JPH08210B2 - 流体中微粒子の荷電凝集濾過方法及び当該方法に用いるフィルターエレメント並びに流体濾過装置 - Google Patents

流体中微粒子の荷電凝集濾過方法及び当該方法に用いるフィルターエレメント並びに流体濾過装置

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JPH08210B2
JPH08210B2 JP4192193A JP4192193A JPH08210B2 JP H08210 B2 JPH08210 B2 JP H08210B2 JP 4192193 A JP4192193 A JP 4192193A JP 4192193 A JP4192193 A JP 4192193A JP H08210 B2 JPH08210 B2 JP H08210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体中微粒子の荷電凝
集濾過方法及び当該方法に用いるフィルターエレメント
並びに流体濾過装置に関し、更に詳しくは空気、ガス等
の気体の浄化、水、油、洗浄液、加工液等の液体の浄化
等、昨今叫ばれている地球環境の浄化に貢献することが
できる技術に関し、特に排水中のオングストロームオー
ダの色素も除去することができる流体中微粒子の荷電凝
集濾過方法及び当該方法に用いるフィルターエレメント
並びに流体濾過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】流体中の微小なゴミ粒子はその流体との
界面に電位をもつ帯電体となっている。従来、このよう
なゴミ粒子を除去する方法としては、外部から電位を与
えなくてもそれ自身、自然電位を有するチタン酸バリウ
ム等の粉末をフィルターにコーティングしてフィルター
自身に電位をもたせたゼータ電位付加型フィルターエレ
メントが知られている。しかしながら、このフィルター
エレメントは使用の進行に伴ってコーティング材料が流
出してフィルターの電位が徐々に失われる結果、フィル
ターとしての有効時間が短く、したがって交換頻度も高
くコストがかかる欠点があった。
【0003】このような状況に鑑み提案されたものとし
て、当出願人が実開平3−989113号として提案し
ているものがある。これは本体容器を兼ねた外筒電極の
内部に前記外筒電極と同電位となした内筒電極を同心状
に配置して両電極間に処理対象液の流通空間を形成する
とともに、該流通空間内に、外表面に金属製多孔板を直
接配設した濾過フィルターを内装した構成であり、前記
金属製多孔板に直接荷電することによって、外筒電極及
び内筒電極と金属製多孔板間の液中の不純物粒子がもつ
界面電位(ゼーター電位)をクーロン力で引きつけて不
純物粒子の凝集粗粒化をはかり、この粗粒化した不純物
粒子を金属製多孔板の背後に配置された濾過フィルター
の濾目により捕捉することにより、流体中の不純物の除
去を行うものである。そしてこの装置ではゼーター電位
を中和させるための電圧は外部から与えられているか
ら、長期の使用においてもフィルター表面の電位が失わ
れることはなくなった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この装
置では、流体のフィルターへの流入は金属製多孔板を経
由して行われることから、流体のフィルターへの流入量
は多孔板上の孔の開孔比率に依存し、処理量に限界があ
るうえに、この装置では、フィルターの表面にのみ電位
が与えられているのみであるから、フィルターの径方向
深部ではフィルターの帯電状態が不充分であり、フィル
ターの径方向深部においては不純物粒子の捕捉効果は低
いのが実情であった。
【0005】また、上記装置ではフィルターの径方向深
部ではフィルターの帯電状態が不充分であるため、その
作用対象が10ミクロン前後の比較的大きい微粒子に限
定される問題があり、それ以下の極微粒子の凝集には多
数回の循環の繰り返しが必要であって処理時間が多くか
かる欠点もあった。また上記装置で不純物粒子の凝集粗
粒化効率を高めようとすれば、荷電電圧を高めるしか方
法がないが、特に直流荷電方式の場合、印加電圧を高め
ると、荷電極が電蝕を来して電極金属がイオン化する問
題があり、例えばステンレス製電極を使用した場合など
は、六価クロムが生成されるため廃液処理が困難となる
問題があり、このため印加電圧の高電圧化にも限界があ
るのが実情であった。
【0006】本発明はかかる現況に鑑みてなされたもの
であり、フィルターへの処理対象流体の流入が円滑であ
るとともに大量の流体を濾過することができ、且つ高電
圧を印加しなくても優れた濾過性能が得られる流体中微
粒子の荷電凝集濾過方法を提案せんとするものである。
そして、フィルター深部にいたるまで帯電させることに
より、フィルターによる不純物粒子の捕捉効果も高める
ことができ、例えば、色素等に代表されるオングストロ
ームオーダーの極微な不純物粒子も効果的に除去するこ
とができる流体中微粒子の荷電凝集濾過方法を提案し、
合わせて当該方法に用いるフィルターエレメント並びに
当該フィルターエレメントを組み込んだ流体濾過装置を
も提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するにあたって、流体中微粒子の荷電凝集濾過方法
についての原理的考察を行い、従来からの経験を基礎に
して研究と実験を繰り返した結果、次の新たな原理及び
法則性を発見した。そして、この発見に基づいて完成さ
せたのが本発明である。
【0008】従来より流体中微粒子の荷電凝集濾過は次
の原理によって理解されている。即ち、電気化学の理論
によれば流体中の微粒子は流体との界面に電気二重層の
ゼータ電位に起因する界面電位を持っており、この界面
電位に起因したクーロン力が微粒子間に働くことによっ
て、各微粒子はお互いに反撥しあいながら流体中に浮遊
している。今何らかの形で外からのエネルギーを与え、
この界面電位を中和するか小さくしてやることができれ
ば、クーロン力による反撥力は減少して、クーロン力に
よる反撥力よりも微粒子間に本来自然力として働いてい
る分子間引力(ファンデル.ファールス力)の方が強く
なり、この結果、微粒子同志が引き合って合体し微粒子
は凝集粗粒化される。この様にして大きくした粒子をこ
の粒子が引っ掛かる程度の大きさの濾目のフィルターで
取り除けば精密濾過が可能となるわけである。そして、
この場合、濾目が粗いほど目詰まりしにくいためフィル
ター寿命がながく、ランニングコストを低く抑えること
ができる。
【0009】ここまでは、従来より概念的には理解され
ていたが、しかしながら外部エネルギー源としての印加
電圧と、これによって微粒子に与えられるエネルギー量
との関係やエネルギー量と他のパラメータとの関係性
等、パラメータ相互の関係が把握されていなかったた
め、装置設計の重要因子の評価が困難であり、このため
統一的理論に基づいた装置改良が提案しづらかった。
【0010】本発明者は、鋭意検討の結果、これらパラ
メータ相互の関係性を見出し、これらパラメータが次の
関係を有することを見出した。 (1) G=Kmf2 2 /r2 ……<印加電圧が交流電圧である場合> (2) G=Kma2 /r2 ……<印加電圧が直流電圧である場合> (但し、G:微粒子に作用するエネルギー総量、K:定
数、m:微粒子の質量、f:交流の周波数(振動数)、
a:電圧(振幅)、r:荷電極間隔)
【0011】この一般式に基づいて次の評価ができる。
先ず印加電圧が交流電圧である場合について考察する。
(1)式から理解されるように、他のパラメータが一定
である限り、微粒子の質量mが小さい程、言い換えれば
粒子径が小さい程、微粒子に作用するエネルギー総量G
が小さくなりその界面電位を中和又は小さくするのは難
しくなる。従って小さい粒子ほど凝集させにくいことが
わかる。
【0012】またエネルギー総量Gはこの式で周波数f
の2乗及び電圧aの2乗に比例するので、周波数f及び
電圧aを大きくすれば、微粒子に作用する中和エネルギ
