JPH08207813A - 車輌の操舵制御装置 - Google Patents

車輌の操舵制御装置

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JPH08207813A
JPH08207813A JP2078095A JP2078095A JPH08207813A JP H08207813 A JPH08207813 A JP H08207813A JP 2078095 A JP2078095 A JP 2078095A JP 2078095 A JP2078095 A JP 2078095A JP H08207813 A JPH08207813 A JP H08207813A
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JP
Japan
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steering
steering angle
value
target
control means
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Application number
JP2078095A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakajima
島 洋 中
Hideaki Adachi
立 英 明 足
Katsuhiko Sato
藤 克 彦 佐
Hideki Kuzutani
谷 秀 樹 葛
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 操舵制御系の配線の量を減らす。電力系の配
線での電力損失を低減する。センサと制御ユニットとの
配線部分での外部からの電気ノイズの影響を受けにくく
する。装置の信頼性を高める。 【構成】 センサと接続される制御ユニット9とサ−ボ
ユニットSVUにそれぞれ独立したコンピュ−タ1,8
を設置し、両者の間を通信線で接続する。制御ユニット
9からサ−ボユニットSVUに送る情報を、目標舵角T
1の変化分ΔTとし、ΔT=T1−Tθにより求める。
ΔTの累算値をTθとする。サ−ボユニットSVUは、
ΔTを累算して目標舵角T1を再生する。伝送情報ΔT
の分解能をT1に比べて落とす場合でも、累積誤差が発
生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に利用しうる操
舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より自動車においては、前輪の操舵
量に連動して、後輪を電気モ−タなどのアクチュエ−タ
で操舵することが実施されている。
【0003】この種の操舵制御装置は、例えば前輪舵角
センサ,車速センサ,後輪舵角センサ,モ−タ速度セン
サ等々で構成される各種センサ群と、電気モ−タと歯車
などで構成されるアクチュエ−タと、マイクロコンピュ
−タとドライバを含み電気モ−タの付勢を制御する電子
制御ユニットとで構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、後輪操舵制
御装置の場合、アクチュエ−タの電気モ−タに比較的大
きな電流を流す必要があるので、電子制御ユニットとア
クチュエ−タとを接続するために太い電線を使用した
り、電線の長さを短くしないと電力の損失が大きくな
る。従って、電子制御ユニットをアクチュエ−タの近傍
に設置することが望まれる。
【0005】しかしながら、電子制御ユニットは、例え
ばヨ−レ−トセンサ,前輪舵角センサ,車輪速センサ,
T/M(変速機)車速センサなど、後輪から離れた位置
に配置される多数のセンサと接続する必要があるため、
電子制御ユニットを後輪の近くに配置すると、多数のセ
ンサと電子制御ユニットとを接続する配線を、それぞれ
長い距離に渡って引きまわさなければならず、配線の量
が増えるし、センサか電子制御ユニットに入力される各
種の信号が電気ノイズの影響を受け易くなるため不具合
いが生じる。
【0006】このような不具合を回避するためには、独
立した電子制御ユニットを2つ設け、一方の電子制御ユ
ニットを各種センサの近傍に配置し、他方の電子制御ユ
ニットをアクチュエ−タの近傍に配置するように構成す
るのが望ましい。
【0007】ところで、2つの電子制御ユニットを設置
する場合には、お互いの電子制御ユニットの間で、目標
舵角などの情報を伝送する必要がある。しかも、目標舵
角などの情報は、短い周期で変化する可能性があるの
で、情報の伝送は頻繁に実施しなければならず、また制
御の応答性を高めるためには情報の伝送速度を高める必
要がある。
【0008】しかしながら、情報の伝送速度を高める
と、2つの電子制御ユニットの間を通る信号の周波数が
上がる。そして、周波数の高い信号を伝送すると、その
信号が高周波ノイズを発するので様々な問題が生じる。
また、信号周波数を下げるために並列デ−タ伝送を実施
すると、2つの電子制御ユニットの間を接続する配線の
数が増えるので望ましくない。
【0009】また、例えば目標舵角の情報を伝送する際
にエラ−が生じると、互いに分離された2つの電子制御
ユニットの間で目標舵角が一致しなくなるので、異常な
操舵制御が実施される可能性がある。
【0010】本発明は、操舵制御装置における上述のよ
うな不具合を解消し、信頼性の高い操舵制御装置を提供
することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の車輌の操舵制御装置は、車輌の状態に関す
る情報を検出するセンサ手段(17,20,22,2
3,24):第1のデジタルプロセッサ(1)を含み、
前記センサ手段と接続され、センサ手段が検出した情報
に基づいて、所定周期毎に繰り返し目標舵角(T1)を
計算する舵角計算手段(S15),計算された目標舵角
の所定期間内の変化量の累算値を計算する第1の累算値
計算手段(S19),最新の目標舵角と、前記第1の累
算値計算手段が1周期前までの目標舵角に基づいて求め
た前記累算値(Tθ)との差分(ΔT)を操舵量指示値
として送信する指示値送信手段(S1C)、を備える第
1の制御手段(9):舵角を調整する駆動手段(1
2);及び前記第1のデジタルプロセッサとは別の独立
した第2のデジタルプロセッサ(8)を含み、前記第1
の制御手段が出力する前記操舵量指示値の情報を所定周
期毎に入力し累算して操舵目標値を生成する第2の累算
値計算手段(S2A),該手段が生成した操舵目標値
(Tθ2)と制御対象操舵系の状態量(RAGL)とに
基づいて前記駆動手段の付勢量を調整する付勢制御手段
(S2C)、を備える第2の制御手段(SVU);を備
える。
【0012】また請求項2においては、前記第2の制御
手段は、前記第1の制御手段が信号を送信する周期を監
視し、該周期が予め定めた範囲を外れると、第1の制御
手段の異常を検出する第1の通信異常検出手段(S2
8)を含む。
【0013】また請求項3においては、前記第2の制御
手段は、前記第1の制御手段が信号を送信する周期が予
め定めた範囲を外れると、前記駆動手段に制動をかける
制動制御手段(S2H)を含む。
【0014】また請求項4では、前記センサ手段は、少
なくとも車輌の前側車輪の実操舵角を検出する前輪舵角
検出手段(17,20)を含む。
【0015】なお上記括弧内に示した記号は、後述する
実施例中の対応する要素の符号を参考までに示したもの
であるが、本発明の各構成要素は実施例中の具体的な要
素のみに限定されるものではない。
【0016】
【作用】本発明においては、センサ手段(17,20,
22,23,24)が第1の制御手段(9)の入力に接
続されており、駆動手段(12)が第2の制御手段(S
VU)の出力に接続されている。また、第1の制御手段
は第1のデジタルプロセッサ(1)を含み、第2の制御
手段は、第1のデジタルプロセッサとは別の独立した第
2のデジタルプロセッサ(8)を含んでいる。第1のデ
ジタルプロセッサ及び第2のデジタルプロセッサは、各
々、マイクロコンピュ−タのような汎用制御手段に特定
のプログラムを組込んだものでもよいし、特定の処理機
能を実行する専用のハ−ドウェア回路であってもよい。
【0017】そして、第1の制御手段に含まれる舵角計
算手段(S15)は、前記センサ手段が検出した情報に
基づいて、所定周期(例えば5msec )毎に繰り返し目
標舵角(T1)を計算する。また、第1の制御手段に含
