稼働後長時間休止した後の動作開始時等、スピンド
ル回転による磁気ディスクの回転流の風力を受け、組立
時、ＨＤＡ機構部品に付着した塵埃や、磁気ディスク上
に堆積した塵埃が巻き上がり、ＨＤＡ内塵埃濃度が高ま
った時に、すばやく塵埃濃度の低減を行なうことが出来
ない。

【０００５】そのため、塵埃粒子がスピンドル回転中
に、磁気ディスクと磁気ヘッド間に侵入し、ディスク面
上に埋込み及び付着、また、磁気ヘッドスライダ面への
汚れ付着を発生させる確率を低減することが出来ない等
の問題がある。また、機構部品に付着した塵埃で、通常
回転数のディスク回転流の風力で、離脱するかしないか
の不安定な状態で付着した塵埃が、長期稼働中に離脱
し、上記障害を発生させる問題があった。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上記問題点を解
決することであり、スピンドル回転直後のＨＤＡ内浮遊
塵埃をすばやく集塵するとともに、ＨＡＤ機構部品に不
安定な状態で付着した塵埃を除去して、装置の信頼性を
向上させることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的は、磁気ディス
クを一定速にて回転させるスピンドルモータと、スピン
ドルモータの回転を制御する制御手段により、スピンド
ル回転直後は通常Ｒ／Ｗ回転数より高速の定常回転数を
一定時間保持し、その後、Ｒ／Ｗ時の定常回転数に戻す
２段階の回転制御中の前記ディスクの高速回転状態の間
に、磁気ディスク面上の半径方向に内周から外周に向っ
て磁気ヘッドをシークさせるシーケンスを設けたことに
より達成される。

【０００８】また、上記の一定時間のディスク高速回転
状態中に、内外周へのシーク動作のシーケンスは、ディ
スク起動時に行なっても良いし、一定時間経過後（長期
間の動作後、もしくは半日に一遍程度）に実行してもよ
い。

【０００９】

【作用】本発明は、スピンドル起動時、通常Ｒ／Ｗ時定
常回転数より高速の回転状態を一定時間維持し、前記高
速回転状態中に、内外周シーケンス動作を行なうこと
で、ディスク回転により浮遊した塵埃や、磁気ディスク
面上に付着した塵埃は、初期段階に、すばやくエアーフ
ィルタに集塵される。

【００１０】また、装置が一定時間稼働後に、一時的
に、Ｒ／Ｗ時定常回転数より高速回転状態を一定時間維
持し、前記高速回転状態中に、内外周シーク動作を行な
うことにより、エアーフィルタ以外のＨＤＡカバー内面
・機構部品にトラップ堆積された塵埃をディスク回転流
の風力増加作用により、離脱させ、エアーフィルタで集
塵すると伴に、ディスク面上に付着した塵埃は、塵埃除
去シークにより排除される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照にして
説明する。図１は本発明のスピンドル回転制御シーケン
ス及び、塵埃除去シークシーケンスを示した概略図であ
る。また、図２は、図１の塵埃除去シークの動作を説明
する本発明の磁気ディスク装置のＨＤＡの平面図であ
る。ベース３にカバー１３を一体的に覆い、密閉状態に
した空間室内に、クランプ９により、スピンドル７に固
着された少なくとも一枚以上の磁気ディスク４と、該磁
気ディスク４上に位置する複数の磁気ヘッド５と、該磁
気ヘッド５を磁気ディスク４の半径方向にシークさせる
アクチュエータ６と、塵埃清掃用のエアーフィルタ８を
配設して構成されている。

【００１２】図３は、磁気ディスク装置のＨＤＡ内のス
ピンドル回転直後からの発塵量を塵埃計測機ダストモニ
ターにより計測した実験結果例である。定常回転数、７
２００ｒｐｍと、５４００ｒｐｍにスピンドル回転数を
設定した場合、スピンドル回転直後からのＨＤＡ内塵埃
量の低減カーブは、高速回転に設定した７２００ｒｐｍ
の方が、はるかに除塵効率が高いことがわかる。

