JPH08214522A - モータ構造 - Google Patents

モータ構造

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Publication number
JPH08214522A
JPH08214522A JP1764495A JP1764495A JPH08214522A JP H08214522 A JPH08214522 A JP H08214522A JP 1764495 A JP1764495 A JP 1764495A JP 1764495 A JP1764495 A JP 1764495A JP H08214522 A JPH08214522 A JP H08214522A
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JP
Japan
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rotor
brush
commutator
torque
motor
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Withdrawn
Application number
JP1764495A
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English (en)
Inventor
Jiro Kondo
二郎 近藤
Eiji Hiraki
英治 平木
Masaru Kawamura
賢 河村
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直流モータのトルク特性を非線形なものにす
る変更を、電気的制御手段を用いずに機械的な機構を用
いて行い、重量軽減化、コスト低減化を図る。 【構成】 ハウジング1により軸受けされたロータ3の
各アーマチュア巻線が接続される各整流子片41aの左
端部範囲であって、周方向一部の範囲に絶縁部を形成す
る。ブラシ5,5を付勢部材7bで左方に付勢する一
方、ロータから右方に延ばしたばね部材7e,7e,…
でブラシを整流子の右端部範囲に支持する。各ばね部材
の錘部材7fがロータの回転に伴う遠心力で外方変位す
ることによりブラシを絶縁部形成範囲の整流子の左端部
位置に相対移動させる。絶縁部で通電が遮断される分、
高回転域で実行的な印加電圧を低下させて電流を減ら
す。整流子とブラシとの摩擦力、通電に伴う発熱でブラ
シの相対位置を変更してもよく、また、遠心力等でブラ
シを相対回転させてコイル抵抗を変化させてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用もしくは一般
産業用の動力源として用いられる永久磁石界磁型の直流
モータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、永久磁石界磁型の直流モータに
おいて、回転数に対する発生トルクの特性は、界磁の強
さがほぼ一定であるため、図51にMで示すように回転
数に反比例して電圧値に応じて定まる所定の傾きの線形
のものとなる。すなわち、起動域では高トルクが発揮さ
れて高回転数域に移行するにつれて発生するトルクは上
記所定の傾きで低下する。一般には、同図にSで示す起
動域での使用頻度が高く、同図にUで示す高回転数域で
の使用頻度は低い傾向にあるものの、その高回転数域で
も所定のトルクが発揮されるようになっている。
【0003】そして、上記直流モータは、使用頻度の如
何に拘らず上記のS及びUで示す両回転数域での要求ト
ルクを共に満足するトルク特性を有するように設計さ
れ、このトルク特性に応じて直流モータのサイズが決ま
り、サイズにほぼ比例して重量及びコストが定まる。こ
のため、上記起動域Sでの要求トルクはそう高くないに
も拘らず、使用頻度の低い上記高回転数域Uでの要求ト
ルクが比較的高い場合には、上記起動域Sの要求トルク
を基準に上記の所定傾きを有するトルク特性にすると、
上記高回転数域Uでの上記要求トルクを満足しないこと
になるため、上記高回転数域Uでの要求トルク値を基準
に上記の所定傾きを有するトルク特性が決定される。こ
の結果、起動域においては発生トルクが上記要求トルク
よりも大きくなって過剰品質になる上、直流モータ自体
のサイズの増大に伴い重量及びコストも増大する。
【0004】例えば、自動車分野におけるパワーウイン
ド用モータにおいては、上記の図51にPで示すよう
に、使用頻度の高い起動域や作動中にはそれ程高いトル
クは必要がないものの、使用頻度の低いウインドを締め
切る直前の高回転数域では比較的高いトルクを必要とし
ており、この高回転数域でのトルク要求値を基準にして
トルク特性を定めると、上記の起動域等の使用頻度の高
い定格運転領域での性能が過剰となってサイズ,重量,
コストの増大化を招くことになる。逆に、上記の自動車
分野でもワイパ用モータにおいては、上記の図51にW
で示すように、使用頻度の低い起動域では高トルクを必
要とする一方、動き始めた後の使用頻度の高い作動中に
は回転数の如何に拘らず低トルクでよい、という要求特
性を有しており、この場合においても両回転数域での特
性を共に満足させるために、起動域の高トルク要求値を
基準にしてトルク特性を定めると、使用頻度の高い作動
中の定格運転領域での性能が過剰となって、上記と同様
にサイズ,重量,コストの増大化を招くことになる。
【0005】従って、直流モータを適用する対象の要求
トルク特性に応じて発生トルクの特性を変更してトルク
特性を非線形なものにする技術の開発が求められてい
る。
【0006】一方、従来より、直流モータにおいて、発
生するトルクをスイッチ回路によって変更制御するもの
が提案されている(特開昭59−169373号公報参
照)。このものでは、モータの動作状態に応じて異なる
レベルの基準電圧を予め設定記憶させ、起動時に基準電
圧をスイッチ回路を用いて電気的に切換制御するもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記提案の
モータ構造においては、発生トルクの変更を電気的に制
御することにより行うようにしているため、そのための
特別な制御回路等の電気的制御手段が必要となり、かえ
ってコストの増大化を招くという問題がある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、直流モータに
おいて、トルク特性を非線形なものにする変更を、電気
的制御手段を用いずに機械的な機構を用いて行うことに
より重量の軽減化、及び、コストの低減化を図ることに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、アーマチュア巻線(電気子巻線)を有し
ハウジング内に軸回りに回転可能に支持されたロータ
と、上記ハウジング内に固定された界磁磁極と、上記ロ
ータ側に設けられ上記アーマチュア巻線に接続された整
流子と、この整流子に接触して電流を流すブラシとを備
えた界磁型直流モータを前提として、以下の如く構成す
るものである。
【0010】請求項1記載の発明は、上記モータの回転
に連係してモータの機械的状態を変化させることにより
上記モータの発生トルクを回転数に応じて変更調整する
トルク変更手段を設ける構成とするものである。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明におけるトルク変更手段を、次のような電圧変更手段
により構成するものである。そして、この電圧変更手段
を、回転軸方向に対する整流子とブラシとの相対位置を
ロータの回転に連係して変更する作動機構と、上記回転
軸方向に対し上記ブラシの幅より少なくとも大の長さを
有し整流子を構成する各整流子片の回転軸方向の一部領
域でかつ周方向の一部領域に形成された絶縁部とを備え
るものとし、上記各整流子片とブラシとが相対向する回
転軸方向範囲に上記絶縁部が位置するように上記各整流
子片とブラシとの相対位置を上記作動機構により変更す
ることによってアーマチュア巻線に対する印加電圧の大
小を変更調整するように構成する。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、ロータの外周面に形成された複数のスロッ
トに互いに絶縁された二重のアーマチュア巻線を巻回
し、一方のアーマチュア巻線に接続された整流子片と、
他方のアーマチュア巻線に接続された整流子片とを整流
子の外周方向に交互に配置する。そして、上記請求項1
記載の発明におけるトルク変更手段を、以下の抵抗変更
手段により構成する。すなわち、この抵抗変更手段を、
回転軸方向に対する整流子とブラシとの相対位置をロー
タの回転に連係して変更する作動機構と、少なくとも上
記ブラシの回転軸方向幅に対応する長さを有し上記一方
のアーマチュア巻線に接続された整流子片の回転軸方向
の一部領域に形成された絶縁部とを備えるものとし、上
記各整流子片とブラシとが相対向する回転軸方向範囲に
上記絶縁部が位置するように上記各整流子片とブラシと
の相対位置を上記作動機構により変更することによって
各スロット内のアーマチュア巻線の抵抗を変更するよう
に構成する。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の発明における作動機構として、以下の構成
の作動部材を備えるものとする。すなわち、ブラシを整
流子に対し回転軸方向に移動可能に支持し、このブラシ
側もしくはロータ側の一方に対し回転軸方向に延びた一
端が取付けられ、他方に対し他端が当接されて上記ブラ
シを回転軸方向所定位置に位置付ける作動部材であっ
て、ロータの回転に伴い発生する遠心力により外周側に
開作動されて上記ブラシの整流子に対する位置を回転軸
方向に変更可能に位置付ける構成とするものである。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の発明における作動機構として、以下の構成
の支持部材を備えるものとする。すなわち、支持部材
を、回転軸方向に延びてブラシを回転軸方向から弾性支
持し、かつ、ロータの回転に伴い上記ブラシに作用する
摩擦力により螺旋状に捩じられて上記ブラシの整流子に
対する位置を回転軸方向に変更可能に支持する構成とす
るものである。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の発明における作動機構として、以下の構成
の形状記憶合金製支持部材を備えるものとする。すなわ
ち、支持部材を、回転軸方向に配置されてブラシを回転
軸方向から支持し、かつ、ロータへの電流の通電に伴い
発生するハウジング内の熱により上記回転軸方向に伸縮
して上記ブラシを整流子に対し回転軸方向に移動可能に
支持する構成とするものである。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項2または請
求項3記載の発明において、ロータの回転軸に減速用の
ウォームギヤを噛み合わし、作動機構を以下の如く構成
するものである。すなわち、作動機構として、上記ロー
タを整流子及び回転軸と一体にハウジングに対し回転軸
方向に相対移動可能に支持する支持部と、上記ロータを
上記ウォームギヤ側に付勢する付勢部材とを備えるもの
とし、モータの回転に伴い上記ウォームギヤ側から上記
付勢部材による付勢力に抗してロータに作用するスラス
ト反力によりブラシに対する整流子の相対位置を変更調
整する構成とするものである。
【0017】請求項8記載の発明は、請求項1記載の発
明におけるトルク変更手段を、アーマチュア巻線に流れ
る電流と鎖交する界磁磁束の強さをロータの回転に連係
して変更調整する磁束変更手段により構成するものであ
る。
【0018】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明における磁束変更手段を、ブラシを整流子に対しその
整流子の回りに回転可能に支持し、かつ、ロータの回転
に連係して上記ブラシを整流子に対する中性軸位置から
回転移動させる作動機構を備えるものとし、上記ブラシ
を上記ロータの回転に応じて回転移動させることにより
ロータに対する起磁力を変更調整する構成とするもので
ある。
【0019】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
発明における作動機構を、以下の如く構成するものであ
る。すなわち、ブラシを中性軸位置と回転移動位置との
相互間に回転案内する螺旋状のガイド溝と、上記ブラシ
を回転軸方向の上記回転移動位置側に付勢する付勢部材
とを設ける。加えて、回転軸方向に延びて上記ブラシを
上記付勢部材の付勢力に抗して上記中性軸位置に位置付
け、かつ、ロータの回転に伴い発生する遠心力により外
周側に開いて上記ブラシを上記付勢部材の付勢力により
上記回転移動位置側への回転移動を許容する作動部材を
備える構成とするものである。
【0020】請求項11記載の発明は、請求項9記載の
発明における作動機構として、以下の構成のばね部材を
備える構成とするものである。すなわち、ばね部材とし
て、ブラシとハウジングとの間に放射方向に配設されて
そのブラシを外周方向から弾性支持し、かつ、ロータの
回転に伴い上記ブラシに作用する回転方向の摩擦力によ
り弾性変形して上記ブラシを整流子の回りに回転移動さ
せる構成とするものである。
【0021】請求項12記載の発明は、請求項9記載の
発明における作動機構として、以下の形状記憶合金製作
動部材を備える構成とするものである。すなわち、この
作動部材として、ブラシとハウジングとの間に配設され
てブラシを支持し、かつ、ロータへの電流の通電に伴い
発生するハウジング内の熱により変形して上記ブラシを
整流子の回りに回転移動させる構成とするものである。
【0022】請求項13記載の発明は、請求項8記載の
発明における磁束変更手段を、以下の構成のロータを備
える構成とするものである。すなわち、ロータを、これ
を横切る磁束の周波数が低周波域にあるときに透磁率が
高く高周波域側で透磁率が低下する鉄系材料により塊状
に一体に形成し、これにより、ロータの回転に応じて磁
気抵抗を変更するように構成する。
【0023】請求項14記載の発明は、請求項8記載の
発明における磁束変更手段を、以下の構成の漏れ磁束変
更手段により構成するものである。すなわち、漏れ磁束
変更手段を、高透磁率材料により形成されロータの各ス
ロット内の外周側位置に配置された磁性ウェッジを、上
記ロータの回転に伴い作用する遠心力により各スロット
内をその開口縁側に移動可能に弾性支持することによ
り、上記磁性ウェッジを介した漏れ磁束をモータの回転
数に応じて変更調整するように構成するものである。
【0024】請求項15記載の発明は、請求項8記載の
発明における磁束変更手段を、以下の構成の漏れ磁束変
更手段により構成するものである。すなわち、漏れ磁束
変更手段として、ロータの各スロットの開口縁を形成す
る両ティース間を連結片により閉止し、上記各連結片
を、モータの起動域で通電される電流により発熱するロ
ータの各スロット内の温度より低く、かつ、モータの常
用回転数域で通電される電流により発熱する上記各スロ
ット内の温度より高い温度をキュリー点として有する材
料で形成することにより、上記各連結片を介した漏れ磁
束をモータの回転数に応じて変更調整するように構成す
るものである。
【0025】請求項16記載の発明は、請求項1記載の
発明におけるトルク変更手段を、アーマチュア巻線を流
れる電流と、界磁磁極からの磁束とが鎖交する長さであ
る機械長さをモータの回転数に応じて変更する機械長さ
変更手段により構成するものである。
【0026】また、請求項17記載の発明は、請求項1
6記載の発明における機械長さ変更手段を、以下の如く
構成するものである。すなわち、上記機械長さ変更手段
を、ハウジングにより回転軸方向に相対移動しないよう
に軸受けされた回転軸に対し、その回転軸に沿って相対
移動可能で、かつ、回転力伝達可能に嵌合されたロータ
を備えるものとする。加えて、上記回転軸方向に延びて
上記ロータを回転軸方向から支持し、かつ、上記ロータ
の回転に伴い発生する遠心力により外周側に開いて上記
ロータを回転軸体に対し回転軸方向に移動可能に支持す
る作動機構を備える構成とするものである。
【0027】さらに、請求項18記載の発明は、請求項
16記載の発明において、ロータの回転軸に減速用のウ
ォームギヤを噛み合わせ、機械長さ変更手段を以下の如
く構成するものである。すなわち、機械長さ変更手段
を、上記ロータを回転軸と共にハウジングに対し回転軸
方向に相対移動可能に支持する支持部と、上記ロータを
上記ウォームギヤ側からのスラスト反力に対抗するよう