まれる第1の累算値計算手段(S19)は、計算された
目標舵角の所定期間内の変化量の累算値を計算する。更
に、第1の制御手段に含まれる指示値送信手段(S1
A,S1C)は、最新の目標舵角と、前記第1の累算値
計算手段が1周期前までの目標舵角に基づいて求めた前
記累算値との差分を操舵量指示値(ΔT又はΔT2)と
して送信する。つまり、第1の制御手段が出力する操舵
量指示値(ΔT又はΔT2)は、実質的に目標舵角(T
1)を計算する1周期の間の目標舵角の変化分に相当す
る。
【0018】一方、第2の制御手段(SVU)に含まれ
る第2の累算値計算手段(S2A)は、第1の制御手段
が出力する前記操舵量指示値の情報を所定周期毎に入力
し累算して操舵目標値(Tθ2)を生成する。また、第
2の制御手段に含まれる付勢制御手段(S2C)は、第
2の累算値計算手段が生成した操舵目標値と制御対象操
舵系の状態量(RAGL)とに基づいて前記駆動手段の
付勢量を調整する。即ち、第2の制御手段(SVU)に
おいては、目標舵角の変化分に相当する操舵量指示値
(ΔT又はΔT2)に基づいて、第1の制御手段が生成
した目標舵角(T1)と同等の操舵目標値(Tθ2)を
生成し、それに基づいて舵角を調整する。これによれ
ば、第1の制御手段と第2の制御手段は、互いに独立し
た制御ユニットであり、これらは別々の位置に配置する
ことができる。即ち、センサ手段と接続される第1の制
御手段は、センサ手段が設置されている場所に近い位置
(例えば車室前部)に設置し、駆動手段と接続される第
2の制御手段は、駆動手段に近い位置(例えば後輪操舵
機構と同一のハウジング内)に設置することが可能であ
る。第1の制御手段をセンサ手段の近傍に配置すること
により、第1の制御手段とセンサ手段との接続が容易に
なり、またその接続部分で電気ノイズの影響を受けにく
くなる。また、第2の制御手段を駆動手段の近傍に配置
することにより、第2の制御手段と駆動手段との接続が
容易になり、それらの接続部分での電力損失が低減され
る。
【0019】また、第1の制御手段と第2の制御手段と
の間の配線においては、基本的には前者から後者に向か
って目標舵角の情報を送るだけで良いので、それらの接
続は極めて容易である。また、その部分の配線長が長い
場合でも、配線部分のインピ−ダンスを下げることによ
り、電気ノイズの影響を受けにくくすることができる
し、大電流を流す必要がないので、電力損失の増大の問
題も生じない。
【0020】更に本発明によれば、第1の制御手段から
第2の制御手段に送る情報が、実質的に目標舵角の所定
時間あたりの変化量であるため、送信すべき信号の単位
時間あたりの情報量が低減される。その結果、例えば信
号の周波数を下げることが可能になる。周波数の高い信
号を伝送すると、その信号が高周波ノイズを発するので
様々な問題が生じるが、信号の周波数を下げることによ
り、高周波ノイズを大幅に低減しうる。また、信号を並
列デ−タで送る場合には、送るべき情報量が減ると、並
列に送る信号のビット数を減らして、配線の数を減らす
ことが可能である。
【0021】ところで、第1の制御手段が所定周期毎に
目標舵角情報を生成する場合に、最新の目標舵角情報T
1(n)と1周期前に求められた目標舵角情報T1(n-1)と
の差分dT1を、第1の制御手段から第2の制御手段に
送る場合であっても、基本的には、第2の制御手段にお
いて、受信した差分情報を累算することによって、第1
の制御手段が生成した目標舵角情報を再生することがで
きる。しかしながら、次に説明するような状況では、d
T1を伝送すると第1の制御手段と第2の制御手段の目
標舵角に違い(累積誤差)が生じる可能性がある。
【0022】第1の制御手段においては、生成する目標
舵角情報を様々な制御や計算に利用する可能性があるた
め、精度の高い、即ちビット数の多い目標舵角情報T1
を生成する。ところが、第1の制御手段から第2の制御
手段に送る情報dT1については、通信速度及び通信所
要時間の制約により、ビット数を減らし、目標舵角情報
T1よりも精度を下げる必要が生じる。例えば、次のよ
うな場合が生じる。
【0023】目標舵角情報T1の分解能:0.001, 通信情報dT1の分解能 :0.005, n,t,(n-6)〜(n-0):計算周期毎のタイミング, Tθ2(t)←Tθ2(t-1)+dT1(t)の場合、 T1(n-6):0.000 T1(n-5):0.001 T1(n-4):0.002 T1(n-3):0.003 T1(n-2):0.004 T1(n-1):0.005 T1(n-0):0.006 T1(n-5)−T1(n-6):0.001 → dT1(n-
5):0.000 T1(n-4)−T1(n-5):0.001 → dT1(n-
4):0.000 T1(n-3)−T1(n-4):0.001 → dT1(n-
3):0.000 T1(n-2)−T1(n-3):0.001 → dT1(n-
2):0.000 T1(n-1)−T1(n-2):0.001 → dT1(n-
1):0.000 T1(n-0)−T1(n-1):0.001 → dT1(n-
0):0.000 Tθ2(n-5):0.000 Tθ2(n-4):0.000 Tθ2(n-3):0.000 Tθ2(n-2):0.000 Tθ2(n-1):0.000 Tθ2(n-0):0.000 従って、送信側の目標舵角情報T1(t)と受信側の目標
舵角情報Tθ2(t)との間に違いが生じ、しかもこの違
いは累積誤差となる。
【0024】しかしながら、本発明においては、第1の
制御手段に含まれる第1の累算値計算手段(S19)
が、目標舵角の所定期間内の変化量の累算値(Tθ)を
計算し、指示値送信手段(S1A,S1C)は、最新の
目標舵角と、第1の累算値計算手段が1周期前までの目
標舵角に基づいて求めた累算値(Tθ)との差分を操舵
量指示値(ΔT又はΔT2)として送信するので、次に
示す例のように、累積誤差は生じない。
【0025】目標舵角情報T1の分解能:0.001, 通信情報ΔTの分解能 :0.005, 送信側累算値Tθの分解能:0.005, n,t,(n-6)〜(n-0):計算周期毎のタイミング, Tθ2(t)←Tθ2(t-1)+ΔT(t)の場合、 T1(n-6):0.000 → Tθ(n-6):0.000 T1(n-5):0.001 → Tθ(n-5):0.000 T1(n-4):0.002 → Tθ(n-4):0.000 T1(n-3):0.003 → Tθ(n-3):0.000 T1(n-2):0.004 → Tθ(n-2):0.000 T1(n-1):0.005 → Tθ(n-1):0.005 T1(n-0):0.006 → Tθ(n-0):0.005 T1(n-5)−Tθ(n-6):0.001 → ΔT(n-5):
0.000 T1(n-4)−Tθ(n-5):0.002 → ΔT(n-4):
0.000 T1(n-3)−Tθ(n-4):0.003 → ΔT(n-3):
0.000 T1(n-2)−Tθ(n-3):0.004 → ΔT(n-2):
0.000 T1(n-1)−Tθ(n-2):0.005 → ΔT(n-1):
0.005 T1(n-0)−Tθ(n-1):0.001 → ΔT(n-0):
0.000 Tθ2(n-5):0.000 Tθ2(n-4):0.000 Tθ2(n-3):0.000 Tθ2(n-2):0.000 Tθ2(n-1):0.005 Tθ2(n-0):0.005 この場合にも、伝送情報の分解能が低いので、送信側の
目標舵角情報T1(t)と受信側の目標舵角情報Tθ2(t)
に違いが生じるが、この違いは累積誤差ではないため、
両者の差が増大することはない。
【0026】また、請求項2の発明では、前記第2の制
御手段(SVC)の第1の通信異常検出手段(S28)
は、第1の制御手段が信号を送信する周期を監視し、該
周期が予め定めた範囲を外れると、第1の制御手段の異
常とみなす。第1の制御手段が信号を送信する周期は、
通常はほぼ一定であるので、その周期に大きな変化が生
じた時には、第1の制御手段が異常であると判断しう
る。これによって、第2の制御手段は第1の制御手段の
異常を検出しうる。
【0027】また、請求項3の発明では、第1の制御手
段の異常を検出した場合に、第2の制御手段が駆動手段
に制動をかけるので、補助操舵に関する誤動作の発生を
防止して、装置の信頼性を高めることができる。
【0028】
【実施例】本発明を実施する一形式の自動車の操舵系の
構成を図1に示す。図1において、13が左前輪、14
が右前輪、15が左後輪、16が右後輪をそれぞれ示し
