JPH08219402A - 真空式ボイラの消音構造 - Google Patents

真空式ボイラの消音構造

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JPH08219402A
JPH08219402A JP2366295A JP2366295A JPH08219402A JP H08219402 A JPH08219402 A JP H08219402A JP 2366295 A JP2366295 A JP 2366295A JP 2366295 A JP2366295 A JP 2366295A JP H08219402 A JPH08219402 A JP H08219402A
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正男 上野
Takuma Shiki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 給湯・暖房用等に用いる真空式ボイラの消音
構造に関する。 【構成】 内部圧を大気圧以下とした缶体(1) に熱媒用
水(10)を封入して熱媒用水貯留室(11)と減圧蒸気室(12)
とを形成すると共に、熱媒用水貯留室(11)中に熱媒用水
(10)を加熱する加熱手段(2) を配設し、さらに、熱を取
り出すための熱交換器(3) を減圧蒸気室内(12)に配設し
て、缶体(1) 内に発生する蒸気により被加熱流体を加熱
するように構成した真空式ボイラにおいて、上記缶体
(1) 内に遮蔽板(5) を配設し、沸騰による熱媒用水(10)
の衝撃波が缶体(1) の側壁に直接衝突することを防止し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、給湯・暖房用等に用
いる真空式ボイラの消音構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、内部圧を大気圧以下とした缶体に
熱媒用水を封入して減圧蒸気室と熱媒用水貯留室を形成
すると共に、同熱媒用水を加熱するバーナ装置を熱媒用
水貯留室に設けた燃焼室に連設し、さらに、熱を取り出
すための熱交換器を減圧蒸気室内に配設して、缶体内に
発生する蒸気により被加熱流体を加熱するように構成し
た真空式ボイラがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した真
空式ボイラは、熱媒用水を加熱装置により通常の運転温
度に焚き上げるときに生じる沸騰状態や、あるいは、熱
負荷が高くなって熱交換器周りの真空度が低くなった
り、缶体温度が下がったりした場合の急激な局所的な沸
騰状態において、熱媒用水内に発生した蒸気泡の作用に
より熱媒用水が缶体の壁面を激しく叩き、真空式ボイラ
特有の大きな音を発生していた。
【0004】熱媒用水が缶体の壁面を叩くことにより発
生する騒音の大きな要因として、以下のことが考えられ
る。
【0005】すなわち、真空式ボイラにおいて、バーナ
装置を起動させて熱交換器へ通水を開始すると、熱媒用
水側で燃焼室表面より蒸気泡が発生し、同蒸気泡はその
浮力により水面へ向かって上昇する。
【0006】上昇する蒸気泡の圧力は、上昇するにした
がって減圧蒸気室の圧力に近づき(圧力が低下する)、
その容積は急激な膨張を伴うことになる。
【0007】成長した蒸気泡の一部は局所的な低温部で
熱を奪われて急激に収縮する。この局所的な低温部は、
減圧蒸気室で熱を奪われた凝縮水が熱媒用水貯留室へ還
流し、同凝縮水により低温となって発生するものであ
る。
【0008】したがって、蒸気泡が収縮した容積部分に
熱媒用水が流れ込む現象が熱媒用水貯留室内の至るとこ
ろで発生し、これにより熱媒用水に激しい揺動が引き起
こされ、ウォーターハンマー現象によって衝撃波が缶体
の側面を激しく叩き、缶体からは大きな音が発生して騒
音となっていた。
【0009】上記した理由により、真空式ボイラを使用
する場合には、その周辺に対して騒音の配慮をする必要
があり、ボイラ焚き上げ開始時間の制限を設けたり、急
激な負荷変動を与えないように制御する等の措置等が必
要となりボイラ運転の制約を大きくしていた。
【0010】本発明は、上記課題を解決することのでき
る真空式ボイラの消音構造を提供することを目的として
いる。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、内部圧を大
気圧以下とした缶体に熱媒用水を封入して熱媒用水貯留
室と減圧蒸気室とを形成すると共に、熱媒用水貯留室中
に熱媒用水を加熱する加熱手段を配設し、さらに、熱を
取り出すための熱交換器を減圧蒸気室内に配設して、缶
体内に発生する蒸気により被加熱流体を加熱するように
構成した真空式ボイラにおいて、上記缶体内に遮蔽板を
配設し、沸騰による熱媒用水の衝撃波が缶体の側壁に直
接衝突することを防止したことを特徴とする真空式ボイ
ラの消音構造に係るものである。
【0012】また、本発明は以下の構成にも特徴を有す
る。
