JPH08196984A - 塗装鋼板の焼付方法および装置 - Google Patents

塗装鋼板の焼付方法および装置

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JPH08196984A
JPH08196984A JP1457495A JP1457495A JPH08196984A JP H08196984 A JPH08196984 A JP H08196984A JP 1457495 A JP1457495 A JP 1457495A JP 1457495 A JP1457495 A JP 1457495A JP H08196984 A JPH08196984 A JP H08196984A
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JP
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baking
infrared spectrum
curing
steel sheet
degree
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JP1457495A
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Yoshitsugu Suzuki
善継 鈴木
Hideo Ogishi
英夫 大岸
Yoshihiro Naruse
義弘 成瀬
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼付条件を容易かつ迅速に制御でき、またラ
インスピードの変動、塗料の変更に対しても適切な焼付
条件を達成可能な塗装鋼板の焼付方法および装置の提
供。 【構成】 鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料を塗
布し、乾燥・焼付する工程において、鋼板表面に塗布し
た塗料の赤外スペクトルを焼付炉の出側で測定し、赤外
スペクトル強度の測定値と予め設定した赤外スペクトル
強度の目標値との偏差を算出し、該偏差値が常に一定の
範囲内となるように焼付炉の加熱温度および/またはラ
インスピードを調節する。赤外スペクトル強度から塗料
の焼付けの程度を硬化度として定量化し、硬化度が一定
の範囲内になるように制御してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼帯の塗装における乾燥
・焼付方法に関するものであり、更に詳しくは鋼帯の塗
装において熱風加熱炉、赤外線加熱炉、あるいは誘導加
熱炉などの焼付炉を用いて塗膜を乾燥・焼付する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗装鋼板は家電、建材など広い分野で用
いられており、一般に冷延鋼板、表面処理鋼板などの鋼
板に熱硬化性の有機塗料を塗装したあと板温が 190〜40
0 ℃になる程度に鋼板を加熱し塗料を焼付けている。塗
装鋼板の性能は塗料の焼付条件に大きく依存するため、
一定焼付条件で焼付ける必要がある。一定の焼付けの程
度を保つため、従来は焼付炉の出側で作業者が目視や感
触を基に、あるいは、例えば有機溶剤を含んだ布などで
塗装鋼板の表面を擦り、塗板の素地が見えるまでの回数
で焼付けが充分行われているかを評価するいわゆるラビ
ング試験や、剥離した硬化塗膜の有機溶剤による非抽出
物量の重量百分率で焼付けが充分行われているかを評価
するいわゆるゲル分率試験などが行われている。しかし
ながら、これらはいずれもインラインでの調査方法でな
いため、焼付条件に問題が発生したとしても迅速に焼付
炉の加熱熱量を調節することはできない。そのためイン
ラインでの測定を可能とするため、焼付炉の出側の板温
度計の測定値と予め設定した目標温度値との差異から焼
付炉の加熱熱量を調節する方法(特開昭63−190681号公
報)、焼付炉の出側の表面温度検出器からの表面温度信
号に基づいて焼付炉の炉内温度を調節する方法(特開昭
63−7870号公報)、焼付炉の出側での測色計の測定値と
予め設定した目標測定値との差異から焼付炉の加熱温度
を調節する方法(特開平 2−222750号公報)が開示され
ている。
【0003】しかしながら、いわゆるゲル分率試験やラ
ビング試験は塗料毎にその結果が異なり、全ての塗料に
ついて基準を設定しなければならないため、焼付条件の
制御は著しく非能率的であった。またオンラインでの焼
付条件制御方法においては、温度を一定に保ってもライ
ンスピードに変動があれば焼付条件の程度が一定に保た
れるわけでなく、また塗料によって適正な焼付温度は異
