JPH08220049A - 電解質測定法及び装置 - Google Patents

電解質測定法及び装置

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JPH08220049A
JPH08220049A JP3094195A JP3094195A JPH08220049A JP H08220049 A JPH08220049 A JP H08220049A JP 3094195 A JP3094195 A JP 3094195A JP 3094195 A JP3094195 A JP 3094195A JP H08220049 A JPH08220049 A JP H08220049A
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calibration curve
electrolyte
measured
reagent
inclination
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JP3094195A
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Kazumitsu Kawase
一光 川瀬
Naoto Oki
直人 沖
Kenji Sugawara
研之 菅原
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は測定デ−タの信頼性を向上させ
るとともに、オペレ−タの負担および試薬のランニング
コストの低減を図るこにある。 【構成】イオン選択電極を用いたイオン濃度測定で電極
感度の有効範囲を設け、電極感度のチェック時に測定値
が前記有効範囲内であれば、その値を更新せず前回まで
の電極感度の値を測定イオン濃度の算出に用い、有効範
囲を越えたときには注意のアラ−ムを表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解質測定法及び装置、
特に尿や血清中のナトリウム、カリウム及び塩素のよう
な電解質をイオン選択電極を用いて測定するのに適した
電解質測定法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン選択電極を用いた電解質の濃度測
定は、ネルンストの式に従いイオン選択電極がイオン濃
度の対数に比例した起電力を発生することを利用してい
るが、従来のイオン選択電極を用いた電解質測定装置に
おいては様々な要因からそのネルンストファクターにあ
たる比例定数の電極感度すなわち検量線の傾きが不安定
であるため、これを原因とする測定精度の低下を防ぐよ
うに頻繁に校正を行っていた。その具体的なやり方とし
ては、特公平5−26144にもあるように、2種類の
標準試薬を測定して検量線の傾きを求め、その値を前回
の値に置き換えるように検量線の傾きの更新を行い、こ
の更新された値を次回の校正時までの検量線の傾きとし
てイオン濃度の算出に用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近の電解質
測定装置においては電極、増幅器、分注機等の要素部品
の改良、電位ドリフトの補正等の測定アルゴリズムの整
備、洗浄液の改良等のメンテナンス性の改善等の相乗効
果により、検量線の傾きの安定性は著しく改善されてき
た。すなわち、長期間にわたる検量線の傾きの変化が非
常に小さくなったため、測定値の信頼性が大きく改善さ
れた。このことから、校正の頻度が減少し、ユ−ザの負
担が以前に比べ低減されるといった効果がもたらされた
が、測定値の信頼性が向上したとは言え、依然測定誤差
は含まれており、その誤差を含んだままの値から算出さ
れる検量線の傾きがそのまま用いられ、また校正の度に
更新されるといった方式は従来のままであり、検量線の
傾きの安定性改善の効果が校正に有効に反映されていな
かった。
【0004】最近では操作ミスの防止及び試薬のランニ
ングコストの低減に対し強い要求があるが、これに対し
ても十分な考慮がされていなかった。また従来イオン選
択電極を用いた臨床検査におけるイオン濃度の測定はそ
の対象が血清中のイオンのみであったが、近年尿中イオ
ンの測定が試料採取の簡便さ等から増大し、それに対応
した装置への関心及び要求が強まっている。ところが、
例えばカリウムイオンの測定に関して言えば、血清中に
比べ尿中では含有イオン濃度の正常値範囲が数倍から1
