JPH08221006A - エレクトロクロミズム現象を利用した表示装置およびその製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミズム現象を利用した表示装置およびその製造方法

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JPH08221006A
JPH08221006A JP7050412A JP5041295A JPH08221006A JP H08221006 A JPH08221006 A JP H08221006A JP 7050412 A JP7050412 A JP 7050412A JP 5041295 A JP5041295 A JP 5041295A JP H08221006 A JPH08221006 A JP H08221006A
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JP
Japan
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polymer layer
layer
display device
solution
electrode
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JP7050412A
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English (en)
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Kazuo Ikezaki
和男 池崎
Tokiaki Sha
世明 謝
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレクトロクロミズム現象を利用した表示素
子を固体化する。 【構成】 ネサガラスからなる電極基板30,40の間
に、ポリピロールからなる導電性高分子層10とポリビ
ニルアルコールからなる空洞性高分子層20とを挟み込
み、両高分子層内に、過塩素酸リチウム(LiCl
)を分散させる。空洞性高分子層20は、過塩素酸
イオン(ClO )を収容するための十分な大きさを
もった空洞を包含する空洞性構造をもつ。スイッチ51
を切り替えて、電極層30側に正電圧を印加すると、過
塩素酸イオンが導電性高分子層10内に取り込まれ、導
電性高分子層10は金属状態となり黒色を呈する。逆
に、電極層40側に正電圧を印加すると、過塩素酸イオ
ンが空洞性高分子層20内の空洞に排出され、導電性高
分子層10は絶縁体状態となり黄色を呈する。両状態の
転移は数10msで行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレクトロクロミズム現
象を利用した表示装置、特に、導電性高分子層に対する
電解質イオンのドーピング/脱ドーピングによる光学的
性質の可逆変化を利用した表示装置に関するものであ
り、コンピュータをはじめとする各種電子機器用のディ
スプレイや広告用の表示板など、情報表示の用途に広く
利用できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、コンピュータなどの表示装置とし
ては、CRTディスプレイや液晶ディスプレイが主流で
ある。これらの表示装置はいずれも特有の物理現象を利
用したものである。一方、これらの物理現象とは全く異
なる原理に基づく物性光学的な現象として、ここ数年
来、導電性高分子におけるエレクトロクロミズム現象が
研究されている。導電性高分子は、何らかの電解質イオ
ンをドーピングすると導電性をもつようになるが、電解
質イオンを脱ドーピングすると導電性が失われるという
性質をもつ物質として知られており、このように、イオ
ンのドーピング/脱ドーピングによる金属/絶縁体間の
転移は、著しい光学的性質の変化をともなう現象として
注目されている。たとえば、ポリピロールという導電性
高分子では、イオンをドーピングした金属状態では黒色
を呈するが、脱ドーピングした絶縁体状態では黄色を呈
し、同様に、ポリチオフェンという導電性高分子では、
イオンをドーピングした金属状態では青色を呈するが、
脱ドーピングした絶縁体状態では赤色を呈することが知
られている(たとえば、「導電性高分子」緒方直哉編,
講談社サイエンティフィク,1994年や、「分子とエ
レクトロニクス」吉野勝美著,産業図書,1991年な