ている。ステアリングホイ−ル19の操舵軸は、前輪操
舵機構10と連結されている。前輪操舵機構10には、
ラック&ピニオン機構が内蔵されており、ステアリング
ホイ−ル19の回動に連動してピニオンが回動すると、
それと噛み合うラックが形成されたラック軸10aが軸
方向(左右方向)に移動し、ラック軸10aが動くと、
それに連結された前輪13及び14の舵角が変わる。
【0029】この実施例では、前輪の舵角を検出するた
めに、2種類の舵角検出器17及び20が設置してあ
る。舵角検出器17は、ラック軸10aの軸方向の位置
を検出するポテンショメ−タであり、舵角検出器20
は、ステアリングホイ−ル19の操舵軸の回転に伴なっ
てパルスを発生するロ−タリ−エンコ−ダである。舵角
検出器17及び20が出力する信号は、各々、車室内に
設置された電子制御ユニット(ECU)9に入力され
る。
【0030】また、車速を検出するために、2種類の車
速検出器22及び23が設置してある。車速検出器22
は実際の車輪の回転速度に基づいて車速を検出し、車速
検出器23は、変速機の出力軸の回転速度に基づいて車
速を検出する。また、車体のヨ−レ−トを検出するため
に、ヨ−レ−ト検出器24が設置されている。車速検出
器22,23及びヨ−レ−ト検出器24が出力する信号
は、各々、電子制御ユニット9に入力される。
【0031】またこの実施例では、エンジンが回転して
いるか否かを識別するために、レギュレ−タREGの出
力(L端子)を、電子制御ユニット9およびサ−ボユニ
ットSVUに接続してある。レギュレ−タREGは、エ
ンジンの出力に連結された車載発電機の出力電圧を安定
化する装置である。
【0032】後輪15及び16は、ラック軸25に連結
されており、ラック軸25の軸方向(左右方向)の移動
に伴なって後輪15及び16の舵角が変わる。ラック軸
25は後輪操舵機構11に連結されている。後輪操舵機
構11は、駆動用の電気モ−タ(ブラシレスモ−タ)1
2,該電気モ−タ12の回転位置を検出する磁極センサ
18,サ−ボユニットSVU,及び図示しない減速機を
内蔵している。サ−ボユニットSVUは、電子制御ユニ
ット9から入力される目標舵角情報に基づいて、電気モ
−タ12を駆動する。電気モ−タ12を駆動すると、減
速機を介してそれに連結されたラック軸25が移動し、
後輪の舵角が変わる。ラック軸25には、後輪の舵角を
検出するために、舵角検出器21が設置されている。こ
の舵角検出器21はポテンショメ−タである。舵角検出
器21が出力する信号は、サ−ボユニットSVUに入力
される。
【0033】イグニッションスイッチIGを介してバッ
テリ−2と接続された第1の電源ラインDIGは、電子
制御ユニット9とサ−ボユニットSVUに接続されてい
る。この第1の電源ラインDIGは、流れる電流が比較
的小さいため、0.3mm(又は0.5mm)の径の電
線を使用して配線してある。一方、リレ−3を介してバ
ッテリ−2と接続された第2の電源ラインPIGが、サ
−ボユニットSVUに接続されている。この第2の電源
ラインPIGは、流れる電流が大きいので、3mmの径
の電線を使用して配線してある。
【0034】図1に示した装置の実際の後輪操舵機構1
1の構成を図2に示す。図2を参照すると、サ−ボユニ
ットSVU,電気モ−タ12,磁極センサ18,及び舵
角検出器21は、後輪操舵機構11の同一のハウジング
に内蔵されている。サ−ボユニットSVUは、コネクタ
CNを介して、電源ラインPIG,DIG及び電子制御
ユニット9と接続される。サ−ボユニットSVUと電気
モ−タ12は、ハウジングの内部で短い電線により接続
されている。
【0035】このような構造であるため、後輪操舵機構
11を電源ライン及び電子制御ユニット9と接続するた
めの配線の数が非常に少なく、特に、大電流を流す配線
が、電源ラインPIGとア−スだけであるため、電力の
損失を最小限に抑えることができる。サ−ボユニットS
VUと電気モ−タ12は、ハウジングの内部で短い電線
により接続されているので、この部分での電力の損失は
ほとんどない。
【0036】一方、電子制御ユニット9は、後輪操舵機
構11から離れている代わりに、各種センサ(17,2
2,23,24)に比較的近い位置に設置されているの
で、これらのセンサと電子制御ユニット9とを接続する
電線は比較的長さが短く、この配線の扱いは容易であ
る。各々のセンサには、安定化した電圧を供給する必要
があるので、1つのセンサあたり少なくとも3本の電線
で電子制御ユニット9と接続する必要があり、電線が短
いと大きなメリットが生じる。また、電線の長さが短い
ので、外部からの電気ノイズの影響を受けにくい。また
電子制御ユニット9とサ−ボユニットSVUとを接続す
る部分については、後述するように、電線の数が少ない
ので、仮にこの部分の配線が長くなったとしても、外部
からの電気ノイズの影響を排除するのは容易である。例
えば、信号線路のインピ−ダンスを下げれば、外部から
の電気ノイズの影響は小さくなる。
【0037】図1の電子制御ユニット9の構成を図3に
示し、サ−ボユニットSVUの構成を図4に示す。まず
図3を参照し、電子制御ユニット9について説明する。
電子制御ユニット9は、マイクロコンピュ−タ1,電源
ユニット4,電圧監視回路6,アンドゲ−トG1,ドラ
イバDV1,インタ−フェ−スIF1およびIF2を備
えている。マイクロコンピュ−タ1は、A/D変換器,
タイマおよびシリアル通信回路を内蔵している。電源ユ
ニット4は、安定化された5Vの電圧を出力する安定化
電源と、パワ−オン時及び電源電圧低下時にリセット信
号を出力するリセット回路と、異常を検出するウオッチ
ドッグタイマ回路を備えている。インタ−フェ−スIF
1およびIF2は、信号の波形整形,増幅,レベル調整
等をする信号処理回路である。
【0038】マイクロコンピュ−タ1の入力ポ−トに
は、インタ−フェ−スIF1を介して、前記センサ2
4,17,20,22及び23から、それぞれヨ−レイ
ト,前輪舵角1,前輪舵角2,車輪速,及び変速機車速
に関する信号が入力される。また、レギュレ−タREG
からのエンジン回転信号と、電源ラインからのバッテリ
電圧信号も印加される。マイクロコンピュ−タ1の入力
ポ−トに印加される。ヨ−レイト,前輪舵角1,及びバ
ッテリ電圧の信号は各々アナログ電圧であるため、これ
らの電圧のレベルがマイクロコンピュ−タ1に内蔵され
たA/D変換器によって所定周期毎にサンプリングさ
れ、数値に変換されてメモリに保持される。また前輪舵
角2,車輪速,及び変速機車速は、パルス信号であるた
め、各々の信号のパルスの周期がマイクロコンピュ−タ
1に内蔵されたタイマによって所定周期毎に測定され、
測定結果が舵角又は車速に変換されてメモリに保持され
る。エンジン回転信号は、エンジン回転の有無を示す2
値信号である。
【0039】電子制御ユニット9とサ−ボユニットSV
Uとの間は、4本の信号線RLS,RXD,TXD及び
CLKで互いに接続されている。これらのうち、信号線
RXD,TXD及びCLKは、インタ−フェ−スIF2
を介して、マイクロコンピュ−タ1のシリアル通信回路
と接続されている。RXDは、サ−ボユニットSVUか
らマイクロコンピュ−タ1に向かって伝送する2値信号
(シリアルデ−タ)を通す信号線であり、TXDは、マ
イクロコンピュ−タ1からサ−ボユニットSVUに向か
って伝送する2値信号(シリアルデ−タ)を通す信号線
であり、CLKは通信デ−タのタイミングを定める周期
が一定のクロックパルスを通す信号線である。この実施
例では、信号線CLKに出力する信号は、マイクロコン
ピュ−タ1が生成し出力する。
【0040】RLSは、サ−ボユニットSVUが出力す
るパワ−電源遮断信号を通す信号線である。この例で
は、電圧監視回路6が異常に低い電源電圧を検出した場
合,マイクロコンピュ−タ1が出力ポ−トRLMにパワ
−電源遮断信号を出力した場合,及びサ−ボユニットS
VUが信号線RLSにパワ−電源遮断信号を出力した場
合、のいずれかの条件をアンドゲ−トG1が検出する
と、リレ−3が電力系の電源ラインPIGに対する電力
の供給を遮断する。
【0041】次に、図4を参照してサ−ボユニットSV
Uを説明する。この例では、サ−ボユニットSVUは、
マイクロコンピュ−タ8,電源ユニット71,インタ−
フェ−スIF3,抵抗器R1,ドライバDV2,DV3
及びクロック検知回路SCKを備えている。マイクロコ
ンピュ−タ8は、A/D変換器,タイマおよびシリアル
通信回路を内蔵している。電源ユニット71は、安定化
された5Vの電圧を出力する安定化電源と、パワ−オン