0倍以上にも及び、患者試料では特に尿が更に広範囲と
なる。このように血清と尿ではその中に含まれるイオン
の濃度が大きく異なるため、これら両方の測定を正確に
行うためには血清、尿それぞれについて別々に校正し、
別々に測定するのが確実であるが、それでは実際の臨床
検査に用いる装置としては甚だ不便である。従って臨床
検査用の装置としては共通の校正で血清、尿の両方につ
いての測定が可能であることが望ましいのであるが、こ
のためには校正の正確性がとりわけ重要となる。ところ
が上記従来技術では特に広範囲の測定において検量線の
傾きの測定誤差がそのまま測定値に影響を与えることに
ついて考慮がなされていなかった。
【0005】更に、上記従来技術では検量線の傾きの測
定には最低2種類の校正液が必要なため、この取り違え
などの人為的ミスについての配慮がなされていなかっ
た。また、標準液、管理血清等の試薬ランニングコスト
あるいは校正をするための前準備等を含めて、実際の作
業時間の短縮に関しても十分な配慮がなされていなかっ
た。
【0006】本発明の目的は誤りにもとづく検量線の傾
き(電極感度)の変更を防止することにより高信頼性の
測定結果を得ることが可能な電解質測定法及び装置を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は次のとおりである。
【0008】1. イオン選択電極を用いて試料中の電
解質を測定する電解質測定法であって、これは前記イオ
ン選択電極を用い、検量線の傾きをある特定の値に設定
した状態で傾きチェック用試薬を測定し、その測定結果
が予め定められた範囲にあるとき前記ある特定の値に設
定された検量線の傾きを維持した状態で前記試料中の電
解質を測定することを特徴とする(請求項1)。
【0009】2. 課題解決手段1の電解質測定法であ
って、前記予め定められた範囲は測定誤差範囲よりも広
いことを特徴とする(請求項2)。
【0010】3. 課題解決手段1又は2の電解質測定
法であって、これは前記傾きチェック用試薬の測定結果
が前記予め定められた範囲からはずれたときはアラ−ム
を発することを特徴とする(請求項3)。
【0011】4. 課題解決手段3の電解質測定法であ
って、これは前記傾きチェック用試薬の測定結果が前記
予め定められた範囲からはずれたときはその範囲に入る
ように前記予め設定された検量線の傾きを更新すること
を特徴とする(請求項4)。
【0012】5. 課題解決手段1〜3のいずれかの電
解質測定法であって、これは前記イオン選択電極の使用
量に応じて前記検量線の傾きを自動的に変更することを
特徴とする(請求項5)。
【0013】6. 課題解決手段1〜5のいずれかの電
解質測定法であって、これは前記イオン選択電極を用い
てバイアス補正用試薬を測定し、その測定結果にもとづ
いて前記検量線のバイアスを補正することを特徴とする
(請求項6)。
【0014】7. 課題解決手段6の電解質測定法であ
って、これは前記バイアス補正用試薬の測定を前記傾き
チェック用試薬の測定に先立って行なうことを特徴とす
る(請求項7)。
【0015】8. 課題解決手段7の電解質測定法であ
って、前記バイアス補正用試薬はタンパク質を含むこと
を特徴とする(請求項8)。
【0016】9. イオン選択電極を用いて試料中の電
解質を測定する電解質測定法であって、これは検量線の
傾きの値を入力し、その入力した値のもとでバイアス補
正用試薬を測定してその測定結果にもとづいて前記検量
線のバイアスを補正し、その補正された検量線のバイア
スを維持した状態で前記試料中の電解質を測定すること
を特徴とする(請求項9)。
【0017】10. 解決手段9の電解質測定法であっ
て、前記入力される検量線の傾きの値は用いられるイオ
ン選択電極用として明示されている検量線の傾きを表す
値であることを特徴とする(請求項10)。
【0018】11. イオン選択電極を用いて試料中の
電解質を測定する電解質測定装置であって、これは前記
イオン選択電極を用い、検量線の傾きをある特定の値に
設定した状態において傾きチェック用試薬を測定し、そ
の測定結果が予め定められた範囲に入っているかどうか
を判断してその予め定められた範囲に入っているときは
前記特定の値に設定された検量線の傾きを維持した状態
で前記試料中の電解質を測定するように構成されている
ことを特徴とする(請求項11)。
【0019】12. 課題解決手段11の電解質測定装