どに報告がある)。
【0003】このようなドーピング/脱ドーピングは、
数Vの電圧を導電性高分子にいずれかの極性で印加する
ことによって行うことができ、かつ、色の変化が現れる
応答速度も数10ms程度と高速である。そこで、この
エレクトロクロミズム現象を利用した素子は、光スイッ
チ、変色スイッチとしての利用価値が高く、更に、コン
ピュータ用ディスプレイなどの一般的な表示装置として
の応用も期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】エレクトロクロミズム
現象を起こさせるために必要な電解質イオンのドーピン
グ/脱ドーピングという操作は、基本的には電解質溶液
中において行うべき操作と考えられており、導電性高分
子を電解質溶液中に入れた状態を保つことが前提条件と
思われてきた。このため、エレクトロクロミズム現象を
利用した表示装置としては、これまで、電解質溶液内に
導電性高分子を封入したセルをいかにして実現するかと
いう面から開発研究が進められている。しかしながら、
電解質溶液を用いることを前提とする以上、素子自体を
完全に固体化することはできないため、現段階において
は、実用的な表示装置の実現性については全く見通しが
立っていない状態である。
【0005】そこで本発明は、エレクトロクロミズム現
象を利用した表示装置を、固体化した素子によって実現
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、互いに対向して配置され
た第1の電極層と第2の電極層との間に、第1の高分子
層と第2の高分子層とを挟み、第1の高分子層および第
2の高分子層の占有する空間内に所定の電解質イオンを
分散することにより表示装置を構成し、しかも、第1の
高分子層は電解質イオンをドープすることにより導電性
を呈する導電性高分子から構成し、第2の高分子層には
この電解質イオンを収容するための十分な大きさをもっ
た空洞を分散した空洞性構造をもたせ、第1の電極層お
よび第2の電極層のうち、少なくとも一方を透光性材料
から構成することにより、エレクトロクロミズム現象を
利用した表示装置を実現したものである。
【0007】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る表示装置において、第1の高分子層と第2
の高分子層との境界部分に、両高分子材料の複合化層を
設けるようにしたものである。
【0008】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る表示装置において、第1の高分
子層をポリピロールによって構成し、第2の高分子層を
ポリビニルアルコールによって構成し、電解質イオンと
して過塩素酸イオンを用いるようにしたものである。
【0009】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
の態様に係る表示装置を製造する方法において、第2の
高分子層の成分材料を所定の溶媒に溶かした溶液を用意
し、この溶液を所定の基材層上に塗布し、この溶液中の
溶媒を蒸発除去させて固化させることにより第2の高分
子層を形成するようにしたものである。
【0010】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る表示装置を製造する方法におい
て、第2の高分子層の成分材料と電解質イオンとを所定
の溶媒に溶かした溶液を用意し、この溶液を第1の電極
層上に塗布し、この溶液中の溶媒を蒸発除去させて固化
させることによりイオンを含んだ中途段階の高分子層を
形成し、第1の高分子層の成分材料を所定の溶媒に溶か
した溶液を用意し、この溶液内に中途段階の高分子層と
対向電極とを浸して両者間に所定の電圧を印加すること
により、中途段階の高分子層の第1の電極層側に第1の
高分子層を電界重合させて形成し、中途段階の高分子層
の露出面側を第2の高分子層として用い、この露出面側
に第2の電極層を配置するようにしたものである。
【0011】
【作 用】電解質溶液中の導電性高分子に対して、電解
質イオンをドーピング/脱ドーピングすると、金属/絶
縁体間の転移により著しい光学的性質が変化するエレク
トロクロミズム現象が生じることは既に述べたとおりで
ある。本願発明者は、このエレクトロクロミズム現象
を、電解質溶液中ではなく固体中において実現する新規
な手法を見出だした。本発明は、この新規な手法を利用
して、エレクトロクロミズム現象を利用した表示装置の
