JPH0820091A - セラミック焼結体およびその製造方法 - Google Patents
セラミック焼結体およびその製造方法Info
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- JPH0820091A JPH0820091A JP6153763A JP15376394A JPH0820091A JP H0820091 A JPH0820091 A JP H0820091A JP 6153763 A JP6153763 A JP 6153763A JP 15376394 A JP15376394 A JP 15376394A JP H0820091 A JPH0820091 A JP H0820091A
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- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
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- C04B41/45—Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
- C04B41/50—Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
- C04B41/5025—Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials with ceramic materials
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高温において高強度で、かつ耐酸化性に優れ
たセラミック焼結体を提供する。 【構成】 窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形
成され、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子からな
る表面層とを具備したことを特徴とする。
たセラミック焼結体を提供する。 【構成】 窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形
成され、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子からな
る表面層とを具備したことを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化ケイ素を基体とし
て有するガスタービン部品等に有用なセラミック焼結体
て有するガスタービン部品等に有用なセラミック焼結体
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素焼結体は、高強度、高靭性と
いう優れた機械的特性を有する。また、前記窒化ケイ素
焼結体は1000℃の温度まで耐えるという優れた耐熱
性を有するため、機械部品として広く用いられている。
いう優れた機械的特性を有する。また、前記窒化ケイ素
焼結体は1000℃の温度まで耐えるという優れた耐熱
性を有するため、機械部品として広く用いられている。
【0003】しかしながら、前記窒化ケイ素焼結体から
形成されたガスタービン部品のように1200℃以上の
高温条件下で使用される構造部品は、耐酸化性および耐
食性の点で十分満足するものではない。これは、窒化ケ
イ素焼結体はアルミナ等を焼結助剤として用いて製造さ
れるため、前記助剤が第2成分として窒化ケイ素粒子の
粒界に存在するため、前記粒界相が酸化または腐食され
ることに起因している。
形成されたガスタービン部品のように1200℃以上の
高温条件下で使用される構造部品は、耐酸化性および耐
食性の点で十分満足するものではない。これは、窒化ケ
イ素焼結体はアルミナ等を焼結助剤として用いて製造さ
れるため、前記助剤が第2成分として窒化ケイ素粒子の
粒界に存在するため、前記粒界相が酸化または腐食され
ることに起因している。
【0004】このようなことから特開昭61−5530
1号公報には、窒化ケイ素からなる基体の表面をサイア
ロンで被覆した構造のセラミック焼結体が開示されてい
る。前記サイアロンは、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末
との混合粉末を原料とし、焼結することにより作製され
る。このようなサイアロンは、アルミナが窒化ケイ素粒
子に固溶するため、窒化ケイ素焼結体において問題にな
る第2成分は粒界に殆ど存在しない。したがって、表面
をサイアロンで被覆した窒化ケイ素焼結体は1500℃
程度まで良好な耐酸化性を示す。
1号公報には、窒化ケイ素からなる基体の表面をサイア
ロンで被覆した構造のセラミック焼結体が開示されてい
る。前記サイアロンは、窒化ケイ素粉末とアルミナ粉末
との混合粉末を原料とし、焼結することにより作製され
る。このようなサイアロンは、アルミナが窒化ケイ素粒
子に固溶するため、窒化ケイ素焼結体において問題にな
る第2成分は粒界に殆ど存在しない。したがって、表面
をサイアロンで被覆した窒化ケイ素焼結体は1500℃
程度まで良好な耐酸化性を示す。
【0005】また、より過酷な環境下で使用される構造
部品において、より酸化性の優れた酸化物セラミックを
表面に被覆することが考えられる。特に、アルミナはア
ルカリなどに対して優れた耐食性を有する。
部品において、より酸化性の優れた酸化物セラミックを
表面に被覆することが考えられる。特に、アルミナはア
ルカリなどに対して優れた耐食性を有する。
【0006】しかしながら、セラミックスの耐酸化性は
窒化ケイ素<サイアロン<アルミナ順で向上されるのに
対し、強度は逆に窒化ケイ素>サイアロン>アルミナ順
で大きくなる。
窒化ケイ素<サイアロン<アルミナ順で向上されるのに
対し、強度は逆に窒化ケイ素>サイアロン>アルミナ順
で大きくなる。
【0007】アルミナは、強度が300MPa程度、破
壊靭性が3〜4MPam1/2 程度であり、機械的性質は
窒化ケイ素より劣る。また、アルミナは窒化ケイ素との
熱膨張係数の差が大きいために窒化ケイ素の基体表面に
