JPH08210915A - デコンボリューション処理方法及び装置 - Google Patents

デコンボリューション処理方法及び装置

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JPH08210915A
JPH08210915A JP4135595A JP4135595A JPH08210915A JP H08210915 A JPH08210915 A JP H08210915A JP 4135595 A JP4135595 A JP 4135595A JP 4135595 A JP4135595 A JP 4135595A JP H08210915 A JPH08210915 A JP H08210915A
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哲郎 岩田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マルチチャンネル検出器で検出されるスペク
トルに対して精度よくデコンボリューションを行える処
理方法を提供すること 【構成】 前記マルチチャンネル検出器で検出されるス
ペクトルデータの中心波数をずらしながら複数回測定
し、取得された多数のデータを、波数順に再配置してデ
ータ点数密度を向上させたデータ列を生成する。次に、
前記生成されたデータ列を複数の小区間に分割するとと
もに、前記小区間ごとに多項式フィッテングを行いそれ
ぞれ関数型を求める。そして所望のデータ点数密度にな
り、かつ等しい波数間隔でサンプリングされる所定の波
数におけるデータを、前記関数に基づいて算出すること
により、前記測定スペクトルデータ用の疑似データ列並
びにスリット関数用の疑似データ列をそれぞれ生成す
る。そして生成された各疑似データ列に基づいてデコン
ボリューションを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、デコンボリューション
処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【発明の背景】よく知られているように、各種の分光測
定を行う場合、試料から受動的或いは能動的に出射され
た光を分光器を用いて分光し、所定の光成分をその分光
器の出射側に配置した光検出器にて受光し、そこにおい
て所定の電気信号に変換後、信号処理装置に送り、解析
・分析を行うようになっている。
【0003】そして、上記分光器と光検出器は、一般に
光電子増倍管のような単一検出器とモノクロメータとを
組み合わせたスペクトル測定法や、CCDやPDAのよ
うなマルチチャンネル検出器とポリクロメータとを組み
合わせたマルチチャンネルスペクトル測定法等がある。
【0004】ところで、上記した分光器は、その入射側
及び出射側にスリットが配置され、スペクトル分解能は
使用する回折格子の限界内で、スリット幅が狭くなるほ
ど高くなる。しかし、スリット幅を零にすることは不可
能であるため、必然的に分解能を高めることには限界が
あり、実際のスペクトル波形に対し、一定の度合いだけ
鈍った状態で検出されることになる。一例を示すと、図
13(A)のように単発のトリガ(輝線スペクトル)の
ようにある波長(端数)の時だけスペクトルが存在する
ような場合であっても、使用したスリットのスリット関
数が同図(B)のようになっていると、検出器には同図
(C)に示すような波形データが得られる。このとき使
用する検出器が、光増倍管のような単一チャンネルの検
出器であると、得られる波形データは連続であるので、
デコンボリューションと称される演算処理を行うことに
より、波長分解能を改善し、元のスペクトルデータ(同
図(A))を得ることができる。
【0005】このように、スリット幅を狭くすることに
よりある程度分解能を向上させることができ、さらにそ
れ以上の高精度な分解能が要求されるような場合には、
前処理として上記のようなデコンボリューション処理を
行うことがある。
【0006】ところで、マルチチャンネル検出器の場合
には、たとえスリット幅を狭くしても、検出器側のチャ
ンネル幅で決定される分解能以上にはならない。従っ
て、分解能を向上させるためには、係るチャンネル幅の
狭い検出器を製造・用意する必要があるが、これは上記
スリット幅を狭くすることのように簡単には行えず、限
界がある。
【0007】そこで本発明者は、単一の検出器で用いら
れるデコンボリューションによる演算処理による分解能
の向上を試みた。しかし、上記の従来から一般に行われ
ているデコンボリューション処理をそのまま適用して
も、分解能の向上は図れなかった。これは以下の理由か
らによる。
【0008】まず、デコンボリューションにより得られ
る効果は、演算に用いるデータ数が多い(データ点数密
度が高い)ほど精度良く元のスペクトルデータの再現が
行える。しかし、マルチチャンネル検出器の場合、得ら
れるデータは離散的であり、しかもデータ点数密度も低
い。従って、場合によってはスリット関数を得るための
データ点数はピーク部分で数点となり、最悪では図14
(A)に示すようにピーク部分の1点(黒丸で示す)と
なるおそれもある。すると、それにより表現できる関数
は同図中二点鎖線で示すようなクリスプな関数となり、
デコンボリューション処理をしても全く分解能の向上が
見られない。
【0009】また、スリットから出射されたスペクトル
データは、同図(B)中実線で示すようになっていたと
しても、検出器で検出されるデータは、同図中黒丸で示
すように離散的で、しかもサンプリング間隔も広くな
