JPH08207074A - 発泡成形体の成形方法 - Google Patents

発泡成形体の成形方法

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JPH08207074A
JPH08207074A JP7147821A JP14782195A JPH08207074A JP H08207074 A JPH08207074 A JP H08207074A JP 7147821 A JP7147821 A JP 7147821A JP 14782195 A JP14782195 A JP 14782195A JP H08207074 A JPH08207074 A JP H08207074A
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molding
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Fumio Murayama
文雄 村山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽量
化が図れる肉厚の薄い発泡成形体を成形すること。 【構成】 約75tで型締めされた可動側金型21と固
定側金型22で形成されたキャビティ内に射出装置40
からPP(ポリプロピレン)に発泡剤を入れた樹脂混合
材を射出し、樹脂混合材の充填を完了した後、可動側金
型21と固定側金型22との締め圧を0t近くまでにす
ることにより金型を開いて発泡剤の発泡を行わせること
で、たとえば平均肉厚が0.5mmの円錐型コーン形状
が得られた。 【効果】 PPをベースとし発泡剤の発泡によって振動
板が得られるので、比重が下げられることから、剛性を
下げずに軽量化が図れた。つまり、剛性がヤング率の1
乗と厚さの3乗に比例することにより、ヤング率の低い
材料でも比重を下げて厚さを増すことで剛性を高くする
ことができるため、フィラーの添加量を少なくすること
ができるので、内部損失の高い材料を使用することがで
き、高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽量化が図
れた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発泡成形体の成形方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にスピーカ振動板材料は、密度が
小さくヤング率(剛性)が大きいこと及び適度な内部損
失を有することが要求される。
【0003】オレフィン系樹脂であるPP(ポリプロピ
レン)の振動板は、耐環境性、特に耐水性に優れ外観性
も良く、スピーカ振動板としての物性バランスもよいた
め、紙に次いで多く使用されている。しかし、PPの比
重は0.9g/cm3 であり、紙よりも大きく、ヤング
率も低いため、剛性を高くするためにカーボンファイバ
ー等のフィラーで強化して使用しているが、更に比重が
大きくなるため、紙に比べると重くなり、感度が落ち、
高周波数帯域のエネルギーも出しにくい。
【0004】この点を改良するために、剛性を落とさず
に軽量化する手法が考えられ、実用化されてきた。
【0005】一例として、図9に示す真空成形による手
法があり、この手法は、同図(a)に示すように、予め
発泡させたシート50に対し熱を加えることによってシ
ート50が柔らかくなったら、同図(b)に示すよう
に、真空成形用金型23をエアーバキュームしながらシ
ート50に密着させて振動板の型成形を行うものであ
る。また、上記シート50を加熱冷却プレス法により成
形する手法もある。
【0006】ところが、このような発泡シートを使った
場合、シート50の表面に発泡層が露出するために外観
性が悪くなるばかりか、発泡層の形成によってシート5
0の表面に薄い膜状のPPが露出されてしまい、紫外線
劣化が非常に早い(耐光性が悪い)といった不具合があ
る。
【0007】このような不具合を解決するものとして、
射出成形による発泡成形が有効な手法と考えられる。
【0008】一般的に行われている発泡成形の手法は、
発泡剤を添加した樹脂を金型内に射出し、金型内で発泡
剤を発泡させる方法であるが、金型内で発泡剤が発泡で
きる空間を作る必要がある。発泡空間を作る手法とし
て、金型内に窒素ガス等を注入し、ガスを抜いて発泡空
間を作り出す方法や金型のキャビティに対してショート
ショットで材料を射出する方法等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の射出発泡成形による場合、ガスを注入する方法では