アルミナを形成すると、焼成後の冷却過程において表面
層(アルミナ層)に引張り応力が発生する。その結果、
強度の点では基体である窒化ケイ素の特徴が生かされな
い。
壊靭性が3〜4MPam1/2 程度であり、機械的性質は
窒化ケイ素より劣る。また、アルミナは窒化ケイ素との
熱膨張係数の差が大きいために窒化ケイ素の基体表面に
アルミナを形成すると、焼成後の冷却過程において表面
層(アルミナ層)に引張り応力が発生する。その結果、
強度の点では基体である窒化ケイ素の特徴が生かされな
い。
【0008】ところで、従来、前述した窒化ケイ素から
なる基体の表面にアルミナからなる表面層を形成するに
は遠心式光透過法の測定で平均粒径が0.5μm以下の
アルミナ粉末が用いられている。しかしながら、前記ア
ルミナ粉末は緻密化が1100〜1200℃の温度で始
まるため、1600℃程度で緻密化が始まる窒化ケイ素
との整合性が劣る。また、焼結体のSEMによる直接観
察から求めた平均粒径は10μm以下であるため、前記
引張り応力に耐えるだけの強度を有するアルミナ層を形
成することが困難である。さらに、アルミナは窒化ケイ
素の焼結温度付近で一部異常粒成長を起こすため、これ
によってもアルミナ層の強度が低下する。したがって、
窒化ケイ素からなる基材の強度を生かすにはアルミナ層
の厚さを薄く、例えば3μm以下にする必要があるた
め、耐酸化性を十分に向上することができない。
なる基体の表面にアルミナからなる表面層を形成するに
は遠心式光透過法の測定で平均粒径が0.5μm以下の
アルミナ粉末が用いられている。しかしながら、前記ア
ルミナ粉末は緻密化が1100〜1200℃の温度で始
まるため、1600℃程度で緻密化が始まる窒化ケイ素
との整合性が劣る。また、焼結体のSEMによる直接観
察から求めた平均粒径は10μm以下であるため、前記
引張り応力に耐えるだけの強度を有するアルミナ層を形
成することが困難である。さらに、アルミナは窒化ケイ
素の焼結温度付近で一部異常粒成長を起こすため、これ
によってもアルミナ層の強度が低下する。したがって、
窒化ケイ素からなる基材の強度を生かすにはアルミナ層
の厚さを薄く、例えば3μm以下にする必要があるた
め、耐酸化性を十分に向上することができない。
【0009】また、平均粒径が0.5μm以上のアルミ
ナ粉末を原料とし、大気中または真空中で焼結を行うこ
とが知られているが、この場合でも得られた焼結体は平
均粒径が10μm以下のアルミナ粒子を有する。
ナ粉末を原料とし、大気中または真空中で焼結を行うこ
とが知られているが、この場合でも得られた焼結体は平
均粒径が10μm以下のアルミナ粒子を有する。
【0010】一方、黄啓祥、中川善兵衛、濱野健也;日
本セラミック協会学術論文誌,101[9](199
2)pp.1051において、チタニアが0.2重量%
含むアルミナ粉末を原料として用いた場合には、平均粒
径が20μmのアルミナ粒子を有するアルミナ焼結体が
得られることが報告されている。しかしながら、添加し
たチタニアはアルミナ焼結体に3TiO2 −5Al2 O
3 の形態で存在するため、耐酸化性が低下される。この
ため、前記チタニア添加アルミナ粉末を用いて窒化ケイ
素の基体表面にアルミナ層を形成しても、高温の環境下
において窒化ケイ素の持つ強度を維持しつつ耐酸化性を
向上させたセラミック焼結体を得ることができない。
本セラミック協会学術論文誌,101[9](199
2)pp.1051において、チタニアが0.2重量%
含むアルミナ粉末を原料として用いた場合には、平均粒
径が20μmのアルミナ粒子を有するアルミナ焼結体が
得られることが報告されている。しかしながら、添加し
たチタニアはアルミナ焼結体に3TiO2 −5Al2 O
3 の形態で存在するため、耐酸化性が低下される。この
ため、前記チタニア添加アルミナ粉末を用いて窒化ケイ
素の基体表面にアルミナ層を形成しても、高温の環境下
において窒化ケイ素の持つ強度を維持しつつ耐酸化性を
向上させたセラミック焼結体を得ることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
において高強度で、かつ耐酸化性に優れたセラミック焼
結体を提供しようとするものである。
において高強度で、かつ耐酸化性に優れたセラミック焼
結体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるセラミッ
ク焼結体は、窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に
形成され、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子から
なる表面層とを具備したことを特徴とするものである。
ク焼結体は、窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に
形成され、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子から
なる表面層とを具備したことを特徴とするものである。
【0013】前記表面層を構成するアルミナ粒子の平均
粒径を規定したのは、その平均粒径を20μm未満にす
ると引張り残留応力に耐える強度を有する表面層を形成
することができなくなる。より好ましい前記表面層を構
成するアルミナ粒子の平均粒径は、20〜30μmであ
る。
粒径を規定したのは、その平均粒径を20μm未満にす
ると引張り残留応力に耐える強度を有する表面層を形成
することができなくなる。より好ましい前記表面層を構
成するアルミナ粒子の平均粒径は、20〜30μmであ
る。
【0014】前記表面層は、前記基体とこの表面層との
合計厚さに対して15%以下の厚さを有することが好ま
しい。前記表面層は、その構成材であるアルミナ本来の
高い耐酸化性の効果を十分に発揮させるために、ある程
度の厚さを有することが必要であるが、前記表面層の厚
さが前記基体と前記表面層との合計厚さに対して10%
を越えると、前記表面層を構成するアルミナの性質が現
在化し、逆に基体である窒化ケイ素の性質が損なわれる
ためにセラミック焼結体の強度および靭性が低下する恐
れがある。より好ましい前記基体と前記表面層との合計
厚さに対する前記表面層の厚さは、5〜10%である。