時及び電源電圧低下時にリセット信号を出力するリセッ
ト回路と、異常を検出するウオッチドッグタイマ回路を
備えている。インタ−フェ−スIF3は、信号の波形整
形,増幅,レベル調整等をする信号処理回路である。
【0042】クロック停止検知回路SCKは、信号線C
LKに所定周期のクロックパルスが現われているか否か
を識別する回路であり、この実施例では図9に示す構成
になっている。図9を参照すると、クロック停止検知回
路SCKは、抵抗器R1,R2,R3で構成される分圧
回路と、F/V(周波数/電圧)変換器FV1,アナロ
グ比較器CP1,CP2及びアンドゲ−トANDを備え
ている。F/V変換器FV1は、入力される信号(CL
K)の周波数に比例する電圧をVfとして出力する。ア
ナログ比較器CP1は、F/V変換器FV1の出力電圧
Vfを分圧回路が出力するしきい値電圧VLと比較し
て、その結果を2値信号として出力し、アナログ比較器
CP2は、F/V変換器FV1の出力電圧Vfを分圧回
路が出力するしきい値電圧VHと比較してその結果を2
値信号として出力する。
【0043】信号線CLKに所定周期のクロックパルス
が現われている場合には、VL<Vf<VHになるの
で、CP1,CP2の出力が共に高レベルHになり、ア
ンドゲ−トANDの出力もHになる。しかし、電子制御
ユニット9とサ−ボユニットSVUとを接続する信号線
CLKのトラブルによって信号線CLKにクロックパル
スが現われなくなったり、電子制御ユニット9の異常に
よって、信号線CLKに現われる信号の周波数が所定値
から大きくずれた場合、あるいはノイズの影響によって
信号に異常な波形が重畳された場合には、VL>Vf,
又はVf>VHになるので、CP1,CP2の少なくと
も一方の出力が低レベルLになり、アンドゲ−トAND
の出力もLになる。従って、クロック検知回路SCKか
ら出力される2値信号を監視することによって、信号線
CLKに関する様々な異常を検知しうる。
【0044】再び図4を参照する。電子制御ユニット9
とサ−ボユニットSVUとを接続する4本の信号線RL
S,RXD,TXD及びCLKのうち、信号線RXD,
TXD及びCLKは、インタ−フェ−スIF3を介し
て、マイクロコンピュ−タ8のシリアル通信回路と接続
されており、信号線RLSはマイクロコンピュ−タ8の
出力ポ−トRLSと接続されている。マイクロコンピュ
−タ8は、信号線TXDに現われる2値信号(シリアル
デ−タ)を入力し、信号線RXDに2値信号を出力す
る。これらの信号のタイミングは、信号線CLKの信号
によって決定される。信号線CLKの信号は、前述のク
ロック停止検知回路SCKにも印加される。クロック停
止検知回路SCKの出力信号は、マイクロコンピュ−タ
8の入力ポ−トP11及びドライバDV2に印加され
る。クロック停止検知回路SCKからドライバDV2に
印加される信号BRKによって、クロック停止検知回路
SCKが異常を検知した場合には、ドライバDV2はそ
れに内蔵されるハ−ドウェアの制御により、モ−タ制御
を停止し制動状態にする。なお後述するように、クロッ
ク停止検知回路SCKが異常を検知した場合には、マイ
クロコンピュ−タ8のソフトウェア処理によっても、モ
−タ制御が制動モ−ドになる。即ち、この実施例では、
クロック信号の停止に対して、ハ−ドウェア制御とソフ
トウェア制御によって2重の安全対策が施されている。
【0045】ドライバDV2は、単一の集積回路であ
り、増幅器74,電流レベル検出器MS,MOC,昇圧
回路75,論理回路72,PWM合成回路73,電流制
限回路CL1,CL2,ゲ−トドライバ76,77及び
過熱センサOHSを内蔵している。ドライバDV3は、
スイッチング素子(パワ−MOS FET)と保護用の
ダイオ−ドでなる6組のスイッチングユニットU11,
U12,U13,U21,U22,U23で構成されて
おり、その出力に電気モ−タ12のスタ−接続された3
相のコイルU,V,Wの各端子が接続されている。
【0046】抵抗器R0はドライバDV3に流れる電流
に応じた電圧を出力し、この電圧のレベルを増幅器74
が増幅する。電流レベル検出器MS及びMOCは、増幅
器74の出力電圧を、それぞれしきい値ref1及びr
ef2と比較して、電流が過大か否かを識別する。電流
レベル検出器MS及びMOCが出力する信号S1及びS
2は、マイクロコンピュ−タ8および電流制限回路CL
1,CL2に入力される。
【0047】電気モ−タ12を駆動するためには、U→
V,V→W,W→U,V→U,W→V,U→Wのいずれ
かの端子間に電流を流し、電流を流す端子を順次に切り
換える必要がある。6組のスイッチングユニットU1
1,U12,U13,U21,U22,U23の1対を
オンにすることで、電気モ−タ12の端子間に電流を流
すことができる。但し、スイッチングユニットU11と
U21,U12とU22,及びU13とU23の、対に
なったトランジスタが同時にオンすると、電源ラインP
IGとPGND間がショ−トするので、そのような状況
は避けなければならない。
【0048】通常、マイクロコンピュ−タ8は、その出
力ポ−トLA1,LB1,LC1,LA2,LB2,L
C2に適当な信号を出力して電気モ−タ12の端子間に
電流を流すので、電源ラインPIG−PGND間のショ
−トは生じない。しかし、論理回路72は、入力される
信号の状態の組合せを識別し、マイクロコンピュ−タ8
の動作に異常が生じた場合であっても、スイッチングユ
ニットU11とU21,U12とU22,及びU13と
U23の、対になったトランジスタが同時にオンしない
ように制御する。
【0049】電気モ−タ12の駆動トルクは、コイルに
流す電流をPWM(パルス幅変調)制御することによっ
て調整される。電流のパルス幅を決定するPWM信号
は、マイクロコンピュ−タ8の出力ポ−トPWMから出
力される。PWM合成回路73は、マイクロコンピュ−
タ8がポ−トPWMに出力するPWM信号と、ポ−トL
A2,LB2,LC2に出力する相切換信号とを合成
し、下側のスイッチングユニットU21,U22,U2
3のオン/オフを制御する2値信号を生成する。
【0050】マイクロコンピュ−タ8がポ−トLA1,
LB1及びLC1に出力する相切換信号は、論理回路7
2,電流制限回路CL1及びゲ−トドライバ76を介し
て、それぞれスイッチングユニットU11,U12及び
U13のゲ−ト端子に入力され、マイクロコンピュ−タ
8がポ−トLA2,LB2及びLC2に出力する相切換
信号は、PWM合成回路73,電流制限回路CL2及び
ゲ−トドライバ77を介して、それぞれスイッチングユ
ニットU21,U22及びU23のゲ−ト端子に入力さ
れる。スイッチングユニットU11,U12,U13,
U21,U22及びU23は、各々、ゲ−ト端子に入力
される2値信号のレベルの高低に応じてオン/オフす
る。
【0051】この実施例で使用している電気モ−タ12
は、ブラシレスモ−タであり、回転子が永久磁石で構成
され、固定子が電気コイルになっている。従って、電気
モ−タ12を希望するように回転させるためには、常に
回転子の磁極の位置を検出し、磁極の位置と動かす方向
に応じて電流を流すコイルを切換える必要がある。この
実施例では、電気モ−タ12の回転子の磁極の位置を検
出する磁極センサ18が、電気モ−タ12に内蔵されて
いる。この磁極センサ18は、検出した3相の信号を、
マイクロコンピュ−タ8の入力ポ−トHA,HB,HC
に印加する。マイクロコンピュ−タ8は、入力ポ−トH
A,HB,HCの信号を参照して磁極の位置を検出し、
検出した位置に基づいて生成した相切換信号を、ポ−ト
LA1,LB1,LC1,LA2,LB2及びLC2に
出力する。
【0052】後輪の舵角を検出する舵角検出器21は、
舵角に応じた電圧をマイクロコンピュ−タ8の入力ポ−
トVRSに印加する。マイクロコンピュ−タ8は、入力
ポ−トVRSの電圧のレベルを周期的にサンプリング
し、内蔵のA/D変換器で数値に変換し、その結果をメ
モリに保存する。なおこの実施例では、マイクロコンピ
ュ−タ8は、舵角検出器21によって最初に検出した舵
角初期値と、磁極センサ18が出力する信号を計数して
求められる舵角変化量とに基づいて、後輪の実舵角値を
得ている。
【0053】ドライバDV2に内蔵された過熱センサO
HSの構成を図8に示す。図8を参照すると、過熱セン
サOHSには、抵抗器R4,R5,R6でなる分圧回路
と、サ−ミスタTS,アナログ比較器CP3及びCP4
が備わっている。ドライバDV2は、ドライバDV3の
近傍に配置されているので、例えばドライバDV3内の