付勢する付勢部材とを備えるものとし、モータの回転に
伴い上記ウォームギヤ側からロータに作用するスラスト
反力により界磁磁極に対するロータの回転軸方向の相対
位置を変更調整するように構成する。
【0028】
【作用】上記の構成により、請求項1記載の発明では、
トルク変更手段によって、ロータの回転に連係してその
モータの機械的状態、すなわち、ブラシから整流子を介
してアーマチュア巻線への電流の流れ状態、ロータを横
切る磁束の状態等が変化され、その結果、モータの発生
トルクの大小を定める電流,磁束,もしくは,コイルの
機械長さ(有効長さ)の3要素の内のいずれかが変化す
るため、モータの発生トルクが機械的状態を変化させな
い場合の基準のトルク特性とは異なるものに変更され
る。このため、ロータの回転数に応じてモータの発生ト
ルクを基準トルク特性とは異なるものへ変更することが
可能になる。
【0029】請求項2記載の発明では、上記請求項1記
載の発明におけるトルク変更手段が電圧変更手段により
構成され、この電圧変更手段の作動機構によりロータの
回転に連係してブラシと整流子との回転軸方向の相対位
置が変更される。そして、この相対位置の変更によって
上記ブラシが整流子の各整流子片の絶縁部とそうでない
導電部との間を行き来し、上記ブラシが導電部に位置す
るときにはアーマチュア巻線に対して通電され、絶縁部
に位置するときにはその通電が停止される。この際、上
記絶縁部は各整流子片の周方向一部領域に形成されてい
るため、各整流子片がブラシに対して相対回転する際に
アーマチュア巻線に対する通電時間が上記絶縁部を通過
する時間だけ短くなり、その分、アーマチュア巻線に対
する見掛け上の印加電圧が低下する。この印加電圧の低
下により見掛け上の電流値が低下する結果、モータの発
生トルクが低下する。このため、ロータの回転数に基づ
いて発生トルクの変更が可能となる。
【0030】請求項3記載の発明では、上記請求項1記
載の発明におけるトルク変更手段が抵抗変更手段により
構成され、この抵抗変更手段の作動機構によりロータの
回転に連係してブラシと整流子との回転軸方向の相対位
置が変更される。そして、この相対位置の変更によって
上記ブラシが整流子の絶縁部の形成された側とそうでな
い導電部側との間を行き来し、上記ブラシが導電部に位
置するときにはアーマチュア巻線に対して通電され、絶
縁部に位置するときにはその通電が停止される。この
際、1つのスロットに互いに絶縁されて二重に配置され
たアーマチュア巻線の一方が接続された整流子片と、他
方が接続された整流子片とが整流子の周方向に交互に配
置され、しかも、上記絶縁部が上記一方のアーマチュア
巻線が接続された整流子片にのみ形成されているため、
上記ブラシが回転軸方向に対し絶縁部の形成された側に
位置するときには1つのスロット内の一方のアーマチュ
ア巻線にのみ通電され、導電部側に位置するときには上
記1つのスロット内の双方のアーマチュア巻線に通電さ
れることになる。このため、ブラシが上記絶縁部の形成
された側に位置するときのコイル抵抗は導電部側に位置
するときの2倍になり、電流が1/2になり、この結
果、モータの発生トルクが低下する。従って、ロータの
回転数に基づいて発生トルクの変更が可能となる。
【0031】請求項4記載の発明では、上記請求項2ま
たは請求項3記載の発明におけるブラシが整流子に対し
回転軸方向に移動可能に支持される。そして、ロータの
回転数が低い、従って、作用する遠心力が小さいときに
は、上記ブラシが作動部材より整流子に対する所定位置
に位置付けられる一方、上記ロータの回転数が高く、従
って、上記遠心力が大きくなると上記作動部材がその遠
心力によって外周側に開作動されて、その開いた分、上
記ブラシの整流子に対する相対位置が回転軸方向に変化
する。
【0032】請求項5記載の発明では、上記請求項2ま
たは請求項3記載の発明におけるブラシが支持部材によ
って整流子に対し回転軸方向所定位置に支持される。そ
して、ロータの回転数が高くなるにつれて整流子の周面
に接触するブラシに対し共回りさせる摩擦力が作用し、
この摩擦力によって上記支持部材が整流子の回転方向に
螺旋状に捩じられる。この捩じられる分、上記ブラシの
整流子に対する相対位置が回転軸方向に変化する。
【0033】請求項6記載の発明では、上記請求項2ま
たは請求項3記載の発明におけるブラシが支持部材によ
って整流子に対し回転軸方向所定位置に支持される。そ
して、上記支持部材は形状記憶合金により形成されて、
ロータのアーマチュア巻線への通電に伴う発熱により回
転軸方向に伸縮し、この伸縮に伴い上記ブラシの整流子
に対する相対位置が変化する。上記アーマチュア巻線に
は起動域で大電流が流れて高熱が発生する一方、高回転
域側になるにつれて小電流になって発熱も低下する。従
って、ロータの回転数に基づいて支持部材が伸縮してブ
ラシを回転軸方向に移動させることになる。
【0034】請求項7記載の発明では、上記請求項2ま
たは請求項3記載の発明におけるロータ回転軸に減速用
のウォームギヤが噛み合わされ、このウォームギヤの回
転作動に伴い上記ロータ回転軸にスラスト反力が作用す
る。ロータ回転軸及び整流子と一体のロータがハウジン
グに対し回転軸方向に相対移動可能に支持されているた
め、上記スラスト反力を受けて整流子がロータと共に回
転軸方向に移動することになる。一方、ロータには上記
スラスト反力と逆方向に付勢部材からの付勢力が作用す
るため、上記スラスト反力が上記付勢力より大きいと整
流子がブラシに対しそのスラスト反力作用方向に移動
し、逆に小さいと逆方向の付勢力作用方向に移動する。
ここで、上記スラスト反力は、ロータの低回転数域では
上記ウォームギヤの駆動トルクが大きいため大きくなる
一方、上記ロータの高回転数域では逆に小さくなるた
め、ロータの回転数に基づいてブラシに対する整流子の
回転軸方向相対位置を変化させることが可能になる。
【0035】請求項8記載の発明では、上記請求項1記
載の発明におけるトルク変更手段が、アーマチュア巻線
に流れる電流と鎖交する界磁磁束の強さをロータの回転
に連係して変更調整する磁束変更手段によって構成され
ているため、ロータの回転に連係して界磁磁束が変化す
るに伴い、モータの発生トルクが基準のものから変化す
る。
【0036】請求項9記載の発明では、上記請求項8記
載の発明における磁束変更手段がロータに対する起磁力
を変更調整するように構成されているため、界磁磁束の
強さの変更を具体的に実現し得る。すなわち、整流子の
回りにブラシが回転可能に支持され、このブラシが作動
機構によって整流子に対する中性軸位置から回転移動さ
れる。そして、このブラシが界磁磁極のN局とS局との
境界位置にある上記中性軸位置の場合には、ロータの周
方向に隣接する複数のアーマチュア巻線間に働く力は全
て同じ回転方向のものになって発生するトルクが最大に
なる。一方、上記ブラシが上記中性軸位置回転移動され
ると、その回転移動位置と上記中性軸位置との間の周方
向範囲にあるアーマチュア巻線間に他のとは逆向きの力
が働き、この逆向きに働く力の分、発生するトルクが低
下する。従って、上記ブラシがロータの回転に連係して
作動機構により回転移動されることによってロータに対
する起磁力が変化され、この起磁力の変化に伴い磁束が
変化される。
【0037】請求項10記載の発明では、上記請求項9
記載の発明における作動機構が、螺旋状のガイド溝と、
付勢部材と、作動部材とによって構成されているため、
ブラシをロータの回転に連係して中性軸位置と回転移動
位置との間に回転移動させる作動機構が具体的に実現さ
れ、上記ブラシをロータの回転に連係して確実に回転作
動させ得る。すなわち、ロータの回転数が低く、従っ
て、作用する遠心力が小さいときには、上記ブラシが作
動部材より付勢部材の付勢力に抗して上記ガイド溝内の
中性軸位置に位置付けられ一方、上記ロータの回転数が
高く、従って、上記遠心力が大きくなると上記作動部材
が遠心力によって外周側に開作動されて、その開いた
分、上記付勢部材に押されて上記ブラシがガイド溝に沿
って回転移動位置側に回転作動される。この結果、上記
ブラシの整流子に対する相対回転位置が変化する。
【0038】請求項11記載の発明では、上記請求項9
記載の発明における作動機構が、ブラシをハウジングに
対し外周方向から弾性支持するばね部材を備えているた
め、ロータの回転数が低いときには整流子の回転に伴い
上記ブラシに作用する摩擦力は小さくブラシは上記ばね
部材により所定の相対回転位置に支持される。一方、ロ
ータの回転数が高くなるにつれて上記摩擦力が大きくな
り、この摩擦力が上記ばね部材の弾性支持力を超える
と、上記ブラシが上記整流子の回転に引きづられて回転
移動する。従って、上記のブラシを確実にロータの回転
に連係して回転作動させることが可能になる。
【0039】請求項12記載の発明では、上記請求項9
記載の発明における作動機構が、ブラシをハウジングに
対し支持する形状記憶合金製の作動部材を備えているた
め、ハウジング内の熱により変形して上記ブラシを整流
子に対し中性軸位置と回転移動位置との相互間にロータ
の回転に応じて回転作動させることが可能になる。すな
わち、ロータのアーマチュア巻線には起動域で大電流が
流れて高熱が発生する一方、高回転域側になるにつれて
小電流になって発熱も低下する。従って、ロータの回転
数に基づいて上記作動部材が変形してブラシが回転作動
される。
【0040】請求項13記載の発明では、上記請求項8
記載の発明における磁束変更手段が、所定の鉄系材料に
より塊状(バルク状)に一体に形成されたロータを用
い、つまり、本来のロータのごとく積層構造にするので
はなく塊状の一体構造にして積極的に渦電流を発生させ
るようにしたロータを用い、ロータ回転数に連係して磁
気抵抗を変更するように構成されているため、界磁磁束
の強さの変更を具体的に実現し得る。すなわち、渦電流
による磁気抵抗損失(渦電流損)は磁束がロータを横切
る速度に比例するため、起動直後の低回転数域では上記
塊状ロータを横切る磁束の周波数が低くそのロータ内に
渦電流はあまり流れず渦電流損は小さい。このため、ロ
ータの透磁率は高い状態を維持して、そのロータ内を通
過する有効磁束数が増大して発生トルクが増大する。一
方、ロータの回転数が上昇すると、上記塊状ロータを横
切る磁束の周波数が高くなりロータ内に流れる渦電流が
増大する。このため、ロータの透磁率が低下し、漏れ磁
束が増大してロータ内を通過する有効磁束数が低減する
結果、発生トルクは低下する。従って、ロータの回転に
連係してロータ自体の磁気抵抗が変化され、この磁気抵
抗の変化に伴い磁束が変化される。
【0041】請求項14記載の発明では、上記請求項8
記載の発明における磁束変更手段が、ロータの回転数に
応じて漏れ磁束を変更する漏れ磁束変更手段により構成
されているため、磁束の変更に伴う発生トルクの変更を
確実にかつ具体的に実現し得る。すなわち、起動直後の
低回転数域ではロータにはあまり遠心力が作用しないた
め、磁性ウェッジは各スロットの開口縁側より中心側位
置に弾性支持されて、各スロットの開口縁は開いた状態
になりこの開口縁が界磁磁極のN局とS局との境界位置
に位置しても、アーマチュア巻線に流れる電流と鎖交し
ないで上記開口縁を挾む両ティース間を通る漏れ磁束は
相対的に極めて少ないものに制限され、発生トルクは最
大状態になる。一方、上記ロータの回転数が増大する
と、作用する遠心力も増大して上記磁性ウェッジがその
遠心力によりロータの径方向に移動して上記開口縁を閉
止するようになる。このなると、この高透磁率材料によ
り形成された磁性ウェッジを通して漏れ磁束が増大し、
上記のアーマチュア巻線の電流と鎖交する有効な磁束が
低減するようになる。この結果、発生トルクは、上記磁
性ウェッジの移動前と比べ低下する。
【0042】請求項15記載の発明では、上記請求項8
記載の発明における磁束変更手段が、所定温度をキュリ
ー点として有する低キュリー点材料により形成されて両
ティース間を連結する連結片により構成されているた
め、磁束の変更に伴う発生トルクの変更を確実にかつ具
体的に実現し得る。すなわち、起動のために最大の電流
が通電されると、その起動直後の低回転数域においてそ
の通電に伴い発熱してハウジング内の温度が上記キュリ
ー点を超えて上昇し、上記連結片はその磁性を失い上記
両ティース間の磁気抵抗率が増大する。この結果、上記
両ティース間を通る漏れ磁束が極めて少ないものに制限
されて有効磁束数が増大し、発生トルクは最大状態にな
る。一方、回転数が増大すると通電電流が減り、発熱の
低下に伴いハウジング内の温度が上記連結片のキュリー
点より低下する。このため、その連結片の磁性が回復し
てこの連結片を通しての漏れ磁束が増大し、有効磁束が
低減するようになる。この結果、発生トルクは、上記の
高温状態、すなわち、低回転数域のときと比べ低下す
る。
【0043】請求項16記載の発明では、上記請求項1
記載の発明におけるトルク変更手段が、アーマチュア巻
線を流れる電流と、界磁磁極からの磁束とが鎖交する機
械長さをモータの回転数に応じて変更する機械長さ変更
手段により構成されているため、ロータの回転に連係し
て上記機械長さが変化するに伴い、モータの発生トルク
が基準のものから変化する。
【0044】また、請求項17記載の発明では、上記請
求項16記載の発明における機械長さ変更手段が、ロー
タに対し回転軸に沿って相対移動可能に貫通しかつ回転
力伝達可能に嵌合された回転軸体と、上記ロータの回転
に伴い発生する遠心力によりロータの径方向に開閉作動
されて上記ロータを回転軸方向に移動可能に支持する作
動機構とを備えているため、ロータの回転数に応じた機
械長さの変更を確実にかつ具体的に実現し得る。すなわ
ち、起動直後の低回転数域ではあまり遠心力は作用しな
いため、上記ロータは界磁磁極に対して所定の回転軸方
向位置に支持され、その位置での機械長さに応じたトル
クが発生する。一方、その状態から回転数が増大するに
つれて上記遠心力が増大し、この遠心力を受けて作動機
構が外周側に開いてロータを回転軸方向に相対移動させ
る。この結果、ロータと界磁磁極との回転軸方向の相対
位置が変化して機械長さが変化し、発生するトルクも変
化する。
【0045】さらに、請求項18記載の発明では、上記
請求項16記載の発明における機械長さ変更手段が、ロ
ータを回転軸と一体に回転軸方向に相対移動可能に支持
する支持部と、上記ロータをウォームギヤからのスラス
ト反力に対抗するよう付勢する付勢部材とを備えている
ため、請求項17記載の発明による場合と同様に、ロー
タの回転数に応じた機械長さの変更を確実にかつ具体的
に実現し得る。すなわち、起動直後の低回転数域では上
記ウォームギヤが大トルクで駆動されるため、その反力
として比較的大きなスラスト反力が上記回転軸に作用
し、この大スラスト反力によりロータが上記付勢部材の
付勢力に抗して回転軸方向に相対移動される。この結
果、上記ロータと界磁磁極との相対位置がずれて機械長
さが変化する。一方、回転数が増大するにつれて上記ウ
ォームギヤの駆動トルクが低減して上記スラスト反力も
低減する。この結果、そのスラスト反力よりも上記付勢
部材の付勢力が打ち勝ち、この付勢力によって上記ロー
タが逆向きに相対移動されて上記機械長さが元の状態に
復元する側に変化する。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。
【0047】以下の各実施例は、本発明における界磁型
直流モータ(以下、単にモータという)の発生トルクの
変更を、電流iの大小を機械的に変更することにより達
成するもの(第1)、磁束の強さ(磁束密度B)を機械
的に変更することにより達成するもの(第2)、機械長
さ(コイルの有効長さL)を機械的に変更することによ
り達成するもの(第3)の3つのグループに大別され
る。これは、モータの発生トルクTを表す下記の(1)
式において、i,B,Lのいずれかを変化することによ
りTを変化させることができることに基づくものであ
る。
【0048】 T=i・B・L ………(1) そして、上記の第1のグループが、アーマチュア巻線に
対する印加電圧Eの大小を機械的に変更することにより
電流iの大小を変更するものと、アーマチュア巻線の抵
抗Zを機械的に変更することにより電流iの大小を変更
するものとの2つに分けられる。これは、電流iと、印
加電圧Eと、抵抗Zとが次の(2)式の関係があること
に基づくものである。
【0049】 i=E/Z ………(2) <第1実施例>第1実施例は、上記の電流の大小を変更
することにより発生トルクの変更調整を行う第1のグル
ープに属し、その内の印加電圧の変更により電流の大小
の変更を行う請求項2記載の発明に係るものである。そ
して、上記印加電圧を変更する作動機構の相違によっ
て、以下に説明する「その1」〜「その4」の4種類の
ものがある。
