JPH08220530A - 配向ポリアセン膜とその製造方法および偏光素子と液晶表示装置 - Google Patents

配向ポリアセン膜とその製造方法および偏光素子と液晶表示装置

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JPH08220530A
JPH08220530A JP7025380A JP2538095A JPH08220530A JP H08220530 A JPH08220530 A JP H08220530A JP 7025380 A JP7025380 A JP 7025380A JP 2538095 A JP2538095 A JP 2538095A JP H08220530 A JPH08220530 A JP H08220530A
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JP
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film
polyacene
liquid crystal
polarizing element
substrate
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JP7025380A
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Toshihiko Tanaka
利彦 田中
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】高い二色性比を有する一軸配向ポリアセン膜と
その製造方法および該ポリアセン膜からなる高性能の偏
光素子とそれを用いた液晶表示装置を提供する。 【構成】少なくとも1種類の一般式(1)で表されるポ
リアセンが一軸配向している膜であり、該膜の厚みが1
nm以上1μm以下であり、該吸収ピークの波長におけ
る二色性比の値が10以上である配向ポリアセン膜。 (式中、nは2〜10の整数を示す。) 〔2〕前記〔1〕記載の配向ポリアセン膜を表面に有す
る高分子フィルムまたはガラス板もしくは透明電極を有
するガラス板からなる偏光素子。 〔3〕透明電極を有する一対の透明基板間に、分子長軸
を基板に対して平行にかつ螺旋軸が基板に垂直にあり、
分子長軸が90°以上から270°以下の間でねじれた
構造をとるように構成された液晶セルの外側に〔2〕記
載の偏光素子が配置されてなる液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は偏光素子に有用である配
向ポリアセン膜とその製造方法、およびそれを用いた偏
光素子と液晶表示装置に関する。詳しくは、高配向のポ
リアセンからなる薄膜とその製造方法およびこれを用い
た高性能の偏光素子と液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】偏光素子は液晶ディスプレイ(以下、L
CDと記すことがある。)の表示に欠かせないものとし
て広く使用されている。現在、偏光素子は、延伸配向し
たポリビニルアルコール(以下、PVAと記すことがあ
る。)またはその誘導体からなるフィルムにヨウ素や二
色性染料を吸着させることによって製造されている。
【0003】最近、フルカラーのLCDが極めて活発に
開発されてきており、液晶セルをフルカラーにするには
カラーフィルターが用いられている。該LCDでは多彩
な色を表示するために液晶セルに高いコントラスト比が
要求される。また、偏光素子とカラーフィルターの光吸
収のために、透過光量は非常に小さくなるので、明るい
LCDを得るためには強いバックライトを用いなければ
ならず、液晶セルの温度上昇や消費電力が大きくなるな
どの問題もある。
【0004】すなわち、高性能のフルカラーLCDを製
造するためには、偏光性能が優れ、極めて高い偏光度を
保つことにより、高いコントラスト比を実現して画質を
高めるとともに、バックライトによる温度上昇に耐える
偏光素子が要望されていた。
【0005】しかしながら、偏光素子としてヨウ素を用
いた偏光膜は、初期の偏光性能は優れているが、水や熱
に対して弱く、高温高湿の条件下で長期間使用する場合
にはその耐久性に問題があった。耐久性を増すために、
保護膜等の種々の方策が取られているがまだ充分ではな
かった。また、染料を吸着させた偏光素子ではヨウ素を
吸着させたものに比べ、水や熱に対する耐久性には優れ
ているが、偏光性能がまだ充分ではなかった。
【0006】一方、π電子共役系高分子を二色性色素と
して使用し、この高分子鎖を一軸配向させることでも偏
光フィルムが得られることが知られている。しかし、偏
光素子として使用する場合、偏光素子のみの透過率すな
わち単体透過率を確保するため、これらのフィルムの厚