なる。また、測色計による情報は塗料の色、含有される
顔料の種類によっても異なるため、正確に焼付条件の程
度が把握できるとは限らない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、焼付条件を容易かつ迅速に制御でき、またラ
インスピードの変動、塗料の変更に対しても適切な焼付
条件を達成可能な塗装鋼板の焼付方法および装置を提供
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、塗装鋼板
の焼付条件の変動に伴う品質のバラツキを低減すべく鋭
意研究した結果、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料を塗布し、
焼付炉を用いて乾燥・焼付する工程において、鋼板表面
に塗布した前記塗料の赤外スペクトルを焼付炉の出側で
オンラインで測定し、該赤外スペクトル強度の測定値と
予め設定した赤外スペクトル強度の目標値との偏差を算
出し、該偏差値が常に一定の範囲内となるように焼付炉
の加熱温度および/またはラインスピードを調節するこ
とを特徴とする塗装鋼板の焼付方法であり、また本発明
は、鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料を塗布し、
焼付炉を用いて乾燥・焼付する工程において、鋼板表面
に塗布した前記塗料の赤外スペクトルを焼付炉の出側で
オンラインで測定し、前記塗料の硬化反応の進行により
変化する波数域の赤外スペクトルの強度を基にして塗料
の焼付けの程度を硬化度として定量化し、硬化度が常に
一定の範囲内または設定値になるように焼付炉の加熱温
度および/またはラインスピードをフィードバック制御
することを特徴とする塗装鋼板の焼付方法である。
【0006】また本発明は、鋼板に熱硬化性樹脂を主成
分とする塗料を塗布し、焼付炉で塗料を鋼板に焼付けす
る塗装鋼板の焼付装置において、前記焼付炉の出側に配
置され、鋼板表面に塗布した塗料の赤外スペクトルを測
定する赤外スペクトル測定装置(13)と、赤外スペク
トルの強度に基づき塗料の焼付けの程度を硬化度として
定量化し、該硬化度および予め記憶された硬化度の上下
限値または設定値に基づき硬化度制御の信号を出力する
硬化度制御部(25)と、前記信号に基づき焼付炉の加
熱温度とラインスピードとをそれぞれ調節する加熱温度
調節計(22)、ラインスピード調節計(29)を備え
たことを特徴とする塗装鋼板の焼付装置である。
【0007】前記本発明の塗装鋼板の焼付方法において
は、前記熱硬化性樹脂が主剤樹脂と硬化剤とから成り、
測定対象とする赤外スペクトルの波数域がアルコキシ基
およびカルボニル基から選ばれる官能基に帰属する波数
域であることが好ましく、また前記硬化度の範囲が50〜
95%であることが好ましい。また、前記本発明の塗装鋼
板の焼付装置においては、焼付炉入側に赤外スペクトル
測定装置を併設することが好ましい。
【0008】本発明において、前記赤外スペクトル強度
からの硬化度(Degree of curing;以下DCと略記)D
Cの算出は下記(1)式に基づけばよい。 DC(%)=(1−r/r0 )×100・・・・・・・(1) ここで、 r0 :硬化反応前の塗料の赤外スペクトルの強度比 r :硬化反応後の鋼板表面塗料の赤外スペクトルの強
度比 また、 r0 =a0 /b0 r =at /bt であり、a0 、at 、b0 、bt は下記に示される赤外
スペクトル強度である。
【0009】a0 :硬化反応前の塗料における、硬化剤
の反応に関与する官能基の赤外スペクトル強度 at :硬化反応後の鋼板表面塗料における、硬化剤の反
応に関与する官能基の赤外スペクトル強度 b0 :硬化反応前の塗料における、硬化剤の官能基、原
子団、または骨格構造の赤外スペクトル強度(=基準赤
外スペクトル強度) bt :硬化反応後の鋼板表面塗料における、硬化剤の官
能基、原子団、または骨格構造の赤外スペクトル強度
(=基準赤外スペクトル強度) また、前記硬化反応前の塗料の赤外スペクトルは、鋼板
に塗布する前の主剤樹脂と硬化剤との混合塗料に関して
別途測定するか、または焼付炉の入側の鋼板表面塗料に
関して測定し、硬化反応後の鋼板表面塗料の赤外スペク
トルは、焼付炉の出側の鋼板表面塗料に関して測定す
る。
【0010】本発明においては、前記b0 、bt の赤外
スペクトルの対象となる硬化剤の官能基、原子団、また
は骨格構造は塗装鋼板焼付け時にスペクトルの吸収強度
の変化が少ない官能基、原子団、または骨格構造を選択
することが好ましい。また、b0 、bt の赤外スペクト
ルの吸収強度の変化がないと考えられる時には、a0
t のみを測定するだけで良い。