置であって、前記予め定められた範囲は測定誤差範囲よ
りも広いことを特徴とする(請求項12)。
【0020】13. 課題解決手段11又は12の電解
質測定装置であって、これは前記測定結果が前記予め定
められた範囲からはずれたときはアラ−ムを発するよう
に構成されていることを特徴とする(請求項13)。
【0021】14. 課題解決手段11の電解質測定装
置であって、これは前記検量線の傾きの値を入力する手
段を有することを特徴とする(請求項14)。
【0022】15. イオン選択電極を用いて試料中の
電解質を測定する電解質測定装置であって、検量線の傾
きの値を入力し、その入力した値のもとでバイアス補正
用試薬を測定してその測定結果にもとづいて前記検量線
のバイアスを補正し、その補正された検量線のバイアス
を維持した状態で前記試料中の電解質を測定するように
構成したことを特徴とする電解質測定装置。
【0023】16. 課題解決手段14又は15の電解
質測定装置であって、前記入力される検量線の傾きの値
は用いられるイオン選択電極用として明示されている検
量線の傾きを表す値であることを特徴とする(請求項1
6)。
【0024】
【作用】課題解決手段1及び11においては、イオン選
択電極を用い、検量線の傾きをある特定の値に設定した
状態で傾きチェック用試薬を測定し、その測定結果が予
め定められた範囲にあるときある特定の値に設定された
検量線の傾きをそのまま維持した状態で試料中の電解質
を測定するようにしている。また、課題解決手段2及び
12においては、予め定められた範囲は測定誤差範囲よ
りも広い。このような解決手段によれば、予め定められ
た範囲の存在の故に、傾きチェック用試薬の測定値にば
らつきがあっても、これが予め定められた範囲に属する
限り検量線の傾きがそのまま維持されるので、いわゆる
誤りにもとづく検量線の傾き(電極感度)の変更の防
止、したがって測定結果の高信頼性の確保が図られるよ
うになる。
【0025】解決手段3及び13によれば、傾きチェッ
ク用試薬の測定結果が予め定められた範囲からはずれた
ときアラ−ムが発せられるので、オペレ−タは必要に応
じて検量線の傾きの変更を行なうことができるようにな
る。
【0026】解決手段4によれば、傾きチェック用試薬
の測定結果が予め定められた範囲からはずれたときはそ
の範囲に入るように検量線の傾きの値が更新され、した
がってオペレ−タの作業負担の軽減化が図られるように
なる。
【0027】解決手段5によれば、検量線の傾きはイオ
ン選択電極の使用量に応じて変更され、したがってイオ
ン選択電極が劣化しても、それが一定の範囲内ならばそ
の交換を行なうことなしに、その劣化にもとづく測定デ
−タの信頼性低下の防止が図られるようになる。
【0028】解決手段6によれば、検量線のバイアス補
正がなされるので、測定されたデ−タのより高い信頼性
が得られるようになる。
【0029】解決手段7によれば、バイアス補正用試薬
の測定が傾きチェック用試薬の測定に先立って行なわ
れ、したがって傾きチェック用試薬のより正確な測定が
なされるようになる。
【0030】解決手段8によれば、バイアス補正用試薬
はタンパク質を含んでいることから、試料がヒト血清で
ある場合その中に含まれているタンパク質による測定妨
害分を含めたバイアス補正を行なうことが可能になる。
【0031】解決手段9及び15によれば、検量線の傾
きの値を入力し、その入力した値のもとでバイアス補正
用試薬を測定してその測定結果にもとづいて前記検量線
のバイアスを補正し、その補正された検量線のバイアス
を維持した状態で前記試料中の電解質の測定がなされ
る。したがって、検量線の傾きの測定及び補正が不要と
なるため、誤りにもとづく検量線の傾きの変更が防止さ
れる故に高信頼性の測定結果が得られることになる。
【0032】
【実施例】本発明にもとづく電解質測定装置のハ−ドウ
エア部分の一実施例を図2に示されるその構成概念図を
参照して説明する。1は試料ラック、2は試薬ラックで
ある。試料ラック1は、図示は省略されているが、冷却
装置と蓋を備えており、これによって試料の蒸発による
濃縮を防止するようにしている。本発明によれば、試薬
の種類を減らすことができるので、試薬ラック2及びそ
の周辺機器の小型化、容量の緩和が図れる。試薬は試薬
ラック2に、患者からの試料は試料ラック1にそれぞれ
セットされ、サンプリングプロ−ブ3によって反応槽4
に分注される。試料が反応槽4に分注された場合は、試
料は希釈法ではその中で希釈液によって希釈された後、
