JPH08198128A - 自動車のステアリング装置 - Google Patents

自動車のステアリング装置

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JPH08198128A
JPH08198128A JP1252895A JP1252895A JPH08198128A JP H08198128 A JPH08198128 A JP H08198128A JP 1252895 A JP1252895 A JP 1252895A JP 1252895 A JP1252895 A JP 1252895A JP H08198128 A JPH08198128 A JP H08198128A
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JP
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steering
axle
tie rod
wheel
rod
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JP1252895A
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Shinji Kondo
進治 近藤
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KONDO LACING GAREEJI KK
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KONDO LACING GAREEJI KK
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車の操舵輪のサスペンションに適用し高
速でコーナリングする際にキャンバ角を自動調整するス
テアリング装置を提供する。 【構成】 タイロッド7の他端は車軸位置より下方位置
で車軸支持部材3に連結され、前側支持ロッド5は車軸
位置より前方位置で車軸支持部材3に取付け当該前側支
持ロッド5の内端部5aが車体フレーム12に自在連結
されている。ステアリング軸4の回転操作に応じてタイ
ロッド7が旋回方向Kに対し外側の操舵輪10の下部1
0aを外側方向に押すと同時に内側の操舵輪11の下部
11aを内側方向に引いて各操舵輪10,11のキャン
バ角θを変化させる。 【効果】 コーナリング時に各操舵輪のキャンバ角は適
宜調整され、操舵輪の路面に対する密着状態が維持され
て高速走行の安全性が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の前輪又は前
後輪(以下、操舵輪とも云う。)を操舵するステアリン
グ装置に係り、さらに云えば、特にレース場や高速道路
において大きな弧を描くカーブを高速でコーナリングす
るスポーツカーや一般自動車の操舵輪に装備されたスト
ラット式サスペンション又はダブルウィッシュボーン式
サスペンション、あるいはマルチリンク式サスペンショ
ンに好適に使用され、走行中にキャンバ角を自動的に調
整する形式のステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走行の安定化を図るため自動車の操舵輪
(特に前輪)にはストラット式又はダブルウィッシュボ
ーン式のサスペンションが装備されているのが一般であ
る。また、近年では、多数のアームやロッド類などのリ
ンクを備えたマルチリンク式サスペンションも多く用い
られている。
【0003】前輪のストラット式サスペンションは、図
7に示したように、ショックアブソーバ20を兼ねるべ
くコイルスプリング21を巻装して略垂直に立てたスト
ラット2の下部を、操舵輪たる前輪10(及び11)の
内側の車軸6の部分に設けた車軸支持部材3に結合し、
その上端部はゴムブッシュが内包されたストラットマウ
ント17を介して車体本体に支持されている。
【0004】前記構成のストラット式サスペンション、
又は図示を省略したダブルウィッシュボーン式やマルチ
リンク式サスペンションを備えた左右の操舵輪10,1
1は、ステアリング装置によって所望方向に所望角度だ
け旋回される。ステアリング装置は、図7に示したよう
に、ステアリング軸4で駆動される、例えばラックピニ
