JPH08201380A - 血液分離部材及びそれを備えた血液分離用採血管 - Google Patents

血液分離部材及びそれを備えた血液分離用採血管

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JPH08201380A
JPH08201380A JP7013220A JP1322095A JPH08201380A JP H08201380 A JPH08201380 A JP H08201380A JP 7013220 A JP7013220 A JP 7013220A JP 1322095 A JP1322095 A JP 1322095A JP H08201380 A JPH08201380 A JP H08201380A
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wall
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Yoichi Tsukagoshi
要一 塚越
Toshimasa Yamamoto
俊昌 山本
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NIIGATA KAKO KK
Original Assignee
NIIGATA KAKO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液検体を遠心分離操作により血清と血餅と
に分離する際に、血清と血餅とを完全に分離することが
でき、しかも長時間放置した場合においても血清と血餅
との分離状態を完全に保つことができ、さらに、遠心中
における血清中の沈降速度を制御することができる血液
分離部材及びそれを備えた血液分離用採血管を提供す
る。 【構成】 円筒状の容器12に挿入され容器12の内壁
を圧接する部材本体42と、部材本体42の外周部43
aに嵌め込まれた不透液性の弾性部材72とを備えたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液検体を遠心分離操
作により、血清と血餅に分離する際などに用いられる血
液分離部材及びそれを備えた血液分離用採血管に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、血液検査においては、主に全血か
ら分離した血清(血漿)を用いて検査を行なうため、検
査の前処理としてスピッツ等の採血管に採取した血液検
体を血清及び血漿(以下、血清という)と血餅や血球
(以下、血餅という)に分離する操作が必要となる。一
般に、この血液分離操作は、採血した全血サンプルをス
ピッツ等の採血管に入れ、これを遠心分離して検体とな
る血清を分離している。しかし、この遠心分離操作で
は、血清と血餅との分離状態が非常に不安定であり、衝
撃が僅かに加わっただけで沈降した血餅中の血球が血清
に混入してしまうため、分離後の血液検体の取扱いに際
しては相当慎重な操作が要求される。
【0003】そこで、遠心分離後の血液検体の不安定な
分離状態を改善し、更に検査操作を容易にするための手
段が種々試みられており、その一例として血清と血餅の
中間の比重を有するチクソトロピー性を有する血清分離
剤を用いる方法がある。この血清分離剤は、例えば、シ
リコーンオイル等の低分子の合成樹脂を主成分とし、一
定の比重とチクソトロピー性を有するもので、遠心分離
時に流動化して血餅の上に強固な隔壁を形成している。
【0004】しかし、この血清分離剤には、次の様な欠
点がある。 (1)前記血餅の物性が正常でない場合は、強固な隔壁
を形成することができない。例えば、透析患者に見られ
る様に血餅の比重が小さくかつ軟らかい場合では、血清
と血餅とを完全に分離することができないことがある。 (2)血清分離剤は疎水性であるから、水に難溶で脂溶
性の薬物とは相互に溶解し合う。したがって、血液中の
薬物濃度を測定する場合、該薬物が血清分離剤中に溶解
し、正しい分析値が得られない場合がある。 (3)血液凝固因子を検査する場合には、血清分離剤が
該血液凝固因子を活性化させるため、血清分離剤を用い
ることができない。 (4)血液の性状は人によって異なる。特に、フィブリ
ンの発生は遠心分離後の血清の分析に支障をきたすた
め、この発生したフィブリンを捕捉する必要があるが、
前記血清分離剤では発生したフィブリンを捕捉すること
ができない。透析患者の血液は特にフィブリンを発生し
易いために、血清分離剤ではフィブリンの発生を防止す
ることはできない。
【0005】そこで、この血清分離剤の欠点を解消する
ために、例えば、図10に示すような血清ろ過ピストン
が提案されている(特開昭51−105890号公報参
照)。この血清ろ過ピストン1は、採血管の内径より若
干大きい径の円盤状のフィルター2と、該フィルター2
の中心部に取り付けられ該フィルター2より小さい径の
円筒形のおもり3とから構成されたもので、図11
(a)に示すように、採血管4内に採血した血液5を入
れた後、血清ろ過ピストン1を該採血管4内に挿入し、
その後遠心分離を行なうことにより、図11(b)に示
すように、この血清ろ過ピストン1が血清6と血餅7と
の境界に移動し、フィルター2が採血管4の内壁4aに
密着することにより血清6と血餅7とを完全に分離し、
デカンテーションにより血清を取り出している。
【0006】一方、血清を分離するための分離用容器と
しては、従来採血管の口に真空状態でゴム栓を嵌め込ん
だ真空採血管が用いられているが、近年、気密性を向上
させるために採血管の口に真空状態の下でアルミラミネ
ート等のガスバリア性フィルムを融着させ、該フィルム
上の中央に薄肉のゴム片を接着させた真空採血管が提案
されている。
【0007】しかしながら、上記の血清ろ過ピストン1
は、フィルター2がおもり3にピン止めされている構成
であるから、フィルター2が剥がれる虞がある。また、
ピストン1でフィルター2を引きずり下ろすので、フィ
ルター2はある程度の強度が必要であり、湾曲して採血
管4の内壁4aを摺動しながら下方へ移動する。このた
め、内壁4aに付着している血餅をこすることになり血
球破壊を招き、結果的にLDH(乳酸脱水素酵素)等の
検査値に誤りを生じる。
【0008】また、フィルター2が揺動し易く、したが
って、該フィルター2を水平にバランス良く保持し続け
ることが難しく、遠心分離後の血清採取の際に血餅7中
の血球が採血管4の内壁4aとフィルター2との隙間を
通って血清6中に混入してしまったり、フィルター2の
上に血餅が付着するという欠点があった。また、このフ
ィルター2は透水性を有するために血清6及び血餅7の
各成分を完全に隔離することができず、分離後の過程に
おいて、例えば、カリウム(K)等の血餅の成分が血清
へ移行するという欠点がある。
【0009】また、上述したゴム栓の真空採血管では、
気密性を維持するためには採血管とゴム栓との接触面積
を大きく取り、かつ、強い力でこのゴム栓を圧入しなけ
ればならず、ゴム栓自体が大きくなり、またゴム栓を外
すのが容易でないという欠点があった。また、ゴム栓で
は、いわゆるポップアップ現象を防止することができな
いという欠点もある。なお、ポップアップ現象とは、一
旦容器の栓を抜いた後に再度栓を締めた場合に起きる現
象で、栓を締めることにより容器内の空気が圧縮され、
この圧縮された空気が膨張することにより自然に栓が外
れる現象のことである。また、ガスバリア性フィルムを
融着させた真空採血管では、遠心分離が終了した後に血
清を他の容器に移す場合、該フィルムを手で剥ぎ取るの
に手間がかかるという欠点がある。
【0010】そこで、本発明者等により次の様な血液分
離部材が提案されている。図12は血液分離部材11の
縦断面図であり、図において、12は血液分離部材11
が装着され、例えば、ガラス製、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)等のプラスチック製等からなる採血管
(円筒状の容器)、13は採血管12の開口部12aに
嵌入された円筒部材、14は該円筒部材13に挿入され
る部材本体、15は該部材本体14の上部外周部14a
に嵌め込まれた環状の隔離部材、16は部材本体14及
び円筒部材13と嵌合するキャップである。血液分離部
材11は、円筒部材13と、部材本体14と、隔離部材
15と、キャップ16とにより構成されている。
