JPH08203396A - パッファ形ガス遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電界値が高い冷却筒の端部で絶縁耐力が低下
するのを防止する。 【構成】 固定主コンタクトと固定アーキングコンタク
トとを支持する冷却筒２１における絶縁ガスの出口側の
端部に内筒３１を設けて内筒３１と冷却筒２１との内周
面にらせん状の溝３５，３４を形成し、冷却筒２１にお
ける内筒３１と対応する部分に貫通孔３６を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パッファ室の絶縁ガス
をアークに吹き付けて消弧するパッファ形ガス遮断器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】電力用遮断器として、パッファ形ガス遮
断器が用いられる。

【０００３】従来のパッファ形ガス遮断器の構造を図２
に示す、図のように、パッファ形ガス遮断器は絶縁ガス
を充填したタンク６内に収容した固定ユニット１と可動
ユニット２とで構成される。固定ユニット１は、中空の
冷却筒２１と、冷却筒２１の一端に設けた複数の固定主
コンタクト３と、その内部中央に支持部１８を介して設
けた固定アーキングコンタクト４とで構成される。２０
は導体、２７はコンタクトである。

【０００４】一方、可動ユニット２は、支持碍子１６を
介して固定部１５に取り付けられるとともにコンタクト
２８を介して導体２３と接続された支持導体２２と、連
結軸５を介して駆動手段に連結されるとともに先端部に
可動アーキングコンタクト７を有し支持導体２２に対し
て摺動自在に図中の左右方向へ駆動される駆動ロッド８
と、駆動ロッド８の先端に一体的に形成されるとともに
駆動ロッド８との間にパッファ室９を形成するパッファ
シリンダ１０と、可動アーキングコンタクト７を覆うよ
うにしてパッファシリンダ１０に嵌合されるとともに中
間部に固定アーキングコンタクト４を挿通するための挿
通孔１１を有し、かつ可動アーキングコンタクト７に被
せた流路ガイド７ａとの間に流路１２を形成する絶縁ノ
ズル１３と、パッファシリンダ１０の先端に形成した可
動主コンタクト１４と、駆動ロッド８とパッファシリン
ダ１０との間に摺動自在に設けられるとともに中空ロッ
ド１７ｂを介して支持導体２２に固定されたピストン１
７と、冷却筒２１と支持導体２２とにわたって設けられ
た絶縁筒２９とで構成される。駆動ロッド８，支持導体
２２には絶縁ガスが通る連通孔８ａ，１７ａが形成され
ている。ここで、コンタクトを主コンタクトとアーキン
グコンタクトとに分けたのは、適正な使用ができるよう
に機能分散を図ったものである。

【０００５】斯るパッファ形ガス遮断器においては、駆
動ロッド８が図２中の左方へ駆動されて投入する際に、
挿通孔１１，連通孔１７ａ，８ａからパッファ室９に絶
縁ガスが吸入される。投入が終了すると、図３（ａ）に
示すように固定主コンタクト３と可動主コンタクト１４
とが接触しかつ固定アーキングコンタクト４と可動アー
キングコンタクト７とが接触し、パッファ室９には絶縁
ガスが充満する。投入状態から駆動ロッド８を右方へ駆
動すると、その初期から中期にかけては固定アーキング
コンタクト４と可動アーキングコンタクト７との間に生
じるアークによって絶縁ガスが加熱され、この加熱され
て膨張した絶縁ガスが図３（ｂ）に示すようにパッファ
室９の内部へ移動して溜まり、パッファ室９内の圧力が
上昇する。このあと更に駆動ロッド８が右方へ移動する
と、図３（ｃ）に示すように絶縁ノズル１３から固定ア
ーキングコンタクト４が抜けるとパッファ室９に溜まっ
た絶縁ガスが膨張して流路１２を介してアーク１９に吹
きつけられ、アーク１９は冷却されて消弧される。その
後、絶縁ガスは絶縁ノズル１３から放出されたり、中空
部８ｂと中空ロッド１７ｂの内部を介してタンク６内へ
放出される。

【０００６】図３（ｂ）の状態での電流の位相は図４の
（イ）で示すピーク値付近にあって電流値も大きく、ア
ーク１９は高温，高圧のプラズマ状態となっている。そ
して、図３（ｃ）の状態での電流の位相は図４の（ロ）
で示す零点付近にあり、アーク１９の加熱による絶縁ガ
スの温度上昇もごくわずかになっている。このときにパ
ッファ室９に蓄えられた高圧の絶縁ガスがアーク１９に
吹きつけられるため、アーク１９は冷却されて消弧され
る。

【０００７】大電流を遮断する際に絶縁ノズル１３内の
絶縁ガスは冷却筒２１内からタンク６内へ放出される
が、この高温の絶縁ガスは膨張しておりその密度は封入
されている絶縁ガスの密度に対して大きく低下してお
り、冷却筒２１の中心部近傍には電離現象や熱解離現象
が発生することもある。

