JPH08193236A - 高靱性耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

高靱性耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法

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JPH08193236A
JPH08193236A JP7005665A JP566595A JPH08193236A JP H08193236 A JPH08193236 A JP H08193236A JP 7005665 A JP7005665 A JP 7005665A JP 566595 A JP566595 A JP 566595A JP H08193236 A JPH08193236 A JP H08193236A
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powder
aluminum alloy
alloy
less
hard particles
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JP7005665A
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Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
由重 ▲高▼ノ
Yoshie Kouno
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 靱性および耐摩耗性に優れたアルミニウム合
金を経済性に優れた製法により作製する。 【構成】 急冷凝固アルミニウム合金粉末と硬質粒子と
の混合粉末を出発原料とし、この混合粉末を熱間鍛造法
によって成形固化して高靱性耐摩耗性アルミニウム合金
を得る。急冷凝固アルミニウム合金粉末は、重量基準で
Siを5%以上40%以下含み、残部が実質的にAlお
よび不可避不純物である。急冷凝固アルミニウム合金粉
末の平均粒径をD、硬質粒子の平均粒径をdとしたと
き、5≦D/d≦40の関係を満足する。硬質粒子の長
径に対する短径の比であるアスペクト比が0.5以上で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高靱性耐摩耗性アル
ミニウム合金およびその製造方法に関するものである。
特に、急冷凝固アルミニウム合金粉末と硬質粒子との混
合粉末を出発原料とし、この混合粉末を熱間鍛造法によ
って成形固化して得る高靱性耐摩耗性アルミニウム合金
およびその製造方法に関するものである。
【0002】高靱性耐摩耗性アルミニウム合金は、たと
えば、コンプレッサー部品のベーン、シュー、サイドプ
レート等、自動車部品のオイルポンプロータ、シリンダ
ライナー、ピストン、バルブリフター等、または事務機
器のローラ、ギア、軸受等の耐摩耗性摺動部品に利用さ
れている。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、コンプレッサー部品、自動車用オイルポンプ、ロー
ラ、ギア、軸受等には鉄系の材料が使われてきた。しか
しながら、鉄系材料はその重さが問題であり、近年の自
動車関連機器の軽量化・高効率化、または事務機器の高
性能化の要求に応えることができなくなってきた。特
に、可変速・高速で摺動する部材に鉄系材料を用いる
と、摺動や回転に伴なう加減速時の慣性力・遠心力が質
量に比例して大きくなる。これらの力は回転の角速度の
2乗に比例して大きくなる。そのため、鉄系材料を用い
て高速化を図ろうとすると、機器や装置全体を大きくし
なければならず、またそれらを極めて頑丈に作らねばな
らなかった。
【0004】そこで、低比重材料が注目された。最も軽
量な材料であるマグネシウムは、熱膨張係数が大きすぎ
るために、周辺部材とのマッチングが取れない上、低硬
度であるため全く摺動部材としては使用に耐えない。次
に軽量なアルミニウム合金に対して、熱膨張係数を小さ
くし、耐摩耗性を改善するために、主にシリコンを多量
に添加することが種々の製造方法で検討された。まず、
溶解鋳造、溶解圧延、連続鋳造等の溶製技術が検討され
たが、Si初晶の分散のみでは鉄系材料に置き換わるよ
うな摺動部材として使用に耐え得る耐摩耗性を実現でき
なかった。そのため、そのようなアルミニウム合金に対
して、硬質アルマイト処理やNi−P鍍金等の表面処理
が必要となる。
【0005】一方、粉末冶金法においては、急冷凝固法
を用いることで上記の遷移金属合金元素を多量に添加し