オン機構内蔵のステアリング部材8の駆動軸82,83
がタイロッド7の一端とボールジョイント1で自在連結
され、当該タイロッド7の他端は前記ストラット2の下
部が結合された車軸支持部材3に連結されている。タイ
ロッド7を車軸支持部材3へ連結する位置は、図7中に
矢印Aで示した進行方向に対し車軸6の位置より後方側
である。なお、車軸支持部材3の下端部には、斜め前方
に突き出るI型の下側アーム13及び垂直方向に突き出
る下側アーム16の各一端が連結され、各々の他端は車
体フレーム12に連結されストラット2が位置決めされ
ている。よって、ステアリング軸4の回転操作により駆
動されるタイロッド7が左右方向へ移動され車軸支持部
材3の後側部分が押され又は引かれることにより、操舵
輪10,11がストラット2を中心として向きを変え、
旋回の実効をあらしめる構成とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スポーツカーや一般自
動車の別を問わず、自動車の操舵輪10,11は、路面
に対して垂直にセットアップするのが一般的である(図
5の実線で示した操舵輪10,11を参照)。また、図
5中にθで示した所謂キャンバ角を設けて、操舵輪1
0,11を正面からみてハの字状に傾斜させたり、又は
逆ハの字状に傾斜させてセットすることも行われてい
る。そのいずれの場合でも、垂直状態又は傾斜状態で一
旦セットした左右の操舵輪10,11は、工場等で作業
員が強制的に機械的に直さない限り、半永久的にセット
アップされた当初の角度が維持される。この維持された
操舵輪の角度は、一般道路や高速道路において直進走行
する場合は全く問題なく、カーブしながら走行するコー
ナリングに際しても、時速60キロぐらいまでの一般の
走行時にはそれ程問題とならない。
【0006】しかし、レース場や高速道路などで、とり
わけ大きな弧を描くカーブを高速で曲がるとき、キャン
バ角のない垂直状態の操舵輪や逆ハの字状にセットされ
た操舵輪の自動車は、遠心力の作用によりタイヤの平坦
な接地面が路面と平行状態を保てず、傾いて片当り状態
となるため、安定性に欠け、タイヤの急激な片減りを発
生する。特に旋回方向に対して外側の操舵輪に過剰負担
がかかり、安定してカーブを曲がることが困難となる。
ハの字状に操舵輪をセットした場合も、旋回方向内側の
操舵輪には部分的に負担がかかる。
【0007】したがって、コーナリングの際に、旋回方
向に対し外側の操舵輪は外側方向に、内側の操舵輪は内
側方向に即座に移動してキャンバ角を変更できればよい
が、前記図7に代表される従来のステアリング装置で
は、上記の通りステアリングの操作で操舵輪10,11
の向きを一定方向に変えるだけであり、所望のキャンバ
角に適宜変えることなど到底不可能である。つまり、従
来の自動車の構造では、コーナリングの際に、操舵輪の
道路への接地状態が悪くなり、部分的に過剰負担となっ
てタイヤの性能を最大限に発揮することができず、結
局、タイヤの減りが重なって耐用寿命が短くなっている
のが実情である。
【0008】したがって、本発明の目的は、特に高速道
路やレース場などのコーナリングに際して、タイヤの平
坦な接地面が常に路面と平行状態を保ち、即ちタイヤが
路面へ密着した状態を実現してタイヤの性能を最大限に
発揮せしめ、ステアリングを通常通り操作するだけで、
旋回方向に対し外側の操舵輪を外側方向に、内側の操舵
輪を内側方向に即座に自動的に移動してキャンバ角を最
良の状態に変更(調節)でき、カーブを安定状態でしか
も高速で曲がることを可能ならしめて自動車の安全性を
高め、より快適な走行を実現する自動車のステアリング
装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための手段として、請求項1の発明に係る自動車のステ
アリング装置は、図1に示した通り、ショックアブソー
バ20を兼ねてコイルスプリング21が巻装されたスト
ラット2の下部が自動車の操舵輪10,11の車軸支持
部材3に結合され略垂直に取付けられているストラット
式サスペンションを備え、ステアリング軸4で駆動され
るステアリング部材8がタイロッド7の一端と自在連結
され、当該タイロッド7の他端は前記車軸支持部材3に
連結されステアリング軸4の回転操作により操舵輪1
0,11を旋回するステアリング装置において、前記タ
イロッド7の他端は車軸6の位置Pより下方の位置で車