肉厚が4〜5mm以上ないと発泡の効果がなく、金型キ
ャビティに対してショートショットで材料を射出する方
法では先端部がショートモールドになり易く、しかも2
〜3mm以上の肉厚がないとほとんど発泡しないといっ
た問題がある。
【0010】このように、現在知られている射出発泡成
形方法のほとんどが厚肉製品を対象とした成形方法であ
り、最低でも3mm程度の肉厚をもった製品でしか効果
的な発泡成形を行うことができない。
【0011】以上の理由により、スピーカ振動板のよう
な薄肉製品(0.2〜0.5mm程度)を対象とする効
果的な発泡成形を可能とする技術はなかった。
【0012】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたもので、高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽
量化が図れ、且つ肉厚の薄い発泡成形体を成形すること
ができる発泡成形体の成形方法を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
発泡剤を含む樹脂を金型内に射出するとともに、射出充
填完了後に射出成形機の型締め力を落し、前記金型を所
定量だけ開けることにより、前記発泡剤を発泡させて、
発泡成形体を成形することを特徴とする。
【0014】請求項2記載の発明は、発泡剤を含むスピ
ーカ振動板用の樹脂を金型内に射出するとともに、射出
充填完了後に射出成形機の型締め力を落し、前記金型を
所定量だけ開けることにより、前記発泡剤を発泡させ
て、発泡成形体を成形することを特徴とする。
【0015】請求項3記載の発明は、前記金型内に前記
発泡剤を含む樹脂の流れを阻止する阻止手段を設け、前
記金型を所定量だけ開ける前に、前記阻止手段によって
前記樹脂の流れを阻止することを特徴とする。
【0016】請求項4記載の発明は、前記所定量は、
0.1〜1.5mmであることを特徴とする。
【0017】請求項5記載の発明は、前記金型を所定量
まで開ける速さは、0.001mm/ms以上であるこ
とを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明の発泡成形体の成形方法では、発泡剤を
含む樹脂を金型内に射出するとともに、射出完了後に型
締め圧力を落し、金型を所定量だけ開けることにより、
発泡剤を発泡させ発泡成形体を成形するようにしたの
で、現行技術では不可能であったたとえば振動板のよう
な肉厚が1mm以下の薄肉製品でも発泡剤の発泡を行わ
せることができる。すなわち、肉厚が2mm以下の薄肉
製品の場合、樹脂が金型内に射出されると、肉厚が薄い
ために製品の冷却固化時間が非常に早いこと、また、肉
厚重量を均一に制御するために高速、高圧射出が要求さ
れる。以上のことより、現在知られている射出発泡成形
の技術では2mm以下の薄肉成形品での軽量化を目的と
した射出発泡成形は不可能とされていた。
【0019】しかし、射出成形のプロセス情報等をもと
に型締め圧力を高速コントロールする射出成形機を用
い、充填完了から、樹脂が完全に固化する間に金型の型
締め圧力を落し、金型を所定量開かせて発泡剤を発泡さ
せることにより、薄肉製品でも表面にスキン層を有し中
間層が発泡した成形品を得ることが可能となった。
【0020】また、金型を所定量だけ開ける前に樹脂の
流れを阻止することで、金型の開放に伴う金型内への樹
脂の流入が阻止され、製品重量のばらつきが抑えられ
る。
【0021】更に、可動側金型と固定側金型間にたとえ
ばバネを埋め込み、型締め圧力を落としたときに、発泡
剤の発泡圧力以上の力で金型を開かせることにより更に
高発泡が可能となる。
【0022】したがって、樹脂に添加した発泡剤の発泡
によって発泡成形体が得られるため、比重が下げられる
ことから、薄肉製品でも剛性を下げずに軽量化が可能と
なる。
【0023】つまり、剛性がヤング率の1乗と厚さの3
乗に比例することにより、ヤング率の低い材料でも比重
を下げて厚さを増すことで剛性を高くすることができ、
カーボンファイバー等のフィラーの添加量を少なくする
ことができるので、内部損失の高い材料を使用すること
ができ、高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽量化
が図れる。更に、高価なフィラーの量を減らせることに
より、材料のコストが安くなる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例の詳細を図面に基づい
