JPH08209435A - 生体適合糸 - Google Patents

生体適合糸

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JPH08209435A
JPH08209435A JP7034311A JP3431195A JPH08209435A JP H08209435 A JPH08209435 A JP H08209435A JP 7034311 A JP7034311 A JP 7034311A JP 3431195 A JP3431195 A JP 3431195A JP H08209435 A JPH08209435 A JP H08209435A
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JP
Japan
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collagen
solution
polysaccharide
complex
yarn
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JP7034311A
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Norio Nishi
則雄 西
Hidemitsu Kitamura
秀光 北村
Mariko Tazaki
まり子 田崎
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Sangi Co Ltd
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Sangi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コラーゲン紡糸が本来的にもっている感触を
失うことなく、さらにその機能性を高めること。 【構成】 本発明に係る生体適合糸は、多糖類水溶液に
コラーゲン酸性溶液を射出して産生する。逆に、コラー
ゲン酸性溶液に多糖類水溶液を射出して生体適合糸を得
ても良い。また、糸の生体適合性を高めるとともにその
機能性を高めるため、前記多糖類は、遷移金属イオンと
錯体をなすムコ多糖を使用することがある。同様の理由
に基づき、前記多糖類は核酸と錯体をなすムコ多糖を使
用し、また核酸には生理活性因子を付加する場合があ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動物細胞(とくに人
体)になじむコラーゲン利用の生体適合糸に係り、特に
コラーゲン紡糸の機能性をより高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】生体を構成するコラーゲンは細胞や骨あ
るいは歯へのなじみやすさから、各種の医療品や化粧
品、機能性食品その他の生体適合材料として利用され
る。コラーゲン利用の素材は例えば紡糸、織布、コーテ
ィング材、スポンジ等として利用されているが、とくに
各種の生体適合材の基礎となる糸(紡糸)についてみる
と、その構造は、塩析によるコラーゲン糸が基本となっ
ている。
【0003】すなわち、紡糸コラーゲン線維に関する従
来の技術としては、例えば、特公昭51−42234
号、特公昭37−14426号、特公昭37−1387
1号、特公昭44−11037号、特公昭40−906
2号等が知られているが、これらの技術は、いずれもコ
ラーゲン溶液を飽和食塩水に射出して糸(紡糸)を得る
ことを特徴とする。
【0004】例えば、これらの技術を前提とする特公昭
51−42234号においても塩析による紡糸の成形が
特徴となっていおり、具体的には、例えば仔牛皮の真皮
層をコラーゲン基材として使用し、これを取り出して裁
断し、無菌条件下においてペプシン処理を行うことによ
って可溶化コラーゲンを得、ここにpH7.5程度の弱
アルカリ溶液(水酸化ナトリウム溶液)を添加してコラ