非希釈法では希釈されない状態でシッパシリンジ5によ
ってシッパ6を介して電極ブロック7に移送される。電
極ブロック7には例えばナトリウムイオン、カリウムイ
オン、塩素イオンを検出するイオン選択電極と比較電極
がある。電極ブロック7に移送された試料はイオン選択
電極内で一旦停止し、この間にイオン濃度の対数に比例
した電圧(起電力)が測定される。測定された電圧は増
幅器8で増幅された後、A/D変換器9でディジタル変
換され、コンピュ−タ10に送られる。ここで予めキ−
ボ−ド11から入力され、メモリ12に記憶されてある
検量線をもとにして濃度計算が行われ、その結果はプリ
ンタ13から出力される。この結果はCRT14に表示
することもできる。一方、測定が終了した試料はシッパ
シリンジ5によって、反応容器4内に残った試料はシリ
ンジ14によってそれぞれ装置外に排出される。測定ご
とに、又は数回の測定ごとに内部標準試薬すなわち装置
に備付けの洗浄液相当の試薬を電極流路内に流して電極
ドリフトの補正を行うことが望ましい。
【0033】本発明にもとづく一実施例を図1に示され
るフロ−チャ−トを用いて説明する。初めに、検量線の
バイアス補正用試薬をセットし(101)、予め設定さ
れてある検量線の傾き(電極感度)及びバイアスのもと
で、セットされたバイアス補正用試薬をイオン選択電極
を用いて測定する(102)。その結果得られた測定電
圧の値から検量線のバイアスを求め、これがメモリ12
に記憶され、その補正が行なわれる(103)。
【0034】続いて、検量線の傾きチェック用試薬がセ
ットされ(104)、同様にしてイオン選択電極を用い
てその測定が行なわれる(105)。その後、その測定
値が予め定められた範囲に入っているかその範囲からは
ずれているかの判断が行なわれる(106)。図ではそ
の予め定められた範囲は便宜上有効範囲と名付けられて
いる。測定された値が有効範囲内に入っている場合は検
量線の傾き(電極感度)の変更は行なわれず、そのまま
維持された状態で、ル−チン測定である試料の電解質測
定が行なわれる。有効範囲は測定誤差範囲、すなわち検
量線の傾きを変えたときそれに応じて変わるイオン濃度
値又はこれに対応する測定電圧値が測定誤差によって変
わるそれと区別困難な範囲、よりも広く設定される。ス
テップ105での測定値が有効範囲からはずれたときは
アラ−ムが発せられ(107)、更に、測定された値が
電極交換必要範囲に入っているかどうかの判断がなされ
る(108)。イオン選択電極の寿命はその使用量すな
わち測定回数又は使用時間によってほぼ決まるので、そ
の使用量をステップ108での判断基準とすることがで
きる。ステップ108での判断はコンピュ−タ10に任
せてもよいし、望まれるなら、オペレ−タが行なっても
よい。その答えがノ−の場合は、測定された値が有効範
囲に入るように検量線の傾き(電極感度)が変更(更
新)され(109)、その変更された電極感度はメモリ
12に記憶され、その記憶された電極感度のもとで試料
の電解質の測定が行なわれる。これは、イオン選択電極
が劣化しても、それが一定の範囲内ならばその交換を行
なうことなしに、その劣化にもとづく測定デ−タの信頼
性低下の防止が図られることを意味する。ステップ10
8での判断結果の答えがイエスならば、アラ−ムが発せ
られ(110)、更に、イオン選択電極の交換が行なわ
れ(111)、フロ−は再び最初に戻る。
【0035】なお検量線の傾きは、内部標準液(内部に
備付けの標準液)そのものと内部標準液を希釈液で希釈
し、内部標準液との濃度比を0.9以下に変化させた試
薬とを用い外部に濃度の異なる2種の試薬をセットする
ことなく、装置内で自動的に2種の試薬を作成すること
によっても得ることができる。
【0036】バイアス補正は必ずしも試料測定の都度行
なわれる必要はなく、近年のシステムの安定性に鑑み、
例えば一日毎とか数時間毎の頻度で行なわれてよい。ま
た、検量線の傾きチェックも、数週間毎程度の頻度で行
なうことで実際上は十分である。
【0037】従来では電極感度(検量線の傾き)の測定
はその更新を目的とするものであるのに対し、本発明の
実施例では逆に電極感度は固定し、前回値に比べ大きく
変化していないこと、すなわち予め定められた範囲に入
っていることを確認し測定誤差による影響を防止してい
る。換言すれば、誤りにもとづく検量線の傾き(電極感
度)の変更が防止される。したがって、その補正に頻度
が実際上大幅に減少されることになるので、全体として
