JPH08197887A - ノック式筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重量のある重錘を用いずにノック機能を果た
す筆記具であって、かつ部品点数が少なく、構造が簡単
な安価な筆記具を提供すること可能とし、その上筆記の
際の操作性を確実にせしめる。 【構成】 軸筒１内に軸方向に摺動可能に設けられた筆
記手段６と、この筆記手段６の後部に設けられたノック
部材７と、上記軸筒１の前部に設けられた口金４と、上
記筆記手段６の外側に軸方向に移動可能に設けられかつ
後部に弾性拡開部１０ｂを有する作動スリーブ１０と、
この作動スリーブ１０を後方に付勢する弾性体１６と、
この作動スリーブ１０の外側に設けられかつ作動スリー
ブ１０と係合・移動可能であるストッパ筒１２と、およ
びこのストッパ筒１２と作動スリーブ１０とが係止され
るために軸筒１の内側に形成された係止部１ａとから構
成されてなるノック式筆記具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、シャープペンシル、
ボールペン、サインペン等のノック機構を有するノック
式筆記具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種のノック式筆記具としては、
実開昭６２−９４８８２号公報に示されたような筆記具
が提案されている。すなわち図８および図９は、この公
報に記載された筆記具を示し、外筒２１内に軸方向に摺
動自在に設けられた芯パイプ２２と、この芯パイプ２２
に装着された芯送出機構２３と、この芯パイプ２２の外
周に取付けられ、拡径方向及び縮径方向に弾性変形可能
なスリーブ２４と、このスリーブ２４を上記芯パイプ２
２と共に後退方向に付勢する付勢手段２５と、上記外筒
２１内に設けられ、上記芯パイプ２１が上記付勢手段２
５に抗してノック位置へ前進された時に上記スリーブ２
４が拡径方向に弾性変形して係止される係止部２６と、
上記外筒２１内に軸方向に摺動自在に設けられ、上記ス
リーブ２４に軸方向から作用してそのスリーブ２４を縮
径方向に弾性変形して上記係止部２６に対するそのスリ
ーブ２４の係止を解除する重錘２７とを備えたダブルノ
ック式筆記具が提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の筆記具は、重錘を用いていたために筆記具と
してはかなり重くかつ重錘の移動スペースが広く必要と
され、さらに部品点数が多く、構造が複雑であったので
コスト高となる不都合があった。さらにまた収納の際
に、軸筒を振って重錘の移動力によって係合を解除して
いたので、振りが不十分である場合等には係合が解除さ
れないという操作性にも問題があった。そこでこの発明
の目的とするところは、上記従来の不都合を解消して、
重量のある重錘を用いずにノック機能を果たすことが可
能でかつ内部スペースが十分に取れるので後部に消しゴ
ム繰出機構等も備えられる筆記具であって、かつ部品点
数が少なく、構造が簡単で安価な筆記具を提供すること
を目的とする。さらにこの発明の目的は、収納の際も同
様なノック操作によれば良く、操作性が確実なノック式
筆記具を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明によれば、軸筒
内に軸方向に摺動可能に設けられた筆記手段と、この筆
記手段の後部に設けられたノック部材と、上記軸筒の前
部に設けられた口金と、上記筆記手段の外側に軸方向に
移動可能に設けられかつ後部に弾性拡開部を有する作動
スリーブと、この作動スリーブを後方に付勢する弾性体
と、この作動スリーブの外側に設けられかつ作動スリー
ブと係合・移動可能であるストッパ筒と、このストッパ
筒と作動スリーブとが係止されるために軸筒の内側に形
成された係止部とから構成されてなるノック式筆記具が
得られる。

【０００５】さらに、この発明によれば、前軸と後軸と
からなる軸筒内に軸方向に摺動可能に設けられた芯タン
クと、この芯タンクの先端に設けられたチャック機構
と、上記前軸の前部に設けられた口金と、この口金の後
端に当接可能なストッパ筒と、上記芯タンクの前方の外
側に位置して軸方向に移動可能であってかつ後部に弾性
拡開部を有する作動スリーブと、この作動スリーブの外
側に位置しかつ作動スリーブと係合・移動可能であるス
トッパ筒と、上記作動スリーブの先部に取り付けられた
先金と、この先金と上記口金との間に挿入された比較的
強い戻しバネと、上記ストッパ筒と作動スリーブとが係
止されるために上記前軸の内側に形成された係止部とか
ら構成されてなるノック式筆記具が得られる。