ーは対数函数的に大きくすることが可能であり、電圧a
又は周波数fを大きくすることで、極微粒子の凝集濾過
が可能となることがわかる。
【0013】しかしながら、電圧aをあまり大きくする
と絶縁破壊のおそれがある上に、取扱い上の安全性にも
問題があり、また特に印加電圧が直流電圧である場合に
は電蝕の問題もあって、電圧aを高くできる限界は、流
体の電気抵抗によって自ずと規定される。例えば水溶液
では25V、油では500V、空気中では5000V/
3cm程度が限界である。
【0014】他方、周波数fを高めることにも限界があ
り、実験の結果100KHzを超えると電磁波としての
性格が顕著になって荷電凝集濾過にとってはむしろ逆効
果となる。尚、印加電圧が交流の場合、流体中の微粒子
に対しては交流サイクルによる印加電圧の反転によって
吸引力と反撥力が交互に作用することから、ここで作用
するエネルギーは振動エネルギーであると定義できる。
【0015】次に印加電圧が直流電圧である場合につい
て考察する。印加電圧が直流電圧である場合のエネルギ
ー総量Gを示す一般式は(2)式で示される。(2)式
は前記(1)式において周波数fのパラメータを除外し
たものであり、この場合のエネルギー総量Gによって表
現される微粒子に作用する力はクーロン力であると定義
できる。(2)式より明らかなように、印加電圧が直流
電圧である場合には電圧aを大きくとること以外効率が
上がらないことを示している。したがって直流電圧印加
式の場合は印加電圧を高くすることが重要であり、この
ため直流電圧印加式の場合は高電圧を印加しても荷電極
が電蝕しないように、荷電極素材として非金属導電性素
材を使用することが考慮される。
【0016】このように印加電圧が交流の場合は、周波
数fと電圧aがエネルギー総量Gを規定する重要因子と
なり、他方直流の場合は電圧aが重要因子となることが
理解されるが、これらとともにエネルギー総量Gの規定
する重要因子としての荷電極間隔rについても考察する
必要がある。(1)(2)式より理解されるように、エ
ネルギー総量Gは、荷電極間隔rの2乗に反比例してお
り、これは二点間に働く力の理論における一般常識と合
致している。上記したように、周波数f及び電圧aを高
めることによってエネルギー総量Gを大きくすることに
は限界もあり、この場合は荷電極間隔rを調整すること
でエネルギー総量Gを高めることが重要になってくる。
【0017】理論的には荷電極間隔rを小さくすればす
るほどエネルギー総量Gは大きくなって凝集粗粒化効率
は高まるが、荷電極間隔rを小さくすることは加工上の
理由から限度がある。本発明では、荷電極間隔rを小さ
くする代わりに、導電性素材で濾過層を作成するととも
に、当該導電素材製濾過層自体を荷電極として用いるこ
とにより、荷電極と微粒子との距離を実質的に限りなく
ゼロに近づける方法を着想した。このような技術的手段
を併用することにより、無理のない範囲で周波数f及び
電圧aを選択することが可能となり、装置設計の自由度
を高めることが可能となった。
【0018】更に本発明者は、流体温度tを考慮したエ
ネルギー総量の一般式についても考察し、次式を得た。 (1´) G=Kmf2 2 t/r2 ……<印加電圧が交流電圧である場合> (2´) G=Kma2 t/r2 ……<印加電圧が直流電圧である場合> (但し、G:微粒子に作用するエネルギー総量、K:定
数、m:微粒子の質量、f:交流の周波数(振動数)、
a:電圧(振幅)、r:荷電極間隔) 式(1´),(2´)において、機械装置自身の設計要
素は周波数f、電圧a、荷電極間隔rであり、流体自体
によって規定される要素が微粒子の質量m及び流体の温
度tである。即ち機械としての周波数f、電圧a、荷電
極間隔rが一定であるとすれば流体の温度tを上げてや
れば総エネルギー量を増やすことができ、微粒子が凝集
し易くなることがわかる。
【0019】以上のように理論に基づいて完成された本
発明の流体中微粒子の荷電凝集濾過方法は次の内容を有
する。先ず第1類型は、濾過対象流体の流入口を有する
外筒アース電極と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ
状の中心アース電極を有し、前記外筒アース電極と中心
アース電極間に形成される流体通過空間に、導電性素材
を用いて構成した荷電極を兼ねた濾過層を具備した円筒
形状のフィルターエレメントを装着するとともに、外筒
アース電極及び中心アース電極と荷電極であるフィルタ
ーエレメントとの間に濾過対象である流体の固有抵抗に
応じた直流電圧を印加して濾過層全体を帯電させ、荷電
極である濾過層とアース電極との間の空間に浮遊する流
体中微粒子に対して直流電圧によるクーロン力を広範囲
に作用させて微粒子を凝集粗粒化して微粒子凝集体を生
成したのち、当該微粒子凝集体を流体の流れに沿って荷
電極を兼ねた導電素材製濾過層内に流し込むとともに、
濾過層通過途上にある流体中微粒子に対してもクーロン
力を持続的に作用させることによって、流体中微粒子の
凝集粗粒化を更に進行させながら導電素材製濾過層を通
過させることにより流体中の微粒子を除去してなる流体
中微粒子の荷電凝集濾過方法である。
【0020】また、荷電極とアース電極との間に交流電
圧を印加して濾過層全体を帯電させ、荷電極である濾過
層とアース電極との間の空間に浮遊する流体中微粒子並
びに濾過層内を通過する流体中微粒子に対して交流電圧
による振動エネルギーを広範囲に作用させる方法も第2
類型として提案する。
【0021】このように本発明方法としては円筒形状の
フィルターエレメントを用いて電源として直流電圧を用
いた前記第1類型と、同フィルターエレメントを用いて
電源として交流電圧を用いた前記第2類型が代表的なも
のであるが、これら以外にも次の2つの形態がある。
3類型は、導電性素材で形成した平板状フィルターを流
体吸引用密閉タンクの通水口を形成した側壁部に配置す
るとともに前記平板状フィルターに対面してアース極と
なる金属製多孔板を配して前記平板状フィルターを荷電
極を兼ねた濾過層となした濾過装置ユニットを構成し、
当該濾過装置ユニットを既設タンクに浸漬設置するとと
もにアース極となる金属製多孔板と荷電極である平板状
フィルターとの間に濾過対象である流体の固有抵抗に応
じた直流電圧を印加して濾過層全体を帯電させ、荷電極
である濾過層と金属製多孔板との間の空間に浮遊する流
体中微粒子に対して直流電圧によるクーロン力を広範囲
に作用させて微粒子を凝集粗粒化して微粒子凝集体を生
成したのち、当該微粒子凝集体を流体吸引用密閉タンク
内に向かう流体の流れに沿って荷電極を兼ねた導電素材
製濾過層内に流し込むとともに、濾過層通過途上にある
流体中微粒子に対してもクーロン力を持続的に作用させ
ることによって、流体中微粒子の凝集粗粒化を更に進行
させながら導電素材製濾過層を通過させることにより流
体中の微粒子を除去してなる流体中微粒子の荷電凝集濾
過方法である。 また第4類型は、導電性素材で形成した
平板状フィルターを流体吸引用密閉タンクの通水口を形
成した側壁部に配置するとともに前記平板状フィルター
に対面してアース極となる金属製多孔板を配して前記平
板状フィルターを荷電極を兼ねた濾過層となした濾過装
置ユニットを構成し、当該濾過装置ユニットを既設タン
クに浸漬設置するとともにアース極となる金属製多孔板
と荷電極である平板状フィルターとの間に濾過対象であ
る流体の固有抵抗に応じた交流電圧を印加して濾過層全
体を帯電させ、荷電極である濾過層と金属製多孔板との
間の空間に浮遊する流体中微粒子に対して交流電圧によ
る振動エネルギーを広範囲に作用させ、微粒子を凝集粗
粒化して微粒子凝集体を生成したのち、当該微粒子凝集
体を流体吸引用密閉タンク内に向かう流体の流れに沿っ
て荷電極を兼ねた導電素材製濾過層 内に流し込むととも
に、濾過層通過途上にある流体中微粒子に対しても振動
エネルギーを持続的に作用させることによって、流体中
微粒子の凝集粗粒化を更に進行させながら導電素材製濾
過層を通過させることにより流体中の微粒子を除去して
なる流体中微粒子の荷電凝集濾過方法である。
