JPH08203331A - 絶縁テープ、絶縁線輪、及び超電導マグネット - Google Patents

絶縁テープ、絶縁線輪、及び超電導マグネット

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JPH08203331A
JPH08203331A JP901995A JP901995A JPH08203331A JP H08203331 A JPH08203331 A JP H08203331A JP 901995 A JP901995 A JP 901995A JP 901995 A JP901995 A JP 901995A JP H08203331 A JPH08203331 A JP H08203331A
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JP
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inorganic
insulating
insulating tape
tape according
fiber
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JP901995A
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Hisayasu Mitsui
井 久 安 三
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁層内部まで未焼成部分がなく、高温での
電気絶縁性の低下を確実に防止し、さらに、高真空中で
のアウトガスの発生を確実に防止して、高真空中での真
空度の低下を防止すると共にアウトガスによる導体等の
金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象を確実に防止
し、加えて、極めて簡易な工程により製造できると共
に、機械的にも電気絶縁的にも特性の優れた絶縁テー
プ、この絶縁テープからなる絶縁線輪、及びこの絶縁線
輪を用いた超電導マグネットを提供することにある。 【構成】 絶縁テープは、酸素を含む高温雰囲気中で無
機繊維クロスを加熱して製造されたことを特徴としてい
る。また、絶縁テープは、無機絶縁シートと無機繊維ク
ロスとを無機繊維から成る糸で縫合したことを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁テープ、絶縁線
輪、及び超電導マグネットに関し、より詳細には、無機
絶縁材料からなる絶縁テープ、この絶縁テープから構成
された絶縁線輪、及びこの絶縁線輪を用いた超電導マグ
ネットに関する。
【0002】
【従来の技術】宇宙機器又は強制冷却型超電導マグネッ
ト等高真空中で使用され、絶縁テープを巻回して構成さ
れた絶縁線輪は、高真空度を保持するために、アウトガ
スが発生しないことが必要とされている。これは、絶縁
線輪が高温中で使用されたり、熱処理のために高温に暴
露されるとき、アウトガスが発生すると、アウトガスに
より導体が腐食されることがあるからである。
【0003】そこで、このような場合、絶縁線輪には、
一般的には、アウトガス発生の少ない無機絶縁材料が使
用されている。この無機絶縁材料は、多くの場合、無機
ポリマーを接着剤として用い、無機絶縁材料を高温で焼
成し無機化して製造している(三井:高温用絶縁の開発
と評価、昭和63年電気学会全国大会、S.3−6,S
3−21〜24)。例えば、特開平2−46711号公
報には、無機化シリコーンを塗布しながら、無機質の補
強材を無機ポリマー接着剤で貼り合わせたマイカテープ
を巻回し、さらに無機化シリコーン接着剤を塗布した無
機質繊維の織布からなるプリプレグ絶縁テープを巻回し
た後、高温で焼成することにより耐熱絶縁線輪を得るこ
とが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような方法により
無機ポリマーを略完全に焼成し無機化する場合には、絶
縁層内部へ酸素が十分に拡散することが必要である。し
かしながら、このような方法では、特に、絶縁層が厚く
なると、絶縁層の内部まで酸素が拡散するのが困難であ
り、絶縁層内部が未焼成状態のまま取り残されることが
ある。このようなことが生起されると、絶縁に有害な炭
素が絶縁層に残り、特に高温で電気絶縁特性を低下させ
ることがあり、また、高真空中でアウトガスを発生し、
真空度を低下させるといったことがある。そのため、絶
縁層内部まで略完全に焼成を行うためには、富酸素雰囲
気での焼成、又は真空脱気と焼成を繰り返す等の煩雑な
作業が必要であるといった問題があった。
【0005】また、焼成工程で発生するアウトガスによ
り導体等の金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象が
生起される場合がある。このようなことが生起されと、
導体としての特性が損なわれ、絶縁線輪として必要な機
能が失われることいった問題があった。
【0006】さらに、機械的及び電気絶縁的に優れた特
性の絶縁テープ及び絶縁線輪を得る必要があった。
【0007】本発明は、上述したような事情に鑑みてな
されたものであって、高温で焼成工程において、絶縁層
内部まで未焼成部分がなく、高温での電気絶縁性の低下
を確実に防止し、さらに、高真空中でのアウトガスの発
生を確実に防止して、高真空中での真空度の低下を防止
すると共にアウトガスによる導体等の金属の腐食、脆
化、鋭敏化等の有害な事象を確実に防止し、加えて、極
めて簡易な工程により製造できると共に、機械的にも電
気絶縁的にも特性の優れた絶縁テープ、この絶縁テープ
からなる絶縁線輪、及びこの絶縁線輪を用いた超電導マ
グネットを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、及び作用】請求項1 この目的を達成するため、本発明の請求項1に係る絶縁
テープは、酸素を含む高温雰囲気中で無機繊維クロスを
加熱して製造されたことを特徴としている。
【0009】具体的には、請求項1の絶縁テープは、ア
ルミナ、シリカガラス、または成分がアルミナ、二酸化
ケイ素、ポリア(B2O3)等複数の金属酸化物から成
る無機繊維クロスを、予め酸素を含む300℃以上の高
温の雰囲気中で加熱される。これにより、繊維の取扱い
を容易するため繊維に塗布されている澱粉等の有機物か
らなるいわゆるショツト材やサイジング材(バインダ
ー)が焼失されて、絶縁テープは、略完全に無機材料の
みから構成される。このようにして得た絶縁テープは、
絶縁層内部まで未焼成部分がなく、電気絶縁性の低下を
招来することがない。さらに、高温でアウトガスの発生
がないため、導体等の金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有
害な事象が生起されず、また、高真空中での真空度の低
下を招来することもない。そのため、この絶縁テープ
は、高温で処理される電気絶縁材料として適している。請求項2 請求項2の絶縁テープは、上記無機繊維クロスがアルミ
ナ繊維であることを特徴としている。
【0010】具体的には、請求項1に係る無機繊維クロ
スに使用する無機繊維として、通常電気絶縁用として使
用されている電気ガラス繊維は、400℃以上の温度で
酸素を含む気体中では脆化してしまい絶縁としての役割
を果たさないため使用できない。400℃以上の温度の
酸素を含む気体内で脆化せず、巻回が可能であり、電気
絶縁性を有した無機繊維として、本請求項2のように、
アルミナ繊維が適している。このアルミナ繊維は、例え
ば、アルミナ純度99.5%以上のアルミナ長繊維(三
井鉱山社製アルマックス)である。この繊維は1000
℃での熱処理にも耐えることができる。請求項3 請求項3の絶縁テープは、上記無機繊維クロスがシリカ
