JPH08206136A - 生体吸収性バリヤー膜 - Google Patents

生体吸収性バリヤー膜

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JPH08206136A
JPH08206136A JP7291661A JP29166195A JPH08206136A JP H08206136 A JPH08206136 A JP H08206136A JP 7291661 A JP7291661 A JP 7291661A JP 29166195 A JP29166195 A JP 29166195A JP H08206136 A JPH08206136 A JP H08206136A
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barrier film
bioabsorbable
fatty acid
acid
ester
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Yoshito Ikada
義人 筏
Jiyoukou Gen
丞烋 玄
Takao Kubota
隆夫 窪田
Ikuo Kyotani
郁男 京谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体吸収性バリヤー膜の生体吸収を低下させ
ると共に血液の浸透速度を抑制することによって物性を
向上させ、主に縫合時の縫合糸による膜の引き裂けを防
止し、口腔内組織との識別を容易にする。 【解決手段】 生体吸収性バリヤー膜の表面をモノエス
テル,ジエステル及びポリエステルより成る群から選ば
れた1種のエステル又は2種以上のエステルの混合物で
から成るショ糖脂肪酸エステルで被覆して組織(歯根
膜、骨等)再生用のバリヤー膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科,口腔外科等
の医療分野において組織誘導等の目的で有効に利用され
る組織再生用の生体吸収性バリヤー膜に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】歯根膜組織の増殖を邪魔する他の組織を
ブロックし、歯根膜組織が増殖できるスペースを与える
バリヤー膜の使用により、歯根膜を再生させるGTR法
(組織再生誘導法)が歯科で一般に採用されている。最
近ではインプラント治療分野で骨を再生させる方法(G
BR法)も行われている。このバリヤー膜としてはテフ
ロン膜が用いられ成果をあげているが、テフロン膜は生
体にとって異物であって組織反応もあるため、治療のた
めの手術後に除去のための再手術が必要となる。これは
患者にとっても術者にとっても大きな負担となってい
る。
【0003】そこで最近ではこの非吸収性のテフロン膜
に代わる生体吸収性バリヤー膜として、生体吸収性の合
成高分子材料やコラーゲン等が用いられ始めている。生
体吸収性の合成高分子材料としては、乳酸/グリコール
酸共重合体,乳酸ホモポリマー,乳酸/ε−カプロラク
トン共重合体等がある。
【0004】生体吸収性バリヤー膜に望まれる性質とし
ては、バリヤー膜が歯面に容易に密着適合し、上皮の深
行増殖を阻止すること、新付着形成のためのスペースを
確保できる一定の強度や弾性率を有すること、養分など
の体液の通過や柔軟性付与のため多孔質膜であること、
血液が付着しても口腔内の組織と識別できること、など
が必要である。また歯根膜組織が再生されるまでの間、
バリヤー膜の形状が保たれ、治療後は異物として生体内
に残存することなく速やかに分解吸収され消失してしま
うことも必要である。しかるに従来の生体吸収性バリヤ
ー膜では、強度,物性等と加水分解性即ち生体分解性と
を同時にコントロールすることが難しく、特に血液の浸
透による引張り強度の低下で縫合時に膜が裂ける問題、
同じく血液の浸透による変色で口腔内組織との識別が難
しい問題や、生体吸収性により微細孔が拡大するために
拡大した微細孔への細胞の浸透の問題等が指摘され、満
足な材料が無いのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の生
体吸収性バリヤー膜の欠点を除去し、血液の浸透による
引張り強度の低下で縫合時に膜が裂ける問題、同じく血
液の浸透による変色で口腔内組織との識別が難しい問題
や、生体吸収性により拡大した微細孔への細胞の浸透の
問題等が生じない生体吸収性バリヤー膜を提供すること
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、前述した如き生体吸収性バ
リヤー膜の力学的性質と吸収性をコントロールするた
め、生体吸収性バリヤー膜の表面をショ糖脂肪酸エステ
ルで被覆すれば、生体分解を遅延させ、また血液の浸透
速度を抑制できて縫合時の引き裂きの防止さらに口腔内
組織との識別の確保に役立つことを見出した。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるショ糖脂肪酸
エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルであり、モノ
エステル,ジエステル及びポリエステルのいずれも使用
可能であり、これらが混在した状態であってもよい。脂
肪酸は、ステアリン酸,パルミチン酸,ラウリン酸及び
ミリスチン酸が好ましく、これらは単独で用いてもよい
し2つ以上組み合わせてもよい。また、これらの高級脂
肪酸と酢酸,酪酸など低級の脂肪酸とを混合した脂肪酸
を用いることもできる。このようなショ糖脂肪酸エステ
ルは食品用の乳化剤,起泡剤,分散剤などの分野に広く
使用されており、非常に安全性が高いことが確認されて
いる。
【0008】生体吸収性バリヤー膜の表面をショ糖脂肪
酸エステルで被覆する方法としては、ショ糖脂肪酸エス
テルをヘキサン溶媒に溶解し、これにポーラス構造にし
た生体吸収性バリヤー膜を浸漬し、次に溶媒を揮発する
ことにより行えばよい。溶媒としてはこの他にアルコー
ル,ヘプタン等のバリヤー膜を溶解せず、ショ糖脂肪酸
エステルを溶解するものであれば使用することができ
