JPH08211086A - 流速測定方法及びその測定装置 - Google Patents
流速測定方法及びその測定装置Info
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- JPH08211086A JPH08211086A JP30697895A JP30697895A JPH08211086A JP H08211086 A JPH08211086 A JP H08211086A JP 30697895 A JP30697895 A JP 30697895A JP 30697895 A JP30697895 A JP 30697895A JP H08211086 A JPH08211086 A JP H08211086A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 測定対象物体の表面からの深さによる流速の
分布を測定することを可能にした流速測定装置及びその
測定装置を提供する。 【構成】 移動する導電性の測定対象物体に対し、垂直
方向に磁場を励磁し、対象面と垂直な少なくとも2点の
磁場成分を、測定対象物体の移動方向において平行でか
つ励磁磁場の対称な位置で検出し、その検出点の磁場の
差分信号に基づいて、測定対象物体の流速を測定する流
速測定方法及び装置において、複数の周波数を交ぜ合わ
せた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場を
時系列に与えて、検出点の磁場の差分信号からそれぞれ
の周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数によ
る信号とそれとは別に測定した測定対象物体との距離と
を用いて、測定対象物体の表面からの深さによる流速分
布を求める。
分布を測定することを可能にした流速測定装置及びその
測定装置を提供する。 【構成】 移動する導電性の測定対象物体に対し、垂直
方向に磁場を励磁し、対象面と垂直な少なくとも2点の
磁場成分を、測定対象物体の移動方向において平行でか
つ励磁磁場の対称な位置で検出し、その検出点の磁場の
差分信号に基づいて、測定対象物体の流速を測定する流
速測定方法及び装置において、複数の周波数を交ぜ合わ
せた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場を
時系列に与えて、検出点の磁場の差分信号からそれぞれ
の周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数によ
る信号とそれとは別に測定した測定対象物体との距離と
を用いて、測定対象物体の表面からの深さによる流速分
布を求める。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流体の流速測定に関し、
特に連続鋳造プロセスにおいて溶鋼を鋳込む鋳型内溶鋼
の流速を測定する流速測定方法及びその測定装置に関す
る。
特に連続鋳造プロセスにおいて溶鋼を鋳込む鋳型内溶鋼
の流速を測定する流速測定方法及びその測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造ラインにおいては、図11に示
されるように溶鋼3はタンディッシュ1よりノズル2を
通して銅製の鋳型4中に注ぎ込まれ鋳造される。鋳型中
に注ぎ込まれた溶鋼は、鋳型壁面に当たり上昇流7と下
降流8とに分かれる。上昇流は表面で流れ9a,9bを
作るが、ここで表面の溶鋼流動の左右のバランスが崩れ
ると、渦が発生し溶鋼表面上に撒いたパウダー5を巻き
込んだ流れ11を生成する。また、表面の溶鋼流動が過
大になると、溶鋼表面のパウダー5の一部10を削り込
む。何れにおいても鋳片中に介在物が捕捉され、製品欠
陥の原因となる。この理由から、鋳型内溶鋼流動を安定
化させることは極めて重要な課題であり、特に溶鋼表面
近傍の流速を連続的に計測することが強く求められてい
る。
されるように溶鋼3はタンディッシュ1よりノズル2を
通して銅製の鋳型4中に注ぎ込まれ鋳造される。鋳型中
に注ぎ込まれた溶鋼は、鋳型壁面に当たり上昇流7と下
降流8とに分かれる。上昇流は表面で流れ9a,9bを
作るが、ここで表面の溶鋼流動の左右のバランスが崩れ
ると、渦が発生し溶鋼表面上に撒いたパウダー5を巻き
込んだ流れ11を生成する。また、表面の溶鋼流動が過
大になると、溶鋼表面のパウダー5の一部10を削り込
む。何れにおいても鋳片中に介在物が捕捉され、製品欠
陥の原因となる。この理由から、鋳型内溶鋼流動を安定
化させることは極めて重要な課題であり、特に溶鋼表面
近傍の流速を連続的に計測することが強く求められてい
る。
【0003】従来、溶鋼の流速測定装置は、例えば特開
平5−60774号公報において提案されているような
接触型の計測が主であった。この流速測定装置は、図1
2に示されるようにファインセラミックス製の棒12を
溶鋼14に浸漬して、その棒12が溶鋼流動により受け
る圧力を、受圧センサ13により検出して、流速を測定
するものである。この測定装置では高温の溶鋼14にセ
ラミックス製の棒12を浸漬させるため、長時間の連続
測定が不可能であった。
平5−60774号公報において提案されているような
接触型の計測が主であった。この流速測定装置は、図1
2に示されるようにファインセラミックス製の棒12を
溶鋼14に浸漬して、その棒12が溶鋼流動により受け
る圧力を、受圧センサ13により検出して、流速を測定
するものである。この測定装置では高温の溶鋼14にセ
ラミックス製の棒12を浸漬させるため、長時間の連続
測定が不可能であった。
【0004】これに対して、磁気を用いて非接触で速度
を計測できることが知られている。図13に示されるよ
うに均等な磁場中で導体15が動くと、その導体中にE
=v×Bなる速度起電力が生じる。この速度起電力によ
り、導体中に渦電流Jvが誘起され、導体上に誘導磁場Bv
が発生して、元の磁場は導体の速度方向に引きずられる
ようにBからB’へと歪む。このように磁場が導体の運
動により歪む効果を以下磁場の速度効果と呼ぶ。この速
度効果による歪みの程度は導体の速度に対応して変化す
るので、歪み量を測ることで対象導体の速度を知ること
ができる。
を計測できることが知られている。図13に示されるよ
うに均等な磁場中で導体15が動くと、その導体中にE
=v×Bなる速度起電力が生じる。この速度起電力によ
り、導体中に渦電流Jvが誘起され、導体上に誘導磁場Bv
が発生して、元の磁場は導体の速度方向に引きずられる
ようにBからB’へと歪む。このように磁場が導体の運