ガラス繊維であることを特徴としている。
【0011】具体的には、請求項1に係る無機繊維クロ
スに使用する無機繊維として、シリカガラス繊維があ
る。このシリカガラス繊維は、例えば、SiO2 の純度
が96%以上の高ケイ酸ガラス繊維(日本無機社製シリ
グラス)、SiO2 の純度が99.5%のシリカガラス
繊維(A.A.I.Products社製アルファクォーツスーパーピ
ュアSiO2 )、SiO2 の純度が96%以上のシリカ
ガラス繊維(イソライト工業社製レフラシル)である。
これらの繊維は、アルミナ繊維同様400℃以上の温度
の酸素を含む気体中では脆化せず、巻回が可能で、電気
絶縁性に優れている。請求項4 請求項4の節煙テープは、上記無機繊維クロスが成分が
複数の金属酸化物からなる絶縁性の繊維であることを特
徴としている。
【0012】具体的には、請求項1に係る無機繊維クロ
スに使用する無機繊維として、成分が複数の金属酸化物
からなる絶縁性の繊維も用いることができる。この絶縁
性の繊維は、例えば、アルミナ80質量%・シリカ20
質量%から成る繊維(デンカ社製アルミナ繊維)、アル
ミナ47.3質量%・シリカ52.3質量%から成る繊
維(イソライト工業社製カオウール繊維)、アルミナ・
ポリア(B2O3)・シリカから成る繊維(例、3M社
製ネクステル、ネクステル312:アルミナ/ボリア/
シリカの質量比=62/14/24,ネクステル44
0:アルミナ/ボリア/シリカの質量比=70/2/2
8)である。これらの繊維も、アルミナ繊維同様400
℃以上の温度の酸素を含む気体中では脆化せず、巻回が
可能であり、電気絶縁性に優れている。請求項5 請求項5の絶縁線輪は、請求項1乃至4のいずれか1項
に記載の絶縁テープを導体に巻回したことを特徴として
いる。
【0013】具体的には、請求項5に係る絶縁線輪は、
上記無機繊維クロスを酸素を含む高温の雰囲気中で加熱
し、有機物を焼失させて得た略完全に無機材料のみで構
成される絶縁テープを導体に巻回して得た絶縁線輪であ
る。このようにすると、絶縁テープ内には有機物が全く
含まれないため、この絶縁線輪が高温や高真空にさらさ
れたときに、アウトガスの発生がなく、導体等の金属の
腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象が生起されない。ま
た、高真空中で真空度の低下を来さない。さらに、高温
の酸素を含む気体中で熱処理されているため、炭素が残
留せず絶縁特性の低下がなく、絶縁線輪としての機能を
果たすことができる。請求項6 請求項6の絶縁線輪は、請求項1乃至4のいずれか1項
に記載の絶縁テープを導体に巻回した後、これらに熱硬
化性樹脂を含浸して加熱硬化したことを特徴としてい
る。
【0014】具体的には、請求項6に係る絶縁線輪は、
無機繊維クロスを酸素を含む高温の雰囲気中で加熱し、
有機物を焼失させた絶縁テープを導体に巻回した後、エ
ポキシ、ポリエステル、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を
真空含浸し、加熱硬化して得た絶縁線輪である。このよ
うにすると、絶縁物と導体が一体化され、機械的に強固
になり、また電気絶縁的にも無機繊維クロスが巻回され
た層内の空隙部が樹脂という固体絶縁物で置換されるた
め、絶縁強度が向上し、特性の優れた電気機器、マグネ
ット等を得ることができる。請求項7 請求項7の絶縁線輪は、上記導体が超電導体であること
を特徴としている。
【0015】具体的には、請求項7に係る絶縁線輪で
は、例えばNb3 Sn,Nb3 Al等の化合物形超電導
線をワインドアンドリアクト法で得る場合、予め無機化
した絶縁テープを導体に巻回した上で、高温例えば75
0℃で約150時間熱処理(化学反応)を行っても、導
体や他の金属を腐食、脆化等有害な事象を発生すること
がなく絶縁も行うことができ、且つ導体を熱処理した後
ワインディングしない。そのため、Nb3 Sn,Nb3
Al等の化合物形超電導線を劣化させることなく、リア
クトアンドワインドのような煩雑な製造工程を経ないで
超電導機器用の絶縁線輪を得ることができる長所があ
る。請求項8 請求項8の絶縁線輪は、請求項1乃至4のいずれか1項
に記載の絶縁テープを未反応の化合物形超電導線に巻回
した後、これを酸素を含まない高温気体中で熱処理し未
反応の化合物形超電導線を反応させた後、熱硬化性樹脂
を含浸し、加熱硬化したことを特徴としている。
【0016】具体的には、請求項8に係る絶縁線輪は、
未反応の化合物形超電導線に、予め無機化した絶縁テー
プを巻回し、高温例えば750℃で約150時間熱処理
(化学反応)を行った後、エポキシ、ポリエステル、ポ
リイミド等の熱硬化性樹脂を真空含浸し、加熱硬化して
得た絶縁線輪である。このようにすると、絶縁物と超電
導線が一体化され、機械的に強固になり、また電気絶縁
的にも無機繊維クロスが巻回された層内の空隙部が樹脂
という固体絶縁物で置換されるため、絶縁強度が向上
し、特性の優れた超電導機器用の絶縁線輪を得ることが
できる長所がある。請求項9 請求項9の絶縁テープは、無機絶縁シートと無機繊維ク
ロスとを無機繊維から成る糸で縫合したことを特徴とし
ている。
【0017】具体的には、請求項9に係る絶縁テープ
は、は、他の発明としての絶縁テープに関し、、図1及
び図2断面図に示すように、無機絶縁シート1と無機繊
維クロス2とを無機繊維からなる糸3で縫合したことを
特徴とする絶縁テープである。図1中のaは縫い合わせ
(スティッチング)間隔、bは縫い合わせ(スティッチ
チング)ピッチである。ここで、無機絶縁シート1は、
絶縁破壊強さを向上するためのもので、巻回に耐えるよ
うに無機繊維クロス2を補強する。ただ単に無機絶縁シ
ート1に無機繊維クロス2を添わせただけであると、無
機絶縁シート1と無機繊維クロス2が独立に移動してし
まい必要な補強効果が得られず、正確に巻回できないた
め、無機絶縁シート1と無機繊維クロス2を無機繊維か
ら成る糸で縫い合わせている。この縫い合わせは、針を
用いて、無機繊維から成る糸3を無機絶縁シート1と無
機繊維クロス2を貫通することによって行う。なお、図
1には、手縫い式での様子を示しているが、工業的には
本縫い(ロックスティッチ)方式や単環縫い(チェイン
スティッチ)方式等が知られており、その場合には、糸
の絡み方は、図2とは異なり、例えば、ロックスティッ
チ方式では、上糸と下糸が上下の中間で絡み合うよう
に、また、チェインスティッチ方式では、片側表面で環
を成しながら縫われる。
【0018】また、この縫い合わせ(スティッチング)
の方式は、ピッチ、スティッチング間隔を狭くするほど
テープとしての一体性が高まるが、あまり間隔を狭くす
ると、絶縁テープを損傷することにもなる。そこで、特
性の絶縁テープの一体性を勘案して最適なピッチ、ステ
ィッチング間隔を選ぶ必要がある。
【0019】なお、無機絶縁シート、無機繊維クロス無
機繊維から成る糸をすべて無機質の材料としたのは、無
機材料は高温でアウトガスの発生がなく、導体等の金属
の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象が起さず、また高
真空中で真空度の低下を来さないからである。請求項10 請求項10の絶縁テープは、上記無機絶縁シートの両面
に無機繊維クロスを配置し、これらを無機繊維から成る
糸で縫合したことを特徴としている。
【0020】具体的には、請求項10に係る絶縁テープ
は、十分な補強効果を得るため、図3に示すように、無
機絶縁シート1の両面に無機繊維クロス2を配置して、
無機繊維からなる糸3で縫い合わせを行っている。無機
繊維からなる糸3が折り返されるときに、実際多くの場
合そうであるが、無機絶縁シート1が強度不足である
と、無機繊維から成る糸3が無機絶縁シート1に食い込
んだり、無機絶縁シート1を破壊してしまう。その結