ても微細でかつ均一な組織を有する分散強化合金粉末を
得ることが可能である。そこで、粉末冶金法によって、
急冷凝固したアルミニウム合金粉末を原料としてこれを
固化することによって溶解法では得られなかった高シリ
コン含有合金を製造し、かつそれらの微細な晶出物およ
び析出物を均一に素地中に分散させることによって耐摩
耗特性を改善する検討が行なわれてきた。特に、この場
合、原料粉末の凝固速度を大きくすることによって組織
がより微細になり、優れた特性が得られることが知られ
ている。
【0006】しかしながら、このような特性を有するア
ルミニウム合金を作製するためには急冷凝固アルミニウ
ム合金粉末を一旦固化する必要がある。ところが、アル
ミニウム合金粉末表面が硬質な酸化アルミニウム被膜に
覆われており、この被膜が粉末同士の結合を阻害する。
その結果、十分な強度・靱性を有するアルミニウム合金
が得られない。よって、合金粉末の表面にある還元不可
能な硬質な酸化被膜をいかに破り、粉末同士の金属接触
部を形成することによって金属原子の拡散を可能とさせ
るかが重要なポイントとなる。従来、このことを実現す
る方法として、大別すると、液相焼結法と、塑性加工に
よる粉末固化法の2つがあった。
【0007】前者の液相焼結法は、原料粉末に焼結助剤
を混合する方法である。具体的には、アルミニウムまた
はアルミニウム合金組成の融点よりも低温側で共晶液相
を発生する合金成分を有する粉末を焼結助剤として原料
に添加・混合して圧縮成形し、さらに焼結工程の昇温過
程中に成形体内に形成された焼結助剤とアルミニウム粉
末またはアルミニウム合金粉末との金属接触部から共晶
液相を発生させることによって、金属接触部の拡大を図
り焼結を進行させる。合金元素を10重量%以上含有す
るこのような焼結合金の製造方法は、たとえば、特公昭
53−118209号公報および特公昭59−3733
9号公報に開示されている。特公昭53−118209
号公報には、共晶組成であるAl−11.7重量%Si
近傍の組成を有したAl−Si二元合金粉末に焼結助剤
として金属Si粉末と必要に応じて合金成分粉末を混合
してSiを合計で20〜50重量%含有した焼結体の製
造方法が開示されている。また、特公昭59−3733
9号公報には、Al−10〜35重量%Si粉末にC
u、Mg、Si成分を単組成粉末または合金成分粉末と
して添加配合する高Si含有焼結体の製造方法が開示さ
れている。しかし、これらの先行技術に開示された方法
によって製造した焼結体の耐摩耗性は、目的の用途に使
えるレベルに達していない。
【0008】後者の塑性加工を加える方法は、新しい粉
末冶金技術として近年になって開発されてきた方法であ
り、塑性変形により粉末同士を結合させる。粉末に強力
な塑性加工を加えることで粉末を塑性変形し、粉末表面
の酸化膜を分断・破壊し、隣接粉末粒子間を接続して金
属接触部を生成させる。この方法によれば、物理的手法
で酸化膜を破るため焼結助剤は不要である。塑性加工方
法としては、ホットプレス法、粉末押出法、粉末圧延法
等が用いられる。これらの方法では粉末に大きな塑性流
動を与えることができるので、比較的低い温度域で塑性
加工処理をすることができる。その結果、粉末の急冷凝
固効果をある程度保持した高密度合金を得ることが可能
となる。
【0009】たとえば、特開昭60−121203号公
報は、アルミニウム合金粉末を温度250〜550℃で
押出比4:1〜15:1にて押出しする方法を開示して
いる。この方法では、強力な剪断力でアルミニウム合金
粉末を押出すので、粉末表面の酸化膜が破れて隣接粉末
同士の内部の金属が結合する。しかしながら、アルミニ
ウム合金の耐摩耗性や耐熱性を向上させるために添加す
る合金元素量が多くなると、粉末自身が硬くなるので、
さらに強力な剪断力、つまり大きな塑性流動を粉末に与
える必要があることから押出比率は必然と大きく設定せ
ざるを得ない。その結果、粉末成形体が大きくなり、そ
の内部まで均一に昇温するには予備加熱時間を長くしな
ければならず、その結果急冷凝固法によって得られた微
細な組織が合金元素の拡散によって分解し、次第に粗大
化して特性が劣化するといった問題が生ずる。したがっ
て、この方法では、必ずしも優れた材料が実現されてい
なかった。
【0010】特開昭61−136602号公報にはアル
ミニウム合金粉末を加熱成形後にホットプレスする方法
が開示され、さらに特開昭62−224602号公報に
は焼結鍛造法による製造方法が開示されている。しか
し、これらの方法によって得られた合金の硬さはHmv
200〜250程度が限界であり、耐摩耗性の点で鉄系
材料と置換し得るようにするためには、やはり表面処理
