JPH08212506A - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工、製造が容易で、磁気ヘッドコアの両側
に露出した樹脂材とが確実に接触しないようにする。 【構成】 磁気ヘッドコア５をシールドケース３内に樹
脂材６２で固め、シールドケース３の前面とこのシール
ドケース３の全面の穴から露出した樹脂材６および磁気
ヘッドコア５とでテープ摺接面１１を形成するようにし
た磁気ヘッドのシールドケース３の両側端に、テープ摺
動面１１から突出して磁気ヘッドコア５のテープ走行方
向の両側で露出する樹脂材６と磁気テープ４との間に間
隙を設け、テープ浮上片８，８を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッドコアをシー
ルドケース内に樹脂が固めるようにした磁気ヘッドに関
する。更に詳述すると、本発明は磁気テープが摺動する
面（本明細書ではテープ摺接面と呼ぶ）側に露出してい
る樹脂材と磁気テープとの接触関係の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヘッドコアをシールドケース内に収めて
樹脂で固める磁気ヘッドにおいては、テープ走行中に磁
気テープと樹脂との摩擦あるいは静電気により、磁気テ
ープの磁性粉やバインダーが溶けてテープ摺接面に付着
し、これが生長して盛り上がったりあるいは磁気ギャッ
プを被うことによって磁気ヘッドと磁気テープとの接触
を不安定にして、録音、再生、消去の各特性を劣化させ
る虞がある。そこで、この問題を防ぐ対策として特公平
３−４８５６５号に示されるように、樹脂露出量の多い
磁気ヘッドコアの両端（テープ走行方向の端部）付近の
テープ摺接面にテープ走行方向と直交する方向の縦溝を
設けて樹脂材を磁気テープと接触しないようにする技術
が知られている。このヘッドは、図１０に示すように、
シールドケースのテープ摺接面を構成する前面にテープ
を横切る溝２１，２２を形成したものである。溝２１，
２２は、ヘッド素子２３のテープ走行方向の両端付近に
設けられ、その部分に露出する樹脂２５を他のテープ摺
接面より凹むようにしている。

【０００３】更に、実開平５−２７８０７号では、図１
０のヘッドの両側の溝２１，２２の縁に丸みを与えると
共に両溝２１，２２の間のテープ摺接面の曲面を他の部
分よりも小さな曲率半径としてスペーシングロスを低減
させる技術が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
３−４８５６５号に示されるヘッドの場合、溝２１，２
２のエッジ２１ａ，２１ｂ，２２ａ，２２ｂに磁気テー
プがテープパッドで押しつけられたときに、磁気テープ
にダメージを与える虞が発生する。また、磁気テープを
磁気ヘッド２０のテープ摺接面に当接するパッドが、磁
気テープのテープアングルやテープテンション等の違い
によりヘッド素子２３の前面からはずれ、凹溝２１また
は２２に落ち込むことがある。このような場合、磁気テ
ープが溝２１または２２内へ押し込まれてヘッドギャッ
プ２６部分ではテープ摺接面から浮いてしまい、スペー
シングロスが生じ、ヘッド出力のレベルが低下する問題
がある。

【０００５】また、実開平５−２７８０７号の場合、狭
い領域で互いに異なるいくつもの曲率半径の曲面を加工
するため、加工が極めて複雑なものとなる。しかも、曲
面の加工にばらつきが生じると、ヘッドの出力などにば
らつきが出る虞がある。更に、絞り加工などによって成
形されるシールドケースは肉厚が薄いため、溝２１，２
２を深く加工することができない。このため、磁気テー
プの樹脂層への接触を十分に防止できない場合がある。
このことは、特公平３−４８５６５号のヘッドにおいて
も同様である。

【０００６】本発明は、加工、製造が容易でかつ磁気ギ
ャップから外れた部分での樹脂材と磁気テープとの接触
を確実に防止できる磁気ヘッドを提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項１の発明は、磁気ヘッドコアと、前面に磁気
ヘッドコアが露出する穴を形成したシールドケースと、
このシールドケース内に充填されて磁気ヘッドコアを固
定する樹脂材とから成り、シールドケースの前面とシー
ルドケースの穴から露出した樹脂材および磁気ヘッドコ
アとでテープ摺接面を形成する磁気ヘッドにおいて、シ
ールドケースの磁気テープ走行方向両側端部に、テープ
摺接面から突出して磁気ヘッドコアのテープ走行方向の
両側で露出する樹脂材と前記磁気テープとの間に間隙を
設けるテープ浮上片を設けるようにしている。