動により歪む効果を以下磁場の速度効果と呼ぶ。この速
度効果による歪みの程度は導体の速度に対応して変化す
るので、歪み量を測ることで対象導体の速度を知ること
ができる。
【0005】このような磁気を用いて非接触で速度を計
測する装置としては例えば特開平2−311766号公
報があった。この流速測定装置は図14(a)に示され
るように、溶鋼の流れ18と平行に1次コイル19を配
置し、その水平方向両側に2つの2次コイル20a,2
0bを配置したものである。1次コイル19に交流電流
を供給して溶鋼面と平行な交流磁場17を溶鋼表面に印
加し、2次コイル20a,20bにより対象面と平行な
磁場を検出する。導体が静止しているときには磁場は1
次コイル19を挟んで対称となり、2つの2次コイルの
起電力に差はなく出力は0である。導体が動いている場
合には、図14(b)のように速度効果により磁場は導
体の速度方向に歪み、励磁コイル19を挟んで対称でな
くなるため、2つの2次コイルに生じる起電力に差が生
じ、磁場の歪み量、即ち速度に対応した信号が2つの2
次コイル20a,20bの差分信号として得られる。
測する装置としては例えば特開平2−311766号公
報があった。この流速測定装置は図14(a)に示され
るように、溶鋼の流れ18と平行に1次コイル19を配
置し、その水平方向両側に2つの2次コイル20a,2
0bを配置したものである。1次コイル19に交流電流
を供給して溶鋼面と平行な交流磁場17を溶鋼表面に印
加し、2次コイル20a,20bにより対象面と平行な
磁場を検出する。導体が静止しているときには磁場は1
次コイル19を挟んで対称となり、2つの2次コイルの
起電力に差はなく出力は0である。導体が動いている場
合には、図14(b)のように速度効果により磁場は導
体の速度方向に歪み、励磁コイル19を挟んで対称でな
くなるため、2つの2次コイルに生じる起電力に差が生
じ、磁場の歪み量、即ち速度に対応した信号が2つの2
次コイル20a,20bの差分信号として得られる。
【0006】また、磁気による方法では、装置と測定対
象物との距離により速度感度が変化するが、特開平2−
311766号公報において提案されている流速測定装
置においては、装置と測定対象物との距離を、対象面と
平行な磁場を検出する2次コイルの片方の出力電圧によ
り測定して、それにより補正を行っていた。
象物との距離により速度感度が変化するが、特開平2−
311766号公報において提案されている流速測定装
置においては、装置と測定対象物との距離を、対象面と
平行な磁場を検出する2次コイルの片方の出力電圧によ
り測定して、それにより補正を行っていた。
【0007】また、磁気を用いて速度を計測する別の流
速測定装置として特開昭61−223564号公報にお
いて提案されているものがある。これは、図15(a)
に示されるように、測定対象に対しE型コアと巻線とか
ら成るE型の励磁装置21を、各磁極の開放端が導体側
を向き、更に3つの磁極21a,21b,21cが対象
面と平行となるように配置し、リング状の磁心を持った
磁気センサ22をE型の励磁装置の中心の磁極21cを
囲むように配置したものである。そして、E型の励磁装
置21にそれぞれ隣り合う磁極に反対向きの磁場を生じ
るよう直流電流を流す。導体24が運動すると速度効果
により導体中に渦電流が流れるが、この渦電流により導
体中に、中心の磁極21cと左右の磁極21a,21b
との間にそれぞれ正負逆の磁極N2,S2を生じる。こ
の磁極N2,S2から生じる磁場の対象面に対し水平な
成分を、先のリング状の磁気センサ22を用いて検出
し、それにより流速を検出するものである。
速測定装置として特開昭61−223564号公報にお
いて提案されているものがある。これは、図15(a)
に示されるように、測定対象に対しE型コアと巻線とか
ら成るE型の励磁装置21を、各磁極の開放端が導体側
を向き、更に3つの磁極21a,21b,21cが対象
面と平行となるように配置し、リング状の磁心を持った
磁気センサ22をE型の励磁装置の中心の磁極21cを
囲むように配置したものである。そして、E型の励磁装
置21にそれぞれ隣り合う磁極に反対向きの磁場を生じ
るよう直流電流を流す。導体24が運動すると速度効果
により導体中に渦電流が流れるが、この渦電流により導
体中に、中心の磁極21cと左右の磁極21a,21b
との間にそれぞれ正負逆の磁極N2,S2を生じる。こ
の磁極N2,S2から生じる磁場の対象面に対し水平な
成分を、先のリング状の磁気センサ22を用いて検出
し、それにより流速を検出するものである。
【0008】また、磁気を用いて速度を計測する別の流
速測定装置として特開平5−297012号公報に提案
されているものがある。これは、図16に示されるよう
に、1次コイル151を測定対象152に対して垂直に
配置し、1次コイル151に交流電流を供給し、磁界1
53を生じさせ、1次コイル151を挟んで両側に測定
対象152に対して垂直に2次コイル154a,154
bを配置し、1次コイル151、2次コイル154a,
154bを巻いた鉄心155,156a,156bを備
えたものである。そして流速は2次コイル154a,1
54bに生じた起電力の位相から検出する。
速測定装置として特開平5−297012号公報に提案
されているものがある。これは、図16に示されるよう
に、1次コイル151を測定対象152に対して垂直に
配置し、1次コイル151に交流電流を供給し、磁界1
53を生じさせ、1次コイル151を挟んで両側に測定
対象152に対して垂直に2次コイル154a,154
bを配置し、1次コイル151、2次コイル154a,
154bを巻いた鉄心155,156a,156bを備
えたものである。そして流速は2次コイル154a,1
54bに生じた起電力の位相から検出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来は、上述のよう
に、測定対象物体の表面流速の測定方法は種々提案され
ているが、表面からの深さによる流速の分布を測定する
方法については提案されておらず、そのような測定方法
の開発が待たれていた。
に、測定対象物体の表面流速の測定方法は種々提案され
ているが、表面からの深さによる流速の分布を測定する
方法については提案されておらず、そのような測定方法
の開発が待たれていた。
【0010】本発明は、測定対象物体の表面からの深さ
による流速の分布を測定することを可能にした流速測定
装置及びその測定装置を提供することを目的とする。
による流速の分布を測定することを可能にした流速測定
装置及びその測定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの態様によ