【0022】また、本発明は上記荷電凝集濾過方法にお
ける第1類型及び第2類型に適用されるフィルターエレ
メントも提案する。このフィルターエレメントは次の2
種類の形態がある。 第1は、導電性素材を芯材に巻き付
けるかあるいは導電性素材を成形することにより、流体
の通過間隙を多設した円筒状濾過層を構成し、且つこの
円筒状濾過層の上下端をシール材を兼ねた環状の絶縁パ
ッキンによって閉止してなるフィルターエレメントであ
る。
【0023】第2は、流体の通過間隙を多設した導電性
素材製の円筒状濾過層と誘電体素材又は吸着剤より形成
された円筒状濾過層を同心円状に交互に配し、導電性素
材製の円筒状濾過層相互を電気的に接続した円筒状の多
層濾過体を構成するとともに、且つこの円筒状の多層濾
過体の上下端をシール材を兼ねた絶縁パッキンによって
閉止してなるフィルターエレメントである。
【0024】導電性素材製の濾過層は炭素繊維、活性炭
等の表面積の大きい導電性素材により形成することがで
き、例えば、炭素繊維製の紐体を糸巻き状に巻回した
り、炭素繊維製の布を多層巻きすることによって濾過層
を形成することができる。
【0025】また、このような構成のフィルターエレメ
ントを用いた濾過装置としては、濾過対象流体の流入口
を有する外筒と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ状
の中心アース電極を有し、前記外筒と同極となした中心
アース電極間に形成される流体通過空間に、導電性素材
を用いて構成した荷電極を兼ねた濾過層を具備したフィ
ルターエレメントを装着するとともに、外筒及び中心ア
ース電極と荷電極であるフィルターエレメントとの間に
濾過対象である流体の固有抵抗に応じた電圧を印加した
もの等が考慮される。
【0026】
【作用】第1類型及び第2類型の荷電凝集濾過方法で
は、円筒形状の濾過層全体を帯電させ、荷電極である濾
過層とアース電極との間の空間に浮遊する流体中微粒子
並びに濾過層内を通過する流体中微粒子に対して電界が
作用する。また第3類型及び第4類型の荷電凝集濾過方
法では、平板状フィルター全体を帯電させ荷電極である
濾過層(平板状フィルター)とアース電極との間の空間
に浮遊する流体中微粒子並びに濾過層内を通過する流体
中微粒子に対して電界が作用する。そして、第1類型と
第3類型では直流電圧によるクーロン力を広範囲に作用
させて微粒子を凝集粗粒化して微粒子凝集体を生成した
のち、この微粒子凝集体を導電素材製濾過層によって除
去するものであり、他方、第2類型と第4類型では交流
電圧による振動エネルギーを広範囲に作用させ、微粒子
を凝集粗粒化して微粒子凝集体を生成したのち、この微
粒子凝集体を導電素材製濾過層によって除去するもので
ある。 ここで、本発明の流体中微粒子の荷電凝集濾過方
法の原理的作用を「a)印加電圧が交流電圧の場合(交
流荷電の場合)」と「b)印加電圧が直流電圧の場合
(直流荷電の場合)」とで区別して説明する。
【0027】a)交流荷電の場合 印加電圧の極性反転に対応して各微粒子は振動を繰り返
し、電圧aが大きい程、各微粒子の振動する振幅は大き
くなる。そして電圧aがある程度大きくなれば、同極の
界面電位を有する微粒子相互に作用するクーロン力の反
撥力に打ち勝って微粒子同士が極めて接近することにな
り、微粒子相互間に分子間引力が強力に作用するように
なって、微粒子は凝集粗粒化する。また交流電圧中には
直流成分も含まれていることから、この直流成分によっ
て微粒子の界面電位が打ち消され、微粒子の凝集粗粒化
は一層促進される。周波数fは振動の繰返し回数である
から、その回数が多いほど界面電位打ち消しの回数が多
く、したがって周波数fが高いほど微粒子の凝集粗粒化
効果は高まる。また、粒子質量mが小さいほど、電圧a
又は周波数fを高める必要があり、特に電圧aに制限が
あるときには周波数fを高めることが界面電位打ち消し
の必要エネルギーを得るうえで重要である。電極間距離
rは小さいほど電界が強くなり微粒子に与えられるエネ
ルギーも大きい。電極に近いほど微粒子の界面電位を打
ち消す力が大きくなるので本発明では荷電極を導電性素
材で構成する濾過層とし実質的に電極間距離を限りなく
ゼロに近づける工夫をした。交流荷電では電界内と荷電
極付近で凝集現象が起こり、凝集した微粒子、即ち、微
粒子凝集体は流体の流れに乗って濾過層表面に集まって
ケーク層を作る。当該ケーク層が予備濾過層としての機
能をはたすため濾過層本体の目詰まりを防止でき、且つ
濾過精度も向上できる。
【0028】b)直流荷電の場合 界面電位がプラスの微粒子はマイナス電極であるアース
極にクーロン力で引かれて集まり、アース極の表面で微
粒子が持つプラスの界面電位を中和されて電気的に中性
となり、微粒子同士が分子間引力で引かれて合体し凝集
する。電位を無くした微粒子凝集体は流体の流れに運ば
れ荷電極の表面に集まりケーク層を作る。ケーク層が予
備濾過層としての機能をはたすことは交流荷電の場合と
同じである。アース極はプラスの微粒子を絶えずクーロ
ン力で引きつけているため、その表面は絶えず汚れる傾
向にあり、このため時々掃除する必要がある。一方、界
面電位がマイナスの微粒子は導電性素材で構成されるプ
ラス電位の濾過層表面にクーロン力で引かれて集まり、
濾過層表面で界面電位を失い、微粒子は分子間引力でお
互いに引き合って凝集し、濾過層表面にケーク層を重ね
て行く。流体はこのケーク層の隙間を通って濾過され
る。界面電位がマイナスの微粒子は濾過層のプラス電位
にクーロン力で絶えず引かれて集まる吸着濾過が加わっ
ているので効率が良い。
【0029】また濾過層でもある荷電極の構成素材とし
て非金属の導電性素材を用いた場合は電蝕による有害な
金属イオンの流出がない。この場合印加電圧として、か
なり高い電圧を使用することができるので、界面電位の
中和に効果のある電圧まで印加電圧を上げる事が可能と
なり、オングストロームオーダーの色素等の極微粒子ま
で除去できる。但し、水溶液を対象流体とした場合は、
高電圧を印加すると、水溶液の電気分解により、マイナ
ス極から水素ガスが、他方、プラス極から酸素ガスが多
く発生するので、これら水素と酸素の混合ガスが引火爆
発しないように別途対策を講ずる必要がある。
【0030】また、上記原理を利用して具体的に構成し
たフィルターエレメントによる流体の濾過過程は次の如
くである。フィルターエレメントに流入する流体中の不
純物粒子は、流体の通過間隙を多設した荷電極を兼ねた
濾過層内を通過する過程で、当該濾過層に直接印加され
た電圧によるクーロン力によって直接引きつけられ、濾
過層に捕捉される。導電性素材はフィルターエレメント
の全体又はフィルターエレメント内に多層に設けられて
いるので、濾過層全体が帯電状態となるか、あるいは濾
過層の広範囲にわたる部分が帯電状態となるため、フィ
ルター内を通過する流体に対してフィルターを通過する
全行程において常時強いクーロン力を作用させることが
でき、フィルター深部においても不純物粒子に対する優
れた捕捉効果が発揮できる。そして、不純物粒子の捕捉
はクーロン力により行われることから、導電性素材製濾
過層の濾目よりもはるかに小さな不純物粒子も効率良く
捕捉することができる。
【0031】また、クーロン力による直接吸引作用に加
えて、電界作用により不純物粒子が保有するゼーター電
位が打ち消されて不純物粒子相互の凝集粗粒化が促進さ
れる結果、濾過層による不純物粒子の捕捉はより容易と
なる。
【0032】そして、特に荷電極を兼ねた濾過層を炭素
繊維、又は活性炭等の表面積の大きい導電性素材から形
成したときには、密集した微細な表面積部分の全てが荷
電極としての機能を発揮するので、処理流体中の不純物
粒子を効率良く捕捉することができ、しかも、繊維状間
又は活性炭間には実質的に無数の流体通過空間が形成さ
れているから、大量の流体を高効率で処理できる。
【0033】また、このようなフィルターエレメントを
内装した濾過装置においては、外筒に形成した流入口か
ら処理対象流体を導入し、フィルターエレメントを径方