る。従って、得られたデータ(黒丸)から再現できる検
出スペクトルデータとしては、例えば同図中二点差線で
示すようになり、実際のデータと掛け離れたものとなる
おそれがあり、このように、検出データ自体に大きな誤
差を含むと、デコンボリューションしても、実際のスペ
クトルデータに近いものを再現することはとうていでき
ない。
【0010】また、デコンボリューションは、サンプリ
ング間隔が等間隔になっていることを前提としている
が、マルチチャンネル検出器の各チャンネルで検出され
るデータは、物理的には等間隔であるが、各チャンネル
間の波数間隔は各チャンネル毎に異なっているため、実
際に得られるスペクトルデータは波数に対して不等間隔
でサンプリングされたものとなる。従って、上記前提も
異なるため、その点でも正確なデコンボリューションが
行えない。
【0011】上記各種の理由から、今までデコンボリュ
ーションは、単一の検出器に限って行われており、マル
チチャンネル検出器に適用することは長年に渡って行わ
れず、また、考えることさえ行われていないのが実情で
あった。
【0012】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した従来の固定
概念を打破し、マルチチャンネル検出器を用いた分光測
定においてもデコンボリューション処理を可能とし、分
解能の向上を図り、小型な分光器でもって正確な分析を
可能とし、さらに分光以外のスペクトル或いは空間内の
画像に対しても同様の効果が発揮できるデコンボリュー
ション処理方法及び装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係るデコンボリューション処理方法で
は、マルチチャンネル検出器から得られる測定スペクト
ルデータに対し、別途スリット関数を測定し、これを用
いてデコンボリューション処理を行うに際し、以下の手
順で行うようにした。 (1)まず前記マルチチャンネル検出器で検出されるス
ペクトルデータの中心波数をずらしながら複数回測定
し、取得された多数のデータを、波数順に再配置してデ
ータ点数密度を向上させたデータ列を生成する。 (2)次いで、前記生成されたデータ列を複数の小区間
に分割するとともに、前記小区間ごとに多項式フィッテ
ングを行いそれぞれ関数型を求め、所望のデータ点数密
度になり、かつ等しい波数間隔でサンプリングされる所
定の波数におけるデータを、前記関数に基づいて算出す
ることにより、前記測定スペクトルデータ用の疑似デー
タ列並びにスリット関数用の疑似データ列をそれぞれ抽
出する。 (3)前記抽出された各疑似データ列に基づいてデコン
ボリューションを行う。
【0014】この時、好ましくは前記スリット関数用の
疑似データ列を抽出するサンプリング間隔を、目的とす
るスペクトルデータ用の疑似データ列を抽出する時に用
いるサンプリング間隔よりも広く設定し行うようにする
ことである。
【0015】なお、本発明の適用対象は、上記したスペ
クトルに限られない。すなわち、処理対象を前記スペク
トルデータに替えて、空間画像とすることができ、その
場合にスリット関数に替えてビーズ球の散乱などの点光
源を用いることである。
【0016】上記した方法を実施するのに適した本発明
に係るデコンボリューション処理装置では、マルチチャ
ンネル検出器付きの分光器を備えた分光測定装置に実装
されるデコンボリューション処理装置であって、前記分
光器内の回折格子と前記マルチチャンネル検出器の少な
くとも一方を所定量ずつ移動させる移動制御手段と、前
記移動制御手段に対し制御命令を発して、そのマルチチ
ャンネル検出器で検出されるスペクトルデータの中心波
数を所定量ずつ変化させて前記マルチチャンネル検出器
からの出力を受けとり、前記マルチチャンネル検出器の
チャンネル幅以下のデータ点数密度からなるデータ列を
生成するデータ補間手段と、前記データ補間手段で生成
されたデータ列に基づいて、デコンボリューションを行
うに必要な所望のデータ点数密度を有し、かつ等しい波
数間隔からなる疑似データ列を生成する等間隔データ生
成手段と、前記等間隔データ生成手段で生成された疑似
データ列に基づいてデコンボリューションを実行する手
段とから構成した。
【0017】そして、前記等間隔データ生成手段が、与
えられたデータ列に対して小区間に分割するとともに、
前記小区間内に存在するデータに基づいて多項式フィッ
ティングを行いその小区間毎にスペクトルを生成するス
ペクトル生成手段と、そのスペクトル生成手段にて生成
されたスペクトルに関する情報を用いて、前記疑似デー
タ列を構成する各データ点を抽出するデコンボリューシ
ョン用データ抽出手段とから構成することができる。
【0018】係る場合に、前記デコンボリューション用
データ抽出手段におけるデータ抽出の際のサンプリング
間隔を可変とし、測定スペクトルデータ用と、スリット
関数用とで異ならせることを可能とするのが好ましい。
【0019】ここで、本発明で言う「波数」とは、一般
で使用される波数はもちろん、それと等価(変換可能)
な波長をも含む概念である。また、疑似データ列を抽出
する際の前処理として行う小区間に分割する処理は、各
小区間が重複しないように分割してもよく、或いは隣接
する小区間同士などが一部重複するように割り当てても
よく、本発明はいずれの場合も含む。
【0020】
【作用】マルチチャンネル検出器を使用すると、その分
解能はチャンネル幅に依存する。したがって、チャンネ
ル幅の狭い検出器を使用するほど分解能が高くなるが、
実用上は係る検出器を製造することは困難であり、また
高価となる。そこで、まず、検出器で検出されるスペク
トルデータの中心波数をずらしながら複数回(n回)に