【０００８】耐電圧値は絶縁ガスの密度と略比例するこ
とから、図５に示す冷却筒２１の端部のように高電界と
なる部分が高温の絶縁ガスに触れると絶縁耐力が大幅に
低下し、電流を遮断した後の回復電圧により図２に示す
ように冷却筒２１の端部とタンク６との間で閃絡する場
合がある。

【０００９】遮断後の閃絡を防止するには冷却筒２１の
内径寸法を大きくして冷却筒２１内を通る絶縁ガスの量
を多くすることによる絶縁ガスの熱容量増加で、アーク
１９により加熱される絶縁ガスの温度上昇を抑制し絶縁
ガスの密度の低下を抑制する手段がとられている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところが、冷却筒の内
径寸法を大きくすると冷却筒が大形化し、その結果とし
てパッファ形ガス遮断器の小形化に反することになる。

【００１１】そこで本発明は、斯る課題を解決したパッ
ファ形ガス遮断器を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】斯る目的を達成するため
の本発明の構成は、絶縁ガスが充填されたタンク内に、
一方の導体が接続された筒状の冷却筒を設けるとともに
冷却筒の一端側の内周面に固定主コンタクトを設け、固
定主コンタクトの内側の軸心位置に固定アーキングコン
タクトを支持する一方、他方の導体に接続された支持導
体を絶縁部材を介してタンク内に固定し、固定アーキン
グコンタクトが嵌脱自在な可動アーキングコンタクトを
先端に有する中空の駆動ロッドを可動アーキングコンタ
クトの軸心に沿って駆動可能でかつ支持導体に対して摺
動自在に設け、固定主コンタクトに嵌脱される可動主コ
ンタクトを有するパッファシリンダを駆動ロッドの先端
に一体に設け、パッファシリンダ内にパッファ室を形成
するピストンを駆動ロッドとの間に空間を有する中空ロ
ッドを介して支持導体に固定し、パッファ室の絶縁ガス
を双方のアーキングコンタクト間へ導く流路を形成し、
駆動ロッドの内部と中空ロッドの内部とを連通させる連
通孔と、中空ロッドの内部と支持導体の外部とを連通さ
せる連通孔とを夫々設けたパッファ形ガス遮断器におい
て、前記冷却筒における絶縁ガスの出口の近傍の内部
に、冷却筒と略同心の内筒を支持して設けるとともに内
筒と冷却筒との間に絶縁ガスの流路を確保し、冷却筒に
おける内筒よりも絶縁ガスの流れる上流側の内周面にら
せん状の溝を形成し、冷却筒における内筒と対応する位
置には内外を貫通する貫通孔を形成したことを特徴とす
る。

【００１３】

【作用】パッファ室から冷却筒の内部へ流入した絶縁ガ
スは冷却筒の内周面のらせん状の溝に沿って流れること
から、絶縁ガスはらせん運動を行い、遠心力の作用で密
度の大きい絶縁ガスは冷却筒の内周面近傍を流れる一
方、小さい絶縁ガスは中央部を流れる。その後、密度の
大きい絶縁ガスが冷却筒と内筒との間を流れると、この
部分の圧力が冷却筒の外側の圧力よりも低いことから、
外側の密度の大きい絶縁ガスが貫通孔を通って流入し、
冷却筒の端部近傍には密度の大きい絶縁ガスのみが流れ
る。一方、中央部を流れる密度の小さい絶縁ガスは内筒
の内側を流れることから、冷却筒の端部での中央部には
密度の小さい絶縁ガスのみが集められる。従って、高電
界部分である冷却筒の端部での絶縁耐力の低下が防止さ
れ、電流遮断後の回復電圧によって閃絡する虞れが少な
くなる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。なお、本実施例は従来のパッファ形ガ
ス遮断器の一部を改良したものなので、従来と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを
説明する。

【００１５】本発明によるパッファ形ガス遮断器の要部
の構成を図１に示す。図のように、冷却筒２１における
絶縁ガスの出口側の端部の近傍の内部に内筒３１が設け
られている。即ち、冷却筒２１と同心の内筒３１がフラ
ンジ部３２を介して冷却筒２１と一体に形成されてい
る。そして、フランジ部３２には円周に沿って複数の通
風孔３３が形成されている。内筒３１の内周面と冷却筒
２１におけるフランジ部３２よりも絶縁ガスの流れに対
する上流側の内周面にはらせん状の溝３５，３４が形成
されている。らせん状の溝３４，３５は同一方向へ向か
って形成されている。このほか、冷却筒２１における内
筒３１と対応する部分には、冷却筒２１の内外を貫通す
る貫通孔３６が円周方向に沿って複数形成されている。
貫通孔３６を介して冷却筒２１の内部へ流入する絶縁ガ
スが、内筒３１と冷却筒２１との間を流れる絶縁ガスと
円滑に合流するように、貫通孔３６は傾斜させて形成さ
れている。