ーゲンを沈澱させ、この沈澱物をpH3程度の酸性液
(例えば塩化水素)に溶解することによってアテロコラ
ーゲンを得る。次に、糸状コラーゲンを得るため、この
アテロコラーゲン溶液を濃縮し(例えば濃度5%溶
液)、この溶液を脱泡して飽和食塩水にノズルから押し
出す。これにより塩析によって糸状のコラーゲンを得る
わけである。また必要に応じ、紫外線照射、ヘキサメチ
レンジイソシアネイト溶液、グルタールアルデヒド等に
よって架橋処理を行いコラーゲン紡糸を固定する。ノズ
ル形状を代えることにより、中空糸と出来ることは通常
の樹脂紡糸と同じである。
【0005】一方、生体細胞がコラーゲンと多糖類(と
くにムコ多糖)とを主構成要素とすることに鑑み、従来
の単純な塩析コラーゲン物質に代え、コラーゲンと多糖
類との複合体からなる生体適合材を作る試みがなされて
いる。
【0006】ところが、例えば特開平2−1287号公
報にも記載されているように、構造的に剛直なヘリック
ス構造を有するコラーゲンと、ムコ多糖類との混合物は
コンプレックス(複合体)を作ることが困難であるた
め、従来は、架橋剤を使用することにより両者の共重合
体を作り、膜状あるいはスポンジ状にコンプレックスを
成形するのが一般であった。
【0007】この特開平2−1287号公報記載のコラ
ーゲン繊維も、コラーゲンと水溶性多糖類(例えばムコ
多糖)とのコンプレックスを作ることが非常に困難であ
ることに鑑み、可能な限り両者を混合物してコアセルベ
ート構造を形成することを特徴とするものであるが、こ
こではコンプレックスを作るためコラーゲンの熱変性以
上の温度(37℃)、望ましくは40〜60℃で両水溶
液を混合撹拌し、この混合物に鉱酸、望ましくは塩酸を
加えてpH値を3〜5に調整することによって目的を達
成している。そのうえで混合の際に、変性コラーゲンや
水溶性多糖類の濃度が前記のものより高い場合には、混
合やpH調整が円滑に行われずコアセルベート液滴の生
成が困難であるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
のコラーゲン生産物は、表面構造からみてもその機能性
に限界があり、用途も限られたものとなる。まず塩析に
よるコラーゲン糸であるが、これは可溶化コラーゲンを
飽和食塩等のイオン溶液に射出して得るものであるか
ら、当然のことながら糸の構造は、その全体がコラーゲ
ンであり、単に生体になじみやすい紡糸ができるに過ぎ
ない。勿論、その応用範囲は従来知られている通りかな
り広い分野に及ぶ。しかしながら糸全体がコラーゲンで
ある場合には、生体細胞のように多糖類その他の錯体を
一切含まないため、結局のところ生体の細胞構造とは非
類似の構造であって、また生体細胞の活性を抑制する
(または促す)各種の機能、例えば抗菌性や抗腫瘍性等
の性質を付加することも困難である。
【0009】一方、多糖類(とくにムコ多糖類)を混合
した複合体は、コラーゲン単独の素材に較べればその機
能性や用途に広がりをもたせることも可能となるが、多
糖類と共重合できる金属イオンや、生体細胞の糖高分子
に結着して存在する各種の生理活性因子の有効性を低減
させる可能性が残る。
【0010】これは例えば創傷カバーで考えたときに、
創傷カバーは、皮膚に密着する表面部分だけに抗菌性等
の有効成分があれば良いにも拘らず、従来の多糖混合コ
ラーゲン紡糸(膜)では、素材全体に多糖類(および有
効錯体)が存在することになり、このような構造では、
機能性の点でいえば表面に有効性とは無関係なコラーゲ
ンが存在する結果として殺菌抗菌作用を低下させ、また
使用感という点でいえば、例えば金属イオンが素材全体
に添加されることで繊維が剛直となり、コラーゲン本来
の柔らかさや軽量感が失われる等の問題を生ずることに
なる。
【0011】そこで本発明の目的は、コラーゲン紡糸が
本来的にもっている感触を失うことなく、さらにその機
能性を高める点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成して課題