渡って測定する。これにより、1回の測定で得られるデ
ータ数のn倍のデータが得られるので、1つのチャンネ
ル当りに存在するデータ点数密度もn倍に向上する。ま
た、この波数をずらす際の間隔であるが、チャネル幅を
気にすることなく設定してもよい。すると、ずらす量を
Δνとし、チャンネル幅をdとすると、d/Δνが整数
でない、すなわち、1つのチャンネル内を等間隔に分割
できないことが多々あるが、後工程で等間隔データをサ
ンプリングするため問題はなく、要は元のデータに近い
特性を再現するのに必要なデータ数が得られればよい。
なお、この処理で得られるデータ列を構成する各データ
は、実測に基づくデータである。
【0021】上記処理により抽出された、データ点数密
度の高いデータ列に対し、小区間に分割し、各小区間ご
とに多項式フィッティングを行い、分光器等から出射さ
れ検出器に入射されるデータを再現する。小区間に分割
して行うため、比較的低次元の多項式で精度よくもとの
データが再現される。この時実際には後処理を考慮し関
数型で表現しておくのがよい。
【0022】デコンボリューションを精度よく行うため
には、(イ)データ点数密度がある程度以上に高いこと
に加え、(ロ)前提としてサンプリングされたデータ点
が等間隔(例えば波数表現で)であることが必要であ
る。そこで、上記のようにして再現したスペクトル(小
区間ごとに関数型で表現されている)に対し、上記条件
(イ),(ロ)を満たす波数を抽出し、その波数におけ
る上記再現したスペクトル上のデータ点を求める。具体
的には、波数を関数列に代入することにより簡単に求め
られる。なお、このようにして求められた各データは、
多項式フィッティングにより生成したスペクトルに基づ
くもので、演算により求めた疑似データである。よっ
て、本明細書ではこのデータで構成されるデータ列を疑
似データ列と呼ぶ。
【0023】上記処理を実際の試料に基づく測定スペク
トルと、スリット関数を求めるためのスペクトルに対し
てそれぞれ行い、各々の疑似データ列を求め、各疑似デ
ータ列を用いてデコンボリューションをすると、精度よ
く本来の(スリットなどにより鈍ることのない)データ
を再現することができる。
【0024】
【実施例】以下本発明に係るデコンボリューション処理
方法及び装置について添付図面を参照にして詳述する。
まず、本発明の基本的な概念を説明する。(1)まず分
光器とマルチチャンネル検出器との相対位置を移動させ
ながらその都度データ取得をして、マルチチャンネル検
出器の各チャンネルで検出される波数をずらす。そし
て、各回で検出されたスペクトルデータを波数にしたが
って1本のスペクトルに再配列することによりデータ点
数密度を向上させる。これにより、n回移動させると、
データ点数密度もn倍に向上するため、マルチチャンネ
ル検出器の問題点の一つであるデータ点数密度の低さを
解消できる可能性が高くなる。
【0025】(2)一方、上記のようにデータ点数密度
を向上させても、デコンボリューションを正確に行うの
に必要なデータ点数密度を得ることができないおそれも
あり、また仮に所望のデータ点数密度が得られたとして
も、波数に対して等間隔にサンプリングされたものでは
ないので、そのまま検出されたデータを用いてデコンボ
リューションをしてもやはり正確に本来の(スリット通
過前の)データに再現することはできない。
【0026】そこで、上記のようにして得られた多数の
データに対し、一定の区間に区切るとともに各区間毎に
多項式フィッティングを施し、短い区間内に存在するデ
ータ上或いはその近傍を通るような曲線を求め、各区間
ごとに形成された多項式に基づく関数(曲線)を接続す
ることにより、1本の連続したデータを生成する。
【0027】このように、比較的短い区間に限定して処
理することにより、分光器から出射されたスペクトルデ
ータの特性(曲線)に近似する曲線を再現でき、結果と
して上記接続された1本の連続したデータも、スリット
通過後の本来のデータに近似したものを得ることができ
る。
【0028】そして、再現した近似データに対し、波数
を基準として等間隔にサンプリングし、デコンボリュー
ションするに必要なデータ点数密度のデータを取得す
る。なお、このデータ取得は、測定対象のデータとスリ
ット関数の算出の両方について行う。
【0029】(3)上記処理により抽出されたデータに
基づいて、単一検出器で従来から行われている通常のデ
コンボリューション処理を行う。すると、上記(2)ま
での処理により、マルチチャンネル検出器のチャンネル
幅がさほど狭くなくてもデータ点数密度を小さくでき、
スリットから出射されたスペクトルデータを精度よく再
現できる。しかも、必要なデータ点数密度で波数等間隔
にサンプリングされたデータに基づいてデコンボリュー
ションされるので、スリット通過前のスペクトルデータ
を精度よく再現でき、波数分解能を向上させることがで
きる。したがって、その後の所定の処理を行うことによ
り、高性能の分光・分析が行える。
【0030】次に、上記処理を行うための具体的な処理
装置を含む分光測定装置の一例について説明する。図1
は本装置をラマン散乱測定装置に適用した例を示してい
る。同図に示すように、光源(たとえばArレーザ)1
から出射された光を、ハーフミラー2を透過させた後、
集光レンズ3にて試料セル4に収束させる。また、その
試料セル4への照射方向と直交する方向には、結像レン
ズ5,分光器としてのポリクロメータ6の順に配置し、
試料セル4内の試料から出射されたラマン散乱光を結像
レンズ5にてポリクロメータ6内の入射スリット6aで
結像させるようにしている。