【００１３】これは、高速回転にしたことにより、磁気
ディスク４の回転による風速が増加し、ＨＤＡ内空気循
環を利用してＨＤＡ内清浄度を高めるために配設された
エアフィルタ８への空気循環量が増したためである。

【００１４】図２の磁気ディスク４を介した、スピンド
ル７は、スピンドル回転制御部１０からの指令により、
図１のスピンドル回転シーケンス動作１を行なう。スピ
ンドル停止時より、スピンドルスタート１ａで回転が立
上がり、回転直後は、Ｒ／Ｗ動作を行なう通常回転数１
ｄより高速定常回転状態の１ｂを一定時間維持し、その
後、１ｃで回転制御を切換えて、Ｒ／Ｗ動作時の通常回
転数１ｄとする２段階の定常回転数制御を行なってい
る。また上記高速定常回転時１ｂの制御範囲内に、シー
ク制御部１１より、塵埃除去シーク指令をアクチュエー
タ６に出し、キャリッジ１７に取付けられた、磁気ヘッ
ド５を磁気ディスク４の内周側から外周側方向に塵埃除
去シークシーケンス２により行なっている。

【００１５】上記のシーク動作は、スピンドル回転スタ
ート時は、磁気ヘッド４は内周側位置５ａで、ＣＳＳ
（コンタクトスタートストップ）を行ない、高速定常回
転数に立上がった後に、外周側のデータゾーン５ｂ位置
まで行なう。前記シーク回数は、１回でも良いが、繰返
し行なっても良い。

【００１６】そのため、エアーフィルタの空気循環流量
の多い、上記高速回転時に、組立時のＨＤＡ機構部品、
たとえば、キャリッジ１２、アクチュエータ６、ベース
３等に付着した塵埃や、磁気ディスク４上に堆積した塵
埃を、スピンドル７の回転による磁気ディスクの回転流
の風力で巻き上がらせ、初期的にすばやくエアーフィル
タ８により、補集、除塵するため、ＨＤＡ内の浮遊塵埃
濃度の上昇を起こさずに、清浄化が計れる。

【００１７】さらに、この高速定常回転を一定時間行な
うことで、回転数を下げたＲ／Ｗ時の通常回転数のディ
スク回転流の風力では、離脱するかしないかの不安定な
状態で構成部品に付着した塵埃も除去できるため、Ｒ／
Ｗ時の通常回転数では、構成部品付着塵埃の離脱はな
く、塵埃によるＲＥＡＤエラー障害を未然に防止するこ
とができる。

【００１８】尚、本実施例では、高速定常回転数を７２
００ｒｐｍ、通常Ｒ／Ｗ時定常回転数を５４００ｒｐｍ
に、適用した場合を説明したが、上記の２段階のスピン
ドル回転制御は、スピンドル回転直後の回転数が、通常
Ｒ／Ｗ時定常回転数より高い回転数に設定すれば、その
他の回転数でも同様な効果が得られることは言うまでも
ない。

【００１９】また、高速定常回転数の設定時間は、長く
設定した方が塵埃除去には効果があり、一瞬高速回転に
するだけでは、効果が得られない。ディスク装置全体の
機能を考えた場合、数秒〜数十秒の範囲が適当である。

【００２０】表１に本発明の有効性を調べるため、実験
的に数μｍの塵埃粒子を一定量ＨＤＡ内に投入し、スピ
ンドル回転直後の定常回転数、５４００ｒｐｍ，７２０
０ｒｐｍの回転数差及び、高速定常回転数、７２００ｒ
ｐｍ領域内に、除塵シークを行なった場合と行なわない
場合で、ＲＥＡＤエラー発生数を比較した。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１は、定常回転数５４００ｒｐｍで、除
塵シーク無を標準値１．０として比較した結果である。