を達成するため本発明に係る生体適合糸は、多糖類水溶
液にコラーゲン酸性溶液を射出して産生する。逆に、コ
ラーゲン酸性溶液に多糖類水溶液を射出して生体適合糸
を得ても良い。
【0013】また、糸の生体適合性を高めるとともにそ
の機能性を高めるため、前記多糖類は、遷移金属イオン
と錯体をなすムコ多糖を使用することがある。同様の理
由に基づき、前記多糖類は核酸と錯体をなすムコ多糖を
使用し、また核酸には生理活性因子を付加する場合があ
る。
【0014】
【作用】本発明に係る生体適合糸は、多糖類水溶液にコ
ラーゲン酸性溶液を射出して産生する。酸性コラーゲン
溶液はプラスチャージであり、一方の多糖水溶液はマイ
ナスチャージであるから、糖溶液中に押し出された酸性
コラーゲン溶液の表面は瞬時にイオンコンプレックスを
作って固定される。この場合、射出ノズルを二重形状に
すれば糸表面および中空内壁面にイオンコンプレックス
をもった中空糸ができることはいうまでもない。公知の
手段を用いれば、微小ビーズや薄膜を成形するも可能で
ある。
【0015】DNAもそうであるが糖に分類される高分
子溶液はマイナスチャージである。従って、DNA溶液
に酸性コラーゲン溶液を射出しても、表面にコンプレッ
クスをもったコラーゲン糸を得ることが出来る。当然で
あるがこの製造手順は逆でもよく、酸性コラーゲン溶液
にマイナスチャージである糖類高分子溶液を射出するこ
とにより、内部に糖高分子をもつ表面コンプレックス糸
を得る。
【0016】こうして得た生体適合糸は、紡糸により適
当な布材、例えば化粧コットンや、各種の膜材、例えば
ソーセージケーシング材として利用することができる。
また裁断その他の加工により、人工毛髪、化粧品に混入
する皮膚適合素材とすることが出来る。コラーゲン酸性
溶液に多糖類水溶液を射出して得た生体適合糸も同様で
ある。
【0017】凝固液には、核酸を使用することがある。
ある種の金属イオンが核酸と錯体をなすことは公知であ
り、重金属類が微量で生物(腫瘍細胞あるいは細菌類)
に対する毒作用があることは昔から知られており、抗菌
材料としての金属物質の使用技術は、従来、例えば特開
平4−163308号などが知られている。その作用は
金属イオンが細胞と結合することにより細菌等を殺傷す
ると考えられている。
【0018】また、凝固液にムコ多糖を使用しても良
い。ここでいうムコ多糖としては、例えばヘパリン,ヘ
パラン硫酸,コンドロイチン硫酸,ヒアルロン酸,ケラ
タン硫酸,キチンが代表的である。これらの多糖類は、
抗凝血作用や抗がん作用、抗ウィルス作用をもつ。また
コラーゲンの表面にコンプレックス構造をもった糸を作
るため、酸性コラーゲンを射出するマイナスイオン溶液
として、ムコ多糖に生理活性因子を付加する場合があ
る。かかるコンプレックス酸性溶液(イオン溶液)を使
用すれば、コラーゲン表面にさらに高機能のコンプレッ
クス構造を作ることが出来る。
【0019】尚、ここでいう生理活性因子とはムコ多糖
等の高分子に分枝として(または主鎖として)付加する
ことが可能なホルモン、タンパク、糖、塩基、抗体を意
味する。インターロキシン等のリンフォカインやモノカ
イン等の生理活性物質も除外しないが、より具体的には
例えば、いわゆる神経成長因子(NGF)や線維芽細胞
成長因子(FGF)、血栓溶解剤として機能するウロキ
ナーゼ、インシュリン、T細胞から得るγインターフェ
ロン、あるいは各種モノクローナル抗体等である。
【0020】このうちポリペプチドホルモン(いわゆる
生体成長促進因子;グロースファクター;FGF)は、
生体細胞(骨歯を含む)全般の成長を促すものであり、
皮膚細胞の復活、例えば外傷薬(創傷効果)とした場合
には、いわゆる寝たきり老人にみられる床ずれの治癒カ
バー材、やけど、骨折、切り傷の創傷治療布として有効
である。また、機能性食品など内服した場合には、細胞
成長が促される結果として、ストレス潰瘍やリューマチ
性関節炎などにも効果があると考えられる。