軸支持部材3に連結し、前側支持ロッド5は車軸6の位
置Pより前方の位置で車軸支持部材3に取付け当該前側
支持ロッド5の内端部5aを車体フレーム12に自在連
結し、ステアリング軸4の回転操作に応じて前記タイロ
ッド7をして旋回方向Kに対し外側の操舵輪10の下部
10aを外側方向に押すと同時に旋回方向Kに対し内側
の操舵輪11の下部11aを内側方向に引いて各操舵輪
10,11のキャンバ角θを変化させ、かつ各操舵輪1
0,11を各前側支持ロッド5の内端部5aを中心とし
て一定方向に旋回することを特徴とする。
【0010】請求項2の発明に係る自動車のステアリン
グ装置は、図2に示した通り、ショックアブソーバ20
を兼ねてコイルスプリング21が巻装されたストラット
2の下部が自動車の操舵輪10,11の車軸支持部材3
に結合され略垂直に取付けられているストラット式サス
ペンションを備え、ステアリング軸4で駆動される第1
ステアリング部材8aが第1タイロッド7aの一端と自
在連結され、当該第1タイロッド7aの他端は前記車軸
支持部材3に連結されステアリング軸4の回転操作によ
り操舵輪10,11が旋回されるステアリング装置にお
いて、前記第1ステアリング部材8aと平行に配置した
第2ステアリング部材8bを第2タイロッド7bの一端
と自在連結し、当該第2タイロッド7bの他端を車軸6
の位置Pより下方の位置で車軸支持部材3に連結し、前
記第2ステアリング部材8bは一定速度以上で作動可能
なように前記第1ステアリング部材8aと自動的に切り
替え制御される構成であり、一定速度以下では第1ステ
アリング部材8aのみがステアリング軸4の回転操作に
応答して作動し前記第1タイロッド7aを左右方向へ移
動させることにより各操舵輪10,11を一定方向に旋
回し、一定速度以上では第2ステアリング部材8bをも
ステアリング軸4の回転操作に応答して加重的に作動し
て第2タイロッド7bは旋回方向Kに対し外側の操舵輪
10の下部10aを外側方向に押すと同時に旋回方向K
に対し内側の操舵輪11の下部11aを内側方向に引い
て各操舵輪10,11のキャンバ角θを変化させ、各操
舵輪10,11を一定方向に旋回することを特徴とす
る。
【0011】請求項3の発明に係る自動車のステアリン
グ装置は、図3に示した通り、上段と下段に各々配置し
たアパーアーム9aとロアアーム9bの各外端部を自動
車の操舵輪10,11の車軸支持部材3の車軸位置を避
けた上下の位置に結合し略水平に取付けるダブルウィッ
シュボーン式サスペンションを備え、ステアリング軸4
で駆動されるステアリング部材8がタイロッド7の一端
と自在連結され、当該タイロッド7の他端は前記車軸支
持部材3に連結されステアリング軸8の回転操作により
操舵輪10,11が旋回されるステアリング装置におい
て、前記タイロッド7の他端はロアアーム9bの一部を
兼ねてて車軸位置Pより下方の位置で車軸支持部材3に
連結され、前側支持ロッド5は車軸位置Pより前方の位
置で車軸支持部材3に取付けられ当該前側支持ロッド5
の内端部5aが車体フレーム12に自在連結されてお
り、ステアリング軸4の回転操作に応答して前記タイロ
ッド7が旋回方向Kに対し外側の操舵輪10の下部10
aを外側方向に押すと同時に旋回方向Kに対し内側の操
舵輪11の下部11aを内側方向に引いて各操舵輪1
0,11のキャンバ角θを変化させ、かつ各操舵輪1
0,11が各前側支持ロッド5の内端部5aを中心とし
て一定方向に旋回することを特徴とする。
【0012】請求項4の発明に係る自動車のステアリン
グ装置は、図6に示した通り、前記請求項1又は3に記
載したステアリング装置に関し、タイロッド7の一端を
各操舵輪10,11の車軸6の位置Pより下方の位置で
車軸支持部材3に連結し、前記タイロッド7の他端は個
別の操舵ユニット部15に各々自在連結し、ステアリン
グ軸4の回転角に応じて前記操舵ユニット部15をして
個別的に応答動作せしめる構成とし、タイロッド7が旋
回方向Kに対し外側の操舵輪10の下部10aを外側方
向に押すと同時に旋回方向Kに対し内側の操舵輪11の
下部11aを内側方向に引いて各操舵輪10,11のキ
ャンバ角θを変化させ、各操舵輪10,11が各前側支
持ロッド5の内端部5aを中心として一定方向へ旋回す
ることを同期制御したことを特徴とする。
【0013】
【作用】ステアリング部材8に自在連結されたタイロッ