【0011】この場合の硬化度DCの算出は、下記
(2)式に基づけばよい。 DC(%)=〔(a0 −at )/a0 〕×100・・・・・(2) 前記の通り、従来の塗装鋼板の焼付方法においては、塗
装鋼板の焼付条件は一般に最終到達板温と焼付時間との
2つのパラメータの組合せで定義されている。これに対
して、本発明においては、鋼板表面に塗布した塗料の赤
外吸収スペクトル強度を焼付炉の出側でオンラインで測
定し、該測定値に基づき塗料の焼付条件の程度を好まし
くは「硬化度」として定量化し、硬化度が常に一定の範
囲内となるように焼付温度やラインスピードの設定もし
くは変更を行う。これにより、共通の尺度で塗装鋼板の
焼付状態が把握可能となり、塗料の種類等焼付条件が変
動しても得られる製品の塗膜性能の変動を小とできる。
【0012】本発明においては、鋼帯に塗料を連続的に
塗布し、焼付炉で塗料を鋼帯に焼付ける塗装設備におい
て、焼付炉の出側に赤外スペクトルの測定装置を配置
し、前記赤外スペクトル測定装置による測定結果に基づ
き塗膜の硬化度を計算し、その値を基に別途用意された
品目毎の管理基準に基づく硬化度の上下限値と比較し、
焼付炉の加熱温度および/またはラインスピードを調節
する。また、本発明においては、前記硬化度DCを好ま
しくは50〜95%、より好ましくは70〜80%の範囲に収め
ることにより、良好な塗膜性能を有する塗装鋼板を製造
することが可能となる。
【0013】硬化度が95%を超えると耐汚染性、表面硬
度は良くなるが加工性が低下する。硬化度が50%未満の
場合、加工性は良くなるが耐汚染性、表面硬度が低下す
る。なお、本発明においては、硬化度の前記好適範囲内
の設定値になるように焼付炉の加熱温度やラインスピー
ドの制御を行ってもよい。また、本発明においては、前
記硬化度に基づき焼付炉の加熱温度やラインスピードを
制御することが好ましいが、下記の〔I〕または〔II〕
の方法を用いて制御を行うこともできる。
【0014】〔I〕DCS=a0 −at で示される簡易
値で制御する。すなわち、a0 が既知で時間的変動が少
ない場合は、予めDCSの最小値DCSmin およびDC
Sの最大値DCSmax を定めておき、DCS<DCS
min のときは、焼付炉の加熱温度の上昇および/または
ラインスピードの低下を行い、DCS>DCSmax のと
きは、焼付炉の加熱温度の低下および/またはラインス
ピードの上昇を行う。
【0015】また、予めDCSの目標値を定めておき、
DCSが一定値になるように前記方法に従い、焼付炉の
加熱温度、ラインスピードを制御してもよい。 〔II〕at のみを用いて焼付炉の加熱温度、ラインスピ
ードを制御する。すなわち、予めat の最小値(at
min およびat の最大値(at max を定めておき、a
t >(at max のときは、焼付炉の加熱温度の上昇お
よび/またはラインスピードの低下を行い、at <(a
t min のときは、焼付炉の加熱温度の低下および/ま
たはラインスピードの上昇を行う。
【0016】また、予めat の目標値を定めておき、a
t が一定値になるように前記方法に従い、焼付炉の加熱
温度、ラインスピードを制御してもよい。
【0017】
【作用】硬化度に基づき焼付炉の加熱温度と、ラインス
ピードの両方、もしくは一方を調節する。すなわち硬化
度の値と予め設定した許容目標範囲とを比較し、塗膜の
硬化度が許容範囲内になるようにフィードバック制御す
る。例えば焼付炉の加熱温度と、ラインスピードを調節
して制御する。
【0018】硬化度の値に基づく操作は次の通りであ
る。いまSDCを硬化度の制御を行っている系への設定信
号とすると、硬化度DCの最小値DCmin 、最大値DC
max を上下管理限界として次の操作を行う。 (a) DC<DCmin のときはSDCを上げる。 (b) DC>DCmax のときはSDCを下げる。
【0019】本発明においては、DCmin 、DCmax
しては具体的には前記理由から、各々50%、95%が
例示され、SDCを上げる場合は焼付炉の加熱温度の上
昇、ラインスピードの低下で対処し、SDCを下げる場合
は焼付炉の加熱温度の低下、ラインスピードの上昇で対
処すればよい。加工性や硬度などの塗膜性能は塗料の焼
付温度と焼付時間に依存するので、硬化度を適正に制御
することにより、所望の塗膜性能が得られる。また、焼
付温度、焼付時間はフィードバック制御されるので、塗
膜性能のばらつきは小さい。
【0020】本発明において用いられる塗装鋼板用塗料
としては、通常主剤樹脂と硬化剤とを組み合わせた熱硬
化性樹脂が用いられる。主剤樹脂としては、ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、また