て説明する。図1は、本発明の発泡成形体の成形方法の
一実施例に係る射出成形機を示すものであり、図3に示
す成形特性を有している。
【0025】同図に示す射出成形機の金型20の可動プ
ラテン24に保持された可動側金型21と固定プラテン
25に保持された固定側金型22との締め圧は、金型締
め圧制御部30によって制御された型締めシリンダー1
0によってコントロールされている。固定側金型22の
射出口には、PP(ポリプロピレン)に発泡剤を添加し
た樹脂混合材を射出するための射出装置40の射出口が
差し込まれている。射出プロセス制御部31により制御
された射出条件により射出装置40がコントロールされ
ている。また、射出装置40側からは、成形プロセスの
情報が出力されるようになっており、その情報及び可動
プラテン24側の距離の情報等に応じて上記の金型締め
圧制御部30による金型締め圧制御が行われる。
【0026】続いて、以上のような構成の射出成形機に
より振動板を成形する場合について、図2を用いて説明
する。
【0027】まず、同図(a)に示すように、型締め機
構10によって金型20の可動側金型21と固定側金型
22とを閉じ、射出装置40からPP(ポリプロピレ
ン)に発泡剤を入れた樹脂混合材を射出する。このと
き、樹脂混合材の温度は、シリンダー10内で約200
℃に保たれている。また、金型20のキャビティ面の温
度は、約90℃に保たれている。更に、金型締め圧制御
部30によって制御されている型締めシリンダー10に
よる締め圧は、約75tに保たれている。このとき、金
型20の可動側金型21と固定側金型22とによって形
成されるキャビテイの一般厚みは約0.3mm程度とさ
れている。
【0028】またこのとき、同図(b)に示すように、
可動側金型21と固定側金型22との間のキャビティに
充填された樹脂混合材は、金型20に接している部分か
ら固化が始まりスキン層を形成し、溶融部分はスクリュ
ーから押し出される圧力と可動側金型21及び固定側金
型22により締め圧が掛かるため、分解した発泡剤のガ
スは圧縮されて発泡が抑制されながら固化が進んでい
く。
【0029】次いで、同図(c)に示すように、樹脂混
合材の充填完了直後、溶融部分の発泡剤の発泡圧力がま
わりのスキン層(固化部分)を押し広げるだけの力が残
っているうちに、金型締め圧制御部30によって制御さ
れている型締めシリンダー10による締め圧を瞬時に0
t近くまで落とすことにより、溶融部分の圧縮されてい
た発泡剤の分解ガスがまわりの樹脂を押し広げながら膨
らみ、発泡が開始される。
【0030】ここで、可動側金型21の型開きタイミン
グについて説明する。樹脂の充填が完全に終了する前に
型開きを行ってしまうと、樹脂混合材が金型20の可動
側金型21及び固定側金型22のキャビティ内部に入り
込み過ぎ、製品の重量が重くなってしまい、反対にタイ
ミングが遅いと樹脂の固化が進みすぎ、発泡剤が発泡で
きないまま完全固化してしまうため、この場合は射出開
始から0.4秒〜0.8秒後に型開きを行うことが好ま
しい。但し、これらの要件は、樹脂混合材の樹脂温度、
金型20の温度、製品肉厚、発泡剤の添加量等の条件に
より変わってくる。
【0031】上記の金型20を開く量は、約0.1〜
1.5mm程度であり、これを0.04〜0.05秒の
高速で開く必要があるため、金型20は約0.0020
〜0.0375mm/msの速度で開くように、発泡
剤、バネの力及び締め圧がコントロールされる。薄型の
発泡成形振動板を成型するには、約0.001mm/m
s以上の速度で金型を開くようにすれば十分である。
【0032】更に、金型20の可動側金型21と固定側
金型22との間にバネを埋め込み、型締め圧力を下げた
ときの可動側金型21の開放力を上げてやると、発泡倍
率を上げることができる。
【0033】ここで、この実施例で採用した射出成形機
や発泡剤等の具体例について説明すると、PP(ポリプ
ロピレン)としては、MA06三菱化学(株)のものを
用い、発泡剤としては、EE−205 永和化成工業
(株)のものを用い、配合比は発泡剤を0.1重量部と
した。射出成形機としては、ウルトラ75 住友重機械
工業(株)を用いた。
【0034】以上のような発泡成形体の成形方法によ
り、平均肉厚が0.5mmの円錐型コーン形状が得られ
た。また、得られた振動板は表面に0.1mm以下のス
キン層が形成された内部発泡体であり、耐光性及び外観
的にも優れている。
【0035】またここで、得られた成形品の特性につい
て説明すると、発泡倍率が1.7倍であり、比重が0.