ド7の他端は車軸6の位置Pより下方の位置で車軸支持
部材3に連結され(図5,図1)、前側支持ロッド5が
車軸位置Pより前方位置で車軸支持部材3に取付けられ
ているので(図4)、ハンドル14によってハンドル軸
4を回転しステアリング部材8が駆動されると、前記タ
イロッド7は、図5に示したように、旋回方向Kに対し
外側の操舵輪10の下部10aを外側方向に押すと同時
に旋回方向Kに対し内側の操舵輪11の下部11aを内
側方向に引く。即ち、各操舵輪10,11は、ストラッ
ト2の上端のストラットマウント17(又は図3のアパ
ーアーム9aの外端部19)を支点として、正面からみ
て道路状況及び走行速度に適したキャンバ角θ(θは1
度〜6度ぐらい)で平行に傾斜する(図中10’及び1
1’で示した傾斜状態を参照)。その際、操舵輪10,
11は、平面からみて各前側支持ロッド5の内端部5a
を中心として旋回方向Kに向きも変える(図4)。よっ
て、操舵輪10,11に部分的に無理な負担がかから
ず、コーナリングに対するレスポンスがいいので、図5
のK方向にカーブしながら走行する自動車に作用する遠
心力に対し、キャンバ角θを設けて平行に傾斜された操
舵輪10’,11’の路面への密着性が実現される。換
言すると、自動車の車体は、操舵輪10,11の接地点
を不動点として相対的にカーブ方向Kに対し内側に移動
することになるから、全体としては操舵輪10,11の
垂直状態を保ち、自動車の安定性は一層良好に維持さ
れ、コーナリングのより高速な走行を可能ならしめる。
【0014】請求項2のステアリング装置(図2)によ
れば、従来タイプのステアリング装置(第1ステアリン
グ部材8a)が併用されているので、角度のきついコー
ナーや車庫入れ時のように低速走行で行うステアリング
操作は、第1ステアリング部材8aで行い、高速走行時
のステアリング操作は上記のタイロッド(7b)が車軸
位置より下方位置で車軸支持部材3に連結された第2ス
テアリング部材8bで行うことができる。
【0015】
【実施例】次に、図示した本発明の実施例を説明する。
図1はストラット式サスペンションが装備された自動車
の操舵輪たる前輪に適用したステアリング装置を示して
いる。図中符号2がショックアブソーバ20を兼ねるべ
くコイルスプリング21が巻装されたストラットであ
る。当該ストラット2の下部は、前輪10(及び11)
の車軸6の部分に取付けた車軸支持部材3に結合され、
ストラット上端部はストラットマウント17を介して車
体本体に支持されている。
【0016】図中符号8はステアリング軸4で駆動され
るステアリング部材であり、自動車の車体フレーム12
側に固定されている。当該ステアリング部材8は、ラッ
ク&ピニオン部80と、前記ラックに連結されたパワー
ステアリング等のパワーアシスト部81とにより、駆動
軸82及び83を左右方向へスムーズに移動する構成と
されている。
【0017】図中符号7は前記ステアリング部材8の出
力を左右の前輪10,11側に伝えるI型アームたるタ
イロッドであり、ステアリング部材8の各駆動軸82,
83に各一端がボールジョイント1で自在連結されてい
る。当該タイロッド7の他端は車軸6の位置Pより下方
の位置で車軸支持部材3に連結されている。前記タイロ
ッド7の外側位置には、下側アーム13の一端が連結さ
れその他端は斜め前方方向へ延びて車体フレーム12に
自在連結されている。
【0018】図中符号5は前側支持ロッドであり、ナッ
クルアーム18を介して車軸6の位置Pより前方の位置
に取付けられている。湾曲状のナックルアーム18の一
端が車軸支持部材3の前方位置に連結され、前記ナック
ルアーム18の内側他端にボールジョイント1で自在連
結された前側支持ロッド5の内端部5aが車体フレーム
12にボールジョイント1により自在連結されている。
よって、左右の前輪10,11は、ステアリング操作に
より各々前側支持ロッド5の内端部5aを中心として円
運動し向きを変える構成とされている。
【0019】したがって、自動車が走行中、K方向(旋
回方向の右方向)に曲がるコーナーにさしかかった場
合、図4,図5に示したように、ドライバーはハンドル
14をK方向(右方向)に回転させる。すると、ハンド
ル軸4が回転されステアリング部材8が駆動され、連動
する駆動軸82,83及びタイロッド7,7により、左
右の前輪10,11は平面からみて各前側支持ロッド5
の内端部5aを中心としてカーブする方向Kに向きが変