【0050】−「その1」− 図1は、第1実施例の「その1」に係るモータ構造を示
す。これは、上記請求項2についての請求項4に記載の
発明に係るものであり、ロータの回転の際に生じる遠心
力を利用して印加電圧の回転数に応じた変更を行うもの
である。
【0051】同図において、1はモータのハウジング、
2a,2bはこのハウジング1の内周面に固定された界
磁磁極、3は上記ハウジング1により回転軸である軸X
の回りに回転可能に軸支されたロータ、4はこのロータ
3から図面の右方に延びる出力軸3aの周囲に一体に固
定された整流子、5,5は整流子4の周面に相対向する
一対のブラシである。上記ハウジング1は、上記軸X方
向(図1の左右方向;以下、左,右を用いて説明する)
に2分割にされた主ハウジング1aと副ハウジング1b
とが接合されて構成されており、上記主ハウジング1a
の基端筒部1cと、上記副ハウジング1bの先端筒部1
dとによって上記ロータ3が軸X回りに回転可能に軸支
されている。上記ロータ3の周囲のスロット3b,3
b,…には図示省略のアーマチュア巻線が巻き付けら
れ、この各アーマチュア巻線が周方向に対応する上記整
流子4の各整流子片4aに接続されている。
【0052】そして、上記各ブラシ5が直流電源と接続
され、その各ブラシ5及び各整流子片4aを介してN,
Sの両界磁磁極2a,2b間に位置するアーマチュア巻
線に電流が流されてトルクが発生し、これによるロータ
3の軸X回りの回転に伴い上記各整流子片4aも回転し
て上記各ブラシ5から通電されるアーマチュア巻線も順
次周方向に隣接するものに切り替わり連続してトルクを
発生して回転を続けるようになっている。
【0053】このような構造のモータにおいて、以下に
説明する電圧変更手段6により構成されたトルク変更手
段によって、モータの回転数に応じて発生トルクが変更
調整されるようになっている。
【0054】上記電圧変更手段6は、上記整流子4に対
する各ブラシ5の左右方向相対位置をロータ3の回転に
連係して変更する作動機構7と、上記各整流子片4aの
所定範囲に形成されて各ブラシ5との間での通電を遮断
する絶縁部4bとを備えている。
【0055】上記作動機構7は、先端筒部1dに左右方
向に移動可能に外嵌されて両ブラシ5,5を非回転状態
に支持する筒状のブラシ台7aと、副ハウジング1bの
内端面との間に配設されて上記ブラシ台7aを左方に付
勢する圧縮コイルスプリング等により構成された付勢部
材7bと、腕部材7c,7c,…を介して上記ブラシ台
7aより左方の所定位置に位置するように上記ブラシ台
7aに対し固定されたドーナッツ板状の位置決め部材7
dとを備えている。また、上記作動機構7は、ロータ3
にそれぞれ基端が固定され、各先端が右方に延びて上記
位置決め部材7dに当接する図4にも示す複数(図例で
は4つ)の帯板状のばね部材7e,7e,…と、各ばね
部材7eの先端側の所定位置に固定された錘部材7f,
7f,…とを備えている。そして、上記作動機構7は、
ロータ3の停止状態では上記各ばね部材7eが図1に実
線で示すように右方に真直ぐに延びた状態で上記位置決
め部材7dと当接して各ブラシ5を上記付勢部材7bの
付勢力に抗して停止位置(図1に実線で示す位置)に支
持する一方、上記ロータ3の回転時にはその回転に伴い
上記各錘部材7fに作用する遠心力により上記各ばね部
材7eが図1に一点鎖線で示すように外方に弾性変形さ
れる結果、上記位置決め部材7dを上記付勢部材7bの
付勢力により左方へ移動させて上記各ブラシ5を上記停
止位置より左方の変更位置(図1に一点鎖線で示す位
置)に変更するようになっている。上記の各ばね部材7
eと各錘部材7fと付勢部材7bとによって作動部材7
gが構成されている。
【0056】上記各整流子片4aは、図3に詳細を示す
ように、上記各ブラシ5の左右方向に対する幅よりも大
きい長さを有するように形成されている。そして、上記
各ブラシ5は、ロータ3が停止状態にあり従って各ブラ
シ5が停止位置にあるときに上記ロータ3から離れた側
である整流子4の右端側位置に位置付けられる一方、上
記ロータ3の回転に伴い変更位置に移動して上記整流子
4の左端側に位置付けられるようになっている。また、
上記各絶縁部4b(図1,図3等に網状模様で図示した
部分)は、上記停止位置における各ブラシ5の左端より
ロータ3側の左端側範囲で、かつ、図4にも示すように
各整流子片4aの周方向の一部にのみ形成されており、
この絶縁部4bを除く各整流子片4aの周方向他部と、
上記絶縁部4bよりも右側との範囲が導電部4cとされ
ている。
【0057】本第1実施例の「その1」においては、上
記各錘部材7fに作用する遠心力はロータ3の回転数が
高い程大きくなるため、停止状態から上記回転数が増大
すると、各ばね部材7eをより大きく弾性変形させて位
置決め部材7dをより左方寄りの位置に移動させる結
果、各ブラシ5が停止位置から上記回転数の大小に応じ
た分だけ左方に移動することになる。このため、上記ロ
ータ3が停止状態から起動時の低回転数域では上記各ブ
ラシ5が各整流子片4aの右側の導電部4cと相対向し
て、この各ブラシ5からアーマチュア巻線に対し図5に
電圧波形を示すように一定の電圧V1 が印加され、本来
のトルク特性に基づくトルクが発生する。一方、上記ロ
ータ3の回転数が高回転数域に入り上記各ブラシ5の左
右方向幅の全体が上記各整流子片4aの絶縁部4bの形
成範囲に入るまで左方に移動すると、この変更位置にお
ける各ブラシ5から各整流子片4aに対する通電が、上
記各ブラシ5が各絶縁部4bと相対向する時間だけ遮断
されてアーマチュア巻線に対し図6に電圧波形を示すよ
うに電圧V1 が断続的に印加されることになる。これに
より、アーマチュア巻線に印加される実効的な電圧が上
記V1 より低下したV0 となり、上述の式(2)の電流
iの値が低下して式(1)の発生トルクTが低下する。
従って、モータの回転数に対する発生トルクの特性を、
図7に一点鎖線で示す本来の線形のものMから実線で示
すように回転数の大小に基づいて途中で傾きが変わる非
線形のものWに変更することができ、モータの使用用
途,要求特性に合致したトルク特性への変更によりモー
タ全体の重量軽減化及びコストの低減化を図ることがで
きる。
【0058】この場合において、各整流子片4aの絶縁
部4b′の形状、特に、全周が導電部4cとされた右側
部分から上記絶縁部4b′が配設された左側部分への移
行部の形状を、例えば図8に4dで示すように斜めにす
ることにより、その絶縁部4b′により通電が遮断され
る遮断時間を各ブラシ5の左方移動に従い0から徐々に
大きくしていくことができ、上記のトルク特性の変更を
モータの使用用途,要求特性により合致したものにする
ことができ、重量軽減化ひコストの低減化をより一層図
ることができる。
【0059】なお、上記の各整流子片4aの絶縁部4b
の形成位置を左右逆にして各ブラシ5の停止位置側に絶
縁部を形成することにより、図51にPで示すトルク特
性のように起動直後の低回転数域でのトルクを低めにし
て高回転数域でのトルクを高めに変更することもでき、
モータの使用用途,要求特性に応じて絶縁部の形成位
置、形成範囲を変更構成すればよい。この点については
第1実施例もしくは第2実施例において同様である。
【0060】−「その2」− 図9は、第1実施例の「その2」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項2についての請求項5に記載の発明
に係るものであり、ロータの回転の際に生じる摺動摩擦
力を利用して印加電圧の回転数に応じた変更を行うもの
である。なお、以下の説明において、上記の「その1」
と同一構成の部材については、「その1」の場合と同一
の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】同図において、8はロータ3から図面の右
方に延びる出力軸3aの周囲に一体に固定された整流
子、9はトルク変更手段を構成する電圧変更手段であ
る。そして、上記ロータ3の各スロット3bに巻き付け
られた図示省略のアーマチュア巻線が周方向に対応する
上記整流子8の各整流子片8aに接続されており、各ブ
ラシ5及び各整流子片8aを介してN,Sの両界磁磁極
2a,2b間に位置するアーマチュア巻線に順次電流が
流されてトルクが発生し、これにより、ロータ3の軸X
回りに回転を続けるようになっている。
【0062】上記電圧変更手段9は、上記整流子8に対
する各ブラシ5の左右方向相対位置をロータ3の回転に
連係して変更する作動機構10と、上記各整流子片8a
の所定範囲に形成された後述の絶縁部8bとを備えてい
る。
【0063】上記作動機構10は、図10にも示すよう
に、両ブラシ5,5を支持するドーナッツ板状のブラシ
台10aと、このブラシ台10aをハウジング1に対し
弾性支持する複数(図例では4つ)の支持部材10b,
10b,…とを備えている。この各支持部材10bは、
一端が副ハウジング1bの端壁内面に固定され、他端が
この一端から左方に互いに平行に延びて上記ブラシ台1
0aに固定されており、上記各支持部材10bの弾性ね
じれにより上記両ブラシ5,5を軸X回りの回転方向に
対し弾性支持するようになっている。そして、上記作動
機構10は、ロータ3の停止状態の無負荷状態では上記
各支持部材10bが図10に示すように左方に真直ぐに
延びて各ブラシ5を整流子8の左端側と相対向する停止
位置に保つ一方、上記ロータ3の回転時には一体に回転
する整流子8の周面と各ブラシ5との間に作用する軸X
回りの回転方向に対する摺動摩擦力により上記各支持部
材10bが図11に示すようにねじられてブラシ台10
aと副ハウジング1aの端壁内面との間隔が小さくなる
結果、上記各ブラシ5を右方へ移動させてついには上記
各ブラシ5を上記整流子8の右端側と相対向する変更位
置に変更するようになっている。
【0064】上記各整流子片8aは、図10に詳細を示
すように、左右方向に上記各ブラシ5の左右方向幅より
も大きい長さを有するように形成されており、この各整
流子片8aには、絶縁部8bが上記変更位置の各ブラシ
5と相対向する右端側の左右方向範囲で、かつ、各整流
子片8aの周方向の一部にのみ形成され(図9,図10
等に網状模様で図示した部分参照)、導電部8cがこの
絶縁部8bを除く各整流子片8aの周方向他部と、上記
絶縁部8bよりも左側との範囲に形成されている。
【0065】本第1実施例の「その2」においては、上
記各ブラシ5に作用する整流子8との摺動摩擦力はロー
タ3の回転数が高い程大きくなるため、停止状態から上
記回転数が増大すると、各支持部材10bがより大きく
ねじるように弾性変形されて各ブラシ5が停止位置から
より大きく右方に移動することになる。つまり、上記回
転数の大小に応じた分だけ各ブラシが停止位置から右方
に移動することになる。このため、上記ロータ3が停止
状態から起動時の低回転数域では上記各ブラシ5が各整
流子片8aの左側の導電部8cと相対向して、「その
1」と同様にアーマチュア巻線に対し一定の電圧V1 が
印加され(図5参照)、本来のトルク特性に基づくトル
クが発生する。一方、上記ロータ3の回転数が高回転数
域に入り上記各ブラシ5の左右方向幅の全体が上記各整
流子片8aの絶縁部8bの形成範囲に入るまで右方に移
動すると、この変更位置におけるアーマチュア巻線に対
する電圧印加が「その1」と同様に上記各ブラシ5が各
絶縁部8bと相対向する時間だけ遮断されて電圧V1 が
断続的に印加されることになり(図6参照)、アーマチ
ュア巻線に印加される実効的な電圧の低下により発生ト
ルクTが低下する。従って、モータの回転数に対する発
生トルクの特性を、「その1」と同様に本来の線形のも
のMから実線で示すように回転数の大小に基づいて途中
で傾きが変わる非線形のものWに変更することができ
(図7参照)、モータの使用用途,要求特性に合致した
トルク特性への変更によりモータ全体の重量軽減化及び
コストの低減化を図ることができる。
【0066】−「その3」− 図12は第1実施例の「その3」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項2についての請求項6に記載の発明
に係るものであり、モータの回転作動のための通電によ
る発熱を利用して印加電圧の回転数に応じた変更を行う
ものである。
【0067】同図において、11はロータ3から図面の
右方に延びる出力軸3aの周囲に一体に固定された整流
子、12はトルク変更手段を構成する電圧変更手段であ
る。そして、上記ロータ3の各スロット3bに巻き付け
られた図示省略のアーマチュア巻線が周方向に対応する
上記整流子11の各整流子片11aに接続されており、
各ブラシ5及び各整流子片11aを介してN,Sの両界
磁磁極2a,2b間に位置するアーマチュア巻線に順次
電流が流されてトルクが発生し、これにより、ロータ3
の軸X回りに回転を続けるようになっている。
【0068】上記電圧変更手段12は、上記整流子11
に対する各ブラシ5の左右方向相対位置をロータ3の回
転に連係して変更する作動機構13と、上記各整流子片
11aの所定範囲に形成された後述の絶縁部11bとを
備えている。
【0069】上記作動機構13は、図13にも示すよう
に、先端筒部1dに左右方向に移動可能に外嵌されて両
ブラシ5,5を非回転状態に支持する筒状のブラシ台1
3aと、このブラシ台13aと副ハウジング1bの内端
面との間に配設されて両者13a,1bを互いに連結す
る形状記憶合金製の支持部材13bとを備えている。こ
の支持部材13bは、コイル状に形成されて予め所定の
各温度により所定の左右方向長さに変化するように構成
されている。すなわち、常温で縮小状態となって上記各
ブラシ5を図13に示す停止位置に位置付ける一方、モ
ータ起動時に最大電流を流した直後のハウジング1内の
最大上昇温度で伸長状態となって上記各ブラシ5を図1
4に実線で示す低回転域位置に位置付けるように予め形
状が記憶されている。そして、回転数の上昇につれてハ
ウジング1内の温度が上記最大上昇温度から低下し所定
の高回転数域での上記常温と最大上昇温度との間の所定
の中間温度で上記各ブラシ5を図14に一点鎖線で示す
高回転数域位置に位置付けるようになっている。
【0070】上記各整流子片11aは、図13及び図1
4に詳細を示すように、左右方向に上記各ブラシ5の左
右方向幅よりも大きい長さを有するように形成されてお
り、この各整流子片11aには、絶縁部11b(図1
3,図14等に網状模様で図示した部分参照)が、上記
停止位置における各ブラシ5の左右方向幅の中間位置か
ら上記低回転数域位置における各ブラシ5の左右方向幅
の中間位置までの左右方向範囲であって、各整流子片1
1aの周方向の一部にのみ形成されており、また、導電
部11cがこの絶縁部11bを除く各整流子片11aの
周方向他部と、上記絶縁部11bの左右両側との範囲に
形成されている。
【0071】本第1実施例の「その3」においては、モ
ータの停止状態ではハウジング1内の温度が常温に保た
れているため、支持部材13bが縮小状態となって各ブ
ラシ5が整流子11に対し停止位置に位置付けられる。
このため、各ブラシ5の左右方向幅の一部が必ず各整流
子11aの右端側の周方向に連続する導電部11cと相
対向することになり、この各ブラシ5に対し整流子11
がいずれの回転位置にあっても、スイッチONにより各
ブラシ5及び各整流子片11aを介してアーマチュア巻
線に電流を流すことができ、モータを起動させることが
できる。そして、このモータを起動して起動直後の低回
転数域においては、モータに最大の電流が流れるため、
各部の抵抗により発熱してハウジング1内の温度が最大
上昇温度まで上昇し、上記支持部材13bが伸長状態と
なって各ブラシ5が低回転数域位置まで移動される。こ
の低回転数位置においては、各ブラシ5の左右方向幅の
一部が各整流子11aの左端側の周方向に連続する導電
部11cと相対向することになり、アーマチュア巻線に
対し一定の電圧V1 (図5参照)が印加され、本来のト
ルク特性に基づく高トルクが発生する。
【0072】一方、上記ロータ3の回転数が上昇するに
つれて流れる電流が減ってハウジング1内の温度が低下
するため、上記支持部材13bが温度低下に比例して伸
長状態から縮み、各ブラシ5が徐々に右方に移動する。
そして、所定の高回転数域に入りハウジング1内の温度
が中間温度になると、上記各ブラシ5が高回転数域位置
に位置付けられ、各ブラシ5の左右方向幅の全体が各整
流子片11aの絶縁部11b形成範囲に入る。このた
め、アーマチュア巻線に対する電圧印加が上記各ブラシ
5が各絶縁部8bを通過する時間だけ遮断されて電圧V
1 が断続的に印加されることになり(図6参照)、アー
マチュア巻線に印加される実効的な電圧の低下により発
生トルクTが低下する。従って、モータの回転数に対す