が必要となる。
【0011】最近のアルミニウム粉末の固化技術として
熱間粉末鍛造法がある。これは、粉末に大きな塑性流動
を与えずに加圧・圧縮して粉末粒子を塑性変形し粉末同
士を結合するものであるが、この結合を実現するために
は、十分に高い温度にまで加熱することが必要である。
加熱が不十分であれば、粉末粒子が十分に結合しないた
めに粉末粒界で割れが生じ、十分に強固な固化が実現で
きない。この方法においても、前述の方法と同様、高温
で加熱するために急冷凝固法によって得られた微細組織
が合金元素の拡散によって分解し、次第に粗大化して特
性が劣化するといった問題が生じる。
【0012】この熱間粉末鍛造法の関連技術として、粉
末成形体を加熱後、2回の熱間鍛造により粉末表面の酸
化被膜を破壊し、粉末同士の強固な結合を得る方法が検
討されている。たとえば、特開昭63−60265号公
報にそのような方法が開示されている。しかし、この公
報に開示された方法では、まず、粉末粒子表面に吸着し
ている水分の除去を目的として大気雰囲気中での粉末成
形体の熱処理工程を導入している。しかし、除去された
水分が再度アルミニウムと反応して粉末表面に強固な酸
化アルミニウム被膜を生成し、粉末同士の結合を阻止し
てしまう。さらに、粉末表面に存在する酸化被膜を十分
に破壊して粉末同士を結合させるために、粉末成形体を
加熱処理した後、予備的な熱間密閉型鍛造を経てから合
計2回の熱間鍛造を実施している。このような製造工程
は経済的に問題がある。
【0013】上述したような粉末冶金法による製造にお
いては、焼結工程や塑性加工工程前の加熱工程で高価な
加熱設備を必要とし、また加熱に多大なエネルギを必要
とすることから、経済性の面で問題がある。
【0014】一方、従来から行なわれてきた溶解鋳造法
や特開昭60−50138号公報に開示されたような粉
末冶金法によりセラミックス等の硬質な粒子や繊維を分
散させた複合材料化によって耐摩耗性を改善する試みも
なされたが、マトリックス部の硬さが200MHv以下
であり、摺動時にマトリックス部に凝着摩耗が発生する
ため実用に耐えない。
【0015】耐摩耗性を向上させるために硬質なセラミ
ックス粒子や繊維をアルミニウム粉末に添加・混合した
原料粉末を前述の熱間押出法や熱間粉末鍛造法等の粉末
冶金法によって固化して得たアルミニウム合金では、セ
ラミックスの添加量が増加するにつれて耐摩耗性は向上
する。しかし、一方では、セラミックス粒子や繊維と素
地との界面の結合力が強固でないために、却ってアルミ
ニウム合金の強度が低下するといった問題がある。ま
た、硬質成分の添加量が多くなると合金の切削性が低下
するといった経済性の問題も生じることから、実用化は
困難である。
【0016】したがって、現在は、極めて負荷の小さい
摺動材を除けば、アルミニウム合金を摺動材に使用した
場合、少なくとも一方には必ず表面処理、たとえばNi
−Pめっき、CrNコーティングや鉄溶射などを施して
いる。これらの処理法は高価であるばかりでなく、処理
に当たっては表面部分に対して再度研磨などの仕上げ加
工を施す必要がある。さらに、使用中表面処理層が失わ
れると材料としては直ちに信頼性を失うなどの問題点が
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段および作用】
(発明の概説)本発明者らは、種々の実験および検討を
行ない、熱間粉末鍛造法に基づき経済性に優れた製法に
よって靱性および耐摩耗性に優れたアルミニウム合金を
作製できる方法を確立した。
【0018】本発明では、急冷凝固アルミニウム合金粉
末と硬質粒子との混合粉末を出発原料とし、この混合粉
末を熱間鍛造法によって成形固化して高靱性耐摩耗性ア
ルミニウム合金を得る。この場合、添加した硬質粒子は
アルミニウム粉末間に存在するため、加圧・圧縮工程時
にアルミニウム粉末表面に押付けられ、粉末表面の酸化
被膜を機械的に分断・破壊し、アルミニウム粉末同士の
金属接触部を形成させ、その部分での熱による金属原子
の拡散を可能とする。その結果、大きな塑性加工を必要
とせずに、比較的小さい熱履歴、つまり必要最小限の熱
量によりアルミニウム粉末同士を十分強固に結合でき
る。したがって、粉末中のSi晶が粗大成長することな
く、本来、原料粉末が有する急冷凝固組織を合金に十分
残存させることが可能となり、その結果、優れた靱性お
よび耐摩耗性を実現できる。
【0019】(発明の構成および各構成要件の技術的意
義)請求項1に記載の発明は、急冷凝固アルミニウム合
金粉末と硬質粒子との混合粉末を出発原料とし、この混
合粉末を熱間鍛造法によって成形固化して得る高靱性耐