スイッチングユニットU11,U12,U13,U2
1,U22,U23が異常に発熱すると、ドライバDV
2の温度も上昇する。サ−ミスタTSはドライバDV2
に内蔵されているので、ドライバDV2自体の発熱や、
ドライバDV3の発熱による温度上昇を検出できる。即
ち、サ−ミスタTSから出力される信号Vtの電圧は、
ドライバDV2,DV3の温度変化に従って変化する。
【0054】アナログ比較器CP3は、サ−ミスタTS
から出力される信号Vtの電圧と分圧回路が出力するし
きい値電圧VL2とを比較し、その比較結果に応じた2
値信号を出力する。また、アナログ比較器CP4は、サ
−ミスタTSから出力される信号Vtの電圧と分圧回路
が出力するしきい値電圧VH2とを比較し、その比較結
果に応じた2値信号を出力する。即ち、サ−ミスタTS
の検出した温度と、しきい値電圧VL2に相当する第1
の温度との大小関係に応じてアナログ比較器CP3の出
力信号レベル(H/L)が定まり、サ−ミスタTSの検
出した温度と、しきい値電圧VH2に相当する第2の温
度との大小関係に応じてアナログ比較器CP4の出力信
号レベル(H/L)が定まる。アナログ比較器CP3,
CP4から出力される2ビットの2値信号は、マイクロ
コンピュ−タ8の入力ポ−トOHWに入力される。ま
た、(第1の温度)<(第2の温度)であり、第1の温
度および第2の温度は、いずれも、ドライバDV2,D
V3が動作不能になる可能性の高い所定の上限温度より
も充分低い値に定められている。従って、マイクロコン
ピュ−タ8は、その入力ポ−トOHWの状態を監視する
ことによって、ドライバDV2,DV3が動作不能にな
る前に、過熱状態を検知しうる。
【0055】図3に示した電子制御ユニット9のマイク
ロコンピュ−タ1の動作を図5に示し、図4に示したサ
−ボユニットSVUのマイクロコンピュ−タ8の動作を
図6に示す。まず、図5を参照してマイクロコンピュ−
タ1の動作を説明する。
【0056】電源がオンすると、初期化を実行する。即
ち、CPU自体のチェック,メモリクリア,パラメ−タ
の初期化(後述するTθのクリアを含む)及び各種モ−
ドセットを実行する。また、信号線RXD,TXD,C
LKを使用して、サ−ボユニットSVUとの間でデ−タ
の送受信のテストを実施し、通信系の異常の有無を調べ
る。更に、サ−ボユニットSVUから電子制御ユニット
9に伝送された情報の内容に基づいて、パワ−系の異常
(リレ−の動作不良,スイッチングユニットU11〜U
23のブリッジ,モ−タコイルオ−プン,モ−タコイル
ショ−ト)の有無を調べる。
【0057】通信系が正常で、パワ−系も正常であれ
ば、ステップS12−S13を通ってS14に進むが、
通信系に異常があるとS12からS1Hに進み、パワ−
系に異常があるとS13からS1iに進む。S1Hで
は、通信系が異常であることを示す診断情報をそれ自身
のメモリに保存するとともに、信号線RXD,TXD,
CLKを使用して、サ−ボユニットSVUに、前記診断
情報を送信する。S1iでは、パワ−系が異常であるこ
とを示す診断情報をそれ自身のメモリに保存するととも
に、信号線RXD,TXD,CLKを使用して、サ−ボ
ユニットSVUに、前記診断情報を送信する。そして次
のS1Jで、出力ポ−トRLMの信号レベルを低レベル
に切換えて、リレ−3をオフする。これによってパワ−
系の電源ラインPIGへの電力供給は遮断される。
【0058】次のステップS14では、サ−ボ系のゲイ
ンを定めるパラメ−タの情報を、内部メモリ(ROM)
から読み出し、その情報を信号線RXD,TXD,CL
Kを使用して、サ−ボユニットSVUに送信する。
【0059】次のステップS15−S16−S17−S
18−S19−S1A−S1B−S1C−S1D−D1
E−S15−・・・は、通常のル−プ処理として繰り返
し実行される。またこのル−プ処理は、5msec に1回
の割合いで周期的に実行される。
【0060】ステップS15では、最新の目標舵角T1
およびその時間微分値dT1/dtを計算してそれぞれ
の値を所定のレジスタにストアする。なお実際の時間微
分値dT1/dtは、N×5msec 毎に求められる目標
舵角T1の変化量であり、ステップS15をN回(この
実施例では6回)実行する度に、1つの時間微分値dT
1/dtが求められる。目標舵角T1は5msec 毎に求
められる。
【0061】次のステップS16では、1計算周期(こ
の例では5msec )の間の目標舵角T1の変化分ΔTを
求める。より正確には、舵角差分累積値Tθを保持する
レジスタの内容を最新の目標舵角T1から減算した結果
をΔTとする。舵角差分累積値Tθは、初期状態では0
であり、1計算周期(この例では5msec )毎に、目標
舵角T1の変化分(ΔT)が加算され更新される。
【0062】ステップS17では、目標舵角の変化分Δ
Tを予め定めた上限値αと比較する。そして、ΔT>α
の場合には、ステップS18に進み、ΔTを上限値αで
置きかえる。従って、目標舵角の変化分ΔTは、α以下
に制限される。
【0063】次のステップS19では、最新の目標舵角
の変化分ΔTを加味した舵角差分累積値Tθを求める。
即ち、前回までのTθに最新のΔTを加算した結果を今
回までの舵角差分累積値Tθとする。
【0064】上記処理で求められる目標舵角の変化分Δ
Tと、時間微分値dT1/dtは、後輪操舵系の舵角に
対応付けられているが、サ−ボユニットSVUが後輪操
舵系を制御するためには、モ−タの駆動量(ラック軸の
移動ストロ−ク)及び駆動速度の情報が必要になる。従
って、舵角から駆動量への単位の変換が必要になる。と
ころが、一般に舵角とラック軸の移動ストロ−クとの関
係は、車種毎に異なっているので、舵角から駆動量への
単位の変換の計算内容も、車種毎に変更する必要があ
る。しかしながら、舵角から駆動量への単位の変換を、
電子制御ユニット9の内部で実施して、変換後の情報を
サ−ボユニットSVUに送信することにより、車種毎に
異なる計算は、サ−ボユニットSVUが実施する必要は
なくなり、サ−ボユニットSVUを全ての車種に共通に
使用可能になる。
【0065】この実施例では、電子制御ユニット9が実
行するステップS1A,S1Bにおいて、舵角から駆動
量への単位の変換を実施している。ステップS1Aで
は、予め定めた関数f1( ) にΔTをパラメ−タとして
代入することにより、モ−タの目標駆動量の変化分ΔT
2を求めている。また次のステップS1Bでは、予め定
めた関数f2( ) にdT1/dtをパラメ−タとして代
入することにより、モ−タの目標駆動速度VT1を求め
ている。
【0066】またこの実施例では、送信するデ−タ量を
減らすために、ステップS1Aで求められるΔT2の精
度を、ステップS1Bで求められるVT1の精度よりも
落してある。なお実際には、ステップS1Bは新しい微
分値dT1/dtが求められる毎に、即ち5msec 周期
のN周期に1回の割合いで実行される。
【0067】そして次のステップS1Cで、信号線RX
D,TXD,CLKを使用して、目標駆動量の変化分Δ
T2および目標駆動速度VT1の情報を、シリアル2値
デ−タの形でサ−ボユニットSVUに送信する。つま
り、電子制御ユニット9は、5msec に1回の割合い
で、目標駆動量の変化分ΔT2および目標駆動速度VT
1の情報を、サ−ボユニットSVUに送信する。但し、
比較的ビット数の多い目標駆動速度VT1の情報につい
ては、予めN個の情報に分割しておき、1/Nの部分情
報を5msec に1回の割合いで順次に送信するようにし
ている。
【0068】電子制御ユニット9と同様に、サ−ボユニ
ットSVUは5msec に1回の割合いで、情報を電子制
御ユニット9に送信する。ここでサ−ボユニットSVU
から電子制御ユニット9に入力される情報は、最新のサ
−ボユニットSVUの状態を示すステ−タス情報であ
る。マイクロコンピュ−タ1は、サ−ボユニットSVU
から送られるステ−タス情報を受信して、それをステッ
プS1Dで識別する。サ−ボユニットSVUが正常であ
れば、ステップS1DからS1Eに進むが、何らかの異
常が検出された場合には、ステップS1Fに進む。
【0069】通常はステップS1Fを実行することはな
いが、例えばサ−ボユニットSVUのマイクロコンピュ
−タが暴走したり、通信回路に故障が生じたり、ドライ
バの過熱が検知されたり、クロック信号(CLK)の異
常が検知されるとステップS1Fに進む。マイクロコン
ピュ−タの暴走,通信回路の故障などの場合には、ステ
ップS1Fから直ちにS1Gに進み、電源リレ−3を遮
