JPH08262051A - 流速測定方法及び流速測定装置 - Google Patents

流速測定方法及び流速測定装置

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JPH08262051A
JPH08262051A JP6536095A JP6536095A JPH08262051A JP H08262051 A JPH08262051 A JP H08262051A JP 6536095 A JP6536095 A JP 6536095A JP 6536095 A JP6536095 A JP 6536095A JP H08262051 A JPH08262051 A JP H08262051A
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JP
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magnetic field
flow velocity
electrode
detection
electrodes
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Application number
JP6536095A
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English (en)
Inventor
Kaneyuki Oota
金幸 太田
Hiroharu Katou
宏晴 加藤
Akio Nagamune
章生 長棟
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部から強い磁場がかかっても安定して流速
の測定を行うことができ、任意の深さの流速を測定する
ことができる流速測定装置を提供することを目的とす
る。 【構成】 非磁性体で支持され、移動する導電性の測定
対象物体に対して垂直な交流の磁場を発生させる磁場発
生手段と、測定対象物の磁場のかかっている領域中に配
置された2つの検出用電極と、検出用電極間の電圧を検
出する検出手段と、検出手段により検出された電圧の励
磁磁場と同じ周波数かつ同相の成分に基づいて、励磁磁
場及び検出用電極間隔と直交する方向の流速を演算する
流速演算手段とを備えるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電体の流速測定装置に
関し、特に連続鋳造プロセスにおいて溶鋼を鋳込む鋳型
内溶鋼流の表面の流速を測定するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造ラインにおいては、図10に示
すように溶鋼3はタンディッシュ1よりノズル2を通し
て銅製の鋳型4中に注ぎ込まれ鋳造される。鋳型中に注
ぎ込まれた溶鋼は、鋳型壁面に当たり上昇流7と下降流
8に分かれる。上昇流は表面で流れ9a,9bを作る
が、ここで表面の溶鋼流動の左右のバランスが崩れる
と、図10の11に示すように渦が発生し溶鋼表面上に
撒いたパウダーを巻き込んでしまう。また、表面の溶鋼
流動が過大になると、図10の10に示すように溶鋼表
面のパウダーを削り込んでしまう。
【0003】何れにおいても、鋳片中に介在物が捕捉さ
れることになり、製品欠陥の原因となる。この理由から
鋳型内溶鋼流動を安定化させることは極めて重要な課題
となっており、特に、溶鋼表面近傍の流速を連続的に計
測することが強く求められていた。
【0004】従来の溶鋼表面近傍の流速の計測は、例え
ば特開平5−60774号公報に記載されているような
接触型の計測が主であった。これは、図11に示すよう
にファインセラミック製の棒12を溶鋼14に浸漬し
て、その棒が溶鋼流動により受ける圧力Fを、受圧セン
サ13により検出して、流速を測定するものである。し
かし、この方法では、高温の溶鋼にセラミクス製棒を浸
漬させるため、長時間の連続測定が不可能なものであっ
た。
【0005】これに対し、磁気を用いて速度を計測でき