向外側から内側に向けて通過させることによって流体中
の不純物粒子は除去され、濾過後の流体を、アース電極
を兼ねたパイプ状電極の一端に開設した流出口を通じて
装置外部に排出するものである。
【0034】
【実施例】先ず、本発明の荷電凝集濾過方法における微
粒子の凝集粗粒化現象を図例の模式図を用いて説明す
る。 <直流荷電の場合>図1は直流荷電の場合の微粒子の凝
集粗粒化過程を示しており、図中Xが荷電極であり、図
中Yがアース極である。荷電極Xは流体の通過間隙を多
設した導電性素材より作成されており濾過層としての機
能も有している。プラスの界面電位を有する微粒子10
1と微粒子102との両者間には、図中矢印103で示
すように互いにクーロン力による反撥力が作用している
が、荷電極Xとアース極Y間に直流電圧が印加されて、
微粒子101及び微粒子102に電界を作用させると、
微粒子101及び微粒子102はマイナス電位を有する
アース極Yにクーロン力によって引かれて矢印104,
105で示す方向に移動してアース極Y表面に集まる。
ここで微粒子101,102のプラス電位はアース極Y
のマイナス電位によって中和された後、矢印108で示
す分子間引力によって互いに引き合い、図中110で示
す如く凝集する。このようにして凝集粗粒化した微粒子
は図中111で示される流体の流れに乗って荷電極X方
向に運ばれた後、図中112で示す如く荷電極X表面に
集まる。他方、マイナスの界面電位を有する微粒子20
1,202は荷電極Xのプラス電位に引かれて荷電極X
表面に集まり、荷電極Xのプラス電位によって微粒子2
01,202のマイナスの界面電位が中和される。次い
で電気的に中性となった微粒子201,202は分子間
引力203によって凝集して荷電極X表面に集まる。こ
のようにしてプラスの界面電位を有する101,102
もマイナスの界面電位を有する微粒子201,202も
共に凝集粗粒化した状態で荷電極X表面に集まる。流体
中に浮遊する微粒子の界面電位がプラスであるかマイナ
スであるかは流体の性質や不純物粒子の種類によって定
まる。尚、プラスの界面電位を有する微粒子とマイナス
の界面電位を有する微粒子が混在している場合も多い。
荷電極X表面に集まった微粒子凝集体は流体の流れに沿
って濾過層でもある荷電極X内部に入り込むが微粒子凝
集体の一部は荷電極X表面で堆積してケーク層を作る
(図中112)。後続して濾過層(荷電極X)に流れこ
んでくる微粒子凝集体は、荷電極X表面に形成されてい
るケーク層を通過することによって予備濾過される。ケ
ーク層を通過して濾過層(荷電極X)内に入った微粒子
凝集体は濾過層の濾目に漉されながら濾過層深部へと進
み、図中113→114→115→116で示されるよ
うに濾目を通過する微粒子凝集体の粒径が次第に小さく
なっていく。濾過層(荷電極X)は導電性素材から作製
されており、全体が帯電しているので、濾過層内部を通
過する微粒子凝集体はその層内部でもケーク層を作り、
濾過精度の向上に貢献する。この様にして微粒子の界面
電位がプラスである場合もマイナスである場合も共に、
最終的に微粒子は微粒子凝集体となって濾過層によって
濾過される。ところで、マイナス極であるアース極Yに
は界面電位がプラスの微粒子が絶えず引かれて集まり、
アース極Y表面で凝集粗粒化した微粒子凝集体が流体の
流れに沿って荷電極X方向に運ばれることは前述した
が、一部の微粒子はアース極Y表面を離脱することなく
アース極Y表面に残存してアース極Y表面を汚すので、
アース極Y表面は定期的に洗浄する必要がある。
【0035】<交流荷電の場合>図2は交流荷電の場合
の微粒子の凝集粗粒化過程を示している。前述した「直
流荷電の場合」と同様、図中Xが荷電極であり、図中Y
がアース極である。交流荷電の場合、その極性は常時反
転するので、荷電極及びアース極のもつ電位及び極性は
常時変化している。交流荷電では微粒子301,302
の界面電位のプラス、マイナスに関係なく荷電源の周波
数と電圧により規定される振動エネルギーに因って微粒
子相互間の距離を接近させる力が作用する。そして微粒
子相互間の距離がある限界を越えて接近したならば分子
間引力が急激に強くなる結果、クーロン力による反撥力
よりも分子間引力の方が大きくなって、微粒子は凝集す
る。したがって図中303で示すように、荷電極Xやア
ース極Yからはなれた位置でも微粒子凝集体は形成され
る。そして、交流電圧にはその一部に直流成分があるこ
とから、接近した微粒子間でそれぞれの界面電位は中和
される。微粒子凝集体が流体の流れに乗って濾過層(荷
電極X)方向に向かい、濾過層表面及び内部にケーク層
を作りながら濾過されるプロセスは直流の場合と同じで
ある。
【0036】本発明の荷電凝集濾過方法における流体中
微粒子の挙動は上述の如くであるが、以下、本発明原理
を利用して構成したフィルターエレメント並びに流体濾
過装置について述べる。
【0037】図3は本発明のフィルターエレメントの1
実施例を示す斜視図であり、図4は同実施例の断面図で
ある。フィルターエレメントFは、流体通過用の多数の
孔部1を設けた巻き芯2に紐状あるいは糸状の炭素繊維
を綾巻状に巻き付けて導電性を有する濾過層3を形成
し、且つその上下端にシール材を兼ねた略リング状の絶
縁パッキン4,4を外嵌した構成である。巻き芯2及び
絶縁パッキン4,4はポリプロピレン等の耐蝕性及び耐
薬品性に優れた合成樹脂より構成されている。巻き芯2
は通常合成樹脂より形成されるが、本フィルターエレメ
ントFを濾過装置に組み込んだときに絶縁上の問題が発
生しないならば、金属素材を用いることも可能である、
また巻き芯2は筒状体表面に図5(イ)に示すように多
数の孔を開設したものであっても、図5(ロ)に示すよ
うにネットより構成されたものであってもよい。
【0038】濾過層を形成する繊維状導電性素材は炭素
繊維以外のものを使用することも可能である。また、そ
の形態は前記したように糸状(図6(イ))又は紐状
(図6(ロ))のものを巻き芯2に巻回したもの、更に
は図6(ハ)に示すように布状やネット状あるいはシー
ト状に形成したものを巻き芯2に巻回したものであって
もよい。また、炭素繊維等を圧縮成形して図6(ニ)に
示すような筒状成形体5を直接成形し、これを利用して
もよい。濾過層は繊維状導電性素材以外のものを用いて
作製することも可能であり、例えば孔部比率の比較的大
きい焼結金属や多孔性導電性セラミックス、更に活性炭
を用いることも可能である。このようにして構成される
フィルターエレメントの濾目は25〜50μm程度に設
定され、従来装置に用いられるフィルターエレメントよ
りも濾目が大きく、除去対象である不純物粒子よりもは
るかに大きく設定されている。
【0039】図7はフィルターエレメントFの他の実施
例であり、導電性素材製の荷電極を兼ねた濾過層3、3
と、吸着剤より形成された濾過層A及び誘電体素材より
形成された濾過層Bを交互に配した場合であり、例えば
濾過層Aとしては活性炭等の吸着剤やイオン交換樹脂等
が利用でき、また濾過層Bとしては誘電体繊維を用いた
誘電体素材等が利用できる。導電性素材製の濾過層3、
3は図示しない導電性素材によって電気的に接続され、
同電位とされている。濾過層A,Bの具体的構成は前記
のものに限定されず、吸着剤製濾過層と誘電体素材製濾
過層の配置を逆にしたり、あるいは両濾過層A,Bを共
に吸着剤又は誘電体素材を用いて構成することも可能で
ある。
【0040】図8(イ),(ロ)で示したものは、図4で
開示したフィルターエレメントからに巻き芯を除去した
実施例であり全体を導電性素材製の濾過層3から構成し
た点については図4の実施例と同じである。
【0041】図9(イ),(ロ)は導電性素材製の多孔板
より構成された外円筒401及び同素材で作成された内
円筒402の内側にそれぞれ一定厚の導電性素材製の外
濾過層403及び内濾過層404を配設するとともに、
外濾過層403と内濾過層404とによって囲まれた内
部空間に吸着剤405を充填してパッケージ化し、使い
捨てタイプのフィルターエレメントFを構成した例であ
る。