みを1μm以下にする必要があるので、厚み制御が難し
く、高い二色性比の値を有するフィルムを安定して生産
することは難しかった。
【0007】一方、J.C.Wittmannらは、ポ
リテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記すこと
がある。)を加熱しながら圧力をかけてガラス基板にこ
すりつけることにより、配向したPTFE薄膜が得られ
ることを示した。これを配向膜とすることにより、アル
カン類、液晶分子、ポリマー、オリゴマー、無機塩など
を配向させることができることが報告されている〔ネイ
チャー(NATURE)第352巻、414頁(199
1年)〕。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、容易
に製造でき、高い二色性比を有する一軸配向ポリアセン
膜とその製造方法および該ポリアセン膜からなる高性能
の偏光素子とそれを用いた高いコントラスト比を示す液
晶表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意検討した結果、ポリアセンを用い
ることにより、容易にほぼ完全な一軸配向を達成し、偏
光性能が飛躍的に向上した偏光素子が得られることを見
出し、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明は、次に記す発明からな
る。 [1]少なくとも1種類の一般式(1)で表されるポリ
アセンが一軸配向している薄膜であり、該薄膜の厚みが
1nm以上1μm以下であり、該薄膜の有する吸収ピー
クの少なくとも1つの波長が400nm〜800nmの
範囲にあり、該吸収ピークの波長における二色性比の値
が10以上であることを特徴とする配向ポリアセン膜。
【化2】 (式中、nは2〜10の整数を示す。)
【0011】[2]少なくとも1種類の一般式(1)で
表されるポリアセンを、フッ素系樹脂からなる配向膜を
表面に有する基材上に蒸着することを特徴とする[1]
記載の配向ポリアセン膜の製造方法。 [3]前記[1]記載の配向ポリアセン膜を表面に有す
る高分子フィルムまたはガラス板もしくは透明電極を有
するガラス板からなる偏光素子。 [4]透明電極を有する一対の透明基板間に、正の誘電
率異方性を有する液晶分子が電圧を印加しない状態では
分子長軸を基板に対して平行にかつ螺旋軸が基板に垂直
にあり、分子長軸が90°以上から270°以下の間で
ねじれた構造をとるように構成された液晶セルの外側に
〔3〕記載の偏光素子が配置されてなる液晶表示装置。
【0012】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明のポリアセン膜は一軸に高配向していることを特徴
とする。本発明の配向ポリアセン膜に用いられるポリア
センは、一般式(1)で表されるものである。該ポリア
センの重合度nを大きくすると分子が細長くなるので高
い偏光性能が期待できる。しかし一方、蒸着で膜を形成
する必要があるためポリアセンには適度の昇華性が不可
欠で、nをあまり大きくできない。nは2〜10であ
り、好ましくは2〜5であり、さらに好ましくは2〜4
である。具体的には、テトラセン、ペンタセン、ヘキサ
セン等が例示される。
【0013】該ポリアセン膜の最適膜厚は、ポリアセン
の二色性や、モル吸光係数、膜中の色素の配向度により
調整する必要があるが、一般にピンホールがなく、均一
な薄膜を形成するという観点からは厚い方がよく、高配
向度とする観点からは薄くすることが有利である。ま
た、薄すぎると単体透過率が大きすぎるため、偏光素子
として用いても十分な性能が得られない。よって、膜厚
は、1nm以上1μm以下、好ましくは5nm以上0.
5μm以下、さらに好ましくは5nm以上0.2μm以
下である。
【0014】また、該ポリアセン膜は400nm〜80
0nmの範囲に少なくとも1種類以上の吸収ピークを持
ち、該吸収ピーク波長における二色性比は、10以上、
好ましくは20以上、さらに好ましくは40以上であ
る。さらに、単体透過率が40%以上80%以下である
ことが好ましい。
【0015】該ポリアセンに必要な純度は、不純物の種
類によって異なる。不純物の種類によってはかなり純度
が低下しても配向が低下しない場合もあるが、一般には
純度が高いことが好ましい。不純物の種類にもよるが純
度は、好ましくは90wt%以上であり、さらに好まし
くは95wt%以上、特に好ましくは99wt%以上で
ある。
【0016】本発明の配向ポリアセン膜の製造方法につ
いて説明する。該配向ポリアセン膜の製造方法として
は、フッ素系樹脂の配向膜の上にポリアセンを気相から
蒸着して堆積する方法が挙げられる。フッ素系樹脂の配
向膜は公知の方法で作成できるが、特に米国特許第51
80470号記載の方法を用いることにより高配向の膜
が得られる。具体的には、加熱下において基板にフッ素