【0011】円筒部材13は、採血管12の開口部12
aの内径より僅かに小さな内径、例えば、0.2〜3m
m程度小さい内径のもので、内壁には中心軸に対して対
称な位置3箇所に軸線方向に沿う空気抜け用の複数の溝
20a〜20cが形成されている。この円筒部材13の
材質は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂等のガスバリアー性のよい硬質プラスチ
ックが好適に用いられる。部材本体14は、採血針が容
易に貫通する事が出来るように中央部が上下方向より薄
肉化された弾性を有する略円盤状のもので、下面14b
側には中心軸に対して対称な位置3箇所に中心軸から外
周面に向かう空気抜け用の複数の溝21a〜21cが形
成され、上面14c中央部にはキャップ16と嵌合する
ための断面台形状の嵌合凹部22が部材本体14の中心
軸に沿って形成されている。
【0012】隔離部材15は、弾性及び透液性を有する
材料または血清により膨潤する材料のいずれかにより構
成され、前記部材本体14より僅かに小さい径の断面矩
形状の環状のもので、その中央部の穴の径は前記部材本
体14の外周部14aの外径より若干小さいとされてい
る。キャップ16は、ガスバリアー性に優れ弾性を有す
るブチルゴム等を略円筒状に成形加工したもので、採血
針が容易に貫通する事が出来るように上部中央部に凹部
23が形成され、下部に前記嵌合凹部22と嵌合する断
面台形状の嵌合凸部24が形成され、上部周縁部には、
前記円筒部材13の開口部13bと嵌合する嵌合部25
が環状に形成されている。
【0013】この血液分離部材11によれば、血清6と
血餅7とを完全に分離することができ、血餅7中の血球
が血清6に混入してしまうという虞がなくなる。更に、
採血管12の内径に変動があった場合においても、血清
6と血餅7とを完全に分離することができる。
【0014】また、図13に示す様な血液分離部材31
も提案されている。図13において、図12の血液分離
部材11と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を
省略する。この血液分離部材31の部材本体32の中央
部には、下方が開放され空気を保持するための空洞部3
3が同軸的に形成され、この部材本体32の空洞部33
より上方の中央部には、上下方向に貫通する切込み34
が形成されている。この切込み34は、貫通口の様な開
口部ではなく、例えば、彫刻刀の様な鋭利な刃物で切り
込んだもので、通常は閉じた状態であるが、遠心分離時
のようにある荷重が掛かった場合に僅かに開くものであ
る。この血液分離部材31によれば、部材本体32と血
餅の相互の動きを滑らかにすることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た血液分離部材11では、血液採血後遠心分離を行なう
ことにより血清6と血餅7とを完全に分離するには有効
であったが、分離後の採血管12を約1週間程度冷蔵庫
等に保管しておくと、血餅7中のカリウム(K)等の成
分が血液分離部材11を浸透して血清6に移行し混入し
てしまうという問題点があった。その理由は、隔離部材
15が、弾性及び透液性を有する材料または血清により
膨潤する材料のいずれかにより構成されているために、
分離後の採血管12内に長時間放置した場合、血餅7中
の浸透し易い成分が該血餅7から溶出し隔離部材15を
浸透するからである。
【0016】また、上述した血液分離部材31では、該
分離部材31が遠心中に空洞部33の空気を抜きながら
沈降し血清と血餅の境界に至り、空気が抜けた後は密閉
状態となり、血清と血餅とを完全に分離し、血餅中の成
分が血清に移行することがないという効果はあったが、
該分離部材31の遠心中での血清中の沈降速度を制御す
ることができず、血餅への衝撃が大きくなるという問題
点があった。該分離部材31の遠心中での血清中の沈降
速度を制御することは、血清を効果的に分離するために
極めて重要な点である。
【0017】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、血液検体を遠心分離操作により血清と血餅
とに分離する際に、血清と血餅とを完全に分離すること
ができ、しかも長時間放置した場合においても血清と血
餅との分離状態を完全に保つことができ、さらに、遠心
中における血清中の沈降速度を制御することができる血
液分離部材及びそれを備えた血液分離用採血管を提供す
ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な血液分離部材及びそれを備えた血
液分離用採血管を採用した。すなわち、請求項1記載の
血液分離部材は、円筒状の容器に挿入され該容器の内壁
を圧接する部材本体と、該部材本体の外周部に嵌め込ま
れた不透液性の弾性部材とを備えたものである。
【0019】請求項2記載の血液分離部材は、請求項1
記載の血液分離部材において、前記部材本体の上部外周
部に、前記弾性部材を嵌め込むために上方が開口された
凹部を形成し、該凹部の外壁部を薄肉としたものであ
る。
【0020】請求項3記載の血液分離部材は、円筒状の
容器に挿入され該容器の内壁を圧接する部材本体と、該
部材本体の外周部に嵌め込まれ液体により膨潤する材料
からなる環状の隔離部材とを備え、前記部材本体の上部
外周部に、前記隔離部材を嵌め込むために上方が開口さ
れた凹部を形成し、該凹部の外壁部を薄肉としたもので
ある。
【0021】請求項4記載の血液分離部材は、請求項
1,2または3のいずれか1項記載の血液分離部材にお
いて、前記部材本体の上端部に、弾性または透液性を有
しかつ該上端部より大径の板部を設けたものである。
【0022】請求項5記載の血液分離部材は、請求項
1,2または3のいずれか1項記載の血液分離部材にお
いて、前記部材本体の外周部に、周方向に一巡する溝を
形成し、当該溝に、弾性を有する環状の緩衝材を嵌め込
んだものである。
【0023】請求項6記載の血液分離部材は、請求項2
または3のいずれか1項記載の血液分離部材において、
前記外壁部に、該外壁部の上部から水平方向外方へ延び
る環状の薄片を設けたものである。
【0024】請求項7記載の血液分離部材は、請求項1
ないし6のいずれか1項記載の血液分離部材において、
前記部材本体に、下方が開放された空洞部を同軸的に形
成したものである。
【0025】請求項8記載の血液分離部材は、請求項7
記載の血液分離部材において、前記部材本体の空洞部上
方の位置に、該部材本体を貫通する1つ以上の微細な孔
を形成したものである。
【0026】請求項9記載の血液分離用採血管は、円筒
状の容器本体と、該容器本体の開口部に設けられ、該開
口部の内径より僅かに小さな内径を有する円筒部材と、
該円筒部材内に挿入され該円筒部材の内壁を圧接する請
求項1ないし8のいずれか1項記載の血液分離部材とを
備え、該血液分離部材の外周面または前記円筒部材の内
周面のいずれか一方に嵌合凸部を形成し、いずれか他方
に該嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を形成したものであ
る。
【0027】請求項10記載の血液分離用採血管は、請
求項9記載の血液分離用採血管において、前記嵌合凸部
は、前記血液分離部材の外周面または前記円筒部材の内
周面のいずれか一方に形成され周方向に延在する凸条で
あり、前記嵌合凹部は、前記血液分離部材の外周面また
は前記円筒部材の内周面のいずれか他方に形成され周方
向に延在する溝であるように構成したものである。
【0028】請求項11記載の血液分離用採血管は、請
求項9または10のいずれか1項記載の血液分離用採血
管において、前記血液分離部材の上面に、薄肉のシート
を貼着してなるものである。
【0029】
【作用】本発明の請求項1記載の血液分離部材では、不
透液性の弾性部材が前記部材本体の外周部に嵌め込まれ
ているので、この血液分離部材を前記容器に嵌め込み、
採血した血液を該容器内に入れて静置し血餅を凝固させ
た後に遠心分離を行なうと、前記部材本体は、遠心力に
より前記容器の内壁を摺動しつつ落下し血清と血餅との
境界に移動し、血餅を押え込む。この際、弾性部材はそ
の弾性力により容器の内壁を圧接し、部材本体を所定の
位置に固定し、血餅が血清層に移動するのを防止する。
これより、この血液分離部材により血清と血餅とは完全
に分離される。