【0021】
【実施例】本発明に係る生体適合糸は、多糖類水溶液に
コラーゲン酸性溶液を射出して産生する。まず多糖類水
溶液であるが、これは多糖類のうち水によく溶ける多糖
類を使用する。例えばムコ多糖類、特にコンドロイチン
硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸、
ヘパリンのような酸性ムコ多糖類である。アルギン酸も
好適である。次にコラーゲン酸性溶液であるが、これは
例えば牛皮の真皮層を取り出して裁断し、無菌条件下に
おいてペプシン処理を行うことによって可溶化コラーゲ
ンを得、これを凍結乾燥させて粉砕し、ここに例えば
0.1M酢酸溶液を加えて可溶化コラーゲン酢酸溶液
(コラーゲン酸性溶液)を調整する。コラーゲン濃度は
適宜設定できる。例えば重量比でコラーゲン0.3%を
含む溶液に調整する等である。ノズルから射出して瞬時
に紡糸を形成させる都合上、酸性濃度は若干高めの方が
好ましい場合が多い。尚、コラーゲン酸性溶液を射出す
る紡糸用ノズルの先端形状は、単純円、二重円筒、その
他の適宜形状(多角形)として成形して良い。ノズル径
により、適当な太さの糸を得ることが出来る。
【0022】こうして得た生体適合糸は、内部にコラー
ゲンを内包し、表面にコラーゲンと多糖類とのコンプレ
ックス構造をもった糸となる。この糸は、通常の糸と同
じように使用が可能であり、糸そのものとして又は不織
布として、或いは織布として使用することが出来る。
【0023】このことは、コラーゲン酸性溶液に多糖類
水溶液を射出して得た生体適合糸の場合も同じである。
この場合には内部に多糖を内包し、表面に多糖とコラー
ゲンとのコンプレックスが形成されることになる。表面
のコンプレックス層は、どちらも同じであるから、各種
の錯体構造をとって生体(皮膚等)に使用することが可
能となる。
【0024】ここで、金属イオンと核酸(DNA等)の
コンプレックスについては、本出願人が平成5年8月3
日付けで出願している(発明の名称「抗腫瘍剤及び抗菌
剤」;未公開)。これは、白金化合物の抗腫瘍剤として
のシスプラチン、カルボン酸プラチナ、シリコンプラチ
ナを前提とし、これらがいずれも4価の白金を構造の中
心にもって癌細胞内のDNAと結合し、DNA合成およ
び、それに引き続く癌細胞の分裂を阻害して癌細胞を死
滅させることに着目したもので、核酸に白金、モリブデ
ン、銀、コバルトの群から選んだ少なくとも一の金属を
含有させた核酸錯体を抗腫瘍剤、抗菌剤として使用した
場合には、副作用を著しく低減できるものである。
【0025】ここでいう核酸にはDNA、RNAを含
み、いずれも動物、植物、細菌、カビなどの生物材料か
ら定法により抽出したものを使用できる。動物としては
例えば豚、馬、牛、羊、鶏、魚類などを、植物としては
例えば木材、野菜、藻類などを、細菌カビとしては例え
ば乳酸菌、枯草菌、大腸菌、ビール酵母、米麹菌などを
用いることが出来る。
【0026】核酸溶液の製造は、例えば、前記生物材料
をトリス塩酸緩衝溶液に浮遊させ、リゾチウムを加えて
30分保持した後、プロテアーゼを添加して37℃で1
時間静置する。この溶液に等量のフェノールを加えて混
和し、遠心分離して水相を採取し、採取した水相に酢酸
ナトリウムを加え、ここに2倍容量の冷エタノールを加
えて一昼夜ー20℃に保持する。遠心分離して沈澱物を
採取し、乾燥させて、DNA、RNAの混合物を得る。
このまま核酸溶液として使用することも可能であるが、
混合物をDNase、RNase処理することにより、
DNA、RNAを採取してもよい。
【0027】所定の緩衝液にDNA或いはRNAと白
金、モリブデン、銀、コバルトの群から選んだ少なくと
も一の水溶液金属塩を入れて温度、圧力をかけて反応さ
せる。使用する緩衝液の種類は、例えば、リン酸ナトリ
ウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナト
リウム、酢酸アンモニウム、トリス塩酸、トリスリン酸