わる(図4)。その際、図5に示したように、カーブ方
向Kに対し図中右側に示した外側の前輪10の下部10
aを駆動軸82で押されたタイロッド7が外側方向に押
し出す。と同時に図中左側に示した内側の前輪11の下
部11aを当該タイロッド7が内側方向に引き込む。つ
まり、各前輪10,11は、ストラット2の上端のスト
ラットマウント17を支点として、走行速度、道路状況
に応じたコーナリングに最適のキャンバ角θ(θは1度
〜6度の範囲、但しその角度範囲に限らない。)に即座
に調整され同一方向(平行)に傾斜する。その結果、コ
ーナリングに対するレスポンスがいいので、コーナーを
より高速で走行してもキャンバ角θだけ傾斜された前輪
10’,11’の路面への密着性が保たれ、自動車の走
行の安定性が常に維持される。
【0020】なお、図示を省略した前後輪を操舵輪とす
る4WS方式の自動車の後輪についても、上記前輪と同
じ要領で高速走行中にキャンバ角を自動的に調整するこ
とが行われる。説明を省略するが、以下の各実施例にお
いても同様である。
【0021】
【第2実施例】図2は、第1実施例と同じストラット式
サスペンションが装備された前輪に、従来タイプのステ
アリング部材と前記第1実施例のステアリング部材を併
用したステアリング装置を示している。なお、第1実施
例の前側支持ロッド5は設けられていない。
【0022】図中符号8aが従来タイプの第1ステアリ
ング部材であり、車軸6と同一のレベル位置に、しかも
車軸6の後方位置に取付けられている。ステアリング軸
4で駆動される第1ステアリング部材8aは第1タイロ
ッド7aの一端と自在連結され、当該第1タイロッド7
aの他端は前記車軸支持部材3の後方位置に連結され、
ステアリング操作により前輪10,11が旋回される構
成とされている。
【0023】図中符号8bが前輪10,11を適宜キャ
ンバ角θに傾斜させつつ操舵する第2ステアリング部材
である。この第2ステアリング部材8bは前記第1ステ
アリング部材8aと平行に配置され、第2タイロッド7
bの一端と自在連結されている。当該第2タイロッド7
bの他端が車軸6の位置Pより下方の位置において車軸
支持部材3に連結されている。前記第2ステアリング部
材8bは、前記第1ステアリング部材8aと自動的に切
り替え制御され、一定速度(例えば、時速60キロ)以
上でのみ作動可能な構成とされている。
【0024】したがって、図2のステアリング装置によ
れば、角度のきついコーナーや車庫入れ時のように一定
速度以下(時速30〜60キロぐらい以下)の低速で行
うステアリング操作は、第1ステアリング部材8aが受
けもつ。そして、一定速度を越えた高速(時速60キロ
ぐらい以上)で行うステアリング操作は、第2ステアリ
ング部材8bをもステアリング軸4の回転操作に応答し
て加重的に作動され、ストラットマウント17を支点と
してタイロッド7bが前輪10,11をキャンバ角θに
傾斜させて操舵し、常時走行の安定性が維持される。
【0025】
【第3実施例】図3は、上段と下段に各々平行配置され
たアパーアーム9aとロアアーム9bとを有するダブル
ウィッシュボーン式サスペンションが装備された前輪
に、第1実施例のステアリング部材8を適用した場合を
示しており、第1実施例と同様の作用効果を奏する。な
お、ダブルウィッシュボーン式サスペンションの変形と
してもとらえられる所謂マルチリンク式サスペンション
(図示及びその説明は省略する。)が装備された前輪
に、ステアリング部材8を適用することも好適に実施さ
れる。
【0026】第1実施例と大きく異なる点は、ストラッ
ト2の代わりに平面形状がV字状のアパーアーム9aが
使用され、該アパーアーム9aの外側端部19が車軸支
持部材3の上端にボールジョイント1で自在連結されて
いることである。また、第1実施例の下側アーム13
は、より長いV字状のロアアーム9bの1本で構成さ
れ、他方のロアアーム9bはタイロッド7を兼ねた構成
とされている。前側支持ロッド5は第1実施例と同様に
車軸の位置Pよりも前方の位置に取付けられている。こ
の実施例によれば、コーナリングの際、ステアリング部
材8がタイロッド7を押し又は引く動作はアパーアーム
9aの外端部19を支点として行われる。
【0027】
【第4実施例】図6は、ステアリング軸で直接駆動され
るラックピニオン機構等内蔵のステアリング部材を使用
しないで、電気式又は油圧式のパワーアシスト部材のみ