【０００６】

【作用】筆記に際して、後端をノック操作して芯パイプ
等の筆記手段をスプリングの後方への付勢力に抗して前
進せしめると、ストッパ筒によって作動スリーブの後部
の拡開部が径方向内方へ圧縮されて共に前進し、その後
作動スリーブの後部の拡開部の圧縮が解除されて拡開さ
れると共に軸筒の係止部に作動スリーブの後端が係止さ
れることによって芯パイプ等がノック位置で係止され、
この時筆記手段の先端部が軸筒から突出される。筆記終
了後は更にノック操作をすると作動スリーブがストッパ
筒と係合して、作動スリーブの後部の拡開部が径方向内
方に圧縮されると共に軸筒の係止部に対する作動スリー
ブの係止が解除され、この時芯パイプ等が戻しバネの付
勢力によって後退されて、筆記手段の先端部が軸筒内に
収納される。

【０００７】

【実施例】図１および図２は、この発明の一実施例を示
すノック式シャープペンシルの一部断面図であって、軸
筒１は前軸２と後軸３とから成り、前軸２の前部には口
金４が螺合によって取り付けられている。さらに、この
前軸２のグリップ部分には軟質プラスチック、ゴム等か
ら成るグリップ部材５が嵌合によって取り付けられてい
る。

【０００８】また、軸筒１内には、芯タンク６が軸方向
に摺動可能に設けられている。この芯タンク６の後端に
は、ノック部材としてノックキャップ７が取り外し可能
に設けられている。他方この芯タンク６の先端にはチャ
ック８が圧入・固定されており、このチャック８のチャ
ック部８ａにはチャックリング９が遊嵌されている。そ
して芯タンク６の先部外側にはプラスチック製の作動ス
リーブ１０が摺動可能に設けられている。

【０００９】より詳しく述べると、この作動スリーブ１
０は、図３で示されるようにスリーブ本体１０ａの後部
に後方に向かって次第に径が大きく形成された弾性拡開
部１０ｂを有している。径方向の弾力を得るために、こ
の拡開部１０ｂの後端から前方に向かって３本の割り溝
１０ｃが形成されている。更に作動スリーブ１０の前部
には雄ネジ１０ｄが形成されており、この雄ネジ１０ｄ
の後方のスリーブ本体１０ａには、ストッパ部１０ｅを
有する大径部１０ｆが設けられている。なお、この作動
スリーブ１０の前部には、先端パイプ１１が固設された
先金１４が螺合により取り付けられている。なお、この
先金１４の中間部の内側には、チャックリング９が当接
してチャック８から外されるための係止段部１４ａが形
成されている。

【００１０】また、この作動スリーブ１０の外側には、
金属製のストッパ筒１２が軸方向への移動に伴って作動
スリーブ１０と係合・一体化可能に設けられている。よ
り詳しく述べると、このストッパ筒１２は、図４で示さ
れるように大径部１２ａと小径部１２ｂとからなり、こ
れらの間に段部１２ｃが形成されている。なお作動スリ
ーブ１０とストッパ筒１２とがこの発明の主要とする構
成であるのでその動作については後で詳細に述べる。

【００１１】さらに、作動スリーブ１０の前部には内部
フランジ部１０ｇが形成されてなり、このフランジ部１
０ｇと芯タンク６の先端との間には比較的弱いチャック
スプリング１３が間装されている。そして作動スリーブ
１０の前部外側には雄ネジ１０ｄが形成されてなり、こ
の雄ネジ１０ｄには先端に先端パイプ１１を備えた先金
１４が取り付けられている。また、口金４と先金１４の
段部との間には、比較的強い戻しバネ１５が間装されて
いる。なお符号１６は、摩擦力によって芯を保持するゴ
ム等からなるパッキンである。