【0042】図10(イ),(ロ)は、導電性素材製の多
孔板より構成された外円筒401及び同素材で作成され
た内円筒402の内側にそれぞれ一定厚の導電性素材製
の外濾過層403及び内濾過層404を配設した内部中
空容器状の同心円型のフィルターエレメントFを作成
し、前記内部中空状のフィルターエレメントFの上端面
に圧入口406を形成し、当該圧入口406からフィル
ターエレメントFの内部空間に汚染流体を圧入して外円
筒401及び内円筒402を通じて濾過済流体を外部に
排出する構成とした場合である。
【0043】このようなフィルターエレメントFは、濾
過装置内部に組み込んで使用される。図11及び図12
は、図3及び図4で示したものと同種のフィルターエレ
メントFを組み込んだ濾過装置の最も基本的な態様を示
している。濾過装置は、濾過対象流体の流入口6を有す
外筒アース電極7と、濾過後流体の流出路を兼ね且つ
下端に流出口8を開設したパイプ状の中心アース電極9
を有し、前記外筒アース電極7と中心アース電極9間に
形成される流体通過空間に前記フィルターエレメントF
を装着した構成である。フィルターエレメントFは、上
端及び下端に外嵌された絶縁パッキン4,4を絶縁素材
製の上部フィルター押え10及び下部フィルター押え1
1によって押さえることによって所定位置に取り外し可
能に固定されている。フィルターエレメント上下端に絶
縁パッキン4,4を介在させることによって、上部フィ
ルター押え10、下部フィルター押え11とフィルター
エレメントF間に間隙が発生することを完全に防止し、
流体が中心アース電極9を経て流出口8から装置外部に
排出されるためには、フィルターエレメントF内を必ず
通過するようにしている。また流入口6は外筒アース電
7の下部側に設け、且つ中心アース電極9の上端を開
口させることで、ポンプ等の圧力によって流入口6から
流入した流体がフィルターエレメントF内を上方へ向か
いながら横切って中心アース電極9の上端開口部12に
至り、当該中心アース電極9の中を通って中心アース電
極9下端に形成された流出口8から装置外部に排出され
るという迂回路を形成している。
【0044】外筒アース電極7と中心アース電極9は同
電位であり、他方、フィルターエレメントFに対しては
電位が与えられている。電位の与え方は外部設置された
荷電源13から引き込まれた導入線14,14の一方を
外筒アース電極7に接続し、他方を導入線絶縁碍子15
を用いて外筒アース電極7と電気的に絶縁した状態で
筒アース電極7を貫通させたうえ、フィルターエレメン
トF表面に圧接した荷電用スプリング16を介してフィ
ルターエレメント全体に対して電位を与えている。印加
される電圧の種類及び大きさは処理対象である流体の種
類及び除去対象となる不純物粒子の種類によって適宜選
択され、例えば、0.1〜5000V/cmの直流又は
交流電圧、あるいは直流と交流の複合電圧を採用するこ
とができる。流体中の粒子は流体の性質や粒子自身の性
質によって、正負の帯電傾向が異なり、またその界面電
位(ゼーター電位)の大きさも流体の固有抵抗の大きさ
により相違するため、荷電圧の値と正負の極性は流体と
その粒子の性質によって決定する必要がある。具体的に
はスイッチによる正負の切替え、スライダックによる電
圧調整が採用できる。
【0045】このような構成の濾過装置は、ポンプ等を
用いて、外筒アース電極7下部側の流入口6より処理対
象流体が圧入される。流入口6より圧入された流体は、
フィルターエレメントF内を上向きに横切って中心アー
ス電極9の上端開口部12に至り、中心アース電極9内
を上から下に向かって流れ、中心アース電極9下端の流
出口8から装置外部に排出される。
【0046】フィルターエレメントFはその全体が炭素
繊維等の繊維状導電性素材より構成されているため、フ
ィルターエレメント全体が同電位に帯電し、フィルター
エレメント内を通過する流体中の不純物微粒子は、フィ
ルターエレメントFにクーロン力によって強く直接引き
つけられ、フィルターエレメントFを構成する炭素繊維
に捕捉される。微粒子はクーロン力によって吸引される
ことから、フィルターエレメントの濾目の大きさよりも
はるかに小さな微粒子、例えば直径0.1μm程度のカ
ーボンブラックや数オングストローム程度の色素が捕捉
される。捕捉される微粒子は濾目の大きさよりもはるか
に小さいことから、フィルターエレメントは目詰まりす
ることなく長期間にわたって濾過層としての機能を発揮
することができる。またフィルターエレメントに電気的
に付着した微粒子はフィルターエレメントと同電位に帯
電し、この付着した微粒子の帯電層がプレコート層(ケ
ーク層)を形成し、濾目の大きさを実質的に小さくした
のと同じ効果が発揮されて濾過精度はより高められる。
このような効果は活性炭を用いた場合にも同様に発揮さ
れる。
【0047】また、微粒子はクーロン力によって直接吸
引されることに加えて、微粒子に作用する電界が微粒子
の保有するゼーター電位を打ち消す結果、分子間引力に
よる微粒子の凝集粗粒化が同時に進行し、微粒子の捕捉
はより効果的に行われる。
【0048】本実施例の流体濾過装置はフィルターエレ
メント全体が濾過層であると同時に荷電極としても機能
し、フィルターエレメント全体が同電位に帯電している
ために、このなかを通過する流体は常にクーロン力によ
る吸引作用を受ける。しかもフィルターエレメントは炭
素繊維より構成され、微視的には糸状繊維が至近距離で
集合した微細な構造を有し、流体中の不純物粒子に対し
て至近距離から電気的吸引力を発揮することから、その
濾過精度は極めて高い。しかも、繊維状間には実質的に
無数の流体通過空間が形成されているから、大量の流体
を高効率で処理できる。また不純物粒子はクーロン力に
よって捕捉するものであるから濾目の大きさを不純物粒
子の大きさよりもはるかに大きなものにすることが可能
で、優れた濾過精度を発揮しながらフィルターの目詰ま
りの発生が少なく寿命の長い流体濾過装置が得られる。
そして、長期間の連続使用の結果、フィルターエレメン
トが目詰まりしたときには、フィルターエレメントのみ
を取り替えることによって対処できる。
【0049】図13及び図14として示すものは、図7
で開示したものと同種のフィルターエレメントFを組み
込んだ濾過装置の実施例である。この装置では導電性素
材製の荷電極を兼ねた濾過層3,3の間に活性炭等の吸
着剤やイオン交換樹脂等の濾過層Aを介在させ、更に濾
過層3と巻き芯2との間に誘電体繊維糸等の誘電体素材
よりなる濾過層Bを介在させたフィルターエレメントF
を組み込んでいる。このような濾過装置では、荷電板を
兼ねた濾過層3、3が発揮するクーロン力による不純物
粒子の吸引作用に加えて、活性炭による分子レベルの吸
着作用も同時進行することになる。また、濾過層Bを構
成する誘電体は電界中で分極してコンデンサー効果を発
揮し、あたかも多数の電極が存在するのと同じ効果をも
たらすことができる。
【0050】図15及び図16は、図11及び図12と
して示した実施例の応用実施例であり、外筒アース電極
7とフィルターエレメントFとの間に、仕切り兼用荷電
板17を同心状に設けた場合である。仕切り兼用荷電板
17は側流防止板18によって上端が支持され、他方、
下端が絶縁碍子19によって外筒アース電極7に固定さ
れている。側流防止板18は絶縁素材から形成されてお
り上部フィルター押えを兼ねている。そして、外筒アー
ス電極7の上部側に開設した流入口6から入った流体を
外筒アース電極7と仕切り兼用荷電板17との間の空間
を下方へ向けて一旦流したのち、フィルターエレメント
F内を上向きに横切らせることによって中心アース電極
9の上端開口部12に至るように工夫されている。側流
防止板18は仕切り兼用荷電板17の上端を支えるとと
もに仕切り兼用荷電板17の上部空間を閉鎖しており、
外筒上部位置から流入した流体が、仕切り兼用荷電板1
7の上部を乗り越えてフィルターエレメントFに直接侵
入することを防止している。
【0051】このような流体濾過装置では、ポンプの圧
力で外筒上部位置から外筒アース電極7の接線方向に圧