果、十分な補強効果が得られなくなることがあり、ま
た、無機絶縁シート1の持つ高い絶縁破壊の強さが失わ
れることがある。このような場合、無機絶縁シート1の
両面に無機繊維クロス2を配置して、無機繊維からなる
糸3で縫い合わせを行うと、無機繊維から成る糸3が折
り返される部分で無機繊維クロス2が支えとなり無機絶
縁シート1を強固に支持することができる。
【0021】このような場合、広幅の無機繊維クロス2
と広幅の無機絶縁シート1を無機繊維からなる糸3で縫
い合わせを行ってから、テーピングに必要なテープ幅に
スリットする方法と、予め使用する狭い幅のテープとし
た無機繊維クロス2に同じ幅にスリットした無機絶縁シ
ート1を無機繊維からなる糸3で縫い合わせを行う方法
とがある。一般には、後者の方が工数はかかるが、テー
ピング時のほつれが出難くく、テーピングし易い。いず
れにするかは、線輪の形状等を勘案して決定すればよ
い。請求項11 請求項11の絶縁テープは、上記無機絶縁シートが集成
マイカであることを特徴としている。
【0022】具体的には、請求項11に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シート1として集成マイカを用いたもので
ある。集成マイカは、一般に結晶水を放出しない限り熱
的には安定でアウトガスの発生はない。集成マイカは、
針が通り易いので縫い合わせ作業がし易い。また、集成
マイカは、絶縁破壊強さが高いため、高絶縁強度でアウ
トガスの発生がなく巻回作業性のよい絶縁テープが容易
に得られる。請求項12 請求項12の絶縁テープは、上記無機絶縁シートが軟質
集成マイカであることを特徴としている。
【0023】具体的には、請求項12に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シート1として軟質集成マイカを用いた絶
縁テープである。一般に結晶水放出温度が硬質マイカで
約500℃、軟質マイカで約650℃で軟質マイカの方
が高く耐熱性が高いので、より高い温度の熱処理でもア
ウトガスの発生なしに使用することができる。請求項13 請求項13の絶縁テープは、上記無機絶縁シートが合成
雲母紙であることを特徴としている。
【0024】具体的には、請求項13に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シート1として合成雲母紙(例えばコープ
ケミカル社製ミクロマイカ紙)を用いた絶縁テープであ
る。合成雲母紙は、無機質材料のみで形成されているた
め、アウトガスの発生がなく、組織が緻密で絶縁強度や
機械的強度が高く、平滑さの優れた絶縁テープが得られ
る。請求項14 請求項14の絶縁テープは、上記無機絶縁シートがシリ
カガラスフレーク紙であることを特徴としている。
【0025】具体的には、請求項14に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとしてシリカガラスフレーク紙を用
いた絶縁テープである。シリカガラスフレーク紙を用い
ると、シリカガラスが電気ガラスに比べ耐熱性が高いた
め、より高い温度での熱処理でもアウトガスの発生なし
に使用することができる無機絶縁シートが得られる。ま
た、この無機絶縁テープを巻回して後熱硬化性樹脂を含
浸硬化する絶縁線輪においては、無機絶縁シートとして
マイカを使用したものよりシリカガラスフレークを用い
たものの方が、絶縁層に平行に剪断応力が作用した際、
へき開性のあるマイカより大きな応力に耐えることがで
きる。ここで、シリカガラスフレーク紙としては、例え
ばゾルーゲル法により得られる鱗片状シリカガラス(例
えば日本板ガラス社製SGフレーク)を抄紙したもので
ある。請求項15 請求項15の絶縁テープは、上記無機絶縁シートがシリ
カガラスフレーク混抄集成マイカであることを特徴とし
ている。
【0026】具体的には、請求項15に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとして鱗片状シカリガラス(例えば
日本板ガラス社製SGフレーク)と集成マイカ好ましく
は軟質集成マイカとを混抄して得られるシリカガラスフ
レーク混抄集成マイカを用いた絶縁テープである。この
ような絶縁テープを用いれば、マイカが持っている高い
絶縁耐力と優れた抄紙性という長所、及びへき開性があ
るために剪断に弱いという欠点を、へき開性はないが抄
紙性および絶縁耐力に劣るシリカガラスフレークを混ぜ
ることにより、マイカとシリカガラスフレークの中間の
性質をもつ絶縁シートが得られる。またその特性は、両
者の配合比に依存する。請求項16 請求項16の絶縁テープは、上記無機絶縁シートは、厚
さがほぼ同じシリカガラスフレーク混抄集成マイカであ
ることを特徴としている。
【0027】具体的には、請求項16に係る絶縁テープ
は、請求項15において、シリカガラスフレークと集成
マイカの鱗片の厚さがほぼ同じとすることにより、両者
を隙間なく配列でき、絶縁強度の高い無機絶縁シートを
得ることができる。請求項17 請求項17の絶縁テープは、上記無機絶縁シートは、無
機繊維混抄合成雲母紙であることを特徴としている。
【0028】具体的には、請求項17に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとして無機繊維混抄合成雲母紙を用
いた絶縁テープである。この場合、無機繊維としては、
アルミナ繊維、シリカガラス繊維、Eガラス、Sガラ
ス、Cガラス、Rガラス(詳細としては、旭ガラス社カ
タログ参照)などからなるガラス繊維等を合成雲母に対
して20/80〜80/20に混合したものがよい。合
成雲母としては、コープケミカル又はトピー工業社製の
膨潤性雲母、非膨潤性雲母又はその混合物を使用でき
る。ここで合成雲母を使用するのは、天然マイカに比
べ、へき開性、耐熱性に優れているためである。請求項18 請求項18の絶縁テープは、上記無機絶縁シートがはが
しマイカであることを特徴としている。
【0029】具体的には、請求項18に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとして、はがしマイカを用いた絶縁
テープである。この場合、絶縁テープは、無機繊維クロ
ス上にはがしマイカを並べ更にその上から無機繊維クロ
スを載せた後、無機繊維からなる糸により縫い合わせる
ことによって得られる。はがしマイカのフレーク同士は
互いに接着しないため、はがしマイカのシートを両側か
ら無機繊維クロスにより挟みつけ且つ無機繊維からなる
糸をはがしマイカに貫通させることにより絶縁テープと
しての一体性を保つことができ、良好な巻回性を得るこ
とができる。はがしマイカは、フレークが大きく絶縁耐
力が高く、フレーク同士がずれることによって応力を緩
和できる。そのため、耐ヒートサイクル性にも優れた絶
縁テープを得ることができる。請求項19 請求項19の絶縁テープは、上記無機絶縁シートが軟質
はがしマイカであることを特徴としている。
【0030】具体的には、請求項19に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとして軟質はがしマイカを用いた絶
縁テープである。前述したように軟質マイカの方が耐熱
性が高いため、より高い温度での熱処理でもアウトガス
の発生なしに使用することができる。請求項20 請求項20の絶縁テープは、上記無機絶縁シートがアル
ミナペーパであることを特徴としている。
【0031】具体的には、請求項20に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとしてアルミナ繊維を少量の接着剤
で抄紙したアルミナペーパ(例えば三井鉱山マテリアル
製アルマックスあるいは岡部マイカ工業製マックスペー
パ、あるいはイソライト工業社製カオウールエースペー