54g/cm3 であり、ヤング率が2.7E9 N/m
2 であり、内部損失が0.091であった。
【0036】このように、この実施例では、型締め圧を
約75tとした固定側金型21と可動側金型22との間
のキャビティ内に射出装置40からPP(ポリプロピレ
ン)に発泡剤を入れた樹脂混合材を射出した後、固定側
金型21と可動側金型22との締め圧を0t近くにする
ことにより金型を開かせて発泡剤の発泡を行わせた。
【0037】したがって、スピーカ振動板用の樹脂に添
加した発泡剤の発泡によって発泡成形振動板が得られる
ため、比重が下げられることから、剛性を下げずに軽量
化を図ることが可能となる。
【0038】つまり、剛性がヤング率の1乗と厚さの3
乗に比例することにより、ヤング率の低い材料でも比重
を下げて厚さを増すことで剛性を高くすることができ、
カーボンファイバー等のフィラーの添加量を少なくする
ことができるので、内部損失の高い材料を使用すること
ができ、高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽量化
が図れる。更に、高価なフィラーの量を減らせることに
より、材料のコストが安くなる。
【0039】図4は、他の発泡成形体の成形方法に係る
射出成形機を示すものであり、図1の射出成形機とはシ
ャッター機構60及びこのシャッター機構60の動作を
制御するシャッター機構制御部70を備えている点で構
成が異なっている。なお、以下に説明する図において、
図1と共通する部分には同一符号を付し重複する説明を
省略する。
【0040】すなわち、射出完了後に、金型締め圧制御
部30によって型締め圧力が落とされる前に、シャッタ
ー機構制御部70によってシャッター機構60が駆動さ
れ、ゲート27の一部をつぶすことにより、製品部28
に流れ込む樹脂が阻止されるようになっている。
【0041】ちなみに、シャッターにより樹脂の流入を
防ぐ部分は、スプルー26、ゲート27、ランナー等の
どの部分でもよいが、製品部28に近い方がより効果的
である。
【0042】続いて、このような構成の射出成形機によ
り振動板を成形する場合について説明する。
【0043】まず、図5に示すように、上記の型締め機
構10によって金型20の可動側金型21と固定側金型
22とが閉じられ、上記の射出装置40からPP(ポリ
プロピレン)に発泡剤を入れた樹脂混合材が射出され
る。このとき、樹脂混合材の温度は、シリンダー10内
で約230℃に保たれている。また、金型20のキャビ
ティ面の温度は、約95℃に保たれている。更に、金型
締め圧制御部30によって制御されている型締めシリン
ダー10による締め圧は、上記同様に、約75tに保た
れている。
【0044】このとき、金型20の可動側金型21と固
定側金型22とによって形成されるキャビテイの製品部
28の一般厚みは、約0.25mm程度とされている。
またこのとき、可動側金型21と固定側金型22との間
のキャビティに充填された樹脂混合材は、金型20に接
している部分から固化が始まりスキン層が形成され、溶
融部分はスクリューから押し出される圧力と可動側金型
21及び固定側金型22により締め圧が掛かるため、分
解した発泡剤のガスは圧縮されて発泡が抑制されながら
固化が進んでいく。
【0045】このとき、金型締め圧制御部30によって
射出完了後に型締め圧力が落とされる前に、図6に示す
ように、シャッター機構制御部70によってシャッター
機構60のシャッター駆動用シリンダー62が駆動さ
れ、シリンダー61が押し出されることにより、ゲート
27と製品部28とのキャビティが隔離され、スプルー
26を介してのキャビティ内部への樹脂混合材の流れ込
みが阻止される。
【0046】次いで、図7に示すように、溶融部分の発
泡剤の発泡圧力がまわりのスキン層(固化部分)を押し
広げるだけの力が残っているうちに、金型締め圧制御部
30によって制御されている型締めシリンダー10によ
る締め圧を瞬時に0t近くまでとすることにより、溶融
部分の圧縮されていた発泡剤の分解ガスがまわりの樹脂
を押し広げながら膨らみ、発泡が開始される。
【0047】ここで、シャッター機構60の動作の有無
によって生じる差異を、図8を用いて説明する。ちなみ
に、同図は、未発泡時の平均肉厚が0.25mm、面積