【００２３】定常回転数７２００ｒｐｍで除塵シーク無
では、ＲＥＡＤエラー発生数は０．３となり、基準値に
対して約１／３、また、上記７２００ｒｐｍで除塵シー
クを行なえば、高速回転及び、除塵シークの効果で、基
準値に対し、１／１０までにＲＥＡＤエラー発生数を低
減できる。尚、７２００ｒｐｍの定常高速回転維持時間
は、３秒で行なった。維持時間が１秒では、ＲＥＡＤエ
ラー発生数低減効果が少なく、一瞬高速回転にするだけ
では、効果が得られなかった。以上より、高速定常回転
中に除塵シークを行なうことで、更に塵埃に対するＲＥ
ＡＤエラーの低減に有効である。

【００２４】

【発明の効果】以上述べたごとく本発明によれば、スピ
ンドル回転直後は、通常Ｒ／Ｗ回転数より高速の定常回
転数で一定時間回転し、その後Ｒ／Ｗ時回転数に戻す２
段階の回転制御手段を用い、更に、上記高速定常回転制
御範囲内に、磁気ディスク面を磁気ヘッドにより内周か
ら外周側へのシーク動作を行なうことにより、スピンド
ル回転直後に浮遊した塵埃を初期段階にすばやく除去
し、更に通常回転数に戻してからの、ＨＤＡ機構部品か
らの離脱塵埃発生を防止し、磁気ディスク装置の動作の
信頼性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による磁気ディスク装置のスピンドル回
転制御シーケンス及び、塵埃除去シークシーケンスを示
した概略図である。

【図２】本発明による磁気ディスク装置のスピンドル回
転制御シーケンス及び、塵埃除去シークシーケンスを示
した概略図である。

【図３】磁気ディスク装置の組立直後のＨＤＡ内のスピ
ンドル回転直後からの発塵量を塵埃計測機ダストモニタ
ーにより計測した実験結果例である。

【符号の説明】

１…スピンドル回転制御シーケンス、 ２…塵埃除去シークシーケンス、 ３…ベース、 ４…磁気ディスク、 ５…磁気ヘッド、 ６…アクチュエータ、 ７…スピンドル、 ８…エアーフィルタ、 ９…クランプ、 １０…スピンドル回転制御部、 １１…シーク制御部、 １２…キャリッジ、 １３…カバー。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 正典 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 鈴木 冨男 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも１枚の磁気ディスクと、該磁気
   ディスクを一定速にて回転させるスピンドルモータと、
   該スピンドルモータの回転を制御する制御手段と、磁気
   ヘッドを搭載し、前記磁気ディスクの半径方向に、該磁
   気ヘッドを移動するアクチュエータと、前記磁気ディス
   クの回転流を利用し、塵埃を除去するエアーフィルタを
   有する密閉型の磁気ディスク装置において、 前記スピンドルモータ回転制御手段により、ディスク停
   止状態から、定常回転状態までの起動の間に、定常回転
   より高速な回転状態を一定時間設定し、 前記定常回転より高速な回転状態時に、前記磁気ヘッド
   を搭載したアクチュエータにより、前記磁気ディスク面
   上の半径方向に内周から外周側へ、ディスク上に堆積し
   ている塵埃を掃き出すシーク動作を行なうシーケンスを
   設けたことを特徴とする磁気ディスク装置。
2. 【請求項２】密閉した容器内でエアーフィルタにより塵
   埃を除去する磁気ディスク装置内の塵埃除去方法におい
   て、 前記容器内に回転可能に固定された磁気ディスクの回転
   数を定常状態より高速な回転状態に一定時間固定し、当
   該高速回転状態のとき、磁気ヘッドを支持するアクチュ
   エータは前記磁気ディスクの面上を内周側から外周側へ
   シーク動作を行うことにより前記フィルタで塵埃を除去
   することを特徴とする磁気ディスク装置内の塵埃除去方
   法。