入した流体を、外筒アース電極7と仕切り兼用荷電板1
7との間の空間を回転させながら流し、遠心力と電界作
用による微粒子の凝集粗粒化を促進させて増粒した微粒
子を沈降させている。このようにフィルターエレメント
Fを通過させる前に微粒子の増粒を行うことによって、
フィルターエレメントFの負荷を軽減し、フィルターエ
レメントFの寿命を更に延ばしている。
【0052】上述の各実施例は、単一のフィルターエレ
メントFを用いた場合であったが、フィルターエレメン
トFは複数個用いることもできる。図17及び図18は
フィルターエレメントFを放射状に複数個配置した場合
であり、各フィルターエレメントFに対応して中心アー
ス電極9も複数個設けた構成である。また、外筒アース
電極内部空間の下部側を隔板20で仕切って集合空
間21を形成し、前記各中心アース電極9下端の各流出
口8を集合空間21内に連通させ、当該集合空間21内
に集めた処理済流体を集合空間21に連通して設けた集
合流出口22を通じて濾過装置外部に排出する構成とし
ている。このような構成の濾過装置は大量の処理液を濾
過する用途に適している。尚、図中23はフィルターエ
レメントFを締付け固定するための締付棒であり、図中
24は締付ネジである。
【0053】図19及び図20は図8で開示したフィル
ターエレメントFを用いた実施例である。基本構造は図
12とほぼ同様であるが、この実施例ではフィルターエ
レメントFの下端面を支持するフィルター受け用絶縁樹
脂板407を、緩衝用スプリング408を用いて上方へ
押し上げることによってフィルターエレメントFを固定
している。尚、図中409はシール用Oリングである。
また図中の矢印は流体の流れ方向を示している。
【0054】図21及び図22は図10で開示した内部
中空容器状のフィルターエレメントFを組み込んだ濾過
装置の実施例である。この実施例では汚染流体はフィル
ターエレメントFの上端面に設けられた圧入口406か
らフィルターエレメントFの内部空間に圧入され、フィ
ルターエレメントFの内部空間に圧入された汚染流体は
内濾過層404を通過した後、内円筒402に開設した
孔部を経由してフィルターエレメントF外部に流出した
り、あるいは外濾過層403を通過した後、外円筒40
1に開設した孔部を経由してフィルターエレメントF外
部に流出したりする。そしてフィルターエレメントFか
ら外部流出した濾過済流体は、当該フィルターエレメン
トFの下面を支持するフィルター受け用絶縁樹脂板42
0に所定間隔で設けられた排出用開口421を通じて濾
過済流体集合空間422に集めたのち、外筒7の下部側
壁に開設された集合流出口22を通じて濾過装置外部に
排出される。フィルターエレメントFは締付けボルト4
23によって濾過装置内に簡易に組み込まれている。こ
のような濾過装置では、除去された微粒子凝集体はフィ
ルターエレメントFの中空の内部空間に堆積することに
なる。濾過層の目詰まりは真空計で感知できるようにし
ておき、ポンプ圧が所定圧以上となったならば、目詰ま
りしたと判断してフィルターエレメントFを取り替え
る。本実施例ではフィルターエレメントFはパッケージ
化されており、濾過装置本体内への取付けも締付けボル
ト423によって締めつけ固定されているだけであるか
ら取り外しは容易である。本実施例装置は、フィルター
エレメントF内部への微粒子凝集体の堆積量が増えて濾
過能力が低下した場合には、フィルターエレメントFを
取り替えるだけで、濾過能力を復活させることができ、
しかも取り外したフィルターエレメントFはそのまま廃
棄することができる。本実施例は加工油や加工液など切
り粉が多く混在する汚染流体の濾過に適している。本実
施例装置では微粒子凝集体はフィルターエレメントF内
部に堆積するのみでタンク本体内部には微粒子凝集体は
残らないので、タンク内部の清掃が不要であり、メンテ
ナンスが容易である。
【0055】以上述べたものは円筒形状の外筒アース電
7より構成されたタンク内に円筒状又は同心円筒状に
形成したフィルターエレメントを組み込んだ場合であっ
たが、本発明は円筒状タンク以外のタンクへの適用も考
慮され、また、フィルターエレメントの形状も円筒形以
外のものを採用することもできる。図23及び図24と
して示すものは、既設の箱型タンク内に組み込んで使用
することを目的としたユニット化した濾過装置である。
この濾過装置ユニットは荷電極を兼用した導電性素材製
濾過層である平板状フィルター411と濾過層支持用多
孔板412を積層したものを、流体吸引用密閉タンク4
13の側壁部に配するとともに、平板状フィルター41
1から離れた位置にアース極である金属製多孔板414
を配した構成である。そして、当該濾過装置ユニットは
既存のタンク内に設置して使用する。このような濾過装
置ユニットを既設タンク内に組み込んで、濾過済流体吸
出口415から流体吸引用密閉タンク413内の流体を
吸引すると、濾過装置ユニット内には、図中矢印で示す
方向に流体が移動して、流体の濾過が行われる。即ち、
タンク内の汚染流体は金属製多孔板414を経由した
後、荷電極を兼ねた平板状フィルター411を通過する
ことによって流体中の微粒子の除去が行われ、流体吸引
用密閉タンク413内に入った濾過済流体は濾過済流体
吸出口415から外部に排出される。流体は吸引ポンプ
416によって吸い出され、その吸い出し圧力は真空計
417によって監視する。この装置は上面関放型の既設
のタンク内に組み込むことが可能であり、既設のタンク
を無駄にすることなく濾過装置を構成できるから、低コ
ストで濾過装置を提供できるとともに、濾過装置専用の
タンクを別途必要としないので省スペース化にもつなが
る。また微粒子凝集体はタンク上面開放型のタンク底部
に堆積するから、清掃が容易でありメンテナンス性に優
れている。また、本実施例は濾過済み流体をポンプで吸
引するためポンプの摩耗が少ない利点があり、更に必要
な真空度が維持することが容易で、ポンプの故障も少な
くできる。
【0056】
【発明の効果】本発明は、導電性素材を用いて構成した
円筒状又は平板状の濾過層を兼ねた荷電極と、前記荷電
極に対向するアース電極とを、濾過対象である流体の通
過路途上に配置するとともに、前記荷電極とアース電極
との間に直流又は交流或いは直流と交流の複合電圧を印
加することを提案した。また流体の通過間隙を多設した
導電性素材によって円筒状フィルターエレメントの濾過
層の全体を構成するか、あるいは円筒状の導電性素材製
の濾過層を同心円状に複数層設けたフィルターエレメン
トをも提案した。請求項1又は2記載のように円筒状の
フィルターエレメントを用いたものでは、円筒状のフィ
ルターエレメント全体あるいはフィルターエレメントの
広範囲な部分を帯電状態となすことができ、フィルター
エレメントの径方向深部にいたるまで電界を直接作用さ
せることが可能で、フィルター深部においても不純物粒
子に対する優れた捕捉効果が発揮でき、フィルターを通
過する全行程において流体に対して常時強いクーロン力
や振動エネルギーを作用させて、流体中の不純物を吸引
したり凝集粗粒化することができる。そして、この吸引
力は極めて強いものであるから、例えば色素等の濾目よ
りもはるかに小さな不純物粒子も効率良く捕捉すること
ができる。また濾目の大きさも不純物粒子の大きさより
もはるかに大きなものを採用することができるから、長
期間連続使用しても目詰まりを起こすことのない寿命の
長い濾過装置を得ることができるとともに濾目が大きい
ことから、大量の流体を処理できる。そして、フィルタ
ーエレメントが円筒形であることから、流体が流入する
面積を広く取れるとともに、フィルターエレメントの機
械的強度も強いものにでき、大きなポンプ圧等が作用し
た場合にもフィルターエレメントが変形したり目詰まり
等を起こすことのない長期にわたって安定稼働が可能な
フリーメンテナンスな濾過装置が提供できる。特に請求
項2記載のように交流電圧を印加する場合、荷電極の電
蝕問題が発生しないとともに水溶液が処理対象液である
場合でも電気分解による水素ガスや酸素ガスの発生もな