【００１６】次に、パッファ形ガス遮断器の作用を説明
する。図１において、右方から冷却筒２１内へ流入した
高温の絶縁ガスは、冷却筒２１の右方から左方へ流れる
際に、らせん状の溝３４に案内されてらせん状に回転し
ながら前進する。絶縁ガスは回転することにより遠心力
を受けることから、遠心力の作用で密度の大きいものは
冷却筒２１の内周面近傍へ片寄る一方、小さいものは軸
心位置へ片寄る。冷却筒２１の軸心位置へ集中した密度
の小さい絶縁ガスは、内筒３内をらせん状の溝３５に案
内されてらせん状に回転しながら前進する際に再び分離
され、外側には密度の大きいものが、軸心位置には密度
の小さいものが流れる。一方、冷却筒２１の内周面に沿
って流れる密度の大きい絶縁ガスは、通風孔３３を通っ
て内筒３１と冷却筒２１との間へ流入するが、この部分
では絶縁ガスの流れがあるために冷却筒２１の外部より
も圧力が低い。このため、冷却筒２１の外の加熱されて
いない密度の大きい絶縁ガスが貫通孔３６を通って冷却
筒２１の内部へ流入する。そして、アークによって加熱
はされたがどちらかというと密度の大きい方の絶縁ガス
と、冷却筒２１の外部の未加熱の密度の大きい絶縁ガス
とが合流して冷却筒２１の端部の内周面近傍を流れる一
方、密度の小さい絶縁ガスは冷却筒２１の軸心に沿って
流れる。

【００１７】このように、絶縁ガスのうちの密度の大き
いもののみが、電界値の高い冷却筒２１の端部近傍へ流
れることになり、この部分における耐電圧値が従来のよ
うに小さくならず、絶縁耐力の低下が防止される。従っ
て、電流遮断後の回復電圧によって冷却筒２１の端部の
高電界部分が閃絡する虞れが少ない。

【００１８】なお、本実施例では内筒の内周面にもらせ
ん状の溝を形成したが、内筒の内周面にらせん状の溝を
形成しなくても十分に目的は達成できる。

【００１９】

【発明の効果】以上の説明からわかるように、本発明に
よるパッファ形ガス遮断器によれば冷却筒の内周面にら
せん状の溝と貫通孔とを形成したので、冷却筒の端部近
傍の内周面に密度の小さい絶縁ガスが接触しないことに
なる。このため、冷却筒の端部近傍では耐電圧値が小さ
くならず、絶縁耐力の低下が防止される。従って、電流
遮断後の回復電圧によって冷却筒の端部の高電界部分が
閃絡する虞れが少なくなる。また、冷却筒を大きくしな
くてもよいため、パッファ形ガス遮断器の小形化，縮小
化が妨げられることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるパッファ形ガス遮断器の要部断面
図。

【図２】従来のパッファ形ガス遮断器の断面図。

【図３】従来のパッファ形ガス遮断器の作用説明図。

【図４】電流の波形図。

【図５】パッファ形ガス遮断器における冷却筒近傍での
電位分布図。

【符号の説明】

３…固定主コンタクト ４…固定アーキングコンタクト ６…タンク ７…可動アーキングコンタクト ８…駆動ロッド ８ａ，１７ａ，３４…連通孔 ８ｂ…中空部 ９…パッファ室 １０…パッファシリンダ １２…流路 １３…絶縁ノズル １４…可動主コンタクト １７…ピストン １７ｂ…中空ロッド ２１…冷却筒 ３１…内筒 ３３…通風孔 ３４，３５…らせん状の溝 ３６…貫通孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁ガスが充填されたタンク内に、一方
   の導体が接続された筒状の冷却筒を設けるとともに冷却
   筒の一端側の内周面に固定主コンタクトを設け、固定主
   コンタクトの内側の軸心位置に固定アーキングコンタク
   トを支持する一方、他方の導体に接続された支持導体を
   絶縁部材を介してタンク内に固定し、固定アーキングコ
   ンタクトが嵌脱自在な可動アーキングコンタクトを先端
   に有する中空の駆動ロッドを可動アーキングコンタクト
   の軸心に沿って駆動可能でかつ支持導体に対して摺動自
   在に設け、固定主コンタクトに嵌脱される可動主コンタ
   クトを有するパッファシリンダを駆動ロッドの先端に一
   体に設け、パッファシリンダ内にパッファ室を形成する
   ピストンを駆動ロッドとの間に空間を有する中空ロッド
   を介して支持導体に固定し、パッファ室の絶縁ガスを双
   方のアーキングコンタクト間へ導く流路を形成し、駆動
   ロッドの内部と中空ロッドの内部とを連通させる連通孔
   と、中空ロッドの内部と支持導体の外部とを連通させる
   連通孔とを夫々設けたパッファ形ガス遮断器において、 前記冷却筒における絶縁ガスの出口の近傍の内部に、冷
   却筒と略同心の内筒を支持して設けるとともに内筒と冷
   却筒との間に絶縁ガスの流路を確保し、冷却筒における
   内筒よりも絶縁ガスの流れる上流側の内周面にらせん状
   の溝を形成し、冷却筒における内筒と対応する位置には
   内外を貫通する貫通孔を形成したことを特徴とするパッ
   ファ形ガス遮断器。