が約200cm2 のスピーカ用振動板を発泡させたとき
の例であり、同図における金型20の開き開始時間及び
シャッター機構60の動作開始時間は、共に射出開始時
間からの経過時間を示すものであって、射出時間は全て
0.26秒としている。
【0048】また、金型20を開かないときの製品重量
は4.7gであり、これが基準重量であって、増えた分
は金型20を開いたときにキャビティ内部に入り込んだ
樹脂混合材の重量である。
【0049】すなわち、同図から解る通り、射出開始時
から0.31秒〜0.37秒経過した時点で金型20を
開けた場合には、樹脂混合材の発泡状態が良好である
が、シャッター機構60を動作させない場合には、製品
(スピーカ用振動板)の重量にばらつきを生じている。
これは、射出完了後から金型20を開くまでの時間を短
くする程、金型20を開いたときに入ってくる余分な樹
脂混合材が多くなり、製品(スピーカ用振動板)の重量
が重くなってしまうためであり、逆に金型20を開くま
での時間を長くすると、重量は未発泡時の重量に近づい
ていくが、製品部28の硬化が進み、発泡不良になって
くるためである。また、金型20を開く時間が1/10
0秒違っただけで製品(スピーカ用振動板)の重量に差
がでるため、重量のばらつきが大きくなる。
【0050】これに対し、射出開始時からたとえば0.
31秒経過した時点でシャッター機構60を動作させた
場合、製品(スピーカ用振動板)の重量が4.8〜4.
9gで安定していることが解る。すなわち、上述した製
品(スピーカ用振動板)の基準重量である4.7gに対
して0.1〜0.2g程度の重量増加でとどめられてい
ることが解る。
【0051】また、金型20を開く量は、約0.1〜
1.5mm程度(この実施例では600μmとしてい
る)であり、これを0.04〜0.05秒の高速で開く
必要があるため、上述したように、金型20は約0.0
020〜0.0375mm/msの速度で開くように、
発泡剤、バネの力及び締め圧がコントロールされ、薄型
の発泡成形振動板を成型するには、約0.001mm/
ms以上の速度で金型を開くようにすれば十分である。
【0052】更に、上述したように、金型20の可動側
金型21と固定側金型22との間にバネを埋め込み、型
締め圧力を下げたときの可動側金型21の開放力を上げ
てやることにより発泡倍率を上げることができる。
【0053】ここで、この実施例で採用した射出成形機
や発泡剤等の具体例について説明すると、樹脂として
は、カーボンファイバー,マイカ強化PP 三菱化学
(株)のものを用い、発泡剤としては、EE−206
永和化成工業(株)のものを用い、配合比は発泡剤を
0.1重量部とした。射出成形機としては、ウルトラ2
20t 住友重機械工業(株)を用いた。
【0054】以上のような発泡成形体の成形方法によ
り、平均肉厚が0.60mmの円錐型コーン形状が得ら
れた。また、得られた振動板は表面に0.1mm以下の
スキン層が形成された内部発泡体であり、耐光性及び外
観的にも優れている。
【0055】ここで、得られた成形品の特性について説
明すると、発泡倍率が約2.4倍であり、比重が0.3
9g/cm3 であり、ヤング率が2.8E9 N/m2
であり、内部損失が0.08であった。
【0056】このように、この実施例では、型締め圧を
約75tとした固定側金型21と可動側金型22との間
のキャビティ内に射出装置40からPP(ポリプロピレ
ン)に発泡剤を入れた樹脂混合材を射出した後、金型締
め圧制御部30によって型締め圧力が落とされる前に、
シャッター機構制御部70によりシャッター機構60の
シャッター駆動用シリンダー62を駆動してシリンダー
61を押し出し、ゲート27と製品部28とのキャビテ
ィを隔離し、スプルー26を介してのキャビティ内部へ
の樹脂混合材の流れ込みを阻止し、その後、固定側金型
21と可動側金型22との締め圧を0t近くにすること
により金型を開かせて発泡剤の発泡を行わせた。
【0057】したがって、金型20が開けられる際に流
れ込むキャビティ内部への樹脂混合材が阻止されるの
で、製品(スピーカ用振動板)の重量のばらつきを抑え
ることができる。
【0058】なお、以上の各実施例では、射出成形品と
してスピーカ用振動板を成形した場合について説明した
が、この例に限らず、たとえば車のドアパネルやスピー