ることも知られている。これは、図12に示すように均
等な磁場中で導体15が動くと、その導体中にE=v×
Bなる速度起電力が生じ、この速度起電力を計測するこ
とによって、対象の流速を測定するものである。この方
法は管内を流れる流体の平均流量測定においては、電磁
流量計として古くから知られているものである。
【0006】上記のような磁気を用いて、流体中任意の
点の流速を計測するものとして、図13に示すものがあ
った。これは図13に示すように、永久磁石22と2つ
の電極21a,21bが一体となっており、全体が流体
20の中に浸漬されている。そして、永久磁石22によ
り流体20中に磁場が生じさせ、上述したように速度起
電力を生じさせ、これを電極21a,21bによって測
定して流速を測定するようになっている。
【0007】このように流速を測定することにより、こ
のセンサの流速の測定範囲は、センサを浸漬させた周囲
であり、センサの位置を変えれば、表面より深いところ
の流速の計測もできるものである。しかし、これは、対
象に対し、全体を浸漬するので、高温の流体の時にはキ
ュリー点を越えて、磁石が磁場を発生できなくなり、計
測できないものであった。
【0008】また、上記のような磁気を用いて、流速を
計測するものとして、実公平6−20101号公報に記
載されたものがあった。これは、図14に示すように、
浸漬ケース52に収めたコの字型の鉄心50aと巻き線
50bからなる電磁石50と、2本の電極51a,51
bとから構成されている。図14では対象の流れは紙面
垂直方向を向いている。この浸漬ケース52を測定対象
の表面に浸漬させ、電磁石50に電流を流して、対象表
面に平行で流速に垂直に磁場を発生させる。その磁場と
流れによる速度起電力を、対象に浸漬させ、かつ励磁磁
場と流れに垂直な方向に間隔のあいた2本の電極51
a,51bの間の電圧として流速を検出するものであ
る。
【0009】また、その類似のものとして、実開平5−
322912号公報に記載されたものがあった。これ
は、図15に示すように、実公平6−20101号公報
に記載されている構成のうちの2本の電極51a,51
bからのみで構成されているものであり、連続鋳造機に
おける流速測定に特化させており、連続鋳造機に付属し
ている電磁撹拌装置60の磁場を、実公平6−2010
1号公報に記載されている励磁磁場の代わりとしたもの
である。
【0010】また、磁気を用いて非接触で流速を計測す
ることもできる。これは、上述したように、図12に示
した導体20の運動により生じた速度起電力により、導
体中に渦電流Jv が誘起され、これにより導体上に誘導
磁場Bvが発生して、元の磁場は導体の速度方向に引き
ずられるようにBからB’へと歪む。そして、この歪み
の程度は導体の速度に対応して変化するので、歪み量を
測ることで対象導体の速度を非接触で知ることができ
る。
【0011】このように、磁気を用いて非接触で流速を
計測するものとして、特開平5−297012号公報に
記載されたものがあった。これは、第16図に示すよう
に、1次コイル151を測定対象152に対して垂直に
配置し、1次コイル151を挟んで両側に測定対象15
2に対して垂直に2次コイル154a,154bを配置
すし、それぞれのコイルは、それぞれ鉄心155,15
6a,156bに巻かれている。
【0012】ここで1次コイル151に交流電流を印加
して磁界153を生じさせ、速度による磁場の歪み量を
両端の2次コイル154a,154bの出力によって検
出して、対象の流速を計測するものである。なお、ここ
では、2次コイル154a,154bに生じた起電力の
位相に基づいて流速を計測している。
【0013】このような非接触での流速の測定は、磁場
の歪みB’を計測するものであるが、このB’は速度効
果により励起されたJv により生じているので、Jv が
センサより遠いほど、言い換えれば、対称表面より深い
ところのJv ほど、それによるB’は小さくなる。この
ことから非接触式のセンサでは、対象面の表面付近の流
速を測定するものとなっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