合計厚さに対して15%以下の厚さを有することが好ま
しい。前記表面層は、その構成材であるアルミナ本来の
高い耐酸化性の効果を十分に発揮させるために、ある程
度の厚さを有することが必要であるが、前記表面層の厚
さが前記基体と前記表面層との合計厚さに対して10%
を越えると、前記表面層を構成するアルミナの性質が現
在化し、逆に基体である窒化ケイ素の性質が損なわれる
ためにセラミック焼結体の強度および靭性が低下する恐
れがある。より好ましい前記基体と前記表面層との合計
厚さに対する前記表面層の厚さは、5〜10%である。
【0015】次に、本発明に係わるセラミック焼結体の
製造方法を説明する。まず、窒化ケイ素粉末に焼結助
剤、例えばイットリア(Y2 O3 )粉末とアルミナ粉末
をボールミルにより混合して基体用原料を調製する。ま
た、表面層用原料としては平均粒径0.5〜1.0μm
のアルミナ粉末を用意する。
製造方法を説明する。まず、窒化ケイ素粉末に焼結助
剤、例えばイットリア(Y2 O3 )粉末とアルミナ粉末
をボールミルにより混合して基体用原料を調製する。ま
た、表面層用原料としては平均粒径0.5〜1.0μm
のアルミナ粉末を用意する。
【0016】次いで、所望形状の型内に前記基体用原料
を充填した後、この原料充填層上に前記表面層用原料を
所望の厚さになるように充填して積層する。つづいて、
コールドプレスにより前記型内に予備成形体を作製した
後、窒素雰囲気中、1700℃以上の温度でホットプレ
スを施すことにより前述した窒化ケイ素からなる基体
と、この基体上に形成され、平均粒径が20μm以上の
アルミナ粒子からなる表面層とを備えたセラミック焼結
体を製造する。
を充填した後、この原料充填層上に前記表面層用原料を
所望の厚さになるように充填して積層する。つづいて、
コールドプレスにより前記型内に予備成形体を作製した
後、窒素雰囲気中、1700℃以上の温度でホットプレ
スを施すことにより前述した窒化ケイ素からなる基体
と、この基体上に形成され、平均粒径が20μm以上の
アルミナ粒子からなる表面層とを備えたセラミック焼結
体を製造する。
【0017】前記表面層用原料であるアルミナ粉末の平
均粒径を前記範囲に規定したのは、次のような理由によ
るものである。前記アルミナ粉末の平均粒径を0.5μ
m未満にすると、アルミナの焼結が窒化ケイ素よりもか
なり早い段階で始まり、両者の整合性が低下する。一
方、前記アルミナ粉末の平均粒径が1.0μmを越える
とアルミナの焼結性が低下して粒度の大きいアルミナ粒
子と粒度の小さいアルミナ粒子とが混在して生成され、
粒度分布が広がるために結果的には平均粒径が20μm
以上のアルミナ粒子を有する強度の高い表面層を形成す
ることが困難になる。
均粒径を前記範囲に規定したのは、次のような理由によ
るものである。前記アルミナ粉末の平均粒径を0.5μ
m未満にすると、アルミナの焼結が窒化ケイ素よりもか
なり早い段階で始まり、両者の整合性が低下する。一
方、前記アルミナ粉末の平均粒径が1.0μmを越える
とアルミナの焼結性が低下して粒度の大きいアルミナ粒
子と粒度の小さいアルミナ粒子とが混在して生成され、
粒度分布が広がるために結果的には平均粒径が20μm
以上のアルミナ粒子を有する強度の高い表面層を形成す
ることが困難になる。
【0018】本発明に係わる別のセラミック焼結体は、
窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形成されたア
ルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と、この中間
層上に形成されたアルミナからなる表面層とを具備した
ことを特徴とするものである。
窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形成されたア
ルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と、この中間
層上に形成されたアルミナからなる表面層とを具備した
ことを特徴とするものである。
【0019】前記中間層を構成するアルミナ−ジルコニ
ア複合体は、アルミナが40重量%以下、より好ましく
は10〜30重量%の割合で配合されていることが望ま
しい。このようなアルミナ−ジルコニア複合体からなる
中間層は、前記基体との界面に十分な厚さの窒化ケイ素
とアルミナとの固溶体からなる残留応力緩和層を形成で
きるため、前記窒化ケイ素からなる基体と前記アルミナ
−ジルコニア複合体からなる中間層との間の熱膨張係数
の差に起因する残留応力を緩和することが可能になる。
ア複合体は、アルミナが40重量%以下、より好ましく
は10〜30重量%の割合で配合されていることが望ま
しい。このようなアルミナ−ジルコニア複合体からなる
中間層は、前記基体との界面に十分な厚さの窒化ケイ素
とアルミナとの固溶体からなる残留応力緩和層を形成で
きるため、前記窒化ケイ素からなる基体と前記アルミナ
−ジルコニア複合体からなる中間層との間の熱膨張係数
の差に起因する残留応力を緩和することが可能になる。
【0020】前記中間層と前記表面層との合計厚さは、
前記セラミック焼結体の全体の厚さに対して20%以下
であることが好ましい。前記中間層および表面層は、そ
れらの構成材であるアルミナ−ジルコニア複合体および
アルミナ本来の高い耐酸化性等の効果を十分に発揮させ
るために、ある程度の厚さを有することが必要である
が、前記中間層および表面層の合計厚さが前記焼結体全
体の厚さに対して20%を越えると、それら中間層およ
び表面層の構成材の性質が現在化し、逆に基体である窒
化ケイ素の性質が損なわれるためにセラミック焼結体の
強度および靭性が低下する恐れがある。より好ましい前
記焼結体全体の厚さに対する前記合計厚さは、10〜2
0%である。
前記セラミック焼結体の全体の厚さに対して20%以下
であることが好ましい。前記中間層および表面層は、そ
れらの構成材であるアルミナ−ジルコニア複合体および
アルミナ本来の高い耐酸化性等の効果を十分に発揮させ
るために、ある程度の厚さを有することが必要である
が、前記中間層および表面層の合計厚さが前記焼結体全
体の厚さに対して20%を越えると、それら中間層およ
び表面層の構成材の性質が現在化し、逆に基体である窒