摩耗性アルミニウム合金であり、次のことを特徴とす
る。急冷凝固アルミニウム合金粉末は、重量基準でSi
を5%以上40%以下含み、残部が実質的にAlおよび
不可避不純物である。急冷凝固アルミニウム合金粉末の
平均粒径をD、硬質粒子の平均粒径をdとしたとき、5
≦D/d≦40の関係を満足する。硬質粒子の長径に対
する短径の比であるアスペクト比が0.5以上である。
【0020】上述のような特徴的な要件を備えることに
より、高靱性耐摩耗性アルミニウム合金を得ることが可
能となる。具体的には、硬質粒子がアルミニウム合金粉
末間に存在し、それが加圧・圧縮工程時にアルミニウム
粉末表面に押付けられ、粉末表面の酸化被膜を分断・破
壊し、アルミニウム粉末同士の金属接触部を形成する。
その結果、アルミニウム合金粉末同士が強固に結合する
とともに、硬質粒子がその粒界に存在し、摺動時におい
て素材から脱落せずに優れた耐摩耗性を確保することが
でき、かつ高強度および高靱性を発揮する。
【0021】D/d<5の場合には、アルミニウム粉末
表面に均一に硬質粒子が分散せず、酸化被膜の破壊効果
が十分ではない。また、D/d>40の場合には、アル
ミニウム粉末の3重点に硬質粒子が多く存在するように
なり、酸化被膜の破壊効果が十分得られない。その結
果、アルミニウム粉末同士の金属接触部が形成されず、
十分強固なアルミニウム合金粉末同士の結合、つまり合
金の高靱性が得られない。
【0022】硬質粒子のアスペクト比(粒子の短径/長
径)が0.5未満である場合には、熱間固化工程におい
てアルミニウム粉末表面に硬質粒子が均一に押付けられ
なくなり、酸化被膜の破壊効果が十分に得られず、アル
ミニウム粉末合金の強度および靱性の低下を生じる。ま
た、摺動部材としての耐摩耗性の観点からも相手攻撃性
が低下するといった問題が生じる。
【0023】急冷凝固アルミニウム合金粉末中のSi含
有量が5重量%未満である場合には、十分な耐摩耗性が
得られない。また、Siが40重量%を超えても、耐摩
耗性はさらに向上することはなく、却って噴霧前の溶解
温度が高くなることから経済性の問題が生じる。
【0024】請求項2に記載の発明は、硬質粒子が酸化
物、炭化物および窒化物からなる群から選ばれ、その長
径が2μm以上10μm以下であることを特徴とする。
【0025】硬質粒子の長径が2μm未満である場合、
硬質粒子はアルミニウム合金粉末とともに均一に攪拌さ
れずに部分的に凝集する。その結果、十分な酸化被膜の
破壊効果が得られない。また、硬質粒子の長径が10μ
mを超える場合、アルミニウム粉末表面に均一に硬質粒
子が分散せず、酸化被膜の破壊効果が十分でなく、また
摩擦摺動時において相手材を攻撃するといった問題が生
じる。
【0026】上述の条件を満足する硬質粒子が適当であ
るが、合金の耐摩耗性および相手材に対する攻撃性の観
点から球状に近い形状を有する硬質粒子が望ましい。望
ましくは、硬質粒子は、酸化物、炭化物および窒化物か
らなる群から選ばれるが、特に以下に記載するものが適
当である。炭化物として、アルミカーバイド、シリコン
カーバイド、チタンカーバイド、ボロンカーバイド等で
ある。酸化物として、アルミナ、シリカ、ムライト、酸
化亜鉛等である。窒化物として、アルミナイトライド、
窒化ケイ素、チタンナイトライド等である。
【0027】請求項3に記載の発明は、硬質粒子の添加
量WHpが、混合粉末中、重量基準で5%以上30%以
下であり、混合粉末中のSiの含有量を重量基準でWS
iとすると、WSi+WHp≦60%の条件を満足する
ことを特徴とする。
【0028】硬質粒子の添加量が5重量%未満である
と、硬質粒子による酸化被膜の破壊効果が十分に得られ
ない。また、硬質粒子の添加量を30重量%を超えるよ
うにしても酸化被膜の破壊効果は向上せず、却って合金
の切削性が低下するといった経済性の問題が生じてくる
可能性がある。
【0029】Si含有量が40%を超える場合、または
合金中のSi量と硬質粒子の合計含有量(WSi+WH
p)が60%を超える場合には、合金素地中に分散する
Si晶や硬質粒子が破壊の起点となり合金の靱性を低下
させるとともに、合金の切削性が低下するといった経済
性の問題も生じる。
【0030】請求項4に記載の発明は、必要に応じて重
量基準で0.4%以上8%以下のCuおよび/または
0.5%以上1.5%以下のMgを含有することを特徴
とする。
【0031】Cuは粉末固化体の耐蝕性を改善する。C
uおよびMgが共存すると、300〜500℃の温度範
囲にて0.5〜4時間の溶体化処理、またはさらに20
0℃以下での時効処理を施すことにより機械的特性を必
要に応じて改善することができる。Cuの添加量が0.