る流速測定方法は、移動する導電性の測定対象物体に対
し、垂直方向に磁場を励磁し、対象面と垂直な少なくと
も2点の磁場成分を、測定対象物体の移動方向において
平行でかつ励磁磁場の対称な位置で検出し、その検出点
の磁場の差分信号に基づいて、測定対象物体の流速を測
定する流速測定方法において、複数の周波数を交ぜ合わ
せた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場を
時系列に与えて、検出点の磁場の差分信号からそれぞれ
の周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数によ
る信号とそれとは別に測定した測定対象物体との距離と
を用いて、測定対象物体の表面からの深さによる流速分
布を求める。本発明の他の態様による流速測定装置は、
移動する導電性の測定対象物体に対して垂直方向に磁場
を励磁する励磁手段及び測定対象物体と垂直な少なくと
も2点の磁場成分を、測定対象物体の移動方向において
平行でかつ励磁磁場の対称な位置で検出する検出手段を
備えたセンサヘッドを有し、その検出点の磁場の差分信
号に基づいて測定対象物体の流速を測定する流速測定装
置において、センサヘッドと測定対象物体との距離を測
定する手段と、励磁手段を介して複数の周波数を交ぜ合
わせた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場
を時系列に与える手段と、検出点の磁場の差分信号か
ら、それぞれの周波数に対応した信号成分を検出し、そ
の周波数による信号と、測定された測定対象物体までの
距離信号とを用いて、測定対象物体の表面からの深さに
よる流速分布を求める測定手段とを有する。
る流速測定方法は、移動する導電性の測定対象物体に対
し、垂直方向に磁場を励磁し、対象面と垂直な少なくと
も2点の磁場成分を、測定対象物体の移動方向において
平行でかつ励磁磁場の対称な位置で検出し、その検出点
の磁場の差分信号に基づいて、測定対象物体の流速を測
定する流速測定方法において、複数の周波数を交ぜ合わ
せた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場を
時系列に与えて、検出点の磁場の差分信号からそれぞれ
の周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数によ
る信号とそれとは別に測定した測定対象物体との距離と
を用いて、測定対象物体の表面からの深さによる流速分
布を求める。本発明の他の態様による流速測定装置は、
移動する導電性の測定対象物体に対して垂直方向に磁場
を励磁する励磁手段及び測定対象物体と垂直な少なくと
も2点の磁場成分を、測定対象物体の移動方向において
平行でかつ励磁磁場の対称な位置で検出する検出手段を
備えたセンサヘッドを有し、その検出点の磁場の差分信
号に基づいて測定対象物体の流速を測定する流速測定装
置において、センサヘッドと測定対象物体との距離を測
定する手段と、励磁手段を介して複数の周波数を交ぜ合
わせた交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場
を時系列に与える手段と、検出点の磁場の差分信号か
ら、それぞれの周波数に対応した信号成分を検出し、そ
の周波数による信号と、測定された測定対象物体までの
距離信号とを用いて、測定対象物体の表面からの深さに
よる流速分布を求める測定手段とを有する。
【0012】次に、本発明の動作原理を次の(1)及び
(2)に基いて説明する。 (1)励磁・検出方法 本発明においては、センサヘッド200は、図1に示さ
れるように、中心の脚を中心として左右対称形のE型の
形状をした磁心202に対し、その中心の脚204bに
励磁巻線203bが巻かれ、そして、両端の脚204
a,cに検出巻線203a,cがそれぞれが同じ向きの
磁束を検出するように巻かれている。これを移動する導
電性の測定対象物体201の上に、脚の開いた面が対象
面に向き、かつ脚が対象面の移動方向に対し平行に並ぶ
ように配置する。このようにE型の磁心202を脚の開
いた面を対象面に向け、中心の脚に励磁巻線203bを
施して励磁することにより、導体面に垂直に磁場を生成
することができる。先に述べたように、速度効果はv×
Bで表されるので、対象の速度と磁場とが垂直となっい
るときに最大となる。ここで測定する流速は対象面と平
行であり、磁場を対象面と垂直に生成すれば、水平に励
磁する場合よりも速度効果が大きくなり、速度検出感度
も大きくなる。
(2)に基いて説明する。 (1)励磁・検出方法 本発明においては、センサヘッド200は、図1に示さ
れるように、中心の脚を中心として左右対称形のE型の
形状をした磁心202に対し、その中心の脚204bに
励磁巻線203bが巻かれ、そして、両端の脚204
a,cに検出巻線203a,cがそれぞれが同じ向きの
磁束を検出するように巻かれている。これを移動する導
電性の測定対象物体201の上に、脚の開いた面が対象
面に向き、かつ脚が対象面の移動方向に対し平行に並ぶ
ように配置する。このようにE型の磁心202を脚の開
いた面を対象面に向け、中心の脚に励磁巻線203bを
施して励磁することにより、導体面に垂直に磁場を生成
することができる。先に述べたように、速度効果はv×
Bで表されるので、対象の速度と磁場とが垂直となっい
るときに最大となる。ここで測定する流速は対象面と平
行であり、磁場を対象面と垂直に生成すれば、水平に励
磁する場合よりも速度効果が大きくなり、速度検出感度
も大きくなる。
【0013】次に、磁場の速度効果による磁場歪みの検
出方法について説明する。図2(a)に示されるように
導体201が停止していれば、磁場は中心の脚を中心と
して左右対象であり、左右の検出巻線203a,cの出
力は等しく、その差分は0となる。導体201が動く
と、図2(b)に示されるように、その流速に対応して
導体中に発生する渦電流により磁場が歪み、両端の検出
巻線の位置の磁束に差が出てきて、その差分信号が変化
する。この変化量は対象の流速に対応しており、従っ
て、この変化量から対象の流速を測定することができ
る。
出方法について説明する。図2(a)に示されるように
導体201が停止していれば、磁場は中心の脚を中心と
して左右対象であり、左右の検出巻線203a,cの出
力は等しく、その差分は0となる。導体201が動く
と、図2(b)に示されるように、その流速に対応して
導体中に発生する渦電流により磁場が歪み、両端の検出
巻線の位置の磁束に差が出てきて、その差分信号が変化
する。この変化量は対象の流速に対応しており、従っ