【0030】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、前記弾性部材が容器の内壁を圧接するの
で、血清と血餅とを完全に分離することが可能となる。
更に、前記血液分離部材を分離後の前記容器内に長時間
放置した場合においても、該弾性部材が血清と血餅とを
遮断し続け、血餅中の浸透し易い成分が血清に移行する
のを防止する。
【0031】請求項2記載の血液分離部材では、前記部
材本体の上部外周部に、前記弾性部材を嵌め込むために
上方が開口された環状の凹部を形成し、該凹部の外壁部
を薄肉としたので、この血液分離部材を前記容器に嵌め
込み、採血した血液を該容器内に入れて静置し血餅を凝
固させた後に遠心分離を行なうと、前記部材本体は前記
容器の内壁を摺動しつつ前記容器内を降下し、血清と血
餅との境界に移動し、血餅を押え込む。その際、前記外
壁部が前記弾性部材の弾性力を受けて容器の内壁に圧接
することにより、部材本体を所定の位置に固定し、血餅
が血清層に移動するのを防止する。これより、この血液
分離部材により血清と血餅とは完全に分離される。
【0032】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、前記弾性部材が凹部の外壁部を前記容器の
内壁に圧接するので、血清と血餅とを完全に分離するこ
とが可能となる。更に、前記血液分離部材を分離後の前
記容器内に長時間放置した場合においても、該外壁部が
血清と血餅とを完全に遮断し続け、血餅中の浸透し易い
成分が血清に移行するのを効果的に防止する。
【0033】請求項3記載の血液分離部材では、前記部
材本体の上部外周部に、液体により膨潤する材料からな
る隔離部材を嵌め込むための上方が開口された環状の凹
部を形成し、該凹部の外壁部を薄肉としたので、この血
液分離部材を前記容器に嵌め込み、採血した血液を該容
器内に入れて静置し血餅を凝固させた後に遠心分離を行
なうと、部材本体は遠心力により落下し血清と血餅との
境界に移動し、血餅を押え込む。そして、隔離部材が血
清により膨潤し前記凹部の外壁部を前記容器の内壁に圧
接することにより、部材本体を所定の位置に固定し、血
餅中の成分が血清層に移動するのを防止する。これよ
り、この血液分離部材により血清と血餅とは完全に分離
される。
【0034】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、膨潤した隔離部材が嵌合凹部の外壁部を前
記容器の内壁に圧接するので、血清と血餅とを完全に分
離することが可能となる。更に、前記血液分離部材を分
離後の前記容器内に長時間放置した場合においても、該
外壁部が血清と血餅とを完全に遮断し続け、血餅中の浸
透し易い成分が血清に移行するのを効果的に防止する。
【0035】請求項4記載の血液分離部材では、前記部
材本体の上端部に、弾性または透液性を有しかつ該上端
部より大径の板部を設けたので、この血液分離部材を前
記容器に嵌め込み、採血した血液を該容器内に入れて静
置し血餅を凝固させた後に遠心分離を行なうと、該部材
本体が遠心力により血清中を沈降する際に、当該板部は
前記容器の内壁に接触しつつ沈降する。これにより、部
材本体の沈降速度が当該板部により抑制され、ゆっくり
とした速度で沈降し血清と血餅との境界に移動する。し
たがって、該部材本体は血清と血餅との境界に移動する
際に、血餅に対する衝撃力が弱められ、血餅中の成分が
血清層に移動することがなくなり、血清と血餅とは完全
に分離される。
【0036】請求項5記載の血液分離部材では、前記部
材本体の外周部に、周方向に一巡する溝を形成し、当該
溝に、弾性を有する環状の緩衝材を嵌め込んだので、こ
の血液分離部材を嵌め込んだ容器を用いて血液の遠心分
離を行なうと、該部材本体が遠心力により血清中を沈降
する際に、環状の前記緩衝材が前記容器の内壁に接触し
つつ沈降し部材本体の沈降速度を抑制する。したがっ
て、該部材本体の血餅に対する衝撃力が弱められ、血餅
中の成分が血清層に移動することがなくなり、血清と血
餅とは完全に分離される。
【0037】請求項6記載の血液分離部材では、前記外
壁部に、該外壁部の上部から水平方向外方へ延びる環状
の薄片を設けたので、この血液分離部材を嵌め込んだ容
器を用いて血液の遠心分離を行なうと、該部材本体が遠
心力により血清中を沈降する際に、環状の前記薄片が前
記容器の内壁に接触しつつ沈降し、部材本体の沈降速度
を抑制する。したがって、該部材本体の血餅に対する衝
撃力が弱められ、血餅中の成分が血清層に移動すること
がなくなり、血清と血餅とは完全に分離される。
【0038】請求項7記載の血液分離部材では、前記部
材本体に、下方が開放された空洞部を同軸的に形成した
ので、採取した血液を前記容器に入れた場合、該空洞部
には空気が満たされた状態となる。この状態で遠心分離
を行なうと、該空洞部に満たされた空気は遠心力に起因
する圧力により圧縮され、該空洞部内に閉じ込められた
状態で保持される。この間に部材本体は遠心力により血
清と血餅との境界に徐々に移動し、血清及び血餅の各成
分の移行が完全に遮断された状態で血餅を押え込む。こ
の場合、空洞部内の空気がクッションの働きをするの
で、分離部材の遠心中での血清中の沈降速度が制御さ
れ、血餅への衝撃力が弱まる。
【0039】請求項8記載の血液分離部材では、前記部
材本体の空洞部上方の位置に、該部材本体を貫通する1
つ以上の微細な孔を形成したので、採取した血液を前記
容器に入れた場合、該空洞部には空気が満たされた状態
となる。この状態で遠心分離を行なうと、該空洞部に満
たされた空気は前記孔を通過し該部材本体の上方へ散逸
する。その間に該部材本体は遠心力により血清と血餅と
の境界に徐々に移動し血餅を押え込む。
【0040】請求項9記載の血液分離用採血管では、円
筒状の容器本体と、該容器本体の開口部に設けられ、該
開口部の内径より僅かに小さな内径を有する円筒部材
と、該円筒部材内に挿入され該円筒部材の内壁を圧接す
る請求項1ないし8のいずれか1項記載の血液分離部材
とを備え、該血液分離部材の外周面または前記円筒部材
の内周面のいずれか一方に嵌合凸部を形成し、いずれか
他方に該嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を形成したので、
血液分離部材と円筒部材との嵌合性が向上し、該血液分
離部材は円筒部材に確実に固定される。これより、採血
の際に採血針を部材本体に貫通させても該採血針の圧入
に要する力により前記血液分離部材が円筒部材から外れ
るおそれがない。さらに、遠心分離の際に、前記血液分
離部材は血清と血餅との分離がある程度進んでから円筒
部材から外れるので、血餅中の成分が血清層に移動する
ことがなくなり、血清と血餅とは完全に分離される。
【0041】請求項10記載の血液分離用採血管では、
前記嵌合凸部を前記血液分離部材の外周面または前記円
筒部材の内周面のいずれか一方に形成され周方向に延在
する凸条とし、前記嵌合凹部を前記血液分離部材の外周
面または前記円筒部材の内周面のいずれか他方に形成さ
れ周方向に延在する溝としたので、血液分離部材と円筒
部材との嵌合性がさらに向上し、該血液分離部材は円筒
部材に確実に固定される。これより、採血の際に採血針
を部材本体に貫通させても該採血針の圧入に要する力に
より前記血液分離部材が円筒部材から外れるおそれがな
い。
【0042】請求項11記載の血液分離用採血管では、
前記血液分離部材の上面に、薄肉のシートを貼着したの
で、この血液分離用採血管を用いて採血した場合、該採
血管内の血液は該シートにより外部と隔離され、血液が
外方へ飛散する等の汚染による危険性がなくなる。ま
た、外部からの異物の混入等もなくなる。これより、採
血から血清の分取、廃棄処分に至るまでの操作におい
て、血液を密封状態で取り扱うことが可能になる。
【0043】
【実施例】以下、本発明に係る血液分離部材及びそれを
備えた血液分離用採血管の各実施例について説明する。 (実施例1)図1は本実施例の血液分離部材41を取り
付けた血液分離用採血管の縦断面図であり、図におい
て、42は採血管12の開口部12aに嵌入された円筒
部材、43は該円筒部材42に挿入され弾性力により該
円筒部材42の内壁42aに圧接される部材本体、44
は該部材本体43の上部外周部43aに嵌め込まれ液体
により膨潤する材料からなる環状の隔離部材、45は部
