JPH08214874A - ニコチン酸アナログ耐性微生物およびビオチンの製造法 - Google Patents

ニコチン酸アナログ耐性微生物およびビオチンの製造法

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JPH08214874A
JPH08214874A JP32567595A JP32567595A JPH08214874A JP H08214874 A JPH08214874 A JP H08214874A JP 32567595 A JP32567595 A JP 32567595A JP 32567595 A JP32567595 A JP 32567595A JP H08214874 A JPH08214874 A JP H08214874A
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純二 松井
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一雄 中濱
Ouji Ifuku
欧二 伊福
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いビオチン生産能を有する微生物、および
それを用いるビオチンの製造法の提供。 【解決手段】 ビオチンオペロンの一部ないし全部を含
むプラスミドを有し、ニコチン酸アナログ耐性を示す微
生物;およびこの微生物を培地で培養し、培養物中にビ
オチンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴と
するビオチンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規ニコチン酸アナ
ログ耐性微生物およびこれを利用するビオチンの製造法
に関する。本発明により得られるビオチンは、医薬品、
化粧品の原料、飼料添加物等として用いられる。
【0002】
【従来の技術】ビオチン(ビタミンH)はビタミンB群の
一種で、カルボキシル化酵素の補酵素として脂肪酸合成
や糖代謝に関与している。このビオチンは、医薬品、化
粧品の原料または飼料添加物等として化学合成法によ
り、年間約10トン製造されているが、その工程が複雑
なことから、かなり高価である。一方、発酵法によるビ
オチンの生産は古くから研究されているが、生産性が低
いため実用化されていない。そこで遺伝子組換え技術を
用いてビオチンを製造し、安価なビオチンを提供する方
法が期待されている。これらの製造方法に用いられる遺
伝子工学的に改良した微生物としては、エシェリヒア(E
scherichia)属に属するものとしてα−デヒドロビオチ
ン耐性株(例、特開昭61−149091号公報等)など
が知られている。これらエシェリヒア属に属する微生物
以外のものとして以下の微生物が知られている。例えば
バチルス(Bacillus)属に属するものとしては、バチルス
・スフェリカスを形質転換し、ついでテノイルトリフル
オロアセトン耐性を付与した微生物(特開平4−118
94号公報)が、あるいは、セラチア(Serratia)属に属
するものとしては、セラチア・マルッセンスSB411
にエチオニン耐性を付与し、次いでS−アミノエチルシ
ステイン耐性を付与し、その後ビオチン遺伝子断片を含
む組換えプラスミドで形質転換させた微生物(特開平5
−199867号公報)が、同様にビオチン構造類似物
質であるアクチチアジン酸または5−(2−チエニル)−
n−吉草酸耐性を付与した形質転換体(特開平2−279
80号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ビオチンの生産方法では、ビオチンの工業的製造には不
十分なため、ビオチンの生産性をさらに向上させる生産
方法が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビオチン
生合成の最終段階であるデスチオビオチンからビオチン
への反応に還元型ニコチンアミドジヌクレオチドリン酸
(NADPH)が必要である[バイオサイエンス・バイオ
テクノロジー・バイオケミカル(Biosci. Biotech. Bioc
hem.,)56巻、1780頁(1992)等]ことに着目
し、ビオチン生産菌のNADPHの生成能を強化するこ
とによりビオチン蓄積量が向上すると予想した。そこ
で、ビオチン生産菌からニコチン酸アナログ耐性株を分
離し、ビオチン蓄積量が著しく増大した株を取得した。
この知見に基づきさらに鋭意検討した結果、本発明を完
成した。すなわち本発明は、(1)ビオチンオペロンの一
部ないし全部を含むプラスミドを有し、ニコチン酸アナ
ログ耐性を示す微生物、(2)微生物が、エシェリヒア(E
scherichia)属、バチルス(Bacillus)属、またはセラチア
