JPH08209308A - 電磁誘導加熱用ステンレス鋼薄板 - Google Patents

電磁誘導加熱用ステンレス鋼薄板

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JPH08209308A
JPH08209308A JP7019597A JP1959795A JPH08209308A JP H08209308 A JPH08209308 A JP H08209308A JP 7019597 A JP7019597 A JP 7019597A JP 1959795 A JP1959795 A JP 1959795A JP H08209308 A JPH08209308 A JP H08209308A
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electromagnetic induction
induction heating
inner pot
less
stainless steel
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富美夫 札軒
Masaaki Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、スクラップ処理が容易な単一材料
において、電磁誘導加熱特性が良好で、かつフッ素樹脂
との密着性に優れた電磁誘導加熱用の内鍋材料を提供す
る。 【構成】 材料成分が、重量%にて、Cr:10〜35
%、Al:2.5〜10.0%を含有し、不純物とし
て、C:0.05%以下、N:0.05%以下、Mn:
2.0%以下、S:0.01%以下で、残部実質的にF
eよりなり、かつその薄板状態における電気比抵抗が1
10〜200μΩ・cm、表面粗さがRaで0.02〜
3.0μm であり、表面層におけるAlの酸化皮膜厚み
が80〜850Åである電磁誘導加熱用ステンレス鋼薄
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁誘導加熱方式の炊
飯器に使用される内鍋用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁誘導加熱方式炊飯器の内鍋用材料
は、純AlとSUS430またはSUS304のクラッ
ド材が使用されている。該炊飯器では、内鍋の下に磁力
発生コイルがあり、このコイルからの磁力線により内鍋
内部に誘導電流が生じる。内鍋の外側材のSUS430
またはSUS304は、電気比抵抗が純Alに比べて大
きいために誘導電流によりジュール発熱を起こし、発生
した熱が熱伝導性の良好な内鍋内側材のAlを通って伝
わり、内鍋の中に水と一緒に入れた米を炊き上げる。炊
き上がった米が内鍋に焼き付かないように、内鍋の内面
にフッ素樹脂をコーティングする必要があり、同樹脂と
の密着性の点から内鍋内側材にAlが使用されている。
【0003】しかしながら、内鍋に使用している純Al
とSUS430またはSUS304のクラッド材は、そ
れぞれの単一材料に比べて製造コストが極めて高く、ま
たクラッド材のリサイクルシステムが社会的に充分整備
されていないので、廃棄後のスクラップの処理に大きな
問題がある。また、SUS430またはSUS304で
は、電気比抵抗が十分でなく、大容量の磁力発生コイル
が必要であり、該コイルを設置するためのスペースに制
約がある場合には補助加熱として電熱線を併設しなけれ
ばならない。
【0004】従って、スクラップ処理が容易な単一材料
において、電磁誘導加熱特性が良好かつ高効率で、更に
フッ素樹脂との密着性に優れた電磁誘導加熱用の内鍋材
料が強く要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スクラップ
処理が容易な単一材料において、電磁誘導加熱特性が良
好で、かつフッ素樹脂との密着性に優れた電磁誘導加熱
用の内鍋材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためのものであって、その要旨とするところは下
記のとおりである。 (1)重量%にて、Cr:10〜35%、Al:2.5
〜10.0%を含有し、不純物として、C:0.05%
以下、N:0.05%以下、Mn:2.0%以下、S:
0.01%以下で、残部が実質的にFeよりなる合金組
成で、かつその薄板状態における電気比抵抗が110〜
200μΩ・cm、表面粗さがRaで0.02〜3.0
μmであり、表面層におけるAlの酸化皮膜厚みが80
〜850Åであることを特徴とする電磁誘導加熱用ステ
ンレス鋼薄板。
【0007】(2)さらにTi、Nb、Zr、V、W、
