JP4257654B2 - 樹脂成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に開示された方法によれば、型締め動作により固定型と可動型との間の隙間が所定の大きさになるまで型締めした後、型締動作を一時停止させた状態で表皮材と固定型との空間にコア材樹脂を射出充填し、充填開始とともに可動型を所定位置まで型開する。そして型開の後、再度型締することにより表皮材で表面加飾した風合いの優れた樹脂成形品が成形できることが記載されている。
泡性樹脂を射出する際において金型キャビティ内に空気や二酸化炭素等のガスを供給し、金型キャビティ容積を拡大する樹脂の発泡時にガスを排出する方法が開示されている。
この特許文献2に開示された方法によれば、射出時に金型キャビティ内に供給したガスの圧力で、発泡性脂材料の脱泡を抑えて発泡ムラが防止できることが記載されている。
そして、特許文献2には、金型キャビティ内にガスを供給し、また、排出する方法が開示されているものの、どのような供給圧力や排出タイミングが適切であるかについては記載されていない。
更に、前記金型キャビティに設けた該ガスの排出位置が、金型内樹脂の最終流動位置であることがより好ましい。
一方、金型キャビティ内のガス排出完了タイミングをコア材樹脂の金型キャビティ充填完了のタイミングと略同一としたのは、排出開始タイミングが早い場合はコア材樹脂流動途中に金型キャビティ内の圧力が発泡圧力より小さくなり脱泡の抑制効果が持続できずに脱泡し、また、排出開始タイミングが遅い場合は金型キャビティ容積の拡大によるコア材樹脂の発泡時に押圧力として作用してコア材樹脂が発泡膨張できないことにより発生する発泡ムラを防止することにある。
更に、金型キャビティに設けたガスの排出位置を、金型内樹脂の最終流動位置としたので、金型キャビティ内のガスまたは空気を十分に排出することができ、コア材樹脂の発泡ムラを防止してより良好な風合いと外観を有する樹脂成形品を安定して得ることができる。
図1〜図2は本発明の実施形態に係り、図1は本発明の方法を実施するための射出成形装置の全体構成を概略的に示す説明図である。図2は、本発明の型締め動作および金型キャビティ内のガス圧力変化を説明するためのタイムチャート図であり、横軸が時間を表し、縦軸が可動型の位置およびガス圧力を示している。
一方、射出装置30は、射出ユニット40とスクリュ移動手段41およびスクリュ回転手段42などで構成されている。
そして、ガス供給装置60は、ガス源61と開閉弁62、63や図示しない圧力調整弁や安全弁などを備えている。
そしてまた、例えば、成形品の押出しピン用摺動孔部にはOリングなどのシールが設けられ、金型キャビティに注入したガスが金型10から漏れ出すことがない構成となっている。
本発明の成形方法は、下記の工程を備えている。
(a)固定型3と可動型4とを備えた一対の成形金型の間に表皮材5をセットするセット工程。
(b)表皮材5のセット工程後に、固定型3と可動型4との両型隙間が第1所定値(S0)まで型締めし第1所定値(S0)を保持する第1型締工程。
(c)型締め完了の後に、金型キャビティ内にガスを注入するガス注入工程。
(d)ガスの圧力検知の後に、金型キャビティ内にコア材樹脂を射出充填する射出工程。
(e)射出工程開始から所定時間(t1)経過後に、可動型4を最終型締位置まで型締めする第2型締工程。
(f)射出工程開始から所定時間(t2)経過後に、金型キャビティ内のガスを排出するガス排出工程。
(g)第2型締工程の後に、固定型3と可動型4との両型隙間が第2所定値(S1)まで型開きし、第2所定値(S1)を保持するコア材樹脂の発泡工程。
(h)発泡工程の後に、固定型3と可動型と4の両型隙間が第3所定値(S2)まで型開きし、第3所定値(S2)を保持する工程。
(i)第3所定値(S2)を保持する工程の後に、金型10を開いて樹脂成形品を取出す工程。
図2は、本発明の型締め動作および金型キャビティ内のガス圧力変化を説明するためのタイムチャートであり、横軸が時間を表し、縦軸が可動型の位置およびガス圧力を示している。