の測定時間の短縮化が図られる。また、その電極感度チ
ェックに当たっては、従来のように二つの試薬を用いる
必要がないことから、試薬ランイングコストの低減化及
びオペレ−タによる試薬取り違えといった操作ミスの低
減化が図られる。
【0038】図3を用いてイオ選択電極の測定原理を示
す。検量線の傾きである電極感度Siは既知濃度Ci,
Cjをもつ試薬を測定した際の起電力Ei,EjよりS
i=(Ej−Ei)/log(Cj−Ci)によって算
出され、こうして作成された検量線201を用いて、未
知試料の測定起電力より試料中のイオン濃度が算出され
る。横軸は試料中のイオン濃度の対数、縦軸は測定起電
力である。本発明の実施例では測定で得られた電極感度
(グラフ中の検量線201の傾き)が一定範囲内であれ
ば更新せず、前回値の電極感度で未知試料の濃度を算出
する。
【0039】図4を用いて未知試料の濃度計算の具体例
を示す。電極感度が60.0mv/decadeで、140mmol/
lの試薬を測定したときの電位が−39.0mvである場
合、401で示される検量線が作成できる。ここで例え
ば未知試料の測定電位が−25.0mvであれば、この試
料中の目的イオン濃度は横軸の座標から約239.6mm
ol/lであると計算される。
【0040】図5で未知試料の測定における従来法との
比較例を説明する。今、電極感度の前回測定値が60.
0mV/decadeであった装置を用いて、140mmol/lの試
薬を基準として200mmol/lの検体を測定したと仮定す
る。501は前回までの検量線を示す。校正において電
極感度の測定で、測定電位に0.1mv程度の測定誤差が
生ずると電極感度は約1〜2mv/decade変化する。従来
法によれば、ここで電極感度が62.0mV/decadeの測
定値を示すと、この値が更新され、これを用いて濃度算
出が行われるので、傾きが62.0mV/decadeの検量線
502によって濃度が算出され、測定値は約197.7
mmol/lとなり、約2.3mmol/lだけ、前回値と差が生じ
てしまう。
【0041】本発明の実施例においては、電極感度につ
いて言えば予めその有効範囲が57〜63mv/decadeと
設定されているならば、濃度計算は60.0mV/decade
の電極感度を用いて行われるので、この誤差を防止でき
る。逆に流路の汚れ等により例えば50mV/decadeに急
激に電極感度が低下しても、電極換算で有効範囲を予め
例えば57〜63mv/decadeと設定しておけば、注意ア
ラ−ムとなって未然に電位応答が悪い状態での検体測定
を防止できる。
【0042】図6はナトリウム電極について適宜適切な
メンテナンスを行ったときの測定検体数(試料の数)と
電極感度(検量線の傾き)の変化の関係の一例を表した
グラフである。これによれば、10000検体測定時ま
で電極感度は58〜60.0mV/decadeの範囲で安定し
ている。これは一般的には測定検体数の多い規模の大き
い病院において約3ケ月測定したことに相当し、一般の
電極の寿命期間に当たる。また、前述した測定誤差によ
る電極感度の値変動よりも狭い範囲に収まっている。こ
れより、通常の使用に当たっての電極感度の変化は大部
分が測定誤差によるものであると言える。
【0043】実施例では、バイアス補正が行なわれてい
るので測定されたデ−タのより高い信頼性が得られ、ま
た、バイアス補正のための試薬測定は傾きチェック用試
薬の測定に先立って行なわれているので傾きチェック用
試薬のより正確な測定がなされる。
【0044】バイアス補正用試薬はタンパク質を含んで
いてよい。この場合は、試料がヒト血清であるときその
中に含まれているタンパク質による測定妨害分を含めた
バイアス補正を行なうことが可能となる。
【0045】図7を用いて本発明のもう一つの実施例を
説明する。この実施例は検量線の傾きすなわち電極感度
の測定を行わず、外部からの入力値を電極感度として使
用するものである。初めに、電極感度すなわち検量線の
傾きとして予め定められた値を入力し、記憶する(70
1)。この力する電極感度はイオン選択電極に明示され
た固有の値ないしそのイオン選択電極の製造ロット毎に
明示された値であってもよいし、理論的にあるいは実験
的に求められた値であってもよい。
【0046】続いて、バイアス補正用試薬がセットされ
(702)、そしてその試薬のイオン選択電極による測
定が行なわれる(703)。その測定結果が予め定めら