【００１２】次に、上記実施例によるノック式シャープ
ペンシルの動作について述べる。まず、図１の未使用時
すなわち先端パイプ１１が口金４内に完全に収納されて
おり、従ってチャック８、芯タンク６等の内部機構がス
プリング１３に付勢されて後退位置にある。そこでこの
状態では、ノックキャップ７は、後軸３の後端から後部
に向かって十分に突出している。つまり作動スリーブ１
０の弾性拡開部１０ｂはストッパ筒１２の後方にずれて
外れているので作動スリーブ１０とストッパ筒１２とは
係合・一体化されておらず、ストッパ筒１２の大径部１
２ａの段部１２ｃが軸筒１の内側の係止部１ａに当接し
て停止せしめられている。

【００１３】次に筆記のために後端ノックキャップ７を
ノックすると、チャック８、芯タンク６等が前進せしめ
られる。すなわち、ノックにより比較的弱いチャックス
プリング１３がまず圧縮されるので、チャックリング９
と共にチャック８が前進して、チャックリング９の先端
が先金１４の内側に形成された段部１４ａに当接されて
チャック８から外される。更にチャック８が前進せしめ
られると戻しバネ１３も圧縮される。

【００１４】なおこの時、芯タンク６に取り付けられた
作動スリーブ１０と共にストッパ筒１２が前進される。
すなわち、図３および図４から明かなとおり、作動スリ
ーブ１０は後部に弾性拡開部１０ｂが形成されているの
で前進に際してはストッパ筒１２を伴って移動する。そ
して作動スリーブ１０の後端縁が前軸２の内側の小径部
に至って外方にやや開かれるので，この時ノックが解除
されてもこの位置で係止される。すなわち、図２に示す
状態であって口金４の先端から先端パイプ１１はもちろ
んのこと先金１４の頭部も突出されており、必要に応じ
て小ノックを繰り返せば比較的弱いチャックスプリング
１３のみを圧縮して芯の繰出を行うことが可能となる。

【００１５】この状態で筆記を終了して、後端を大きく
ノックするとチャックスプリング１３はもとより比較的
強い戻しバネ１５までが更に圧縮されるので芯タンク６
共に作動スリーブ１０が前進せしめられる。この前進の
過程で作動スリーブ１０の後部拡大部１０ｂがストッパ
筒１２と係合・一体化せしめられる。この状態でノック
が解除されると、作動スリーブ１０はストッパ筒１２と
共に後退せしめられるが、ストッパ筒１２の外側段部１
２が前軸２の大径部の前端段部１ａに当接して係合が外
されと共に作動スリーブ１０自体もストッパ筒１２の前
端に当たっているのでこの位置で停止されるて図１の収
納状態に戻ることが可能である。

【００１６】なお、本実施例においては、図示は省略し
たが後部スペースを利用して例えば消しゴム繰り出し機
構を設けることが出来る。

【００１７】図５および図６は、この発明の他の実施例
であるノック式ボールペンを示し、図において符号１７
で示すのはボールペンレフィールであって、本実施例
は、上記実施例と比較して極めて簡単な構造となってい
ることが明らかである。

【００１８】すなわち、本実施例によると、芯送りのた
めのチャック動作が不要であるので単にボールペンレフ
ィール１７の出し入れのみのノック操作で足りる。この
場合の作動スリーブ１０とストッパ筒１２との動作は上
記シャープペンシルの場合と同様である。

【００１９】さらに図７は、この発明の更に他の実施例
によるサインペンを示す部分縦断面図である。この場
合、筆記手段の先端には金具１８を介してファイバーチ
ップ１９が取り付けられている。なお、この実施例のサ
インペンの操作は、上記ボールペンの場合と全く同様で
ある。

【００２０】

【発明の効果】この発明のノック式筆記具は、上記した
とおりの構成であるから、重量のある重錘を用いずにノ
ック機能を果たす出来かつ内部スペースも十分に取るこ
とが可能であって、更に部品点数が少なく、構造が簡単
で安価な筆記具を提供すること可能とし、その上筆記の
際の操作性を確実にせしめる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例によるノック式シャープペ
ンシルの収納状態の部分縦断面図である。

