JPH08209315A - 析出強化型耐熱合金の製造方法 - Google Patents

析出強化型耐熱合金の製造方法

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JPH08209315A
JPH08209315A JP1905795A JP1905795A JPH08209315A JP H08209315 A JPH08209315 A JP H08209315A JP 1905795 A JP1905795 A JP 1905795A JP 1905795 A JP1905795 A JP 1905795A JP H08209315 A JPH08209315 A JP H08209315A
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JP
Japan
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precipitation
resistant alloy
phase
cooling rate
heat resistant
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Application number
JP1905795A
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English (en)
Inventor
Osamu Matsumoto
修 松本
Takemitsu Honjo
武光 本庄
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 析出強化型耐熱合金の製造方法を提供する。 【構成】 Ni、Cr、Feを主成分とし、析出相形成成分と
してTi、Nbと微量の不可避不純物を含む合金に、溶体
化、析出時効処理を施すことよりなる析出強化型耐熱合
金の製造において、溶体化処理後の平均冷却速度を50〜
250 ℃/hの範囲で冷却する析出強化型耐熱合金の製造方
法である。 【効果】 静的引張強度とともに、クリープ特性にも優
れている析出強化型耐熱合金が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大型、厚肉の発電用ガ
スタービンディスクなどに使用される析出強化型耐熱合
金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電用ガスタービンの構造材料として使
用されるInconel 706 合金(International Nickel Co.
の商標)には、2つのタイプの熱処理方法が推奨されて
いる。一つは、表1のAタイプとして示すような条件で
溶体化処理後、安定化処理を行ない、さらに析出強化時
効処理を行うもので、特にクリープ・ラプチャー特性が
必要な用途の材料に対して実施するものである。他の一
つは、表1のBタイプに示すように、溶体化処理後、析
出強化時効処理を行なうもので、特に高い引張強度を必
要とする用途に対して実施されるものである(INCONEL
Alloy 706, HUNTINGTON Alloys Products Division, Th
e International Nickel Copany-HUNTINGTON, WY25720
)。
【0003】
【表1】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発電効率を上げるため
に、ガスタービンの入口温度は今後さらに高温になる傾
向にあり、ディスクの強度のみならずクリープ特性につ
いても必要であるが、この両方を満足する製造方法は見
出だされていない。
【0005】前述したInconel 706 合金では、Aタイプ
の処理を行なうとクリープ特性(特にクリープ延性)が
向上するが、静的引張強度はBタイプの処理をした場合
に比べて低くなる。一方、Bタイプの処理をした材料
は、引張強度は高いもののクリープ延性が劣り、大部分
の場合、切欠き脆化を生じるという問題点がある。
【0006】本発明は、前記従来技術における問題点を
解消し、発電用ガスタービンディスクに要求される静的
引張強度とともに、クリープ特性にも優れた析出強化型
耐熱合金の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、溶体化処理後
の冷却条件をコントロールすることにより結晶粒界に微
細析出相を形成させることが効果的であることを知見
し、本発明を完成するに至った。
【0008】前記知見に基づいてなされた本発明は、N
i、Cr、Feを主成分とし、析出相形成成分としてTi、Nb
と微量の不可避不純物を含む合金に、溶体化、析出時効
処理を施すことよりなる析出強化型耐熱合金の製造にお
いて、溶体化処理後の平均冷却速度を50〜250 ℃/hの範
囲で冷却することを特徴とする析出強化型耐熱合金の製
造方法を要旨としている。
【0009】
【作用】本発明の構成と作用を説明する。析出強化型耐
熱合金においては、通常の場合、溶体化処理後に析出強
化時効処理を実施している。そして、溶体化処理後に材
料組織内に析出成分が完全に固溶されているようにする
ため、溶体化処理温度からの冷却速度はかなり大きいも
のである。
【0010】本発明においては、溶体化処理温度である
925〜1010℃からの冷却速度を、平均速度として50〜25
0 ℃/hにコントロールして冷却することによって、結晶
粒界に微細な針状のη相 (Ni3Ti)およびδ相 (Ni3Nb)を
適量析出させ、その後に続く析出時効処理で、結晶粒内
にγ’相 (Ni3AlTi)およびγ”相 (Ni3NbTi)を析出さ
せ、その結果、結晶粒界と結晶粒内 の強度を同時に増
加させ、引張強度およびクリープ特性共に優れた合金を
得ることが出来る。
【0011】本発明において、溶体化処理温度からの冷
却速度を、平均速度として50〜250℃/hにコントロール
する理由を説明する。溶体化処理は、前工程の鍛造で生
じた材料内の加工の不均一性をなくし、同時に前工程で
析出した種々の金属間化合物を再びオーステナイト組織
のマトリックス中に固溶させる処理である。
【0012】溶体化処理温度からの冷却速度が大きい場
合、溶体化温度での固溶状態が凍結され、図1(a) 、
(b) のように結晶粒内にはほとんど析出物を生じない。
ただし結晶粒界は、エネルギー的に析出の駆動力が低い
ので、わずかな析出物が生ずる。冷却速度を少し遅くし
た場合は、図2(a) 、(b) のように、結晶粒界には針状
(プレート状)のη相、δ相が析出し、冷却速度が 100
℃/hの図2(a) の場合は、結晶粒界すべてにη相、δ相
が析出して存在している。また、粒内にも点状の析出物
が見られる。
【0013】さらに冷却速度を遅くした場合(冷却速
度:20 ℃/h)は、図3(a) 、(b) にみられるように結晶