て、この変化量から対象の流速を測定することができ
る。
【0014】また、この時、歪みの方向はそれぞれ2つ
の検出巻線の位置では逆方向であり、外乱ノイズや励磁
装置からの直接磁場は2つの磁気センサ位置で同方向の
ため、2つの検出巻線の出力の差分をとれば、余分な信
号のみを除外することができ、流速に対応した歪み量の
みを更にS/N良く検出することが可能となる。また、
励磁電流を交流とし、各検出巻線の差分信号を同期検波
器により検出することにより、周囲の鉄などの磁性体の
影響や、種々の外乱磁場の影響を低減し、精度良く流速
の測定が可能となる。
の検出巻線の位置では逆方向であり、外乱ノイズや励磁
装置からの直接磁場は2つの磁気センサ位置で同方向の
ため、2つの検出巻線の出力の差分をとれば、余分な信
号のみを除外することができ、流速に対応した歪み量の
みを更にS/N良く検出することが可能となる。また、
励磁電流を交流とし、各検出巻線の差分信号を同期検波
器により検出することにより、周囲の鉄などの磁性体の
影響や、種々の外乱磁場の影響を低減し、精度良く流速
の測定が可能となる。
【0015】(2)深さ方向の流速分布の計測 磁気を用いた前記のような流速測定装置においては、励
磁磁場の周波数をfとすると、対象中の磁場は次の
(1)式で表せる浸透深さδの範囲に集中していると考
えることができる。
磁磁場の周波数をfとすると、対象中の磁場は次の
(1)式で表せる浸透深さδの範囲に集中していると考
えることができる。
【0016】
【数1】
【0017】ここで、σ:対象の導電率、μ:対象の透
磁率 流速測定装置の流速検出の元となる磁場の速度効果は、
対象中の磁場と流速との積で決まることから、対象面か
らの深さ方向の流速の測定範囲は、この浸透深さまでの
流速の平均値となる。そこで、励磁周波数を高い方から
低い方へと何点か振れば、測定範囲はその周波数によっ
て、対象面から浅いところからより深いところへと変化
する。その様子は図7に示されており、図7(a)は周
波数による測定範囲δの変化、図7(b)は周波数によ
る流速信号検出例を示している。但し、ここで述べるセ
ンサヘッドの例では、磁場歪みの検出にコイルを用いて
いるため、磁場の歪みの大きさが同じでも、周波数fに
比例して起電力は大きくなる。また、磁場歪み信号は流
速が一定ならば、測定対象中の磁場の大きさに比例する
が、対象中の磁場の大きさは、周波数が高くなると対象
中に生じる渦電流により減衰してしまう。そこで、図7
では出力電圧Eを適当な基準周波数f0 の時の値に基準
化した値Sを用いている。 S=E×f0 /f×B0 /B ここでB0 は基準周波数f0 の時の対象中の磁場の大き
さ、Bは周波数fの時の対象中の磁場の大きさであり、
それぞれ予め測定して求めておく。なお対象中の磁場の
大きさは、本発明の流速測定装置と対象との距離が変化
すれば変わるが、この距離による変化の様子は周波数に
よらず一定である。従って、本発明の流速測定装置と対
象との距離が変化しても比B0 /Bは一定であり、適当
な距離におけるB0 、Bを測定しておけばよい。
磁率 流速測定装置の流速検出の元となる磁場の速度効果は、
対象中の磁場と流速との積で決まることから、対象面か
らの深さ方向の流速の測定範囲は、この浸透深さまでの
流速の平均値となる。そこで、励磁周波数を高い方から
低い方へと何点か振れば、測定範囲はその周波数によっ
て、対象面から浅いところからより深いところへと変化
する。その様子は図7に示されており、図7(a)は周
波数による測定範囲δの変化、図7(b)は周波数によ
る流速信号検出例を示している。但し、ここで述べるセ
ンサヘッドの例では、磁場歪みの検出にコイルを用いて
いるため、磁場の歪みの大きさが同じでも、周波数fに
比例して起電力は大きくなる。また、磁場歪み信号は流
速が一定ならば、測定対象中の磁場の大きさに比例する
が、対象中の磁場の大きさは、周波数が高くなると対象
中に生じる渦電流により減衰してしまう。そこで、図7
では出力電圧Eを適当な基準周波数f0 の時の値に基準
化した値Sを用いている。 S=E×f0 /f×B0 /B ここでB0 は基準周波数f0 の時の対象中の磁場の大き
さ、Bは周波数fの時の対象中の磁場の大きさであり、
それぞれ予め測定して求めておく。なお対象中の磁場の
大きさは、本発明の流速測定装置と対象との距離が変化
すれば変わるが、この距離による変化の様子は周波数に
よらず一定である。従って、本発明の流速測定装置と対
象との距離が変化しても比B0 /Bは一定であり、適当
な距離におけるB0 、Bを測定しておけばよい。
【0018】ここで、隣り合う2つの周波数fi とf
i+1 について考える。fi の出力信号Si は表面から深
さδi までの流速の平均であり、fi+1 の出力信号S
i+1 は表面から深さδi+1 までの流速の平均である。従
って、その差ΔSi =Si+1 −Si は、深さδi からδ
i+1 の区間i の流速の平均となる。これを各周波数につ
いて計算すれば、図7(c)のように測定対象の各区間
ごとの深さ方向の流速分布の基となる値を求めることが
できる。
i+1 について考える。fi の出力信号Si は表面から深
さδi までの流速の平均であり、fi+1 の出力信号S
i+1 は表面から深さδi+1 までの流速の平均である。従
って、その差ΔSi =Si+1 −Si は、深さδi からδ
i+1 の区間i の流速の平均となる。これを各周波数につ
いて計算すれば、図7(c)のように測定対象の各区間
ごとの深さ方向の流速分布の基となる値を求めることが
できる。
【0019】なお、単に引き算をしただけでは、測定対
象との距離により測定感度が変化するので、正しい流速
値ではない。そこで、この引き算をした上記の信号に距
離による感度変化の補正をしなければならない。そのた
めに、センサヘッドと別に設置した距離計により対象面
とセンサヘッドとの距離を求め、それに測定した深さと
して、対象面と測定区間の中心までの距離、(δi +δ
i+1 )/2を加えたものを、センサヘッドから測定区間
までの距離Li とし、この距離から検出値ΔSi を補正
する。
象との距離により測定感度が変化するので、正しい流速
値ではない。そこで、この引き算をした上記の信号に距
離による感度変化の補正をしなければならない。そのた
めに、センサヘッドと別に設置した距離計により対象面
とセンサヘッドとの距離を求め、それに測定した深さと
して、対象面と測定区間の中心までの距離、(δi +δ
i+1 )/2を加えたものを、センサヘッドから測定区間
までの距離Li とし、この距離から検出値ΔSi を補正
する。