固体化を図る技術を提供するものである。
【0012】すなわち、本願発明者は、電解質溶液の代
わりに、電解質イオンを収容するための十分な大きさを
もった空洞を分散した空洞性構造をもった高分子層を用
いても、エレクトロクロミズム現象が生じることを見出
だしたのである。このような空洞性構造をもった高分子
層内では、電解質イオンがある程度自由に通過できるよ
うになるため、空洞性構造をもった高分子層と導電性高
分子層との間を、電解質イオンが行き来できるようにな
る。表示素子として利用するのであれば、2枚の電極層
を対向して配置し、その間に、導電性高分子層とこの空
洞性構造をもった高分子層とを配置した構成にすればよ
い。これら高分子層内に電解質イオンを分散させ、2枚
の電極層間に所定極性の電圧を印加すれば、イオンは導
電性高分子層内に動き、ドーピングが行われることによ
って導電性高分子層は金属に転移するが、逆極性の電圧
を印加すれば、イオンは空洞性構造をもった高分子層内
の空洞内に動き、脱ドーピングが行われることによって
導電性高分子層は絶縁体に転移することになる。
【0013】このように、イオンの大きさに比べて十分
大きな空洞を有する高分子層を電界質溶液の代わりに用
いれば、固体素子内においてエレクトロクロミズム現象
を実現することが可能になる。2枚の電極層の少なくと
も一方を透光性材料から構成しておけば、ドーピング/
脱ドーピングによる導電性高分子層の色変化を外部から
観察することが可能になり、しかも色変化に要する時間
は数10ms程度であるため、実用上十分な表示装置が
実現できる。
【0014】また、導電性高分子層と空洞性構造をもっ
た高分子層との境界部分に、両高分子材料の複合化層を
形成しておけば、両層は一体となった連続的な高分子層
を形成するようになり、比較的低電圧の印加でドーピン
グ/脱ドーピングのスイッチングが可能になる。特に、
導電性高分子層としてポリピロール層を、空洞性構造を
もった高分子層としてポリビニルアルコール層を、電解
質イオンとして過塩素酸イオンを用いた試作品におい
て、表示装置としての実用試験を行った結果、ドーピン
グ/脱ドーピング操作を10回以上繰り返しても、素
子の劣化は全くみられなかった。このため、表示装置と
して応用した場合にも、十分に実用的な耐久性が得られ
るものと思われる。
【0015】また、一方の状態に転移した後、電圧の印
加を中止しても、転移状態はかなり長い間維持されるこ
とも確認できた。したがって、本発明に係る素子を情報
記録素子として利用することも可能である。
【0016】本発明に適した空洞性構造をもった高分子
層は、この高分子材料を所定の溶媒に溶かした溶液を基
板上に塗布し、溶媒を蒸発除去させることにより作成す
ることができる。溶液の濃度や蒸発速度などを適当に制
御してやれば、電解質イオンを収容するために十分な大
きさの空洞をもった高分子層が形成できる。なお、この
溶液内に電解質イオンを溶かしておけば、電解質イオン
を分散させた高分子層を形成することができる。一方、
導電性高分子層は、上述した溶媒蒸発法によって作成し
た高分子層を利用した電界重合によって形成することが
できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。はじめに、図1を参照しながら、従来から知ら
れている導電性高分子のエレクトロクロミズム現象を簡
単に説明しておく。いま、水槽1内に、何らかの電解質
溶液2を収容し、ここに導電性高分子層10を浸したも
のとする。一方、この電解質溶液2内に金属からなる対
極15を浸し、導電性高分子層10および対極15間
に、電源16から電圧を印加する。たとえば、導電性高
分子層10側が正極性になるように電圧印加を行うと、
電解質溶液2内の負極性の電解質イオンIが導電性高
分子層10内に入り込み、導電性高分子層10は金属状
態に転移する(ドーピング)。導電性高分子層10内に
おいてイオンIがどのような状態で存在しているかと
いう点については、現在のところ詳しい解明はなされて
いないが、いずれにしても、イオンIが入り込むこと
により、導電性高分子のバンドギャップに変化が生じ、
金属状態に転移するものと考えられている。ここで、電
源16からの供給電圧の極性を逆転させると、イオンI
は電解質溶液2内へと排出され、導電性高分子層10
は絶縁体状態に転移する(脱ドーピング)。このドーピ
ング/脱ドーピングによって、導電性高分子層10の呈
する色が著しく変化することは既に述べたとおりであ
る。もっとも、このようなエレクトロクロミズム現象を