【0031】公知のようにポリクロメータ6内には、回
折格子その他の光学部品が所定の位置関係で配置されて
おり、回折格子を所定の回転角度位置にすることによ
り、ポリクロメータ6の出射側には、所定の波数成分の
スペクトルが出力され、その出射焦点面に設置されたC
CD等からなるマルチチャンネル検出器7の各チャンネ
ルにそれぞれ受光される。
【0032】マルチチャンネル検出器7では、受光した
光信号を電気信号に変換し、出力側に接続されたマルチ
チャンネル検出器ドライバ8を介してコンピュータシス
テム9に検出したデータを転送する。このコンピュータ
システム9が本発明の要部となるデコンボリューション
等の所定の演算処理を行うようになっている。
【0033】ここで本発明では、ポリクロメータ6内の
回折格子を、ステッピングモータ等の回転駆動手段に連
結して回転可能とし、所望の波数のスペクトルデータを
マルチチャンネル検出器7の各チャンネルに受光させる
ことができるようにしている。そして、係る回折格子の
回転制御が波長スキャン用ドライバ10からの制御信号
に基づいて、ステッピングモータを所定方向に所定角度
だけ回転させることにより実施されるようになってい
る。
【0034】なお、本実施例では回折格子を回転させる
ようにしたが、本発明はこれに限ることなく、マルチチ
ャンネル検出器7を平行移動させるようにしてもよい。
そして、移動させるための機構としては、上記したモー
タの出力に運動方向を回転から直線の往復移動に変換さ
せる手段を接続して構成してもよく、或いは圧電素子を
用いて構成してもよい。なお、係る圧電素子は、上記し
た回折格子の回転の動力にも適用できる。
【0035】さらに、ハーフミラー2に対し、Neラン
プ等の輝線スペクトルを発光する副光源11を設置し、
その副光源11から出射された光(輝線スペクトル)を
ハーフミラー2で反射させ、集光用レンズ3を介して試
料セル4に照射できるようにしている。これは、スリッ
ト関数を求める際に使用する光源で、スリット関数を求
める時には、試料セル4内には適当な散乱媒質を入れて
おく。
【0036】なお、散乱媒質を供給した試料セル4に替
えて、散乱板をおいてもよい。また、ハーフミラー2に
替えて、通常のミラーを設置してもよい。但し、その場
合にはミラーを所定方向に移動可能にしておき、通常の
測定時には図示の状態からミラーを移動させて光源1か
ら出射された光がそのまま(ミラーによって邪魔される
ことなく)集光レンズ3を介して試料セル4に集光さ
れ、スリット関数を求める時には図示の状態に戻し、副
光源11から出射された光を試料セル4に導くことがで
きるようにする必要がある。
【0037】次に、本発明の要部であるコンピュータシ
ステム9の内部構成について説明する。図2に示すよう
に、入力側にはデータ補間部20(上記した処理(1)
を実行する部分)と、そのデータ補間部20によりデー
タ点数密度が検出器のチャンネル幅に基づく密度よりも
向上され、補間された多数のデータに基づいてデコンボ
リューションを行うのに必要な波数を基準として等間隔
データを抽出する等間隔データ生成部21(上記した処
理(2)を実行する部分)と、その生成部21から出力
されたデータに基づいてデコンボリューションを実行す
る実行部22(上記した処理(3)を実行する部分)と
を備えている。
【0038】さらに図示省略するが、デコンボリューシ
ョンされた結果は、図外の所定の解析するための演算処
理部に伝送され、係る演算処理部もコンピュータシステ
ム9内に実装されている。
【0039】データ補間部20は、マルチチャンネル検
出器7で検出されるスペクトルデータの中心波数を変え
ながら複数回に渡ってスペクトルデータを取得し、1回
の検出で得られるスペクトルデータ間(チャンネル幅に
相当する)に存在する別のスペクトルデータを検出し、
補間処理を行うことによりデータ点数密度の向上を図る
もので、具体的な処理機能は図3に示すようになってい
る。
【0040】ここで具体的な処理を説明する前に、この
データ補間部20の動作原理について説明する。例えば
図4に示すように、マルチチャンネル検出器のチャンネ
ル幅をd(cm-1)とすると、1回の測定ではその幅d
(cm-1)以上の分解能を得ることはできない。そこで
上記のように各チャンネルの中心波数をΔν(cm-1
ずつずらして複数回(n回)測定するとともにそれらを
波数に基づいて再配列することにより、チャンネル幅d
(cm-1)内に複数の測定データを存在させることがで
き、これによりデータ点数密度が向上する。そして、1
つのチャンネル内のデータ補間をする場合には、一般的
にはチャンネル内を等間隔にn分割し、分割する各区画
を代表するデータ(境界或いは中央等)を取得すること
になる(図示の例では3分割している)。
【0041】すなわち、 d=n×Δν … が成り立つ必要がある。しかし、nは測定回数に対応す
ることから整数である必要があり、しかも、回折格子を
所定角度回転させることにより波数をずらすため、回転
角度(ステップ幅)等の装置側の機構上の要請からΔν
(cm-1)として採り得る値も制限がある。また、dそ
のものが各チャンネル毎に異なっているため式の条件
は特定のチャンネルでしか満足されない。
【0042】従って、上記条件を満たす各値を求める処
理も煩雑であるばかりでなく、必ずしも必要なデータ点
数を取得することができるとはかぎらず、正確に元のス
ペクトルを再現することが困難となる。
【0043】そこで本発明では、補間する際の波数のず
らし量(波数インチング幅)Δν′(cm-1)を決定す
る際に、上記した「dがΔν′の整数倍」の条件(上記
式)をなくし、一つのチャンネル内に所望数(n個)