材本体43の上面に接着剤等で貼着され天然ゴム等から
なる薄肉のシートである。血液分離部材41は、円筒部
材42、部材本体43及び隔離部材44により構成され
ている。
【0044】円筒部材42は、採血管12の開口部12
aの内径より僅かに小さな内径、例えば、0.2〜3m
m程度小さい内径のもので、その上端は中央に穴47が
形成された板部48とされ、この穴47の内周面には周
方向に沿って凸条49が形成されている。この円筒部材
42の材質は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂等のガスバリアー性のよい硬質プ
ラスチックが好適に用いられる。ここでは、採血管12
と円筒部材42との内径差を0.2〜3mm程度として
いるが、採血管12がプラスチック製では、テーパー状
のために下の方の内径が上方より小さくなっているの
で、最小血液量での採血管内径等を考慮して設定するの
が好ましい。
【0045】部材本体43は、弾性を有する略円筒状の
もので、その中央部には下方が開放された空洞部51が
同軸的に形成されており、この空洞部51上方の天板5
2は採血針が容易に貫通する事が出来るように上下方向
より薄肉化されるとともにその周縁部に上下方向に貫通
する1つ以上の微細な孔53が形成されている。そし
て、この本体上部52には、その外周面に前記凸条49
と嵌合するための溝54が周方向に沿って形成されると
ともに、前記隔離部材44を嵌め込むために上方が開口
された断面矩形状の環状の凹部55が形成され、該凹部
55の円環状の外壁部56は薄肉とされている。
【0046】前記部材本体43は、部材本体43と隔離
部材44との平均比重が血清と血餅の中間であり、か
つ、採血針が容易に貫通でき、しかも、該採血針を引き
抜いた後は再び閉塞するような軟らかくかつ弾性を有す
るものであればよい。具体的には、部材本体43と隔離
部材44の平均比重が1.04〜1.08、好ましくは
1.045〜1.055となる様なゴムやエラストマ
ー、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、
シリコーンゴム、ポリスチレン系エラストマー、ポリア
ミド系エラストマー、シリコーン系エラストマー等、ま
たは、これらの材料に硫酸バリウム等の無機材料を混入
して比重を調整したもの等が好適に用いられる。前記ゴ
ムやエラストマーの硬度は、例えば、JISA(JIS
K6301)によれば、30〜60程度である。
【0047】隔離部材44は、血清により膨潤する材料
により構成され、前記部材本体43より僅かに小さい径
の断面矩形状の環状のもので、その中央部の穴の径は前
記部材本体43の外周部43aの外径より若干小さいと
されている。この隔離部材44は、遠心分離操作時に部
材本体43が円筒部材42から離れた直後には膨張せ
ず、血清と血餅との境界に到達した後に膨張するものが
好ましい。
【0048】その様な材料としては、例えば、セルロー
ススポンジ、軟いゴム弾性体や高吸水性ポリマーを練り
込んだ膨潤ゴム等が好適に用いられる。また、拘束力を
失った瞬間に膨張または膨潤するような発泡樹脂やセル
ローススポンジであっても、遅延発泡処理を施すことに
より、より効果的に用いることができる。
【0049】遅延発泡処理方法としては、分析値に影響
を及ぼさない様な樹脂、例えば、液状のシリコーンオイ
ル、ポリブテンなどの疎水性液状樹脂、ポリエチレング
リコール(PEG)、ポリビニールアルコール(PV
A)などの親水性樹脂を乾燥状態のセルローススポンジ
に含浸させる方法がある。また、セルローススポンジの
表面に親水性の高分子膜を薄くコーティングしてもよ
い。
【0050】この様な処理を施す事により、セルロース
スポンジは血清に埋没した後、任意の時間後に膨潤させ
る事が可能となる。例えば、平均分子量2400、粘度
4600CST(センチストークス)(於98.9℃)
のポリブテンをセルローススポンジの重量の65%を含
浸させた、遅延発泡処理を施したセルローススポンジは
血清に埋没した後、4分かけてゆっくりと膨潤する。液
状樹脂を含浸させた事による他の利点は、遠心分離後の
血餅層より血清層に血球が混入するのを防止出来る事で
ある。
【0051】次に、この血液分離部材41を用いて血液
の成分を分離する方法について、図2に基づき説明す
る。まず、採血管12の開口部12aに血液分離部材4
1を装着し、部材本体43及び円筒部材42の上面にシ
ート45を貼着し、さらにキャップ61を装着する(同
図(a))。この場合、部材本体43が容易に円筒部材
42から滑り降りることのないように一定以上の圧力で
該円筒部材42の内壁42aに押圧されていることが必
要である。この採血管12の内部は減圧状態が良好に保
たれた真空採血管である。
【0052】次に、該血液分離部材41に上方から採血
針62を突き刺し、採血した血液5を注入する。注入さ
れる血液量は採血管12内部の減圧の度合により決まる
が、常に部材本体43より下方に位置しており、上方に
来ることはない。次に、この採血管12を室内において
静置し、血液を凝固させる。
【0053】次に、遠心分離を行なう(同図(b))。
部材本体43は円筒部材42の内壁42aを摺動しつつ
降下するが、部材本体43が円筒部材42を離れるまで
は、該部材本体43が血液5より受ける浮力は極めて小
さいか0である。したがって、例えば、加わる遠心力の
大きさが1000Gとすれば、部材本体43は空気中を
1000Gで落下するのとほぼ同等の力を受けることに
なり、円筒部材42から容易に離れることができる。こ
の間、空洞部51には空気が満たされた状態となってい
る。
【0054】遠心分離がさらに進み、部材本体43が円
筒部材42を離れると隔離部材44を水平にバランス良
く保持し続けながら血清6と血餅7との境界に移動す
る。この間、空洞部51に満たされた空気は孔53を通
過し該部材本体43の上方へ散逸する。その間に該部材
本体43は遠心力により血清6と血餅7との境界に徐々
に移動し血餅7を押え込む。この時点で隔離部材44は
血清を含浸して膨張し、その弾性力により外壁部56を
半径方向外方へ押圧し、該外壁部56を円筒部材42の
内壁42aに圧接させる。また、空洞部51内の空気が
クッションの働きをするために、遠心分離中における部
材本体43と血餅7の相互の動きが滑らかとなる。
【0055】これより、隔離部材44が膨潤により採血
管12の内壁に密着し、部材本体43が該境界の位置に
固定され、血餅7が血清6層に移動するのを防止する。
したがって、この血液分離部材41により血清6と血餅
7とを完全に分離し、血餅7中の血球が血清6に混入し
てしまうという虞がなくなる。同時に、遠心分離時の衝
撃が弱まり、血餅7が破壊する等の虞がなくなる。更
に、採血管12の内径に変動があった場合においても、
血清6と血餅7とを完全に分離することが可能となる。
【0056】以下、血液分離部材41の効果を明確化す
るために行なった実験例について説明する。まず、図1
に示す様な血液分離部材41と採血管12を作製した。
部材本体43は、比重が1.08、硬度30の熱可塑性
エラストマーを、外径12.1mm、高さ16mm、重
量1.08g、空洞部51の内径4.5mm、天板52
の厚み1.5mm、外壁部56の厚み0.5mm高さ6
mmとなるように成形し、その中央部に1つ以上の微細
な孔53を形成した。
【0057】孔53は、次の様な方法により形成した。
市販の鍼用の針(医道の日本社製のスーパー鍼のうち、
内径0.2〜0.26mm、長さ15mm、針保持部
1.26mm径、長さ20mmのもの)を用い、この針
の針保持部をセラミックヒーター(100W)により5
00℃に加熱された銅棒(15mm径×100mm長)
の先端の1.5mm径の穴に挿入し、固定し加熱した。
この様に加熱された熱針をスタンドに取り付け、上下方
向に移動できる構造とした。この熱針を、部材の天板を
10mm/秒の移動速度で上下方向に移動させることに
より貫通させた。できた孔53は灯にかざしよく観察す
ると、判る程度の極めて微細なものであった。
【0058】また、隔離部材44は、外径22mm、内
径7mm、高さ5mmのセルローススポンジを乾燥させ
た後、外径10.8mm、内径7mm、高さ5mmにな
るように半径方向に圧縮成形した。これに平均分子量1
400のポリブテンを含浸させ、外径10.8mm、内
径7mm、高さ5mm、重量0.2g、見かけ比重0.