はこれらの樹脂の2種類以上の混合物、もしくは他の樹
脂によるこれらの樹脂の変性誘導体などが挙げられる。
これらのうち、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アル
キド樹脂から選ばれる樹脂が好適である。硬化剤として
は、(A)メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、および
メチル化メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン、ブチル
化尿素等それらのアルコキシ置換体およびブロックイソ
シアネートなどから選ばれる硬化剤が好ましく、また
(B)それらの重合物から選ばれる硬化剤が好ましく、
さらに(C)(A)と(B)との混合物を用いることも
できる。
【0021】熱硬化性樹脂を加熱すると硬化反応が起こ
り、樹脂同士の架橋が起きる。そのとき、硬化反応に携
わる樹脂中の官能基に脱離、もしくは不飽和結合への付
加などの現象が生ずる。そのため、反応に関与する特定
の官能基に注目し、これに由来する分光学的スペクトル
の変化量を調べれば、硬化反応がどれだけ進行したか判
断できる。例えばポリエステル樹脂とメチル化メラミン
とを組み合わせた熱硬化性樹脂を含む塗料の場合、硬化
反応はポリエステル樹脂とメチル化メラミンとの反応お
よびメチル化メラミン同士の反応の2つの反応を含む
が、いずれの反応においても、硬化剤側のメチル化メラ
ミンのメトキシ基が反応に従って脱離していく。一方、
メラミンのトリアジン環は硬化反応によっても脱離しな
い。分光学的測定方法として赤外スペクトルを測定する
とメトキシ基は 912cm-1、トリアジン環は 815cm-1にそ
れぞれこれらに由来する吸収スペクトルが現れる。ここ
で赤外スペクトルの測定は、焼付炉の出側に設置された
反射型赤外スペクトル測定装置を用いる。そこでこれら
のスペクトルの強度比から下記(1)式に基づいて硬化
度(DC)を算出する。
【0022】 DC(%)=(1−r/r0 )×100・・・・・・・(1) ここで、 r0 :硬化反応前の塗料の赤外スペクトルの強度比 r :硬化反応後の鋼板表面塗料の赤外スペクトルの強
度比 また、 r0 =a0 /b0 r =at /bt であり、a0 、at 、b0 、bt は下記に示される赤外
スペクトル強度である。
【0023】a0 :硬化反応前の塗料における、硬化剤
の反応に関与する官能基の赤外スペクトル強度 at :硬化反応後の鋼板表面塗料における、硬化剤の反
応に関与する官能基の赤外スペクトル強度 b0 :硬化反応前の塗料における、硬化剤の官能基、原
子団、または骨格構造の赤外スペクトル強度 bt :硬化反応後の鋼板表面塗料における、硬化剤の官
能基、原子団、または骨格構造の赤外スペクトル強度 赤外スペクトルチャートおよび前記強度比の計算例を図
2に示す。
【0024】膜厚、塗料の密度、固形分比等が一定でト
リアジン環のスペクトルの吸収強度の変化がないと考え
られる時にはメトキシ基の吸収強度のみを測定するだけ
で良い。参考として、図3に焼付温度と焼付時間を変え
た場合の硬化度の値をヒートパターンとともに示す。
【0025】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。 (実施例1)図1は、本発明の実施例を示すブロック図
である。1は鋼板、2は塗装装置、3は焼付炉、4は熱
風ノズル、5は塗料槽、6は塗料ポンプ、7はピックア
ップロール、8はアプリケータロール、11は塗布量計、
12は熱風温度計、13は焼付炉出側に設けた反射型赤外ス
ペクトル測定装置、14は硬化度計、15は焼付炉入側に設
けた反射型赤外スペクトル測定装置、22は加熱温度調節
計、24は比較回路、25は硬化度計と比較回路からなる硬
化度制御部、26は熱風送入管、27は調整弁、28はピック
アップロール調整機、29はラインスピード調節計であ
る。
【0026】図1において、鋼板1は塗装装置2によっ
て塗料を塗布され焼付炉3内で乾燥・焼付される。焼付
炉3には熱風送入管26から供給された熱風を吹き付ける
熱風ノズル4が備えられている。また、反射型赤外スペ
クトル測定装置13、15が焼付炉3の入側、出側に取り付
けられている。反射型赤外スペクトル測定装置13、15に
て検出した赤外スペクトルを基に算出した硬化度を目標
硬化度に一致させるために、硬化度制御部25からの信号
に基づき焼付炉3の最終ゾーンに吹き込む熱風の温度を
変化させる。この制御は加熱温度調節計22の設定点を変
更する形で行われる。
【0027】硬化度の計算値を算出する硬化度計14の出
力信号は別途設置された比較回路24を経て加熱温度調節
計22、ラインスピード調節計29への設定信号(硬化度制