起こすためには、特定の導電性高分子層10と特定のイ
オンIとの組み合わせが必要になる。
【0018】本発明に係る表示装置は、上述した系にお
ける電解質溶液2を固体化したものであり、その基本構
成は図2に示すとおりである。この表示装置での重要な
構成要素は、導電性高分子層10と空洞性高分子層20
とである。これら2つの高分子層10,20は、互いに
対向して配置された一対の電極層30,40の間に挟ま
れた構造となっている。ここに示す実施例では、電極層
30,40はいずれもITO(Indium Tin Oxide)を表
面に形成したガラス基板(いわゆるネサガラス)からな
り、透光性および導電性を兼ね備えた基板として機能す
る。また、この実施例では、導電性高分子層10として
ポリピロール(PPy)の層を、空洞性高分子層20と
してポリビニルアルコール(PVA)の層を、それぞれ
用いている。なお、この導電性高分子層10および空洞
性高分子層20の占有する空間内には、所定の電解質イ
オンが分散されている。この実施例では、過塩素酸イオ
ン(ClO )を電解質イオンとして用いている。
【0019】ここで重要な点は、分散する電解質イオン
としては、導電性高分子層10にドーピングすることに
より導電性を与えることができるイオンを用いるという
点と、空洞性高分子層20には、この電解質イオンを収
容するための十分な大きさをもった空洞を多数形成して
おくという点である。この実施例では、電解質イオンと
して、ポリピロールにエレクトロクロミズム現象を呈示
させるためのイオンとして従来から知られている過塩素
酸イオン(ClO )を分散させている。この過塩素
酸イオンの直径は、約4オングストロームであり、空洞
性高分子層20としてのポリビニルアルコールの層に
は、この直径4オングストロームのイオンを収容するた
めに十分な大きさをもった空洞が多数形成されているこ
とになる。このような空洞を含んだポリビニルアルコー
ルの層を作成する方法については後に説明する。
【0020】さて、このような表示装置の両電極層3
0,40間に、電源50から電圧を供給してみる。ここ
では、スイッチ51の切り替えにより、供給電圧の極性
を変えることができるようにしてある。いま、スイッチ
51を切り替え、電極層30側に正の電圧を、電極層4
0側に負の電圧を、それぞれ印加すると、導電性高分子
層10および空洞性高分子層20内に分散していた過塩
素酸イオンが、導電性高分子層10側へと移動し、導電
性高分子層10に対するドーピングが行われる。これに
より、導電性高分子層10は、金属状態に転移する。具
体的には、ポリピロールからなる導電性高分子層10
は、黒色を呈示することになる。この状態で、スイッチ
51をOFF状態にし、電圧供給を停止しても、導電性
高分子層10は金属状態を維持したままとなり、ポリピ
ロールの場合は黒色を呈示したままになる。本願発明者
の行った実験によれば、1週間程度そのまま放置してお
いても、色の呈示状態にはほとんど変化はみられなかっ
た。
【0021】続いて、スイッチ51を切り替え、電極層
40側に正の電圧を、電極層30側に負の電圧を、それ
ぞれ印加すると、導電性高分子層10内に移動していた
過塩素酸イオンが、空洞性高分子層20側へと移動し、
導電性高分子層10に対する脱ドーピングが行われる。
これにより、導電性高分子層10は、絶縁体状態に転移
する。具体的には、ポリピロールからなる導電性高分子
層10は、黄色を呈示することになる。この状態で、ス
イッチ51をOFF状態にし、電圧供給を停止しても、
導電性高分子層10はやはり絶縁体状態を維持したまま
となり、ポリピロールの場合は黄色を呈示したままにな
る。やはり、1週間程度そのまま放置しておいても、色
の呈示状態にはほとんど変化はみられなかった。
【0022】このように、印加する電圧の極性を変える
ことにより、高分子層中に分散している電解質イオン
(過塩素酸イオン)を、導電性高分子層10(ポリピロ
ール)側に移動させたり、空洞性高分子層20(ポリビ
ニルアルコール)側に移動させたりすることができ、そ
の都度、導電性高分子層10の呈示する色を変化させる
ことができる。この実施例では、電極層30,40はい
ずれも透光性をもった電極から構成されているので、こ
の色の変化する現象を外部から観察することが可能にな
り、表示装置として機能することになる。この実施例で
は、両電極層ともに透光性を有しているが、もちろん、
いずれか一方の電極層が透光性を有していれば、表示装
置として実用可能である。また、このような表示装置に