などがある。緩衝液のほかに、塩酸、リン酸、硝酸、水
酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、ま
たはこれらの緩衝液に塩化ナトリウム、塩化カルシウ
ム、塩化アンモニウム、尿素などを加えて反応させるこ
とも可能である。緩衝液の濃度は、1mMから10Mの
間であれば構わない。緩衝液のpHは1から14まで可
能である。合成時における濃度、pH、添加塩類を変え
ることにより金属塩に結合する核酸の種類と分子量を任
意に調整することが出来る。このようにして得られた核
酸金属錯体は安定である。
【0028】多糖類には生理活性因子を付加することも
出来る。生理活性因子(FGFまたはNGF)を用いた
技術としては、例えば特開平4−18031号公報記載
のものが知られている。生理活性因子を使用する技術
は、容易に大量入手可能であることが前提となるが、N
GFに関しては近時マウス、ヒト、ウシなどのNGF遺
伝子がクローニングされ、高純度のNGFが容易大量に
入手可能となっており、また天然に存在するヒトFGF
は極めて微量であるが、近時、大量入手が可能となった
(ヨーロッパ特許出願公開第237,966号公報)。
【0029】これらの物質は、経口投与では薬効が確認
できていない。しかしながら、皮膚へ直接接触させた場
合には、FGFの薬効は確認され、とくにNGFとFG
Fとを併用させた場合には、その薬効が著しい。
【0030】NGFは、神経成長を促すことのできる物
質であれば良い。例えば動物体内や動物体内で産生され
る天然のNGFや遺伝子組替えで生産されるNGF、お
よびこれらの関連物質である。NGFはヒト由来に限ら
ず、ウシ、マウス由来のものであっても構わない。また
NGFとしては、ポリペプチド構成アミノ酸の一部が欠
損しているか、他のアミノ酸に置換されたムテインでも
良い。またアミノ末端にメチオニン残基を有するものと
有さないものとの混合物であってもよく、またアミノ末
端がセリン(Ser)で始まるものでも構わない。
【0031】FGFは、線維芽細胞の成長作用を呈する
ことのできる物質であれば良い。例えば天然FGFや遺
伝子組替えで生産されたFGF、およびこれらの関連物
質やムテンである。ヒト由来に限らずウシ、マウス由来
のものも使用できる。
【0032】FGFには酸性のもの(aFGF)と塩基
性のもの(bFGF)とがあるが、使用目的に応じて使
い分けを行うことが望ましい。例えば、一般の皮膚損傷
治療薬としては酸性FGF(aFGF)が入手の容易性
等からも望ましいが、いわゆる床ずれのような皮膚潰瘍
の予防治療薬としては塩基性FGF(bFGF)の方が
好ましい。尚、床ずれのような皮膚潰瘍の予防治療に使
用するFGF由来は、できるだけヒト由来のものを使用
することが望まれる(例えば米国カリフォルニア州;サ
イオス・ノバ社調整のものなど)。
【0033】FGF系ムテインは、ペプチドやタンパク
質アミノ酸配列が変異したものであるから、少なくとも
一のアミノ酸付加、少なくとも一のアミノ酸の一部欠損
および他のアミノ酸への置換など、FGF活性を失わな
い限りにおいて、いかなる構造をとっても構わない。
尚、ムテインの製造には、周知のいわゆる特定部位指向
性変異誘発技術を用いることが出来る(例えばヨーロッ
パ出願公開第281,822号公報参照)。
【0034】置換される前のアミノ酸の例としては、例
えばシステインがある。システイン以外ではアスパラギ
ン酸、アルギン酸、グリシン等も使用できる。置換され
る前のアミノ酸がシステインである場合、置換されたア
ミノ酸としては、例えば中性アミノ酸が望ましい。中性
アミノ酸としては、例えばセリン、スレオニンがある。
グリシン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロイシ
ン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプ
トファン、メチオニン等でも構わない。