化ケイ素の性質が損なわれるためにセラミック焼結体の
強度および靭性が低下する恐れがある。より好ましい前
記焼結体全体の厚さに対する前記合計厚さは、10〜2
0%である。
【0021】前記表面層は、前記中間層とこの表面層と
の合計厚さに対して20%以下の厚さを有することが好
ましい。この理由は、前記合計厚さに対する前記表面層
の厚さが20%を越えると、強度および靭性の最も小さ
いアルミナからなる表面層の割合が大きくなり、焼結体
全体の強度および靭性が小さくなる恐れがある。より好
ましい前記中間層と前記表面層との合計厚さに対する前
記表面の厚さは、10〜20%である。
の合計厚さに対して20%以下の厚さを有することが好
ましい。この理由は、前記合計厚さに対する前記表面層
の厚さが20%を越えると、強度および靭性の最も小さ
いアルミナからなる表面層の割合が大きくなり、焼結体
全体の強度および靭性が小さくなる恐れがある。より好
ましい前記中間層と前記表面層との合計厚さに対する前
記表面の厚さは、10〜20%である。
【0022】本発明に係わる別のセラミック焼結体は、
例えば次のような方法により製造される。まず、窒化ケ
イ素粉末に焼結助剤、例えばイットリア(Y2 O3 )粉
末とアルミナ粉末をボールミルにより混合して基体用原
料を調製する。また、中間層用原料および表面層用原料
としては、アルミナ−ジルコニア複合体粉末、アルミナ
粉末をそれぞれ用意する。
例えば次のような方法により製造される。まず、窒化ケ
イ素粉末に焼結助剤、例えばイットリア(Y2 O3 )粉
末とアルミナ粉末をボールミルにより混合して基体用原
料を調製する。また、中間層用原料および表面層用原料
としては、アルミナ−ジルコニア複合体粉末、アルミナ
粉末をそれぞれ用意する。
【0023】次いで、所望形状の型内に前記基体用原料
を充填した後、この原料充填層上に前記中間層用原料を
所望の厚さになるように充填し、さらにこの中間層用原
料充填層上に表面層用原料を所望の厚さになるように充
填して積層する。つづいて、コールドプレスにより前記
型内に予備成形体を作製した後、窒素雰囲気中、170
0℃以上の温度でホットプレスを施すことにより前述し
た窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形成された
アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と、この中
間層上に形成されたアルミナからなる表面層とを備えた
セラミック焼結体を製造する。
を充填した後、この原料充填層上に前記中間層用原料を
所望の厚さになるように充填し、さらにこの中間層用原
料充填層上に表面層用原料を所望の厚さになるように充
填して積層する。つづいて、コールドプレスにより前記
型内に予備成形体を作製した後、窒素雰囲気中、170
0℃以上の温度でホットプレスを施すことにより前述し
た窒化ケイ素からなる基体と、この基体上に形成された
アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と、この中
間層上に形成されたアルミナからなる表面層とを備えた
セラミック焼結体を製造する。
【0024】
【作用】本発明に係わるセラミック焼結体は、強度およ
び靭性の優れた窒化ケイ素からなる基体上に前記窒化ケ
イ素に比べて耐酸化性および耐食性に優れたアルミナ粒
子からなる表面層が形成された構造をなす。このため、
前記窒化ケイ素からなる基体表面は前記表面層により保
護され、酸化または腐食雰囲気に直接曝されるのを回避
できる。また、前記表面層は平均粒径20μm以上のア
ルミナ粒子からなるため、前記窒化ケイ素からなる基体
との間の熱膨張係数の差に起因して前記表面層に引張り
残留応力が加わっても、その残留応力に耐える強度を有
する。したがって、窒化ケイ素からなる基体により優れ
た強度と靭性を有し、かつ残留応力に耐える強度を持つ
表面層により表面での耐酸化性および耐食性が付与され
たセラミック焼結体を得ることができる。
び靭性の優れた窒化ケイ素からなる基体上に前記窒化ケ
イ素に比べて耐酸化性および耐食性に優れたアルミナ粒
子からなる表面層が形成された構造をなす。このため、
前記窒化ケイ素からなる基体表面は前記表面層により保
護され、酸化または腐食雰囲気に直接曝されるのを回避
できる。また、前記表面層は平均粒径20μm以上のア
ルミナ粒子からなるため、前記窒化ケイ素からなる基体
との間の熱膨張係数の差に起因して前記表面層に引張り
残留応力が加わっても、その残留応力に耐える強度を有
する。したがって、窒化ケイ素からなる基体により優れ
た強度と靭性を有し、かつ残留応力に耐える強度を持つ
表面層により表面での耐酸化性および耐食性が付与され
たセラミック焼結体を得ることができる。
【0025】また、前記表面層の厚さを前記基体とこの
表面層との合計厚さに対して15%以下にすることによ
って、表面層がアルミナ粒子からなることに起因するセ
ラミック焼結体全体としての強度低下を抑制することが
可能になる。
表面層との合計厚さに対して15%以下にすることによ
って、表面層がアルミナ粒子からなることに起因するセ
ラミック焼結体全体としての強度低下を抑制することが
可能になる。
【0026】さらに、本発明に係わる製造方法によれば
所望の型内に窒化ケイ素粉末を所望の厚さになるように
充填し、前記型内の前記窒化ケイ素充填層上にアルミナ
粉末を所望の厚さになるように充填した後、ホットプレ
スする際、前記アルミナ粉末として平均粒径が0.5〜
1.0μmのものを用いることによって、前記窒化ケイ
素粉末と前記アルミナ粉末との焼結開始時期を一致させ
てそれら粉末を整合性よく焼結することができる。ま
た、前記平均粒径のアルミナ粉末を用い、前記ホットプ
レスを窒素雰囲気中、1700℃以上の温度で行うこと
によって、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子から
なる表面層を窒化ケイ素からなる基体表面に形成できる
ため、前記表面層は前記基体との間の熱膨張係数の差に
起因して前記表面層に引張り残留応力が加わっても、そ
の残留応力に耐える強度を有する。したがって、既述し
た窒化ケイ素からなる基体により優れた強度と靭性を有