る発生トルクの特性を、「その1」もしくは「その2」
と同様に、本来の線形のものMから実線で示すように回
転数の大小に基づいて途中で傾きが変わる非線形のもの
Wに変更することができ(図7参照)、モータの使用用
途,要求特性に合致したトルク特性への変更によりモー
タ全体の重量軽減化及びコストの低減化を図ることがで
きる。
【0073】−「その4」− 図15は第1実施例の「その4」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項2についての請求項7に記載の発明
に係るものであり、モータの出力軸と噛み合う減速用の
ウォームギアからのスラスト反力を利用して印加電圧の
回転数に応じた変更を行うものである。
【0074】同図において、14はロータ3から図面の
右方に延びる出力軸3aの周囲に一体に固定された整流
子、15は副ハウジング1bの先端筒部1dに外嵌され
て各ブラシ5を副ハウジング1bに固定するブラシ台、
16は出力軸3aの先端部のウォーム3cと噛み合わさ
れた減速用のウォームギア、17はトルク変更手段を構
成する電圧変更手段である。そして、本モータも、図示
を省略しているが、上述の「その1」等と同様の基本構
成を有しており、上記ロータ3の各スロットに巻き付け
られた図示省略のアーマチュア巻線が周方向に対応する
上記整流子14の各整流子片14aに接続され、各ブラ
シ5及び各整流子片14aを介してN,Sの両界磁磁極
間に位置するアーマチュア巻線に順次電流が流されてト
ルクが発生し、これにより、ロータ3の軸X回りに回転
を続けるようになっている。
【0075】上記電圧変更手段17は、上記各ブラシ5
に対する整流子14の左右方向相対位置をロータ3の回
転に連係して変更する作動機構18と、上記各整流子片
14aの所定範囲に形成された後述の絶縁部14bとを
備えている。
【0076】上記作動機構18は、出力軸3aを副ハウ
ジング1bの先端筒部1dに対し左右方向に所定範囲の
相対変位可能にかつ軸X回りに回転可能に軸受けする第
1支持部18aと、上記出力軸3aの基端部3cを主ハ
ウジング1aの基端筒部1cに対し左右方向に所定範囲
の相対変位可能にかつ軸X回りに回転可能に軸受けする
第2支持部18bと、上記出力軸3aの基端部3cと基
端筒部1cとの間に配設されて上記出力軸3aと一体の
ロータ3及び整流子14をウォームギア16側に、つま
り右方に付勢する付勢部材18cと、各整流子片14a
の所定範囲に形成された後述の絶縁部14bとを備えて
いる。そして、上記作動機構18は、モータの回転に伴
い上記ウェームギア16側からウォーム3cを介して出
力軸3a及び整流子14に作用するスラスト反力により
その整流子14の各ブラシ5に対する左右方向相対位置
を所定位置に変更調整するようになっている。
【0077】すなわち、モータが停止状態の時には、上
記付勢部材18cによる付勢力によってロータ3,整流
子14及び出力軸3aを図16に実線で示すように図面
の右方位置に位置付け、これにより、上記整流子14を
各ブラシ5に対して所定の停止位置に位置付けるように
なっている。一方、上記モータが起動された時にはウォ
ームギア16側からのスラスト反力によって上記整流子
14を上記付勢部材18cの付勢力に抗して図面の左方
に移動させ、各ブラシ5に対する整流子14を、最大の
スラスト反力が発生する起動時から所定の低回転数域で
図15に実線で示す低回転数域位置に、また、回転数の
増加に伴いスラスト反力が低減した所定の高回転数域で
図16に一点鎖線で示す高回転数域位置に、それぞれ位
置付けるようになっている。
【0078】上記各整流子片14aは、左右方向に上記
各ブラシ5の左右方向幅よりも大きい長さを有するよう
に形成されており、この各整流子片14aには、絶縁部
14b(図15,図16等に網状模様で図示した部分参
照)が、上記停止位置における各ブラシ5の左右方向幅
の中間位置から上記低回転数域位置における各ブラシ5
の左右方向幅の中間位置までの左右方向範囲であって、
各整流子片14aの周方向の一部にのみ形成されてお
り、また、導電部14cがこの絶縁部14bを除く各整
流子片14aの周方向他部と、上記絶縁部14bの左右
両側との範囲に形成されている。
【0079】本第1実施例の「その4」においては、モ
ータの停止状態ではウォームギア16側からのスラスト
反力が出力軸3aに作用しないため、整流子14は付勢
部材18cの付勢力により右方に押され各ブラシ5に対
し停止位置に位置付けられる。この状態では、上記各ブ
ラシ5はその左右方向幅の一部が必ず各整流子14aの
右端側の周方向に連続する導電部14cと相対向するこ
とになり、この各ブラシ5に対し整流子14がいずれの
回転位置にあっても、スイッチONにより各ブラシ5及
び各整流子片14aを介してアーマチュア巻線に電流を
流すことができ、モータを確実に起動させることができ
る。
【0080】そして、このモータを起動した起動直後の
低回転数域においては、出力軸3aを介して最大トルク
の回転力がウォームギア16に伝達されるため、そのウ
ォームギア16側から上記出力軸3a側に大スラスト反
力が作用し、これにより、整流子14が各ブラシ5に対
し右方に相対移動されて図15に示す低回転数域位置に
位置付けられる。この低回転数位置においては、各ブラ
シ5の左右方向幅の一部が各整流子14aの右端側の周
方向に連続する導電部14cと相対向することになり、
アーマチュア巻線に対し一定の電圧V1 (図5参照)が
印加され、本来のトルク特性に基づく高トルクが発生す
る。
【0081】一方、上記ロータ3の回転数が上昇するに
つれてウォームギア16に回転伝達される負荷トルクが
低下し、これに対応して出力軸3a側に作用するスラス
ト反力も低下するため、上記整流子14が図16に一点
鎖線で示す高回転数域位置まで左方に戻される。この高
回転数域位置においては、各整流子片14aの絶縁部1
4b形成範囲内に各ブラシ5の左右方向幅の全体が入る
ことになるため、アーマチュア巻線に対する電圧印加が
上記各ブラシ5が各絶縁部14bを通過する時間だけ遮
断されて電圧V1 が断続的に印加されることになり(図
6参照)、アーマチュア巻線に印加される実効的な電圧
の低下により発生トルクTが低下する。従って、モータ
の回転数に対する発生トルクの特性を、「その1」もし
くは「その2」と同様に、本来の線形のものMから実線
で示すように回転数の大小に基づいて途中で傾きが変わ
る非線形のものWに変更することができ(図7参照)、
モータの使用用途,要求特性に合致したトルク特性への
変更によりモータ全体の重量軽減化及びコストの低減化
を図ることができる。
【0082】つまり、「その4」では、ウォームギア1
6に作用する負荷トルクがモータの低回転数域で高く、
高回転数域で低くなるというモータ本来のトルク特性を
介して、印加電圧の変更をモータの回転数に関連付けて
行っており、これにより、モータの回転数に応じた発生
トルクの変更を行っている。
【0083】なお、上記の各整流子片14aの左端位置
にも、図17に示すように、出力軸3aの先端及び基端
のそれぞれに各端を押圧する付勢部材18c,18dを
設け、各絶縁部14bとの間に整流子14の全周にわた
る導電部14cを挟んで周方向一部領域に第2絶縁部1
4dを形成することにより、モータを例えばパワーウイ
ンドモータのごとく正逆に回転切換する用途に適用する
場合においても、その正逆転の双方で上記の非線形のト
ルク特性を発揮させることができる。特に、モータの正
転時に作用するスラスト反力の向きを同図に一点鎖線で
示す矢印方向とすることにより、開状態のウインドを上
記モータを正転して閉作動する場合に、当初は高回転、
低トルクで行い最後のウインド締切り時は整流子14の
右端位置の全周に形成された導電部14cにより低回
転、高トルクを発揮させることができる。
【0084】<第2実施例>第2実施例は、上述の式
(1)における電流の大小を変更することにより発生ト
ルクの変更調整を行う第1のグループに属し、その内の
抵抗値の変更により電流の大小の変更を行う請求項3記
載の発明に係るものである。そして、上記抵抗値を変更
する作動機構の相違によって、以下に説明する「その
1」〜「その4」の4種類のものがある。なお、第1実
施例のものと同様構成のものについては、同一部材には
同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0085】−「その1」− 図18は、第2実施例の「その1」に係るモータ構造を
示す。これは、上記請求項3についての請求項4に記載
の発明に係るものであり、ロータの回転の際に生じる遠
心力を利用してコイル抵抗の回転数に応じた変更を行う
ものである。
【0086】同図において、21はロータであり、この
ロータ21はハウジング1を構成する主ハウジング1a
の基端筒部1cと、上記副ハウジング1bの先端筒部1
dとによって軸X回りに回転可能に軸支されている。上
記ロータ21の周囲のスロット21b,21b,…に
は、それぞれ内外二重のアーマチュア巻線21c,21
d(図19参照)が互いに絶縁された状態で巻き付けら
れている。また、22はこのロータ21から図面の右方
に延びる出力軸21aの周囲に一体に固定された整流子
であり、この整流子22は図20に示すように左右方向
の左側が絶縁部22c、右側が導電部22dとされた第
1整流子片22aと、左右方向の全範囲が導電部22d
とされた第2整流子片22bとが周方向に交互に配置さ
れて構成されている。そして、上記二重のアーマチュア
巻線21c,21dのいずれか一方、例えば内側アーマ
チュア巻線21cが第1整流子片22aに、外側アーマ
チュア巻線21dが第2整流子片22bにそれぞれ接続
されている。つまり、第1整流子片22aの数が内側ア
ーマチュア巻線21cの数と、また、第2整流子片22
bの数が外側アーマチュア巻線21dの数とそれぞれ対
応する数だけ設けられており、第1及び第2整流子片2
2a,22bの合計数はスロット21bの数の2倍にな
っている。
【0087】そして、直流電源と接続された各ブラシ5
から各整流子片22a,22bを介してN,Sの両界磁
磁極2a,2b間に位置するアーマチュア巻線21c,
21dに電流が流されてトルクが発生し、これによるロ
ータ21の軸X回りの回転に伴い上記各整流子片22
a,22bも回転して上記各ブラシ5から通電されるア
ーマチュア巻線21c,21dも順次周方向に隣接する
ものに切り替わり連続してトルクを発生して回転を続け
るようになっている。
【0088】このような構造のモータにおいて、以下に
説明する抵抗変更手段23により構成されたトルク変更
手段によって、モータの回転数に応じて発生トルクが変
更調整されるようになっている。上記抵抗変更手段23
は、上記整流子22に対する各ブラシ5の左右方向相対
位置をロータ21の回転に連係して変更する作動機構7
と、上記第1整流子22aに形成された絶縁部22cと
を備えている。
【0089】上記作動機構7は、第1実施例の「その
1」における作動機構7と同一構成のものであり、ロー
タ21の停止状態では各ばね部材7eが真直ぐに延びた
状態で位置決め部材7dと当接して各ブラシ5を付勢部
材7bの付勢力に抗して整流子22の右側位置と相対向
する停止位置(図18,図20に実線で示す位置)に支
持する一方、上記ロータ21の回転時にはその回転に伴
い各錘部材7fに作用する遠心力により上記各ばね部材
7eが図18に一点鎖線で示すように外方に弾性変形さ
れて付勢部材7bの付勢力により上記各ブラシ5を左方
へ移動させるようになっている。そして、所定の高回転
数域では上記各ブラシ5をその左右方向全幅が上記絶縁
部22cの左右方向範囲に位置する変更位置(図18,
図20に一点鎖線で示す位置)に位置付けるようになっ
ている。
【0090】本第2実施例の「その1」においては、上
記各錘部材7fに作用する遠心力はロータ21の回転数
が高い程大きくなるため、停止状態から上記回転数が増
大すると、各ばね部材7eをより大きく弾性変形させて
位置決め部材7dをより左方寄りの位置に移動させる結
果、各ブラシ5が停止位置から上記回転数の大小に応じ
た分だけ左方に移動することになる。このため、上記ロ
ータ21が停止状態から起動時の低回転数域では上記各
ブラシ5が各第1及び第2整流子片22a,22bの右
側の導電部22dと相対向して、上記各ブラシ5から内
外の両アーマチュア巻線21c,21dに対し交互に電
流が流される。すなわち、図21に電圧波形を示すよう
に内側アーマチュア巻線21cに対し電圧V1 が断続的
に印加され(図21に実線で示す矩形波参照)、外側ア
ーマチュア巻線21dに対し上記内側アーマチュア巻線
21cへの印加がOFFの時にONとなるように電圧V
1が断続的に印加され(同図に一点鎖線で示す矩形波参
照)、各スロット21bの両アーマチュア巻線21c,
21dのいずれか一方には常に電流が流されることにな
る。この結果、本来のトルク特性に基づく高トルクが発
生する。
【0091】一方、上記ロータ21の回転数が上昇して
所定の高回転数域に入ると、上記各ブラシ5は変更位置
まで左方に変位して各ブラシ5の左右方向幅の全体が第
1整流子片22aの絶縁部22cの形成範囲に入る。こ
のため、各ブラシ5から各スロット21bの内側アーマ
チュア巻線21cに対する通電が第1整流子片22aの
絶縁部22cにより遮断され、第2整流子片22bを介
した外側アーマチュア巻線21dに対する通電のみとな
る。このため、上記変更位置におけるコイル抵抗は上記
停止位置から低回転数域におけるものより増大して式
(2)の電流iの値が低下する結果、式(1)の発生ト
ルクTが低下する。従って、モータの回転数に対する発
生トルクの特性を、図7に一点鎖線で示す本来の線形の
ものMから実線で示すように回転数の大小に基づいて途
中で傾きが変わる非線形のものWに変更することがで
き、モータの使用用途,要求特性に合致したトルク特性
への変更によりモータ全体の重量軽減化及びコストの低
減化を図ることができる。
【0092】−「その2」− 図22は、第2実施例の「その2」に係るモータ構造を
示す。これは、上記請求項3についての請求項5に記載
の発明に係るものであり、ロータの回転の際に各ブラシ
と整流子との間に生じる摺動摩擦力を利用してコイル抵
抗の回転数に応じた変更を行うものである。
【0093】同図において、24はロータ21から図面
の右方に延びる出力軸21aの周囲に一体に固定された
整流子であり、この整流子24は左右方向の右側が絶縁
部24c、左側が導電部24dとされた第1整流子片2
4aと、左右方向の全範囲が導電部24dとされた第2
整流子片24bとが周方向に交互に配置されて構成され
ている。そして、上記ロータ21の二重のアーマチュア
巻線21c,21d(図19参照)のいずれか一方、例
えば内側アーマチュア巻線21cが第1整流子片24a
に、外側アーマチュア巻線21dが第2整流子片24b
にそれぞれ接続されている。つまり、上記上記整流子2
4は絶縁部24cの形成位置が異なるだけで、「その
1」の整流子22と基本的には同様構成を有するもので
ある。
【0094】そして、このような前提構造と、第1実施
例の「その2」における作動機構10と同一構成の作動
機構10とにより構成された抵抗変更手段25によっ
て、モータの回転数に応じて発生トルクを変更調整する
トルク変更手段が構成されている。
【0095】すなわち、上記作動機構10は、ロータ2
1が停止状態で無負荷状態においては、ばね材よりなる
各支持部材10bが左方に真直ぐに延びて、各ブラシ5
を整流子24の導電部24dが全周にある左端側と相対
向する停止位置(図22に示す位置)に保つ一方、上記
ロータ21の起動後には一体に回転する整流子24の周
面と各ブラシ5との間に作用する軸X回りの回転方向に
対する摺動摩擦力により上記各支持部材10bがねじら
れて(図11参照)上記各ブラシ5を右方へ徐々に移動
させ、所定の高回転数域では上記各ブラシ5をその左右
方向の全幅が上記整流子24の絶縁部24c形成範囲に
入る変更位置に位置付けるようになっている。
【0096】本第2実施例の「その2」においては、上
記ロータ21が停止状態から起動時の低回転数域では上
記各ブラシ5が停止位置付近に位置し第1及び第2整流
子片24a,24bの各左側の導電部24dと相対向し
て、内側アーマチュア巻線21cに対し電圧V1 が断続
的に印加され(図21に実線で示す矩形波参照)、外側
アーマチュア巻線21dに対し上記内側アーマチュア巻
線21cへの印加がOFFの時にONとなるように電圧
V1 が断続的に印加され(図21に一点鎖線で示す矩形
波参照)、各スロット21bの両アーマチュア巻線21
c,21dのいずれか一方には常に電流が流されること
になる。この結果、本来のトルク特性に基づく高トルク
が発生する。