【0035】置換される前の構成アミノ酸がシステイン
以外のものである場合には、置換された別のアミノ酸と
しては、例えばアミノ酸の親水性、疎水性、電荷等の点
で置換される前のアミノ酸とは異なる性質のものを選択
することが望ましい。置換前のアミノ酸がアスパラギン
酸の場合には、置換後アミノ酸としては、例えばアスパ
ラギン、アルギニンが好ましい。尚、スレオニン、バリ
ン、フェニルアラニン等でも構わない。置換前アミノ酸
がアルギニンの場合には、置換後アミノ酸として例えば
グルタミンが好ましい。但し、スレオニン、ロイシン、
フェニルアラニン、アスパラギン酸でも構わない。置換
前アミノ酸がグリシンである場合には、置換後アミノ酸
としては例えばスレオニンが好ましい。ロイシン、フェ
ニルアラニン、セリン、グルタミン酸、アルギン酸でも
良い。置換前アミノ酸がセリンである場合は、置換後ア
ミノ酸はメチオニンが好ましい。ロイシン、アスパラギ
ン酸、アラニン、グルタミン、システイン等でも良い。
置換前アミノ酸がバリンである場合、置換後アミノ酸は
セリンが好ましい。グリシン、リジン、ロイシン、プロ
リン等でも構わない。これらの置換は2以上を同時に行
っても良い。
【0036】本発明に係るコラーゲン紡糸の多糖類に、
このこれらの生理活性因子を結合させた場合には、NG
F本来の機能である知覚神経細胞や交換神経細胞の成
長、分化および機能発現を促す可能性をもたせることが
出来る一方で、FGF本来の機能である、線維芽細胞や
血管内皮細胞を含む中胚葉由来細胞に対して増殖促進作
用や血管新生作用を促す可能性をコラーゲン糸に付加す
ることが出来る。FGF、NGFは経口投与では薬効が
確認されていないが、皮膚へ直接接触させた場合にはそ
の薬効が確認されており、とくにNGFとFGFとを併
用させた場合には、その薬効が著しいことが確かめられ
ている。
【0037】本発明に係るコラーゲン糸(生体適合糸)
は、織布(または不織布)として床ずれなどの皮膚治療
布に適用可能であるほか、損傷や火傷などの創傷布材と
して使用し、糸表面に発現する生理適合機能を患部に付
与させることが出来る。また、微小ビーズ状や裁断など
の方法により、コラーゲンと多糖類とのコンプレックス
を微小形状に成形した場合には、化粧品への添加物や食
品添加物として使用することも可能である。金属イオン
や、核酸、生理活性因子を付加させた場合には、各種の
疾患(例えば癌やエイズ等)に対する徐放性薬剤として
の、いわゆるミニペレットとして使用することも可能で
ある。また、特に架橋剤を使用しなくともコラーゲンと
多糖類との架橋構造が形成されるので、コラーゲンや生
理活性因子の性質変化をまったく伴わない、純粋な機能
性をもった紡糸を得ることが可能となる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る生体適
合糸によれば、コラーゲン紡糸が本来的にもっている感
触を失うことなく、さらにその機能性を高めることが出
来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 7/00 K

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖類水溶液にコラーゲン酸性溶液を射
    出して得た生体適合糸。
  2. 【請求項2】 コラーゲン酸性溶液に多糖類水溶液を射
    出して得た生体適合糸。
  3. 【請求項3】 前記多糖類は、遷移金属と錯体をなすム
    コ多糖であることを特徴とする請求項1および請求項2
    の生体適合糸。
  4. 【請求項4】 前記多糖類は、核酸と錯体をなすムコ多
    糖であることを特徴とする請求項1および請求項2の生
    体適合糸。
  5. 【請求項5】 前記核酸には、生理活性因子を付加する
    ことを特徴とする請求項4の生体適合糸。
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