磁気を用いた流速測定方法には以下のような問題点があ
った。 (1)永久磁石を用い装置全体を浸漬する方法では、高
温の流体に対しては、磁石が機能しなくなり、測定でき
ない。 (2)永久磁石などの、直流励磁による流速測定方法で
は、高温の流体に対しては、熱起電力が生じ、正確な計
測ができない。 (3)交流励磁を用いる一般の電磁流量計的な構成を用
いると、電極と対象導体とが作る回路と、励磁磁場が鎖
交し、それにより電極間に誘導ノイズが発生し、正確な
計測が出来ない。 (4)非接触式の流速計では、流体の表面付近の流速測
定のみで、表面より深いところの流速が測定できない。 (5)通常の電磁式流速測定においては磁心が用いられ
るが、電磁攪拌による強い磁場がかかったとき、磁芯が
飽和したり、しなかったりして、励磁磁場の出力が一定
とならず、安定した流速の測定が不能になる。 (6)対象面の上から、対象面と平行方向の磁場を励磁
する方法では、励磁磁石からの距離が離れると磁場の大
きさが急激に減衰してしまい、例えばコの字型の電磁石
を使う場合には、コの字型の磁極間隔が広く大きな磁石
を使わなければ、磁石を対象面から離すことができな
い。 (7)浸漬ケースに励磁装置等を収納し、対象面に浸漬
する方法では、対象面に広くセンサを接触せねばなら
ず、対象の流れに影響を与えてしまう。また対象が高温
の場合、浸漬ケースが高温のため劣化するので、補修が
必要となる。 (8)励磁磁場として電磁撹拌による磁場を用いると、
鋳造機を変えるたび、また測定位置を変えるたびに、励
磁磁場の大きさは変わるため、校正し直さなければなら
ない。
【0015】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、外部から強い磁場がかかって
も安定して流速の測定を行うことができ、任意の深さの
流速を測定することができる流速測定装置を提供するこ
とを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る流速測
定方法は、非磁性体で支持された磁場発生手段から移動
する導電性の測定対象物体に対して交流の磁場を発生さ
せ、測定対象物の磁場のかかっている領域中に配置され
た2つの検出用電極間の電圧を検出し、その電極間の電
圧の励磁磁場と同じ周波数かつ同相の成分に基づいて、
励磁磁場及び電極間隔と直交する方向の流速を演算する
ものである。
【0017】第2の発明に係る流速測定方法は、非磁性
体で支持された磁場発生手段から移動する導電性の測定
対象物体に対して交流の磁場を発生させ、先端以外が非
導電性の耐火物で覆われ、測定対象物の磁場のかかって
いる領域中に配置された2つの検出用電極間の電圧及び
電極の先端の位置を検出し、その電極間の電圧の励磁磁
場と同じ周波数かつ同相の成分及び電極の位置に基づい
て、励磁磁場及び電極間隔と直交する方向の流速を演算
するものである。
【0018】第3の発明に係る流速測定装置は、非磁性
体で支持され、移動する導電性の測定対象物体に対して
交流の磁場を発生させる磁場発生手段と、測定対象物の
磁場のかかっている領域中に配置された2つの検出用電
極と、検出用電極間の電圧を検出する検出手段と、検出
手段により検出された電圧の励磁磁場と同じ周波数かつ
同相の成分に基づいて、励磁磁場及び検出用電極間隔と
直交する方向の流速を演算する流速演算手段とを備える
ものである。
【0019】第4の発明に係る流速測定装置は、非磁性
体で支持され、移動する導電性の測定対象物体に対して
交流の磁場を発生させる磁場発生手段と、測定対象物の
磁場のかかっている領域中に配置され、先端以外が非導
電性の耐火物で覆われた2つの検出用電極と、検出用電
極の先端の位置を検出する電極位置検出手段と、検出用
電極間の電圧を検出する検出手段と、検出手段により検
出された電圧の励磁磁場と同じ周波数かつ同相の成分及
び電極位置検出手段により検出された電極の先端の位置
に基づいて、励磁磁場及び検出用電極間隔と直交する方
向の流速を演算する流速演算手段とを備えるものであ