内蔵した操舵ユニット部15を介してステアリング軸4
の回転操作をタイロッド7に伝えることにより前輪1
0,11を旋回する実施例を示している。
【0028】操舵ユニット部15は車体フレーム12上
に固定して取付けられており、ステアリング軸4の回転
角をセンサー40で検出し、その検出値に応じて個別に
応答動作する構成とされている。タイロッド7の一端は
各前輪10,11の車軸位置Pより下方の位置で車軸支
持部材3に連結され(図5参照)、当該タイロッド7の
他端が個々に操舵ユニット部15の外側においてボール
ジョイント1で自在連結されている。なお、前側支持ロ
ッド5は、上記第1実施例と同様に一端が車軸位置Pよ
りも前方位置に取付けられ、その内端部5aが車体フレ
ーム12に自在連結されている。
【0029】本実施例のステアリング装置は同期制御さ
れ、各操舵ユニット部15によってタイロッド7が旋回
方向Kに対し外側の前輪10の下部10aを外側方向に
押すと共に旋回方向Kに対し内側の前輪11の下部11
aを内側方向に引くと同時に、両前輪10,11は各前
側支持ロッド5の内端部5aを中心として共通方向へ旋
回され、コーナリングのより高速かつ安定走行を可能な
らしめる。
【0030】
【本発明が奏する効果】請求項1〜4の発明に係る自動
車のステアリング装置によれば、コーナリングに際し、
通常通りのステアリング操作で、各操舵輪のキャンバ角
は最良の状態に適宜調整され、タイヤの路面に対する密
着状態が維持され、様々な種類、クラスのタイヤの性能
を夫々最大限に発揮せしめてカーブを安定状態でしかも
高速で走行できるから、自動車の走行の安全性、快適な
走行に大きく貢献する。また、請求項2のステアリング
装置によれば、コーナリングの低速走行、車庫入れも容
易に行える自在性に優れ、使い勝手がよい。請求項4の
ステアリング装置によれば、ステアリング部材が不要で
あり、エンジンルームなどの設計の自由度がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステアリング装置を示した斜視図である。
【図2】第2実施例を示した斜視図である。
【図3】第3実施例を拡大して示した斜視図である。
【図4】コーナリング時の前輪の向きの変化状況を示し
た平面図である。
【図5】コーナリング時の前輪のキャンバ角の変化状況
を示した正面図である。
【図6】第4実施例を簡略化して示した平面図である。
【図7】従来例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 ボールジョイント 10,11 前輪(操舵輪) 12 車体フレーム 2 ストラット 20 ショックアブソーバ 21 コイルスプリング 3 車軸支持部材 4 ステアリング軸 5 前側支持ロッド 6 車軸 7 タイロッド 8 ステアリング部材 9a アパーアーム 9b ロアアーム 15 操舵ユニット部 P 車軸位置 K 旋回方向

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ショックアブソーバを兼ねてコイルスプ
    リングが巻装されたストラットの下部が自動車の操舵輪
    の車軸支持部材に結合され略垂直に取付けられているス
    トラット式サスペンションを備え、ステアリング軸で駆
    動されるステアリング部材がタイロッドの一端と自在連
    結され、当該タイロッドの他端は前記車軸支持部材に連
    結されステアリング軸の回転操作により操舵輪が旋回さ
    れるステアリング装置において、 前記タイロッドの他端は車軸位置より下方の位置で車軸
    支持部材に連結され、前側支持ロッドは車軸位置より前
    方の位置で車軸支持部材に取付けられ当該前側支持ロッ
    ドの内端部が車体フレームに自在連結されており、ステ
    アリング軸の回転操作に応じて前記タイロッドが旋回方
    向に対し外側の操舵輪の下部を外側方向に押すと同時に
    旋回方向に対し内側の操舵輪の下部を内側方向に引いて
    各操舵輪のキャンバ角を変化させ、かつ各操舵輪が各前
    側支持ロッドの内端部を中心として一定方向に旋回され
    る構成であることを特徴とする、自動車のステアリング
    装置。
  2. 【請求項2】 ショックアブソーバを兼ねてコイルスプ
    リングが巻装されたストラットの下部が自動車の操舵輪