のデータを存在させ、チャンネル単位でのデータ点数密
度をn倍に向上させるようにした。すなわち、上記した
条件式に変えて、整数倍でない場合には、下記の条件
式を満たす任意の値nを採るようにした。
【0044】n≧[d/Δν′]+1 … 但し、演算[a]は、aを越えない最大の整数 係る条件を満たすnをとると、特定のチャンネル(k)
に着目した場合に、1回目から[d/Δν′]回目まで
に取得したデータは同一チャンネル内に存在し、[d/
Δν′]+1回目からの測定では、右隣りのチャンネル
(k+1)に食み出してしまうが、それと同時に左隣り
(k−1)側から食み出してきたデータがそのチャンネ
ル(k)内に存在するため、結果として一つのチャンネ
ル内に不等間隔ではあるもののn個のデータが存在する
ようになる。
【0045】これにより例えば図5(n=6の場合を示
している)のように、各回毎における隣接する測定デー
タの間隔は、チャンネル幅dに等しい距離だけ等間隔に
離れており、1回目と2回目の測定データ間は、Δν-1
だけ波数が増加している。そして、チャンネル(k)の
n=1の波数から順に増加させて得られる各波数は、n
が1〜4までは同一チャンネル内に存在するが、n=
5,6はそれぞれ右隣りのチャンネル(k+1)に食み
出す。しかし上記と同一チャンネル(k)内には左隣り
のチャンネル(k−1)からスタートして波数が増加さ
れることにより得られる測定データが侵入してくるの
で、結果としてチャンネル(k)内には、n個(6個)
のデータが存在する。
【0046】上記動作原理に基づく所定の処理を行うデ
ータ補間部20は、各回ごとに取得したスペクトルデー
タをバッファ20aに格納しておき、n回分のデータが
取得されたなら、一時格納した上記データをバッファ2
0aから読み出すとともに、読み出した各データを波数
順に再配列し、1本のスペクトルデータを生成するもの
で、図3に示すようにまずnを1にセットする(ST
1)。また初期設定としてドライバ10を作動させてポ
リクロメータ6内の回折格子を初期位置にセットする。
【0047】次に、マルチチャンネル検出器7で検出さ
れるスペクトルデータを取得し、n回目のデータとして
バッファ20aに格納する(ST2)。そして、nが予
め設定した値(max)になったか否かを判断し(ST
3)、max未満の場合にはnをインクリメントすると
ともに、ドライバ10を作動させてマルチチャンネル検
出器7の中心波数が、n−1回目の中心波数よりもΔ
ν′-1だけ増加するように回折格子を所定角度回転させ
る(ST5)。なお、このステップ5の処理は、実際に
は係る回転角度(基準角度)は予め求めておき、ドライ
バ10に設定しておく。そして、データ補間部20から
は回転命令信号(トリガパルス)を出力し、その命令信
号を受けたドライバ10が基準角度だけ回転するように
動作する。
【0048】また、予め設定した回数だけスペクトルデ
ータを取得したならば、それまでにバッファ20aに格
納したn回分の各波数に対するデータを読み出し、波数
の順にしたがって再配列し直し、1本のスペクトルデー
タを生成する(ST6)。各回におけるマルチチャンネ
ル検出器の各チャンネルの物理的距離dは既知であり、
使用する回折格子等から各チャンネルに受光された波数
の値は算出可能であり、しかもn回目のデータの中心波
数はその各波数にn×Δν′-1だけ加算した値であるの
で、バッファ20aに格納した各データの波数は、簡単
な計算で求まる。よってその波数にしたがって再配置す
る。
【0049】等間隔データ生成部21は、データ補間部
20から与えられる1本のスペクトルを構成する多数の
データを受けとり、それに基づいてスリット通過後のマ
ルチチャンネル検出器7で受光されるべき本来のスペク
トルを生成するスペクトル生成部21aと、そのスペク
トル生成部21aで再現(生成)されたスペクトルに基
づいて、データ点数密度の条件を満たすとともに、波数
が等間隔になるようにサンプリングして、デコンボリュ
ーション用のデータを抽出するデコンボリューション用
データ抽出部21bとから構成される。
【0050】そして、この等間隔データ生成部21の機
能は、図6に示すようになっている。まずデータ補間部
20から与えられたスペクトルデータを波数を基準とし
て等間隔になるような小区間に分割する(ST11)。
すなわち、データ補間部30で取得されたスペクトルデ
ータの全スペクトル範囲は既知であるので、これを波数
間隔が等しくなるようにして分割する。そして、分割数
は、たとえば使用するマルチチャンネル検出器7のチャ
ンネル数(エレメント数)程度にしている(本発明で
は、そのチャンネル数よりも大きくてもまた小さくても
もちろんよい)。なお、上記したように、各チャンネル
の物理的なステップ幅と、そこで検出されるスペクトル
データの波数の増加は比例しないので、波数を基準に分
割すると、分割された小区間によって存在するデータ数
に差は生じるが問題はない。
【0051】次に、分割された各小区間ごとに多項式フ
ィットを行い、関数型を求める(ST12)。すなわ
ち、分割された先頭の小区間から順に、その小区間内に
存在するすべてのデータ点を抽出し、多項式フィットを
行い、それら各データ点をできるだけ通るような曲線
(実際には係る曲線を定義する関数型)を求める。ま
た、この時、隣接する小区間ごとの連続性を確保するた
め、両隣りの小区間に存在する近傍の数点を付け加えた
状態で多項式フィットを行う。なお、多項式フィットを
行う際に、多項式の次数を小区間でのデータ点の平均存
在数であるnを越えないようにしている。以上のステッ
プ11,12がスペクトル生成部21aの処理である。