パ)を用いた絶縁テープである。アルミナ繊維の接着剤
としては、無機系接着剤として、コロイダルカリカ、ケ
イ酸ナトリウム、オルトリン酸アルミニウム、重リン酸
アルミニウムコロイダルアルミナ等があり、有機系接着
剤として、ユリア樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エ
マルジョン、SBRラテックス、塩ビラテックス、澱
粉、アクリル樹脂等がある。有機系接着剤を使用した際
には、前述したように、絶縁テープを焼成することによ
りアウトガスの発生のない略完全に無機化した絶縁テー
プを得ることができる。請求項21 請求項21の絶縁テープは、上記無機絶縁シートがセラ
ミック紙またはセラミックファイバーシートであること
を特徴としている。
【0032】具体的には、請求項21に係る絶縁テープ
は、無機絶縁シートとしてセラミック紙またはセラミッ
クファイバーシートを用いた絶縁テープである。セラミ
ックとしては、アルミナ、シリカ、ボリア等が一定の配
合比で混合されたものが使用できる。例えば、セラミッ
ク紙としては、アルミナ・シリカ含有比が約50:50
のセラミックファイバーを少量の接着剤を用い紙状にし
たセラミック繊維紙(オリベスト製)であり、また、セ
ラミックファイバーシートとしては、例えば、アルミナ
シリカファイバーを少量の接着剤でシート状にしたシー
ト(例えば興人製コーセランC、イソライト工業社カオ
ウール)である。請求項22 請求項22の絶縁テープは、上記無機繊維から成る糸が
アルミナ繊維から成る糸であることを特徴としている。
【0033】具体的には、請求項22に係る絶縁テープ
は、無機繊維から成る糸としてアルミナ繊維(例えば三
井鉱山マテリアル製アルマックス)から成る糸を用いた
絶縁テープである。請求項23 請求項23の絶縁テープは、上記無機繊維から成る糸が
シリカガラス繊維から成る糸であることを特徴としてい
る。
【0034】具体的には、請求項23に係る絶縁テープ
は、無機繊維からなる糸としてシリカガラス繊維(例え
ば日本無機社製シリグラス、A.A.I.Products社製ALPHAQ
UALTZ )から成る糸を用いた絶縁テープである。請求項24 請求項24の絶縁テープは、上記無機繊維から成る糸は
成分が複数の金属酸化物からなる絶縁性の繊維であるこ
とを特徴としている。
【0035】具体的には、請求項24に係る絶縁テープ
は、無機繊維からなる糸として成分が複数の金属酸化物
から成る絶縁性繊維、例えばアルミナ・ボリア・シリカ
から成る糸(例えばスリーエム社製ネクステル)又はア
ルミナシリカ繊維から成る糸(例えばイソライト工業社
カオウール)を用いた絶縁テープである。請求項25 請求項25の絶縁テープは、酸素を含む高温気体中で、
無機絶縁シート、無機繊維クロス、及び無機繊維から成
る糸を加熱したことを特徴としている。
【0036】具体的には、請求項25に係る絶縁テープ
は、絶縁テープを酸素を含む高温の気体中で焼成するこ
とにより有機物を消失させることにより略完全に無機材
料のみで構成された絶縁テープである。一般に、無機絶
縁シート、無機繊維クロス、無機繊維からなる糸には、
ショット材、サイジング材、又は接着剤等として、少量
の有機物が使用されている。高温で加熱(焼成)する工
程では、これら有機物がアウトガスとして発生する。そ
こで、絶縁テープの段階で絶縁テープを酸素を含む高温
の気体中で焼成することにより有機物を消失させ、略完
全に無機材料のみで構成される絶縁テープを得ることが
できる。このようにして得られた絶縁テープは、後の工
程で金属が共存した条件で焼成されてもアウトガスの発
生がないため、導体や他の金属を腐食、脆化等有害な事
象を生起することがない。例えば、Nb3 n,Nb3
l等の化合物形超電導線をワインドアンドリアクト法で
得る場合、予め無機化した絶縁テープを導体に巻回した
上で、例えば750℃のアルゴンガス中で約150時間
焼成(化学反応)を行っても、導体や他の金属を腐食、
脆化等有害な事象を生起することがなく絶縁も行うこと
ができ、有機物がむし焼きされ、炭素を生成し絶縁特性
を低下することもない。また、導体を熱処理した後ワイ
ンディングしていないため、Nb3 n,Nb3 Al等の
化合物形超電導線を劣化させることなく、リアクトアン
ドワインドのように煩雑な製造工程によらないで絶縁線
輪を得ることができる。
【0037】さらに、予め無機絶縁シート、無機繊維ク
ロス、無機繊維から成る糸に補強用として故意に有機物
を含ませ、これらを縫い合わせた絶縁テープを、テーピ
ング前に酸素を含む高温の気中で加熱処理し、有機物を
焼失させ、略完全に無機物だけから成る絶縁テープを得
てもよい。このようにすれば、例えば略完全に無機繊維
だけから成る糸では、縫い合わせ(スティッチング)の
際に糸切れが起き易いのに対し、有機繊維でカバリング
を行った糸を使えば、糸切れが生起されなくなるという
長所がある。また、集成マイカ、合成雲母紙、シリカガ
ラスフレーク紙、アルミナペーパ、セラミック紙、セラ
ミックファイバーシート等は縫い合わせ(スティッチン
グ)の際に裂けてしまい易いが、薄いプラスチック製の
フィルムを少量の接着剤で接着し補強すれば、取扱易
く、縫い合わせ(スティッチング)の際、これらの絶縁
シートが破れたり、ばらばらになり難いという長所があ
る。また、集成マイカ、合成雲母紙、シリカガラスフレ
ーク紙、アルミナペーパ、セラミック紙、セラミックフ
ァイバーシート等の内部に、例えばアラミド等のプラス
チック製フィブリドを分散・混抄したものも同様に補強
の効果があり、縫い合わせ(スティッチング)の際これ
らの絶縁シートが破れたり、ばらばらになり難いという
長所がある。請求項26 請求項26の絶縁線輪は、請求項9乃至25のいずれか
1項に記載の絶縁テープを導体に巻回した後、酸素を含
む高温気体中でこれらを加熱処理したことを特徴として
いる。
【0038】具体的には、請求項26に係る絶縁線輪
は、請求項25に記載したような略完全に無機材料で構
成される絶縁テープを導体に巻回した絶縁線輪である。
このような絶縁線輪は、絶縁テープの段階で絶縁テープ
を酸素を含む高温の気体中で焼成することにより有機物
を消失させることにより略完全に無機材料のみで構成さ
れる、絶縁シートと無機繊維クロスとを無機繊維からな
る糸で縫い合わせたことを特徴とする絶縁テープを導体
に巻回して構成されているため、高真空中でアウトガス
の発生がなく、真空度を低下することがない。また、高
温で熱処理を受けても導体や他の金属を腐食させたり脆
化を起こさせる等有害な事象を発生することがない。さ
らに、有機物がむし焼きされ炭素を生成し絶縁特性を低
下することがない。請求項27 請求項27の絶縁線輪は、請求項9乃至25のいずれか
1項に記載の絶縁テープを導体に巻回した後、酸素を含
む高温気体中でこれらを加熱処理し、更に熱硬化性樹脂
を含浸して硬化したことを特徴としている。
【0039】具体的には、請求項27に係る絶縁線輪
は、請求項9乃至25のいずれか1項に記載したように
して得られた絶縁テープの段階で、絶縁テープを酸素を
含む高温の気体中で焼成することにより有機物を焼失さ
せることにより略完全に無機材料のみで構成される、絶
縁シートと有機繊維クロスとを無機繊維から成る糸で縫
い合わせたことを特徴とする絶縁テープを導体に巻回し
た後、導体の焼き入れ・焼き鈍し化合物超電導耐を作る
ための熱処理を施し、熱硬化性樹脂を含浸し硬化して構
成されている。このようにすれば、導体の焼き入れ・焼
き鈍しを施し、又は、Nb3 Sn,Nb3 Al等の化合
物形超電導線のように熱処理を施すことが必要な導体を
使用して絶縁線輪を得る場合で、しかも、熱処理を行っ
た後では、導体が巻線作業をするのに硬くなり過ぎた
り、脆くなり過ぎたり、柔らか過ぎたりする場合に、絶
縁テープの段階で略完全に無機材料のみで構成される縫
合タイプの絶縁テープを導体に巻回した後、導体の焼き