(Serratia)属に属する微生物である上記(1)記載の微生
物、(3)ニコチン酸アナログが、6−アミノニコチンア
ミドである上記(1)記載の微生物、および(4)上記(1)
記載の微生物を培地で培養し、培養物中にビオチンを生
成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするビオチ
ンの製造法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】ニコチン酸アナログとしては、例
えば6−アミノニコチンアミド、イソニコチン酸ヒドラ
ジド、3−ピリジンスルホン酸、3−ピリジル酢酸、2
−ヒドロキシニコチン酸、ピラジンカルボン酸、ニコチ
ン酸メチル、3−アミノベンザミド、6−メチルニコチ
ンアミド、ピラジンアミド、6−アミノニコチン酸等が
挙げられる。このうち好ましくは6−アミノニコチンア
ミドである。ビオチンオペロンとしては、例えばエシェ
リヒア属、バチルス属、セラチア属由来のビオチンオペ
ロン等が挙げられる。エシェリヒア属由来としてはエシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来のビオチンオペ
ロン(特開昭61−202686号等)が挙げられる。該
ビオチンオペロンには、ビオチン生合成に関与するbio
A、bioB、bioF、bioC、bioDの5つの遺伝子がコー
ドされている。また、これらのビオチンオペロンの一部
を改変したものも本発明では用いることができ、例え
ば、エシェリヒア・コリのビオチンオペロンの制御領域
およびbioB開始コドン近傍のいずれかの塩基配列が野
性型に比べて少なくもと1塩基対変異しているもの等が
挙げられる。ここでビオチンオペロンの制御領域とは、
bioAとbioBの間に存在するr鎖を示す配列表の配列番
号1、およびより詳細には図1に示す塩基配列のうちbi
oB開始コドンATGのAを1として−1番目の塩基対
から−86番目の塩基対までの領域をいい、bioB開始
コドン近傍とは、bioB開始コドンATGのAを1とし
て1番目の塩基対から6番目の塩基対までの領域をい
う。さらに具体的には、bioB開始コドンATGのAを
1として上流−53番目、−5番目、下流4番目の少な
くともいずれかひとつのGC対がAT対に変異されたも
の等が挙げられる(特開平5−219956号)。
【0006】本発明で用いるプラスミドとしては、例え
ばエシェリヒア属、バチルス属またはセラチア属に属す
る微生物に保持され、かつ遺伝子が発現できるものが挙
げられる。好ましくはエシェリヒア属に属する微生物に
保持されているプラスミドである。該プラスミドとして
は、例えばpXBA312(エシェリヒア・コリDRK−
3323[pXBA312](FERM BP−2117)
由来、特開平2−502065号公報)、pXBRP31
9(エシェリヒア・コリMM44/pXBRP319(I
FO 15721, FERM BP−4724)]由来、
後述の実施例1参照]、およびそれらの誘導体等が挙げ
られる。本発明の微生物としては、ビオチン生成蓄積能
を有する微生物であればよく、例えばエシェリヒア(Esc
herichia)属、バチルス(Bacillus)属またはセラチア(Se
rratia)属などに属する微生物が挙げられる。このうち
エシェリヒア属に属する微生物が好ましい。該微生物と
しては、例えばエシェリヒア・コリ(Escherichiacoli)
などが挙げられ、好ましい例としては後述の実施例1で
得られたエシェリヒア・コリANA91/pXBRP3
19(IFO 15771, FERM BP−4928)
等が挙げられる。
【0007】本発明のニコチン酸アナログ耐性およびビ
オチンオペロンの一部ないし全部を含むプラスミドを有
する微生物としては、好ましくはニコチン酸アナログ耐
性およびビオチンオペロンの一部ないし全部を含むプラ
スミドで形質転換された微生物である。本発明の微生物
は、例えば親株となる微生物にニコチン酸アナログ耐性
を付与し、得られたニコチン酸アナログ耐性株にビオチ
ンオペロンの一部ないし全部を含むプラスミドを導入す
る、あるいは、親株となる微生物にビオチンオペロンの
一部ないし全部を含むプラスミドを導入し、得られた微
生物にニコチン酸アナログ耐性を付与する、またはビオ
チンオペロンの一部ないし全部を含むプラスミドを保持
している親株となる微生物にニコチン酸アナログ耐性を
付与することにより得られる。本発明で用いる親株とな
る微生物としては、ビオチン生成蓄積能を有する微生物
であればいずれでもよく、例えばエシェリヒア(Escheri
chia)属、バチルス(Bacillus)属またはセラチア(Serrat
ia)属に属する微生物等が挙げられる。エシェリヒア属
に属する微生物としては、例えばエシェリヒア・コリ(E