95とした。これら部材本体43と隔離部材44を組み
合わせた実際の比重は1.05であった。
【0059】また、円筒部材42は、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂を射出成形し、外径13.67mm、内
径12.2mm、高さ16.0mm、穴47径7.0m
mとした。また、シート45は、厚み1mmの天然ゴム
シートを13.67mm径の円板状に切取り、部材本体
43の上面に接着剤で貼着した。
【0060】また、採血管12は、有効容量10ml、
高さ100mm、上端の開口部12bの内径13.2m
m、外径15.6mm、下端の内径12.8mmの形状
に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を射出成形
した。その後、該採血管12に血液分離部材41及びキ
ャップ61を嵌め込み、減圧度450mmHgの真空採
血管とした。
【0061】次いで、注射器を用いて採血し、3本の採
血管12に血液をそれぞれ3ml,6ml,9ml注入
した。この場合、部材本体43は円筒部材42に強固に
密着しており、該円筒部材42から離間する虞はなかっ
た。次いで、この採血管を30分間静置して血液を凝固
させ、その後、1000Gで5分間遠心分離を行なっ
た。遠心分離後の観察では、部材本体43の外壁部56
は該採血管12の内壁に完全に密着して血清6と血餅7
とを完全に分離しており、該採血管12を振っても血清
6と血餅7とが混ざり合うことがなく、血球の溶血もな
かった。また、部材本体43上の血餅は無いかあっても
極めて微量であった。
【0062】次に、この採血管12を約5℃の低温状態
で保存し、血清6中のカリウム値を測定した。表1はカ
リウム値の経時変化を示したものである。
【0063】
【表1】
【0064】これらの測定値によれば、血液分離部材4
1は血清6と血餅7とを完全に分離しており、経時的に
も安定していることがわかった。
【0065】以上説明した様に、この血液分離部材41
によれば、部材本体43の上部外周部に、液体により膨
潤する材料からなる環状の隔離部材44を嵌め込むため
に上方が開口された凹部55を形成し、該凹部55の外
壁部56を薄肉としたので、血餅7が血清6層に移動す
るのを防止することができる。したがって、この血液分
離部材41により血清6と血餅7とを完全に分離するこ
とができる。
【0066】また、採血管12の内径に変動があった場
合においても、膨潤した隔離部材44が凹部55の外壁
部56を採血管12の内壁に圧接するので、血清6と血
餅7とを完全に分離することができる。更に、前記血液
分離部材41を分離後の採血管12内に長時間放置した
場合においても、該外壁部56が血清6と血餅7とを完
全に遮断し続け、血餅7中の浸透し易い成分が血清6に
移行するのを防止することができる。
【0067】また、部材本体43上方の天板52の周縁
部に1つ以上の微細な孔53を形成したので、遠心分離
時に空洞部51に満たされた空気を部材本体43の上方
へ散逸させることにより、分離部材の遠心中での血清中
の沈降速度を制御することができ、血餅への衝撃を小さ
くすることができる。
【0068】(実施例2)図3は実施例2の血液分離部
材71の縦断面図であり、図において、72は不透液性
の弾性部材であり、他の構成要素については上記の血液
分離部材41と全く同様であるから説明を省略する。
【0069】弾性部材72は、図4に示すように、血清
等の液体を通さない弾性を有する合成樹脂製の断面矩形
状の環体73の一部が半径方向に切断され、この切断さ
れた両端部73a,73bが互いに相補形状となるよう
に周方向に階段状に切りかかれている。そして、両端部
73a,73b各々には、弾性力に抗して互いに当接さ
れた状態で相互に貫通する穴74が形成され、これらの
穴74には丸棒状の留め具であるストッパ75が嵌め込
まれている。この弾性部材72の外形寸法は、ストッパ
75が嵌め込まれて縮径させた状態では外径10.5m
m、内径7mm、また、ストッパ75を取り除いて拡径
させた状態では外径12mm、内径8.5mmである。
【0070】このストッパ75は、液体が浸透しない状
態では所定の形状及び強度を保持し、液体が浸透した場
合に溶解または崩壊されるもので、例えば、セルロース
粉末を1000kg/cm2程度の圧力で丸棒状に成形
したもの、あるいは、血清に対して溶出分が少ないアル
ミナ(Al23)等の無機粉末を圧縮成形したもの等が
好適に用いられる。
【0071】この弾性部材72は、血液成分がストッパ
75に浸透しない限りにおいては、弾性力により拡径す
ることはない。例えば、遠心分離操作時に部材本体43
が円筒部材42から離れた直後においては、弾性部材7
2は血液の上方にあるのでストッパ75は溶解も崩壊も
せず、したがって、縮径させた状態を良好に保持してい
る。
【0072】遠心分離がさらに進み、部材本体43が円
筒部材42を離れると弾性部材72を水平にバランス良
く保持し続けながら血清と血餅との境界に移動する。こ
の間、ストッパ75には上方から徐々に血清が浸透する
が、血清が浸透していない部分の粉末同士の結合力が強
固なために形状が保持され、溶解または崩壊することは
ない。
【0073】その後、血清と血餅との境界に移動し、血
清と血餅とが完全に分離された後に血餅を押え込む。こ
の時、ストッパ75は血清が充分に浸透した状態とな
り、図5に示すように、粉末同士の結合力が低下し形状
を保持することができなくなり、溶解または崩壊する。
したがって、環体73は拘束力が失われ、それ自体の有
する弾性力により拡径する。
【0074】これより、弾性部材72が弾性力により採
血管12の内壁に密着し、部材本体43が該境界の位置
に固定され、血餅が血清層に移動するのを防止する。し
たがって、この血液分離部材71により血清と血餅とを
完全に分離し、血餅中の血球が血清に混入してしまうと
いう虞がなくなる。この血液分離部材71においても、
上記実施例1の血液分離部材41と同様の効果を奏する
ことができる。
【0075】なお、弾性部材72の形状は、上記実施例
に限定されることなく様々な形状のものが可能である。
例えば、2重あるいは3重に巻回したものを用いてもよ