【0052】このようにして連続した(小区間の境界で
一部不連続となる部分もある)曲線で現わされるスペク
トルが生成されたなら、それを次段のデコンボリューシ
ョン用データ抽出部21bに送り、必要なスペクトルデ
ータを抽出する(ST13)。すなわち、上記ステップ
12までの処理により、全スペクトル範囲に渡って関数
型が決定されるので、再度全波数区間に渡って、最終的
に必要なデータ点数密度が得られるようなサンプリング
間隔を設定し、波数を基準として等間隔でデータ値の再
算出を行う。具体的には、抽出する波数が決定されたな
ら、その波数が存在する小区間を検出し、その小区間を
定義する関数型に波数を代入し、その波数におけるデー
タ点を求める。
【0053】また、求める波数が複数の小区間にまたが
って存在する場合(たとえば小区間の境界)には、各小
区間の関数型を用いてそれぞれのデータ点を求め、それ
を平均することによりその波数のデータ点とする(ST
14)。
【0054】以上のステップ13,14がデコンボリュ
ーション用データ抽出部21bの処理である。そして、
これにより波数を等間隔にサンプリングして得られる所
定数のデータ点(スペクトルデータ)が抽出されるの
で、その抽出結果を次段のデコンボリューション実行部
22に送る。
【0055】なお、上記した実施例では、スペクトル生
成部瀬21aの処理で小区間に分割する際に、等間隔で
しかも互いに重複することなく分割したが、等間隔でな
くともよく、また、隣接する小区間の一定領域(たとえ
ば半分ずつ)を互いに重複させるようにしてもよい。係
る場合には、抽出する波長が複数の小区間にまたがって
存在する確率が高くなるが、その場合も上記ステップ1
4の処理を実行することにより対処する。
【0056】デコンボリューション実行部22では、与
えられたスペクトルデータ(測定試料に基づくものとス
リット関数の両者)に基づいて所定の演算処理を行い、
本来(スリットの影響を受けない)のスペクトルを再現
する。このデコンボリューション処理は、たとえば最小
二乗推定解をガウス−ザイデル法で解き、各反復毎のス
テップ幅を最急降下法によって最適化することにより求
めるようにした。
【0057】なお、上記したごとく本例では、マルチチ
ャンネル検出器を用いても、必要なデータ点数密度でし
かも波数で等間隔にサンプリングされたスペクトルデー
タが生成されるので、上記したデコンボリューションを
実行するための各々の具体的な処理については、通常の
単一検出器で用いられているのをそのまま適用できるた
め、その説明を省略する。
【0058】次に、上記した実施例を用い、本発明に係
る方法の一実施例を説明する。まず、試料セル4内に測
定対象の試料を供給し、光源1から出射させる光をその
試料セル4(セル内の試料)に照射させる(ST21,
22)。すると、試料からラマン散乱光が発生し、その
一部を分光器(ポリクロメータ)6を介してマルチチャ
ンネル検出器7で各波数のスペクトルデータを取得す
る。そして、コンピュータシステム9を作動させて、回
折格子を回転させつつ多数のデータ点を取得し、それに
基づいて波数を基準に等間隔にサンプリングして得られ
る測定スペクトル(所望のデータ点数密度からなる離散
的なデータ点から構成される)を求める(ST23)。
【0059】一方、試料セル4内に散乱物質を供給する
とともに、光学系を切り替えて副光源11から出射され
た光を試料セル4(セル内の散乱物質)に照射させる。
なお、この時使用する副光源11は、試料スペクトルの
中心波数に近いNeランプの輝線を選択・使用する(S
T24,25)。すると、散乱物質からラマン散乱光が
発生し、その一部を分光器(ポリクロメータ)6を介し
てマルチチャンネル検出器7で各波数のスペクトルデー
タを取得する。そして、コンピュータシステム9を作動
させて、回折格子を回転させつつ多数のデータ点を取得
し、それに基づいて波数を基準に等間隔にサンプリング
して得られるスペクトル(所望のデータ点数密度からな
る離散的なデータ点から構成される)、すなわちスリッ
ト関数をを求める(ST26)。
【0060】なお、マルチチャンネル検出器7の空間的
な感度ムラの影響をできるだけ抑制するため、ステップ
23,26における試料及びスリット関数のスペクトル
測定は、検出器の中央部で測定するようにした。
【0061】次いで、上記ステップ23と26でそれぞ
れ求めた測定スペクトルに基づくスペクトルデータと、
スリット関数をデコンボリューション実行部22に与
え、そこにおいてデコンボリューションを行い、スリッ
トにより鈍った測定スペクトルを元の状態に戻し、波長
分解能を向上させる(ST27)。なお、ステップ21
〜23と、ステップ24〜26の処理は、いずれを先に
行っても構わない。
【0062】次に、上記した実施例の効果を実証するた
め、以下の実験を行った。マルチチャンネル検出器付き
のラマン分光器(回折格子1800本/mm,NR−1
800(日本分光(株)製),)を用い、入射スリット
幅を100μm、スリット高さを2mm、シングルモノ
クロメータモードで積分時間30秒、積算4回の条件
で、四塩化炭素を測定した。この時、励起波長はAr+
イオンレーザ(514.5nmである。
【0063】その結果、図8(A)のような測定結果が
得られた。なお、図では、ラマンピークとなる460c
-1付近(上記ピークを含む437.5cm-1〜48
2.5cm-1の波数範囲)のみを示し、データ点数は6
6点である。また、検出器の1チャンネルの幅は24μ
mで、ラマンシフト460cm-1の波数位置での分光器
の逆線分散度は28.8cm-1であるので、1チャンネ