し、かつ残留応力に耐える強度を持つ表面層により表面
での耐酸化性および耐食性が付与されたセラミック焼結
体を製造することができる。
所望の型内に窒化ケイ素粉末を所望の厚さになるように
充填し、前記型内の前記窒化ケイ素充填層上にアルミナ
粉末を所望の厚さになるように充填した後、ホットプレ
スする際、前記アルミナ粉末として平均粒径が0.5〜
1.0μmのものを用いることによって、前記窒化ケイ
素粉末と前記アルミナ粉末との焼結開始時期を一致させ
てそれら粉末を整合性よく焼結することができる。ま
た、前記平均粒径のアルミナ粉末を用い、前記ホットプ
レスを窒素雰囲気中、1700℃以上の温度で行うこと
によって、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子から
なる表面層を窒化ケイ素からなる基体表面に形成できる
ため、前記表面層は前記基体との間の熱膨張係数の差に
起因して前記表面層に引張り残留応力が加わっても、そ
の残留応力に耐える強度を有する。したがって、既述し
た窒化ケイ素からなる基体により優れた強度と靭性を有
し、かつ残留応力に耐える強度を持つ表面層により表面
での耐酸化性および耐食性が付与されたセラミック焼結
体を製造することができる。
【0027】さらに、本発明に係わる別のセラミック焼
結体は強度および靭性の優れた窒化ケイ素からなる基体
に中間層を介して前記窒化ケイ素に比べて耐酸化性およ
び耐食性に優れたアルミナからなる表面層が形成された
構造をなす。このため、前記窒化ケイ素からなる基体は
前記最表面の表面層により保護され、酸化または腐食雰
囲気に直接曝されるのを回避できる。
結体は強度および靭性の優れた窒化ケイ素からなる基体
に中間層を介して前記窒化ケイ素に比べて耐酸化性およ
び耐食性に優れたアルミナからなる表面層が形成された
構造をなす。このため、前記窒化ケイ素からなる基体は
前記最表面の表面層により保護され、酸化または腐食雰
囲気に直接曝されるのを回避できる。
【0028】また、熱膨張係数は窒化ケイ素<アルミナ
<ジルコニアの順に大きくなるため、アルミナ−ジルコ
ニア複合体からなる中間層上に形成されたアルミナから
なる表面層は前記中間層との間で残留圧縮応力を受け
る。その結果、前記アルミナからなる表面層の強度が向
上する。このような残留圧縮応力を前記表面層に加える
中間層をジルコニア単体で形成すると、前記ジルコニア
が窒化ケイ素に対して熱膨張係数が大きくことなるこ
と、それらの界面において固溶体等の残留応力緩和層が
形成し難く、親和性に乏しいこと、という問題がある。
本発明のように中間層をアルミナ−ジルコニア複合体に
より形成することによって、前記基体との界面に十分な
厚さの窒化ケイ素とアルミナとの固溶体からなる残留応
力緩和層を形成できるため、前記窒化ケイ素からなる基
体と前記アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と
の間の熱膨張係数の差に起因する残留応力を緩和するこ
とができる。
<ジルコニアの順に大きくなるため、アルミナ−ジルコ
ニア複合体からなる中間層上に形成されたアルミナから
なる表面層は前記中間層との間で残留圧縮応力を受け
る。その結果、前記アルミナからなる表面層の強度が向
上する。このような残留圧縮応力を前記表面層に加える
中間層をジルコニア単体で形成すると、前記ジルコニア
が窒化ケイ素に対して熱膨張係数が大きくことなるこ
と、それらの界面において固溶体等の残留応力緩和層が
形成し難く、親和性に乏しいこと、という問題がある。
本発明のように中間層をアルミナ−ジルコニア複合体に
より形成することによって、前記基体との界面に十分な
厚さの窒化ケイ素とアルミナとの固溶体からなる残留応
力緩和層を形成できるため、前記窒化ケイ素からなる基
体と前記アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層と
の間の熱膨張係数の差に起因する残留応力を緩和するこ
とができる。
【0029】したがって、窒化ケイ素からなる基体によ
り優れた強度と靭性を有し、かつアルミナからなる表面
層により表面での耐酸化性および耐食性が付与され、さ
らにアルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層からの
残留圧縮応力により前記表面層の強度が向上されたセラ
ミック焼結体を得ることができる。
り優れた強度と靭性を有し、かつアルミナからなる表面
層により表面での耐酸化性および耐食性が付与され、さ
らにアルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層からの
残留圧縮応力により前記表面層の強度が向上されたセラ
ミック焼結体を得ることができる。
【0030】また、前記中間層と前記表面層との合計厚
さを前記セラミック焼結体の全体の厚さに対して20%
以下にすることによって、中間層および表面層がそれぞ
れアルミナ−ジルコニア複合体、アルミナからなること
に起因するセラミック焼結体全体としての強度低下を抑
制することが可能になる。
さを前記セラミック焼結体の全体の厚さに対して20%
以下にすることによって、中間層および表面層がそれぞ
れアルミナ−ジルコニア複合体、アルミナからなること
に起因するセラミック焼結体全体としての強度低下を抑
制することが可能になる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 (実施例1)まず、窒化ケイ素粉末に焼結助剤としてイ
ットリア5重量%および平均粒径0.05μmのアルミ
ナ粉末2重量%を添加し、ボールミルを用いて混合して
基体用原料を調製した。また、表面層用原料として平均
粒径0.5μmのアルミナ粉末を用意した。
に説明する。 (実施例1)まず、窒化ケイ素粉末に焼結助剤としてイ
ットリア5重量%および平均粒径0.05μmのアルミ
ナ粉末2重量%を添加し、ボールミルを用いて混合して
基体用原料を調製した。また、表面層用原料として平均
粒径0.5μmのアルミナ粉末を用意した。
【0032】次いで、カーボンモールドに前記基体用原
料を充填し、この原料充填層上に前記表面層用原料を充
填して積層した。前記表面層用原料の充填厚さは、後述