【0013】(イ)上記遮蔽板を断面視U字状に形成
し、加熱手段と缶体の側壁との間に介設して加熱手段の
左右及び底側を囲繞し、しかも、同遮蔽板と前記側壁と
は非連結状態とした。
【0014】(ロ)上記遮蔽板の上端を、熱媒用水の水
面下に位置させた。
【0015】(ハ)上記遮蔽板と缶体の側壁との間に吸
音材を配設した。
【0016】
【実施例】この発明の実施例を図面に基づき以下に説明
する。
【0017】図1は本発明に係る真空式ボイラの消音メ
カニズムを示す説明図、図2は同真空式ボイラの背面視
による説明図、図3は同側面視による説明図、図4は同
模式的説明図である。
【0018】本発明に係る真空式ボイラAは、図2〜図
4に示すように、天井部1aと底部1bとを湾曲させた横置
き型の缶体1を形成し(図3参照)、同缶体1内部に熱
媒用水貯留室11と減圧蒸気室12とを形成している。1c,1
d は缶体1の左右側壁、1e,1fは缶体1の前後壁であ
る。
【0019】また、図1に示すように、内部圧を大気圧
以下とした熱媒用水貯留室11に熱媒用水10を封入すると
共に、同熱媒用水10を加熱する加熱手段2を配設し、さ
らに、減圧蒸気室12内には熱を取り出すための熱交換器
3を配設している。32,33 は熱交換器取付部である。
【0020】上記加熱手段2は、図3に示すように、缶
体1の前壁1e側に取付けた燃焼室鏡板25を介して燃焼室
21を設け、同燃焼室21に、前壁1eに取付けたファンバー
ナ22を連設し、燃焼室21内で燃料となる重油やガス等を
燃焼させて熱媒用水10を加熱可能としている。
【0021】図1〜図4において、4は熱媒用水貯留室
11内に配設した煙管であり、上記加熱手段2の上方に位
置させて缶体1の長手方向に多数並設している。4aは煙
流路形成部であり、燃焼室21内の火炎は、上記煙管4か
ら同煙流路形成部4aを通って外部へ排出されることにな
る。
【0022】また、上記熱交換器3は減圧蒸気室12内に
配設した吸熱パイプ31よりなり、同パイプ31内に被加熱
水を通水可能とすると共に、同パイプ31を負荷7と連通
させている。
【0023】そして、図示しないポンプにより熱交換器
3と負荷7との間で被加熱水を循環させ、同被加熱水を
缶体1内に発生する加熱された熱媒用水10の蒸気により
加熱するように構成している。
【0024】すなわち、加熱手段2により熱媒用水10が
加熱されると熱媒用水10が沸騰し、加熱手段2の表面近
くで多数の蒸気泡6が発生し、やがて成長して上昇し、
減圧蒸気室12内に蒸気が充満して、かかる蒸気により熱
交換器3の吸熱パイプ31内の被加熱水を加熱するもので
ある。熱交換されて熱を奪われた蒸気は凝縮水となり熱
媒用水10に戻る。
【0025】上記構成の真空式ボイラAにおいて、本発
明の要旨となるのは、上記缶体1内に遮蔽板5を配設
し、沸騰による熱媒用水10の衝撃波が缶体1の側壁に直
接衝突することを防止し、缶体1から発生する騒音を可
及的に抑制したことにある。
【0026】本実施例における遮蔽板5は、図1及び図
4に示すように、断面視U字状に形成し、加熱手段2と
缶体1の左右側壁1c,1d の内壁面との間に介設すると共
に、加熱手段2の左右及び底側を囲繞し、しかも、同遮
蔽板5を前記左右側壁1c,1dと非連結状態にして分離独
立して取付けている。
【0027】すなわち、遮蔽板5の前側を燃焼室鏡板25
に取付けたスペーサ23を介して溶接すると共に、後側は
缶体1の後壁1fに溶接して取付け、遮蔽板5と缶体1の
左右側壁1c,1d とは非連結状態としている。
【0028】また、上記遮蔽板5の上端5aを熱媒用水10
の水面下に位置させて水面上方ヘ突出しないようにして
いる。
【0029】これは、遮蔽板5の取付状態を様々に変更
して実験した結果、少なくとも、上端5aが水面上に突出
しているよりも水面下に位置させた方が消音効果が大き
いことが分かったからである。
【0030】ここで、図1を参照しながら、上記構成の
本実施例に係る真空式ボイラAの消音のメカニズムを以
下に説明する。
【0031】熱媒用水10中で発生した蒸気泡6は徐々に
成長して液面へ上昇していく。
【0032】一方、減圧蒸気室12に充満した蒸気は、熱
交換器3により熱交換されて低温の凝縮水となって熱媒
用水貯留室11内へ落下し、熱媒用水10中では局所的な低
温部が形成される。
【0033】かかる低温部に接触した成長過程の蒸気泡
6は熱を奪われて急激に凝縮し、矢印gで示すように、
凝縮して消滅した容積部分に熱媒用水10が流れ込む。
【0034】かかる現象が熱媒用水10中の至るところで
発生すると、熱媒用水10は大きく揺動してウォーターハ
ンマー現象を引き起こし、衝撃波が四方へ伝播する。
【0035】ところが、上記したように遮蔽板5を配設
しているので、衝撃波は遮蔽板5にぶつかり衝撃エネル
ギーが吸収される。
【0036】また、遮蔽板5と左右側壁1c,1d との間に
介在する熱媒用水10がダンパーの機能を果たすので、缶
体1の左右側壁1c,1d に伝わる衝撃波の振動は大きく緩
和される。
【0037】また、遮蔽板5は缶体1の左右側壁1c,1d