4重量%未満、Mgの添加量が0.5重量%未満である
と、上記のような効果が不十分になる。逆に、Cuが8
重量%を超えると使用環境での温度の影響を受けやすく
なり、素地の耐熱性や硬度が低下する。また、Mgの添
加量が1.5重量%を超えると、Al−Si−Mgの化
合物が粗大化し合金の特性が低下する。
【0032】なお、本発明の急冷凝固アルミニウム合金
粉末の組成に関して、Mo、Zr、V、Ti等の高融点
金属元素を重量基準で0.5%以上添加すると、合金素
地の耐熱強度や硬さを向上させる効果があることを確認
した。
【0033】請求項5に記載の発明は、急冷凝固アルミ
ニウム合金粉末の平均粒径が80μm以下であり、最大
粒径が200μm以下であることを特徴とする。
【0034】噴霧法により粉末を製造する場合、噴霧粉
末の粒度と急冷度とは密接な関係がある。つまり、噴霧
粉末が微細であるほど、その急冷度は大きくなり、その
ため粉末内には微細な準安定相・非平衡相や析出物・晶
出物が均一に分散しやすくなり、その結果、合金の特性
は向上する。具体的には、本発明における噴霧アルミニ
ウム合金粉末では、その最大粒径は200μm以下、平
均粒度は80μm以下であることが望ましい。噴霧粉末
の最大粒度が200μmを超えたり、また平均粒度が8
0μmを超えたりすると、上述したような微細な析出物
を得ることが困難となり、その結果、耐摩耗性アルミニ
ウム粉末合金を得ることができなくなる。
【0035】請求項6に記載の発明は、急冷凝固アルミ
ニウム合金粉末の急冷度が、102℃/秒以上104
/秒以下であることを特徴とする。
【0036】急冷凝固法によりアルミニウム粉末中に共
晶点を超えるSiを可飽和固溶させる場合、急冷度が1
2 /秒未満であると初晶Siの粗大化により合金は脆
化を生じ、その結果著しい強度低下を招き、優れた靱性
および耐摩耗性を有するアルミニウム合金製摺動部材を
製造することが困難となる。一方、104 ℃/秒を超え
る微細な急冷凝固粉末を歩留りよく噴霧・回収すること
は困難である。つまり、経済上の問題から、噴霧粉末の
急冷度を104 ℃/秒を超えないようにするのが望まし
い。
【0037】なお、上記特性を満足するアルミニウム合
金においては、粉末の合金組成および硬質粒子の添加量
を調整することにより、その熱膨張率を8〜19×10
-6/℃の範囲で制御することが可能である。
【0038】請求項7に記載の発明は、出発原料として
の混合粉末の流動度を特定している。すなわち、オリフ
ィス4mmφでの粉末の流動度が60秒/50g以下で
ある。
【0039】本発明における製法では、まず、原料粉末
を金型に給粉してニアネット形状に成形する。これによ
り原料歩留りの改善や加工費の削減といった経済性の効
果が期待できる。しかし、これを実現させるためには粉
末に対する流れ性や充填性が要求される。粉末の粒度が
細かい場合、特に粉末の金型への流動性が問題となる。
具体的には本発明の製法が量産工程において経済的に問
題なく摺動部材を生産可能とし得るようにするために
は、粉末の流動度(流れ性)はオリフィス4mmφで6
0秒/50g以下であることが望ましい。ただし、出発
原料粉末がこの条件を満足しないような場合には、粉末
を機械的に造粒・混合処理することによって粉末の急冷
度や物性を十分維持した状態で流動性を改善することが
望ましい。
【0040】請求項8に記載の発明は、上述したような
高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法であり、以
下のことを特徴としている。
【0041】すなわち、出発原料としての混合粉末を3
00℃以下の温度で成形し、この粉末成形体を400℃
以上550℃以下の温度範囲まで急速に加熱し、この温
度範囲で10秒以上保持した後、直ちに加熱された閉塞
金型内で加圧・圧縮して真密度比97%以上に熱間成形
固化する。
【0042】 原料粉末の成形性・圧縮性 合金組成によっては、噴霧したままの粉末では高硬度で
あるために金型内に給粉し加圧により十分な成形性・圧
縮性を確保するには粉末固化工程において高い成形圧力
が必要となる場合がある。そのために、金型が摩耗・損
傷し、金型寿命が短くなるといった経済性の問題が生じ
る。また、粉末が硬いために成形性・圧縮性が低下する
と、粉末成形体に亀裂発生、または部分的な粉末の欠落
等の問題が生じる場合がある。そこで、本発明において
は、噴霧粉末の成形性や圧縮性を改善する必要がある場
合においては、粉末の特性を低下させない範囲での噴霧
粉末の予熱処理(焼鈍)が有効であることも明らかにし
た。たとえば、下記の表1に見られるように、予熱処理
によりその常温での成形性は大きく改善され、低い成形