scherichia coli)に属する微生物などが挙げられ、具体
的にはエシェリヒア・コリ IFO 14410、エシ
ェリヒア・コリ W−3110(IFO 12713)お
よびその由来株エシェリヒア・コリ DR−85(特開
昭61−202686号)、エシェリヒア・コリ DR
−332(特開昭62−155081号)、エシェリヒア
・コリDRK−3323(特表平2−502065号)、
エシェリヒア・コリ BM4062(特表昭64−50
0081号)、後述の実施例1で得られたエシェリヒア
・コリ MS10/pXBRP319(IFO 1557
0, FERM BP−4927)などが挙げられる。上
記のエシェリヒア・コリ IFO 14410およびエ
シェリヒア・コリ IFO 12713は、リスト・オ
ブ・カルチャーズ(List of Cultures)第9版、1992
年(IFO発行)にそれぞれ収載されている公知株であ
り、財団法人発酵研究所から入手することができる。
【0008】バチルス属に属する微生物としては、例え
ばバチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)に属
する微生物などが挙げられ、より具体的にはバチルス・
スフェリカスIFO 3525およびその由来株バチル
ス・スフェリカスNZ−8802(特開平4−1189
4号)など挙げられる。上記のバチルス・スフェリカス
IFO 3525は、リスト・オブ・カルチャーズ(Lis
t of Cultures)第9版、1992年(IFO発行)に収載
されている公知株であり、財団法人発酵研究所から入手
できる。セラチア属に属する微生物としては、例えばセ
ラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)に属す
る微生物などが挙げられ、具体例としてはセラチア・マ
ルセッセンスSn 41およびその由来株セラチア・マル
セッセンスTA5024(特開平2−27980号)、セ
ラチア・マルセッセンスSB411およびその由来株セ
ラチア・マルセッセンスET2、セラチア・マルセッセ
ンスETA23(特開平5−199867号)などが挙げ
られる。上記した微生物は、そのまま用いてもよいが、
さらにこれらの変異株を用いてもよい。これらの微生物
の中で、ビオチンオペロンの一部ないし全部を含むプラ
スミドを保持しないものは、必要に応じ、後工程で、ビ
オチンオペロンの一部ないし全部を含むプラスミドを導
入すればよい。
【0009】ニコチン酸アナログ耐性株を得る方法とし
ては、自体公知の方法、例えばN−メチル−N'−ニト
ロ−N−ニトロソグアニジン(N−methyl−N'−nitro
−N−nitrosoguanidine, 以下、NTGと略すこともあ
る)などの薬剤で処理する方法、紫外線で照射する方法
などが挙げられる。次に変異処理した菌体の懸濁液を適
当な濃度、例えば親株が生育できない濃度のニコチン酸
アナログを含む培地(例、寒天平板培地)にまき、生育す
るコロニーを分離することによりニコチン酸アナログ耐
性株を得ることができる。上記の方法で得られたニコチ
ン酸アナログ耐性株を培養し、培養上清中のビオチンを
定量することによりビオチンの蓄積量が向上した菌を選
ぶことができる。ビオチンオペロンの一部ないし全部を
含むプラスミドを導入する方法としては、自体公知の方
法に従って行えばよい。まず、ビオチンオペロンの一部
ないし全部を含むプラスミドを構築する方法としては自
体公知の方法、例えば、制限酵素によるDNAの切断、
T4DNAリガーゼによるDNAの結合などを行い、目
的とするプラスミドを構築する方法[モレキュラー・ク
ローニング,ア・ラボラトリー・マニュアル・コールド
・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Molecular Clo
nig, A Laboratory Manual, ColdSpring Habor Laborat
ory)1982]等が挙げられる。上記のプラスミドを用
いて宿主細菌を形質転換する方法としては、自体公知の
方法、例えばエシェリヒア属に属する細菌を宿主とする
場合は、上記のモレキュラー・クローニング,ア・ラボ
ラトリー・マニュアル・コールド・スプリング・ハーバ
ー・ラボラトリー(Molecular Cloning A Laboratory Ma
nual, Cold Spring Habor Laboratory), 1982に記
載されている方法等が挙げられる。
【0010】上記の方法により得られた本発明の微生物
を培地で培養し、ビオチンを培地に生成させる。本発明
の培養に用いられる培地は、用いられる微生物が利用し
得る栄養源を含むものなら、液状でも固状でもよいが、
大量に処理するとこには液体培地を用いるのがより適当
である。培地には同化し得る炭素源、消化し得る窒素