入れ・焼き鈍し等の熱処理を施し、熱硬化性樹脂を含浸
し硬化して絶縁線輪を得れば、巻線作業をするのに導体
が取扱い易い状態で巻線でき、また、有機物がむし焼き
され炭素を生成し絶縁特性を低下するようなことがな
く、機械的にも電気絶縁的にも優れた特性を持つ絶縁線
輪得ることができる。請求項28 請求項28の絶縁線輪は、上記導体が超電導体であるこ
とを特徴としている。
【0040】具体的には、請求項28に係る絶縁線輪
は、第1には、超電導線に無機絶縁シートと無機繊維ク
ロスとを無機繊維からなる糸で縫い合わせた絶縁テープ
を巻回した絶縁線輪である。すなわち、導体が超電導体
であれば、常電導体に比べ電流密度を高くとれるため、
電気機器を小型化できる。特に、導体としてNb3
n,Nb3 Al等の化合物形超電導線を用いる場合、無
機絶縁シートと無機繊維クロスとを無機繊維からなる糸
で縫い合わせた絶縁テープを使用すれば、600〜80
0℃で数百時間熱処理する工程においても、絶縁テープ
が有害なガスを発生することもなく、劣化することもな
い。そのため、導体が脆くない熱処理工程の前に絶縁テ
ープを巻回することができ、巻線作業がし易いという長
所がある。
【0041】また、請求項28に係る絶縁線輪は、第2
には、予め絶縁シートと無機繊維クロスとを無機繊維か
ら成る糸で縫い合わせたことを特徴とする絶縁テープを
化合物となる前の超電導線に巻回した後、熱処理を施し
化合物とし、その後熱硬化性樹脂を含浸して得た絶縁線
輪である。このような絶縁線輪は、巻線作業をするのに
導体が取扱い易い状態で巻線できる。また、熱硬化性樹
脂で硬化し、一体化しているため、超電導線が発生する
高電流密度による大きな力に耐える絶縁線輪を得ること
ができる。請求項29 請求項29の超電導マグネットは、請求項28に記載の
絶縁線輪を具備したことを特徴としている。
【0042】具体的には、請求項29に係る超電導マグ
ネットは、第1には、絶縁シートと無機無機繊維クロス
とを無機繊維からなる糸で縫い合わせたことを特徴とす
る絶縁テープを化合物となる前の超電導線に巻回した
後、熱処理を施し電線を化合物超電導体とした絶縁線輪
である。このような絶縁線輪は、巻線作業をするのに導
体が取扱い易い状態で巻線できるため都合が良い上、導
体に化合物超電導体を使用しているため、常電導体に比
べ電流密度を高くとることができ、小形でも高磁場が得
られる超電導マグネットを比較的容易に製造できる。
【0043】また、請求項29に係る超電導マグネット
は、第2には、予め絶縁シートと無機繊維クロスとを無
機繊維からなる糸で縫い合わせたことを特徴とする絶縁
テープを化合物となる前の超電導線に巻回した後、熱処
理を施し電せんを化合物形超電導体とし、その後熱硬化
性樹脂を含浸し硬化してなる絶縁線輪である。このよう
な絶縁線輪は、巻線作業をするのに導体が取扱い易い状
態で巻線できるため都合が良い。また、熱硬化性樹脂で
硬化し、一体化しているため、超電導線が発生する高電
流密度による大きな力に耐える絶縁線輪を得ることがで
きる。そのため、小形でも高磁場が得られる超電導マグ
ネットを比較的容易に製造できる。
【0044】
【実施例】実施例1 無機繊維クロスには、紡糸の際あるいは糸を撚り、さら
に織物を作るときの減摩材として繊維を保護し、繊維が
摩擦破断するのを防ぐために、繊維の表面に澱粉とかゼ
ラチンのようなものから成る潤滑材あるいは収束材と呼
ばれる有機材料が通常0.5〜2%(質量)塗布されて
いる。そこで、本実施例では、これらクロスを電気炉に
入れ約350℃の空気中で約48時間加熱処理をし、潤
滑材あるいは収束材と呼ばれる有機材料を略完全に燃や
して、無機繊維クロスから成る絶縁テープを得た。
【0045】この無機繊維クロスは、例えば、Eガラ
ス、Sガラス、Cガラス、Rガラス等のガラス繊維、ア
ルミナ繊維、シリカガラス繊維、アルミナ・シリカの混
合物から成る繊維(例えばデンカ社商品名アルミナ繊維
やイソライト工業社商品名ネクステル等)またはアルミ
ナ・ボリア・シリカの混合物から成る繊維(例えば3M
社商品名ネクステル)のいずれかまたはそれらを組み合
わせて織ったものである。
【0046】このような無機繊維クロスから成る絶縁テ
ープは、高温でアウトガスの発生がなく、共存雰囲気中
にある導体等金属を腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象
を起こさず、また高真空中で真空度の低下を来さないの
で、高温で加熱処理される電気絶縁材料として適してい
る。実施例2 図3に示すように、無機絶縁シート1の両面に無機繊維
クロス2を積み重ね、無機繊維からなる糸3で縫い合わ
せ(スティッチング)をピッチ6mm、スティッチング
間隔26mmで行い、無機絶縁シート1と無機繊維クロ
ス2を一体化した。この後これを電気炉に入れ約350
℃の空気中で約48時間加熱処理をし、無機絶縁シート
1、無機繊維クロス2、無機繊維から成る糸3に含まれ
ている潤滑材あるいは収束材等他の微少量の有機材料を
燃やして、略完全に無機化した絶縁テープを得た。
【0047】無機絶縁シート1は、例えば、軟質集成マ
イカ、合成雲母紙、無機繊維混抄合成雲母紙、軟質はが
しマイカ、シリカガラスフレーク紙、シリカガラスフレ
ーク混抄集成マイカ、アルミナペーパ、セラミック紙、
セラミックファイバーシート、アルミナ繊維混抄合成雲
母紙、ガラス繊維混抄合成雲母紙のいずれか一つまたは
それらを積み重ねたものである。
【0048】無機繊維クロス2は、例えば、Eガラス、
Sガラス、Cガラス、Rガラス等のガラス繊維、アルミ
ナ繊維、シリカガラス繊維、アルミナ・シリカの混合物
から成る繊維(例えばデンカ社商品名アルミナ繊維やイ
ソライト工業社商品名ネクステル等)またはアルミナ・
ボリア・シリカの混合物から成る繊維(例えば3M社商
品名ネクステル)のいずれかまたはそれらを組み合わせ
て織ったものである。
【0049】無機繊維からなる糸3は、ガラス繊維、ア
ルミナ繊維、シリカガラス繊維、アルミナ・シリカの混
合物から成る繊維(例えばデンカ社商品名アルミナ繊維
やイソライト工業社商品名ネクステル等)またはアルミ
ナ・ボリア・シリカの混合物から成る繊維(例えば3M
社商品名ネクステル)のいずれかの無機繊維からなるも
のである。
【0050】ここで、無機絶縁シート1の両面に、無機
繊維クロス2を配置して無機繊維から成る糸で縫い合わ
せているため、無機絶縁シート1として、軟質はがしマ
イカ、シリカガラスフレーク紙、シリカガラスフレーク
混抄集成マイカのような一体性にやや欠ける材料を使用
しても、これら材料がテーピング時にばらばらになって
飛び散るようなこともない。また、テープとしての一体
性を保つのに、接着剤は一切使用していないので、接着
剤を使用することに伴って起きる金属の腐食とかアウト
ガス発生の問題は発生しない。
【0051】なお、シリカガラスフレーク混抄集成マイ
カを使用する場合、シリカガラスフレークの厚さと集成
マイカの厚さをほぼ同じにすると、シリカガラスフレー
クと集成マイカ相互が均質に分散し、良質な絶縁シート
が得られるので良い。また、シリカガラスフレークの集
成マイカに対する混合比は、シリカガラスフレークを多
くすると耐熱性がより高くなり、マイカが持つへき開性
がなくなるという特徴が出るが、質量比で5/95から
50/50の間が良質な絶縁シートが得られるので良
い。
【0052】また、アルミナ繊維混抄合成雲母紙を使用
する場合、アルミナ繊維の合成雲母に対する混合比は、
アルミナ繊維を多くするほど、機械的強度は高くなる
が、絶縁破壊強さが低下する。一般には、質量比で20
/80から80/20の間が良質な絶縁シートが得られ
るので良い。
【0053】同様にガラス繊維混抄合成雲母紙を使用す
る場合にも、ガラス繊維の合成雲母に対する混合比はガ
ラス繊維を多くするほど、機械的強度は高くなるが、絶