本発明の成形方法で融着一体化する加飾層を有した表皮材として、例えばソフト感を必要とする場合にはポリプロピレン発泡シート(厚さ2mm、発泡倍率15倍)の表面にサーモプラスチックオレフィン(厚さ0.5mm)シートを貼った積層シート(厚さ2.5mm)などを用いる。また、起毛手触り感を必要とする場合にはポリエチレンテレフタレート繊維を使った織布(起毛4〜5mm)の表皮材や、ポリエチレンテレフタレート繊維を使った織布の裏面にポリウレタン発泡シート(2〜3mm)を貼った積層シートなどを用いる。
前述のブリッジ効果とは以下のようなものである。
即ち、固定型3側から射出されたコア材樹脂が表皮材5と金型キャビティ面の両方に接触して、表面張力現象に類似した状況でコア材樹脂のドローダウンを防止するものである。
また、コア材樹脂充填中の金型キャビティ内の圧力はコア材樹脂の発泡圧力と略同一圧力に維持されることが好ましい。金型キャビティ内の圧力をコア材樹脂の発泡圧力と略同一圧力としたのは、圧力が発泡圧力より高い場合はコア材樹脂流動先端からの脱泡の抑制には効果があるが押圧力として作用しコア材樹脂が発泡膨張できないとともに、コア材樹脂の流動を低下させる。また、圧力が発泡圧力より低い場合はコア材樹脂流動先端からのガス脱泡の抑制効果がなく必要な発泡ガス量が得られないことにより発生する発泡ムラを防止することにある。
本発明においては、コア材樹脂充填中の金型キャビティ内圧力がコア材樹脂の発泡圧力と略同一となるように維持することで発泡ガスの脱泡を抑制し、発泡ガスの不足による発泡ムラを防ぐのである。また、圧力検出器を固定型3に取り付けた構成としたが、ガス供給装置60または、ガス供給装置60と金型10との配管経路に取り付けた構成であっても良い。
また、金型キャビティ内の圧力維持を開閉弁62、63の開閉動作で行なう構成としたが、圧力調整弁(例えば、リリーフ弁)などを用いた構成であっても良い。
そして、発泡剤には重炭酸ソーダに代表される無機発泡剤やアゾジカルボンアミド(ADCA)に代表される有機発泡剤の化学発泡剤が好適に使用される。発泡剤の形態は粉末状であっても、またマスターバッチ状としたものであっても好適に使用することができる。
また、二酸化炭素や窒素などの不活性ガスを直接樹脂に混合して発泡剤としても良い。
そして、射出充填開始から充填完了の間において、金型キャビティ内のガス圧力が射出充填および型締動作に応じてコア材樹脂の発泡圧力と略同一となるように維持されている。
また、金型キャビティ内のガスの排出開始を射出工程開始から所定時間(t2)の経過後とする方法としたが、例えば、可動盤2の位置を検出して排出を開始する方法や、金型10内に組み込まれた樹脂圧力センサなどでコア材樹脂の充填挙動を検知して排出を開始する方法であっても良い。
そして、金型キャビティに設けたガスの排出位置を金型内樹脂の最終流動位置としたので、金型キャビティ内にガスもしくは空気が滞留することがない。
そして、発泡工程における発泡セル層の品質制御は第2所定位置(S1)までの型開速度を調整することによって行なう。また、コア材樹脂の発泡工程における型開速度の制御は、必要に応じて速度を多段階に調整できる多段型開制御としても良い。
このようにして、発泡セル層を有したコア材樹脂と表皮材5との一体の樹脂成形品を得ることができるのである。
特に、表面層に起毛層を有する表皮材5の成形においては起毛層の毛倒れが回復し、起毛層の毛倒れによる風合いの消失をより確実に防止することができる。
以上により、1サイクル成形が完了する。
図1に示す射出成形装置100により、次のような材料を用い、以下の条件を設定して成形を行なった。
(1)表皮材はポリプロピレン発泡シート(厚さ2mm、発泡倍率15倍)の表面にサーモプラスチックオレフィン(厚さ0.5mm)シートを貼った積層シート(厚さ2.5mm)を使用。
(2)コア材はポリプロピレン(PP)樹脂を使用、発泡前の樹脂厚み=1.5mmとした。
(3)発泡剤は無機発泡剤のマスターバッチを3質量%の割合でコア材樹脂に混合して使用。
(4)金型温度は30〜40℃に設定した。
(5)樹脂温度は190〜200℃に設定した。