粒界のη相、δ相は成長し、粗大化すると共に結晶粒内
にも粗大化したη相、δ相の析出物が存在する。この場
合、溶体化処理後の析出強化時効処理では、強化に寄与
するγ’、γ”相の析出は少なくなり、低強度となる。
【0014】前記の図1、2、3に示した組織は×1000
0 倍レベルでは析出強化時効処理後も変化しない。しか
し結晶粒内にはγ’相(Ni3AlTi) やγ”相 (Ni3NbTi)等
の準安定金属間化合物が微細(数〜数10nm)に析出し、
全体として強化されている。析出強化時効処理後の組織
を図4、5、6に示す。なお、図4は図1(b) の、図5
は図2(b) の、図6は図4(b) の析出強化時効処理後の
組織である。
【0015】冷却速度が非常に大きい場合は、結晶粒界
析出がないことと、結晶粒内にγ’、γ”相が多数析出
するため、応力が加わったとき、結晶粒が変形せずに結
晶粒界が破壊の起点となり、巨視的には延性が低くな
り、クリープ強度も弱い。逆に冷却速度が小さい場合
は、析出強化元素のNb、Tiがη相、δ相の成長に費やさ
れ、材料の強度そのものが弱くなる。
【0016】これらの中間の冷却速度50〜250 ℃/hであ
れば、結晶粒界にはη相、δ相が適度に存在し、結晶粒
内はγ’相、γ”相のみという理想的な組織となること
によって、引張強度およびクリープ特性共に優れた合金
を得ることができる。したがって、本発明における溶体
化処理温度からの冷却速度は50〜250 ℃/hの範囲に限定
した。
【0017】なお、結晶粒界に析出させるη相 (Ni3Ti)
およびδ相 (Ni3Nb)の適量は明確化することは困難であ
るが、図2からも分かるように、粒界の 2/3以上程度を
η相、δ相が占め、かつ個々の大きさが 1μm 以下程度
の組織がよいのではないかと考えられる。
【0018】
【実施例】本発明の実施例を説明するが、これにより本
発明は何ら限定されない。 実施例 次の合金成分(mass%)をもったInconel 706 合金をエ
レクトロスラグ溶解により溶製した。合金成分は、C:0.
010 %、 Si:0.10%、 Mn:0.07%、 P:0.006%、 S:0.0
01%、 Ni:41.2%、 Cr:15.8%、 Ti:1.67%、Nb+Ta:2.
82%、B:0.0034%、Fe残部で、この成分の鋳塊をプレス
鍛造によりパンケーキ状に成形し、熱処理テストピース
を採取して表2の条件で熱処理を行なった。溶体化処理
は 990℃で 5時間保持後、20〜1000℃/hの冷却速度で常
温まで冷却した。比較例2は 840℃で 4時間保持し、そ
の後空冷の安定化処理を行った。
【0019】
【表2】
【0020】熱処理したテストピースに対してクリープ
試験を行なった結果を図7、図8に示す。図7は本発明
法と比較例1の結果を、図8は比較例2の結果を示す。
本発明方法で得られたテストピースは比較例のものより
長い破断時間を有している。また、比較例1の冷却速度
が大きい場合は、短時間でノッチラプチャーを起こして
いる。
【0021】図9、図10に、650℃における引張試験
結果を示す。図9は本発明法と比較例1の結果を、図10
は比較例2の結果を示す。本発明方法で得られたテスト
ピースは安定化処理を行った比較例2のものに比べて、
強度延性ともに優れていることが明らかである。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるから、静的引張強度とともに、クリープ特性にも優
れた、発電用ガスタービンディスクなどの製造に適する
析出強化型耐熱合金が得られ、産業上極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶体化処理温度からの冷却速度が大きい場合
の金属顕微鏡写真による組織図である。
【図2】 溶体化処理温度からの冷却速度がやや遅い場
合の金属顕微鏡写真による組織図である。
【図3】 溶体化処理温度からの冷却速度がさらに遅い
場合の金属顕微鏡写真による組織図である。
【図4】 溶体化処理温度からの冷却速度が大きく、そ
の後時効処理した場合の金属顕微鏡写真による組織図で
ある。
【図5】 溶体化処理温度からの冷却速度がやや遅く、
その後時効処理した場合の金属顕微鏡写真による組織図
である。
【図6】 溶体化処理温度からの冷却速度がさらに遅
く、その後時効処理した場合の金属顕微鏡写真による組
織図である。
【図7】 テストピースのクリープ試験結果を示す説明
図である。
【図8】 比較例2のテストピースのクリープ試験結果
を示す説明図である。
【図9】 テストピースの引張試験結果を示す説明図で
ある。
【図10】 比較例2のテストピースの引張試験結果を示
す説明図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni、Cr、Feを主成分とし、析出相形成成
    分としてTi、Nbと微量の不可避不純物を含む合金に、溶
    体化、析出時効処理を施すことよりなる析出強化型耐熱
    合金の製造において、溶体化処理後の平均冷却速度を50
    〜250 ℃/hの範囲で冷却することを特徴とする析出強化
    型耐熱合金の製造方法。
JP1905795A 1995-02-07 1995-02-07 析出強化型耐熱合金の製造方法 Pending JPH08209315A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2768156A1 (fr) * 1997-09-05 1999-03-12 Korea Atomic Energy Res Procede de recuit d'un alliage a base de nickel pour l'amelioration de la resistance a la corrosion
CN114085966A (zh) * 2021-11-19 2022-02-25 华能国际电力股份有限公司 一种析出强化型高温合金的欠时效热处理工艺

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FR2768156A1 (fr) * 1997-09-05 1999-03-12 Korea Atomic Energy Res Procede de recuit d'un alliage a base de nickel pour l'amelioration de la resistance a la corrosion
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CN114085966B (zh) * 2021-11-19 2023-03-10 华能国际电力股份有限公司 一种析出强化型高温合金的欠时效热处理工艺

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