縁破壊強さが低下する。一般には、質量比で20/80
から80/20の間が良質な絶縁シートが得られるので
良い。
【0054】このようにして得た絶縁テープはより緻密
な絶縁組織を持つ無機絶縁シート1が含まれるので無機
繊維クロス2に比べ絶縁破壊電圧が高く、高電圧用の電
気絶縁として適している。また、無機繊維クロスを積み
重ね、無機繊維からなる糸3で縫い合わせ(スティッチ
ング)を行い、無機絶縁シート1と無機繊維クロス2と
を一体化しているため、それ自体ではテーピングが不可
能なほど機械的に強度が弱い無機絶縁シートがテーピン
グできるようになる。実施例3 実施例1で得られた無機繊維クロスから成る絶縁テー
プ、又は実施例2で得られた無機絶縁シートと無機繊維
クロスを無機繊維からなる糸で縫い合わせた絶縁テープ
をアルミナ分散強化銅から成る導体に巻回して作った絶
縁線輪を鉄心に収め、600℃の高真空(10-8トル)
中で作動するモータを製作した。
【0055】このようにして得た絶縁線輪は、実際にモ
ータを運転した際高温高真空雰囲気に置かれても、アウ
トガスが発生せず、真空度の低下を招来せず、また使用
されている金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な現象が
生起されなかった。
【0056】但し、このように600℃という高い温度
では、電気ガラスは短時間で脆化してしまうため、無機
繊維として電気ガラスを使用することはできない。実施例4 図4に示すように、Nb3 Snとなる素材が詰め込まれ
た電線(以下Nb3 Sn素材線と称する)4をSUS3
16L製のコンジット5に収めたものをパンケーキ状に
曲げ、その上から実施例1で得られた無機繊維クロスか
らなる絶縁テープ、又は実施例2で得られた無機絶縁シ
ートと無機繊維クロスを無機繊維からなる糸で縫い合わ
せた絶縁テープ6を巻回した。
【0057】ここで使用した素材線について図5に基づ
き説明する。Nb3 Sn素材線はSnを芯7として、そ
の上に銅パイプ8aを重ね、さらにその上にNbチュー
ブ9を重ね、その上にまた銅パイプ8bを重ねる。これ
を伸線六角の素線を作り、必要本数だけスタック(組み
合わせ)してマトリックスになる銅材の中に埋め込み、
伸線して多芯線を作る。さらにこれをスタックして、二
次導体とし極細多芯線としたものである。
【0058】このようにして図6に示すようなダブルパ
ンケーキ状絶縁線輪10を得た。このダブルパンケーキ
状絶縁線輪を750℃で150時間アルゴンガス中で加
熱処理し、コンジット内のNb3 Sn素材線を超電導電
線化した。最終的には出来上がったものを真空容器内に
収め、コンジット5内のコンジット壁とNb3 Sn線間
の空間に超臨界Heを流し、強制冷却方式の超電導マグ
ネットととして使用した。
【0059】このようにして製造した超電導マグネット
用の絶縁線輪は、750℃で150時間アルゴンガス中
で加熱処理したときにも、アウトガスが発生せず、コン
ジット他の金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な現象が
起きなかったし、また真空容器内の真空度の低下を来さ
なかった。また、この絶縁は絶縁組織としては決して緻
密とは言えないが、真空度が10-8トルより高い条件で
運転されるため、絶縁破壊電圧が高く、絶縁的にも十分
な強度を有していた。実施例5 実施例4と同様に、Nb3 Snとなる素材が詰め込まれ
た電線(以下Nb3 Sn素材線と称する)をSUS31
6L製のコンジットに収めたものをパンケーキ状に曲
げ、その上から実施例1で得られた無機繊維クロスから
なる絶縁テープ、又は実施例2で得られた無機絶縁シー
トと無機繊維クロスを無機繊維からなる糸で縫い合わせ
た絶縁テープを巻回し、750℃で150時間アルゴン
ガス中で加熱処理し、コンジット内の素材線を超電導電
線化した。次に、これを良く知られた方法により真空加
圧含浸処理を行った。すなわち、コンジット内に樹脂が
浸入しないように入口を塞いだのち、これを含浸タンク
に入れ、真空引きした後、エポキシ樹脂を注入し、0.
7MPaにて加圧し、150℃にて15時間加熱硬化し
て、強制冷却方式の超電導マグネット用絶縁線輪を得
た。
【0060】実施例4と同様に、最終的には出来上がっ
たものを真空容器内に収め、コンジット内のコンジット
壁とNb3 Sn線間の空間に超臨界Heを流し、強制冷
却方式の超電導マグネットととして使用した。このよう
にして製造した超電導マグネット用の絶縁線輪は、75
0℃で150時間アルゴンガス中で加熱処理したときに
も、アウトガスが発生せず、コンジット他の金属の腐
食、脆化、鋭敏化等の有害な現象が生起されず、また真
空容器内の真空度の低下を来さなかった。また、この絶
縁はエポキシ樹脂を含浸硬化したために、緻密で剛性の
高い絶縁組織が得られ、絶縁破壊電圧が高く、高磁場に
よるローレンツ力にも抗せる十分な強度を有していた。実施例6 図7に示すように、予め軟質集成マイカ(日本理化社製
AM―80)11に厚さ12μmのPET(ポリエチレンテ
レフタレート)フィルム12をビスフェノールタイプの
エポキシとDICY(ジシアンジアミド)から成る溶剤
タイプのワニス13で貼り合わせた50mm幅のマイカ
テープ14を用意した。また、50mm幅のアルミナク
ロステープ(ニチビ製TP-38S-F3 )を用意した。このア
ルミナクロステープ15はS-960D-F3 (ニチビ社製:フ
ィラメント径10μm、200tex)の糸を用い、縦
30本/25mm、横22本/25mmの密度で綾識し
た厚さ0.32mmのクロステープである。また、アル
ミナ繊維(ニチビ社製S-1920D-G2: フィラメント径7μ
m、200tex)とポリエステル繊維(クラレ社製ビ
ニロンHT-100d/30f )を片撚Z30T/mで撚り、さら
にポリエステル繊維(クラレ社製ビニロンHT-70d/25f)
でS320T/m ・Z320T/m のダブルカバリングを行い縫糸1
6を用意した。
【0061】次に、図8に示すように、マイカテープの
両面にこのアルミナクロステープ14を配置し、ポリエ
ステル糸でダブルカバリングしたアルミナ縫糸16で工
業ミシンを用いて、アルミナクロスの両端から6mm内
側に端に沿ってスティッチング間隔26mm、ピッチ6
mmにて縫い合わせを行った。これを750℃で15時
間空気中で加熱し、有機成分を略完全に飛ばし、無機物
だけで構成する絶縁テープ6を製作した。
【0062】次に、実施例5と同様に、Nb3 Snとな
る素材が詰め込まれた電線(以下Nb3 Sn素材線と称
する)をSUS316L製のコンジットに収めたものを
パンケーキ状に曲げ、その上から上述した無機物だけで
構成する絶縁テープを巻回し、750℃で150時間ア
ルゴンガス中で加熱処理し、コンジット内の素材線を超
電導電線化した。次に、これを良く知られた方法により
真空加圧含浸処理を行った。すなわちコンジット内に樹
脂が浸入しないように入口を塞いだのち、これを含浸タ
ンクに入れ、真空引きした後、エポキシ樹脂を注入し、
0.7MPaにて加圧し、150℃にて15時間加熱硬
化して、強制冷却方式の超電導マグネット用絶縁線輪を
得た。実施例4と同様に、最終的には出来上がったもの
を真空容器内に収め、コンジット内のコンジット壁とN
3 Sn線間の空間に超臨界Heを流し、強制冷却方式
の超電導マグネットととして使用した。
【0063】このようにして製造した超電導マグネット
用の絶縁線輪は、750℃で150時間アルゴンガス中
で加熱処理したときにも、アウトガスが発生せず、コン
ジット他の金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な現象が
起きなかったし、また真空容器内の真空度の低下を来さ
なかった。また、この絶縁はエポキシ樹脂を含浸硬化し
たために、緻密で剛性の高い絶縁組織が得られ、絶縁破