Ta、Hf、B、REMの1種以上を合計で1.0%以
下含有することを特徴とする前項1記載の電磁誘導加熱
用ステンレス鋼薄板。 (3)Ni、Mo、Cu、Coの1種以上を合計で10
%以下含有することを特徴とする前項1または2記載の
電磁誘導加熱用ステンレス鋼薄板。
【0008】
【作用】以下、本発明の限定理由について詳細に説明す
る。まず、本発明合金の各元素の限定理由について述べ
る。Crは、ステンレス鋼の必須元素であり、10%未
満では耐食性、耐酸化性が劣化する。また、Crが35
%を超えると、鋼が脆くなり、内鍋に加工できなくな
る。従って、Crは10〜35%に限定した。望ましい
範囲は、14〜23%である。
【0009】Alは、本発明にあっては電熱性を確保す
る基本元素であり、2.5%未満では所望の電気比抵抗
が得られない。一方、10.0%を超えて含まれると、
熱延板の靱性が極度に低下し製造性が損なわれる。従っ
て、Alは2.5〜10.0%に限定した。望ましい範
囲は4.0〜6.0%である。C,Nは、それぞれが
0.05%を超えて存在する場合、熱延板の靱性を著し
く低下させる。従って、C,Nはそれぞれ0.05%以
下に限定した。望ましい範囲は、C+Nの総量が0.0
6%以下である。
【0010】Mnは、本発明にあっては少量であれば脱
酸剤として作用するが、多量に含有すると特に極初期の
酸化皮膜中に濃化し、以後のAlの酸化皮膜の形成に害
を及ぼし皮膜に構造的欠陥を残存させる一因となるの
で、2.0%以下に限定した。望ましい範囲は、0.7
〜2.0%である。Sは、耐酸化性を低下させるために
本発明にあっては0.01%以下とした。
【0011】Ti、Nb、Zr、V、W、Ta、Hf、
Bはそれぞれが窒化物あるいは炭化物を形成して固溶
C,Nを減少させるとともに熱間圧延中の圧下により導
入される転位上に析出して組織を微細化させ、熱延板の
靱性を一層向上させるために必要に応じて添加する。ま
た、REMは希土類元素を示し、Y、La、Ce、P
r、Nd等があり、耐酸化性を顕著に向上させるために
必要に応じて添加する。これらの元素について、1種以
上の合計で1.0%を超えて含有すると、冷間あるいは
熱間での加工性を著しく劣化させる。従って、Ti、N
b、Zr、V、W、Ta、Hf、B、REMの1種以上
を合計で1.0%以下とした。
【0012】Ni、Mo、Cu、Coは、耐食性を顕著
に向上させるために必要に応じて添加する。これらの元
素について、1種以上の合計で10%を超えて含有する
と、冷間あるいは熱間での加工性を著しく劣化させる。
従って、Ni、Mo、Cu、Coの1種以上を合計で1
0%以下とした。本発明者等は、電磁誘導加熱方式炊飯
器において米の炊き具合と内鍋材料の電気比抵抗の関係
を種々検討した結果、米をムラなく均一に炊き上げるた
めの条件として内鍋材料の電気比抵抗が110〜200
μΩ・cmであることを見出した。
【0013】消費電力1300Wの電磁誘導加熱方式炊
飯器を用いて、板厚が1mmの内鍋材料に6合の米を入
れて30分間で炊き上げた結果を図1に示す。電気比抵
抗が110μΩ・cm未満では内鍋の位置により米の炊
き上がりにムラがあり、200μΩ・cmを超えると炊
き上がった米粒において表層が柔らかく中心が硬いとい
う所謂芯がある状態になりやすい。従って、内鍋材料の
電気比抵抗を110〜200μΩ・cmとした。望まし
い範囲は、120〜160μΩ・cmである。
【0014】本発明者等は、フッ素樹脂との密着性と内
鍋材料の表面特性の関係を種々検討した結果、フッ素樹
脂との密着性を確保するための条件として内鍋材料の表
面粗さがRaで0.02〜3.0μmで、かつ表面層に
おけるAlの酸化皮膜厚みが80〜850Åであること
を見出した。フッ素樹脂との密着性と材料の表面粗さお
よびAlの酸化皮膜厚さとの関係を調査した結果を図2
に示す。材料の表面粗さがRaで0.02μm未満では
密着性確保に効果がなく、3.0μmを超えると密着性
劣化が発生するようになる。また、Alの酸化皮膜厚み
が80Å未満では密着性確保に効果がなく、850Åを
超えると密着性劣化が発生するようになる。従って、内
鍋材料の表面粗さをRaで0.02〜3.0μmで、か
つ表層におけるAlの酸化皮膜厚みを80〜850Åと
した。望ましい範囲は、表面粗さが0.20〜2.0μ
mで、かつAlの酸化皮膜厚みを100〜300Åであ
る。
【0015】上記理由について詳細は不明であるが、A
l原子は最外殻電子数が3個のため電子を受取り4個に
して電子状態の安定化を図る性質を有しているのに対し
て、F原子は最外殻電子数が7個のため電子を供与し6
個にして電子状態の安定化を図る性質を有している。そ
のため、酸化皮膜中のAl原子とフッ素樹脂中のF原子