い。更に、薄い円筒状のゴム弾性体または収縮可能なス
ポンジ等を用いてもよい。
【0076】更に、環体73の弾性力を調節することに
よりストッパ75を用いないことも可能である。この場
合、遠心分離操作時に所定の遠心力(例えば、1000
G)に達すると、血液分離部材71は円筒部材42より
落下するが落下と同時に環体73が開き、外壁部56を
押し広げ、採血管12に内接するようになる。採血管1
2に内接しながら該部材は血清中を沈降し、血清と血餅
との境界に到達し隔壁となる。ここでは、ストッパ75
がある場合と比較して、採血管12に内接する力が弱く
なるように環体73の弾性力を調整する必要がある。
【0077】この部材の特徴としては、外壁部56が薄
板状であるから、部材が採血管12の下方(底部)へ沈
降するのは容易であるが、上方(開口部12a)へは動
き難い。したがって、弾性力が弱くとも部材は上方へは
動き難く、例えば、遠心分離後に採血管12を逆さにし
ても、部材が開口部12aへ向かって動き出すこともな
い。
【0078】(実施例3)図6は実施例3の血液分離部
材81の縦断面図であり、図において、82は上部外周
部82aが縮径された部材本体、83は上部外周部82
aに嵌め込まれた不透液性の環状の弾性部材であり、他
の構成要素については上記の血液分離部材41,71と
全く同様である。この弾性部材83は、収縮自在の弾性
体、例えば、独立気泡を有する合成ゴム発泡体が好適に
用いられる。
【0079】この血液分離部材81では、遠心分離時に
血清中を沈降する際、血清の置換は弾性部材83と採血
管12の内壁との間を通り抜けて上方へ移行するが、例
えば、この弾性部材83と採血管12の内壁とが接して
いて該血液分離部材81の上方と下方とが隔離状態とさ
れている場合であっても、弾性部材83の摩擦力より血
液分離部材81の沈降する力の方が大であれば、血清の
置換が起る。したがって、血液分離部材81は沈降し、
血清と血餅との境界に移動し、血餅の抗力を受けて停止
し、結果的に血清と血餅とが分離されたことになる。こ
の場合、弾性部材83と採血管12の内壁との摩擦力が
加わるので、血液分離部材81の比重は必ずしも血清と
血餅との中間である必要はない。
【0080】以下、血液分離部材81の効果を明確化す
るために行なった実験例について説明する。まず、図6
に示す様な血液分離部材81を作製した。部材本体82
は、比重1.08、硬度30の熱可塑性エラストマーに
増量材として酸化チタン(TiO2)を添加し比重1.
3、硬度45に調整した熱可塑性エラストマー複合体
を、外径12.1mm、高さ16mm、体積1.08c
3、重量1.404gとなるように成形し、その中央
部に複数の微細な孔53を形成した。
【0081】また、円筒部材42は、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂を射出成形し、外径13.67mm、内
径12.2mm、高さ16.0mm、穴径9.0mmと
した。また、弾性部材83は、比重0.15の合成ゴム
発泡体を用い、外径13mm、内径7mm、高さ3mm
のリング状とした。
【0082】また、シート45は、厚み1mmの天然ゴ
ムシートを16mm径の円板状に切取り、部材本体82
を円筒部材42に嵌め込んだ後に該部材本体82の上面
に接着剤で貼着した。なお、採血管12は、有効容量1
0mlのポリエチレンテレフタレート(PET)製のも
のを用いた。
【0083】この血液分離部材81を6ml採血した採
血管12に装着し、この採血管12を30分間静置して
血液を凝固させ、その後、1000Gで5分間遠心分離
を行なった。遠心分離後の観察では、部材本体82は血
清と血餅との境界面で停止しており、良好な分離が得ら
れた。この血液分離部材81においても、上記各実施例
の血液分離部材41,71と同様の効果を奏することが
できる。
【0084】(実施例4)図7は実施例4の血液分離部
材91の縦断面図であり、図において、92は採血管1
2の開口部12aに嵌入された円筒部材、93は該円筒
部材92に挿入され弾性力により該円筒部材92の内壁
92aに圧接される部材本体、94は該部材本体93の
上端部外周部93aに嵌め込まれ弾性または透液性を有
する材料からなる部材本体93より僅かに大径の円板で
ある。血液分離部材91は、円筒部材92、部材本体9
3、隔離部材44及び円板94により構成されている。
【0085】円筒部材92は、採血管12の開口部12
aの内径より僅かに小さな内径、例えば、0.2〜3m
m程度小さい内径のもので、その上端は上方に向かって
漸次拡径されている。この円筒部材92の材質は、上記
実施例の円筒部材42と同様であり、採血管12と円筒
部材92との内径差を、最小血液量での採血管内径等を
考慮して設定するのも全く同様である。
【0086】部材本体93は、弾性を有する略円筒状の
もので、同軸的に形成された空洞部51上方の天板52
には円板94が嵌め込まれている。円板94の一方の主
面には、上部外周部93aと嵌合する環状の突部95が
形成されている。
【0087】この血液分離部材91では、空洞部51の
形状及び部材本体93の比重を適当に設定することによ
り、空洞部51に空気を保持させたまま遠心力により血
清と血餅との境界に移動し、血餅を押さえることが可能
である。この場合、空洞部51内の空気がクッションの
働きをするため、血餅に与える衝撃力が弱まり血球の破
壊を防ぐことができる。しかも、空気は空洞部51の天
板52から抜けることがないので、成分の血清への移行
を完全に防ぐことができる。
【0088】空洞部51内の空気は、遠心力(1000
g、1500g等)、血液の量(3ml、9ml等)及
び部材の位置(遠心機の中心より部材までの距離)に応
じて圧縮される。この圧縮された空気を含む部材全体の
平均比重が、遠心力、血液の量、部材の位置により異な
るが、通常の血清分離に適用される操作条件の範囲で血
清と血餅との間にあれば、血清と血餅との分離は可能で
ある。例えば、部材本体93の外径を12.2mm、高
さを16mm、上部の隔離部材44との嵌め合いの部分
の凹部の溝の幅を2.5mmとし、空洞部51の内径を
4mm、深さを14mmとし、円板94の外径を13.
5mm、厚みを0.5mmとし、部材全体の比重を1.