【0097】一方、上記ロータ21の起動から回転数の
上昇に伴い上記各ブラシ5に作用する整流子24との摺
動摩擦力が大きくなるため、各ブラシ5が停止位置から
上記回転数に応じて各支持部材10bがねじり弾性変形
する分だけ右方に移動することになる。そして、所定の
高回転数域に入ると、上記各ブラシ5は変更位置まで右
方変位して各ブラシ5の左右方向幅の全体が第1整流子
片24aの絶縁部24cの形成範囲に入る。このため、
各ブラシ5から各スロット21bの内側アーマチュア巻
線21cに対する通電が第1整流子片24aの絶縁部2
4cにより遮断され、第2整流子片24bを介した外側
アーマチュア巻線21dに対する通電のみとなる。これ
により、この変更位置におけるコイル抵抗が上記停止位
置から低回転数域におけるものより増大し、式(2)の
電流iの値が低下する結果、式(1)の発生トルクTが
低下する。
【0098】従って、モータの回転数に対する発生トル
クの特性を、「その1」と同様に本来の線形のものMか
ら実線で示すように回転数の大小に基づいて途中で傾き
が変わる非線形のものWに変更することができ(図7参
照)、モータの使用用途,要求特性に合致したトルク特
性への変更によりモータ全体の重量軽減化及びコストの
低減化を図ることができる。
【0099】−「その3」− 図23は、第2実施例の「その3」に係るモータ構造を
示す。これは、上記請求項3についての請求項6に記載
の発明に係るものであり、モータの回転作動のための通
電による発熱を利用してコイル抵抗の回転数に応じた変
更を行うものである。
【0100】同図において、26はロータ21から図面
の右方に延びる出力軸21aの周囲に一体に固定された
整流子であり、この整流子26は左右両側端側が導電部
26d、中間域が絶縁部26cとされた第1整流子片2
6aと、左右方向の全範囲が導電部26dとされた第2
整流子片26bとが周方向に交互に配置されて構成され
ている。そして、上記ロータ21の二重のアーマチュア
巻線21c,21d(図19参照)のいずれか一方、例
えば内側アーマチュア巻線21cが「その1」と同様に
第1整流子片26aに、外側アーマチュア巻線21dが
第2整流子片26bにそれぞれ接続されている。
【0101】そして、このような前提構造と、第1実施
例の「その3」における作動機構13と同一構成の作動
機構13とにより構成された抵抗変更手段27によっ
て、モータの回転数に応じて発生トルクを変更調整する
トルク変更手段が構成されており、上記抵抗変更手段2
7は、上記作動機構13によって各ブラシ5を停止位
置、低回転数域位置、高回転数域位置に相対変位させる
ことによりコイル抵抗を変更するようになっている。
【0102】すなわち、各ブラシ5は、上記作動機構1
3の形状記憶合金製の支持部材13bが常温で縮小状態
となって各ブラシ5の左右方向幅の一部が各第1及び第
2整流子片26a,26bの右端部側の各導電部26d
と相対向する停止位置(図23に示す位置)に位置付け
られる一方、モータ起動時に最大電流を流した直後のハ
ウジング1内の最大上昇温度で伸長状態となって上記各
ブラシ5の左右方向幅の一部が各第1及び第2整流子片
26a,26bの左端部側の各導電部26dと相対向す
る低回転域位置(図14に実線で示す位置参照)に位置
付けられるようになっている。そして、回転数の上昇に
つれてハウジング1内の温度が上記最大上昇温度から低
下し所定の高回転数域での上記常温と最大上昇温度との
間の所定の中間温度で上記各ブラシ5を高回転数域位置
(図14に一点鎖線で示す位置参照)に位置付けるよう
になっている。
【0103】そして、モータの停止状態ではハウジング
1内の温度が常温に保たれているため、各ブラシ5が整
流子26に対し停止位置に位置付けられ、スイッチON
により各ブラシ5からの電流を両整流子片26a,26
bの右端部側の各導電部26dを介して内外側の両アー
マチュア巻線21c,21dに流すことができ、モータ
を確実に起動させることができる。次に、このモータを
起動して起動直後の低回転数域においては、モータに最
大の電流が流れるため、各部の抵抗により発熱してハウ
ジング1内の温度が最大上昇温度まで上昇し、上記支持
部材13bが伸長状態となって各ブラシ5が上記低回転
数域位置まで移動される。このため、各ブラシ5からの
電流が両整流子片26a,26bの左端部側の各導電部
26dを介して内外側の両アーマチュア巻線21c,2
1dに流れ、内側アーマチュア巻線21cに対し電圧V
1 が断続的に印加される一方(図21に実線で示す矩形
波参照)、外側アーマチュア巻線21dに対し上記内側
アーマチュア巻線21cへの印加がOFFの時にONと
なるように電圧V1 が断続的に印加され(図21に一点
鎖線で示す矩形波参照)、各スロット21bの両アーマ
チュア巻線21c,21dのいずれか一方には常に電流
が流されることになる。この結果、本来のトルク特性に
基づく高トルクが発生する。
【0104】一方、上記ロータ21の回転数が上昇する
につれて流れる電流が減ってハウジング1内の温度が低
下するため、上記支持部材13bが温度低下に比例して
伸長状態から縮み、各ブラシ5が徐々に右方に移動す
る。そして、所定の高回転数域に入りハウジング1内の
温度が中間温度になると、上記各ブラシ5が高回転数域
位置に位置付けられ、各ブラシ5の左右方向幅の全体が
第1整流子片26aの絶縁部26cの形成範囲に入る。
このため、各ブラシ5から各スロット21bの内側アー
マチュア巻線21cに対する通電が第1整流子片26a
の絶縁部26cにより遮断され、第2整流子片22bを
介した外側アーマチュア巻線21dに対する通電のみと
なる。これにより、この変更位置におけるコイル抵抗が
上記停止位置から低回転数域におけるものより増大し、
式(2)の電流iの値が低下する結果、式(1)の発生
トルクTが低下する。
【0105】従って、モータの回転数に対する発生トル
クの特性を、「その1」もしくは「その2」と同様に本
来の線形のものMから実線で示すように回転数の大小に
基づいて途中で傾きが変わる非線形のものWに変更する
ことができ(図7参照)、モータの使用用途,要求特性
に合致したトルク特性への変更によりモータ全体の重量
軽減化及びコストの低減化を図ることができることにな
る。
【0106】−「その4」− 第2実施例の「その4」は、請求項3についての請求項
7に記載の発明に係るものであり、モータの出力軸と噛
み合う減速用のウォームギアからのスラスト反力を利用
してコイル抵抗の回転数に応じた変更を行うものであ
る。
【0107】これは、図示を省略するが、図15及び図
16に示す第1実施例の「その4」の構造を前提とし、
そのロータ3及び整流子14に代えて、第2実施例の
「その3」におけるロータ21及び整流子26を適用し
たものである。そして、ロータ21の回転数に応じてそ
の出力軸21に作用するウォームギア16からのスラス
ト反力によって上記整流子26の各ブラシ5に対する相
対位置を変更し、これにより、内外側のアーマチュア巻
線21c,21dの双方に通電させたり、一方への通電
を遮断したりしてコイル抵抗の変更による発生トルクの
変更を行うものである。
【0108】<第3実施例>第3実施例は、上述の式
(1)における磁束密度Bの大小を変更することにより
発生トルクの変更調整を行う第2のグループに属し、請
求項8,請求項9記載の発明に係るものである。そし
て、以下に説明する「その1」〜「その6」の6種類の
ものがある。なお、第1実施例のものと同様構成のもの
については、同一部材には同一符号を付して、その詳細
な説明を省略する。
【0109】−「その1」− 図24は、第3実施例の「その1」に係るモータ構造を
示す。これは、上記請求項9についての請求項10に記
載の発明に係るものであり、ロータの回転の際に生じる
遠心力を利用して各ブラシの周方向位置を変更すること
により、アーマチュア巻線に流れる電流と鎖交する磁束
密度を回転数に応じて変更するものである。
【0110】同図において、31はロータ3のから図面
の右方に延びる出力軸3aの周囲に一体に固定された整
流子であり、この整流子31は導電材料により形成され
上記ロータ3のスロット3b,3b,…と同数の整流子
片31a,31a,…が周方向に順次配設されてなるも
のである。そして、各整流子片31aにこの各整流子片
31aで対応する上記各スロット3b内に配設された図
示省略のアーマチュア巻線が接続されている。また、3
2はロータ3に対する起磁力をロータ3の回転数に応じ
て変更調整する磁束変更手段であり、この磁束変更手段
32は、各ブラシ5の上記整流子31に対する周方向の
相対位置を変更する作動機構33を備えている。
【0111】上記作動機構33は、両ブラシ5,5が取
付けられ副ハウジング1bにより周方向に回転可能に支
持されたドーナッツ板状のブラシ台33aと、副ハウジ
ング1bの内端面との間に配設されて上記ブラシ台33
aをロータ3側(左側)に付勢する圧縮コイルスプリン
グ等により構成された付勢部材33bと、腕部材33
c,33c,…を介して上記ブラシ台33aより左方の
所定位置に位置するように上記ブラシ台33aに対し固
定されたドーナッツ板状の位置決め部材33dと、ロー
タ3にそれぞれ基端が固定され、各先端が右方に延びて
上記位置決め部材7dに当接する複数(図例では4つ)
の帯板状のばね部材33e,33e,…と、各ばね部材
33eの先端側の所定位置に固定された錘部材33f,
33f,…とを備えている。この各ばね部材33eと各
錘部材33fとによって作動部材33gが構成されてい
る。上記ブラシ台33aの周面には図25にも示すよう
に複数のガイドピン33h,33h,…が放射状に突出
されている一方、副ハウジング1bの内周面には上記各
ガイドピン33gの突出端が挿入されて各ガイドピン3
3hをガイドする複数の螺旋状ガイド溝33i,33
i,…が形成されており、これにより、上記ブラシ台3
3aを軸Xに対し同軸に支持するとともに、上記各ガイ
ドピン33hが各ガイド溝33iに沿って移動すること
により上記ブラシ台33aを両ブラシ5,5と共に左右
方向に若干移動させながら周方向に所定角度相対変位さ
せるようになっている。
【0112】そして、上記作動機構33は、ロータ3の
停止状態では上記各ばね部材33eが図24に実線で示
すように右方に真直ぐに延びた状態で上記位置決め部材
33dと当接して各ブラシ5を上記付勢部材33bの付
勢力に抗して中性軸位置(図26に実線で示す位置)に
支持する一方、上記ロータ3の回転時にはその回転に伴
い上記各錘部材33fに作用する遠心力により上記各ば
ね部材33eが図24に一点鎖線で示すように外方に弾
性変形される結果、上記位置決め部材33dを上記付勢
部材33bの付勢力により左方へ移動させて上記各ブラ
シ5を上記中性軸位置より周方向に角度θだけ回転変位
させた回転移動位置(図26に一点鎖線で示す位置)に
変更するようになっている。
【0113】本第3実施例の「その1」の場合、ロータ
3が停止状態から起動開始時の低回転数域においては、
作動部材33gの錘部材33fに作用する遠心力が小さ
く、上記各ブラシ5が付勢部材33bの付勢力に抗して
中性軸位置に位置付けられる。この中性軸位置において
は、各スロット3b内のアーマチュア巻線3cに流れる
電流と界磁磁石2a,2bによる磁界との関係は図27
に示すようになり、各アーマチュア巻線3c間に働く力
は全て同一回転方向になり(図面の実線の矢印参照)、
発生するトルクは最大になる。
【0114】一方、上記ロータ3の回転数が上昇して上
記遠心力が大きくなると上記錘部材33fが外周側に開
き、その分、各ブラシ5は付勢部材33bに押されて上
記中性軸位置から整流子31に対して相対回転移動され
て、回転移動位置に至る。この回転移動位置において
は、各アーマチュア巻線3cに流れる電流と界磁磁石2
a,2bによる磁界との関係は図28に示すようにな
り、一部のアーマチュア巻線3c間に働く力が互いに逆
方向に作用し(図面の実線の矢印参照)、その分、発生
するトルクが低下することになる。このため、図29に
示すように、上記各ブラシが全回転数域で常に中性軸位
置にある場合の線形のトルク特性W′を、高回転数域で
発生トルクが低下する非線形のトルク特性Wに変更する
ことができる。従って、従来のモータ構造におけるトル
ク特性Mと比べ、起動時〜低回転数域での高トルクの要
求と、高回転数域での必要なトルクの発揮との双方を満
足させることができる上、モータ全体の重量軽減化及び
コストの低減化を図ることができる。
【0115】なお、上記のトルク特性Wにおける起動時
〜低回転数域から高回転数域へのトルク特性曲線の傾き
は、作動部材33gの錘部材33fの重量調整による各
ブラシ5の回転速度の調整によって変更すればよく、こ
れにより、モータの使用用途,要求性能等により合致し
たトルク特性とすることができる。
【0116】−「その2」− 図30は、第3実施例の「その2」に係るモータ構造を
示す。これは、請求項9についての請求項11に記載の
発明に係るものであり、ロータの回転の際に生じる整流
子と各ブラシとの間に生じる摺動摩擦力を利用して各ブ
ラシの周方向位置を変更することにより、アーマチュア
巻線に流れる電流と鎖交する磁束密度を回転数に応じて
変更するものである。
【0117】同図において、34はロータ3に対する起
磁力をロータ3の回転数に応じて変更調整する磁束変更
手段であり、この磁束変更手段34は、各ブラシ5の上
記整流子31に対する周方向の相対位置を変更する作動
機構35を備えている。
【0118】上記作動機構35は、両ブラシ5,5が取
付けられたドーナッツ板状のブラシ台35aと、このブ
ラシ台35aをハウジング1に対し軸X回りに回転可能
に弾性支持する複数のばね部材35b,35b,…とか
ら構成されている。上記各ばね部材35bは、図31に
も示すように一端が上記ブラシ台35aの外周面の等間
隔位置に固定され、他端が放射方向に延びてハウジング
1の内周面、例えば主ハウジング1aと副ハウジング1
bとの接合部に固定されて、上記ブラシ台35aを軸X
に対し同軸位置に支持するようになっている。そして、
上記各ばね部材35bは、ロータ3が停止状態で各ブラ
シ5に対し摩擦力が作用しない無負荷状態の時には上記
各ブラシ5を図31に実線で示す中性軸位置に位置付け
る一方、上記ロータ3回転時には整流子31の回転に伴
い上記各ブラシ5に作用する摺動摩擦力により弾性変形
して伸び、所定の高回転数域では上記ブラシ台35aと
共に各ブラシ5上記中性軸位置より周方向に角度θだけ
回転変位させた回転移動位置(同図に一点鎖線で示す位
置)に変更するようになっている。
【0119】本第3実施例の「その2」の場合、ロータ
3が停止状態から起動開始時の低回転数域においては、
各ブラシ5に作用する摺動摩擦力が小さく、上記各ブラ
シ5は中性軸位置に位置付けられる。この中性軸位置に
おいては、「その1」と同様に、各スロット3b内のア
ーマチュア巻線3cに流れる電流と界磁磁石2a,2b
による磁界との関係は図27に示すようになり、各アー
マチュア巻線3c間に働く力は全て同一回転方向になり
(図面の実線の矢印参照)、発生するトルクは最大にな
る。
【0120】一方、上記ロータ3の回転数が上昇して高
回転数域になると、その回転数に応じて上記摺動摩擦力
が大きくなり、その摺動摩擦力により上記各ばね部材3
5aが伸び、その分、各ブラシ5は上記中性軸位置から
整流子31に対して相対回転移動されて、回転移動位置
に至る。この回転移動位置においては、「その1」とと
同様に、各アーマチュア巻線3cに流れる電流と界磁磁
石2a,2bによる磁界との関係は図28に示すように
なり、一部のアーマチュア巻線3c間に働く力が互いに
逆方向に作用し(図面の実線の矢印参照)、その分、発
生するトルクが低下することになる。このため、図29
に示すように、上記各ブラシが全回転数域で常に中性軸
位置にある場合の線形のトルク特性W′を、高回転数域
で発生トルクが低下する非線形のトルク特性Wに変更す
ることができる。従って、従来のモータ構造におけるト
ルク特性Mと比べ、起動時〜低回転数域での高トルクの
要求と、高回転数域での必要なトルクの発揮との双方を
満足させることができる上、モータ全体の重量軽減化及
びコストの低減化を図ることができる。
【0121】なお、上記のトルク特性Wにおける起動時
〜低回転数域から高回転数域へのトルク特性曲線の傾き
は、本例の場合、ばね部材35bのばね定数の調整によ
る各ブラシ5の回転速度の調整によって変更すればよ
く、これにより、モータの使用用途,要求性能等により
合致したトルク特性とすることができる。
【0122】−「その3」− 第3実施例の「その3」に係るモータ構造は、請求項9
についての請求項12に記載の発明に係るものであり、
モータを回転させるための通電により生じる熱を利用し