断し、通信用のクロック信号(CLK)の出力を停止す
る。但し、サ−ボユニットSVUにおいて、ドライバの
過熱が検知された場合には、SVUからのステ−タス情
報を参照してサ−ボユニットSVUが「中立復帰制御」
の実施を完了したか否かを調べ、完了してなければステ
ップS1FからS1Eに進み、サ−ボユニットSVUが
「中立復帰制御」の実施を完了するまで待った後、ステ
ップS1Gを実行する。
【0070】ステップS1Eでは、5msec 毎に発生す
るタイマ割込の情報を参照し、5msec が経過するまで
待機する。これによって、ステップS15〜S1Eのル
−プを1回実行するのに要する時間が5msec になる。
【0071】次に、図6を参照してサ−ボユニットSV
Uのマイクロコンピュ−タ8の動作を説明する。電源が
オンすると、マイクロコンピュ−タ8は、ステップS2
1で初期化を実行する。即ち、CPU自体のチェック,
メモリクリア,パラメ−タの初期化(後述するTθ2の
クリアを含む)及び各種のモ−ドセットを実行する。ま
た、信号線RXD,TXD,CLKを使用して、電子制
御ユニット9との間で通信のテストを実施し、通信系の
異常の有無を調べる。更に、パワ−系の異常の有無を調
べる。具体的には、出力ポ−トLA1,LB1,LC
1,LA2,LB2,LC2に出力する相切換信号を順
次に切り換えながら、マイクロコンピュ−タ8のポ−ト
MI及びPIGMに入力される電圧のレベルをサンプリ
ングしA/D変換して入力し、入力した値を予め定めた
しきい値と比較することによって、リレ−3の状態,ス
イッチングユニットU11,U12,U13,U21,
U22及びU23の状態,及び電気モ−タ12のコイル
の状態(オ−プン,ショ−ト)のそれぞれについて、異
常の有無を検査する。
【0072】ステップS21の検査の結果、通信系の異
常が検出された時には、ステップS22からS26に進
み、パワ−系の異常が検出された時には、ステップS2
3からS26に進む。ステップS26では、出力ポ−ト
LA1,LB1,LC1,LA2,LB2,LC2に出
力する相切換信号を制御して、スイッチングユニットU
11,U12,U13,U21,U22及びU23を全
てオフ状態に制御するとともに、信号線RLSのレベル
を制御して、リレ−3をオフにする。
【0073】異常がない時には、ステップS21−S2
2−S23を通ってS24に進む。ステップS24で
は、信号線RXD,TXD,CLKを使用して電子制御
ユニット9から送信される情報(サ−ボ系のゲインを定
めるパラメ−タ)を入力し、この情報によってサ−ボ系
(図7参照)のゲインをセットする。
【0074】次のステップS25では、舵角検出器21
が検出した後輪の実舵角を、磁極カウンタ(図7参照)
87に初期値としてセットする。舵角検出器21の検出
値の分解能は比較的低いが、磁極センサ18が出力する
パルスを計数することにより、分解能の高い舵角情報が
得られる。しかし磁極センサ18によって得られる舵角
情報は相対的な変化であるので、最初に、舵角検出器2
1が検出した実舵角を初期値として採用し、この初期値
と舵角変化から求められる分解能の高い実舵角を、磁極
カウンタ87によって生成する。
【0075】続くステップS27,S28,S29,S
2A,S2B,S2C,S2D,S2E,S2F,S2
7,・・・は、何らかの異常が検出されるまで、ル−プ
処理として繰り返し実行される。またこのル−プ処理
は、5msec に1回の割合いで定期的に実行される。
【0076】ステップS27では、信号線RXD,TX
D,CLKを使用して電子制御ユニット9から送信され
る情報、即ち目標駆動量の変化分ΔT2および目標駆動
速度VT1(1/Nの部分情報)を、それぞれ受信し、
所定のレジスタにストアする。ステップS28では、情
報ΔT2及びVT1を、前回受信してから今回受信する
までの1周期の経過時間が予め定めたしきい値(5±1
msec )の範囲内か否かを調べる。時間が4〜6msec
の範囲内であれば次にステップS29に進むが、この時
間を外れた場合には、診断情報用のメモリに受信不良を
示す情報を保存し、次にステップS2Gに進む。
【0077】ステップS2Gでは、メモリに保持される
診断情報の内容を、信号線RXD,TXD,CLKを使
用して電子制御ユニット9に送信する。そして次のステ
ップS2Hでは、電気モ−タ12の駆動を停止し(制動
をかける)、後輪の操舵系の状態をその時の舵角に固定
して以後の動作を中止する。
【0078】ステップS29では、受信した情報ΔT2
を、予め定めたしきい値Tref と比較する。しきい値T
ref は上限値であり、ΔT2<Trefであれば次にステ
ップS2Aに進むが、ΔT2≧Trefの場合にはデ−タ
エラ−とみなして次にステップS2Gに進む。また、デ
−タエラ−を示す情報を診断情報としてメモリにストア
する。
【0079】この実施例では、目標舵角及び車速が一瞬
(5msec)のうちに大きく変化することはありえない
ので、受信する情報ΔT2は目標舵角の最大値と比べる
とはるかに小さい。従って、受信した舵角情報ΔT2が
しきい値Tref より大きい場合には、デ−タ伝送上のエ
ラ−などが生じている可能性が高い。ここでしきい値と
して定めるTrefは、目標駆動量の最大値よりもはるか
に小さくすることができる。従って、デ−タエラ−が生
じた場合には、それによって目標駆動量が本来の値から
大きくずれる前に、その異常を検出しうる。
【0080】ステップS2Aでは、サ−ボユニットSV
Uにおける目標駆動量Tθ2に、受信した最新の目標駆
動量の変化分ΔT2を加算して目標駆動量Tθ2を更新
する。目標駆動量Tθ2の情報は、所定のレジスタに保
持される。
【0081】ステップS2Bでは、更新された目標駆動
量Tθ2をしきい値(上限値)Tmax と比較する。Tθ
2<Tmax なら次にステップS2Cに進み、そうでなけ
れば「目標駆動量異常」を診断情報としてメモリにスト
アした後、S2Gに進む。
【0082】次のステップS2Cでは、電気モ−タ12
を駆動するサ−ボ系の制御を実施する。このサ−ボ系の
構成が図7に示されている。このサ−ボ系の詳細につい
ては後で説明する。
【0083】次のステップS2Dでは、前述の過熱セン
サOHSが出力する信号を参照し、ドライバが過熱状態
か否かを識別する。正常であれば次にステップS2Eに
進むが、過熱状態が検出されている場合には、その状態
を示す情報を診断情報としてメモリにストアし、次にス
テップS2iに進む。ステップS2iでは、診断情報、
即ち過熱状態を示す情報を電子制御ユニット9に送信
し、次のステップS2Jに進む。
【0084】モ−タドライバ(DV2,DV3)の温度
が異常に上昇すると、保護回路の作動や故障の発生によ
って、モ−タの駆動が突然停止し、それ以後の制御が不
可能になる場合がある。しかしながら、後輪操舵機構の
操舵位置が常に中立からずれた状態であると自動車の運
転が難しいので、何らかの手段を用いて操舵位置を中立
に戻す必要がある。但し、戻しスプリングのような機械
要素を用いると、装置の大型化や製造コストの上昇など
の不具合が生じる。
【0085】この実施例においては、モ−タの駆動が不
可能になる可能性のある所定温度まで、モ−タドライバ
近傍の温度が上昇する前に、過熱センサOHSによりド
ライバの過熱を検知し、ステップS2Jで、通常の操舵
制御を中止するとともに、後輪操舵機構の操舵位置が中
立位置に戻るように、モ−タ12の駆動を制御する。即
ち、目標位置を操舵機構の中立位置に変更し、その目標
位置に近づくようにモ−タ12を駆動する。
【0086】また、この実施例では図8に示すように、
過熱センサOHSは2種類のしきい値VL2,VH2に
よって識別された2種類の信号を出力するので、それら
を参照することによって2種類の過熱状態を識別するこ
とができる。ステップS2Jの中立復帰制御において
は、過熱状態に応じてモ−タ制御系の制御ゲインを切換
えるようにしている。即ち、比較的温度の低い過熱状態
の場合には、モ−タの駆動ができなくなるまでに時間の
余裕があるので、ゆっくりとモ−タを駆動して操舵位置
を中立に戻すが、比較的温度の高い過熱状態の場合に
は、モ−タの駆動ができなくなるまでの時間の余裕が少
ないので、比較的速くモ−タを駆動して操舵位置を中立
に戻す。
【0087】ステップS2Eでは、クロック停止検知回
路SCKが出力する信号を参照する。そして、信号線C
LKに所定周期のクロックパルスが現われている場合に
は次にステップS2Fに進むが、信号線CLKのクロッ