【0020】本発明の流速測定装置の距離による測定感
度の変化を図8に示す。このように対象面との距離Lと
速度感度Gとは次式のような関係にある。 G=A・exp(−B・L) …(2) 従って、先に述べたように求めた測定区間までの距離を
Li と、測定区間の検出値ΔSi とから、そのときの測
定区間の真の流速vi は次式で計算できる(図7
(e))。 vi = ΔSi /{A・exp(−B・Li )} =A’・ΔSi ・exp(B・Li ) …(3) (ここでA,Bは定数,A’=1/A) ここで、定数A,Bは、図8のような対象面との距離−
速度感度曲線を予め計測して求めておけばよい。
度の変化を図8に示す。このように対象面との距離Lと
速度感度Gとは次式のような関係にある。 G=A・exp(−B・L) …(2) 従って、先に述べたように求めた測定区間までの距離を
Li と、測定区間の検出値ΔSi とから、そのときの測
定区間の真の流速vi は次式で計算できる(図7
(e))。 vi = ΔSi /{A・exp(−B・Li )} =A’・ΔSi ・exp(B・Li ) …(3) (ここでA,Bは定数,A’=1/A) ここで、定数A,Bは、図8のような対象面との距離−
速度感度曲線を予め計測して求めておけばよい。
【0021】なお、図8では励磁周波数14Hzの時の
出力電圧を示した。これ以外の周波数の場合でも、距離
による感度変化の係数Bは同様であり、周波数の違い分
だけ全体の係数Aが変わるだけである。また、先に述べ
たようにSは基準周波数f0により基準化したので、補
正に用いる距離−速度感度曲線の係数A,Bとしては、
基準周波数の時の値を用いればよい。また、実際の流速
の計測に当たっては、複数の周波数を足しあわせた信号
を用いて励磁し、検出する際には各周波数ごとに別々に
同期検波する。これは異なる周波数成分ごとに測定する
磁気特性は、磁気重ね合わせの原理が働くから、相互に
独立に計測できるためである。なお、周波数ステップ即
ちfi とfi+1 の間隔は、測定区間であるδi とδi+1
との間隔が、一定値となるように先の式(1)から適当
に決定すればよい。
出力電圧を示した。これ以外の周波数の場合でも、距離
による感度変化の係数Bは同様であり、周波数の違い分
だけ全体の係数Aが変わるだけである。また、先に述べ
たようにSは基準周波数f0により基準化したので、補
正に用いる距離−速度感度曲線の係数A,Bとしては、
基準周波数の時の値を用いればよい。また、実際の流速
の計測に当たっては、複数の周波数を足しあわせた信号
を用いて励磁し、検出する際には各周波数ごとに別々に
同期検波する。これは異なる周波数成分ごとに測定する
磁気特性は、磁気重ね合わせの原理が働くから、相互に
独立に計測できるためである。なお、周波数ステップ即
ちfi とfi+1 の間隔は、測定区間であるδi とδi+1
との間隔が、一定値となるように先の式(1)から適当
に決定すればよい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の測定原理が明らかになっ
たところで、次に本発明の一実施形態を図1、図3〜図
6及び図9を用いて説明する。本実施形態の流速測定装
置は、図1、図9のようないくつかの装置と、図3〜図
6のような測定回路とから構成されている。そして、装
置としては、流速測定の基本となるセンサヘッド20
0、測定対象面との距離測定用の渦流距離計56等から
構成される。
たところで、次に本発明の一実施形態を図1、図3〜図
6及び図9を用いて説明する。本実施形態の流速測定装
置は、図1、図9のようないくつかの装置と、図3〜図
6のような測定回路とから構成されている。そして、装
置としては、流速測定の基本となるセンサヘッド20
0、測定対象面との距離測定用の渦流距離計56等から
構成される。
【0023】センサヘッド200は、図1に示されるよ
うに、磁性材からなる中心の脚を中心として左右対称形
のE型の磁心202と、励磁巻線203b、検出巻線2
03a,cからなるものを用いた。ここでは磁心とし
て、3%珪素鋼板を積層したものを用いた。なお、検出
装置としては、E型のコアに巻き線を施したものでな
く、別に2つの高感度の磁気センサを配置してもかまわ
ない。また、センサヘッド200としては、磁心を用い
ずにE型のセラミクス製のボビンに単に巻き線を巻いた
だけのものでもかまわない。また、このセンサヘッド2
00は、両端の検出巻線203a,cと励磁巻線203
bが対象の移動方向と平行となるように配置される。更
に、距離測定用として、図9のように渦流距離計56を
センサヘッド200中心の脚204bの前面に配置す
る。ここでは、渦流距離計56としては特開昭62−3
0562号公報のような差動帰還型渦流距離計を用い
た。
うに、磁性材からなる中心の脚を中心として左右対称形
のE型の磁心202と、励磁巻線203b、検出巻線2
03a,cからなるものを用いた。ここでは磁心とし
て、3%珪素鋼板を積層したものを用いた。なお、検出
装置としては、E型のコアに巻き線を施したものでな
く、別に2つの高感度の磁気センサを配置してもかまわ
ない。また、センサヘッド200としては、磁心を用い
ずにE型のセラミクス製のボビンに単に巻き線を巻いた
だけのものでもかまわない。また、このセンサヘッド2
00は、両端の検出巻線203a,cと励磁巻線203
bが対象の移動方向と平行となるように配置される。更
に、距離測定用として、図9のように渦流距離計56を
センサヘッド200中心の脚204bの前面に配置す
る。ここでは、渦流距離計56としては特開昭62−3
0562号公報のような差動帰還型渦流距離計を用い
た。
【0024】測定回路は、図3に示されるように、励磁
回路300、検出回路301及び流速分布演算回路30
2から構成される。まず、励磁回路300は励磁巻線2
03bに電流を供給し、測定対象に磁場を励磁する。こ
の励磁回路300は、n個の発振器303,304,3
05、加算器306及び定電流アンプ307から構成さ
れる。各発振器303,304,305はそれぞれ1〜
100kHzで別々の周波数f1 ,f2 ,…fn の正弦
波を発生する。これらの正弦波を加算器36によって足
し合わせて、定電流アンプ307を介して励磁巻線20
3bに励磁電流を供給する。ここで各励磁周波数は、そ
の周波数に対応する浸透深さの間隔が一定値となるよう
に決める。
回路300、検出回路301及び流速分布演算回路30
2から構成される。まず、励磁回路300は励磁巻線2
03bに電流を供給し、測定対象に磁場を励磁する。こ
の励磁回路300は、n個の発振器303,304,3
05、加算器306及び定電流アンプ307から構成さ