ル当りの波数幅は検出器の中央部で0.69cm-1とな
る。また、スペクトルバンド幅は2.88cm-1とな
る。
【0064】また同一の装置を用い、675cm-1近傍
のNeの輝線スペクトルを測定した結果、同図(B)に
示す様な結果が得られた。これがスリット関数となる。
なお、各図において見易くするために測定したデータ点
(黒丸で示す)を接続する線を引いた状態で図示してい
る(以下同じ)。
【0065】そして、同図(A)のスペクトルの中心波
数を0.1cm-1ステップで高波数側にシフトしながら
20回(n=20)のスペクトル測定を行ない、これら
をデータ補間部20によって一本に再配列した。これに
より、図9(A)に示すような結果が得られた。これに
より全データ点数は1320(66×20)点であり、
データ点数密度が向上した。なお同図中の拡大部の黒丸
はサンプリング点を示すが、分光器の波数掃引の機械的
精度の限界のため若干の乱れが生じている。
【0066】この図9(A)に示すスペクトルに対して
小区間(波数幅を1.0cm-1)に分割し、各小区間は
前後互いに0.5cm-1ずつ重複させながら5次の多項
式フィッティングを行い、全波数区間にわたって再度
0.1cm-1間隔で等間隔サンプリングを行った。これ
により、図10(A)に示すような結果が得られた。し
たがってここでのデータ点数は451点となる。
【0067】また、スリット関数(図8(B))に対し
て上記と同様の処理を行うことにより、それぞれ図9
(B),図10(B)に示すような結果が得られた。そ
して、最終的に図10のデータ点数密度は図8のそれの
約7倍になっている。
【0068】そして、図10(A),(B)中に黒丸で
示す各データ(疑似データ列)をデコンボリューション
実行部22に与え、係る等間隔かつ高データ点数密度の
スペクトル(図10(A))をスリット関数(図10
(B))でデコンボリューションした。すると図11
(A)に示すような結果が得られた。ここで反復回数は
50回に固定した。負方向の疑似ピークPの発生が観測
されるものの、四塩化炭素の3本の同位体のピークC35
Cl2 37Cl2 (455.1cm-1)、C35Cl3 37
l(458.4cm-1)、C35Cl4 (461.5cm
-1)が良好に分離されている。
【0069】一方、比較のため図8(A),(B)に示
すデータに基づいてデコンボリューション(その他の処
理条件は同じにした)を行った。その結果、図11
(B)に示すようになり、本発明品の方が分解能が向上
していることがわかる。
【0070】ところで、図11(A)で得た最終結果を
見ると、負方向の疑似ピークPが発生している。しかも
この負ピークはデコンボリューションの反復回数を減ら
してもあまり改善されなかった。これはNeの輝線の測
定時と試料測定時との光学系の同一性が保たれず、実際
以上にスリット関数の線幅が拡がり、オーバーデコンボ
リューション状態になったためと考えられる。
【0071】そこで、図2に示す等間隔データ生成部2
1内のデータ抽出部21bの機能を修正することにより
対応できる(この修正した機能を備えた装置が本発明の
変形実施例となる)。すなわち、スペクトル生成部21
aにて多項式フィッティングによってスリット関数の形
状が算出され、データ抽出部21bで所定の等間隔でサ
ンプリングするが、この最終段階での等間隔サンプリン
グデータを再算出する際に、試料スペクトルデータのサ
ンプリング間隔よりも、若干広めにスリット関数のサン
プリングを行うようにした。
【0072】係る構成にすると、スペクトルの形状は変
化せず、見かけ上スリット関数を狭くできる。したがっ
て、上記処理を経て得られた2つのデータをデコンボリ
ューション実行部22に与え、デコンボリューションを
実行すれば、良好な結果が期待できる。
【0073】この変形実施例の効果を実証するため、図
10(A)の試料スペクトルに対して、そのサンプリン
グ間隔の1.4倍の間隔でサンプリングしたスリット関
数で、デコンボリューションを行った。すると図12に
示すような結果が得られ、図から明らかなように大きな
負方向の疑似ピークが、かなり改善されていることがわ
かる。
【0074】なお、上記した各実施例では、ラマン散乱
測定装置に用いた例を説明したが、本発明はこれに限る
ことなく、マルチチャンネル検出器を用いてなる種々の
分光測定装置に適用できることはもちろんである。さら
には、デコンボリューションの処理対象としても、スペ
クトルデータに限られることなく、画像データであって
もよい。但しその場合には、スリット関数でなくビーズ
球の散乱などの点光源からの画像を装置関数として用い
ることになる。
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るデコンボリ
ューション処理方法及び装置では、1回で取得できるデ
ータ点数密度が低くても、複数回に渡ってデータを取得
することによりデータ点数密度を高くすることができ
る。そして、最終的には、そのようにして得られた多数
のデータ点に基づいて生成したスペクトルから所望の条
件に合致するデータを演算により抽出してなる疑似デー
タ列に基づいてデコンボリューションするので、デコン
ボリューション処理は精度よく行え、しかも、上記した
データ点数密度を高くする処理も、検出器のチャンネル
幅をさほど考慮することなく行えるので、必要なデータ
数を確実にしかも簡単に得ることができる。そして、デ
コンボリューションを精度よく行えることにより、波数
分解能が向上するため、結果として使用する分光器など
の装置も小さくすることができる(目安として、分解能