2とする。
【0089】空洞部51内の空気の圧力は、遠心が完了
した時点でほぼ大気圧に戻り、元の体積に戻ろうとして
膨張するが、この時点では円板94が採血管12の内壁
12aに密着しており、空気の膨張が阻止される。これ
により、血清と血餅とを完全に分離することが可能にな
る。また、天板52部分を貫通して採血が可能であり、
遠心中にこの採血針の貫通した跡の孔から空気が漏れる
ことがないので、通常の血清分離のいかなる遠心下にお
いても、部材は血清と血餅との境界に位置する様にな
る。
【0090】以上説明した様に、この実施例4の血液分
離部材91によれば、部材本体93の上端部外周部93
aに弾性または透液性を有する材料からなる円板94を
設けたので、部材本体93の沈降速度を抑制することが
できる。したがって、部材本体93が血清と血餅との境
界に移動する際に血餅に対する衝撃力を弱めることがで
き、血餅中の成分が血清層に移動することがなく、血清
と血餅とを完全に分離することができる。
【0091】(実施例5)図8は実施例5の血液分離部
材101の縦断面図であり、図において、102は採血
管12の開口部12aに嵌入された円筒部材、103は
該円筒部材102に挿入され弾性力により該円筒部材1
02の内壁102aに圧接される部材本体である。
【0092】円筒部材102は、採血管12の開口部1
2aの内径より僅かに小さな内径、例えば、0.2〜3
mm程度小さい内径のもので、その上端の内周面は拡径
された凹部104とされている。部材本体103は、そ
の外壁部56の上端部が水平方向外方へ延びる環状の薄
板105とされている。
【0093】この血液分離部材101を嵌め込んだ採血
管12を用いて血液の遠心分離を行なうと、部材本体1
03が遠心力により血清中を沈降する際に、環状の薄板
105が採血管12の内壁12aに接触しつつ沈降し、
部材本体103の沈降速度を抑制する。したがって、部
材本体103は急激に沈降することなく血餅に対する衝
撃力が弱められ、血餅中の成分が血清層に移動すること
がなくなり、血清と血餅とは完全に分離される。
【0094】以上説明した様に、この実施例5の血液分
離部材101によれば、部材本体103の外壁部56の
上端部に、水平方向外方へ延びる環状の薄板105を設
けたので、部材本体103が遠心力により血清中を沈降
する際に、薄板105が採血管12の内壁12aに接触
しつつ沈降することにより、部材本体103の沈降速度
を抑制することができる。したがって、部材本体103
の血餅に対する衝撃力を弱めることができ、血餅中の成
分が血清層に移動するのを防止することができ、血清と
血餅とを完全に分離することができる。
【0095】(実施例6)図9は実施例6の血液分離部
材111の縦断面図であり、図において、112は円筒
部材42に挿入され弾性力により該円筒部材42の内壁
42aに圧接され外周部に周方向に一巡する断面三角形
状の溝113が形成された部材本体、114は当該溝1
13に嵌め込まれた弾性を有する環状の緩衝材である。
【0096】この血液分離部材111を嵌め込んだ採血
管12を用いて血液の遠心分離を行なうと、部材本体1
12が遠心力により血清中を沈降する際に、環状の緩衝
材114が採血管12の内壁12aに接触しつつ沈降し
部材本体112の沈降速度を抑制する。したがって、部
材本体112は徐々に沈降しつつ血清と血餅との境界に
到達し、血餅に対する衝撃力が弱められる。これより、
血餅中の成分が血清層に移動することがなくなり、血清
と血餅とは完全に分離される。
【0097】以上説明した様に、この実施例6の血液分
離部材111によれば、部材本体112の外周部に周方
向に一巡する溝113を形成し、当該溝113に弾性を
有する環状の緩衝材114を嵌め込んだので、部材本体
112が遠心力により血清中を沈降する際に、環状の緩
衝材114が採血管12の内壁12aに接触しつつ沈降
することにより、部材本体112の沈降速度を抑制する
ことができる。したがって、部材本体112の血餅に対
する衝撃力を弱めることができ、血餅中の成分が血清層
に移動することがなく、血清と血餅とを完全に分離する
ことができる。
【0098】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の請求項1記
載の血液分離部材によれば、円筒状の容器に挿入され該
容器の内壁を圧接する部材本体と、該部材本体の外周部
に嵌め込まれた不透液性の弾性部材とを備えたので、弾
性部材がその弾性力により容器の内壁を圧接し部材本体
を所定の位置に固定することができ、血餅が血清層に移
動するのを防止することができる。したがって、血清と
血餅とを分離することができる。
【0099】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、前記弾性部材が容器の内壁を圧接するの
で、血清と血餅とを完全に分離することができる。更
に、前記血液分離部材を分離後の前記容器内に長時間放
置した場合においても、該弾性部材が血清と血餅とを完
全に遮断し続けるので、血餅中の浸透し易い成分が血清
に移行するのを防止することができる。
【0100】請求項2記載の血液分離部材によれば、前
記部材本体の上部外周部に、前記弾性部材を嵌め込むた
めに上方が開口された凹部を形成し、該凹部の外壁部を
薄肉としたので、前記外壁部が前記弾性部材の弾性力を
受けて容器の内壁に圧接され、部材本体を所定の位置に
固定することができ、血餅が血清層に移動するのを防止
することができる。したがって、この血液分離部材によ
り血清と血餅とを完全に分離することができる。
【0101】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、前記弾性部材が凹部の外壁部を前記容器の
内壁に圧接するので、血清と血餅とを完全に分離するこ
とができる。更に、前記血液分離部材を分離後の前記容
器内に長時間放置した場合においても、該外壁部が血清
と血餅とを完全に遮断し続けるので、血餅中の浸透し易
い成分が血清に移行するのを効果的に防止することがで
きる。
【0102】請求項3記載の血液分離部材によれば、円
筒状の容器に挿入され該容器の内壁を圧接する部材本体
と、該部材本体の外周部に嵌め込まれ液体により膨潤す
る材料からなる環状の隔離部材とを備え、前記部材本体
の上部外周部に、前記隔離部材を嵌め込むために上方が
開口された凹部を形成し、該嵌合凹部の外壁部を薄肉と
したので、隔離部材が血清により膨潤することにより前
記凹部の外壁部を前記容器の内壁に圧接し、部材本体を
所定の位置に固定することができ、血清と血餅とを完全
に分離することができる。
【0103】また、前記容器の内径に変動があった場合
においても、膨潤した隔離部材が嵌合凹部の外壁部を前
記容器の内壁に圧接するので、血清と血餅とを完全に分
離することができる。更に、前記血液分離部材を分離後
の前記容器内に長時間放置した場合においても、該外壁
部が血清と血餅とを完全に遮断し続けるので、血餅中の
浸透し易い成分が血清に移行するのを効果的に防止する
ことができる。
【0104】請求項4記載の血液分離部材によれば、前
記部材本体の上端部に、弾性または透液性を有しかつ該
上端部より大径の板部を設けたので、該部材本体が遠心
力により血清中を沈降する際に、当該板部が前記容器の
内壁に接触しつつ沈降することにより、部材本体の沈降
速度を抑制することができる。したがって、該部材本体
が血清と血餅との境界に移動する際に血餅に対する衝撃
力を弱めることができ、血餅中の成分が血清層に移動す
ることがなく、血清と血餅とを完全に分離することがで
きる。
【0105】請求項5記載の血液分離部材によれば、前
記部材本体の外周部に周方向に一巡する溝を形成し、当
該溝に弾性を有する環状の緩衝材を嵌め込んだので、該
部材本体が遠心力により血清中を沈降する際に、環状の
前記緩衝材が前記容器の内壁に接触しつつ沈降すること
により、部材本体の沈降速度を抑制することができる。
したがって、該部材本体の血餅に対する衝撃力を弱める
ことができ、血餅中の成分が血清層に移動することがな
く、血清と血餅とを完全に分離することができる。
【0106】請求項6記載の血液分離部材によれば、前
記外壁部に該外壁部の上部から水平方向外方へ延びる環
状の薄片を設けたので、該部材本体が遠心力により血清
中を沈降する際に、環状の前記薄片が前記容器の内壁に
接触しつつ沈降することにより、部材本体の沈降速度を
抑制することができる。したがって、該部材本体の血餅
に対する衝撃力を弱めることができ、血餅中の成分が血
清層に移動することがなく、血清と血餅とを完全に分離
することができる。
【0107】請求項7記載の血液分離部材によれば、前
記部材本体に下方が開放された空洞部を同軸的に形成し
たので、該空洞部に満たされた空気を遠心力に起因する
圧力により圧縮し、該空洞部内に閉じ込められた状態で
保持することにより、遠心分離時の該部材本体の沈降速
度を制御することができる。したがって、血清及び血餅
の各成分の移行を完全に遮断することができる。また、
空洞部内の空気がクッションの働きをするので、血餅へ
の衝撃を小さくすることができる。