圧力によっても高い粉末成形体密度が得られることがわ
かる。
【0043】
【表1】
【0044】本件発明者らは、種々の実験を行なった結
果、原料粉末が有する急冷凝固の特性を損なうことな
く、かつ成形性・圧縮性を改善できるような具体的な条
件として、粉末温度が300℃以下となるような条件下
での温間成形を行なうことが有効であることを見出し
た。これを実現させる手段として、次の2つの方法があ
る。
【0045】i) 原料粉末を事前に予熱処理して粉末
温度が300℃を超えない温度に加熱することによっ
て、粉末を軟化させた後に成形する。
【0046】ii) 金型を加熱しておき、これに原料粉
末を給粉して粉末温度が300℃を超えない範囲にて成
形する。
【0047】上述のような温間成形において、原料粉末
の温度が300℃を超えるような場合、噴霧粉末中の微
細なSi晶が粗大・成長し、その結果、アルミニウム粉
末合金の特性低下を招く。なお、噴霧粉末を予熱する雰
囲気に関する制約はなく、大気中、窒素中、還元雰囲気
中のいずれであっても粉末固化体の特性低下は生じな
い。ただ、250℃〜300℃での粉末の予熱・焼鈍に
おいて窒素もしくはアルゴン等の還元雰囲気中で行なう
と、粉末固化体特性のさらなる向上が認められたことか
ら、250℃〜300℃での粉末の予熱・焼鈍処理を還
元雰囲気中で行なうことが望ましい。
【0048】 成形体の急速昇温加熱(400〜55
0℃で10秒以上加熱保持) 粉末成形体を加熱する際、急冷凝固特性を維持する観点
から、加熱温度はできる限り低温であることが望まし
い。しかしながら、加圧・圧縮工程において粉末が塑性
変形可能な温度域にまで加熱することも必要である。
【0049】そこで、本発明では、粉末成形体を400
℃以上550℃以下の温度範囲まで急速に昇温加熱し、
その温度で10秒以上保持し、その後直ちに加熱された
閉塞金型内で加圧・圧縮して熱間成形固化している。こ
の方法により、Si晶の粗大・成長を抑制し、硬質粒子
の押付効果による粉末表面の酸化被膜の破壊を促進し、
その結果、粉末の急冷凝固組織を維持した状態で十分強
固な粉末同士の結合が得られる。このような条件下にお
いて閉塞金型を用いた熱間鍛造法により固化して得たア
ルミニウム合金は、真密度比97%以上に緻密化され、
十分な強度・靱性を有し、さらに耐摩耗性を発揮する。
アルミニウム合金の真密度比が97%未満では、十分な
強度および靱性を得ることができない。
【0050】加熱温度範囲に関して、550℃を超える
ような場合、粉末中のSiが粗大化するために、合金の
靱性・延性は著しく低下する。400℃未満の温度範囲
では、粉末が塑性変形しやすい状態とならないために硬
質粒子の押付けによる粉末表面の酸化被膜の破壊効果が
十分に発揮されない。その結果、粉末同士の強固な結合
が得られず、合金の強度・靱性の低下を招く。
【0051】400℃以上550℃以下の温度範囲での
加熱保持時間が10秒未満であれば、粉末が塑性変形し
やすい状態とならないので、硬質粒子の押付けによる粉
末表面の酸化被膜の破壊効果が十分に発揮されず、その
結果粉末同士の強固な結合が得られずに合金の強度・靱
性の低下を招く。一方、上記温度範囲で長時間加熱を施
した場合でもSi晶の顕著な粗大化は生じないが、経済
性の観点から、たとえば1時間以下程度の保持が好まし
い。
【0052】加熱時の昇温速度に関しては、アルミニウ
ム合金の特性および経済性の両面から、30℃/分以上
であることが望ましい。このような昇温条件では、粉末
同士の結合を阻害するような顕著な粉末表面の酸化被膜
の再生成は生じない。30℃/分未満の昇温速度条件下
で加熱する場合には、酸化被膜の再生成を抑制する観点
から、その加熱雰囲気を窒素もしくはアルゴンなどの不
活性ガス雰囲気中で行なうことが望ましい。
【0053】 粉末成形体の熱間成形固化(固化面
圧:4〜10t/cm2 ) 加圧・圧縮により粉末同士の強固な結合状態を確保する
には、成形固化時の圧力を4t/cm2 以上10t/c
2 以下にすることが望ましい。圧力が4t/cm2
りも小さい場合には粉末同士が十分強固に結合しないの
で、合金の真密度比が97%に到達しない。その結果、
アルミニウム合金の強度および靱性が低下する。一方、
圧力が10t/cm2 を超えてもさらなる強固な結合力
が得られず、合金の強度・靱性も飽和する。逆に、圧力
が大きくなることで金型の摩耗や金型内壁への粉末の焼
付きが著しく進行するので、金型寿命が短くなるといっ
た経済上の問題が生じる。
【0054】
【実施例】
(実施例1)表2に示すように、急冷凝固アルミニウム
合金粉末と硬質粒子とを混合した原料粉末(試料No.