れる。各発振器303,304,305はそれぞれ1〜
100kHzで別々の周波数f1 ,f2 ,…fn の正弦
波を発生する。これらの正弦波を加算器36によって足
し合わせて、定電流アンプ307を介して励磁巻線20
3bに励磁電流を供給する。ここで各励磁周波数は、そ
の周波数に対応する浸透深さの間隔が一定値となるよう
に決める。
【0025】検出巻線203a,cからの出力信号は検
出回路301に入る。ここでは2つの検出巻線203
a,cからの信号を差分した後、各励磁周波数に対応し
た中心周波数を持つn個のバンドパスフィルター31
7,318,319を通って、不要なノイズ信号が除去
される。その後、各励磁周波数に対応したn個の同期検
波器308,309,310(または位相検波器)によ
って、各周波数成分ごとに、励磁電流に対して以下に述
べる位相に基づいて検波される。ここで検出すべき速度
効果による磁場歪み信号の位相は、対象中の磁場と同じ
となる。対象物体中の磁場は、周波数が低い場合には励
磁電流と同位相となるため、低周波の場合には励磁電流
と同位相の磁場、ここではコイルによって検出している
ため、励磁電流と−90°ずれた位相で検出すればよ
い。しかし、周波数が高い場合には、対象中に生じる渦
電流のために、対象中の磁場の位相が変化し、そのた
め、検出すべき位相は周波数によって適当に変える必要
がある(具体的には各同期検波器の中で、基準となる発
振器からの信号refの位相をずらして同期検波すれば
よい)。ここでこの位相ずれは、各周波数に対して実際
に流速を計測して、流速に対する感度が最大となる位相
を求めればよい。
出回路301に入る。ここでは2つの検出巻線203
a,cからの信号を差分した後、各励磁周波数に対応し
た中心周波数を持つn個のバンドパスフィルター31
7,318,319を通って、不要なノイズ信号が除去
される。その後、各励磁周波数に対応したn個の同期検
波器308,309,310(または位相検波器)によ
って、各周波数成分ごとに、励磁電流に対して以下に述
べる位相に基づいて検波される。ここで検出すべき速度
効果による磁場歪み信号の位相は、対象中の磁場と同じ
となる。対象物体中の磁場は、周波数が低い場合には励
磁電流と同位相となるため、低周波の場合には励磁電流
と同位相の磁場、ここではコイルによって検出している
ため、励磁電流と−90°ずれた位相で検出すればよ
い。しかし、周波数が高い場合には、対象中に生じる渦
電流のために、対象中の磁場の位相が変化し、そのた
め、検出すべき位相は周波数によって適当に変える必要
がある(具体的には各同期検波器の中で、基準となる発
振器からの信号refの位相をずらして同期検波すれば
よい)。ここでこの位相ずれは、各周波数に対して実際
に流速を計測して、流速に対する感度が最大となる位相
を求めればよい。
【0026】この後、検波後の各周波数ごとの信号は、
対象面との距離信号と共に、流速分布演算回路302に
送られる。流速分布演算回路302は、A/D変換器3
11とコンピュータ312とから構成される。ここで
は、これらの信号をA/D変換器311によってコンピ
ュータ312に取り込み、コンピュータ312において
流速分布を計算する。そのためのアルゴリズムを以下に
説明する。
対象面との距離信号と共に、流速分布演算回路302に
送られる。流速分布演算回路302は、A/D変換器3
11とコンピュータ312とから構成される。ここで
は、これらの信号をA/D変換器311によってコンピ
ュータ312に取り込み、コンピュータ312において
流速分布を計算する。そのためのアルゴリズムを以下に
説明する。
【0027】まず、各同期検波器からの出力信号である
各周波数fi の起電力Ei を基準周波数f0 における起
電力に修正する。 Si =Ei ×f0 /fi ×B0 /Bi ここでBi は周波数fi の時の対象中の磁場の大きさで
ある。その後、隣り合う周波数fi 、fi+1 の検出信号
Si とSi+1 の差ΔSi を計算する。 ΔSi =Si+1 −Si …(4) これが、今着目している周波数fi とfi+1 に対応する
浸透深さδi からδi+1 までの測定区間i の、流速の元
となる磁場歪み信号となる。更に、それぞれの周波数に
おける浸透深さδi とδi+1 を計算し、これと測定した
対象面との距離信号L0 とから、測定区間までの平均距
離Li を計算する。 Li =L0 +(δi +δi+1 )/2 この距離により先に計算した信号差ΔSに対し距離感度
補正を行えば最終的な測定区間i の平均流速vi が求ま
る。 vi =ΔSi /{A・exp(−B・Li )} =A’・ΔSi ・exp(B・Li )} …(5) (ここでA,Bは定数,A’=1/A) この計算を全ての測定区間について行えば、対象面から
の深さに方向の流速分布を求めることが出来る。なお、
係数A,Bは基準周波数f0 について求めておけばよ
い。
各周波数fi の起電力Ei を基準周波数f0 における起
電力に修正する。 Si =Ei ×f0 /fi ×B0 /Bi ここでBi は周波数fi の時の対象中の磁場の大きさで
ある。その後、隣り合う周波数fi 、fi+1 の検出信号
Si とSi+1 の差ΔSi を計算する。 ΔSi =Si+1 −Si …(4) これが、今着目している周波数fi とfi+1 に対応する
浸透深さδi からδi+1 までの測定区間i の、流速の元
となる磁場歪み信号となる。更に、それぞれの周波数に
おける浸透深さδi とδi+1 を計算し、これと測定した
対象面との距離信号L0 とから、測定区間までの平均距
離Li を計算する。 Li =L0 +(δi +δi+1 )/2 この距離により先に計算した信号差ΔSに対し距離感度
補正を行えば最終的な測定区間i の平均流速vi が求ま
る。 vi =ΔSi /{A・exp(−B・Li )} =A’・ΔSi ・exp(B・Li )} …(5) (ここでA,Bは定数,A’=1/A) この計算を全ての測定区間について行えば、対象面から
の深さに方向の流速分布を求めることが出来る。なお、
係数A,Bは基準周波数f0 について求めておけばよ
い。
【0028】次にこの実施形態の測定結果例を図10に
基いて説明する。図10に本実施形態の速度測定装置に
より低融点合金金属を樋に流した際の流速を測定した出
力例を示す。測定に用いたのはウッドメタルで、抵抗率
は51μΩcmであり、比透磁率は1の非磁性体であ
る。また、流れの厚みは約20mmとした。測定に用い
た励磁周波数は、深さ方向の測定区間が5mmとなるよ
うに、5190,1300,576,324Hzの4つ
とした。また、基準周波数は324Hzとした。