系樹脂の塊を圧力をかけてこすりつけることにより作成
できる。
【0017】配向膜に用いられるフッ素系樹脂として
は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記
すことがある。)、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化
ビニリデン(以下、PVDFと記すことがある。)等が
例示されるが、PTFEが特に好ましい。
【0018】このときの基板の加熱温度は、樹脂とこす
りつける基板の種類によるが、樹脂の分解温度以下であ
って、100℃以上350℃以下が好ましい。樹脂がP
TFEであり、こすりつける基板がガラスの場合、好ま
しくは130℃以上340℃以下、さらに好ましくは2
50℃以上340℃以下、特に好ましくは300℃以上
340℃以下である。
【0019】圧力は樹脂とこすりつける基板の種類によ
り適宜選択できる。樹脂がPTFEであり、こすりつけ
る基板がガラスの場合、均一で配向特性に優れた配向膜
を得るためには、0.5kgf/cm2 以上40kgf
/cm2 以下が好ましく、5kgf/cm2 以上20k
gf/cm2 以下がさらに好ましい。
【0020】こすりつける速度も樹脂とこすりつける基
板の種類により適宜選択できる。樹脂がPTFEであ
り、こすりつける基板がガラスの場合、均一で配向特性
に優れた配向膜を得るためには、0.01cm/秒以上
10cm/秒以下が好ましく、0.01cm/秒以上
0.5cm/秒以下がさらに好ましい。
【0021】配向膜の厚さが薄すぎると上に堆積するポ
リアセン膜は配向しなくなり、一方、配向膜の厚さが厚
すぎると可視域での吸収が大きくなって偏光素子として
の透過率を下げてしまうので、フッ素系樹脂の配向膜の
厚さは好ましくは1nm〜1μm、さらに好ましくは1
nm〜0.2μm、特に好ましくは1nm〜50nmで
ある。
【0022】配向膜をこすりつける基板は、ポリアセン
膜をそのまま偏光素子として使用する場合には、可視光
に対して透明で平滑なものが用いられ、ガラス、透明電
極〔(Indium−Tin Oxide)、In2
3 、SnO2 など〕を被覆したガラス、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート等が例示される。
【0023】また、生成するポリアセン膜を剥離や他の
基板に転写して用いる場合には、上記の基材に加えて、
金属板、金属ロールも使用できる。この場合、金属材料
として表面にNi等の金属をメッキした材料も使用でき
る。
【0024】ただし、得られるポリアセン膜の配向の点
で300℃以上340℃以下の温度でPTFEをこすり
つけることが特に好ましいので、この場合配向膜をこす
りつける基板は300℃以上の熱に十分に耐えるもので
ある必要がある。このような基板として、ガラス、透明
電極〔(Indium−Tin Oxide)、In 2
3 、SnO2 など〕を被覆したガラス、金属板、金属
ロール等が例示される。金属材料の場合、表面にNi等
の金属をメッキした材料も使用できるが、メッキを施さ
れる下地の材料も300℃以上の熱に十分に耐えること
が好ましい。
【0025】ポリアセン膜の製造はポリアセンを分解温
度以下で加熱することにより昇華させてフッ素系樹脂配
向膜を設けた基板上に堆積させることで行われる。蒸発
源の温度はポリアセンの分解温度以下とすることが好ま
しい。具体的な温度は、ポリアセンの構造により異なる
が、600℃以下が好ましく、400℃以下がさらに好
ましい。
【0026】蒸着時の真空度は大気圧以下を使用するこ
とができるが、ポリアセンの加熱温度を下げるために、
また蒸発源と基板の距離を確保する意味でできるだけ真
空の状態に排気することが好ましい。具体的には10-4
torr以下が好ましく、10-5torr以下がさらに
好ましい。
【0027】該ポリアセン膜は複数のポリアセンを含有
することができる。一般式(1)で表されるポリアセン
から任意のポリアセンを選択して組み合わせることがで
きる。組み合わせに際しては、所望の色になるようにそ
の配合比率を調整することができる。
【0028】複数の該ポリアセンを含有させる方法とし
ては、複数の該ポリアセンを同時に蒸着する方法が挙げ
られる。また、あるポリアセンをまずフッ素系樹脂配向
膜を設けた基板上に蒸着し、次に形成したポリアセン膜
上に別のポリアセンを蒸着する工程を繰り返して複数の
ポリアセンの多層膜を得る方法も使用することができ
る。
【0029】本発明においては、偏光素子として用いる
場合に不可欠な配向したポリアセン膜に加えて、他の機
能を有する膜を積層してもよく、例えば、最上部に保護
膜としてエポキシ樹脂や光硬化樹脂等の薄膜を形成して
もよい。
【0030】本発明の配向ポリアセン膜は容易に偏光素