る。
【0020】
【作用】第1の発明においては、非磁性体で支持された
磁場発生手段から移動する導電性の測定対象物体に対し
て交流の磁場が発生され、測定対象物の磁場のかかって
いる領域中に配置された2つの検出用電極間の電圧が検
出され、その電極間の電圧の励磁磁場と同じ周波数かつ
同相の成分に基づいて、励磁磁場及び電極間隔と直交す
る方向の流速が演算される。
【0021】第2の発明においては、非磁性体で支持さ
れた磁場発生手段から移動する導電性の測定対象物体に
対して交流の磁場が発生され、先端以外が非導電性の耐
火物で覆われ、測定対象物の磁場のかかっている領域中
に配置された2つの検出用電極間の電圧及び電極の先端
の位置が検出され、その電極間の電圧の励磁磁場と同じ
周波数かつ同相の成分及び電極の位置に基づいて、励磁
磁場及び電極間隔と直交する方向の流速が演算される。
【0022】第3の発明においては、磁場発生手段によ
り、非磁性体で支持され、移動する導電性の測定対象物
体に対して垂直な交流の磁場が発生され、2つの検出用
電極が測定対象物の磁場のかかっている領域中に配置さ
れ、検出手段により、検出用電極間の電圧が検出され、
流速演算手段により、検出手段により検出された電圧の
励磁磁場と同じ周波数かつ同相の成分に基づいて、励磁
磁場及び検出用電極間隔と直交する方向の流速が演算さ
れる。
【0023】第4の発明においては、磁場発生手段によ
り、非磁性体で支持され、移動する導電性の測定対象物
体に対して垂直な交流の磁場が発生され、先端以外が非
導電性の耐火物で覆われた2つの検出用電極が測定対象
物の磁場のかかっている領域中に配置され、検出手段に
より、検出用電極間の電圧が検出され、電極位置検出手
段により、検出用電極の先端の位置が検出され、流速演
算手段により、検出手段により検出された電圧の励磁磁
場と同じ周波数かつ同相の成分及び電極位置検出手段に
より検出された電極の先端の位置に基づいて、励磁磁場
及び検出用電極間隔と直交する方向の流速が演算され
る。
【0024】
【実施例】
実施例1.本発明は、空心のソレノイドコイルにより、
移動する導電性の測定対象流体に対して垂直に磁場を励
磁し、ソレノイドコイルの内側に、対象の流れの方向と
垂直に耐熱性の2つの電極を並べて流体中に浸漬させ、
その電極の検出信号に基づいて、測定対象流体の流速を
測定するものであるが、本発明の実施例を説明するのに
先立って、本発明の動作を図1〜図6を用いて説明す
る。
【0025】本発明は、図1に示すように、移動する導
電性の測定対象流体20の上に、中心軸が対象面と垂直
となるように、空心のソレノイドコイル27を配置し、
そのコイルの内側に、対象の流れの方向と垂直に耐熱性
の2つの電極25a,25bを並べて、これを流体中に
浸漬させている。
【0026】そして、2つの電極25a,25bをこの
ように配置し、中心の励磁巻線に交流電流を流すことに
より、導体面に垂直に交流の磁場を励磁することができ
る。上述したように、速度起電力Eはv×Bで表される
ので、対象の速度と磁場とが垂直となっているときに最
大となる。よって、ここでは、測定する流速は対象面と
平行であるので、磁場を対象面と垂直に励磁している。
【0027】また、空心のソレノイドコイルを用いるこ
とで、電磁攪拌による強い磁場がかかっても、磁心を用
いた場合に比べてセンサが飽和しないので、安定した励
磁ができ、さらに、励磁装置を流体上に表面から離して
置いているので、適正な冷却を行えば、高温の流体に対
しても、励磁装置の温度は低く保て、安定した励磁が可
能となっている。
【0028】さらに、対象に接しているのは径の小さい
電極のみなので、従来技術で示した永久磁石を浸漬させ
るものや、実公平6−20101号公報に記載されたよ
うな浸漬ケースを流体上に表面に接するものに比べ、対
象の流れに与える影響が少なく、また、高温の流体の場
合に補修が必要となるのは電極のみで比較的安価です
む。
【0029】また、ソレノイドコイルを、中心軸を対象
面に向けて配置すれば、従来技術で示した実公平6−2