壊電圧が高く、高磁場によるローレンツ力にも抗せる十
分な強度を有していた。
【0064】
【発明の効果】請求項1乃至4によれば、澱粉等の有機
物からなるいわゆるショツト材やサイジング材(バイン
ダー)が焼失されて、絶縁テープは、略完全に無機材料
のみから構成される。このようにして得た絶縁テープ
は、絶縁層内部まで未焼成部分がなく、電気絶縁性の低
下を招来することがない。さらに、高温でアウトガスの
発生がないため、導体等の金属の腐食、脆化、鋭敏化等
の有害な事象が生起されず、また、高真空中での真空度
の低下を招来することもない。そのため、この絶縁テー
プは、高温で処理される電気絶縁材料として適してい
る。また、絶縁テープは、高温の酸素を含む気体中では
脆化せず、巻回が可能であり、電気絶縁性に優れてい
る。
【0065】請求項5によれば、絶縁テープ内には有機
物が全く含まれないため、この絶縁線輪が高温や高真空
にさらされたときに、アウトガスの発生がなく、導体等
の金属の腐食、脆化、鋭敏化等の有害な事象が生起され
ない。また、高真空中で真空度の低下を来さない。さら
に、高温の酸素を含む気体中で熱処理されているため、
炭素が残留せず絶縁特性の低下がなく、絶縁線輪として
の機能を果たすことができる。
【0066】請求項6又は8によれば、絶縁物と導体が
一体化され、機械的に強固になり、また電気絶縁的にも
無機繊維クロスが巻回された層内の空隙部が樹脂という
固体絶縁物で置換されるため、絶縁強度が向上し、特性
の優れた電気機器、マグネット等を得ることができる。
【0067】請求項7によれば、化合物形超電導線を劣
化させることなく、リアクトアンドワインドのような煩
雑な製造工程を経ないで超電導機器用の絶縁線輪を得る
ことができる。
【0068】請求項9、21乃至24によれば、無機絶
縁シートとして、軟質はがしマイカ、シリカガラスフレ
ーク紙、シリカガラスフレーク混抄集成マイカのような
一体性にやや欠ける材料を使用しても、これら材料がテ
ーピング時にばらばらになって飛び散るようなこともな
い。また、テープとしての一体性を保つのに、接着剤は
一切使用していないので、接着剤を使用することに伴っ
て起きる金属の腐食とかアウトガス発生の問題は発生し
ない。
【0069】請求項10によれば、無機絶縁シートがテ
ーピング時にばらばらになって飛び散るようなこともな
い。また、テープとしての一体性を保つのに、接着剤は
一切使用していないので、接着剤を使用することに伴っ
て起きる金属の腐食とかアウトガス発生の問題は発生し
ない。さらに、無機繊維から成る糸が折り返される部分
で無機繊維クロスが支えとなり無機絶縁シートを強固に
支持することができる。
【0070】請求項11によれば、集成マイカは、一般
に結晶水を放出しない限り熱的には安定でアウトガスの
発生はなく、針が通り易いので縫い合わせ作業がし易
い。また、集成マイカは、絶縁破壊強さが高いため、高
絶縁強度でアウトガスの発生がなく巻回作業性のよい絶
縁テープが容易に得られる。
【0071】請求項12によれば、一般に結晶水放出温
度が硬質マイカで約500℃、軟質マイカで約650℃
で軟質マイカの方が高く耐熱性が高いので、より高い温
度の熱処理でもアウトガスの発生なしに使用することが
できる。
【0072】請求項13によれば、合成雲母紙は、無機
質材料のみで形成されているため、アウトガスの発生が
なく、組織が緻密で絶縁強度や機械的強度が高く、平滑
さの優れた絶縁テープが得られる。
【0073】請求項14によれば、シリカガラスフレー
ク紙を用いると、シリカガラスが電気ガラスに比べ耐熱
性が高いため、より高い温度での熱処理でもアウトガス
の発生なしに使用することができる無機絶縁シートが得
られる。また、この無機絶縁テープを巻回して後熱硬化
性樹脂を含浸硬化する絶縁線輪においては、無機絶縁シ
ートとしてマイカを使用したものよりシリカガラスフレ
ークを用いたものの方が、絶縁層に平行に剪断応力が作
用した際、へき開性のあるマイカより大きな応力に耐え
ることができる。
【0074】請求項15によれば、マイカが持っている
高い絶縁耐力と優れた抄紙性という長所、及びへき開性
があるために剪断に弱いという欠点を、へき開性はない
が抄紙性および絶縁耐力に劣るシリカガラスフレークを
混ぜることにより、マイカとシリカガラスフレークの中
間の性質をもつ絶縁シートが得られる。
【0075】請求項16によれば、シリカガラスフレー
クと集成マイカの鱗片の厚さがほぼ同じとすることによ
り、両者を隙間なく配列でき、絶縁強度の高い無機絶縁
シートを得ることができる。
【0076】請求項17によれば、合成雲母を使用する
のは、天然マイカに比べ、へき開性、耐熱性に優れてい
るためである。
【0077】請求項18によれば、はがしマイカのフレ
ーク同士は互いに接着しないため、はがしマイカのシー
トを両側から無機繊維クロスにより挟みつけ且つ無機繊
維からなる糸をはがしマイカに貫通させることにより絶
縁テープとしての一体性を保つことができ、良好な巻回
性を得ることができる。また、はがしマイカは、フレー
クが大きく絶縁耐力が高く、フレーク同士がずれること
によって応力を緩和できる。そのため、耐ヒートサイク
ル性にも優れた絶縁テープを得ることができる。
【0078】請求項19によれば、無機絶縁シートとし
て軟質はがしマイカを用いた絶縁テープである。前述し
たように軟質マイカの方が耐熱性が高いため、より高い
温度での熱処理でもアウトガスの発生なしに使用するこ
とができる。
【0079】請求項20によれば、有機系接着剤を使用
した際には、絶縁テープを焼成することによりアウトガ
スの発生のない略完全に無機化した絶縁テープを得るこ
とができる。
【0080】請求項25によれば、絶縁テープは、後の
工程で金属が共存した条件で焼成されてもアウトガスの
発生がないため、導体や他の金属を腐食、脆化等有害な
事象を生起することがない。また、導体を熱処理した後
ワインディングしていないため、化合物形超電導線を劣
化させることなく、リアクトアンドワインドのように煩
雑な製造工程によらないで絶縁線輪を得ることができ
る。さらに、略完全に無機繊維だけから成る糸では、縫
い合わせ(スティッチング)の際に糸切れが起き易いの
に対し、有機繊維でカバリングを行った糸を使えば、糸
切れが生起されなくなるという長所がある。
【0081】請求項26によれば、高真空中でアウトガ
スの発生がなく、真空度を低下することがない。また、
高温で熱処理を受けても導体や他の金属を腐食させたり
脆化を起こさせる等有害な事象を発生することがない。
さらに、有機物がむし焼きされ炭素を生成し絶縁特性を
低下することがない。
【0082】請求項27によれば、巻線作業をするのに
導体が取扱い易い状態で巻線でき、また、有機物がむし
焼きされ炭素を生成し絶縁特性を低下するようなことが
なく、機械的にも電気絶縁的にも優れた特性を持つ絶縁
線輪得ることができる。
【0083】請求項28によれば、導体が脆くない熱処
理工程の前に絶縁テープを巻回することができ、巻線作
業がし易いという長所がある。また、熱硬化性樹脂で硬
化し、一体化しているため、超電導線が発生する高電流
密度による大きな力に耐える絶縁線輪を得ることができ
る。
【0084】請求項29によれば、絶縁線輪は、巻線作
業をするのに導体が取扱い易い状態で巻線できるため都
合が良い上、導体に化合物超電導体を使用しているた
め、常電導体に比べ電流密度を高くとることができ、小
形でも高磁場が得られる超電導マグネットを比較的容易
に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の無機絶縁シートと無機繊維クロ
スとを無機繊維からなる糸で縫い合わせた絶縁テープの
平面図。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図。