との間に電子親和力が作用し、Al酸化皮膜のある表面
上にフッ素樹脂をコーティングすると密着性が向上する
と推定される。
【0016】表面のAl酸化皮膜の厚さを制御するに
は、仕上焼鈍での焼鈍雰囲気および焼鈍条件で行うこと
ができる。焼鈍雰囲気は、N2 ガスとH2 ガスの混合ガ
スが望ましく、N2 ガスが90体積%を超えると、酸化
性が強くなり500Åを超え、N2 ガスが10体積%未
満では還元性が強くなり25Å未満となる。また、焼鈍
温度は、1150℃を超えると500Åを超え、800
℃未満では25Å未満となるので、800〜1150℃
が望ましい。
【0017】表面粗さは、仕上焼鈍後の調質圧延におい
てロール粗度により制御することが望ましい。
【0018】
【実施例】表1、表2(表1のつづき)に本発明例およ
び比較例の薄鋼板の化学成分組成を示す。転炉−VOD
法あるいは電気炉−AOD法により溶製し、表3、表4
(表3のつづき)に示される条件に従って板厚1〜2m
mに製造した。米の炊き上がりの評価は、消費電力13
00Wの電磁誘導加熱方式炊飯器を用いて、内鍋材料に
6合の米を入れて30分間で炊き上げて行った。Aは、
均一に炊き上がりムラがなく、また炊き上がった米粒の
表層・中心も柔らかい状態にある。Bは、ほぼ均一に炊
き上がりムラもほとんどなく、また炊き上がった米粒の
表層・中心も柔らかい状態にある。Cは、炊き上がりに
若干ムラがあり、また炊き上がった米粒の中心がやや硬
い状態にある。Dは、炊き上がりのムラが顕著で、炊き
上がった米粒の中心が硬く芯がある状態にある。また、
フッ素樹脂との密着性の評価は、フッ素樹脂を20cm
角にコーティングした後2cm角の碁盤目状に罫線を入
れた材料を用いて、200℃×12時間(相対湿度30
%で6時間、相対湿度80%で6時間)、50℃×6時
間(相対湿度30%で6時間)を1サイクルとする乾湿
加熱試験を実施し、剥離状況を調査した。◎は全く剥離
がない場合、○は剥離が3箇所以内の場合、△は剥離が
4〜10箇所以内の場合、×が剥離が11箇所以上の場
合である。
【0019】本発明により製造した内鍋材料は、米をム
ラなく均一に炊き上げ、かつ炊き上がった米が内鍋に焼
き付かないためのフッ素樹脂との密着性が良いことがわ
かる。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【発明の効果】以上のことから明らかな如く、本発明に
よれば、スクラップ処理が容易な単一材料において、電
磁誘導加熱特性が良好で、かつフッ素樹脂との密着性に
優れた電磁誘導加熱用の内鍋材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】消費電力1300Wの電磁誘導加熱方式炊飯器
を用いて、板厚が1mmの内鍋材料に6合の米を入れて
30分間で炊き上げた結果、米の炊き具合と内鍋材料の
電気比抵抗の関係を示す図である。
【図2】フッ素樹脂を20cm角にコーティングした後
2cm角の碁盤目状に罫線を入れた材料を用いて、20
0℃×12時間(相対湿度30%で6時間、相対湿度8
0%で6時間)、50℃×6時間(相対湿度30%で6
時間)を1サイクルとする乾湿加熱試験を実施した結
果、フッ素樹脂との密着性と材料の表面粗さおよびAl
の酸化皮膜厚さとの関係を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、Cr:10〜35%、A
    l:2.5〜10.0%を含有し、不純物として、C:
    0.05%以下、N:0.05%以下、Mn:2.0%
    以下、S:0.01%以下で、残部が実質的にFeより
    なる合金組成で、かつその薄板状態における電気比抵抗
    が110〜200μΩ・cm、表面粗さがRaで0.0
    2〜3.0μmであり、表面層におけるAlの酸化皮膜
    厚みが80〜850Åであることを特徴とする電磁誘導
    加熱用ステンレス鋼薄板。
  2. 【請求項2】 さらに、Ti、Nb、Zr、V、W、T
    a、Hf、B、REMの1種以上を合計で1.0%以下
    含有することを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱
    用ステンレス鋼薄板。
  3. 【請求項3】 Ni、Mo、Cu、Coの1種以上を合
    計で10%以下含有することを特徴とする請求項1また
    は2記載の電磁誘導加熱用ステンレス鋼薄板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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