0101号公報に記載されたような、コの字型の電磁石
を用いるよりも、コイルからの距離による励磁場の減衰
を少なくすることができ、測定対象面からより励磁装置
を離すことができる。これは、ソレノイドコイルの磁場
が、図2の(a)に示すように、コイル軸に沿って対象
面へと向かっているのに対し、コの字型電磁石では図2
の(b)に示すように、ほとんどの磁場は鉄心の脚間に
集中しているためである。そして、励磁磁場と対象の流
速との相互作用から生じる速度起電力を、2つの電極2
5a,25bを用いて検出することで、対象の流速を検
出する。ここで、励磁磁場が交流で下式で求められる場
合、
【0030】 B(t)=|B|cos(ωt) (1) 但し、 B:電極先端での励磁磁場,|B|:励磁磁場の大きさ ω:励磁磁場の角周波数
【0031】電極間に生じる速度起電力Eは、下式で求
められる。 E(t)=L・v×B(t)=L・v・|B|cos(ωt) (2) 但し、 L:電極間隔,v:流速
【0032】次に、励磁磁場が電極と対象導体とで作る
回路に誘導するノイズについて考えることにする。2つ
の電極25a,25bはソレノイドコイル27の中心軸
に平行に、かつ中心軸を中心に対称に配置している。そ
のため本来ならば、図3に示すような電極と対象導体と
で作る回路が囲む面積Sには、励磁磁場は面Sに平行な
ので鎖交はしない。しかし、装置の製作精度上、わずか
に2つの電極の中心がコイルの中心軸からずれたり、平
行でなくなったりしていると、この回路に励磁磁場が鎖
交し、電極間には誘導起電力が生じノイズとなる。この
ノイズ起電力Nは次式で求められる。
【0033】N(t)=−d{B(t)・S}/dt =S・ω・|B|sin(ωt) (3) 但し、 S:電極と対象導体とが作る回路と励磁磁場とが鎖交し
ている面積
【0034】式2及び式3に示すように、流速と関係し
た速度起電力Eとノイズ起電力Nとは、その位相が90
゜ずれており、Eは励磁磁場と同位相、即ち励磁電流と
同位相であることがわかる。このことから、電極間の起
電力のうち、励磁電流と同位相の成分のみを検出すれ
ば、流速と対応した速度起電力Eのみを検出でき、ノイ
ズNを除くことができることがわかる。このような特定
位相成分を検出するにはロックインアンプなどを用いれ
ばよい。
【0035】また、高温の流体に適応する際には、励磁
コイルへの励磁電流を直流とすると、電極と高温の流体
との接点で、熱起電力が発生する。この様子を図4に示
す。図4に示すように、熱起電力によるノイズは直流で
ある。したがって、励磁電流として交流を用い、励磁電
流と同じ周波数の起電力を検出すれば、この熱起電力に
よるノイズの影響をなくすことができる。
【0036】なお、周波数が高いと、表皮効果により流
体の深いところまで磁場が浸透せず、深いところまで流
速の計測ができないので、励磁周波数としては低い周波
数を用いる。この際、周波数は、測定したい深さより
も、周波数と対象の導電率で決まる表皮深さが、大きく
なるように決める。
【0037】また、図1に示すように、検出用電極の流
体に浸漬している側の先端以外を、非導電性の耐火物2
6a,26bで覆い、先端位置の深さの速度起電力のみ
を拾うことで、その位置の流速のみを計測できる。なぜ
ならば、速度起電力はその点のv×Bであり、よってそ
の位置のvに対応するからである。これから、電極を差
し込む深さを変えることで、対象表面から所望の深さの
流速を計測することができることが分かる。
【0038】ここで電極間の起電力をEとすると、これ
から流速vを換算するには、下式により換算する。 v=E/(B・L) (4)
【0039】式4で、Bは電極先端での励磁磁場の大き
さであるが、ソレノイドコイルによる磁場Bは、コイル
27から図5に示すZ方向に離れると、図6に示すよう
に低下する。よって、電極を差し込む深さを可変とし
て、流速の測定を行う際には、電極先端とコイル中心と
の距離zにより流速感度が変化するので、これを補正す
る必要が生じる。ソレノイドコイルの場合、コイル中心
からの距離と、励磁磁場の大きさとの関係は下式のよう
になっている。