【０００８】また、請求項２の発明は、テープ浮上片が
磁気ヘッドを機器に取り付けるためのヘッド取付け部材
と一体に形成されている。

【０００９】更に、請求項３の発明は、ヘッド取付け部
材がプラスチックによって形成されている。

【００１０】

【作用】したがって、請求項１の磁気ヘッドでは、磁気
テープは磁気ギャップ付近のテープ摺接面とヘッド両側
端のテープ浮上片との間に跨るような形で摺動する。そ
して、磁気テープは、磁気ギャップから外れた磁気ヘッ
ドコアのテープ走行方向の両側付近ではテープ摺接面か
ら浮上し露出する樹脂材と接触することがない。

【００１１】また、請求項２の磁気ヘッドでは、磁気ヘ
ッドをヘッド取付け部材に組み込むのと同時に、シール
ドケースのテープ走行方向の両側端部にテープ浮上片が
配置される。

【００１２】さらに、請求項３の磁気ヘッドでは、ヘッ
ド取付け部材とテープ浮上片とが射出成形によって簡単
に成形することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す実施例に基
づいて詳細に説明する。

【００１４】図１から図５に本発明の磁気ヘッドの第一
の実施例を示す。この磁気ヘッドは、大きく分けてヘッ
ド本体１とヘッド取付け部材２とから構成されている。
そして、ヘッド本体１は、磁気ヘッドコア５，５と、磁
気ヘッドコア５，５が露出する穴３ａを前面に形成した
パーマロイ等の磁気シールド材から成るシールドケース
３と、シールドケース３内に充填されて磁気ヘッドコア
５，５を固定する樹脂材６とから成り、シールドケース
３の前面とシールドケース３の穴３ａから露出した樹脂
材６および磁気ヘッドコア５，５とでテープ摺接面１１
が形成されている。尚、二つの磁気ヘッドコア５，５の
間には、それぞれから発生する磁束が他の磁気ヘッドコ
ア５に漏れるのを防止する遮蔽板７が配置されている。
また、樹脂材６としては、通常、エポキシ樹脂が使用さ
れるが、他の樹脂材を適宜採用することができる。

【００１５】一方、ヘッド取付け部材２には、テープ浮
上片８，８が一体的に設けられている。このテープ浮上
片８，８は、ヘッド本体１をヘッド取付け部材２に組み
付けた時、シールドケース３の両側端（磁気テープ４の
走行方向の両側端）に対し僅かな間隙をもって沿うよう
に形成される。また、テープ浮上片８，８の先端は、シ
ールドケース３の両側端部の先端と比べると、テープ摺
接面から磁気テープ４側に突出するように構成されてい
る。このため、磁気テープ４は、磁気ヘッドコア５，５
の磁気ギャップ付近のテープ摺接面とテープ浮上片８，
８との間に跨るような形で磁気ヘッドの前面のテープ摺
接面上を摺動する。この結果、磁気テープ４は、磁気ヘ
ッドコア５，５の両側に露出した樹脂材６とは接触する
ことなく、磁気ヘッドの前面のテープ摺接面１１を摺動
しながら走行する。尚、ヘッド取付部材２は、ヘッドを
機器等の相手側部材に取り付けるためのもので、取付け
穴９，９を有する取付け部１０，１０が設けられてい
る。

【００１６】ヘッド取付け部材２とテープ浮上片８，８
と一体に形成されることが好ましい。例えば、金属板を
プレス加工によって次のように折り曲げることによって
一体成形される。まず金属板をプレスで略Ｔ字形に抜
き、その両腕部を直角に曲げる。その後、その両腕部を
それぞれ外側に１８０度折り曲げることにより、テープ
浮上片８，８を形成している。なお、１８０度の折り曲
げにより形成された先端部分８ａ，８ａは、ラップ、研
削、バレル研磨またはバフ等により滑らかな曲面に仕上
げられる。

【００１７】次に、ヘッド取付け部材２をプラスチック
によって成形した第二の実施例を図６から図９に基づき
説明する。この第二の実施例の磁気ヘッドも、第一の実
施例と同様に、ヘッド本体１とヘッド取付け部材２とか
ら成る。そして、ヘッド本体１は、先の例と同様な構成
となっている。

【００１８】一方、ヘッド取付け部材２は、ポリアミ
ド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の
摩擦係数の低いポプラスチックから成り、射出成形で形
成されている。このヘッド取付け部材２には、テープ浮
上片８，８が一体に成形されている。そして、ヘッド取
付け部材２の中央には、図８に示すように、ヘッド本体
１を挿入し組み付けるための長方形状の穴１１が設けら
れている。

