JPH08193108A - 空気乾燥型接着性樹脂組成物 - Google Patents

空気乾燥型接着性樹脂組成物

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JPH08193108A
JPH08193108A JP7004791A JP479195A JPH08193108A JP H08193108 A JPH08193108 A JP H08193108A JP 7004791 A JP7004791 A JP 7004791A JP 479195 A JP479195 A JP 479195A JP H08193108 A JPH08193108 A JP H08193108A
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知明 青木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低臭気性であると共に、表面乾燥時間が短く
しかも基材との密着性に優れた空気乾燥型接着性樹脂組
成物を提供する。 【構成】 多官能イソシアネート化合物に、活性水素原
子を有するアリルエーテル化合物、ヒドロキシオキシア
ルキルジシクロペンタジエンおよび活性水素原子とアク
リロイル基を有する化合物を反応させて得られるウレタ
ン化合物をジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレ
ート又はジシクロペンテニルオキシアルキルメタクリレ
ートに溶解してなる空気乾燥型接着性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種基材への被覆を現
地・現場で行うのに適した、臭気の少ない、表面乾燥性
および基材との接着性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物や設備に用いられているコ
ンクリートや鉄鋼の劣化防止のため、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いた各種
の被覆が行われている。しかしながら、これらの樹脂に
は、重合性モノマー、反応性希釈剤及び希釈溶剤を多量
に含んでいるため、作業中にこれらが揮発し、作業者や
周囲の環境に悪影響を与えている。そこで、これらの臭
気の改善のため、高分子量のモノマーを使用し、揮発を
抑制する試みがなされている。
【0003】例えば、特開昭57−74316号公報に
は、骨材材料と、ジシクロペンテニルオキシアルキルア
クリレート又はメタクリレート及びヒドロキシアルキル
メタクリレートから成る結合剤単量体と、重合触媒とを
含むアクリル重合体コンクリート組成物が開示されてい
る。このものは、床や道路の補修に使用されるものであ
り、該公報の5頁右上欄9〜18行には、揮発性が低
く、低臭気性であることによる作業環境の改善が記載さ
れている。また、該公報の12頁左下欄には、該組成物
は2〜4時間で表面乾燥(=表面硬化)することが記載
されている。しかしながら、この樹脂組成物も、従来の
不飽和ポリエステル樹脂に比べれば表面乾燥時間が非常
に長いという欠点があった。また、セメントペーストや
セメントモルタル合成高分子エマルジョンを混入して、
接着性、透気性、透水性等を改善する方法も知られてお
り、セメントモルタルの接着性を改善するものとして、
特公昭44−18757号公報に示されているように合
成高分子エマルジョンを予め下地に塗布して、モルタル
の接着性を増強する方法がある。しかしながら、上記の
技術では、コンクリートとの接着性が充分でなく、長期
耐久性を維持するためには、定期的な外装塗り替えや補
修に頼らざるを得ないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低臭気性で
あると共に、表面乾燥時間が短く、コンクリート等の基
材との接着性に優れた空気乾燥型接着性樹脂組成物(以
下、樹脂組成物という)を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジシクロペン
テニルオキシアルキルアクリレート又はジシクロペンテ
ニルオキシアルキルメタクリレートと特定のウレタン化
合物を併用することによって上記課題を解決したもので
ある。すなわち、本発明は、多官能性イソシアネート化
合物、活性水素原子を有するアリルエーテル化合物、一
般式(I)
【化3】 〔式中、nは1または2の整数であり、Rは芳香族基ま
たは炭素数2〜25の脂肪族基を表す〕で示されるヒド
ロキシオキシアルキルジシクロペンタジエンおよび活性
水素原子とアクリロイル基を有する化合物を反応させて
得られるウレタン化合物を、一般式(II)
【化4】 〔式中、R1は炭素原子数2〜12個のアルキレン基又
は少なくとも1個の酸素原子で結合された少なくとも2
個のアルキレン鎖から成り、各アルキレン鎖が少なくと
も2個の炭素原子を有し、合計で4〜12個の炭素原子
を有するオキサアルキレン基を表し、R2は水素又はメ
チル基を表す〕で示される化合物に溶解してなる樹脂組
成物に関する。
【0006】本発明において、活性水素原子を有するア