よって、画素単位の表示を行うのであれば、少なくとも
一方の電極層を多数の画素電極によって構成し、個々の
画素電極ごとにTFT(薄膜トランジスタ)などを用い
て印加電圧を制御するようにすれば、導電性高分子層1
0の呈示色を各画素領域ごとに制御することが可能にな
る。
【0023】本願発明者が試作した表示装置では、導電
性高分子層10および空洞性高分子層20の合計の厚み
が80μm程度であり、電極層30,40の厚みはガラ
ス基板の部分を含めてそれぞれ2mm程度である(図で
は、便宜上、このような寸法比を無視した構造を示して
いる)。この程度の厚みの表示装置では、電源50から
1V程度の電圧を印加することにより、表示色を変化さ
せることが可能であり、数10ms程度の応答時間で色
変化が起こる。このため、低電圧駆動型の高速ディスプ
レイ装置として、十分に実用可能である。
【0024】なお、図2では、導電性高分子層10と空
洞性高分子層20とを全く別個独立した層として示して
あるが、本願発明者による試作品では、両者の間には、
両高分子材料の複合化層が形成されており、両層は一体
となった連続的な高分子層を形成している。このよう
に、複合化により一体となった高分子層によって、導電
性高分子層10および空洞性高分子層20を構成してお
くと、ドーピング/脱ドーピングのスイッチングを、比
較的低い電圧印加によって行うことが可能になると思わ
れる。
【0025】続いて、この試作品の実際の作成方法を述
べる。ここで述べる方法は、上述した特徴をもった本発
明に係る表示装置を作成する方法として特に適した方法
である。まず、空洞性高分子層20の成分材料を用意
し、これを溶媒に溶かして溶液にする。このとき、この
溶液には、電解質イオンも一緒に溶かした状態にしてお
く。この実施例では、水を溶媒として、電解質イオンの
材料となる過塩素酸リチウム(LiClO)を溶か
し、更に、空洞性高分子層20の材料となるビニルアル
コール粉末を溶かした溶液を作成した(水200ccに
対し、過塩素酸リチウムを3.2g、ビニルアルコール
粉末を8g)。そして、この溶液を、電極層30となる
ネサガラス(ITO)上に均一に塗布し、窒素雰囲気中
に24時間ほど放置して自然乾燥させる。これにより、
溶液中の溶媒、すなわち水が蒸発除去され、電極層30
上には、図3に示すように、固体化した中途段階の高分
子層60が形成される。この高分子層60の主たる構成
要素は、ビニルアルコールの重合によって形成されたポ
リビニルアルコール(PVA)であるが、溶媒である水
の蒸発とともに重合が行われたために、内部には多数の
空洞が形成される。この中途段階の高分子層60を顕微
鏡写真で見ると、いわば綿のように、繊維質の高分子が
絡み合った構造をなしている。このような構造であるた
め、空洞部分の大きさを測定することは困難であるが、
この空洞は、直径4オングストローム程度の過塩素酸イ
オンを収容するには十分な大きさをもっている。また、
溶液中に含まれていた過塩素酸リチウム(LiCl
)は、分子のまま、もしくは、リチウムイオンLi
と過塩素酸イオンClO とに解離して、この中途
段階の高分子層60内の空洞部分に分散した状態とな
る。
【0026】続いて、導電性高分子層10の成分材料を
所定の溶媒に溶かした溶液を用意する。この実施例で
は、図4に示すように、水槽3内に、ピロールのエタノ
ール溶液4(ピロール67mgに対し、エタノール10
cc)を用意した。そして、この溶液4内に、図3に示
す中途段階の高分子層60を電極層30とともに浸し、
一方では、白金からなる対極75を浸す。そして、電源
76により、電極層30と白金からなる対極75との間
に電圧を印加する。なお、この実施例では、中途段階の
高分子層60を溶液4内に浸す前に、高分子層60を8
0%の湿度に保たれた密閉チャンバ内に24時間寝かせ
ることにした。これは、以下に述べる電界重合過程を行
う上で、リチウムイオンLiと過塩素酸イオンClO
の移動度を高めるためである。
【0027】さて、図4に示す状態において、電極層3
0側が正になるように電圧を印加すると、溶液4内のピ
ロール分子5は、中途段階の高分子層60内を通って、
電極層30との界面まで移動する。そして、この界面に
おいて重合してポリピロール層61を形成する。このよ
うに、高分子材料が電界のもとで重合する現象は、電界
重合として知られている。このような電界重合の過程で
は、電極層30との界面において成長したポリピロール
層61が、図4における右側へと徐々に成長してゆくこ
とになる。この実施例では、電源76によって6mAの