れた値からずれていればその一致がみられるように検量
線のバイアスの補正がなされ(704)、その補正され
た値が記憶されると共に、ル−チン測定すなわち試料中
の電解質測定が行なわれる。
【0047】装置流路内に圧力センサなどを設置してお
けば、流路の汚れなどを検知でき、その具合に応じた電
極感度を入力しなおすこともできる。また用いられるバ
イアス補正用試薬にタンパク質等の高分子成分を含有さ
せることによりその試薬をヒト血清に組成的に近似させ
させれば、ヒト血清試料測定におけるそれらの含有物に
よる電極応答の妨害量を含めたバイアス補正を行うこと
ができる。
【0048】本実施例によれば、試薬としてはバイアス
補正用試薬用いないので、従来のような誤りにもとづく
検出感度の変更が防止される結果として高信頼性の測定
結果が得られると共に、全体としての測定時間の短縮
化、試薬ランニングコストの低減化及びオペレ−タの操
作ミスの低減化が図られる。
【0049】電極及びその流路の洗浄に用いるために一
般には洗浄液が備え付けられている。この備え付けの洗
浄液をバイアス補正用試薬として用いるならば、試薬の
ランニングコストがより低減される。なお、この試薬は
装置上で蒸発による濃縮などが起こらないように管理さ
れることが実際上は必要かつ重要である。
【0050】
【発明の効果】本発明による効果をまとめると次のよう
になる。
【0051】1. イオン選択電極を用い、検量線の傾
きをある特定の値に設定した状態で傾きチェック用試薬
を測定し、その測定結果が予め定められた範囲にあると
きある特定の値に設定された検量線の傾きをそのまま維
持した状態で試料中の電解質を測定するようにしている
ため、傾きチェック用試薬の測定値にばらつきがあって
も、これが予め定められた範囲に属する限り検量線の傾
きがそのまま維持されるので、いわゆる誤りにもとづく
検量線の傾き(電極感度)の変更の防止、したがって測
定結果の高信頼性の確保が図られるようになる。
【0052】2. 傾きチェック用試薬の測定結果が予
め定められた範囲からはずれたときアラ−ムが発せられ
るので、オペレ−タは必要に応じて検量線の傾きの変更
を行なうことができるようになる。
【0053】3. 傾きチェック用試薬の測定結果が予
め定められた範囲からはずれたときはその範囲に入るよ
うに検量線の傾きの値が更新されるのでオペレ−タの作
業負担の軽減化が図られるようになる。
【0054】4. 検量線の傾きはイオン選択電極の使
用量に応じて変更されるので、イオン選択電極が劣化し
ても、それが一定の範囲内ならばその交換を行なうこと
なしに、その劣化にもとづく測定デ−タの信頼性低下の
防止が図られるようになる。
【0055】5. 検量線のバイアス補正がなされるの
で、測定されたデ−タのより高い信頼性が得られるよう
になる。
【0056】6. バイアス補正用試薬の測定が傾きチ
ェック用試薬の測定に先立って行なわれので、傾きチェ
ック用試薬のより正確な測定がなされるようになる。
【0057】7. バイアス補正用試薬はタンパク質を
含んでいることから、試料がヒト血清である場合その中
に含まれているタンパク質による測定妨害分を含めたバ
イアス補正を行なうことが可能になる。
【0058】8. 検量線の傾きの値を入力し、その入
力した値のもとでバイアス補正用試薬を測定してその測
定結果にもとづいて前記検量線のバイアスを補正し、そ
の補正された検量線のバイアスを維持した状態で前記試
料中の電解質の測定がなされるので、検量線の傾きの測
定及び補正が不要となり、したがって誤りにもとづく検
量線の傾きの変更が防止される故に高信頼性の測定結果
が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく一実施例を示す電解質測定の
フロ−チャ−ト。
【図2】本発明にもとづく一実施例を示す電解質測定装
置のハ−ドウエア部分の構成概念図。
【図3】検量線の一例を示す図。
【図4】試料中のイオン濃度算出の一例を説明するため
の図。
【図5】試料中のイオン濃度算出における、本発明と従
来との比較を示す図。
【図6】電極感度の経時変化を示す図。
【図7】本発明にもとづくもう一つの実施例を示す電解
質測定のフロ−チャ−ト。
【符号の説明】
1:試料ラック、2:試薬ラック、3:サンプリングプ
ロ−ブ、4:反応槽、5:シッパシリンジ、7:電極ブ
ロック、8:増幅器、9:A/D変換器、10コンピュ
−タ、11:キ−ボ−ド、12:メモリ、13:プリン
タ、14:CRT.