子として利用できる。具体的には本発明の配向ポリアセ
ン膜を透明な基板上に形成されたフッ素樹脂配向膜上に
形成して偏光素子とすることができる。
【0031】また、該配向ポリアセン膜は転写して偏光
素子とすることもできる。この場合の製造方法は、一旦
基材上にポリアセン膜を形成した後、より接着性の高い
別の基材に強く押し当てる方法、または加熱しながら押
し当てることにより転写する方法、表面に接着剤をつけ
た別の基材を張り付けて剥離することにより転写する方
法等が例示される。
【0032】次に、本発明の液晶表示装置を説明する。
本発明のポリアセン膜からなる偏光素子を用いて液晶表
示装置を作成するには、液晶セルの外側に、必要な大き
さの偏光素子を組み込めばよい。図1に液晶表示装置の
一例の概略の断面図を示す。ただし、図1は本発明の液
晶表示装置に最低必要な基本的構成のみを示すに過ぎ
ず、必要に応じ他の構成要素を含むことができる。この
ような構成要素として、カラーフィルター、薄膜トラン
ジスタ、防眩フィルムなどが例示される。
【0033】透明電極3は、液晶層側のガラス基板2上
に被覆されており、通常ITO(Indium−Tin
Oxide)、In2 3 、SnO2 などが用いられ
ている。透明電極3の液晶層側5には、絶縁性の液晶配
向制御膜4が設置されている。この際、液晶配向制御膜
4がそれ単独で充分な絶縁性を有する場合には、配向膜
のみでよいが、必要に応じて液晶配向制御膜の下に絶縁
層を設置し、その両者で絶縁性配向膜としてもかまわな
い。
【0034】液晶配向制御膜としては、有機物、無機
物、低分子、高分子など、公知のものを使用することが
できる。高分子化合物としては、例えば、ポリイミド、
ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルイミド
や種々のフォトレジストなどを必要に応じて用いること
ができる。
【0035】また、これらの高分子物質を液晶配向制御
膜として用いた場合には、必要に応じてこれらの膜の表
面を、ガーゼやアセテート植毛布などを用いて、一方向
にこする処理、いわゆるラビング処理を行なうことによ
って液晶分子の配向をより一層促進することができる。
【0036】絶縁膜としては、例えば、チタン酸化物、
アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、シリコン酸
化物、シリコン窒化物などを用いることができる。
【0037】これらの液晶配向制御膜や絶縁膜を形成す
る方法としては、必要に応じて、それら用いる物質によ
って最適な方法を用いることができる。例えば、高分子
物質の場合には、その高分子物質またはその前駆体を、
それらの物質を溶解できる溶媒に溶解後、スクリーン印
刷法、スピンナー塗布法、浸漬法などの方法で塗布する
ことができる。無機物質の場合には、浸漬法、蒸着法、
斜方蒸着法などを用いることができる。これら絶縁性配
向膜の厚みとしては、特に限定するものではないが、好
ましくは1nm〜2μm、さらに好ましくは2nm〜1
00nmである。
【0038】これらの液晶配向制御膜4および透明電極
3を設置した二枚のガラス基板2は、スペーサー6を介
して所定の間隔に保持される。スペーサーとしては、所
定の直径または厚みを有する、ビーズ、ファイバーまた
はフィルム状の絶縁性の材料を用いることができる。具
体的にはシリカ、アルミナ、高分子物質(ポリスチレン
等)が例示できる。これらスペーサー6を2枚のガラス
基板2で挾持し、周囲を例えばエポキシ系接着剤等を用
いてシールした後、液晶を封入することができる。
【0039】一般に2枚のガラス基板の外側には、それ
ぞれ偏光素子が必要であるので、2枚の本発明のポリア
セン膜からなる偏光素子が設置される。しかし、2枚の
一方を他の種類の偏光素子とすることも目的によっては
可能である。また液晶層に二色性色素を含ませて使用す
るいわいるゲストホスト型の液晶素子の場合には、片側
の偏光素子を省き、もう一方の偏光素子を本発明の偏光
素子とする。図1には2枚の偏光素子を用いた場合が例
示されている。
【0040】透明電極3は、適当なリード線が接続され
ており外部の駆動回路に接続されている。外部の駆動回
路の一部を、液晶セル上に形成した薄膜トランジスタ回
路(通称TFT)とすると、極めて性能の高い表示素子
ができるので特に有用である。
【0041】
【実施例】以下本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らによって限定されるものではない。なお、本発明にお
ける二色性比とは、特定の波長における、ポリアセン膜
の配向方向に平行な方向の偏光の吸光度(A1 )と、ポ
リアセン膜の配向方向と直交する方向の偏光の吸光度
(A2 )を測定し、次の式により求めたものであり、特
に吸収ピーク波長での値を用いた。吸光度の値として