く安全である。
【0057】請求項3又は4記載のように導電性素材で
形成した平板状フィルターを流体吸引用密閉タンクの通
水口を形成した側壁部に配置するとともに前記平板状フ
ィルターに対面してアース極となる金属製多孔板を配し
て前記平板状フィルターを荷電極を兼ねた濾過層となし
た濾過装置ユニットを構成し、当該濾過装置ユニットを
既設タンクに浸漬設置したときには、既設のタンクを無
駄にすることなく濾過装置を構成できるから、低コスト
で濾過装置を提供できる。また濾過装置専用のタンクを
別途必要としないので省スペース化にもつながる。また
この装置は上面開放型の既設のタンク内に組み込むこと
が容易であり、この場合、微粒子凝集体はタンク上面開
放型のタンク底部に堆積するから、清掃が容易でありメ
ンテナンス性にも優れている。 また、流体吸引用密閉タ
ンク内に濾過済み流体を吸引するためポンプの摩耗が少
ない利点があり、更に必要な真空度が維持することが容
易で、ポンプの故障も少なくできる。
【0058】請求項5記載のように、導電性素材を芯材
に巻き付けるかあるいは導電性素材を圧縮成形すること
により、流体の通過間隙を多設した円筒状濾過層を構成
し、且つこの円筒状濾過層の上下端をシール材を兼ねた
絶縁パッキンによって閉止してフィルターエレメントを
構成した場合は、この円筒状のフィルターエレメント全
体が濾過層であると同時に荷電極としても機能し、フィ
ルターエレメント全体が同電位に帯電しているために、
このなかを通過する流体は常にクーロン力による吸引作
用を受け、流体中の不純物粒子に対して至近距離から電
気的吸引力が発揮されることから、その濾過精度は極め
て高い。また印加電圧が直流の場合、不純物粒子はクー
ロン力によって捕捉するものであるから濾目の大きさを
不純物粒子の大きさよりもはるかに大きなものにするこ
とが可能で、優れた濾過精度を発揮しながらフィルター
の目詰まりの発生が少なく寿命の長い流体濾過装置が得
られる。そして、長期間の連続使用の結果、フィルター
エレメントが目詰まりしたときには、フィルターエレメ
ントのみを取り替えることによって対処できる。
【0059】請求項6記載のように、流体の通過間隙を
多設した導電性素材製の円筒状濾過層と誘電体素材又は
吸着剤より形成された円筒状濾過層を同心円状に交互に
配し、導電性素材製の円筒状濾過層相互を電気的に接続
した円筒状の多層濾過体を構成するとともに、且つこの
円筒状の多層濾過体の上下端をシール材を兼ねた絶縁パ
ッキンによって閉止したフィルターエレメントを構成し
た場合には、荷電極を兼ねた濾過層が発揮するクーロン
力による不純物粒子の吸引作用に加えて、吸着剤による
分子レベルの吸着作用も同時進行させることができ、ま
た誘電体は電界中で分極してコンデンサー効果を発揮し
て、あたかも多数の電極が存在するのと同じ効果をもた
らすので、不純物粒子の捕捉効果に変化を与えることが
でき、不純物粒子の態様によってはその捕捉効果を高め
ることができる。
【0060】請求項7記載のように、濾過層を構成する
導電性素材として炭素繊維、活性炭を用いた場合は、こ
れらは表面積が大きく、密集した微細な繊維や活性炭の
細孔構造が全て荷電極としての機能を発揮するので、処
理流体中の不純物粒子を効率良く捕捉することができ、
しかも繊維状間や細孔は実質的に流体通過空間として機
能するので、大量の流体を高効率で処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直流電圧を印加した場合の微粒子の凝集過程を
示す概念説明図
【図2】交流電圧を印加した場合の微粒子の凝集過程を
示す概念説明図
【図3】本発明のフィルターエレメントの一実施例を示
す斜視図
【図4】同フィルターエレメントの断面図
【図5】(イ),(ロ)はフィルターエレメントの巻き芯
の部分拡大図
【図6】導電性素材製の濾過層を構成する素材を示し、
(イ)は糸体、(ロ)は紐体、(ハ)はシート体、
(ニ)は円筒成形体を示す
【図7】導電性素材製の濾過層を複数層設けた実施例を
示す断面図
【図8】フィルターエレメントの他の実施例を示し、
(イ)は横断面図、(ロ)は縦断面図
【図9】フィルターエレメントの他の実施例を示し、
(イ)は横断面図、(ロ)は縦断面図
【図10】フィルターエレメントの他の実施例を示し、
(イ)は横断面図、(ロ)は縦断面図
【図11】流体濾過装置の1実施例を示す径方向端面説
明図
【図12】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図13】流体濾過装置の他の実施例を示す径方向端面
説明図
【図14】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図15】流体濾過装置の他の実施例を示す径方向端面
説明図
【図16】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図17】流体濾過装置の他の実施例を示す径方向端面
説明図
【図18】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図19】流体濾過装置の他の実施例を示す径方向端面
説明図
【図20】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図21】流体濾過装置の他の実施例を示す径方向端面
説明図
【図22】同実施例の流体濾過装置の縦方向端面説明図
【図23】既設タンク内に設置する濾過装置ユニットの
一実施例を示す横方向端面説明図
【図24】同実施例の縦方向端面説明図
【符号の説明】
F フィルターエレメント A,B 濾過層 1 孔部 2 巻き芯 3 濾過層 4 絶縁パッキン 5 筒状成形体 6 流入口 7 外筒アース電極 8 流出口 9 中心アース電極 10 上部フィルター
押え 11 下部フィルター押え 12 上端開口部 13 荷電源 14 導入線 15 導入線絶縁碍子 16 荷電用スプリ
ング 17 仕切り兼用荷電板 18 側流防止板 19 絶縁碍子 20 隔板 21 集合空間 22 集合流出口 23 締付棒 24 締付ネジ 401 外円筒 402 内円筒 403 外濾過層 404 内濾過層 405 吸着剤 406 圧入口 407 フィルター受け用絶縁樹脂板 408 緩衝用スプリング 409 シール用O
リング 411 平板状フィルター 412 濾過層支持
用多孔板 413 流体吸引用密閉タンク 414 金属製多孔
板 415 濾過済流体吸出口 416 吸引ポンプ 417 真空計 420 フィルター
受け用絶縁樹脂板 421 排出用開口 422 濾過済流体
集合空間 423 締付けボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B03C 3/01 ZAB 3/02 ZAB B 5/00 ZAB A B

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 濾過対象流体の流入口(6)を有する外
    筒アース電極(7)と、濾過後流体の流出路を兼ねるパ
    イプ状の中心アース電極(9)を有し、前記外筒アース
    電極(7)と中心アース電極(9)との間に形成される
    流体通過空間に、導電性素材を用いて構成した荷電極を
    兼ねた濾過層(3)を具備した円筒形状のフィルターエ
    レメント(F)を装着するとともに、外筒アース電極
    (7)及び中心アース電極(9)と荷電極であるフィル
    ターエレメント(F)との間に濾過対象である流体の固
    有抵抗に応じた直流電圧を印加して濾過層(3)全体を
    帯電させ、荷電極である濾過層(3)外筒アース電極
    (7)及び中心アース電極(9)との間の空間に浮遊す
    る流体中微粒子に対して直流電圧によるクーロン力を広
    範囲に作用させて微粒子を凝集粗粒化して微粒子凝集体
    を生成したのち、当該微粒子凝集体を流体の流れに沿っ
    て荷電極を兼ねた導電素材製濾過層(3)内に流し込