基いて説明する。図10に本実施形態の速度測定装置に
より低融点合金金属を樋に流した際の流速を測定した出
力例を示す。測定に用いたのはウッドメタルで、抵抗率
は51μΩcmであり、比透磁率は1の非磁性体であ
る。また、流れの厚みは約20mmとした。測定に用い
た励磁周波数は、深さ方向の測定区間が5mmとなるよ
うに、5190,1300,576,324Hzの4つ
とした。また、基準周波数は324Hzとした。
【0029】図10(a)が測定対象の流速をその流れ
た重量と流れの断面積とから算出した値である。このた
め、図10(a)は流れ断面に対しての平均流速であ
る。また、図10(b)〜(e)が本実施形態の速度測
定装置により検出した各深さにおける流速の変化の様子
であり、(b)が0(表面)〜5mmまでの流速、
(c)が5〜10mmまでの流速、(d)が10〜15
mmまでの流速、(e))が15〜20(底)mmまで
の流速である。本実施形態においては、流速測定装置の
出力を深さ方向に平均すれば、流れ重量から計算した流
速とほぼ一致し、流速の測定は正しいことが分かる。ま
た、図10(b)〜(e)より、より深いところの流速
が遅くなっているが、これは低融点金属を樋に沿って流
しているため、流れの粘性から樋と接している深いとこ
ろの流速が低下しているためと考えられ、このことから
も本実施形態による深さ方向の流速分布測定が正しいこ
とが分かる。
た重量と流れの断面積とから算出した値である。このた
め、図10(a)は流れ断面に対しての平均流速であ
る。また、図10(b)〜(e)が本実施形態の速度測
定装置により検出した各深さにおける流速の変化の様子
であり、(b)が0(表面)〜5mmまでの流速、
(c)が5〜10mmまでの流速、(d)が10〜15
mmまでの流速、(e))が15〜20(底)mmまで
の流速である。本実施形態においては、流速測定装置の
出力を深さ方向に平均すれば、流れ重量から計算した流
速とほぼ一致し、流速の測定は正しいことが分かる。ま
た、図10(b)〜(e)より、より深いところの流速
が遅くなっているが、これは低融点金属を樋に沿って流
しているため、流れの粘性から樋と接している深いとこ
ろの流速が低下しているためと考えられ、このことから
も本実施形態による深さ方向の流速分布測定が正しいこ
とが分かる。
【0030】なお、この実施形態では、対象面との距離
をセンサヘッド200とは別に設けた渦流距離計56に
よって計測していたが、これによらずに、本センサヘッ
ドを渦流距離計としても併用することで、検出すること
もできる。すなわち、流速分布の検出に用いている各励
磁周波数に比べ、十分に高い周波数の電流を励磁巻線に
供給する。その励磁電流によって対象表面に渦電流が流
れ、その渦電流による誘導磁場を検出巻線によって検出
する。この検出巻線により検出した高い周波数の磁場信
号の大きさから、一般の渦流距離計と全く同様の原理
で、対象面との距離を検出すればよい。
をセンサヘッド200とは別に設けた渦流距離計56に
よって計測していたが、これによらずに、本センサヘッ
ドを渦流距離計としても併用することで、検出すること
もできる。すなわち、流速分布の検出に用いている各励
磁周波数に比べ、十分に高い周波数の電流を励磁巻線に
供給する。その励磁電流によって対象表面に渦電流が流
れ、その渦電流による誘導磁場を検出巻線によって検出
する。この検出巻線により検出した高い周波数の磁場信
号の大きさから、一般の渦流距離計と全く同様の原理
で、対象面との距離を検出すればよい。
【0031】なお、上述の実施形態においては測定回路
として複数の同期検波器を用いた例を示したが、図4に
示されるように、1つの同期検波器のみとして参照信号
をマルチプレクサ314により、コンピュータ312か
ら指令を出して切り替え、時分割で順に各周波数に対応
する検出信号を検波してよい。この時、バンドパスフィ
ルター320は1つのため、コンピュータ312の指示
により中心周波数を変化させることのできるものを用い
る。また、同期検波器も1つのため、各周波数における
励磁磁場と励磁電流との位相ずれをコンピュータにより
同期検波器に指示しなければならない。
として複数の同期検波器を用いた例を示したが、図4に
示されるように、1つの同期検波器のみとして参照信号
をマルチプレクサ314により、コンピュータ312か
ら指令を出して切り替え、時分割で順に各周波数に対応
する検出信号を検波してよい。この時、バンドパスフィ
ルター320は1つのため、コンピュータ312の指示
により中心周波数を変化させることのできるものを用い
る。また、同期検波器も1つのため、各周波数における
励磁磁場と励磁電流との位相ずれをコンピュータにより
同期検波器に指示しなければならない。
【0032】また、図5に示される実施形態のように、
発振器も複数のものを用いずに、発振周波数を変えられ
る発振器316を1つのみ用い、コンピュータ312か
ら制御信号を出して、発振周波数を順に変化させ、各周
波数による信号の変化を測定してもよい。
発振器も複数のものを用いずに、発振周波数を変えられ
る発振器316を1つのみ用い、コンピュータ312か
ら制御信号を出して、発振周波数を順に変化させ、各周
波数による信号の変化を測定してもよい。
【0033】更に、図6に示される実施形態のように、
コンピュータ312にD/A変換器315を取り付け、
複数の周波数からなる信号をコンピュータ315により
発生させてもよい。
コンピュータ312にD/A変換器315を取り付け、
複数の周波数からなる信号をコンピュータ315により
発生させてもよい。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、複数の周
波数からなる交流磁場を同時に又は時系列に測定対象物
体に与えて、検出した2点の磁場の差分信号からそれぞ
れの周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数に
よる信号と、それとは別に測定した対象面との距離とを
用いて流速分布を計測するようにしたので、対象面から
の深さによる流速の分布を計測することができる。
波数からなる交流磁場を同時に又は時系列に測定対象物
体に与えて、検出した2点の磁場の差分信号からそれぞ
れの周波数に対応した信号成分を検出し、その周波数に
よる信号と、それとは別に測定した対象面との距離とを
用いて流速分布を計測するようにしたので、対象面から
の深さによる流速の分布を計測することができる。
【図1】本発明のセンサヘッドの構成を示す図である。
【図2】本発明の流速を測定するための動作原理を示す
図である。
図である。
【図3】本発明の測定回路の一例を示すブロック図であ