リルエーテル化合物としては、グリセリンジアリルエー
テル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロール
プロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ
アリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル化合
物、1価又は多価アルコール又は酸にアリルグリシジル
エーテルを必要量反応させることにより合成される化合
物を用いることができる。反応に際しては、ルイス酸又
はそのエーテル、酢酸との錯体を少量使用し、反応後、
中和し、水洗・脱水することにより活性水素原子を有す
るアリルエーテル化合物を得ることができる。
【0007】本発明に用いられる上記の一般式(I)で
示されるヒドロキシオキシアルキルジシクロペンタジエ
ンは、多価アルコールとジシクロペンタジエンを強酸性
触媒の存在下で反応させて得られる付加反応物である。
この反応は公知であり、例えば、米国特許第23936
09号明細書およびジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・
ソサイエティ、68.8、(1945)に報告されてい
るように、強鉱酸触媒またはルイス酸触媒のような均一
系強酸触媒の存在下でグリコールとジシクロペンタジエ
ンを付加反応させて上記の一般式(I)で表される付加
反応物を得ることができる。反応に用いられる多価アル
コールとしては、芳香族基または炭素数2〜25の脂肪
族基を有していればよく、特に制限はない。また芳香族
基または炭素数2〜25の脂肪族基は酸素を含んでもよ
い。例えばエチレングコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロピレング
リコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、水添ビスフェノールA、
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン等があげられる。これらの多価アルコールのうち、ヒ
ドロキシオキシアルキルジシクロペンタジエンの蒸留精
製および塗膜物性の点から芳香族基または脂肪族基の炭
素数は2〜25の範囲とされる。エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、グリセリン等の融点が低
く常温で液体のものが好ましい。芳香族基は通常2個以
下とされる。
【0008】また、活性水素原子とアクリロイル基を有
する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート〔(メタ)アクリレートは、メタクリレート
又はアクリレートを意味する。以下同様〕、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート等の2−ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレートなどがあり、これらのう
ち2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0009】また、多官能性イソシアネート化合物とし
ては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キ
シレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシア
ネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイ
ソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネートのビュレット体、イソシ
アヌレート環を含むイソホロンジイソシアネートの三量
体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の
2個以上のイソシアネート基を有する化合物などがあ
る。
【0010】上記のような多官能性イソシアネート化合
物、活性水素原子を有するアリルエーテル化合物、一般
式(I)で示されるヒドロキシオキシアルキルジシクロ
ペンタジエンおよび活性水素原子とアクリロイル基を有
する化合物を反応させてウレタン化合物を得る条件とし
ては、反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは20
〜80℃であり、反応時間は、通常1〜50時間、好ま
しくは3〜10時間である。反応に際してジブチル錫ジ
ラウレートなどのウレタン反応触媒並びにヒドロキノ
ン、メチルヒドロキノン、N−ニトロソフェニルヒドロ
キシルアミンアルミニウム塩などの重合禁止剤を存在さ
せてもよい。これらの材料は全てを同時に反応させても
よく、多官能性イソシアネート化合物にいずれかの化合
物を反応させ、ついで他の化合物を反応させてもよい。
イソシアネート基に対して上記の3種の化合物の活性水
素原子の総量を0.8〜1.5当量の範囲とすることが
好ましい。活性水素原子を有するアリルエーテル化合