【図3】本発明の一例の無機絶縁シートの両面に無機繊
維クロスを配置し無機繊維からなる糸で一体に縫い合わ
せた絶縁テープの断面図。
【図4】本発明の一例である強制冷却方式の超電導マグ
ネット用絶縁線輪の断面図。
【図5】本発明の一例に使用したNb3 Sn素材線の構
造を示し、(a)は、素材線の断面図であり、(b)は
多芯線の断面図である。
【図6】本発明の一例に作製したダブルパンケーキ状絶
縁線輪を説明する説明図。
【図7】本発明の一例に使用したマイカテープの構造を
示す断面図。
【図8】本発明の一例に使用した絶縁テープの構造を示
す断面図。
【符号の説明】
1 無機絶縁シート 2 無機繊維クロス 3 無機繊維からなる糸 4 素材線 5 コンジット 6 絶縁テープ 7 Sn芯 8a,8b 銅パイプ 9 Nbチューブ 10 絶縁線輪 11 軟質集成マイカ 12 フィルム 13 ワニス 14 マイカテープ 15 アルミナクロステープ 16 縫糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 17/56 A H01F 6/06 ZAA

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素を含む高温雰囲気中で無機繊維クロス
    を加熱して製造されたことを特徴とする絶縁テープ。
  2. 【請求項2】上記無機繊維クロスは、アルミナ繊維であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の絶縁テープ。
  3. 【請求項3】上記無機繊維クロスは、シリカガラス繊維
    であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁テープ。
  4. 【請求項4】上記無機繊維クロスは、成分が複数の金属
    酸化物からなる絶縁性の繊維であることを特徴とする請
    求項1に記載の絶縁テープ。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項に記載の絶
    縁テープを導体に巻回したことを特徴とする絶縁線輪。
  6. 【請求項6】請求項1乃至4のいずれか1項に記載の絶
    縁テープを導体に巻回した後、これらに熱硬化性樹脂を
    含浸して加熱硬化したことを特徴とする絶縁線輪。
  7. 【請求項7】上記導体が超電導体であることを特徴とす
    る請求項5に記載の絶縁線輪。
  8. 【請求項8】請求項1乃至4のいずれか1項に記載の絶
    縁テープを未反応の化合物形超電導線に巻回した後、こ
    れを酸素を含まない高温気体中で熱処理し未反応の化合
    物形超電導線を反応させた後、熱硬化性樹脂を含浸し、
    加熱硬化したことを特徴とする絶縁線輪。
  9. 【請求項9】無機絶縁シートと無機繊維クロスとを無機
    繊維から成る糸で縫合したことを特徴とする絶縁テー
    プ。
  10. 【請求項10】上記無機絶縁シートの両面に無機繊維ク
    ロスを配置し、これらを無機繊維から成る糸で縫合した
    ことを特徴とする請求項9記載の絶縁テープ。
  11. 【請求項11】上記無機絶縁シートは、集成マイカであ
    ることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁テー
    プ。
  12. 【請求項12】上記無機絶縁シートは、軟質集成マイカ
    であることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁
    テープ。
  13. 【請求項13】上記無機絶縁シートは、合成雲母紙であ
    ることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁テー
    プ。
  14. 【請求項14】上記無機絶縁シートは、シリカガラスフ
    レーク紙であることを特徴とする請求項9又は10に記
    載の絶縁テープ。
  15. 【請求項15】上記無機絶縁シートは、シリカガラスフ
    レーク混抄集成マイカであることを特徴とする請求項9
    又は10に記載の絶縁テープ。
  16. 【請求項16】上記無機絶縁シートは、厚さがほぼ同じ
    シリカガラスフレーク混抄集成マイカであることを特徴
    とする請求項15に記載の絶縁テープ。
  17. 【請求項17】上記無機絶縁シートは、無機繊維混抄合
    成雲母紙であることを特徴とする請求項9又は10に記
    載の絶縁テープ。
  18. 【請求項18】上記無機絶縁シートは、はがしマイカで
    あることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁テ
    ープ。
  19. 【請求項19】上記無機絶縁シートは、軟質はがしマイ
    カであることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶
    縁テープ。
  20. 【請求項20】上記無機絶縁シートは、アルミナペーパ
    であることを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁
    テープ。
  21. 【請求項21】上記無機絶縁シートは、セラミック紙ま
    たはセラミックファイバーシートであることを特徴とす
    る請求項9又は10に記載の絶縁テープ。
  22. 【請求項22】上記無機繊維から成る糸は、アルミナ繊
    維から成る糸であることを特徴とする請求項9又は10
    に記載の絶縁テープ。
  23. 【請求項23】上記無機繊維から成る糸は、シリカガラ
    ス繊維から成る糸であることを特徴とする請求項9又は
    10に記載の絶縁テープ。
  24. 【請求項24】上記無機繊維から成る糸は、成分が複数
    の金属酸化物からなる絶縁性の繊維であることを特徴と
    する請求項9又は10に記載の絶縁テープ。
  25. 【請求項25】酸素を含む高温気体中で、無機絶縁シー
    ト、無機繊維クロス、及び無機繊維から成る糸を加熱し
    たことを特徴とする請求項9又は10に記載の絶縁テー
    プ。
  26. 【請求項26】請求項9乃至25のいずれか1項に記載
    の絶縁テープを導体に巻回した後、酸素を含む高温気体
    中でこれらを加熱処理したことを特徴とする絶縁線輪。
  27. 【請求項27】請求項9乃至25のいずれか1項に記載
    の絶縁テープを導体に巻回した後、酸素を含む高温気体
    中でこれらを加熱処理し、更に熱硬化性樹脂を含浸して
    硬化したことを特徴とする絶縁線輪。
  28. 【請求項28】上記導体が超電導体であることを特徴と
    する請求項26又は27に記載の絶縁線輪。
  29. 【請求項29】請求項28に記載の絶縁線輪を具備した
    ことを特徴とする超電導マグネット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100750063B1 (ko) * 2006-02-28 2007-08-16 엘에스전선 주식회사 흡착층이 구비된 초전도 케이블의 저온 유지 장치
WO2012117916A1 (ja) * 2011-03-02 2012-09-07 住友電気工業株式会社 溶融塩電池
US11424060B2 (en) 2019-03-15 2022-08-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Superconducting coil and superconducting device

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