が2倍になると分光器の大きさは半分となる)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデコンボリューション処理装置及
びそれが実装される分光測定装置の一例を示す図であ
る。
【図2】デコンボリューション処理装置の一実施例を示
すブロック構成図である。
【図3】データ補間部の処理機能を説明するフローチャ
ートである。
【図4】データ補間部の動作を説明する図である。
【図5】データ補間部の動作を説明する図である。
【図6】等間隔データ処理部の処理機能を説明するフロ
ーチャートである。
【図7】本発明に係るデコンボリューション処理方法の
一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の効果を実証するために行った実験結果
を示す図である。
【図9】本発明の効果を実証するために行った実験結果
を示す図である。
【図10】本発明の効果を実証するために行った実験結
果を示す図である。
【図11】本発明の効果を実証するために行った実験結
果を示す図である。
【図12】本発明の効果を実証するために行った実験結
果を示す図である。
【図13】デコンボリューションについて説明する図で
ある。
【図14】従来の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
6 ポリクロメータ(分光器) 6a 入射スリット 7 マルチチャンネル検出器 9 コンピュータシステム(デコンボリューション処理
装置) 10 回折格子用ドライバ(移動制御手段) 20 データ補間部 21 等間隔データ処理部 21a スペクトル生成部 21b デコンボリューション用データ抽出部 22 デコンボリューション実行部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチチャンネル検出器から得られる測
    定スペクトルデータに対し、別途スリット関数を測定
    し、これを用いてデコンボリューション処理を行うに際
    し、 前記マルチチャンネル検出器で検出されるスペクトルデ
    ータの中心波数をずらしながら複数回測定し、取得され
    た多数のデータを、波数順に再配置してデータ点数密度
    を向上させたデータ列を生成し、 前記生成されたデータ列を複数の小区間に分割するとと
    もに、前記小区間ごとに多項式フィッテングを行いそれ
    ぞれ関数型を求め、 所望のデータ点数密度になり、かつ等しい波数間隔でサ
    ンプリングされた所定の波数におけるデータを、前記関
    数に基づいて算出することにより、前記測定スペクトル
    データ用の疑似データ列並びにスリット関数用の疑似デ
    ータ列をそれぞれ抽出し、 前記抽出された各疑似データ列に基づいて前記デコンボ
    リューションを行うようにしたデコンボリューション処
    理方法。
  2. 【請求項2】 前記スリット関数用の疑似データ列を抽
    出するサンプリング間隔を、目的とするスペクトルデー
    タ用の疑似データ列を抽出する時に用いるサンプリング
    間隔よりも広く設定し行うようにした請求項1に記載の
    デコンボリューション処理方法。
  3. 【請求項3】 処理対象を前記スペクトルデータに替え
    て、空間画像と、 前記スリット関数に替えてビーズ球の散乱などの点光源
    を用いるようにした請求項1または2に記載のデコンボ
    リューション処理方法。
  4. 【請求項4】 マルチチャンネル検出器付きの分光器を
    備えた分光測定装置に実装されるデコンボリューション
    処理装置であって、 前記分光器内の回折格子と前記マルチチャンネル検出器
    の少なくとも一方を所定量ずつ移動させる移動制御手段
    と、 前記移動制御手段に対し制御命令を発して、そのマルチ
    チャンネル検出器で検出されるスペクトルデータの中心
    波数を所定量ずつ変化させて前記マルチチャンネル検出
    器からの出力を受けとり、前記マルチチャンネル検出器
    のチャンネル幅以下のデータ点数密度からなるデータ列
    を生成するデータ補間手段と、 前記データ補間手段で生成されたデータ列に基づいて、
    デコンボリューションを行うに必要な所望のデータ点数
    密度を有し、かつ等しい波数間隔からなる疑似データ列
    を生成する等間隔データ生成手段と、 前記等間隔データ生成手段で生成された疑似データ列に
    基づいてデコンボリューションを実行する手段とを備え
    たデコンボリューション処理装置。
  5. 【請求項5】 前記等間隔データ生成手段が、与えられ
    たデータ列に対して小区間に分割するとともに、前記小
    区間内に存在するデータに基づいて多項式フィッティン
    グを行いその小区間毎にスペクトルを生成するスペクト
    ル生成手段と、 そのスペクトル生成手段にて生成されたスペクトルに関
    する情報を用いて、前記疑似データ列を構成する各デー
    タ点を抽出するデコンボリューション用データ抽出手段
    とを備えた請求項4に記載のデコンボリューション処理
    装置。
  6. 【請求項6】 前記デコンボリューション用データ抽出
    手段におけるデータ抽出の際のサンプリング間隔を可変
    とし、測定スペクトルデータ用と、スリット関数用とで
    異ならせることを可能とした請求項5に記載のデコンボ
    リューション処理装置。
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