    の車軸支持部材に結合され略垂直に取付けられているス
    トラット式サスペンションを備え、ステアリング軸で駆
    動される第1ステアリング部材が第1タイロッドの一端
    と自在連結され、当該第1タイロッドの他端は前記車軸
    支持部材に連結されステアリング軸の回転操作により操
    舵輪が旋回されるステアリング装置において、 前記第1ステアリング部材と平行に配置された第2ステ
    アリング部材が第2タイロッドの一端と自在連結され、
    当該第2タイロッドの他端が車軸位置より下方の位置で
    車軸支持部材に連結され、前記第2ステアリング部材は
    一定速度以上で作動可能なように前記第1ステアリング
    部材と自動的に切り替え制御される構成であり、一定速
    度以下では第1ステアリング部材のみがステアリング軸
    の回転操作に応答して作動され前記第1タイロッドを左
    右方向へ移動させることにより各操舵輪が一定方向に旋
    回され、一定速度以上では第2ステアリング部材をもス
    テアリング軸の回転操作に応答して加重的に作動され第
    2タイロッドは旋回方向に対し外側の操舵輪の下部を外
    側方向に押すと同時に旋回方向に対し内側の操舵輪の下
    部を内側方向に引いて各操舵輪のキャンバ角を変化さ
    せ、各操舵輪が一定方向に旋回される構成であることを
    特徴とする、自動車のステアリング装置。
  3. 【請求項3】 上段と下段に各々配置されたアパーアー
    ムとロアアームの各外端部が自動車の操舵輪の車軸支持
    部材の車軸位置を避けた上下の位置に結合され略水平に
    取付けられているダブルウィッシュボーン式サスペンシ
    ョンを備え、ステアリング軸で駆動されるステアリング
    部材がタイロッドの一端と自在連結され、当該タイロッ
    ドの他端は前記車軸支持部材に連結されステアリング軸
    の回転操作により操舵輪が旋回されるステアリング装置
    において、 前記タイロッドの他端はロアアームの一部を兼ねてて車
    軸位置より下方の位置で車軸支持部材に連結され、前側
    支持ロッドは車軸位置より前方の位置で車軸支持部材に
    取付けられ当該前側支持ロッドの内端部が車体フレーム
    に自在連結されており、ステアリング軸の回転操作に応
    答して前記タイロッドが旋回方向に対し外側の操舵輪の
    下部を外側方向に押すと同時に旋回方向に対し内側の操
    舵輪の下部を内側方向に引いて各操舵輪のキャンバ角を
    変化させ、かつ各操舵輪が各前側支持ロッドの内端部を
    中心として一定方向に旋回される構成であることを特徴
    とする、自動車のステアリング装置。
  4. 【請求項4】 タイロッドの一端が各操舵輪の車軸位置
    より下方の位置で車軸支持部材に連結され、前記タイロ
    ッドの他端は個別の操舵ユニット部に各々自在連結さ
    れ、ステアリング軸の回転角に応じて前記操舵ユニット
    部が個別的に応答動作する構成とされており、タイロッ
    ドが旋回方向に対し外側の操舵輪の下部を外側方向に押
    すと同時に旋回方向に対し内側の操舵輪の下部を内側方
    向に引いて各操舵輪のキャンバ角を変化させること、及
    び各操舵輪が各前側支持ロッドの内端部を中心として一
    定方向へ旋回することが同期制御されていることを特徴
    とする、請求項1又は3に記載した自動車のステアリン
    グ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102069846A (zh) * 2010-12-13 2011-05-25 马燕翔 汽车的纯滚动转向装置
CN108116491A (zh) * 2018-02-05 2018-06-05 常州格力博有限公司 转向系统及骑乘式园林工具
CN111267145A (zh) * 2020-03-18 2020-06-12 广东博智林机器人有限公司 悬架机构、底盘以及机器人
CN112896309A (zh) * 2021-01-25 2021-06-04 江苏永捷工程物流有限公司 多伺服阀协同控制重型平板运输车转向控制系统

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