て各ブラシの周方向位置を変更することにより、アーマ
チュア巻線に流れる電流と鎖交する磁束密度を回転数に
応じて変更するものである。
【0123】図30において、36はロータ3に対する
起磁力をロータ3の回転数に応じて変更調整する磁束変
更手段であり、この磁束変更手段36は、各ブラシ5の
上記整流子31に対する周方向の相対位置を変更する作
動機構37を備えている。
【0124】上記作動機構37は、上記の「その2」に
おける作動機構35のブラシ台35aと同様構成のブラ
シ台37aと、このブラシ台37aをハウジング1に対
し軸Xと同軸に支持しかつ上記ブラシ台37aをハウジ
ング1内の温度に応じて軸X回りに回転作動させる複数
の形状記憶合金製作動部材35b,35b,…とから構
成されている。上記各作動部材37bは、図32にも示
すように一端が上記ブラシ台37aの外周面の等間隔位
置に固定され、他端が放射方向に延びてハウジング1の
内周面、例えば主ハウジング1aと副ハウジング1bと
の接合部に固定されている。そして、上記各作動部材3
7bは、ロータ3が停止状態でハウジング1内の温度が
常温状態の時には伸長状態となって上記各ブラシ5を図
32に実線で示す回転移動位置に位置付けるようその形
状が記憶されている一方、最大上昇温度状態の時に縮小
状態となって上記各ブラシ5を図32に一点鎖線で示す
中性軸位置に位置付けるようその形状が記憶されてい
る。
【0125】本第3実施例の「その3」においては、モ
ータの停止状態ではハウジング1内の温度が常温に保た
れているため、各作動部材37bが伸長状態となって各
ブラシ5が整流子31に対し回転移動位置に位置付けら
れる。そして、このモータを起動した起動直後の低回転
数域においては、モータに最大の電流が流れるため、各
部の抵抗により発熱してハウジング1内の温度が最大上
昇温度まで上昇し、上記作動部材37bが縮小状態とな
って各ブラシ5が中性軸位置まで移動される。この中性
軸位置においては、「その1」と同様に、各スロット3
b内のアーマチュア巻線3cに流れる電流と界磁磁石2
a,2bによる磁界との関係は図27に示すようにな
り、各アーマチュア巻線3c間に働く力は全て同一回転
方向になり(図面の実線の矢印参照)、発生するトルク
は最大になる。
【0126】一方、上記ロータ3の回転数が上昇するに
つれて流れる電流が減ってハウジング1内の温度が低下
するため、上記作動部材37bが温度低下に比例して縮
小状態から伸び、各ブラシ5が徐々に軸X回りに回転移
動する。そして、所定の高回転数域に入りハウジング1
内の温度が常温側の中間温度まで低下すると、上記各ブ
ラシ5が回転移動位置寄りの位置に位置付けられる。こ
の位置では、各アーマチュア巻線3cに流れる電流と界
磁磁石2a,2bによる磁界との関係は図28に示す状
態に近付き、一部のアーマチュア巻線3c間に働く力が
互いに逆方向に作用し(図面の実線の矢印参照)、その
分、発生するトルクが低下することになる。このため、
「その1」と同様に、上記各ブラシが全回転数域で常に
中性軸位置にある場合の線形のトルク特性W′(図29
参照)を、高回転数域で発生トルクが低下する非線形の
トルク特性Wに変更することができる。従って、従来の
モータ構造におけるトルク特性Mと比べ、起動時〜低回
転数域での高トルクの要求と、高回転数域での必要なト
ルクの発揮との双方を満足させることができる上、モー
タ全体の重量軽減化及びコストの低減化を図ることがで
きる。
【0127】なお、上記のトルク特性Wにおける起動時
〜低回転数域から高回転数域へのトルク特性曲線の傾き
は、本例の場合、各作動部材35bの伸長状態と縮小状
態との形状差の調整による各ブラシ5の回転速度の調整
によって変更すればよく、これにより、モータの使用用
途,要求性能等により合致したトルク特性とすることが
できる。
【0128】−「その4」− 図33は第3実施例の「その4」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項8についての請求項13に記載の発
明に係るものであり、ロータ自体の透磁率を回転数に応
じて変化させ磁気抵抗を変更することにより、アーマチ
ュア巻線に流れる電流と鎖交する磁束密度を回転数に応
じて変更するものである。
【0129】図33において、38は磁束変更手段を構
成するロータであり、このロータ38は、従来の如く積
層構造ではなく、所定の鉄系材料により塊状(バルク
状)に一体に形成されたものである。そして、上記ロー
タ38の出力軸38aには、各スロット38b内の図示
省略のアーマチュア巻線が順次接続された複数の整流子
片31aからなる整流子31が固定され、この整流子3
1に対し相対向する一対のブラシ5,5がブラシ台15
を介してハウジング1に固定されている。
【0130】そして、上記ロータ38は、30Hz程度
以下の低周波域で透磁率の高い、例えば純鉄,Si−F
e,Ni−Fe等鉄系材料を用いて塊状に一体に形成さ
れている。
【0131】この第3実施例の「その4」の場合、図3
4〜図36に示すように、モータの起動直後、ロータ3
8の回転数が低い低回転数域では、上記ロータ38を横
切る磁束の周波数は低いためロータ38内に渦電流はあ
まり流れず、ロータ38の透磁率は高い状態を維持する
ため、ロータ38内を通過する有効磁束数が増加して発
生トルクが大となる。一方、上記ロータ38の回転数が
上昇すると、ロータ38を横切る磁束の周波数が高くな
りロータ内に流れる渦電流が増大し、ロータ38の透磁
率が低下してロータ38内を通過する有効磁束数が減少
して漏れ磁束が増大することになる。この結果、発生ト
ルクが低下する。すなわち、渦電流損は磁束がロータを
横切る速度に比例するため、回転数が上昇する程増加す
る傾向にあり、その渦電流損によりロータ38内を磁束
が通り難くなって透磁率が低下する。そして、回転数が
再び低下すると、ロータ38の透磁率が高くなって発生
するトルクも増大する。従って、図36に示すように、
本来の線形のトルク特性Mを、Wで示すトルク特性のよ
うに非線形にすることができる。この際、上記ロータ3
8を所定の鉄系材料により塊状に形成し、低回転数域で
の透磁率が高く、高回転数域での透磁率が低くなるよう
に積極的に構成しているため、回転数に応じて磁気抵抗
を積極的に変更調整することができ、使用用途,要求性
能に合致したトルク特性を発揮させつつ、モータ全体の
重量軽減化及びコストの低減化を図ることができる。
【0132】なお、上記のトルク特性Wにおけるトルク
特性曲線の傾きは、本例の場合、ロータ38の形成材料
を選択してそのロータ38の透磁率特性を変化させるこ
とにより変更調整することができ、これにより、モータ
の使用用途,要求性能等により合致したトルク特性とす
ることができる。
【0133】−「その5」− 図37は第3実施例の「その5」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項8についての請求項14に記載の発
明に係るものであり、コイルに流れる電流とは鎖交しな
いいわゆる漏れ磁束を回転数に応じて変化させることに
よって、アーマチュア巻線に流れる電流と鎖交する磁束
密度を回転数に応じて変更するものである。
【0134】図37において、39はロータであり、こ
のロータ39の出力軸39aには、複数の整流子片31
aからなる整流子31が固定され、この整流子31に対
し相対向する一対のブラシ5,5がブラシ台15を介し
てハウジング1に固定されている。そして、上記各整流
子片31aには上記ロータ39の各スロット39b内に
配設されたアーマチュア巻線39c(図38参照)が順
次接続されている。
【0135】また、40は磁束変更手段を構成する漏れ
磁束変更手段であり、この漏れ磁束変更手段40は、上
記ロータ39の各スロット39b内の外周側位置であっ
て、外周開口より所定量内側位置に配置され例えばSi
−Fe,Ni−Fe等の高透磁率材料により形成された
磁性ウェッジ40aと、上記各スロット39bの周方向
両側壁に対し上記各磁性ウェッジ40aを径方向に変位
可能に弾性支持する一対の弾性部材40b,40bとか
ら構成されている。
【0136】本第3実施例の「その5」の場合、モータ
の起動直後の回転数の低い低回転数域においては、ロー
タ39の回転に伴い上記各磁性ウェッジ40aに作用す
る遠心力は比較的小さく、上記各磁性ウェッジ40aは
一対の弾性部材40b,40bにより図39に示すよう
に各スロット39bの開口より内側の所定位置に保たれ
る。このため、各界磁磁極2a,2bとロータ39と間
の磁束は図39に矢印で示すように流れ、各アーマチュ
ア巻線39c間に流れる電流と鎖交しない漏れ磁束は少
なく発生するトルクは最大になる。
【0137】一方、上記ロータ39の回転数が上昇する
と、上記各磁性ウェッジ40aに作用する遠心力も増大
し、この遠心力により上記各磁性ウェッジ40aは一対
の弾性部材40b,40bの付勢力に抗して径方向外方
に移動して、図40に示すように両側のティース39
d,39d間に位置することになる。こうなると、両界
磁磁極2a,2b間に位置する両ティース39d,36
d間の磁性ウェッジ40aを介しての漏れ磁束が増大
し、その分、ロータ39に流れる電流と鎖交する有効な
磁束か減少することになる。この結果、発生するトルク
は上記の磁性ウェッジ40aの移動前と比べ低下する。
そして、回転数が再び低下すると、それに伴い遠心力が
小さくなるため、上記各磁性ウェッジ40aが再び内側
位置に戻って漏れ磁束が少なくなり、発生トルクも再び
最大のものとなる。
【0138】このように漏れ磁束の割合を機械的に変更
調整することにより、図41に示すように、本来の線形
のトルク特性Mを、Wで示すトルク特性のように低回転
数域でのトルクをのみ向上させた非線形のものにするこ
とができ、使用用途,要求性能に合致したトルク特性を
発揮させつつ、モータ全体の重量軽減化及びコストの低
減化を図ることができる。
【0139】なお、上記のトルク特性Wにおけるトルク
特性曲線の傾きは、本例の場合、磁性ウェッジ40aの
形成材料の選択もしくは配設位置の調整、または、一対
の弾性部材40bのばね定数の選択により変更調整する
ことができ、これにより、モータの使用用途,要求性能
等により合致したトルク特性とすることができる。
【0140】−「その6」− 図42は第3実施例の「その6」に係るモータ構造を示
す。これは、請求項8についての請求項15に記載の発
明に係るものであり、上記の「その5」とは異なる機械
的構造を用いて漏れ磁束を回転数に応じて変化させるこ
とによって、アーマチュア巻線に流れる電流と鎖交する
磁束密度を回転数に応じて変更するものである。
【0141】図42において、41はロータであり、こ
のロータ41の出力軸41aには、複数の整流子片31
aからなる整流子31が固定され、この整流子31に対
し相対向する一対のブラシ5,5がブラシ台15を介し
てハウジング1に固定されている。そして、上記各整流
子片31aには上記ロータ41の各スロット41b内に
配設されたアーマチュア巻線41c(図43参照)が順
次接続されている。
【0142】また、42は磁束変更手段を構成する漏れ
磁束変更手段であり、この漏れ磁束変更手段42は、図
43に示すように上記ロータ41の各スロット41bの
外周開口縁を形成する周方向に隣接する両ティース41
d,41d間を閉止する連結片42aを備えている。こ
の各連結片42aは、材料が磁性を失うことになる温
度、すなわち、材料の透磁率が0になる温度であるキュ
リー点が、図44に示すようにモータの起動時の低回転
数域における高温域と高回転数域における低温域との間
の境界温度Tcとなるような低キュリー点材料により形
成されている。起動時及び起動直後の最大電流が流れる
低回転数域におけるロータ41によるハウジング1内の
温度が例えば180℃、高回転数域での連続運転時での
温度が例えば80℃である場合には、上記境界温度Tc
としては上記の両温度の中間温度(例えば100℃)を
設定すればよい。このような低キュリー点材料として
は、Ni0.3 Fe0.7 もしくはFe1.8 Ni0.2 P等の
NiとFeとの合金材料を用いればよい。
【0143】そして、この第3実施例の「その6」の場
合、モータの起動直後の回転数の低い低回転数域におい
ては、モータに最大の電流が流れるため各部の抵抗によ
りハウジング1内の温度が上昇して高温域となって上記
境界温度Tc(キュリー点)を超えるため、上記各連結
片42aはその磁性を失い磁気抵抗率が増大する。その
結果、両界磁磁極2a,2bとロータ41との間の磁束
の流れは図45に矢印で示すようになり、上記両界磁磁
極2a,2b間の連結片42aを介しての漏れ磁束を減
少させることができるため、発生するトルクは最大のも
のとなる。
【0144】一方、上記ロータ41の回転数が上昇して
高回転数域に入ると、各ブラシ5を介してロータ41に
流れる電流が減るため、ハウジング1内の温度が低下し
て低温域に入って上記境界温度Tcより低下する。この
ため、上記各連結片42aは磁性を回復させる結果、図
46に磁束の流れを矢印で示すように両界磁磁極2a,
2b間に位置する両ティース41d,41d間の連結片
42aを介しての漏れ磁束が増大し、その分、発生する
トルクは減少する。そして、回転数が再び低下すると、
それに伴い流れる電流が増大して温度が上昇し各連結片
41dの磁性が失われるため、上記連結片41dを介し
ての漏れ磁束が少なくなり、発生トルクも再び最大のも
のとなる。
【0145】このように漏れ磁束の割合を連結片42a
の温度に対する機械的状態の変化に基づいて変更調整す
ることにより、「その5」と同様に、本来の線形のトル
ク特性M(図41参照)を、Wで示すトルク特性のよう
に低回転数域でのトルクをのみ向上させた非線形のもの
にすることができ、使用用途,要求性能に合致したトル
ク特性を発揮させつつ、モータ全体の重量軽減化及びコ
ストの低減化を図ることができる。
【0146】なお、上記のトルク特性Wにおけるトルク
特性曲線の傾きは、本例の場合、上記連結片42aの低
キュリー点材料の選択による上記境界温度Tcの変更設
定により変更調整することができ、これにより、モータ
の使用用途,要求性能等により合致したトルク特性とす
ることができる。
【0147】<第4実施例>第4実施例は、上述の式
(1)における機械長さL(コイルの有効長さ)大小を
機械的に変更することにより発生トルクの変更調整を行
う第3のグループに属し、請求項16記載の発明に係る
ものである。本第4実施例の原理を図47に基づいて説
明すると、ロータ51と両界磁磁極2a,2bとが軸X
方向である左右方向に同一の幅を有するように形成さ
れ、上記ロータ51の各スロット51b内の図示省略の
アーマチュア巻線に流れる電流と、両界磁磁極2a,2
bからロータ51に流れる磁束とが鎖交する長さである
機械長さLは上記の幅に対応するL1 となって発生する
トルクTは最大のものとなる。そして、上記ロータ51
を同図に一点鎖線で示すように両界磁磁極2a,2bに
対し左右方向に相対移動させると、上記機械長さLは上
記両界磁磁極2a,2bとロータ51とが左右方向に重
複長さL2 となり、上記L1 からL2 に短くなる分、発
生するトルクTは低下する。
【0148】以下に、上記の機械長さLを機械的に変更
する機械長さ変更手段について、「その1」〜「その
2」の2種類のものを説明する。なお、第1実施例のも
のと同様構成のものについては、同一部材には同一符号
を付して、その詳細な説明を省略する。
【0149】−「その1」− 図48は、第4実施例の「その1」に係るモータ構造を
示す。これは、上記請求項16についての請求項17に
記載の発明に係るものであり、ロータの回転の際に生じ
る遠心力を利用してロータ自体の左右方向相対位置を変
更することにより、機械長さLを回転数に応じて変更す
るものである。
【0150】同図において、51はロータ、52はこの
ロータに取付けられた整流子であり、ロータ51の出力
軸51aがこれらロータ51と整流子52とを軸Xに沿
って貫通してハウジング1の基端及び先端筒部1c,1
dによって左右方向に移動しないように軸受けされてい
る。そして、上記出力軸51aの外周面と、上記ロータ
51及び整流子52の内周面とには、それぞれスプライ
ン51c(出力軸51a側のもののみ図示)が形成され
ており、両スプライン51cが噛み合わされることによ
り上記出力軸51aと、ロータ51及び整流子52と
は、左右方向に相対移動で、かつ、ロータ51から出力
軸51aへの回転力伝達可能に結合されている。また、
上記整流子52には一対のブラシ5,5が相対向して配
置され、この一対のブラシ5,5はドーナッツ板状のブ
ラシ台53aと、取付け部材53b,53bとを介して
副ハウジング1bの内壁に固定されている。