物、一般式(I)で示されるヒドロキシオキシアルキル
ジシクロペンタジエンおよび活性水素原子とアクリロイ
ル基を有する化合物は、活性水素原子の総量を100当
量%として、上記のアリルエーテル化合物を5〜60当
量%、上記の一般式(I)で示される化合物を5〜20
当量%および活性水素原子とアクリロイル基を有する化
合物を90〜20当量%の範囲で用いることが好まし
い。また、反応中の化合物の粘度上昇による撹拌効率の
低下を防止するため、この反応を、上記一般式(II)で
示される化合物の存在下に行うことができる。
【0011】本発明の樹脂組成物は、上記のようにして
得られたウレタン化合物を上記一般式(II)で示される
化合物に溶解して含むものである。一般式(II)で示さ
れる化合物としては、例えば、ジシクロペンテニルオキ
シエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシイ
ソプロピルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシ
イソプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシ
ネオペンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキ
シネオペンチルアクレリートなどが挙げられる。本発明
の樹脂組成物において、一般式(II)で示される化合物
の使用量は、樹脂組成物の空気乾燥性から、樹脂組成物
に対して好ましくは10〜90重量%、より好ましくは
30〜80重量%とされる。
【0012】本発明の樹脂組成物には、さらに、有機過
酸化物及び重合促進剤を添加することができる。ここ
で、有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイ
ル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ−tert−ブ
チルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドな
どを樹脂組成物に対して0.3〜10重量%の範囲で用
いることが好ましい。また、重合促進剤としては、ナフ
テン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の多価金属塩
を、樹脂組成物に対して0.1〜5重量%の範囲で、ジ
メチルアニリン、ジメチルパラトルイジン等の芳香族ア
ミンなどを、樹脂組成物に対して0.01〜5重量%の
範囲で用いることが好ましい。
【0013】また、本発明の樹脂組成物は、光によって
硬化させることもできる。光による硬化は、樹脂組成物
に、光開始剤、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミ
ヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、ベン
ゾインエーテル、メトキシアセトフェノンなどを樹脂組
成物に対して好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用
い、太陽光、紫外線ランプ等を用いて光で照射すること
によって行われる。
【0014】本発明の樹脂組成物には、必要に応じて従
来の低分子量の重合性単量体、例えば、スチレン、クロ
ルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブチルスチレ
ン、臭化スチレン、ジアリルフタレート、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、β
−ヒドロキシアクリル酸エチル、アクリルアミド、フェ
ニルマレイミド、マレイミド、酢酸ビニルなどを樹脂組
成物に対して、好ましくは1〜50重量%の範囲で用い
ることができるが、低臭気の観点から、β−ヒドロキシ
エチルメタクリル酸エステル、長鎖のアルキル基を有す
るメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート等の長鎖の多価アルコールの水酸基の一部
又は全部をアクリル酸又はメタアクリル酸でエステル化
した化合物を用いることが好ましい。
【0015】さらに、本発明の樹脂組成物に、必要に応
じて充填材や補強材を加えることができる。充填材とし
ては、炭酸カルシウム、タルク、硅砂、水酸化アルミニ
ウムなどを用いることができる。また、補強材として
は、ガラス繊維、ポリエステル繊維などから成るクロ
ス、マット、不織布などを用いることができる。補充材
及び補強材は、それぞれ上記のウレタン化合物及び一般
式(II)で示される化合物100重量部に対して10〜
500重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれによって制限されるものではない。 合成例1 ヒドロキシエチルモノエーテルジシクロペンタジエンの
合成 撹拌機、冷却器、温度計および滴下漏斗を備えた0.5
リットルの4つ口フラスコに、エチレングリコール12
4gおよびパラトルエンスルホン酸19.4gを仕込み
120℃に昇温し、ジシクロペンタジエン264gを1