御の信号)SDCとして各々に出力される。鋼板に塗布、
乾燥・焼付する塗料について焼付温度が変化した場合の
硬化度の硬化度計14の出力の例を図4に示す。
【0028】この場合、管理すべき上下限を設けてお
き、この上下限に対して、例えば次のように目標値の変
更を行う。 (a) DC<DCmin のときは硬化度制御を行っている系
への設定信号(SDC)を上げる。 (b) DC>DCmax のときは硬化度制御を行っている系
への設定信号(SDC)を下げる。
【0029】以下、本発明の焼付方法、装置を用いて塗
装鋼板を製造した場合と従来の方法を用いて塗装鋼板を
製造した場合の塗装鋼板の品質レベルの比較を行った。
すなわち、図1の本発明の実施例を示す塗装鋼板製造装
置において、主剤樹脂としてポリエステル樹脂、硬化剤
としてメチル化メラミンからなる混合塗料を塗装装置2
によって鋼板に塗布したのち、焼付炉3内で乾燥・焼付
した。
【0030】焼付条件の制御は、以下のようにして行っ
た。すなわち、反射型赤外スペクトル測定装置13、15に
て検出したメトキシ基に帰属する912cm-1、および
トリアジン環に帰属する815cm-1の各赤外スペクト
ル強度から前記(1)式により硬化度計14で硬化度(D
C)を算出し、硬化度計14からの出力信号を比較回路24
を経て加熱温度調節計22への設定信号として出力し、熱
風温度を調節した。比較回路24での上下限設定値は、D
min は50%とし、DCmax は95%とした。
【0031】前記本発明の焼付方法、装置を用いて製造
された製品を鋼帯から10m間隔でサンプリングし、それ
ぞれ規定されたスペックをクリアするかどうか、加工性
試験、表面硬度試験を行った。採取サンプルはそれぞれ
100個とした。本実施例の前記試験結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】(実施例2)実施例1において、反射型赤
外スペクトル測定装置13、15にて検出したメトキシ基に
帰属する912cm- の赤外スペクトル強度から前記
(2)式により硬化度計14で硬化度(DC)を算出し、
硬化度計14からの出力信号を比較回路24を経て加熱温度
調節計22への設定信号として出力し、熱風温度を調節し
た。
【0034】この場合、硬化度の目標設定値を75%と
し、硬化度が目標設定値より下がれば熱風温度を上げ、
目標設定値より上がれば熱風温度を下げる制御を行っ
た。前記本発明の焼付方法、装置を用いて製造された製
品を鋼帯から10m間隔でサンプリングし、それぞれ規定
されたスペックをクリアするかどうか、加工性試験、表
面硬度試験を行った。採取サンプルはそれぞれ 100個と
した。
【0035】本実施例の前記試験結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】(比較例)比較例として焼付炉の出側に板
温計を設置し、その温度が常に一定になるように焼付炉
の加熱熱量をフィードバック制御し、塗装鋼板を製造し
た。設定温度は230℃とした。サンプリング方法、評価
項目は前記実施例と同様にした。本比較例の前記試験結
果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】加工性試験、表面硬度試験は下記に示す方
法で行い、また、性能合格レベルは、加工性試験で0
T、表面硬度試験でHである。 (加工性)0.5mm厚のスペーサを挟んで180°折
り曲げ加工を行った後、加工部を30倍ルーペで観察し
た。評価はスペーサの枚数を変化させ、クラックが生じ
ない時点でのスペーサの枚数で表示した。表示方法はス
ペーサがない時は0T、1枚の時は1Tのようにした。
【0040】(表面硬度)三菱鉛筆社製三菱ユニを用
い、傷つき法にて評価した。評価は傷がつかない限界の
鉛筆の硬度で表示した。表1、表2の実施例に示される
通り、本発明の焼付方法、装置を用いることにより、硬
化度の変動に起因する塗装鋼板の品質のバラツキはほと
んど皆無となり、歩留99%で良好な品質の製品を得てい
る。一方、焼付炉出側での測定板温と目標板温とが等し
くなるようにフィードバック制御することにより塗膜の
焼付条件を等しくする方法を実行してみると、表3の比
較例に示される通りバラツキが大きく、歩留が70%程度
であった。この理由として、塗装ラインでのラインスピ
ードが常に一定ではないため、焼付炉の出側の板温計の
温度を一定にしているだけでは、塗装鋼板の焼付の程度
が一定になるわけではなく、結果として、性能がライン
スピードの変動による影響を直接受けることが挙げられ
る。
【0041】また、他の硬化剤を含有する熱硬化性樹脂
を用いた場合にも同じように赤外スペクトルの測定強度