【0151】また、54は機械長さ変更手段であり、こ
の機械長さ変更手段54は、上記のスプライン結合によ
り左右方向に相対移動可能に支持されたロータ51を前
提として、そのロータ51をロータ51の回転に伴い発
生する遠心力により左右方向に相対移動させるよう作動
する作動機構55を備えている。
【0152】上記作動機構55は、上記ブラシ台53a
から左方に延びる腕部材55a,55a,…を介して所
定位置に保持されたドーナッツ板状の当止部材55b
と、ロータ51の左端面と主ハウジング1aの内端面と
の間に配設されてロータ51を右方に付勢する圧縮コイ
ルスプリング等により構成された付勢部材55cと、ロ
ータ51にそれぞれ基端が固定され、各先端が右方に延
びて上記当止部材55bに当接する複数(図例では4
つ)の帯板状のばね部材55d,55d,…と、各ばね
部材55dの先端側の所定位置に固定された錘部材55
e,55e,…とを備えている。そして、上記作動機構
55は、ロータ51の停止状態では上記各ばね部材55
dが図48に実線で示すように右方に真直ぐに延びた状
態で上記当止部材55bに当接してロータ51を上記付
勢部材55cの押圧付勢力に抗して各界磁磁極2a,2
bと左右方向全幅で相対向する基準位置(図48,図4
9に実線で示す位置)に支持する一方、上記ロータ51
の回転時にはその回転に伴い上記各錘部材55eに作用
する遠心力により上記各ばね部材55dが図48に一点
鎖線で示すように外方に弾性変形される結果、上記ロー
タ51を上記付勢部材55cの付勢力により右方へ移動
させて上記ロータ51を上記界磁磁極2a,2bに対し
上記基準位置より右方の移動位置(図48,図49に一
点鎖線で示す位置)に変更するようになっている。
【0153】そして、このような第4実施例の「その
1」の場合、モータの起動直後の回転数の低い低回転数
域においては、各錘部材55eに作用する遠心力は比較
的小さく各ばね部材55dが右方に真直ぐに延びた状態
に保たれるため、ロータ51は付勢部材55cの付勢力
に抗して基準位置に保持される。この基準位置において
は、機械長さLが図49に示すようにL1 となるため、
発生するトルクは最大のものとなる。
【0154】一方、上記ロータ51の回転数が上昇して
高回転数域に入ると、上記各錘部材55eに作用する遠
心力が増大し、この遠心力によって各錘部材55eが各
ばね部材55dと共に径方向外方に開くため、その開い
た分、上記ロータ51は上記付勢部材55cに押されて
右方移動して移動位置に至る。この結果、上記機械長さ
LはL2 と短くなるため、発生するトルクは上記基準位
置におけるものより短くなった分低下する。そして、回
転数が再び低下すると、それに伴い上記の遠心力が低減
して各錘部材55e及びばね部材55dが復元するた
め、機械長さLがL2 より大きくなり発生するトルクが
再び増大する。
【0155】従って、上記遠心力はロータ51の回転数
に比例して増減し、その増減に伴い上記機械長さLも増
減するため、回転数に応じた発生トルクの変更調整が可
能となり、他の実施例と同様に本来の線形のトルク特性
M(例えば図41参照)を、Wで示すトルク特性のよう
に低回転数域でのトルクをのみ向上させた非線形のもの
にすることができ、使用用途,要求性能に合致したトル
ク特性を発揮させつつ、モータ全体の重量軽減化及びコ
ストの低減化を図ることができる。
【0156】なお、上記のトルク特性Wにおけるトルク
特性曲線の傾きは、本例の場合、上記錘部材55eの重
量調整、ばね部材55d及び付勢部材55cのばね定数
の変更設定により変更調整することができ、これによ
り、モータの使用用途,要求性能等により合致したトル
ク特性とすることができる。
【0157】−「その2」− 図50は、第4実施例の「その2」に係るモータ構造を
示す。これは、請求項16についての請求項18に記載
の発明に係るものであり、モータの出力軸と噛み合う減
速用のウォームギアからのスラスト反力を利用してロー
タ自体の左右方向相対位置を変更することにより、機械
長さLを回転数に応じて変更するものである。
【0158】同図において、56はロータ、57はこの
ロータ57から図面の右方に延びる出力軸56aの周囲
に一体に固定された整流子であり、この整流子57を構
成する各整流子片に上記ロータ56の各スロット内に配
設された図示省略のアーマチュア巻線が順次接続されて
いる。また、上記整流子57には一対のブラシ5,5が
相対向して配置され、この一対のブラシ5,5は筒状の
ブラシ台15を介して副ハウジング1bの先端筒部1d
に固定されている。さらに、上記出力軸56aの先端部
にはウォーム56cが形成されており、このウォーム5
6cに減速用のウォームギア16が噛み合わされてい
る。
【0159】また、58は機械長さ変更手段であり、こ
の機械長さ変更手段58は、出力軸56aを副ハウジン
グ1bの先端筒部1dに対し左右方向に所定範囲の相対
変位可能にかつ軸X回りに回転可能に軸受けする第1支
持部58aと、上記出力軸56aの基端部を主ハウジン
グ1aの基端筒部1cに対し左右方向に所定範囲の相対
変位可能にかつ軸X回りに回転可能に軸受けする第2支
持部58bと、上記出力軸56aの基端部と基端筒部1
cとの間に配設されて上記出力軸56aと一体のロータ
56及び整流子57をウォームギア16側に、つまり右
方に付勢する付勢部材58cとを備えている。そして、
上記機械長さ変更手段58は、モータの回転に伴い上記
ウェームギア16側からウォーム56cを介して出力軸
56a及びロータ56に作用するスラスト反力により、
そのロータ56の各界磁磁極2a,2bに対する左右方
向の相対位置を、各界磁磁極2a,2bと左右方向全幅
で相対向する基準位置(図50に実線で示す位置)と、
上記界磁磁極2a,2bに対し上記基準位置より右方の
移動位置(同図に一点鎖線で示す位置)とに相互に変更
調整するように構成されている。
【0160】すなわち、モータの停止状態においては、
付勢部材58cからの付勢力に押されてロータ57を上
記基準位置より右方位置に位置付け、モータの起動直後
の低回転数域ではウォームギア16側からの最大のスラ
スト反力によってロータ56を上記付勢部材58cの付
勢力に抗して左方に移動させる一方、回転数の増加に伴
い上記スラスト反力が低減した所定の高回転数域で上記
移動位置まで右方に戻すようになっている。
【0161】そして、このような第4実施例の「その
2」の場合、モータを起動した起動直後の低回転数域に
おいては、出力軸56aを介して高いトルクの回転力が
ウォームギア16に伝達されるため、そのウォームギア
16側から上記出力軸56a側に最大のスラスト反力が
作用し、これにより、ロータ56が各界磁磁極2a,2
bに対しその左右方向の全幅で相対向する基準位置に位
置付けられる。この基準位置においては、機械長さLが
図49に示すようにL1 となるため、発生するトルクは
最大のものとなる。
【0162】一方、上記ロータ56の回転数が上昇する
につれてウォームギア16に回転伝達されるトルクが低
下し、これに対応して出力軸56a側に作用するスラス
ト反力も低下するため、上記付勢部材58cの付勢力が
打ち勝ちロータ56は上記スラスト反力の低下分右方に
押し戻される。そして、所定の高回転数域で上記ロータ
56は移動位置まで戻されて上記機械長さLはL2 と短
くなるため、発生するトルクは上記基準位置におけるも
のより短くなった分低下する。そして、回転数が再び低
下すると、それに伴い上記のスラスト反力が増大してロ
ータ56を基準位置側に移動させるため、機械長さLが
L2 より大きくなり発生するトルクが再び増大する。
【0163】従って、上記スラスト反力はロータ56の
回転数に比例して増減し、その増減に伴い上記機械長さ
Lも増減するため、回転数に応じた発生トルクの変更調
整が可能となり、他の実施例と同様に本来の線形のトル
ク特性M(例えば図41参照)を、Wで示すトルク特性
のように低回転数域でのトルクをのみ向上させた非線形
のものにすることができ、使用用途,要求性能に合致し
たトルク特性を発揮させつつ、モータ全体の重量軽減化
及びコストの低減化を図ることができる。
【0164】つまり、この「その2」では、ウォームギ
ア16に作用する負荷トルクがモータの低回転数域で高
く、高回転数域で低くなるというモータ本来のトルク特
性を介して、機械長さLの変更をモータの回転数に関連
付けて行っており、これにより、モータの回転数に応じ
た発生トルクの変更を行っている。
【0165】なお、上記のトルク特性Wにおけるトルク
特性曲線の傾きは、本例の場合、上記付勢部材55cの
ばね定数の変更設定により変更調整することができ、こ
れにより、モータの使用用途,要求性能等により合致し
たトルク特性とすることができる。
【0166】<他の態様例>上記各実施例では、界磁磁
極として永久磁石2a,2bを示したが、これに限ら
ず、例えば電磁石により界磁磁極を構成してもよい。
【0167】また、上記各実施例では、ブラシとして+
側及び−側の一対のブラシ5,5を示したが、これに限
らず、+側のものを1または2以上のブラシにより、ま
た、−側のものを1または2つのブラシによりそれぞれ
構成してもよい。
【0168】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明におけるモータ構造によれば、モータの回転に連係し
てモータの機械的状態を変化させることによりモータの
発生トルクを回転数に応じて変更調整するトルク変更手
段を設けているため、上記発生トルクの変更調整を電気
的に制御する従来の場合と比べ、特別な制御回路等の電
気的制御手段を不要とすることができ、重量の軽減化、
及び、コストの低減化を図ることができる。
【0169】請求項2記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明におけるトルク変更手段を電圧変更手段に
より構成し、この電圧変更手段の作動機構によりロータ
の回転に連係してブラシと整流子との回転軸方向の相対
位置を変更し、この相対位置の変更によって上記ブラシ
を整流子の各整流子片の絶縁部とそうでない導電部との
間を行き来するようにしているため、回転数に応じてア
ーマチュア巻線に対する印加電圧の大小を変更調整する
ことができ、その印加電圧の変更に伴う電流の変更によ
ってモータの発生トルクの変更を行うことができる。従
って、請求項1記載の発明による効果を確実に得ること
ができる。
【0170】請求項3記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明におけるトルク変更手段を抵抗変更手段に
より構成し、この抵抗変更手段の作動機構によりロータ
の回転に連係してブラシと整流子との回転軸方向の相対
位置を変更し、この相対位置の変更によって上記ブラシ
が整流子の絶縁部の形成された側とそうでない導電部側
との間を行き来するようにしているため、回転数に応じ
てアーマチュア巻線のコイル抵抗の大小を変更調整する
ことができ、そのコイル抵抗の変更に伴う電流の変更に
よってモータの発生トルクの変更を行うことができる。
従って、請求項1記載の発明による効果を確実に得るこ
とができる。
【0171】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
2または請求項3記載の発明におけるブラシを整流子に
対し回転軸方向に移動可能に支持し、ロータの回転に伴
い発生する遠心力によって上記ブラシの整流子に対する
相対位置を回転軸方向に変化させる位置決め部材を備え
るようにしているため、上記請求項2または請求項3記
載の発明におけるブラシの回転数に応じた位置変更を確
実に行うことができる。
【0172】請求項5記載の発明によれば、上記請求項
2または請求項3記載の発明におけるブラシを支持部材
によって整流子に対し回転軸方向所定位置に支持し、ロ
ータの回転に伴い発生する整流子の周面とブラシとの間
の摩擦力によって上記ブラシの整流子に対する相対位置
を回転軸方向に変化させるよう上記ブラシを支持する支
持部材を備えるようにしているため、上記請求項2また
は請求項3記載の発明におけるブラシの回転数に応じた
位置変更を確実に行うことができる。
【0173】請求項6記載の発明によれば、上記請求項
2または請求項3記載の発明におけるブラシを支持部材
によって整流子に対し回転軸方向所定位置に支持し、そ
の支持部材を形状記憶合金により形成して、ロータのア
ーマチュア巻線への通電に伴う発熱により回転軸方向に
伸縮させてブラシの整流子に対する相対位置を変化させ
るようにしているため、上記請求項2または請求項3記
載の発明におけるブラシの回転数に応じた位置変更を確
実に行うことができる。
【0174】請求項7記載の発明によれば、上記請求項
2または請求項3記載の発明におけるロータ回転軸に噛
み合わされた減速用のウォームギヤからロータの回転に
伴い作用するスラスト反力を利用してブラシに対する整
流子の相対位置を変更調整するようにしているため、上
記請求項2または請求項3記載の発明におけるブラシと
整流子との相対位置の回転数に応じた変更を確実に行う
ことができる。
【0175】請求項8記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明におけるトルク変更手段を、アーマチュア
巻線に流れる電流と鎖交する界磁磁束の強さをロータの
回転に連係して変更調整する磁束変更手段によって構成
しているため、上記界磁磁束の変更によってモータの発
生トルクの変更を行うことができる。従って、請求項1
記載の発明による効果を確実に得ることができる。
【0176】請求項9記載の発明によれば、上記請求項
8記載の発明における磁束変更手段として、ロータの回
転に応じてブラシを整流子に対して中性軸位置から回転
移動させる作動機構を備え、この作動機構によるブラシ
の回転移動によりロータに対する起磁力を変更調整する
ように構成しているため、ロータの回転数に応じた界磁
磁束の強さの変更を具体的に実現することができ、請求
項8記載の発明による効果を確実に得ることができる。
【0177】請求項10記載の発明によれば、上記請求
項9記載の発明における作動機構を、螺旋状のガイド溝
と、付勢部材と、作動部材とによって構成しているた
め、ブラシをロータの回転に連係して中性軸位置と回転
移動位置との間に確実に回転移動させることができ、上
記請求項9記載の発明による効果をより確実に得ること
ができる。
【0178】請求項11記載の発明によれば、上記請求
項9記載の発明における作動機構として、ブラシをハウ
ジングに対し外周方向から弾性支持するばね部材を備
え、ロータの回転に伴い整流子とブラシとの間に作用す
る摩擦力によって上記ブラシを相対回転移動させるよう
にしているため、上記のブラシを確実にロータの回転に
連係して回転作動させることができ、上記請求項9記載
の発明による効果をより確実に得ることができる。
【0179】請求項12記載の発明によれば、上記請求
項9記載の発明における作動機構として、ブラシをハウ
ジングに対し支持する形状記憶合金製の作動部材を備
え、この作動部材を通電に伴い発生するハウジング内の
熱により変形させて上記ブラシを整流子に対し中性軸位
置からロータの回転に応じて回転作動させるようにして
いるため、上記作動部材が変形によりブラシをロータの
回転数に応じて確実に回転作動させることができ、上記
請求項9記載の発明による効果をより確実に得ることが
できる。
【0180】請求項13記載の発明によれば、上記請求
項8記載の発明における磁束変更手段として、所定の鉄
系材料により塊状に一体に形成して積極的に渦電流を発
生させるようにしたロータを用い、ロータ回転数に連係
して磁気抵抗を変更するように構成しているため、界磁
磁束の強さの変更を具体的に実現することができ、上記
請求項8記載の発明による効果をより確実に得ることが
できる。
【0181】請求項14記載の発明によれば、上記請求
項8記載の発明における磁束変更手段を、ロータの回転
数に応じてもれ磁束を変更するもれ磁束変更手段により
構成しているため、磁束の変更に伴う発生トルクの変更
を確実にかつ具体的に実現することができ、上記請求項
8記載の発明による効果をより確実に得ることができ
る。
【0182】請求項15記載の発明によれば、上記請求
項8記載の発明における磁束変更手段を、所定温度をキ
ュリー点として有する低キュリー点材料により形成し
た、両ティース間を連結する連結片を用い、モータの回
転のための通電に伴いハウジング内に発生する熱により
上記連結片を介した漏れ磁束を変更する漏れ磁束変更手
段によって構成しているため、ロータの回転数に応じた
漏れ磁束の増減に伴う有効磁束の減増により界磁磁束の
強さの変更調整を確実に行うことができ、上記請求項8