源、無機物質、微量栄養素等が適宜配合される。炭素源
としては、例えばブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、デ
キストリン、澱粉、マンニトール、ソルビトール、グリ
セロール、油脂類(例、大豆油、オリーブ油、ヌカ油、
ごま油、ラード油、チキン油など)、各種脂肪酸(例、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸など)等が用いられる。窒素源として
は、例えば肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、大豆粉、
脱脂大豆粉、コーン・スチープ・リカー、ペプトン、綿
実粉、癈糖蜜、尿素、チオ尿素、アンモニア、アンモニ
ウム塩類(例、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなど)等が用いら
れる。さらにナトリウム、カリウム、カルシウム、マグ
ネシウムなどを含む塩類、鉄、マンガン、亜鉛、コバル
ト、ニッケルなどの金属塩類、リン酸、ホウ酸などの塩
類、酢酸、プロピオン酸などの有機酸の塩類が適宜用い
られる。さらに、アミノ酸(例、グルタミン酸、アスパ
ラギン酸、アラニン、リジン、バリン、メチオニン、プ
ロリン等)、ペプチド(例、ジペプチド、トリペプチド
等)、ビタミン類(例、B1、B2、ニコチン酸、B12、C
等)、核酸類(例、プリン、ピリミジンおよびその誘導
体)等を用いてもよい。培地のpHを調節する目的で無機
または有機の酸、アルカリ類等を加えてもよく、あるい
は消泡の目的で油脂類、表面活性剤等の適量が使用され
る。培地のpHは約4〜10が好ましく、特にpH約6〜
9が好ましい。
【0011】培養の手段としては静置培養、振とう培
養、通気撹拌培養のいずれでもよい。大量の培養の際は
通気撹拌培養が好ましい。培養の温度は約15〜37
℃、好ましくは約30〜37℃である。培養時間は培養
条件によって適宜選択されるが約1〜10日、好ましく
は約2〜4日である。培養方法としては自体公知の方
法、例えばバッチ培養、フィード培養などが挙げられ
る。得られた培養液を遠心分離し、その上清に蓄積され
たビオチンを定量する。ビオチンの定量方法としては、
自体公知の方法に従えばよく、例えば、ラクトバチルス
・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を定量菌と
するバイオアッセイ法(「ザ・ビタミンズ」(The Vitamin
s), 第7巻、303頁(1967)、「ビタミン学、実験
法[II]」475頁、日本ビタミン学会編(1985年)
等)等が挙げられる。上記の方法で微生物を培養し、培
養物中にビオチンを生成蓄積させ、次のこの培養物から
ビオチンを採取する。生成したビオチンは主として培養
濾液中に存在するので、培養液を自体公知の方法(例、
濾過、遠心分離等)により濾液と菌体を分離し、得られ
た濾液からビオチンを分離、精製するのが有利である。
また、培養液から直接に精製してもよい。上記の分離、
精製する方法としては、例えば、適当な溶媒に対する溶
解性および溶解度の差、溶液からの析出法および析出速
度の差、種々の吸収親和力の差、イオン交換体によるイ
オン交換クロマトグラフィーあるいは減圧濃縮、凍結乾
燥、結晶化、再結晶、乾燥などの手段が単独あるいは任
意の順序に組み合わせて、または反復して利用される。
本発明で得られるビオチンは、医薬品や化粧品の原料、
飼料添加物等として使用しうる。
【0012】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。培地中の%はW/V%を示す。下記実施例
で得られたエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)MS
10/pXBRP319およびエシェリヒア・コリ(Esch
erichia coli)ANA91/pXBRP319は、199
4年12月2日より各々受託番号IFO 15770お
よびIFO 15771として財団法人発酵研究所(I
FO)に寄託され、また1994年12月12日よりブ
タペスト条約下受託番号 FERM BP−4927お
よびFERM BP−4928として通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所にそれぞれ寄託されてい
る。
【0013】実施例1 (1)エシェリヒア・コリDRK−3323/pXBA3
12(FERM BP−2117)(特表平2−5020
65号)から単離したプラスミドpXBA312(図2参
照)を制限酵素EcoRIで切断した後、PstIで部分分
解し、アガロースゲル電気泳動、電気溶出法により完全
長のビオチンオペロンを含むEcoRI−PstI断片(6.