    むとともに、濾過層(3)内を通過する途上にある流体
    中微粒子に対してもクーロン力を持続的に作用させるこ
    とによって、流体中微粒子の凝集粗粒化を更に進行させ
    ながら濾過層(3)により流体中の微粒子を除去してな
    る流体中微粒子の荷電凝集濾過方法。
  2. 【請求項2】 濾過対象流体の流入口を有する外筒アー
    ス電極(7)と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ状
    の中心アース電極(9)を有し、前記外筒アース電極
    (7)と中心アース電極(9)との間に形成される流体
    通過空間に、導電性素材を用いて構成した荷電極を兼ね
    た濾過層(3)を具備した円筒形状のフィルターエレメ
    ント(F)を装着するとともに、外筒アース電極(7)
    及び中心アース電極(9)と荷電極であるフィルターエ
    レメント(F)との間に濾過対象である流体の固有抵抗
    に応じた交流電圧を印加して濾過層(3)全体を帯電さ
    せ、荷電極である濾過層(3)外筒アース電極(7)
    及び中心アース電極(9)との間の空間に浮遊する流体
    中微粒子に対して交流電圧による振動エネルギーを広範
    囲に作用させ、微粒子を凝集粗粒化して微粒子凝集体を
    生成したのち、当該微粒子凝集体を流体の流れに沿って
    荷電極を兼ねた導電素材製濾過層(3)内に流し込む
    とともに、濾過層(3)内を通過する途上にある流体中
    微粒子に対しても振動エネルギーを持続的に作用させる
    ことによって、流体中微粒子の凝集粗粒化を更に進行さ
    せながら濾過層(3)により流体中の微粒子を除去して
    なる流体中微粒子の荷電凝集濾過方法。
  3. 【請求項3】 導電性素材で形成した平板状フィルター
    (411)を流体吸引用密閉タンク(413)の通水口
    を形成した側壁部に配置するとともに前記平板状フィル
    ター(411)に対面してアース極となる金属製多孔板
    (414)を配して前記平板状フィルター(411)
    荷電極を兼ねた濾過層となした濾過装置ユニットを構成
    し、当該濾過装置ユニットを既設タンクに浸漬設置する
    とともにアース極となる金属製多孔板(414)と荷電
    極である平板状フィルター(411)との間に濾過対象
    である流体の固有抵抗に応じた直流電圧を印加して濾過
    層全体を帯電させ、荷電極を兼ねた濾過層である平板状
    フィルター(411)と金属製多孔板(414)との間
    の空間に浮遊する流体中微粒子に対して直流電圧による
    クーロン力を広範囲に作用させて微粒子を凝集粗粒化し
    て微粒子凝集体を生成したのち、当該微粒子凝集体を流
    体吸引用密閉タンク内(413)に向かう流体の流れに
    沿って荷電極を兼ねた濾過層である平板状フィルター
    (411)内に流し込むとともに、平板状フィルター
    (411)内を通過する途上にある流体中微粒子に対し
    てもクーロン力を持続的に作用させることによって、流
    体中微粒子の凝集粗粒化を更に進行させながら平板状フ
    ィルター(411)により流体中の微粒子を除去してな
    る流体中微粒子の荷電凝集濾過方法。
  4. 【請求項4】 導電性素材で形成した平板状フィルター
    (411)を流体吸引用密閉タンク(413)の通水口
    を形成した側壁部に配置するとともに前記平板状フィル
    ター(411)に対面してアース極となる金属製多孔板
    (414)を配して前記平板状フィルター(411)
    荷電極を兼ねた濾過層となした濾過装置ユニットを構成
    し、当該濾過装置ユニットを既設タンクに浸漬設置する
    とともにアース極となる金属製多孔板(414)と荷電
    極である平板状フィルター(411)との間に濾過対象
    である流体の固有抵抗に応じた交流電圧を印加して濾過
    層全体を帯電させ、荷電極を兼ねた濾過層である平板状
    フィルター(411)と金属製多孔板(414)との間
    の空間に浮遊する流体中微粒子に対して交流電圧による
    振動エネルギーを広範囲に作用させ、微粒子を凝集粗粒
    化して微粒子凝集体を生成したのち、当該微粒子凝集体
    を流体吸引用密閉タンク(413)内に向かう流体の流
    れに沿って荷電極を兼ねた濾過層である平板状フィルタ
    ー(411)内に流し込むとともに、平板状フィルター
    (411)内を通過する途上にある流体中微粒子に対し
    ても振動エネルギーを持続的に作用させることによっ
    て、流体中微粒子の凝集粗粒化を更に進行させながら
    板状フィルター(411)により流体中の微粒子を除去
    してなる流体中微粒子の荷電凝集濾過方法。
  5. 【請求項5】 濾過対象流体の流入口を有する外筒アー
    ム電極(7)と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ状
    の中心アース電極(9)を有し、前記外筒アース電極
    (7)と中心アース電極(9)との間に形成される流体
    通過空間に配置される流体中の不純物粒子除去用のフィ
    ルターエレメントにおいて、導電性素材を芯材に巻き付
    けるかあるいは導電性素材を圧縮成形することにより、
    流体の通過間隙を多設した円筒状濾過層(3)を構成
    し、且つこの円筒状濾過層(3)の上下端をシール材
    を兼ねた環状の絶縁パッキン(4)によって閉止してな
    るフィルターエレメント。
  6. 【請求項6】 濾過対象流体の流入口を有する外筒アー
    ス電極(7)と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ状
    の中心アース電極(9)を有し、前記外筒アース電極
    (7)と中心アース電極(9)との間に形成される流体
    通過空間に配置される流体中の不純物粒子除去用のフィ
    ルターエレメントにおいて、流体の通過間隙を多設した
    導電性素材製の円筒状濾過層(3),(3)と誘電体
    素材又は吸着剤より形成された円筒状濾過層(A),
    (B)を同心円状に交互に配し、導電性素材製の円筒状
    濾過層相互を電気的に接続した円筒状の多層濾過体を構
    成するとともに、且つこの円筒状の多層濾過体の上下端
    をシール材を兼ねた絶縁パッキン(4)によって閉止し
    てなるフィルターエレメント。
  7. 【請求項7】 濾過層(3)を構成する導電性素材とし
    て炭素繊維又は活性炭を用いてなる請求項5又は6記載
    のフィルターエレメント。
  8. 【請求項8】 炭素繊維製の紐体を糸巻き状に巻回する
    か、又は炭素繊維製の布を多層巻きすることによって濾
    過層(3)を形成してなる請求項7記載のフィルターエ
    レメント。
  9. 【請求項9】 濾過対象流体の流入口を有する外筒アー
    ス電極(7)と、濾過後流体の流出路を兼ねるパイプ状
    の中心アース電極(9)を有し、前記外筒アース電極
    (7)と中心アース電極(9)との間に形成される流体
    通過空間に、導電性素材を用いて構成した荷電極を兼ね
    た濾過層(3)を具備した円筒状のフィルターエレメン
    (F)を装着するとともに、外筒アース電極(7)
    び中心アース電極(9)と荷電極であるフィルターエレ
    メント(F)との間に濾過対象である流体の固有抵抗に
    応じた電圧を印加してなる流体濾過装置。
  10. 【請求項10】 印加電圧として0.1〜5000V/
    cmの直流又は交流電圧、あるいは直流と交流の複合電
    圧を採用してなる請求項9記載の流体濾過装置。
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