【図２】図１のノック式シャープペンシルの筆記状態の
部分縦断面図である。

【図３】図１のプラスチックの作動スリーブを示す斜視
図である。

【図４】図１の金属のストッパ筒を示す斜視図である。

【図５】この発明の他の実施例であるノック式ボールペ
ンの収納状態を示す部分縦断面図である。

【図６】図５のノック式ボールペンの筆記状態を示す部
分縦断面図である。

【図７】この発明のさらに他の実施例であるノック式サ
インペンを示す部分縦断面図である。

【図８】従来のノック式シャープペンシルの収納時を示
す縦断面図である。

【図９】図８のノック式シャープペンシルの筆記時を示
す縦断面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 １ａ 係止部 ２ 前軸 ３ 後軸 ４ 口金 ５ グリップ部材 ６ 芯タンク ７ ノックキャップ（ノック部材） ８ チャック ９ チャックリング １０ 作動スリーブ １１ 先端パイプ １２ ストッパ筒 １３ チャックスプリング １４ 先金 １５ 戻しバネ（弾性体） １６ パッキン １７ ボールペンレフィール １８ 金具 １９ ファイバーチップ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒内に軸方向に摺動可能に設けられた
   筆記手段と、この筆記手段の後部に設けられたノック部
   材と、上記軸筒の前部に設けられた口金と、上記筆記手
   段の外側に軸方向に移動可能に設けられかつ後部に弾性
   拡開部を有する作動スリーブと、この作動スリーブを後
   方に付勢する弾性体と、この作動スリーブの外側に設け
   られかつ作動スリーブと係合・移動可能であるストッパ
   筒と、このストッパ筒と作動スリーブとが係止されるた
   めに軸筒の内側に形成された係止部とから構成されてな
   ることを特徴とするノック式筆記具。
2. 【請求項２】 前記軸筒が、前軸と後軸とからなり、前
   記口金が前軸の前部に設けられ、かつ前記ストッパ筒と
   作動スリーブとが係止されるための係止部が前軸の内側
   に形成されてなる請求項１記載のノック式筆記具。
3. 【請求項３】 前記筆記手段が、シャープペンシルの芯
   タンクであり、この芯タンクの前部にはチャック機構が
   取り付けられており、さらに前記作動スリーブの前部に
   は先金が設けられてなる請求項１記載のノック式筆記
   具。
4. 【請求項４】 前記筆記手段が、ボールペンレフィール
   である請求項１記載のノック式筆記具。
5. 【請求項５】 前記筆記手段が、サインペンレフィール
   である請求項１記載のノック式筆記具。
6. 【請求項６】前記作動スリーブは、スリーブ本体と、こ
   のスリーブ本体後部の弾性拡開部と、後端から前方に向
   かって形成された複数の割り溝と、上記スリーブ本体中
   間部に形成された大径部と、前部に形成された雄ネジ部
   とから構成されてなり、前記ストッパ筒は、前部に大径
   部を備えてなる請求項１〜５記載のいずれかのノック式
   筆記具。
7. 【請求項７】前軸と後軸とからなる軸筒内に軸方向に摺
   動可能に設けられた芯タンクと、この芯タンクの先端に
   設けられたチャック機構と、上記前軸の前部に設けられ
   た口金と、この口金の後端に当接可能なストッパ筒と、
   上記芯タンクの前方の外側に位置して軸方向に移動可能
   であってかつ後部に弾性拡開部を有する作動スリーブ
   と、この作動スリーブの外側に位置しかつ作動スリーブ
   と係合・移動可能であるストッパ筒と、上記作動スリー
   ブの先部に取り付けられた先金と、この先金と上記口金
   との間に挿入された比較的強い戻しバネと、上記ストッ
   パ筒と作動スリーブとが係止されるために上記前軸の内
   側に形成された係止部とから構成されてなることを特徴
   とするノック式筆記具。