【0040】
【数1】
【0041】但し、 a:コイルの外径,b:コイルの内径,L:コイルの長
さ N:コイルの巻き数,I:励磁電流 このように式5により、励磁磁場の大きさBを計算すれ
ばよい。なお、この式は、周波数の比較的低い場合にの
み適応できるものであるが、流速を測定する際には、励
磁磁場の周波数は低周波でよいので、この式で問題はな
い。
【0042】本発明の測定原理が明らかになったところ
で、次に本発明の実施例を説明する。図1は本発明の一
実施例に係る流速測定装置の構成を示す構成図である。
ここで、流速測定装置としては、図1に示すような流速
測定の基本となる励磁用ソレノイドコイル27及び検出
用電極25a,25bと励磁回路31,検出回路30、
流速演算回路32からなる測定回路と構成され、励磁用
ソレノイドコイル27は、移動する導電性の測定対象流
体20の上に、中心軸が対象面と垂直となるように配置
され、検出用電極25a,25bは、耐熱性のものであ
り、励磁用ソレノイドコイル27の内側に、測定対象流
体20の流れの方向と垂直に浸漬されている。
【0043】また、検出用電極25a,25bは、測定
対象流体20に浸漬している側の先端以外を、非導電性
の耐火物26a,26bで覆っている。ここでは電極と
しては、ZrB2 を、耐火物としてはセラミクスを用い
ている。また、励磁用ソレノイドコイル27は、多量の
電流を流すため、銅チューブを巻き回したもので製作
し、銅チューブ中には水を流し水冷している。
【0044】次に、測定回路について説明する。まず、
励磁回路31は、ソレノイドコイル27に電流を流し、
測定対象に磁場を励磁する。これは発振器35と、定電
流アンプ36からなり、発振器35により1〜100H
zの正弦波を発生させ、定電流アンプ36を介して、励
磁用ソレノイドコイル27に励磁電流を供給する。
【0045】また、励磁周波数としては、測定したい深
さよりも、周波数と対象の導電率で決まる表皮深さが大
きくなるように決める。なお、電磁攪拌等による外乱磁
場が交流の場合には、励磁電流の周波数をこれらの外乱
磁場の周波数から十分に離す必要がある。ここでは、な
るべく深い位置まで磁場が浸透するように、周波数を1
4Hzとし、また、励磁電流は40Aとした。
【0046】そして、2つの検出用電極25a,25b
により検出された起電力信号は、検出回路30に入力さ
れる。ここでは、まず、励磁電流の周波数を中心周波数
とするバンドパスフィルタ38により、大きな外乱磁場
をあらかじめ取り除いた後に、ロックインアンプ37に
よって、励磁電流と同相の成分を検波する。
【0047】そして、検波後の信号は続いて流速演算回
路32に渡され、上述した式(5)により距離による励
磁磁場の減衰を考慮に入れて、流速を計算する。なお、
図1の回路例では、この補正をアンプ39で行っている
が、これは、式(4)の係数を各電極長さごとに、あら
かじめ計算して、その値にアンプの倍率を設定するので
ある。この方法では、電極長さを変えるごとにアンプの
倍率を設定し直す必要があるが、1回の測定で多数の深
さの流速を計測することは滅多になく、この方法でも十
分流速の測定を行うことができる。
【0048】実施例2.図7は本発明の他の実施例に係
る流速測定装置の構成を示す構成図である。図におい
て、40は、検出用電極25a,25bと連動させたポ
テンショメータ、41はポテンショメータ40に電源を
供給する電源、42はポテンショメータ40からの信号
が入力される折れ線近似回路であり、この折れ線近似回
路42は図8に示すような入出力特性を持っている。4
3は乗算器であり、折れ線近似回路42と乗算器43で
流速演算回路32を構成している。
【0049】この実施例は、実施例1において、検出用
電極25a,25bの長さをポテンショメータ40によ
り読みとり、その値によって自動的に測定結果を補正
し、流速を検出するようにしたものであり、次にこの動
作について説明する。
【0050】まず、ポテンショメータ40は、検出用電
極25a,25bと連動しており、そのその電極とソレ
ノイドコイル27の中心までの距離zに対応した距離信