定電流を通電した状態を1分間ほど維持することによ
り、厚み20μm程度のポリピロール層61を成長させ
ることができた。
【0028】このような電界重合のプロセスは、中途段
階の高分子層60(ポリビニルアルコールからなる高分
子層)を、一方の面からポリピロール層61に徐々に置
換してゆくプロセスとなる。なお、図4では、中途段階
の高分子層60の左側のハッチング部分が完全にポリピ
ロール層61によって置き換わった状態が示されている
が、実際には、このように鮮明な境界線が得られるわけ
ではなく、両者の間にはビニルアルコールとピロールと
の複合化層が存在した領域が形成されることになる。す
なわち、図4において、左側ほどピロール密度が高く、
右側ほどビニルアルコールの密度が高いという状態が得
られることになり、ピロール密度の高い図の左側部分に
おいては、ピロール同士の重合によりポリピロール層の
形成領域が支配的になり、ビニルアルコール密度の高い
図の右側部分においては、ポリビニルアルコール層(多
数の空洞をもっている)の形成領域が支配的になる。し
たがって、ピロールが重合している領域(ポリピロール
層)、ビニルアルコールが重合している領域(ポリビニ
ルアルコール層)、ピロールとビニルアルコールとが複
合化している領域(複合化層)の三者が分布しながら、
物理的な構造としては、一体となった連続的な高分子層
が形成されることになる。
【0029】こうして、溶液4の中での電界重合が完了
したら、電極層30および高分子層60をそのまま水槽
3から取り出し、高分子層60の露出面(図4における
右側面)に電極層40を接合すれば、図2に示す構造を
もった表示装置が得られる。すなわち、電界重合で形成
されたポリピロール層61が導電性高分子層10として
機能し、残りの高分子層60(ポリビニルアルコール
層)の部分が空洞性高分子層20として機能することに
なる。なお、電極層40を接合する前に、高分子層60
の露出面にエタノールなどの溶液を数滴滴下して、電解
質イオンの流動性を高めるようにするのが好ましい。
【0030】このようにして作成された試作品では、ポ
リピロールによって導電性高分子層10が、ポリビニル
アルコールによって空洞性高分子層20が構成されるこ
とになり、両高分子層内には、リチウムイオンLi
過塩素酸イオンClO とが分散した状態になる。こ
こで、エレクトロクロミズム現象に関与するイオンは過
塩素酸イオンClO だけであり、リチウムイオンL
は、移動したとしても、エレクトロクロミズム現象
には全く関与しない。
【0031】以上、本発明を図示する実施例に基づいて
説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。た
とえば、導電性高分子層10としては、上述の実施例で
示したポリピロールの他にも、ポリチオフェン、ポリア
ニリン、ポリフルオレン、ポリ(2,5−ジエトキシパ
ラフェニレンビニレン)など種々の導電性高分子を用い
ることができ、呈示される色も、用いる導電性高分子お
よびドーパントとなるイオンの種類によって様々であ
る。また、空洞性高分子層20としても、上述の実施例
で示したポリビニルアルコールに限定されるものではな
く、その他にも、たとえば、ナフィオン、ポリ(2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリ
(メタクリル酸オリゴオキシエチレン)等の固体電解質
など、種々の材料を用いることができる。ただ、ポリピ
ロールなどの導電性高分子層10は可撓性を有するもの
が多いため、空洞性高分子層20としては、導電性高分
子層10を支持する支持媒体として機能できるように、
ある程度の剛性をもった材質を用いるのが好ましい。ま
た、電解質イオンとしては、上述の実施例では、過塩素
酸リチウムを用いて過塩素酸イオンを供給していたが、
たとえば、塩化ナトリウムを用いて塩素イオンを供給す
ることも可能である。もちろん、電解質イオンは、C1
やC1だけに限定されるものではなく、B
,I,BF などの電解質アニオンであればど
のようなものでもかまわない。
【0032】また、本発明に係る表示装置の用途は、コ
ンピュータ用のディスプレイに限定されるものではな
く、自動車や住宅の調光窓や採光窓に応用することも可
能である。また、電源供給を停止しても、金属状態/絶
縁体状態をある程度維持する機能を有するため、記憶素
子として利用することも可能である。
【0033】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、エレクト