0Kbp)を単離した。得られたpXBA312のEcoRI
−PstI断片とプラスミドpBR322のEcoRI−Ps
tI断片(3.6Kbp)とを連結してプラスミドpXBA3
19を得た。プラスミドpMW119(ニッポンジーン、
日本)を制限酵素AatIIとAvaIで切断後、アガロー
スゲル電気泳動と電気溶出法により、AatII−AvaI
断片(0.4Kbp)を得、次いでブランティングキット(宝
酒造、日本)を用いて、AatII−AvaI断片の両端を
平滑化した。得られた断片をpXBR319のSmaI部
位に連結することによりプラスミドpXBRP319を
得た。 (2)エシェリヒア・コリ IFO 14410[(財)発
酵研究所より入手]をNTGで変異処理して得られた優
良株に上記(1)で得られたプラスミドpXBRP319
を導入し、さらにNTGで変異処理したのち各種の薬剤
耐性株を分離した。この中からビオチン蓄積量が多い菌
株を選び、エシェリヒア・コリMM44/pXBRP3
19(FERM BP−4724)を得た。 (3)上記(2)で得られたエシェリヒア・コリMM44/
pXBRP319を20mlの2xYT培地(酵母エキス1
0g/L、ペプトン16g/Lおよび塩化ナトリウム5g
/L含有)に接種し、37℃で16時間振とう培養し
た。得られた培養液の0.2mlを20mlの2xYT培地に
移し、37℃で6時間振とう培養した。得られた培養液
を遠心分離し、集められた菌体をTM緩衝液(マレイン
酸5.08g/L、トリス6.05g/L、pH6.0)で2
回洗浄した。この洗浄菌体を200μg/mlのNTGを
含むTM緩衝液に懸濁し、37℃で25分間処理した。
遠心分離して処理菌体を集め、TM緩衝液で2回洗浄し
たのち、同じ緩衝液に懸濁した。得られた懸濁液を、1
mg/mlβ−クロロ−D−アラニン、4μg/mlチアミン
塩酸塩および20μg/mlカザミノ酸を含むM9最少培
地の寒天平板にまき、37℃で5日間放置することによ
ってβ−クロロ−D−アラニン耐性株のコロニーが出現
し、このうち1株を選び、エシェリヒア・コリBD10
/pXBRP319(FERM BP−4725)を得
た。 (4)上記(3)で得られたエシェリヒア・コリ BD10
/pXBRP319(FERM BP−4725)をNT
Gで変異処理したのち各種の薬剤耐性株を分離した。こ
の中からビオチン蓄積量が多い菌株を選び、エシェリヒ
ア・コリMS10/pXBRP319を得た。 (5)上記(4)で得られたエシェリヒア・コリMS10/
pXBRP319を20mlの2xYT培地(酵母エキス1
0g/L、ペプトン16g/Lおよび塩化ナトリウム5g
/L含有)に接種し、37℃で16時間振とう培養し
た。得られた培養液の0.2mlを20mlの2xYT培地に
移し、37℃で6時間振とう培養した。得られた培養液
を遠心分離し、集められた菌体をTM緩衝液(マレイン
酸5.08g/L、トリス6.05g/L、pH6.0)で2
回洗浄した。この洗浄菌体を200μg/mlのNTGを
含むTM緩衝液に懸濁し、37℃で25分間処理した。
遠心分離して処理菌体を集め、TM緩衝液で2回洗浄し
たのち、同じ緩衝液に懸濁した。得られた懸濁液を、3
0μg/ml6−アミノニコチンアミド、4μg/mlチアミ
ン塩酸塩および20μg/mlカザミノ酸を含むM9最少
培地の寒天平板にまき、37℃で5日間放置することに
よって6−アミノニコチンアミド耐性株のコロニーが出
現した。このうち1株を選び、エシェリヒア・コリAN
A91/pXBRP319(FERM BP−492
8)と命名した。
【0014】実施例2 実施例1で得られたエシェリヒア・コリANA91/p
XBRP319をグルコース2%、炭酸カルシウム1
%、コーン・スチープ・リカー4%、硫安0.4%、K
2PO4 0.1%、K2HPO4 0.2%およびMgSO4
・7H2O 0.01%からなる種培地(pH7.1)30ml
を含む200ml容ひだ付フラスコで37℃で16時間振
とう培養した。得られた培養液の0.6mlをグルコース
5%、コーン・スチープ・リカー5%、硫安0.2%、
DL−アラニン0.3%、KH2PO40.1%、K2HP
4 0.2%、MgSO4・7H2O 0.01%、FeSO
4・7H2O 0.001%、MnSO4・4〜6H2
0.001%およびチアミン塩酸塩0.002%からなる
種培地(pH7.1)30mlを含む200ml容ひだ付フラス
コに移し、37℃で30時間振とう(220回転/分)培
養した。培養後の培養液を遠心分離し、培養上清中のビ