カフレーム等のように軽量、高剛性が要求される他の部
材を成形するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の発泡成形
体の成形方法によれば、発泡剤を含む樹脂を金型内に射
出するとともに、射出完了後に金型を所定量だけ開けた
り、或は金型を所定量だけ開ける前に、金型内に流入す
る樹脂を阻止し、発泡剤を発泡させて発泡成形体を成形
するようにしたので、現行技術では不可能であった振動
板のような肉厚が1mm以下の薄肉製品でも発泡剤の発
泡を行わせることができる。
【0060】また、剛性がヤング率の1乗と厚さの3乗
に比例することにより、ヤング率の低い材料でも比重を
下げて厚さを増すことで剛性を高くすることができるた
め、カーボンファイバー等のフィラーの添加量を少なく
することができるので、内部損失の高い材料を使用する
ことができ、高剛性及び高内部損失を損なうことなく軽
量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡成形体の成形方法の一実施例に係
る射出成形機を示すものである。
【図2】図1の射出成形機による振動板の成形方法につ
いて説明するための図である。
【図3】図1の射出成形機による成形特性を示す図であ
る。
【図4】図1の射出成形機の構成を変えた場合の他の発
泡成形体の成形方法を説明するための図である。
【図5】図4の射出成形機による振動板の成形方法につ
いて説明するための図である。
【図6】図4の射出成形機による振動板の成形方法につ
いて説明するための図である。
【図7】図4の射出成形機による振動板の成形方法につ
いて説明するための図である。
【図8】図4の射出成形機におけるシャッター機構の動
作の有無によって生じる差異を説明するための図であ
る。
【図9】従来の発泡シートの真空成形方法について説明
するための図である。
【符号の説明】
10 型締めシリンダー 20 金型 21 可動側金型 22 固定側金型 23 真空成形用金型 24 可動プラテン 25 固定プラテン 28 製品部 30 金型締め圧制御部 31 射出プロセス制御部 40 射出装置 50 発泡シート 60 シャッター機構 61 シリンダー 62 シャッター駆動用シリンダー
フロントページの続き (72)発明者 村山 文雄 山形県天童市大字久野本字日光1105番地 東北パイオニア株式会社内 (72)発明者 中園 次郎 山形県天童市大字久野本字日光1105番地 東北パイオニア株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡剤を含む樹脂を金型内に射出すると
    ともに、射出充填完了後に射出成形機の型締め力を落
    し、前記金型を所定量だけ開けることにより、前記発泡
    剤を発泡させて、発泡成形体を成形することを特徴とす
    る発泡成形体の成形方法。
  2. 【請求項2】 発泡剤を含むスピーカ振動板用の樹脂を
    金型内に射出するとともに、射出充填完了後に射出成形
    機の型締め力を落し、前記金型を所定量だけ開けること
    により、前記発泡剤を発泡させて、発泡成形体を成形す
    ることを特徴とする発泡成形体の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記金型内に前記発泡剤を含む樹脂の流
    れを阻止する阻止手段を設け、前記金型を所定量だけ開
    ける前に、前記阻止手段によって前記樹脂の流れを阻止
    することを特徴とする請求項1又は2記載の発泡成形体
    の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記所定量は、0.1〜1.5mmであ
    ることを特徴とする請求項1、2又は3記載の発泡成形
    体の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記金型を所定量まで開ける速さは、
    0.001mm/ms以上であることを特徴とする請求
    項1、2、3又は4記載の発泡成形体の成形方法。
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