ロクロミズム現象を利用した表示装置を固体化すること
ができ、電解質溶液セルを用いる必要はなくなる。その
ため、持ち運びや移動が容易になり、使用中に溶液が蒸
発したりする問題も生じない。更に、使用時の置き方や
向きに制限がなくなり、実用上の利用範囲がかなり広が
ることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来から知られている導電性高分子の一般的な
エレクトロクロミズム現象を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施例に係る表示装置の基本構成を
示す図である。
【図3】図2に示す表示素子における空洞性高分子層2
0の作成工程を示す図である。
【図4】図2に示す表示素子における導電性高分子層1
0を電界重合によって作成する工程を示す図である。
【符号の説明】
1…水槽 2…電解質溶液 3…水槽 4…ピロールのエタノール溶液 5…ピロール分子 10…導電性高分子層(ポリピロール層) 15…対極 16…電源 20…空洞性高分子層(ポリビニルアルコール層) 30…第1の電極層(ネサガラス) 40…第2の電極層(ネサガラス) 50…電源 51…スイッチ 60…中途段階の高分子層 61…ポリピロール層 75…白金からなる対極 76…電源

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向して配置された第1の電極層
    と第2の電極層との間に、第1の高分子層と第2の高分
    子層とを挟むことにより構成され、前記第1の高分子層
    および前記第2の高分子層の占有する空間内には所定の
    電解質イオンが分散され、 前記第1の高分子層は前記電解質イオンをドープするこ
    とにより導電性を呈する導電性高分子からなり、前記第
    2の高分子層は前記電解質イオンを収容するための十分
    な大きさをもった空洞を分散した空洞性構造をもち、 前記第1の電極層および前記第2の電極層のうち、少な
    くとも一方は透光性材料から構成されていることを特徴
    とするエレクトロクロミズム現象を利用した表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表示装置において、 第1の高分子層と第2の高分子層との境界部分に、両高
    分子材料の複合化層を有することを特徴とするエレクト
    ロクロミズム現象を利用した表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の表示装置にお
    いて、 第1の高分子層をポリピロールによって構成し、第2の
    高分子層をポリビニルアルコールによって構成し、電解
    質イオンとして過塩素酸イオンを用いたことを特徴とす
    るエレクトロクロミズム現象を利用した表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の表示装置を製造する方
    法において、 第2の高分子層の成分材料を所定の溶媒に溶かした溶液
    を用意し、この溶液を所定の基材層上に塗布し、前記溶
    液中の溶媒を蒸発除去させて固化させることにより前記
    第2の高分子層を形成することを特徴とするエレクトロ
    クロミズム現象を利用した表示装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の表示装置を製
    造する方法において、 第2の高分子層の成分材料と電解質イオンとを所定の溶
    媒に溶かした溶液を用意し、この溶液を第1の電極層上
    に塗布し、前記溶液中の溶媒を蒸発除去させて固化させ
    ることによりイオンを含んだ中途段階の高分子層を形成
    し、 第1の高分子層の成分材料を所定の溶媒に溶かした溶液
    を用意し、この溶液内に前記中途段階の高分子層と対向
    電極とを浸して両者間に所定の電圧を印加することによ
    り、前記中途段階の高分子層の前記第1の電極層側に第
    1の高分子層を電界重合させて形成し、前記中途段階の
    高分子層の露出面側を第2の高分子層として用い、この
    露出面側に第2の電極層を配置することを特徴とするエ
    レクトロクロミズム現象を利用した表示装置の製造方
    法。
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