号zを出力している。そして、図8に示すような入出力
特性を持つ折れ線近似回路42により、1/Bに変換し
て、その変換された信号を乗算器43によりロックイン
アンプ37の出力信号に乗算して、流速の測定結果とし
て出力する。
【0051】なお、折れ線近似回路32は、予め、入力
zと出力1/Bの関係が、図8に示すようになるよう
に、調整されているものである。また、このようにアナ
ログ回路によって流速演算をしなくても、起電力Eと電
極の位置信号とを、A/D変換して、コンピュータに取
り込み、ソフトウェアによって計算してもよい。
【0052】次に、この実施例の測定結果を説明する。
図9は高温の溶鋼の流速を、本流速測定装置により流速
を計測した例であり、図9の(a)は測定対象の流速を
その流れた重量と流れの断面積とから算出したものであ
り、図9の(b)は本流速測定装置により検出した流速
であり、実施例1の測定結果も同様の結果となる。ここ
では、本測定装置の下に耐火性の樋をつくり、その中に
溶鋼を流すようにしており、測定開始から30秒後に溶
鋼を流し、その後、60秒間溶鋼を流して測定を行っ
た。
【0053】また、ここでは電極先端の長さは、コイル
から100mmで、溶鋼流れの中心に位置するようにな
っている。図9に示すように、本発明の装置により高温
の流体に対しても、流速を安定して測定することが可能
となり、また、この流速の測定は検出用電極25a,2
5bの先端の位置の流速を測定しており、表面から任意
の深さの位置の流速を安定して計測することが可能とな
る。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、非磁性
体で支持された磁場発生手段により、移動する導電性の
測定対象物の上より対象面と垂直な方向に交流磁場を発
生し、測定対象物の磁場のかかっている領域中に2つの
検出用電極を配置し、検出手段により、検出用電極間の
電圧が検出され、流速演算手段により、検出手段により
検出された電圧の前記励磁磁場と同じ周波数かつ同相の
成分に基づいて、励磁磁場及び検出用電極間隔と直交す
る方向の流速を演算するようにしたので、外部から強い
磁場がかかっても従来の鉄心を用いた電磁式流速計のよ
うに磁芯が飽和することなく、安定して測定することが
でき、また、対象が高温の場合でも、熱起電力や高温に
よる磁性の劣化の影響なく、安定して流速の計測を行う
ことができるという効果を有する。
【0055】また、測定対象物の磁場のかかっている領
域中に先端以外が非導電性の耐火物で覆われた2つの検
出用電極を配置し、電極位置検出手段により、検出用電
極の先端の位置を検出し、流速演算手段により、検出手
段により検出された電圧の励磁磁場と同じ周波数かつ同
相の成分及び電極位置検出手段により検出された電極の
先端の位置に基づいて、励磁磁場及び検出用電極間隔と
直交する方向の流速を演算するようにしたので、所望の
深さの流速を計測することができるという効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る流速測定装置の構成を
示す構成図である。
【図2】励磁磁場の分布を説明するための説明図であ
る。
【図3】励磁磁場の誘導ノイズを説明するための説明図
である。
【図4】熱起電力を説明するための説明図である。
【図5】電極の長さを説明するための説明図である。
【図6】電極の長さと磁場の関係を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る流速測定装置の構成
を示す構成図である。
【図8】折れ線近似回路の入出力特性を示した図であ
る。
【図9】実施例2の計測結果を示した図である。
【図10】連続鋳造を説明するための説明図である。
【図11】従来の接触式による高温液体金属の流速測定
を説明するための説明図である。
【図12】磁場の速度効果を説明するための説明図であ
る。
【図13】従来の磁気による接触式液体金属の流速測定
を説明するための説明図である。
【図14】従来の磁気による接触式液体金属の流速測定