る。
る。
【図4】本発明の測定回路の他の例を示すブロック図で
ある。
ある。
【図5】本発明の測定回路の他の例を示すブロック図で
ある。
ある。
【図6】本発明の測定回路の他の例を示すブロック図で
ある。
ある。
【図7】本発明における速度分布の特性図である。
【図8】対象面との距離と速度感度との関係を示した特
性図である。
性図である。
【図9】渦流距離計の配置を示した図である。
【図10】本発明の一実施形態による測定結果を示す特
性図である。
性図である。
【図11】連続鋳造の説明図である。
【図12】接触式による従来の高温液体金属の流速測定
装置の説明図である。
装置の説明図である。
【図13】磁場の速度効果の説明図である。
【図14】従来の磁気による非接触式高温液体金属の流
速測定装置(その1)の説明図である。
速測定装置(その1)の説明図である。
【図15】従来の磁気による非接触式高温液体金属の流
速測定装置(その2)の説明図である。
速測定装置(その2)の説明図である。
【図16】従来の磁気による非接触式高温液体金属の流
速測定装置(その3)の説明図である。
速測定装置(その3)の説明図である。
200:センサヘッド,202:E型磁心,203a,
c:検出巻線 203b:励磁巻線 56:渦流距離計 201:導電性測定対象物,300:励磁回路,30
3,304,305:発振器,306:加算器 307:定電流アンプ 316:周波数可変発振器,314:マルチプレクサ 301:検出回路,317,318,319:バンドパ
スフィルター 320:周波数可変バンドパスフィルター 308,309,310:同期検波器又は位相検波器 302:流速分布演算回路,313:渦流距離計駆動・
検出回路 311:A/D変換器,312:コンピュータ,31
5:D/A変換器
c:検出巻線 203b:励磁巻線 56:渦流距離計 201:導電性測定対象物,300:励磁回路,30
3,304,305:発振器,306:加算器 307:定電流アンプ 316:周波数可変発振器,314:マルチプレクサ 301:検出回路,317,318,319:バンドパ
スフィルター 320:周波数可変バンドパスフィルター 308,309,310:同期検波器又は位相検波器 302:流速分布演算回路,313:渦流距離計駆動・
検出回路 311:A/D変換器,312:コンピュータ,31
5:D/A変換器
Claims (2)
- 【請求項1】 移動する導電性の測定対象物体に対し、
垂直方向に磁場を励磁し、対象面と垂直な少なくとも2
点の磁場成分を、測定対象物体の移動方向において平行
でかつ励磁磁場の対称な位置で検出し、その検出点の磁
場の差分信号に基づいて、測定対象物体の流速を測定す
る流速測定方法において、 複数の周波数を交ぜ合わせた交流磁場を与え、又は異な
った周波数の交流磁場を時系列に与えて、検出点の磁場
の差分信号からそれぞれの周波数に対応した信号成分を
検出し、その周波数による信号とそれとは別に測定した
測定対象物体との距離とを用いて、測定対象物体の表面
からの深さによる流速分布を求めることを特徴とする流
速測定方法。 - 【請求項2】 移動する導電性の測定対象物体に対して
垂直方向に磁場を励磁する励磁手段及び測定対象物体と
垂直な少なくとも2点の磁場成分を、測定対象物体の移
動方向において平行でかつ励磁磁場の対称な位置で検出
する検出手段を備えたセンサヘッドを有し、その検出点
の磁場の差分信号に基づいて測定対象物体の流速を測定
する流速測定装置において、 前記センサヘッドと測定対象物体との距離を測定する手
段と、前記励磁手段を介して複数の周波数を交ぜ合わせ
た交流磁場を与え、又は異なった周波数の交流磁場を時
系列に与える手段と、検出点の磁場の差分信号から、そ
れぞれの周波数に対応した信号成分を検出し、その周波
数による信号と、測定された測定対象物体までの距離信
号とを用いて、測定対象物体の表面からの深さによる流
速分布を求める測定手段とを有することを特徴とする流
速測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30697895A JPH08211086A (ja) | 1994-11-28 | 1995-11-27 | 流速測定方法及びその測定装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29319394 | 1994-11-28 | ||
JP6-293193 | 1994-11-28 | ||
JP30697895A JPH08211086A (ja) | 1994-11-28 | 1995-11-27 | 流速測定方法及びその測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08211086A true JPH08211086A (ja) | 1996-08-20 |
Family
ID=26559308
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30697895A Pending JPH08211086A (ja) | 1994-11-28 | 1995-11-27 | 流速測定方法及びその測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08211086A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101839889A (zh) * | 2010-05-28 | 2010-09-22 | 东南大学 | 颗粒速度分布的弧状静电传感器阵列测量方法及装置 |
KR101388773B1 (ko) * | 2010-01-14 | 2014-04-23 | 도요타 지도샤(주) | 와전류 계측 센서 및 이 와전류 계측 센서를 이용한 검사 방법 |
-
1995
- 1995-11-27 JP JP30697895A patent/JPH08211086A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101388773B1 (ko) * | 2010-01-14 | 2014-04-23 | 도요타 지도샤(주) | 와전류 계측 센서 및 이 와전류 계측 센서를 이용한 검사 방법 |
CN101839889A (zh) * | 2010-05-28 | 2010-09-22 | 东南大学 | 颗粒速度分布的弧状静电传感器阵列测量方法及装置 |
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