する加工後に焼結体全体の厚さに対して10%になるよ
うに調整した。つづいて、前記カーボンモールド中で1
MPaの窒素雰囲気中、1800℃、30MPaの圧
力、保持時間1時間の条件にてホットプレスした。得ら
れた焼結体を層厚さ方向に加工することにより4mm×
3mm×40mmの試験片を作製した。
料を充填し、この原料充填層上に前記表面層用原料を充
填して積層した。前記表面層用原料の充填厚さは、後述
する加工後に焼結体全体の厚さに対して10%になるよ
うに調整した。つづいて、前記カーボンモールド中で1
MPaの窒素雰囲気中、1800℃、30MPaの圧
力、保持時間1時間の条件にてホットプレスした。得ら
れた焼結体を層厚さ方向に加工することにより4mm×
3mm×40mmの試験片を作製した。
【0033】得られた試験片の断面状態を顕微鏡写真で
撮影した像を図1に模式的に示す。図1の1は、窒化ケ
イ素からなる基体、2はアルミナからなり、全体の厚さ
に対して10%の厚さを有する表面層である。また、前
記表面層2は平均粒径20μmのアルミナ粒子からなる
ものであった。
撮影した像を図1に模式的に示す。図1の1は、窒化ケ
イ素からなる基体、2はアルミナからなり、全体の厚さ
に対して10%の厚さを有する表面層である。また、前
記表面層2は平均粒径20μmのアルミナ粒子からなる
ものであった。
【0034】(実施例2)表面層用原料として平均粒径
0.8μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径30μmのアルミナ粒子
からなるものであった。
0.8μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径30μmのアルミナ粒子
からなるものであった。
【0035】(実施例3)アルミナからなる表面層の厚
さが焼結体全体の厚さの5%である以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。
さが焼結体全体の厚さの5%である以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。
【0036】(実施例4)アルミナからなる表面層の厚
さが焼結体全体の厚さの15%である以外、実施例1と
同様な試験片を作製した。
さが焼結体全体の厚さの15%である以外、実施例1と
同様な試験片を作製した。
【0037】(比較例1)表面層用原料として平均粒径
0.3μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径10μmのアルミナ粒子
からなるものであった。
0.3μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径10μmのアルミナ粒子
からなるものであった。
【0038】(比較例2)表面層用原料として平均粒径
1.1μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径15μmのアルミナ粒子
からなるものであった。なお、比較例2により得られた
表面層は肥大化したアルミナ粒子と十分に焼結されない
微細なアルミナ粒子が混在して、粒度分布が広い範囲に
亘るため、結果的には表面層は平均粒径15μmのアル
ミナ粒子からなるものになる。
1.1μmのアルミナ粉末を用いた以外、実施例1と同
様な試験片を作製した。このような方法により作製され
た試験片の表面層は、平均粒径15μmのアルミナ粒子
からなるものであった。なお、比較例2により得られた
表面層は肥大化したアルミナ粒子と十分に焼結されない
微細なアルミナ粒子が混在して、粒度分布が広い範囲に
亘るため、結果的には表面層は平均粒径15μmのアル
ミナ粒子からなるものになる。
【0039】得られた実施例1〜4および比較例1、2
の試験片についてJIS−1601Rに基づく3点曲げ
試験を行い、室温における強度測定した。強度測定の際
は、アルミナからなる表面層に引張り応力が加わるよう
に試験片をセットして行った。得られた測定結果を各試
験片の表面層用原料(アルミナ粉末)の平均粒径、表面
層の厚さおよび表面層のアルミナ粒子の平均粒径と共に
下記表1に示す。
の試験片についてJIS−1601Rに基づく3点曲げ
試験を行い、室温における強度測定した。強度測定の際
は、アルミナからなる表面層に引張り応力が加わるよう
に試験片をセットして行った。得られた測定結果を各試
験片の表面層用原料(アルミナ粉末)の平均粒径、表面
層の厚さおよび表面層のアルミナ粒子の平均粒径と共に
下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】前記表1から明らかなように表面層のアル
ミナ粒子が20μm以上である実施例1〜4のセラミッ
ク焼結体(試験片)は、表面層のアルミナ粒子が10μ
m、15μmである比較例1、2のセラミック焼結体
(試験片)に比べて3点曲げ強度が極めて高いことがわ
かる。また、表面層の厚さが焼結体全体の厚さに対して
10%以下である実施例1〜3の試験片は前記表面厚さ
が10%を越える実施例4の試験片に比べてより3点曲
げ強度が高いことがわかる。
ミナ粒子が20μm以上である実施例1〜4のセラミッ
ク焼結体(試験片)は、表面層のアルミナ粒子が10μ
m、15μmである比較例1、2のセラミック焼結体
(試験片)に比べて3点曲げ強度が極めて高いことがわ
かる。また、表面層の厚さが焼結体全体の厚さに対して
10%以下である実施例1〜3の試験片は前記表面厚さ
が10%を越える実施例4の試験片に比べてより3点曲
げ強度が高いことがわかる。
【0042】次に、実施例1のセラミック焼結体および
実施例1の表面層用原料(アルミナ粉末)のみから作製
されたアルミナ焼結体を1500℃の大気中で1000
時間放置して耐酸化性の試験を行った。その結果、実施
例1のセラミック焼結体およびアルミナ焼結体の酸化増
量は、それぞれ0.45mg/cm2 、0.41mg/
cm2 であった。これにより、本発明のセラミック焼結
体はアルミナ焼結体と同等の優れた耐酸化性を有するこ
とが明らかである。なお、窒化珪素からなる基体の表面
全てをアルミナからなる表面層で被覆した焼結体を試料
として用いることが最も好ましいが、耐酸化性を検証す