は、基材による吸収を差し引いて、ポリアセン膜そのも
のの吸収を用いた。
【数1】二色性比=A1 /A2
【0042】実施例1 <配向膜の形成>米国特許第5180470号記載の方
法を用いることにより、PTFEの配向膜を得た。具体
的には、約300℃に加熱したガラス基板(2.5cm
×8.0cm)上に、同様に加熱した長さ2cm直径
1.0cmのPTFEの円柱の側面たる曲面を押しつ
け、基板を0.1cm/秒の速度で移動することによ
り、幅2.0cm×長さ7.0cmのPTFE配向膜を
得た。この際、円柱は5kgfの圧力で基板に押しつけ
た。基板との接触面積を観察すると約0.4cm2 であ
った。 <ポリアセン膜の形成>得られたPTFE配向膜上に、
ペンタセンを蒸着した。蒸着の際の真空度は、3×10
-5torr以下であった。蒸着膜の膜厚は0.2μm以
下であった。
【0043】<二色性比の評価>300nm〜700n
mの範囲の偏光吸光度を測定すると、600〜700n
mに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は1
0以上であった。また、得られたポリアセン膜をツイス
トネマチック(以下、TNと記すことがある。)型液晶
セルの両側に90°捩じって配置し、TN型液晶セルを
駆動すると、良好なコントラストを示す。
【0044】実施例2 <配向膜の形成>実施例1と同様にしてPTFE配向膜
を得た。 <ポリアセン膜の形成>得られたPTFE配向膜上に、
テトラセンを蒸着した。蒸着の際の真空度は、3x10
-5torr以下であった。蒸着膜の膜厚は0.2μm以
下であった。
【0045】<二色性比の評価>300nmから700
nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、400〜600
nmに吸収ピークがあった。吸収ピークでの二色性比は
10以上であった。また、得られたポリアセン膜をTN
型液晶セルの両側に90°捩じって配置し、TN型液晶
セルを駆動すると、良好なコントラストを示す。
【0046】実施例3 <配向膜の形成>実施例1と同様にしてPTFE配向膜
を得た。 <ポリアセン膜の形成>得られたPTFE配向膜上に、
ヘキサセンを蒸着した。蒸着の際の真空度は、3x10
-5torr以下である。蒸着膜の膜厚は0.2μm以下
である。
【0047】<二色性比の評価>300nmから700
nmの範囲の偏光吸光度を測定すると、600〜700
nmに吸収ピークがある。吸収ピークでの二色性比は1
0以上である。また、得られたポリアセン膜をTN型液
晶セルの両側に90°捩じって配置し、TN型液晶セル
を駆動すると、良好なコントラストを示す。
【0048】
【発明の効果】本発明の配向ポリアセン膜は、容易に製
造でき、高い二色性比を有する一軸配向ポリアセン膜で
あり、該ポリアセン膜からなる偏光素子は高性能の偏光
素子であり、とそれを用いた液晶表示装置は高いコント
ラスト比を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の概略の断面図。
【符号の説明】
1‥‥‥本発明の偏光素子 2‥‥‥ガラス基板 3‥‥‥透明電極 4‥‥‥絶縁性の液晶配向制御膜 5‥‥‥液晶層 6‥‥‥スペーサー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種類の一般式(1)で表され
    るポリアセンが一軸配向している膜であり、該膜の厚み
    が1nm以上1μm以下であり、該膜の有する吸収ピー
    クの少なくとも1つの波長が400nm〜800nmの
    範囲にあり、該吸収ピークの波長における二色性比の値
    が10以上であることを特徴とする配向ポリアセン膜。 【化1】 (式中、nは2〜10の整数を示す。)
  2. 【請求項2】少なくとも1種類の一般式(1)で表され
    るポリアセンを、フッ素系樹脂からなる配向膜を表面に
    有する基材上に蒸着することを特徴とする請求項1記載
    の配向ポリアセン膜の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の配向ポリアセン膜を表面に
    有する高分子フィルムまたはガラス板もしくは透明電極
    を有するガラス板からなる偏光素子。
  4. 【請求項4】透明電極を有する一対の透明基板間に、正
    の誘電率異方性を有する液晶分子が電圧を印加しない状
    態では分子長軸を基板に対して平行にかつ螺旋軸が基板
    に垂直にあり、分子長軸が90°以上から270°以下
    の間でねじれた構造をとるように構成された液晶セルの
    外側に請求項3記載の偏光素子が配置されてなる液晶表
    示装置。
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