る。被覆量は溶媒中のショ糖脂肪酸エステルの濃度を変
えることによって調節できるが、濃度の低い場合は被覆
の回数を2回以上繰り返して行ってもよい。被覆量とし
ては所望の性能を与える最小限の被覆を施すのが好まし
く、この量は実験的に容易に求めることができる。
【0009】
【実施例】
実施例1 生体内分解吸収性バリヤー膜として乳酸/グリコール酸
共重合体から成り、ポアサイズ径が23μm(平均)のも
のを用いた。またショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪
酸がステアリン酸とパルミチン酸の組み合わせになって
いるものを使用した。被覆方法は前記ショ糖脂肪酸エス
テルをヘキサンを溶媒として10wt%の溶液を作り、これ
に前記バリヤー膜を浸漬し、溶媒を揮発させることによ
り被膜処理を行い、ポアサイズ径が20μm(平均)を有
するバリヤー膜を作製した。
【0010】実施例2 実施例1と同じバリヤー膜を用い、ショ糖脂肪酸エステ
ルとしては脂肪酸がステアリン酸とパルミチン酸と酢酸
の組み合わせから成っているものを用いた。被覆方法は
実施例1と同じ方法により行い、ポアサイズ径が20μm
(平均)を有するバリヤー膜を作製した。
【0011】比較例 生体内分解吸収性バリヤー膜として実施例1と同じ乳酸
/グリコール酸共重合体から成り、ポアサイズ径が20μ
m(平均)を用い、ショ糖脂肪酸エステルでの被覆処理
を行わないものを準備した。
【0012】上記実施例1及び2と比較例とについて、
外観試験、引張り強度試験と細胞透過試験とを行い、そ
の結果を表1に示した。引張り強度試験は、東洋ボール
ドウィン社製万能試験機Tensilon/UTM-4-100を用いて引
張り速度100mm/min,温度25℃,相対湿度65%の環境下
で行った。試料の大きさは長さ5cm,幅1cm,厚さ200
μmで、犬の血液に試料を浸漬する前と5分間浸漬した
後とにおいて測定した。外観試験は、引張試験用試料の
浸漬5分後の血液の浸透状態を肉眼で観察した。
【0013】また細胞透過試験は、生体内分解吸収によ
る微細孔の変化(拡大)を調べるために、以下の手順で
実施した。即ち、試料は生体吸収性バリヤー膜を長さ2
cm,幅2cm,厚さ200μmに裁断したものを使用し,10%
ウシ胎児血清添加DMEMに3,7,15,21日間浸
した。その後、細胞透過試験用装置(製品名:「10穴
ケモタキシスチャンバー」,製造元:NEURO PROBE社,
販売元:家田貿易)に各期間浸した生体吸収性バリヤー
膜合体膜を介在させ、培養細胞(5.2×103個)を播種し
10%ウシ胎児血清添加DMEMにて1週間培養した。そ
の後、細胞を2%パラホルムアルデヒドにて固定し、ヘ
マトキシリン染色し乳酸−グリコール共重合体膜の裏側
に付着している細胞を倒立型顕微鏡にて観察した。細胞
数をgrid(1×1mm2)を用いて測定し、細胞通過率
(%)を、〔(膜表面に付着している細胞数)/(初めに
播種した細胞数)〕×100にて求めた。
【0014】
【表1】
【0015】この表1から明らかなように、本発明に係
る生体吸収性バリヤー膜は血液浸漬後も引張り強度は殆
ど低下せず、血液の浸透による変色がなく、また細胞浸
透性を著しく遅らせる効果があり、比較例(未処理)に
比べて著しく優れていることが確認できた。
【0016】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明に係る生体吸
収性バリヤー膜は、ショ糖脂肪酸エステルで被覆された
ことによって血液浸透後の強度低下がなく、従来指摘さ
れていた縫合時の縫合糸による裂け防止に優れており、
血液の浸透による変色がなく、また膜の生体吸収速度を
抑制し、生体吸収による微細孔の拡大を一定期間防止す
るため細胞遮断効果が著しく優れているのであり、その
結果歯科,口腔外科等の医療分野において組織誘導等の
目的で組織再生を行うのに有効に利用できるので歯科,
口腔外科等の医療分野に貢献する価値の非常に大きなも
のである。
フロントページの続き (72)発明者 京谷 郁男 埼玉県北本市深井6−127 スカイハイツ 809号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体吸収性バリヤー膜がショ糖脂肪酸エ
    ステルで被覆されていることを特徴とする生体吸収性バ
    リヤー膜。
  2. 【請求項2】 ショ糖脂肪酸エステルが、モノエステ
    ル,ジエステル及びポリエステルより成る群から選ばれ
    た1種のエステル又は2種以上のエステルの混合物であ
    る請求項1に記載の生体吸収性バリヤー膜。
  3. 【請求項3】 ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステ
    アリン酸,パルミチン酸,ラウリン酸及びミリスチン酸
    より成る群から選ばれた1種又は2種以上の脂肪酸であ
    る請求項2に記載の生体吸収性バリヤー膜。
  4. 【請求項4】 ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステ
    アリン酸,パルミチン酸,ラウリン酸及びミリスチン酸
    よる群から選ばれた1種又は2種以上の脂肪酸と低級脂
    肪酸との混合脂肪酸である請求項2に記載の生体吸収性
    バリヤー膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011062356A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Gc Corp 生体吸収性組織再生誘導膜及びその作製方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011062356A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Gc Corp 生体吸収性組織再生誘導膜及びその作製方法

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