記載の発明による効果をより確実に得ることができる。
【0183】請求項16記載の発明によれば、上記請求
項1記載の発明におけるトルク変更手段を、アーマチュ
ア巻線を流れる電流と、界磁磁極からの磁束とが鎖交す
る機械長さをモータの回転数に応じて変更する機械長さ
変更手段によって構成しているため、ロータの回転に連
係して上記機械長さが変化するに伴い、モータの発生ト
ルクを基準のものから変化させることができ、請求項1
記載の発明による効果を確実に得ることができる。
【0184】また、請求項17記載の発明によれば、上
記請求項16記載の発明における機械長さ変更手段とし
て、ロータに対し回転軸に沿って相対移動可能に貫通し
かつ回転力伝達可能に嵌合された回転軸体と、上記ロー
タの回転に伴い発生する遠心力によりロータの径方向に
開閉作動されて上記ロータを回転軸方向に移動可能に支
持する作動機構とを備えるものに構成しているため、ロ
ータの回転数に応じた機械長さの変更を確実にかつ具体
的に実現させることができ、請求項16記載の発明によ
る効果をくに得ることができる。
【0185】さらに、請求項18記載の発明によれば、
上記請求項16記載の発明における機械長さ変更手段と
して、ロータを回転軸と一体に回転軸方向に相対移動可
能に支持する支持部と、上記ロータをウォームギヤから
のスラスト力に対抗するよう付勢する付勢部材とを備え
るものに構成しているため、請求項17記載の発明によ
る場合と同様に、ロータの回転数に応じた機械長さの変
更を確実にかつ具体的に実現させることができ、請求項
16記載の発明による効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の「その1」を示す内部構
造図である。
【図2】図1のA−A線における拡大断面図である。
【図3】図1の整流子の拡大図である。
【図4】図3の絶縁部位置における拡大横断面図であ
る。
【図5】時間と電圧との関係図である。
【図6】時間と電圧との関係図である。
【図7】回転数とトルクとの関係図である。
【図8】整流子の変形例を示す図3対応図である。
【図9】第1実施例の「その2」を示す内部構造図であ
る。
【図10】図9の整流子の拡大図である。
【図11】高回転時の状態を示す図10対応図である。
【図12】第1実施例の「その3」を示す内部構造図で
ある。
【図13】図12の整流子の拡大図である。
【図14】低回転時及び高回転時の状態を示す図13対
応図である。
【図15】第1実施例の「その4」を示す一部省略内部
構造図である。
【図16】図15の整流子等を抜き出した拡大図であ
る。
【図17】第1実施例の「その4」の他の態様を示す一
部省略内部構造図である。
【図18】第2実施例の「その1」を示す内部構造図で
ある。
【図19】図18のB−B線における拡大半断面図であ
る。
【図20】図18の整流子等を抜き出した拡大図であ
る。
【図21】時間と電圧との関係図である。
【図22】第2実施例の「その2」を示す内部構造図で
ある。
【図23】第2実施例の「その3」を示す内部構造図で
ある。
【図24】第3実施例の「その1」を示す内部構造図で
ある。
【図25】ブラシの支持部分を示す拡大斜視図である。
【図26】整流子とブラシとの関係を示す断面説明図で
ある。
【図27】図24のC−C線における拡大断面説明図で
ある。
【図28】ブラシの回転移動時の図27対応図である。
【図29】回転数とトルクとの関係図である。
【図30】第3実施例の「その2」及び「その3」を示
す内部構造図である。
【図31】図30のD−D線における「その2」につい
ての断面説明図である。
【図32】図30のD−D線における「その3」につい
ての断面説明図である。
【図33】第3実施例の「その4」を示す内部構造図で
ある。
【図34】回転数と透磁率との関係図である。
【図35】回転数と有効磁束との関係図である。
【図36】回転数とトルクとの関係図である。
【図37】第3実施例の「その5」を示す内部構造図で
ある。
【図38】図37のE−E線における一部省略拡大半断
面図である。
【図39】図38の部分拡大説明図である。
【図40】高回転時の図39対応図である。
【図41】回転数とトルクとの関係図である。
【図42】第3実施例の「その6」を示す内部構造図で
ある。
【図43】図42のF−F線における一部省略拡大半断
面図である。
【図44】温度と透磁率との関係図である。
【図45】高温域での図43の部分拡大説明図である。
【図46】低温域での図45対応図である。
【図47】第4実施例の原理を示す説明図である。
【図48】第4実施例の「その1」を示す内部構造図で
ある。
【図49】図48のロータ等を抜き出した説明図であ
る。
【図50】第4実施例の「その2」を示す内部構造図で
ある。
【図51】従来構造の課題説明のための回転数とトルク
との関係図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2a,2b 界磁磁極 3 ロータ 4,8,11,14 整流子 4b,4b′,8b,11b,14b,14d 絶
縁部 5 ブラシ 6,9,12,17 電圧変更手段(トルク変更手
段) 7,10,13,18 作動機構 7g 作動部材 10b 支持部材 13b 形状記憶合金製支持部材 16 ウォームギア 18a,18b 支持部 18c,18d 付勢部材 21 ロータ 21c,21d アーマチュア巻線 22,26 整流子 22a,22b,26a,26b 整流子片 22c,26c 絶縁部 23,27 抵抗変更手段(トルク変更手
段) 31 整流子 32,34,36 磁束変更手段(トルク変更手
段) 33,35,37 作動機構 33b 付勢部材 33g 作動部材 33i ガイド溝 35b ばね部材 37b 形状記憶合金製作動部材 38 塊状ロータ 39,41 ロータ 39b,41b スロット 39c,41c アーマチュア巻線 40,42 漏れ磁束変更手段(磁束変更
手段) 40a 磁性ウェッジ 41d ティース 42a 連結片 51,56 ロータ 51d,56a 出力軸(回転軸体) 52 整流子 54,58 機械長さ変更手段(トルク変
更手段) 55 作動機構 58a,58b 支持部 58c 付勢部材 X 軸(回転軸)

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーマチュア巻線を有しハウジング内に
    軸回りに回転可能に支持されたロータと、上記ハウジン
    グ内に固定された界磁磁極と、上記ロータ側に設けられ
    上記アーマチュア巻線に接続された整流子と、この整流
    子に接触して電流を流すブラシとを備えた界磁型直流モ
    ータのモータ構造において、 上記モータの回転に連係してモータの機械的状態を変化
    させることにより上記モータの発生トルクを回転数に応
    じて変更調整するトルク変更手段が設けられていること
    を特徴とするモータ構造。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 トルク変更手段は、回転軸方向に対する整流子とブラシ
    との相対位置をロータの回転に連係して変更する作動機
    構と、上記回転軸方向に対し上記ブラシの幅より少なく
    とも大の長さを有し整流子を構成する各整流子片の回転
    軸方向の一部領域でかつ周方向の一部領域に形成された
    絶縁部とを備え、上記各整流子片とブラシとが相対向す
    る回転軸方向範囲に上記絶縁部が位置するように上記各
    整流子片とブラシとの相対位置を上記作動機構により変
    更することによってアーマチュア巻線に対する印加電圧
    の大小を変更調整する電圧変更手段により構成されてい
    ることを特徴とするモータ構造。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 ロータの外周面に形成された複数のスロットには互いに
    絶縁された二重のアーマチュア巻線が巻回され、一方の
    アーマチュア巻線に接続された整流子片と、他方のアー
    マチュア巻線に接続された整流子片とが整流子の外周方
    向に交互に配置されており、 トルク変更手段は、回転軸方向に対する整流子とブラシ
    との相対位置をロータの回転に連係して変更する作動機
    構と、少なくとも上記ブラシの回転軸方向幅に対応する
    長さを有し上記一方のアーマチュア巻線に接続された整
    流子片の回転軸方向の一部領域に形成された絶縁部とを
    備え、上記各整流子片とブラシとが相対向する回転軸方
    向範囲に上記絶縁部が位置するように上記各整流子片と
    ブラシとの相対位置を上記作動機構により変更すること
    によって各スロット内のアーマチュア巻線の抵抗を変更
    する抵抗変更手段により構成されていることを特徴とす
    るモータ構造。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3において、 作動機構は、ブラシが整流子に対し回転軸方向に移動可
    能に支持され、このブラシ側もしくはロータ側の一方に
    対し回転軸方向に延びた一端が取付けられ、他方に対し
    他端が当接されて上記ブラシを回転軸方向所定位置に位
    置付ける作動部材であって、ロータの回転に伴い発生す
    る遠心力により外周側に開作動されて上記ブラシの整流
    子に対する位置を回転軸方向に変更可能に位置付ける作
    動部材を備えていることを特徴とするモータ構造。
  5. 【請求項5】 請求項2または請求項3において、 作動機構は、回転軸方向に延びてブラシを回転軸方向か
    ら弾性支持し、かつ、ロータの回転に伴い上記ブラシに
    作用する摩擦力により螺旋状に捩じられて上記ブラシの
    整流子に対する位置を回転軸方向に変更可能に支持する
    支持部材を備えていることを特徴とするモータ構造。
  6. 【請求項6】 請求項2または請求項3において、 作動機構は、回転軸方向に配置されてブラシを回転軸方
    向から支持し、かつ、ロータへの電流の通電に伴い発生
    するハウジング内の熱により上記回転軸方向に伸縮して
    上記ブラシを整流子に対し回転軸方向に移動可能に支持
    する形状記憶合金製支持部材を備えていることを特徴と
    するモータ構造。
  7. 【請求項7】 請求項2または請求項3において、 ロータの回転軸には減速用のウォームギヤが噛み合わさ
    れており、 作動機構は、上記ロータを整流子及び回転軸と一体にハ
    ウジングに対し回転軸方向に相対移動可能に支持する支
    持部と、上記ロータを上記ウォームギヤ側に付勢する付
    勢部材とを備え、モータの回転に伴い上記ウォームギヤ
    側からロータに作用するスラスト反力により上記付勢部
    材による付勢力に抗してブラシに対する整流子の相対位
    置を変更調整するように構成されていることを特徴とす
    るモータ構造。
  8. 【請求項8】 請求項1において、 トルク変更手段は、アーマチュア巻線に流れる電流と鎖
    交する界磁磁束の強さをロータの回転に連係して変更調
    整する磁束変更手段により構成されていることを特徴と
    するモータ構造。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 磁束変更手段は、ブラシを整流子に対しその整流子の回
    りに回転可能に支持し、かつ、ロータの回転に連係して
    上記ブラシを整流子に対する中性軸位置から回転移動さ
    せる作動機構を備え、上記ブラシを上記ロータの回転に
    応じて回転移動させることによりロータに対する起磁力
    を変更調整するように構成されていることを特徴とする
    モータ構造。
  10. 【請求項10】 請求項9において、 作動機構は、ブラシを中性軸位置と回転移動位置との相
    互間に回転案内する螺旋状のガイド溝と、上記ブラシを
    回転軸方向の上記回転移動位置側に付勢する付勢部材
    と、回転軸方向に延びて上記ブラシを上記付勢部材の付
    勢力に抗して上記中性軸位置に位置付け、かつ、ロータ
    の回転に伴い発生する遠心力により外周側に開いて上記
    ブラシを上記付勢部材の付勢力により上記回転移動位置
    側への回転移動を許容する作動部材とを備えていること
    を特徴とするモータ構造。
  11. 【請求項11】 請求項9において、 作動機構は、ブラシとハウジングとの間に放射方向に配
    設されてブラシを外周方向から弾性支持し、かつ、ロー
    タの回転に伴い上記ブラシに作用する回転方向の摩擦力
    により弾性変形して上記ブラシを整流子の回りに回転移
    動させるばね部材を備えていることを特徴とするモータ
    構造。
  12. 【請求項12】 請求項9において、 作動機構は、ブラシとハウジングとの間に配設されてそ
    のブラシを支持し、かつ、ロータへの電流の通電に伴い
    発生するハウジング内の熱により変形して上記ブラシを
    整流子の回りに回転移動させる形状記憶合金製作動部材
    を備えていることを特徴とするモータ構造。
  13. 【請求項13】 請求項8において、 磁束変更手段は、ロータを横切る磁束の周波数が低周波
    域にあるときに透磁率が高く高周波域側で透磁率が低下
    する鉄系材料により塊状に一体に形成されたロータを備
    え、このロータによってロータの回転に応じて磁気抵抗
    を変更するように構成されていることを特徴とするモー
    タ構造。
  14. 【請求項14】 請求項8において、 磁束変更手段は、高透磁率材料により形成されロータの
    各スロット内の外周側位置に配置された磁性ウェッジ
    を、上記ロータの回転に伴い作用する遠心力により各ス
    ロット内をその開口縁側に移動可能に弾性支持すること
    により、上記磁性ウェッジを介したもれ磁束をモータの
    回転数に応じて変更調整する漏れ磁束変更手段により構
    成されていることを特徴とするモータ構造。
  15. 【請求項15】 請求項8において、 磁束変更手段は、ロータの各スロットの開口縁を形成す
    る両ティース間が連結片により閉止され、上記各連結片
    を、モータの起動域で通電される電流により発熱するロ
    ータの各スロット内の温度より低く、かつ、モータの常
    用回転数域で通電される電流により発熱する上記各スロ
    ット内の温度より高い温度をキュリー点として有する材
    料で形成することにより、上記各連結片を介した漏れ磁
    束をモータの回転数に応じて変更調整する漏れ磁束変更
    手段により構成されていることを特徴とするモータ構
    造。
  16. 【請求項16】 請求項1において、 トルク変更手段が、アーマチュア巻線を流れる電流と、
    界磁磁極からの磁束とが鎖交する長さである機械長さを
    モータの回転数に応じて変更する機械長さ変更手段によ
    り構成されていることを特徴とするモータ構造。
  17. 【請求項17】 請求項16において、 機械長さ変更手段は、 ハウジングにより回転軸方向に相対移動しないように軸
    受けされた回転軸に対し、その回転軸に沿って相対移動
    可能で、かつ、回転力伝達可能に嵌合されたロータと、 上記回転軸方向に延びて上記ロータを回転軸方向から支
    持し、かつ、上記ロータの回転に伴い発生する遠心力に
    より外周側に開いて上記ロータを回転軸体に対し回転軸
    方向に移動可能に支持する作動機構とを備えていること
    を特徴とするモータ構造。
  18. 【請求項18】 請求項16において、 ロータの回転軸には減速用のウォームギヤが噛み合わさ
    れており、 機械長さ変更手段は、上記ロータを回転軸と共にハウジ
    ングに対し回転軸方向に相対移動可能に支持する支持部
    と、上記ロータを上記ウォームギヤ側からのスラスト反
    力に対抗するよう付勢する付勢部材とを備え、モータの
    回転に伴い上記ウォームギヤ側からロータに作用するス
    ラスト反力により界磁磁極に対するロータの回転軸方向
    の相対位置を変更調整するように構成されていることを
    特徴とするモータ構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007314142A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ステアバイワイヤシステム
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