【００１９】なお、ヘッド本体１をヘッド取付部材２の
穴１１に挿入しヘッド取付け部材２に組み付けた時、テ
ープ浮上片８，８は、シールドケース３の両側端に沿っ
てテープ摺接面１１から磁気テープ４側へ突出するよう
に配置される。そして、テープ浮上片８，８が磁気テー
プ４をテープ摺接面１１から浮上させてこのテープ浮上
片８，８と磁気ギャップ付近のテープ摺接面１１との間
に跨るような形で摺動するように支持する（図７参
照）。このため、磁気テープ４は、先の例と同様に、磁
気ヘッドコア５，５の両側の樹脂材６とは接触すること
なく走行する。

【００２０】なお、上述の各実施例は、本発明の好適な
実施例の一例ではあるが、これに限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実
施可能である。例えば、テープ浮上片８，８をヘッド取
付け部材２とは別部材とし、ヘッド取付け部材２あるい
はシールドケースに溶接、接着等により取り付けるよう
にしても良い。

【００２１】また、本発明は、ハイパボリック形状ある
いはラウンド形状のいずれの形状のテープ摺接面でも適
用可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１記載の磁気ヘッドでは、磁気テープが磁気ヘッドコア
の磁気ギャップ付近のテープ摺接面とシールドケースの
両側のテープ浮上片との間に跨るような形で摺動し、磁
気ヘッドコアの両側に露出した樹脂材とは接触しないの
で、磁気テープの発熱等が抑えられて磁性粉やバインダ
ーが磁気ヘッドの樹脂材に付着するのを低減させ得る。
この結果、磁気ギャップ付近における磁気ヘッドと磁気
テープとの接触が不安定になることはなく、録音、再
生、消去の各特性が劣化するという虞がなくなる。しか
も、磁気ヘッド・シールドケースそのものに何ら加工を
加える必要がないので、磁気テープが磁気ヘッドコアの
両端で露出する樹脂材を接触する虞のない十分な距離を
保ってテープを走行させ得る磁気テープとの接触面が小
さくなるため、磁気テープが磁気ヘッドに張り付く、い
わゆるはりつき現象が起きにくくなり、走行負荷も減少
する。また、ヘッド本体を複雑に加工する必要がなくな
り、磁気ヘッド全体の加工、製造が容易に行えるように
なる。

【００２３】また、請求項２記載の発明では、ヘッド取
付け部材の成形と同時にテープ浮上片が形成されるの
で、部品点数が減少し組立の短時間化が可能となる。し
かも、ヘッド取付部材に磁気ヘッドを組み込むだけで、
テープ浮上片の設置が完了する。

【００２４】また、請求項３記載の発明では、テープ浮
上片を含むヘッド取付け部材をプラスチック成形によっ
て形成することができるので、射出成形等の採用により
極めて短時間かつ低コストでヘッド取付け部材を製造す
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の磁気ヘッドの第一実施例の平面図であ
る。

【図２】図１の矢示IIから見た正面図である。

【図３】図１の矢示III から見た側面図である。

【図４】第一の実施例に使用されるヘッド取付け部材の
平面図である。

【図５】図４の矢示Ｖから見た側面図である。

【図６】本発明の第二の実施例の磁気ヘッドに使用され
るヘッド取付け部材の斜視図である。

【図７】図６の矢示VII から見た平面図である。

【図８】図６の矢示VIIIから見た正面図である。

【図９】図６の矢示IXから見た側面図である。

【図１０】従来の磁気ヘッドの斜視図である。

【符号の説明】

１ ヘッド本体 ２ ヘッド取付け部材 ３ シールドケース ４ 磁気テープ ５ 磁気ヘッドコア ６ 樹脂材 ８ テープ浮上片

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ヘッドコアと、前面に前記磁気ヘッ
   ドコアが露出する穴を形成したシールドケースと、この
   シールドケース内に充填されて前記磁気ヘッドコアを固
   定する樹脂材とから成り、前記シールドケースの前面と
   前記シールドケースの前記穴から露出した樹脂材および
   磁気ヘッドコアとでテープ摺接面を形成する磁気ヘッド
   において、前記シールドケースの磁気テープ走行方向両
   側端部に、テープ摺接面から突出して前記磁気ヘッドコ
   アのテープ走行方向の両側で露出する前記樹脂材と前記
   磁気テープとの間に間隙を設けるテープ浮上片を設けた
   ことを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 前記テープ浮上片は磁気ヘッドを機器に
   取り付けるためのヘッド取付け部材と一体に形成したこ
   とを特徴とする請求項１記載の磁気ヘッド。
3. 【請求項３】 前記ヘッド取付け部材はプラスチックに
   よって形成されていることを特徴とする請求項１または
   ２記載の磁気ヘッド。