るには一表面のみが表面層で被覆された実施例1のもの
で十分である。
実施例1の表面層用原料(アルミナ粉末)のみから作製
されたアルミナ焼結体を1500℃の大気中で1000
時間放置して耐酸化性の試験を行った。その結果、実施
例1のセラミック焼結体およびアルミナ焼結体の酸化増
量は、それぞれ0.45mg/cm2 、0.41mg/
cm2 であった。これにより、本発明のセラミック焼結
体はアルミナ焼結体と同等の優れた耐酸化性を有するこ
とが明らかである。なお、窒化珪素からなる基体の表面
全てをアルミナからなる表面層で被覆した焼結体を試料
として用いることが最も好ましいが、耐酸化性を検証す
るには一表面のみが表面層で被覆された実施例1のもの
で十分である。
【0043】(実施例5)まず、窒化ケイ素粉末に焼結
助剤としてイットリア5重量%および平均粒径0.05
μmのアルミナ粉末2重量%を添加し、ボールミルを用
いて混合して基体用原料を調製した。また、80体積%
のジルコニアおよび20体積%のアルミナをボールミル
で均一に混合することにより中間層用原料を調製した。
さらに、表面層用原料として平均粒径0.5μmのアル
ミナ粉末を用意した。
助剤としてイットリア5重量%および平均粒径0.05
μmのアルミナ粉末2重量%を添加し、ボールミルを用
いて混合して基体用原料を調製した。また、80体積%
のジルコニアおよび20体積%のアルミナをボールミル
で均一に混合することにより中間層用原料を調製した。
さらに、表面層用原料として平均粒径0.5μmのアル
ミナ粉末を用意した。
【0044】次いで、カーボンモールドに前記基体用原
料を充填し、この原料充填層上に前記中間層用原料を充
填した後、前記中間層用原料充填層上に表面層用原料を
充填して積層した。前記中間層用原料および表面層用原
料の充填厚さは、それぞれ後述する加工後に焼結体全体
の厚さに対して16%および4%になるように調整し
た。つづいて、前記カーボンモールド中で1MPaの窒
素雰囲気中、1800℃、30MPaの圧力、保持時間
1時間の条件にてホットプレスした。得られた焼結体を
層厚さ方向に加工することにより4mm×3mm×40
mmの試験片を作製した。
料を充填し、この原料充填層上に前記中間層用原料を充
填した後、前記中間層用原料充填層上に表面層用原料を
充填して積層した。前記中間層用原料および表面層用原
料の充填厚さは、それぞれ後述する加工後に焼結体全体
の厚さに対して16%および4%になるように調整し
た。つづいて、前記カーボンモールド中で1MPaの窒
素雰囲気中、1800℃、30MPaの圧力、保持時間
1時間の条件にてホットプレスした。得られた焼結体を
層厚さ方向に加工することにより4mm×3mm×40
mmの試験片を作製した。
【0045】得られた試験片の断面状態を顕微鏡写真で
撮影した像を図2に模式的に示す。図2の11は、窒化
ケイ素からなる基体、12はアルミナ−ジルコニア複合
体からなる中間層、13はアルミナからなる表面層であ
る。
撮影した像を図2に模式的に示す。図2の11は、窒化
ケイ素からなる基体、12はアルミナ−ジルコニア複合
体からなる中間層、13はアルミナからなる表面層であ
る。
【0046】(実施例6〜11)アルミナ−ジルコニア
複合体からなる中間層およびアルミナからなる表面層の
厚さを焼結体全体の厚さに対して下記表2に示す比率と
し、かつ中間層用原料として下記表2に示すアルミナ量
を有するアルミナ−ジルコニア混合粉末を用いた以外、
実施例5と同様な試験片を作製した。
複合体からなる中間層およびアルミナからなる表面層の
厚さを焼結体全体の厚さに対して下記表2に示す比率と
し、かつ中間層用原料として下記表2に示すアルミナ量
を有するアルミナ−ジルコニア混合粉末を用いた以外、
実施例5と同様な試験片を作製した。
【0047】得られた実施例5〜11の試験片について
JIS−1601Rに基づく3点曲げ試験を行い、室温
における強度測定した。強度測定の際は、アルミナから
なる表面層に引張り応力が加わるように試験片をセット
して行った。得られた測定結果を下記表2に示す。
JIS−1601Rに基づく3点曲げ試験を行い、室温
における強度測定した。強度測定の際は、アルミナから
なる表面層に引張り応力が加わるように試験片をセット
して行った。得られた測定結果を下記表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】前記表2から明らかなように実施例5〜1
1のセラミック焼結体(試験片)は、3点曲げ強度が極
めて高いことがわかる。また、中間層および表面層の厚
さが焼結体全体の厚さに対して20%以下である実施例
5〜9、11の試験片は中間層および表面層の厚さが焼
結体全体の厚さに対して20%を越える実施例10の試
験片に比べてより3点曲げ強度が高いことがわかる。さ
らに、中間層および表面層の厚さが焼結体全体の厚さに
対して20%以下で、かつ表面層が中間層と表面層の合
計厚さに対して20%以下である実施例5〜8、11の
試験片は表面層が中間層と表面層の合計厚さに対して2
0%を越える実施例9に比べて一層3点曲げ強度が向上
されることがわかる。特に、中間層および表面層の厚さ
が焼結体全体の厚さに対して20%以下で、かつ表面層
が中間層と表面層の合計厚さに対して20%以下で、さ
らに中間層を構成するアルミナ−ジルコニア複合体中の
アルミナ量が40体積%以下である実施例5〜8の試験
片は、最も3点曲げ強度が高いことがわかる。
1のセラミック焼結体(試験片)は、3点曲げ強度が極
めて高いことがわかる。また、中間層および表面層の厚
さが焼結体全体の厚さに対して20%以下である実施例
5〜9、11の試験片は中間層および表面層の厚さが焼
結体全体の厚さに対して20%を越える実施例10の試
験片に比べてより3点曲げ強度が高いことがわかる。さ
らに、中間層および表面層の厚さが焼結体全体の厚さに
対して20%以下で、かつ表面層が中間層と表面層の合
計厚さに対して20%以下である実施例5〜8、11の
試験片は表面層が中間層と表面層の合計厚さに対して2
0%を越える実施例9に比べて一層3点曲げ強度が向上
されることがわかる。特に、中間層および表面層の厚さ
が焼結体全体の厚さに対して20%以下で、かつ表面層
が中間層と表面層の合計厚さに対して20%以下で、さ