クパルスが途断えている場合や、クロックパルスの周波
数が異常である場合には、その異常を診断情報としてメ
モリにストアし、ステップS2Gに進む。そして、ステ
ップS2Gで、メモリに保持される診断情報の内容を、
信号線RXD,TXD,CLKを使用して電子制御ユニ
ット9に送信する。更に次のステップS2Hでは、電気
モ−タ12の駆動を停止する(制動をかける)ようにド
ライバDV2に出力する信号を制御し、後輪の操舵系の
状態をその時の舵角に固定して以後の動作を中止する。
【0088】ステップS2Fでは、5msec 毎に発生す
るタイマ割込の情報を参照し、5msec が経過するまで
待機してからステップS27に戻る。これによって、ス
テップS27〜S2Fのル−プを1回実行するのに要す
る時間が5msec になる。
【0089】電子制御ユニット9の処理の一部分と、サ
−ボユニットSVUのサ−ボ系の主要部の構成を図7に
示す。図7を参照して説明する。なお実際には、図7に
示す制御系は、モ−タドライバ5,電気モ−タ12及び
磁極センサ18の部分を除き、全てマイクロコンピュ−
タ1又はマイクロコンピュ−タ8のソフトウェア処理に
よって実現される。図7のモ−タドライバ5は、図4の
ドライバDV2及びDV3に対応している。またこの制
御系のゲインは、図6のステップS24でセットされ
る。
【0090】電子制御ユニット9において生成される目
標舵角T1は、前述のステップS16に相当する減算部
101と、S15の一部に相当する微分部102に入力
される。減算部101では、目標舵角T1と舵角差分累
積値Tθとの差分との差分、即ち目標舵角T1の変化分
ΔTを求めて出力する。舵角差分累積値Tθは、メモリ
103に保持される前回までの累積値に、最新の変化分
ΔTを加算部104で加算した結果をメモリ103に書
込むことにより得られる。微分部102では、目標舵角
T1の時間微分値、即ちdT1/dtを求め出力する。
前述のステップS1Aに相当する変換部105では、入
力される目標舵角T1の変化分ΔTの単位を、舵角から
モ−タ駆動量(ラック軸の移動ストロ−ク)に変換する
計算処理を実施して計算の結果ΔT2を出力する。ま
た、前述のステップS1Bに相当する変換部106で
は、入力される目標舵角の時間微分値dT1/dtの単
位を、舵角からモ−タ駆動量(ラック軸の移動ストロ−
ク)に変換する計算処理を実施して計算の結果VT1を
出力する。
【0091】電子制御ユニット9が出力する情報ΔT2
及びVT1がサ−ボユニットSVUに入力される。モ−
タ駆動量の差分であるΔT2は、加算部111とメモリ
112で累積され、モ−タ駆動量Tθ2に変換される。
即ち、メモリ112に保持される前回までの累積値に最
新の差分ΔT2を加算部111で加算した結果をメモリ
112に書込むことにより、目標舵角T1に相当するモ
−タ駆動量Tθ2が得られる。なお以下の説明において
は、便宜上、モ−タ駆動量Tθ2を目標舵角と呼ぶこと
にする。
【0092】目標舵角Tθ2は減算部92に入力され、
目標舵角Tθ2の時間微分値であるVT1は微分ゲイン
設定部91に入力される。微分ゲイン設定部91は、V
T1の絶対値から微分ゲインYTDIFGAINを求め
る。なお、微分ゲイン設定部91等の各ブロック中に示
したグラフは、入力値と出力値との関係を示し、横軸が
入力値、縦軸が出力値を示している。この例では、微分
値VT1の絶対値が4deg/sec以下の場合には微
分ゲインは0に、微分値SAGLAの絶対値が12de
g/sec以上の場合には微分ゲインは4にセットさ
れ、それ以外の場合には微分ゲインは0〜4の範囲の値
になる。
【0093】減算部92は、目標舵角Tθ2と実舵角
(モ−タ回転角に相当する)RAGLとの偏差、即ち舵
角偏差ΔAGLを計算する。実舵角RAGLは、磁極カ
ウンタ87から出力される。磁極カウンタ87は、磁極
センサ18が出力する3相のパルス信号間の位相差から
電気モ−タ12の回転方向を識別し、パルス信号のパル
ス数をそれまでの計数値に加算又は減算して舵角値を検
出する。磁極センサ18からのパルス信号によって得ら
れる舵角値は相対値(回転角度)であるが、この例では
図6のステップS25で最初に(駆動を開始する前に)
舵角検出器21が検出した実舵角値を磁極カウンタ87
にプリセットしてあるので、磁極カウンタ87が出力す
る値RAGLは実舵角になる。
【0094】舵角偏差ΔAGLは、舵角偏差不感帯付与
部93で処理され、舵角偏差値ETH2になる。舵角偏
差不感帯付与部93は、入力値(舵角偏差ΔAGL)の
絶対値が所定値E2PMAX以下の場合には舵角偏差値
ETH2を0にするものであり、舵角偏差ΔAGLが小
さい時に制御を停止させるものである。舵角偏差不感帯
付与部93が出力する舵角偏差値ETH2は、比例部9
6及び微分部94に入力される。
【0095】比例部96は、予めセットされた比例ゲイ
ンの値を舵角偏差値ETH2に掛けた値を比例制御値P
AGLAとして出力する。微分部94は、舵角偏差値E
TH2を時間微分して舵角偏差微分値SETH2を求め
る。更に、掛算部95で、舵角偏差微分値SETH2に
前述の微分ゲインYTDIFGAINを掛けた結果が微
分制御値DAGLAとして求められる。加算部97で
は、比例制御値PAGLAと微分制御値DAGLAとを
加算した結果を、制御舵角値HPIDとして出力する。
【0096】制御舵角値HPIDは、舵角偏差リミッタ
98を通り、制御量ANGになる。舵角偏差リミッタ9
8は、入力値に比例した出力を生成するとともに、制御
量ANGが1.5deg以上、又は−1.5deg以下
にならないように出力値の範囲を制限する。制御量AN
Gは、パルス幅変調変換部99に入力され、パルス幅変
調信号PWM1に変換される。即ち、周期が一定で制御
量ANGに比例したパルス幅のパルス信号PWM1が生
成される。このパルス幅変調信号PWM1が、モ−タド
ライバ5に入力される。モ−タドライバ5は、パルス幅
変調信号PWM1に応じて、電気モ−タ12の通電のオ
ン/オフのタイミング、即ち電流を決定する。従ってパ
ルス幅変調信号PWM1によって、電気モ−タ12の駆
動トルクが変化する。電気モ−タ12が回転すると、磁
極センサ18がパルスを発生するので、磁極カウンタ8
7の計数値、即ち実舵角値RAGLが変わり、舵角偏差
ΔAGLが変わる。このサ−ボ系は、舵角偏差ΔAGL
が0に近づくように、電気モ−タ12を制御する。
【0097】但し、信号線CLKのクロック信号が遮断
された場合のように、ブレ−キモ−ドになると、電気モ
−タ12の駆動が早く停止するような制御が実施され
る。即ち、電気モ−タ12の回転に対して制動をかける
ように、ドライバDV2に制御信号が印加される。
【0098】ところで、電子制御ユニット9において
は、生成する目標舵角情報からそれの微分値dT1/d
tを正確に計算する必要があるため、実際に生成する目
標舵角情報T1は、精度の高い、即ちビット数の多いも
のである。ところが、電子制御ユニット9からサ−ボユ
ニットSVUに送る情報ΔT(実際にはΔT2)につい
ては、通信速度及び通信所要時間の制約があるため、情
報のビット数を減らす必要がある。従って、ΔTの分解
能は目標舵角情報T1よりも落としてある。
【0099】このような分解能の変換(LSBの大きさ
の変換)を実施する場合に問題となるのは、電子制御ユ
ニット9が生成する目標舵角情報T1と、サ−ボユニッ
トSVU内で再生される目標舵角情報Tθ2との間に累
積誤差が生じる可能性があることである。しかしこの実
施例においては、電子制御ユニット9が最新の目標舵角
T1と、第1の累算値計算手段が1周期前までの目標舵
角に基づいて求めた累算値Tθとの差分ΔTを操舵量指
示値ΔT2に変換して送信するので、次に示す例のよう
に、累積誤差は生じない。
【0100】目標舵角情報T1の分解能:0.001, 通信情報ΔTの分解能 :0.005, 送信側累算値Tθの分解能:0.005, n,t,(n-6)〜(n-0):計算周期毎のタイミング, Tθ2(t)←Tθ2(t-1)+ΔT(t)の場合、 T1(n-6):0.000 → Tθ(n-6):0.000 T1(n-5):0.001 → Tθ(n-5):0.000 T1(n-4):0.002 → Tθ(n-4):0.000 T1(n-3):0.003 → Tθ(n-3):0.000 T1(n-2):0.004 → Tθ(n-2):0.000 T1(n-1):0.005 → Tθ(n-1):0.005 T1(n-0):0.006 → Tθ(n-0):0.005 T1(n-5)−Tθ(n-6):0.001 → ΔT(n-5):