オチンを定量したところ、160mg/mlのビオチンが蓄
積していることがわかった。
【0015】実施例3 実施例1で得られたエシェリヒア・コリANA91/p
XBRP319をグルコース2%、炭酸カルシウム1
%、コーン・スチープ・リカー4%、硫安0.4%、K
2PO4 0.1%、K2HPO4 0.2%、MgSO4・7
2O 0.01%、FeSO4・7H2O 0.05%、チ
アミン塩酸塩0.002%およびテトラサイクリン塩酸
塩0.0012%からなる種培地(pH7.1)125mlを
含む500ml容ひだ付フラスコで37℃、210回転/
分で16時間振とう培養した。得られた培養液全量をグ
ルコース3%、コーン・スチープ・リカー6%、硫安
0.2%、KH2PO4 0.1%、K2HPO4 0.2%、
MgSO4・7H2O 0.02%、DL−アラニン0.3
%、MnSO4・4〜6H2O 0.003%、FeSO4
7H2O 0.003%、Fe2(SO4)3・nH2O 0.0
2%、チアミン塩酸塩0.002%、25%アンモニア
水1.6ml/Lおよびアクトコール(武田薬品工業(株)
製、消泡剤)0.02%からなる主培地(pH7.1)2.5
Lに移し、5L容ジャーファーメンタ中で37℃、通気
量2.5L/分で培養した。撹拌数は、菌体量に比例し
て、550回転から850回転まで上昇していき、ま
た、グルコース濃度は、0.1から0.5%の範囲になる
ように66.7%グルコース水溶液を連続添加した。培
養中は、pHが6.5から7.0の範囲になるように25
%アンモニア水で制御し、また、泡がたたないように随
時、アクトコールを添加した。このようにして、72時
間培養した結果、ビオチン550mg/Lを含む培養液を
得た。
【0016】
【発明の効果】本発明の微生物は優れたビオチン生産能
を有しており、この微生物を培養することにより、ビオ
チンを大量に生産することができる。
【0017】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:114 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) 配列 CGTCCGTTGT CATAATCGAC TTGTAAACCA AATTGAAAAG ATTTAGGTTT ACAAGTCTAC 60 ACCGAATTAA CAACAAAAAA CACGTTTTGG AGAAGCCCCA TGGCTCACCG CCCA 114
【図面の簡単な説明】
【図1】 ビオチンオペロンの制御領域およびbioB開
始コドン近傍の塩基配列を示す。
【図2】 プラスミドpXBA312のDNAを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:07) (C12N 1/21 C12R 1:43) (C12P 17/18 C12R 1:19) (72)発明者 中濱 一雄 京都府長岡京市梅が丘1丁目16番地の2 (72)発明者 伊福 欧二 神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−1 株 式会社資生堂第2リサーチセンター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビオチンオペロンの一部ないし全部を含
    むプラスミドを有し、ニコチン酸アナログ耐性を示す微
    生物。
  2. 【請求項2】 微生物が、エシェリヒア(Escherichia)
    属、バチルス(Bacillus)属またはセラチア(Serratia)属
    に属する微生物である請求項1記載の微生物。
  3. 【請求項3】 ニコチン酸アナログが、6−アミノニコ
    チンアミドである請求項1記載の微生物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の微生物を培地で培養し、
    培養物中にビオチンを生成蓄積せしめ、これを採取する
    ことを特徴とするビオチンの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100825753B1 (ko) * 2006-11-21 2008-04-29 한국전자통신연구원 전도성 고분자를 포함하는 도전 패턴 형성 방법 및 이를이용한 분자 전자소자의 제조 방법

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