1〜29)を用意した。この混合粉末を常温にて面圧4
t/cm2 にて成形した後、その粉末成形体を490℃
にて30秒加熱保持(昇温速度100℃/分)し、続い
て閉塞加熱金型内にて熱間鍛造(面圧8t/cm2 )を
施した。このようにして作製した試料No.1〜29の
アルミニウム合金の機械的特性を表3に示した。また、
図1に示す摩耗試験方法により、その耐摩耗性を評価し
た。この評価結果を表3に示している。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表3において、試料No.1〜15は本発
明例であり、高強度・高靱性を有した耐摩耗性アルミニ
ウム合金であることが認められる。
【0058】一方、試料No.16〜29は比較例であ
り、次のような問題点がある。 試料No.16:粉末中のSi量が3%と少ないため
に、摩耗試験において焼付きを生じ、十分な耐摩耗性を
得ることができない。
【0059】試料No.17:粉末中のSi量が47%
と多いために、合金の靱性(伸び)が著しく低下する。
【0060】試料No.18:アルミニウム粉末の平均
粒径が90μmと大きいために、粉末中に粗大なSi晶
が存在し、その結果合金の強度および靱性が低下する。
【0061】試料No.19:アルミニウム粉末の最大
粒径が220μmと大きいために、粉末中に粗大なSi
晶が存在し、その結果合金の強度および靱性が低下す
る。
【0062】試料No.20:粉末の急冷度が80℃/
秒と小さいために、粉末中に粗大なSi晶が存在し、そ
の結果合金の強度および靱性が低下する。
【0063】試料No.21:硬質粒子が添加されてい
ないために、粉末間の結合力が十分に得られなく、その
結果合金の靱性が低下するとともに、耐摩耗性(特に相
手攻撃性)が低下する。
【0064】試料No.22:合金中のSiと硬質粒子
の合計含有量が65重量%と多いために、合金の靱性が
低下し、その結果摩耗試験中に試料が破損する。
【0065】試料No.23:硬質粒子のアスペクト比
が0.4と小さいために、粉末間の強固な結合が得られ
ず、その結果合金の強度・靱性が低下する。
【0066】試料No.24:硬質粒子の長径が1μm
と小さいために、粉末間の強固な結合が得られず、その
結果合金の強度・靱性が低下するとともに、摩耗試験に
おいて相手側の材料を攻撃する。
【0067】試料No.25:D/dが42と大きいた
めに粉末間の強固な結合が得られず、その結果合金の強
度・靱性が低下する。
【0068】試料No.26:硬質粒子の長径が15μ
mと大きいために、粉末間の強固な結合が得られず、そ
の結果合金の強度・靱性が低下するとともに、摩耗試験
において相手側の材料を攻撃する。
【0069】試料No.27:合金中のSiと硬質粒子
の合計含有量が65重量%と多いために、合金の靱性が
低下し、その結果摩耗試験中に試料が破損する。
【0070】試料No.28:合金中のSiと硬質粒子
の合計含有量が70重量%と多いために、合金の靱性が
低下し、その結果摩耗試験中に試料が破損する。
【0071】試料No.29:D/dが3と小さいため
に粉末間の強固な結合が得られず、その結果合金の強度
・靱性が低下する。
【0072】(実施例2)表4に示す製造条件に従っ
て、急冷凝固アルミニウム合金粉末と硬質粒子とを混合
した混合粉末を成形固化し、その合金の機械的特性およ
び耐摩耗性を評価した。その結果を表5に示す。なお、
同表中の各試料番号の組成は表2の同一試料番号の組成
に対応する。
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】表5において、試料No.1〜8は本発明
の範囲内で作製した合金であり、高強度・高靱性を有し
た耐摩耗性アルミニウム合金であることが認められる。
【0076】一方、試料No.9〜15は本発明に対す
る比較材であり、次のような問題点がある。
【0077】試料No.9:予備加熱における加熱温度
が380℃と低いために、粉末間の強固な結合が得られ
ず、その結果合金の強度・靱性が低下するとともに、摩
耗試験において相手側との焼付きを生じる。
【0078】試料No.10:熱間鍛造時の面圧が3.