【0108】請求項8記載の血液分離部材によれば、前
記部材本体の空洞部上方の位置に該部材本体を貫通する
1つ以上の微細な孔を形成したので、遠心分離時の該部
材本体の沈降速度を制御することができ、また、空洞部
内の空気がクッションの働きをするので、血餅への衝撃
を小さくすることができる。
【0109】請求項9記載の血液分離用採血管によれ
ば、円筒状の容器本体と、該容器本体の開口部に設けら
れ、該開口部の内径より僅かに小さな内径を有する円筒
部材と、該円筒部材内に挿入され該円筒部材の内壁を圧
接する請求項1ないし8のいずれか1項記載の血液分離
部材とを備え、該血液分離部材の外周面または前記円筒
部材の内周面のいずれか一方に嵌合凸部を形成し、いず
れか他方に該嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を形成したの
で、血液分離部材と円筒部材との嵌合性を向上させるこ
とができ、該血液分離部材を円筒部材に確実に固定させ
ることができる。したがって、採血の際に採血針を部材
本体に貫通させても該採血針の圧入に要する力により前
記血液分離部材が円筒部材から外れるおそれがなくな
り、さらに、遠心分離の際に血餅中の成分が血清層に移
動することがなく、血清と血餅とを完全に分離すること
ができる。
【0110】請求項10記載の血液分離用採血管によれ
ば、前記嵌合凸部を前記血液分離部材の外周面または前
記円筒部材の内周面のいずれか一方に形成され周方向に
延在する凸条とし、前記嵌合凹部を前記血液分離部材の
外周面または前記円筒部材の内周面のいずれか他方に形
成され周方向に延在する溝としたので、血液分離部材と
円筒部材との嵌合性をさらに向上させることができ、該
血液分離部材を円筒部材に確実に固定することができ
る。したがって、採血の際に採血針を部材本体に貫通さ
せても該採血針の圧入に要する力により前記血液分離部
材が円筒部材から外れるおそれがなく、血液分離部材が
円筒部材から外れるのを効果的に防止することができ
る。
【0111】請求項11記載の血液分離用採血管によれ
ば、前記血液分離部材の上面に、薄肉のシートを貼着し
たので、この血液分離用採血管を用いて採血した場合に
おいては、該採血管内の血液は該シートにより外部と隔
離され、血液が外方へ飛散する等の汚染を防止すること
ができる。また、外部からの異物の混入等も防止するこ
とができる。したがって、採血から血清の分取、廃棄処
分に至るまでの操作において、血液を密封状態で取り扱
うことができる。
【0112】以上により、血液検体を遠心分離操作によ
り血清と血餅とに分離する際に、血清と血餅とを完全に
分離することができ、しかも長時間放置した場合におい
ても血清と血餅との分離状態を完全に保つことができ、
さらに、遠心中における血清中の沈降速度を制御するこ
とができる血液分離部材及びそれを備えた血液分離用採
血管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図2】本発明の実施例1の血液分離部材による血液の
遠心分離操作を示す過程図である。
【図3】本発明の実施例2の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図4】本発明の実施例2の血液分離部材の弾性部材を
示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は正面
図である。
【図5】本発明の実施例2の血液分離部材の弾性部材が
拡径された状態を示す図であり、同図(a)は平面図、
同図(b)は正面図である。
【図6】本発明の実施例3の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図7】本発明の実施例4の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図8】本発明の実施例5の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図9】本発明の実施例6の血液分離部材を示す縦断面
図である。
【図10】従来の血清ろ過ピストンを示す斜視図であ
る。
【図11】従来の血清ろ過ピストンによる血液の遠心分
離操作を示す過程図である。
【図12】従来の改良された血液分離部材の一例を示す
縦断面図である。
【図13】従来の改良された血液分離部材の他の例を示
す縦断面図である。
【符号の説明】
5 血液 6 血清 7 血餅 12 採血管 12a 開口部 41 血液分離部材 42 円筒部材 42a 内壁 43 部材本体 43a 上部外周部 44 隔離部材 45 シート 47 穴 48 板部 49 凸条 51 空洞部 52 天板 53 孔 54 溝 55 凹部 56 外壁部 71 血液分離部材 72 弾性部材 73 環体 73a,73b 端部 74 穴 75 ストッパ 81 血液分離部材 82 部材本体 82a 上部外周部 83 弾性部材 91 血液分離部材 92 円筒部材 92a 内壁 93 部材本体 93a 上端部外周部 94 円板 95 突部 101 血液分離部材 102 円筒部材 102a 内壁 103 部材本体 104 凹部 105 環状の薄板 111 血液分離部材 112 部材本体 113 溝 114 緩衝材

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の容器に挿入され該容器の内壁を
    圧接する部材本体と、該部材本体の外周部に嵌め込まれ
    た不透液性の弾性部材とを備えたことを特徴とする血液
    分離部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の血液分離部材において、 前記部材本体の上部外周部に、前記弾性部材を嵌め込む
    ために上方が開口された凹部を形成し、該凹部の外壁部
    を薄肉としたことを特徴とする血液分離部材。
  3. 【請求項3】 円筒状の容器に挿入され該容器の内壁を
    圧接する部材本体と、該部材本体の外周部に嵌め込まれ
    液体により膨潤する材料からなる環状の隔離部材とを備
    え、 前記部材本体の上部外周部に、前記隔離部材を嵌め込む
    ために上方が開口された凹部を形成し、該凹部の外壁部
    を薄肉としたことを特徴とする血液分離部材。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3のいずれか1項記
    載の血液分離部材において、 前記部材本体の上端部に、弾性または透液性を有しかつ
    該上端部より大径の板部を設けてなることを特徴とする
    血液分離部材。
  5. 【請求項5】 請求項1,2または3のいずれか1項記
    載の血液分離部材において、 前記部材本体の外周部に、周方向に一巡する溝を形成
    し、当該溝に、弾性を有する環状の緩衝材を嵌め込んで
    なることを特徴とする血液分離部材。
  6. 【請求項6】 請求項2または3のいずれか1項記載の
    血液分離部材において、 前記外壁部に、該外壁部の上部から水平方向外方へ延び
    る環状の薄片を設けてなることを特徴とする血液分離部
    材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項記載の
    血液分離部材において、 前記部材本体に、下方が開放された空洞部を同軸的に形
    成してなることを特徴とする血液分離部材。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の血液分離部材において、 前記部材本体の空洞部上方の位置に、該部材本体を貫通
    する1つ以上の微細な孔を形成してなることを特徴とす
    る血液分離部材。
  9. 【請求項9】 円筒状の容器本体と、 該容器本体の開口部に設けられ、該開口部の内径より僅
    かに小さな内径を有する円筒部材と、 該円筒部材内に挿入され該円筒部材の内壁を圧接する請
    求項1ないし8のいずれか1項記載の血液分離部材とを
    備え、 該血液分離部材の外周面または前記円筒部材の内周面の
    いずれか一方に嵌合凸部を形成し、いずれか他方に該嵌
    合凸部と嵌合する嵌合凹部を形成してなることを特徴と
    する血液分離用採血管。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の血液分離用採血管にお
    いて、 前記嵌合凸部は、前記血液分離部材の外周面または前記
    円筒部材の内周面のいずれか一方に形成され周方向に延
    在する凸条であり、 前記嵌合凹部は、前記血液分離部材の外周面または前記
    円筒部材の内周面のいずれか他方に形成され周方向に延
    在する溝であることを特徴とする血液分離用採血管。
  11. 【請求項11】 請求項9または10のいずれか1項記
    載の血液分離用採血管において、 前記血液分離部材の上面に、薄肉のシートを貼着してな
    ることを特徴とする血液分離用採血管。
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