(6)第1所定位置(S0)を20〜30mm、第2所定位置(S1)を1.5mm、第3所定位置(S2)を4.0〜4.5mmとした。
(7)成形品は950x580mmのドアトリム(自動車内装部品)とした。
使用した成形装置、成形品、成形条件などは以下に示す表皮材を除いて実施例1と同じである。
(1)表皮材はポリプロピレンレンシート(厚さ0.15mm)などの表面にポリエチレンテレフタレート繊維の起毛層(4.0〜4.5mm)を形成した2層シートを使用した。
金型キャビティ内にコア材樹脂の発泡圧力と略同一の1.0MPaの圧力で二酸化炭素を注入し、コア材樹脂の金型キャビティ充填完了の略同一タイミングで二酸化炭素を排出完了するとともに、金型キャビティの容積を拡大して発泡させ、コア材樹脂発泡完了後に、金型キャビティ面と表皮材との間に隙間を設けたので、起毛層の毛倒れがなく良好な風合いと外観、発泡セル層を有した発泡厚み3.0mm(発泡倍率=2倍、軽量化=35%)の樹脂成形品を安定して得ることができた。
また、金型キャビティ内のガスまたは空気の排出完了タイミングをコア材樹脂の金型キャビティ充填完了の略同一としたので、ガスの排出完了タイミングが早いことによる発泡ガスの脱泡による発泡ムラや、ガスの排出完了タイミングが遅いことによりコア材樹脂が発泡膨張できず発泡ムラとなることもない。
そして、金型キャビティに設けたガスもしくは空気の排出位置を、金型内樹脂の最終流動位置としたので、金型キャビティ内のガスの排出が確実で残留がなく、表皮材の風合いに優れた良好な外観と、発泡セル層を有する樹脂成形品を得ることができる。
これにより、コア材樹脂の賦形と同時に、コア材樹脂の表面に加飾層を有する表皮材を融着一体化した後にコア材樹脂を発泡させる成形を行なっても、コア材樹脂が所望する発泡セル層を形成することから、表皮材が風合いを損なうこともなく良好な外観と発泡セル層を有した樹脂成形品を得ることができる。
2 可動盤
3 固定型
4 可動型
5 表皮材
10 金型
20 型締装置
30 射出装置
60 ガス供給装置
70 制御装置
100 射出成形装置
S0 第1所定位置
S1 第2所定位置
S2 第3所定位置
S3 型開位置
Claims (2)
- 対向する固定型と可動型とを備えた一対の成形金型の間に表皮材をセットし、該表皮材と該一対の成形金型とで形成される金型キャビティ内に発泡剤を含むコア材樹脂を射出充填して該表皮材と該コア材樹脂とを一体化させた後に、金型キャビティ容積を拡大して該コア材樹脂を発泡させる樹脂成形品の成形方法において、
該表皮材をセット後に、該固定型と可動型との両型隙間が第1所定値(S0)まで型締めし、該第1所定値(S0)を保持する第1型締工程と、
該型締め完了の後に、該金型キャビティ内にガスを注入するガス注入工程と、
該ガスの圧力検知の後に、該金型キャビティ内に該コア材樹脂を射出充填する射出工程と、
該射出工程の開始から所定時間(t1)経過後に、該可動型を最終型締位置まで型締めする第2型締工程と、
該射出工程の開始から所定時間(t2)経過後に、該金型キャビティ内の該ガスを排出するガス排出工程と、
該第2型締工程の後に、該固定型と可動型との両型隙間が第2所定値(S1)まで型開きし、該第2所定値(S1)を保持する該コア材樹脂の発泡工程と、を備え、
コア材樹脂充填中の金型キャビティ内のガスもしくは空気の圧力を該コア材樹脂の発泡圧力と略同一に維持するとともに、該金型キャビティ内のガスの排出完了タイミングを該コア材樹脂の金型キャビティ充填完了のタイミングと略同一とし、前記発泡工程の後に、該固定型と可動型との両型隙間が第3所定値(S2)まで型開きし、該第3所定値(S2)を保持する工程を備えたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。 - 前記金型キャビティに設けた該ガスの排出位置を金型内樹脂の最終流動位置としたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の成形方法。
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