5t/cm2 と小さいために、粉末間の強固な結合が得
られず、その結果合金の強度・靱性が低下するととも
に、摩耗試験において試験片が破損する。
【0079】試料No.11:予備加熱における加熱温
度が380℃と低いために、粉末間の強固な結合が得ら
れず、その結果合金の強度・靱性が低下するとともに、
摩耗試験において試験片が破損する。
【0080】試料No.12:予備加熱における加熱温
度が570℃と高いために、粉末中のSi晶が粗大化
し、その結果合金の強度・靱性が低下する。
【0081】試料No.13:予備加熱における加熱時
間が3秒と短いために、粉末間の強固な結合が得られ
ず、その結果合金の強度・靱性が低下するとともに、摩
耗試験において試験片が破損する。
【0082】試料No.14:予備加熱工程において大
気中にて昇温速度20℃/分と小さい条件で加熱したた
めに、粉末表面の酸化被膜の再生成を抑制できず、その
結果合金の強度・靱性が低下する。
【0083】試料No.15:原料粉末の流れ性が悪い
ために、良好な粉末成形体が得られず、その結果合金を
作製することができなかった。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性・耐焼付き性
に優れた粉末アルミニウム合金を粉末鍛造法に基づいて
高い経済性で製造することができる。その結果、従来の
鉄製コンプレッサー部品であるベーン、シュー、サイド
プレート等、自動車部品のオイルポンプロータやシリン
ダライナー、バルブリフタ等、または事務機器のロー
ラ、ギア、軸受等の摺動部品に対して本発明にしたがっ
たアルミニウム合金材料を適用でき、軽量化・小型化が
図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩耗試験方法を示す図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 急冷凝固アルミニウム合金粉末と硬質粒
    子との混合粉末を出発原料とし、この混合粉末を熱間鍛
    造法によって成形固化して得る高靱性耐摩耗性アルミニ
    ウム合金において、 前記急冷凝固アルミニウム合金粉末は、重量基準でSi
    を5%以上40%以下含み、残部が実質的にAlおよび
    不可避不純物であり、 前記急冷凝固アルミニウム合金粉末の平均粒径をD、前
    記硬質粒子の平均粒径をdとしたとき、5≦D/d≦4
    0の関係を満足し、 前記硬質粒子の長径に対する短径の比であるアスペクト
    比が0.5以上であることを特徴とする、高靱性耐摩耗
    性アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】 前記硬質粒子は、酸化物、炭化物および
    窒化物からなる群から選ばれており、その長径が2μm
    以上10μm以下である、請求項1に記載の高靱性耐摩
    耗性アルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 前記硬質粒子の添加量WHpは、前記混
    合粉末中、重量基準で5%以上30%以下であり、前記
    混合粉末中のSiの含有量を重量基準でWSiとする
    と、WSi+WHp≦60%の条件を満足する、請求項
    1に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金。
  4. 【請求項4】 必要に応じて重量基準で0.4%以上8
    %以下のCuおよび/または0.5%以上1.5%以下
    のMgを含有する、請求項1に記載の高靱性耐摩耗性ア
    ルミニウム合金。
  5. 【請求項5】 前記急冷凝固アルミニウム合金粉末は、
    その平均粒径が80μm以下であり、最大粒径が200
    μm以下である、請求項1に記載の高靱性耐摩耗性アル
    ミニウム合金。
  6. 【請求項6】 前記急冷凝固アルミニウム合金粉末の急
    冷度は、102 ℃/秒以上104 ℃/秒以下である、請
    求項1に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金。
  7. 【請求項7】 前記出発原料としての混合粉末は、オリ
    フィス4mmφでの粉末の流動度が60秒/50g以下
    である、請求項1に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム
    合金。
  8. 【請求項8】 急冷凝固アルミニウム合金粉末と硬質粒
    子との混合粉末を出発原料として、この混合粉末を熱間
    鍛造法によって成形固化する高靱性耐摩耗性アルミニウ
    ム合金の製造方法において、 前記急冷凝固アルミニウム合金粉末は、重量基準でSi
    を5%以上40%以下含み、残部が実質的にAlおよび
    不可避不純物であり、前記急冷凝固アルミニウム合金粉
    末の平均粒径をD、前記硬質粒子の平均粒径をdとした
    とき、5≦D/d≦40の関係を満足し、前記硬質粒子
    の長径に対する短径の比であるアスペクト比が0.5以
    上であり、 前記出発原料としての混合粉末を300℃以下の温度で
    成形し、この粉末成形体を400℃以上550℃以下の
    温度範囲まで急速に加熱し、この温度範囲で10秒以上
    保持した後、直ちに加熱された閉塞金型内で加圧・圧縮
    して真密度比97%以上に熱間成形固化することを特徴
    とする、高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粉末成形体の急速加熱工程における
    加熱昇温速度が30℃/分以上である、請求項8に記載
    の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記出発原料としての混合粉末は、重
    量基準で0.4%以上8%以下のCuおよび/または
    0.5%以上1.5%以下のMgを含有する、請求項8
    に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記混合粉末を加圧・圧縮して得られ
    た熱間成形固化体を300〜500℃の温度範囲で0.
    5〜4時間加熱した後に、水冷処理を施す、請求項10
    に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記水冷処理後に、前記熱間成形固化
    体に対して200℃以下の時効処理を施す、請求項11
    に記載の高靱性耐摩耗性アルミニウム合金の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6581669B2 (en) * 1998-03-10 2003-06-24 W.C. Heraeus Gmbh & Co., Kg Sputtering target for depositing silicon layers in their nitride or oxide form and a process for its preparation
KR20160063328A (ko) * 2013-09-27 2016-06-03 스미또모 덴꼬 쇼오께쯔 고오낑 가부시끼가이샤 액상 소결 알루미늄 합금 부재의 제조 방법 및 액상 소결 알루미늄 합금 부재
CN114151531A (zh) * 2021-12-30 2022-03-08 亚超特新材料技术有限公司 一种用于链条和皮带传动装置的轻量化铝基复合材料传动圆盘

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