から硬化度が算出できる。硬化反応の進行程度の指標と
なる赤外スペクトルの好ましい波数(cm-1)の代表例
を表4に示す。すなわち、メトキシ基、ブトキシ基等の
アルコキシ基、カルボニル基から選ばれる官能基に帰属
する赤外スペクトルの波数域のスペクトル強度測定値か
ら硬化度を算出し、算出結果に基づき前記と同様に焼付
炉の加熱温度、ラインスピードのいづれか一方または両
者を制御することにより、塗装鋼板の焼付条件の変動に
伴う品質のばらつきを低減することが可能となった。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、硬化度の設定信号に従
って、焼付炉の加熱温度、ラインスピードすなわち焼付
時間のうち一方、若しくは両者の目標値を状況に応じて
上下し、鋼板の最終的な塗膜品質を管理するので、極め
て均一な品質の塗装鋼板を得ることが可能となった。一
方、焼付炉の出側での板温を制御する方法では性能のバ
ラツキが多く、歩留率が悪い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】赤外スペクトルチャートおよび強度比の計算例
を示す図である。
【図3】硬化度とヒートパターンとの関係を示すグラフ
である。
【図4】硬化度と焼付温度との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 鋼板 2 塗装装置 3 焼付炉 4 熱風ノズル 5 塗料槽 11 塗布量計 12 熱風温度計 13、15 反射型赤外スペクトル測定装置 14 硬化度計 22 加熱温度調節計 24 比較回路 25 硬化度制御部 26 熱風送入管 27 調整弁 29 ラインスピード調節計

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料
    を塗布し、焼付炉を用いて乾燥・焼付する工程におい
    て、鋼板表面に塗布した前記塗料の赤外スペクトルを焼
    付炉の出側でオンラインで測定し、該赤外スペクトル強
    度の測定値と予め設定した赤外スペクトル強度の目標値
    との偏差を算出し、該偏差値が常に一定の範囲内となる
    ように焼付炉の加熱温度および/またはラインスピード
    を調節することを特徴とする塗装鋼板の焼付方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂が主剤樹脂と硬化剤とから
    成り、測定対象とする赤外スペクトルの波数域がアルコ
    キシ基およびカルボニル基から選ばれる官能基に帰属す
    る請求項1記載の塗装鋼板の焼付方法。
  3. 【請求項3】 鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料
    を塗布し、焼付炉を用いて乾燥・焼付する工程におい
    て、鋼板表面に塗布した前記塗料の赤外スペクトルを焼
    付炉の出側でオンラインで測定し、前記塗料の硬化反応
    の進行により変化する波数域の赤外スペクトルの強度を
    基にして塗料の焼付けの程度を硬化度として定量化し、
    硬化度が常に一定の範囲内または設定値になるように焼
    付炉の加熱温度および/またはラインスピードをフィー
    ドバック制御することを特徴とする塗装鋼板の焼付方
    法。
  4. 【請求項4】 硬化度の範囲が50〜95%である請求項3
    記載の塗装鋼板の焼付方法。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂が主剤樹脂と硬化剤とから
    成り、測定対象とする赤外スペクトルの波数域がアルコ
    キシ基およびカルボニル基から選ばれる官能基に帰属す
    る請求項3または4記載の塗装鋼板の焼付方法。
  6. 【請求項6】 鋼板に熱硬化性樹脂を主成分とする塗料
    を塗布し、焼付炉で塗料を鋼板に焼付けする塗装鋼板の
    焼付装置において、前記焼付炉の出側に配置され、鋼板
    表面に塗布した塗料の赤外スペクトルを測定する赤外ス
    ペクトル測定装置(13)と、赤外スペクトルの強度に
    基づき塗料の焼付けの程度を硬化度として定量化し、該
    硬化度および予め記憶された硬化度の上下限値または設
    定値に基づき硬化度制御の信号を出力する硬化度制御部
    (25)と、前記信号に基づき焼付炉の加熱温度とライ
    ンスピードとをそれぞれ調節する加熱温度調節計(2
    2)、ラインスピード調節計(29)を備えたことを特
    徴とする塗装鋼板の焼付装置。
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