らに中間層を構成するアルミナ−ジルコニア複合体中の
アルミナ量が40体積%以下である実施例5〜8の試験
片は、最も3点曲げ強度が高いことがわかる。
【0050】次に、実施例5のセラミック焼結体および
実施例5の表面層用原料(アルミナ粉末)のみから作製
されたアルミナ焼結体を1500℃の大気中で1000
時間放置して耐酸化性の試験を行った。その結果、実施
例5のセラミック焼結体およびアルミナ焼結体の酸化増
量は、それぞれ0.45mg/cm2 、0.41mg/
cm2 であった。これにより、本発明のセラミック焼結
体はアルミナ焼結体と同等の優れた耐酸化性を有するこ
とが明らかである。なお、窒化ケイ素からなる基体の表
面全てを前記中間層と表面層で被覆した焼結体を試料と
して用いることが最も好ましいが、耐酸化性を検証する
には一表面のみが中間層および表面層で被覆された実施
例5のもので十分である。
実施例5の表面層用原料(アルミナ粉末)のみから作製
されたアルミナ焼結体を1500℃の大気中で1000
時間放置して耐酸化性の試験を行った。その結果、実施
例5のセラミック焼結体およびアルミナ焼結体の酸化増
量は、それぞれ0.45mg/cm2 、0.41mg/
cm2 であった。これにより、本発明のセラミック焼結
体はアルミナ焼結体と同等の優れた耐酸化性を有するこ
とが明らかである。なお、窒化ケイ素からなる基体の表
面全てを前記中間層と表面層で被覆した焼結体を試料と
して用いることが最も好ましいが、耐酸化性を検証する
には一表面のみが中間層および表面層で被覆された実施
例5のもので十分である。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば窒
化ケイ素からなる基体により優れた強度と靭性を有し、
かつ残留応力に耐える強度を持つ表面層により表面での
耐酸化性および耐食性が付与され、高温用構造材料に好
適なセラミック焼結体を提供できる。
化ケイ素からなる基体により優れた強度と靭性を有し、
かつ残留応力に耐える強度を持つ表面層により表面での
耐酸化性および耐食性が付与され、高温用構造材料に好
適なセラミック焼結体を提供できる。
【0052】また、本発明によれば前述した優れた特性
を有するセラミック焼結体の製造方法を提供できる。さ
らに、本発明によれば窒化ケイ素からなる基体により優
れた強度と靭性を有し、かつアルミナからなる表面層に
より表面での耐酸化性および耐食性が付与され、さらに
アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層からの残留
圧縮応力により前記表面層の強度が向上され、高温用構
造材料に好適なセラミック焼結体を提供できる。
を有するセラミック焼結体の製造方法を提供できる。さ
らに、本発明によれば窒化ケイ素からなる基体により優
れた強度と靭性を有し、かつアルミナからなる表面層に
より表面での耐酸化性および耐食性が付与され、さらに
アルミナ−ジルコニア複合体からなる中間層からの残留
圧縮応力により前記表面層の強度が向上され、高温用構
造材料に好適なセラミック焼結体を提供できる。
【図1】本発明の実施例1により作製されたセラミック
焼結体を示す断面図。
焼結体を示す断面図。
【図2】本発明の実施例5により作製されたセラミック
焼結体を示す断面図。
焼結体を示す断面図。
1、11…基体、2、13…表面層、12…中間層
Claims (5)
- 【請求項1】 窒化ケイ素からなる基体と、この基体上
に形成され、平均粒径が20μm以上のアルミナ粒子か
らなる表面層とを具備したことを特徴とするセラミック
焼結体。 - 【請求項2】 前記表面層は、前記基体とこの表面層と
の合計厚さに対して10%以下の厚さを有することを特
徴とする請求項1記載のセラミック焼結体。 - 【請求項3】 所望の型内に窒化ケイ素粉末を所望の厚
さになるように充填する工程と、 前記型内の前記窒化ケイ素充填層上に平均粒径が0.5
〜1.0μmのアルミナ粉末を所望の厚さになるように
充填した後、窒素雰囲気中、1700℃以上の温度でホ
ットプレスする工程とを具備したことを特徴とするセラ
ミック焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 窒化ケイ素からなる基体と、この基体上
に形成されたアルミナ−ジルコニア複合体からなる中間
層と、この中間層上に形成されたアルミナからなる表面
層とを具備したことを特徴とするセラミック焼結体。 - 【請求項5】 前記中間層と前記表面層との合計厚さ
は、前記セラミック焼結体の全体の厚さに対して20%
以下であることを特徴とする請求項4記載のセラミック
焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6153763A JPH0820091A (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | セラミック焼結体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6153763A JPH0820091A (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | セラミック焼結体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0820091A true JPH0820091A (ja) | 1996-01-23 |
Family
ID=15569605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6153763A Pending JPH0820091A (ja) | 1994-07-05 | 1994-07-05 | セラミック焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0820091A (ja) |
-
1994
- 1994-07-05 JP JP6153763A patent/JPH0820091A/ja active Pending
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