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン選択電極を用いて試料中の電解質を
    測定する電解質測定法であって、前記イオン選択電極を
    用い、検量線の傾きをある特定の値に設定した状態で傾
    きチェック用試薬を測定し、その測定結果が予め定めら
    れた範囲にあるとき前記ある特定の値に設定された検量
    線の傾きを維持した状態で前記試料中の電解質を測定す
    ることを特徴とする電解質測定法。
  2. 【請求項2】前記予め定められた範囲は測定誤差範囲よ
    りも広いことを特徴とする請求項1に記載された電解質
    測定法。
  3. 【請求項3】前記傾きチェック用試薬の測定結果が前記
    予め定められた範囲からはずれたときはアラ−ムを発す
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載された電解質
    測定法。
  4. 【請求項4】前記傾きチェック用試薬の測定結果が前記
    予め定められた範囲からはずれたときはその範囲に入る
    ように前記予め設定された検量線の傾きを更新すること
    を特徴とする請求項3に記載された電解質測定法。
  5. 【請求項5】前記イオン選択電極の使用量に応じて前記
    検量線の傾きを自動的に変更することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載された電解質測定法。
  6. 【請求項6】前記イオン選択電極を用いてバイアス補正
    用試薬を測定し、その測定結果にもとづいて前記検量線
    のバイアスを補正することを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載された電解質測定法。
  7. 【請求項7】前記バイアス補正用試薬の測定を前記傾き
    チェック用試薬の測定に先立って行なうことを特徴とす
    る請求項6に記載された電解質測定法。
  8. 【請求項8】前記バイアス補正用試薬はタンパク質を含
    むことを特徴とする請求項7に記載された電解質測定
    法。
  9. 【請求項9】イオン選択電極を用いて試料中の電解質を
    測定する電解質測定法であって、検量線の傾きの値を入
    力し、その入力した値のもとでバイアス補正用試薬を測
    定してその測定結果にもとづいて前記検量線のバイアス
    を補正し、その補正された検量線のバイアスを維持した
    状態で前記試料中の電解質を測定することを特徴とする
    電解質測定法。
  10. 【請求項10】前記入力される検量線の傾きの値は用い
    られるイオン選択電極用として明示されている検量線の
    傾きを表す値であることを特徴とする請求項9に記載さ
    れた電解質測定法。
  11. 【請求項11】イオン選択電極を用いて試料中の電解質
    を測定する電解質測定装置であって、前記イオン選択電
    極を用い、検量線の傾きをある特定の値に設定した状態
    において傾きチェック用試薬を測定し、その測定結果が
    予め定められた範囲に入っているかどうかを判断してそ
    の予め定められた範囲に入っているときは前記特定の値
    に設定された検量線の傾きを維持した状態で前記試料中
    の電解質を測定するように構成されていることを特徴と
    する電解質測定装置。
  12. 【請求項12】前記予め定められた範囲は測定誤差範囲
    よりも広いことを特徴とする請求項11に記載された電
    解質測定装置。
  13. 【請求項13】前記傾きチェック用試薬の測定結果が前
    記予め定められた範囲からはずれたときはアラ−ムを発
    するように構成されていることを特徴とする請求項11
    又は12に記載された電解質測定装置。
  14. 【請求項14】前記検量線の傾きの値を入力する手段を
    有することを特徴とする請求項13に記載された電解質
    測定装置。
  15. 【請求項15】イオン選択電極を用いて試料中の電解質
    を測定する電解質測定装置であって、検量線の傾きの値
    を入力し、その入力した値のもとでバイアス補正用試薬
    を測定してその測定結果にもとづいて前記検量線のバイ
    アスを補正し、その補正された検量線のバイアスを維持
    した状態で前記試料中の電解質を測定するように構成し
    たことを特徴とする電解質測定装置。
  16. 【請求項16】前記入力される検量線の傾きの値は用い
    られるイオン選択電極用として明示されている検量線の
    傾きを表す値であることを特徴とする請求項14又は1
    5に記載された電解質測定装置。
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