0.000 T1(n-4)−Tθ(n-5):0.002 → ΔT(n-4):
0.000 T1(n-3)−Tθ(n-4):0.003 → ΔT(n-3):
0.000 T1(n-2)−Tθ(n-3):0.004 → ΔT(n-2):
0.000 T1(n-1)−Tθ(n-2):0.005 → ΔT(n-1):
0.005 T1(n-0)−Tθ(n-1):0.001 → ΔT(n-0):
0.000 Tθ2(n-5):0.000 Tθ2(n-4):0.000 Tθ2(n-3):0.000 Tθ2(n-2):0.000 Tθ2(n-1):0.005 Tθ2(n-0):0.005 この例では、伝送情報の分解能が0.005であるた
め、送信側の目標舵角情報T1(t)と受信側の目標舵角
情報Tθ2(t)に前記分解能相当未満の違いが生じる
が、この違いは累積誤差ではない。即ち、両者の差が分
解能以上に増大することはない。
【0101】以上説明した実施例によれば、次のような
効果が得られる。
【0102】第1の制御手段(9)と第2の制御手段
(SVU)は、互いに独立した制御ユニットであり、こ
れらは別々の位置に配置することができる。即ち、セン
サ手段(17,20,22,23,24)と接続される
第1の制御手段は、センサ手段が設置されている場所に
近い位置(例えば車室前部)に設置し、駆動手段(1
2)と接続される第2の制御手段は、駆動手段に近い位
置(例えば後輪操舵機構と同一のハウジング内)に設置
することが可能である。第1の制御手段をセンサ手段の
近傍に配置することにより、第1の制御手段とセンサ手
段との接続が容易になり、またその接続部分で電気ノイ
ズの影響を受けにくくなる。また、第2の制御手段を駆
動手段の近傍に配置することにより、第2の制御手段と
駆動手段との接続が容易になり、それらの接続部分での
電力損失が低減される。
【0103】また、第1の制御手段と第2の制御手段と
の間の配線においては、基本的には前者から後者に向か
って目標舵角の情報を送るだけで良いので、それらの接
続は極めて容易である。また、その部分の配線長が長い
場合でも、配線部分のインピ−ダンスを下げることによ
り、電気ノイズの影響を受けにくくすることができる
し、大電流を流す必要がないので、電力損失の増大の問
題も生じない。
【0104】更に、第1の制御手段から第2の制御手段
に送る情報が、実質的に目標舵角の所定時間あたりの変
化量であるため、送信すべき信号の単位時間あたりの情
報量が低減される。その結果、例えば信号の周波数を下
げることが可能になる。周波数の高い信号を伝送する
と、その信号が高周波ノイズを発するので様々な問題が
生じるが、信号の周波数を下げることにより、高周波ノ
イズを大幅に低減しうる。また、信号を並列デ−タで送
る場合には、送るべき情報量が減ると、並列に送る信号
のビット数を減らして、配線の数を減らすことが可能で
ある。
【0105】また前述のように、第1の制御手段から第
2の制御手段に送る情報(ΔT)の分解能を目標舵角
(T1)の分解能よりも落とす場合でも、第2の制御手
段に伝達される目標舵角に累積誤差が生じないので、装
置の信頼性が高い。
【0106】更に、第2の制御手段(SVC)におい
て、第1の制御手段が信号を送信する周期を監視して異
常の有無を識別するので、第1の制御手段の異常や通信
系の異常を検知しうる。また、異常を検出した場合に、
駆動手段に制動をかけるので、補助操舵に関する誤動作
の発生が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の自動車の操舵系の構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】 図1の後輪操舵機構11の外観を示す一部切
欠平面図である。
【図3】 図1の電子制御ユニット9の構成を示すブロ
ック図である。
【図4】 図1のサ−ボユニットSVUの構成を示すブ
ロック図である。
【図5】 図3のマイクロコンピュ−タ1の動作を示す
フロ−チャ−トである。
【図6】 図4のマイクロコンピュ−タ8の動作を示す
フロ−チャ−トである。
【図7】 実施例のサ−ボ系の構成を示すブロック図で
ある。
【図8】 実施例の過熱センサの構成を示すブロック図
である。
【図9】 実施例のクロック停止検知回路の構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1:マイクロコンピュ−タ 2:バッテリ− 3:リレ− 4:電源ユニット 6:電圧監視回路 8:マイクロコンピ
ュ−タ 9:電子制御ユニット 10:前輪操舵機構 10a:ラック軸 11:後輪操舵機構 12:電気モ−タ(ブラシレスモ−タ) 13:左前輪 14:右前輪 15:左後輪 16:右後輪 17,20:舵角検出器 18:磁極センサ 19:ステアリングホイ−ル 21:舵角検出器 22,23:車速検出器 24:ヨ−レ−ト検
出器 25:ラック軸 71:電源ユニット 87:磁極カウンタ G1:アンドゲ−ト DV1,DV2,DV3:ドライバ IF1,IF2,IF3:インタ−フェ−ス IG:イグニッションスイッチ DIG,PIG:電
源ライン SVU:サ−ボユニット OHS:過熱センサ TS:サ−ミスタ SCK:クロック停
止検知回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛 谷 秀 樹 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輌の状態に関する情報を検出するセン
    サ手段:第1のデジタルプロセッサを含み、前記センサ
    手段と接続され、センサ手段が検出した情報に基づい
    て、所定周期毎に繰り返し目標舵角を計算する舵角計算
    手段,計算された目標舵角の所定期間内の変化量の累算
    値を計算する第1の累算値計算手段,最新の目標舵角
    と、前記第1の累算値計算手段が1周期前までの目標舵
    角に基づいて求めた前記累算値との差分を操舵量指示値
    として送信する指示値送信手段、を備える第1の制御手
    段:舵角を調整する駆動手段;及び前記第1のデジタル
    プロセッサとは別の独立した第2のデジタルプロセッサ
    を含み、前記第1の制御手段が出力する前記操舵量指示
    値の情報を所定周期毎に入力し累算して操舵目標値を生
    成する第2の累算値計算手段,該手段が生成した操舵目
    標値と制御対象操舵系の状態量とに基づいて前記駆動手
    段の付勢量を調整する付勢制御手段、を備える第2の制
    御手段;を備える車輌の操舵制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の制御手段は、前記第1の制御
    手段が信号を送信する周期を監視し、該周期が予め定め
    た範囲を外れると、第1の制御手段の異常を検出する第
    1の通信異常検出手段を含む、前記請求項1記載の車輌
    の操舵制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第2の制御手段は、前記第1の制御
    手段が信号を送信する周期が予め定めた範囲を外れる
    と、前記駆動手段に制動をかける制動制御手段を含む、
    前記請求項2記載の車輌の操舵制御装置。
  4. 【請求項4】 前記センサ手段は、少なくとも車輌の前
    側車輪の実操舵角を検出する前輪舵角検出手段を含む、
    前記請求項1記載の車輌の操舵制御装置。
JP2078095A 1995-02-08 1995-02-08 車輌の操舵制御装置 Pending JPH08207813A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102556149A (zh) * 2010-10-29 2012-07-11 株式会社电装 应用与受控对象之间的车辆动态控制平台

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102556149A (zh) * 2010-10-29 2012-07-11 株式会社电装 应用与受控对象之间的车辆动态控制平台
CN102556149B (zh) * 2010-10-29 2015-01-21 株式会社电装 应用与受控对象之间的车辆动态控制平台

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