を説明するための説明図である。
【図15】従来の磁気による接触式液体金属の流速測定
を説明するための説明図である。
【図16】従来の磁気による非接触式液体金属の流速測
定を説明するための説明図である。
【符号の説明】
20 導電性測定対象物 25a,25b 耐熱性検出用電極 26a,26b 非導電性の耐火物 27 ソレノイドコイル(磁場発生手段) 30 検出回路(検出手段) 31 励磁回路 32 流速演算回路(流速演算手段) 35 発振器 36 定電流アンプ 37 ロックインアンプ 38 バンドパスフィルタ 39 アンプ 40 ポテンショメータ(電極位置検出手段) 41 電源 42 折れ線近似回路 43 乗算器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性体で支持された磁場発生手段から
    移動する導電性の測定対象物体に対して垂直な交流の磁
    場を発生させ、前記測定対象物の磁場のかかっている領
    域中に配置された2つの検出用電極間の電圧を検出し、
    その電極間の電圧の前記励磁磁場と同じ周波数かつ同相
    の成分に基づいて、前記励磁磁場及び電極間隔と直交す
    る方向の流速を演算することを特徴とする流速測定方
    法。
  2. 【請求項2】 非磁性体で支持された磁場発生手段から
    移動する導電性の測定対象物体に対して垂直な交流の磁
    場を発生させ、先端以外が非導電性の耐火物で覆われ、
    前記測定対象物の磁場のかかっている領域中に配置され
    た2つの検出用電極間の電圧及び電極の先端の位置を検
    出し、その電極間の電圧の前記励磁磁場と同じ周波数か
    つ同相の成分及び前記電極の位置に基づいて、前記励磁
    磁場及び電極間隔と直交する方向の流速を演算すること
    を特徴とする流速測定方法。
  3. 【請求項3】 非磁性体で支持され、移動する導電性の
    測定対象物体に対して垂直な交流の磁場を発生させる磁
    場発生手段と、 前記測定対象物の磁場のかかっている領域中に配置され
    た2つの検出用電極と、 該検出用電極間の電圧を検出する検出手段と、 該検出手段により検出された電圧の前記励磁磁場と同じ
    周波数かつ同相の成分に基づいて、前記励磁磁場及び前
    記検出用電極間隔と直交する方向の流速を演算する流速
    演算手段とを備えることを特徴とする流速測定装置。
  4. 【請求項4】 非磁性体で支持され、移動する導電性の
    測定対象物体に対して垂直な交流の磁場を発生させる磁
    場発生手段と、 前記測定対象物の磁場のかかっている領域中に配置さ
    れ、先端以外が非導電性の耐火物で覆われた2つの検出
    用電極と、 該検出用電極の先端の位置を検出する電極位置検出手段
    と、 前記検出用電極間の電圧を検出する検出手段と、 該検出手段により検出された電圧の前記励磁磁場と同じ
    周波数かつ同相の成分及び前記電極位置検出手段により
    検出された前記電極の先端の位置に基づいて、前記励磁
    磁場及び前記検出用電極間隔と直交する方向の流速を演
    算する流速演算手段とを備えることを特徴とする流速測
    定装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100445583B1 (ko) * 2001-08-23 2004-08-25 재단법인 포항산업과학연구원 비접촉식 용융금속의 유속 측정장치 및 그 측정방법
CN109550906A (zh) * 2019-01-22 2019-04-02 东北大学 一种连铸结晶器内钢液流速的测量装置及其测量方法

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CN109550906B (zh) * 2019-01-22 2021-01-29 东北大学 一种连铸结晶器内钢液流速的测量方法

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