とは直接連結していないので、衝撃波による遮蔽板5の
振動が同左右側壁1c,1d へは直接的に伝わることもな
い。
【0038】したがって、缶体1を叩く音は可及的に抑
制されて、静粛なボイラ運転が可能となる。
【0039】さらに、遮蔽板5により缶体1は二重壁構
造となってるので、缶体1内部の沸騰音や蒸気泡6の凝
縮音が外部に漏れにくくなっており、消音効果をより高
めることができる。
【0040】このように、本発明に係る消音構造は低コ
ストの簡単な構造でありながら、真空式ボイラの蒸気発
生に伴う独特な騒音を大幅に減少させることができる。
【0041】他の実施例として、図5に示すように、遮
蔽板5と缶体の左右側壁1c,1d との間に吸音材8を配設
することもできる。吸音材8としてはグラスウール等を
使用することができる。
【0042】本実施例では、吸音材8を遮蔽板5と左右
側壁1c,1d とで挟み込むようにして配設している。
【0043】このように、吸音材8を配設することによ
り、さらに消音効果を向上させることができ、より静粛
なボイラ運転が可能となる。
【0044】
【発明の効果】 内部圧を大気圧以下とした缶体に熱媒用水を封入して
熱媒用水貯留室と減圧蒸気室とを形成すると共に、熱媒
用水貯留室中に熱媒用水を加熱する加熱手段を配設し、
さらに、熱を取り出すための熱交換器を減圧蒸気室内に
配設して、缶体内に発生する蒸気により被加熱流体を加
熱するように構成した真空式ボイラにおいて、上記缶体
内に遮蔽板を配設し、沸騰による熱媒用水の衝撃波が缶
体の側壁に直接衝突することを防止したことにより、真
空式ボイラ特有の大きな騒音を防止でき、ボイラ焚き上
げ開始時間の制限を設けたり、また、急激な負荷変動を
与えないように制御する等の措置が不要となって、ボイ
ラ運転の制約を受けることがなく運転効率を向上させる
ことができる。しかも、構造が簡単であり低コストで騒
音防止を実現できる。
【0045】また、上記遮蔽板を断面視U字状に形成
し、加熱手段と缶体の側壁との間に介設して加熱手段の
左右及び底側を囲繞し、しかも、同遮蔽板と前記側壁と
は非連結状態としたことにより、ウォーターハンマー現
象による衝撃波は遮蔽板にぶつかり、遮蔽板によって衝
撃エネルギーが吸収される。
【0046】しかも、遮蔽板と缶体の側壁との間に介在
する熱媒用水がダンパーの機能を果たすので、衝撃波は
大きく緩和されると共に、衝撃波による遮蔽板の振動が
側壁へは直接的に伝わらず騒音を抑制できる。
【0047】上記遮蔽板の上端を熱媒用水の水面下に
位置させたことにより、消音効果を向上させることがで
きる。
【0048】上記遮蔽板と缶体の側壁との間に吸音材
を配設したことにより、消音効果をより向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空式ボイラの消音メカニズムを
示す説明図である。
【図2】同背面視による説明図である。
【図3】同側面視による説明図である。
【図4】同模式的説明図である。
【図5】他の実施例に係る真空式ボイラの説明図であ
る。
【符号の説明】
A 真空式ボイラ 1 缶体 2 加熱手段 3 熱交換器 5 遮蔽板 5a 上端 8 吸音材 10 熱媒用水 11 熱媒用水貯留室 12 減圧蒸気室

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部圧を大気圧以下とした缶体(1) に熱
    媒用水(10)を封入して熱媒用水貯留室(11)と減圧蒸気室
    (12)とを形成すると共に、熱媒用水貯留室(11)中に熱媒
    用水(10)を加熱する加熱手段(2) を配設し、さらに、熱
    を取り出すための熱交換器(3) を減圧蒸気室内(12)に配
    設して、缶体(1) 内に発生する蒸気により被加熱流体を
    加熱するように構成した真空式ボイラにおいて、 上記缶体(1) 内に遮蔽板(5) を配設し、沸騰による熱媒
    用水(10)の衝撃波が缶体(1) の側壁に直接衝突すること
    を防止したことを特徴とする真空式ボイラの消音構造。
  2. 【請求項2】 上記遮蔽板(5) を断面視U字状に形成
    し、加熱手段(2) と缶体(1) の側壁との間に介設して加
    熱手段(2) の左右及び底側を囲繞し、しかも、同遮蔽板
    (5) と前記側壁とは非連結状態としたことを特徴とする
    請求項1記載の真空式ボイラの消音構造。
  3. 【請求項3】 上記遮蔽板(5) の上端(5a)を、熱媒用水
    (10)の水面下に位置させたことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の真空式ボイラの消音構造。
  4. 【請求項4】 上記遮蔽板(5) と缶体(1) の側壁との間
    に吸音材(8) を配設したことを特徴とする請求項1から
    3のいずれかに記載の真空式ボイラの消音構造。
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