時間かけて滴下した。滴下終了後さらに120℃2時間
保温した後、反応液をナトリウムメチラート20gで中
和した。この中和液を120℃/2mmHgで蒸留し、ヒド
ロキシエチルモノエーテルジシクロペンタジエン200
gを回収した。
【0017】合成例2 ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートの合成 撹拌機、冷却器、精留管、温度計及び滴下漏斗を備えた
1リットルの4つ口フラスコに、ジシクロペンタジエン
60g、エチレングリコール160g及びパラトルエン
スルホン酸4gを120℃で4時間反応させた後、温度
を80℃まで下げ、さらにメタクリル酸430gとパラ
トルエンスルホン酸4gを添加し、100℃で水を留出
させつつ5時間反応させ、得られた反応物を酸化マグネ
シウムで中和した。反応物を水洗した後、減圧蒸留によ
り精製した。
【0018】合成例3 ウレタン化合物(A)の合成 撹拌機、冷却器、温度計及び滴下漏斗を備えた1リット
ルの4つ口フラスコに、上記合成例2で合成したジシク
ロペンテニルオキシエチルメタクリレート400gと、
ミリオネートMR−100(日本ポリウレタン工業(株)
製;NCO含有率31.0%のポリメチレンポリフェニ
ルポリイソシアネート)200gを仕込み、さらにジブ
チル錫ジラウリレート2gを加え、60℃まで加熱し
た。次いで、このフラスコ内に2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート140gと、ネオアリルP−30(ダイソ
ー(株)製;ペンタエリスリトールトリアリルエーテル)
50gの混合溶液を2時間かけて滴下した。続いて、合
成例1で合成したヒドロキシエチルモノエーテルジシク
ロペンタジエン60gを0.5時間かけて滴下した。赤
外分光光度計を用い反応の追跡を行った。すなわち、イ
ソシアネート基に起因する2240cm-1付近の吸収ピー
クの消滅を反応終点とした。本実施例では、ヒドロキシ
エチルモノエーテルジシクロペンタジエンを滴下してか
ら1時間後の吸収ピークの測定で消滅していることを確
認してから合成を終了させ、ウレタン化合物(A)を得
た。
【0019】合成例4 ウレタン化合物(B)の合成 合成例4と同様の合成装置を用い、合成例2で合成した
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート400
gと、合成例3と同様にミリオネートMR−100 1
67gを仕込み、ジブチル錫ジラウリレート2gを加
え、60℃まで加熱した。次いで、このフラスコ内に2
−ヒドロキシエチルメタクリレート60gと、ネオアリ
ルP−30 56gの混合溶液を1時間で滴下した。続
いてヒドロキシエチルモノエーテルジシクロペンタジエ
ン118gを1時間かけて滴下した。合成終点は実施例
1同様、赤外分光光度計により確認し、ウレタン化合物
(B)を得た。
【0020】実施例1および実施例2 上記で得られたウレタン化合物(A)または(B)10
0gに、上記で得られたジシクロペンテニルオキシエチ
ルメタクリレートを200g加え、樹脂組成物(I)ま
たは(II)を得た。この樹脂組成物(I)及び(II)は
それぞれ25℃で粘度は約2.5ポアズ、3.0ポアズ
であった。
【0021】〈試験例1〉次に、上記樹脂組成物(I)
または(II)50gにそれぞれ6%−オクテン酸コバル
ト溶液0.5g及び80%クメンハイドロパーオキサイ
ド1gを加えて硬化させたところ、両試料とも20分で
流動性を示さなくなった。またコンクリート歩道板の表
面に、雰囲気温度25℃下で、400μm厚に塗布した
ところ、樹脂組成物(I)は約1.8時間、樹脂組成物
(II)は約1.5時間で指触乾燥を得た。
【0022】〈試験例2〉さらに、樹脂組成物(I)ま
たは(II)50gに6%オクテン酸コバルト0.5gお
よび80%クメンハイドロパーオキサイド1gを加え金
型内に注入し、幅12mm、厚さ5mm、長さ120mmの硬
化物を作製し機械強度測定用試験片とした。その結果、
樹脂組成物(I)の硬化物の曲げ強さは1.2kgf/m
m2、樹脂組成物(II)の硬化物は1.1kgf/mm2であ
り、曲げ弾性率はそれぞれ280kgf/mm2、220kgf/m
m2を示した。
【0023】〈試験例3〉また、樹脂組成物(I)また
は(II)100gに対し、硅砂6号100gおよび硅砂
150gを加え、さらに6%オクテン酸コバルト1g及
び80%クメンハイドロパーオキサイド2gを加えて良
く混合し、この組成物をコンクリート歩道板上に厚さ3
mmになるようにコテで塗布し、接着力測定用試験体を得
た。樹脂組成物(I)または(II)を用いた試験体は両
方とも約15分で内部硬化していることが観察され、約
1.5時間後には両試験体の表面とも指触乾燥してい
た。この試験体を室温で24時間放置後、表面にエポキ
シ系接着剤で治具を貼りつけ、建研引張り試験を行っ
た。被験数を5として測定した結果、樹脂組成物(I)
の試験体の接着力は平均で39kgf/cm2(全て凝集破
壊)、樹脂組成物(II)の試験体の接着力は平均で43
kgf/cm2(全て凝集破壊)の値を示した。
【0024】比較例1 合成例3と同様の合成装置を用い、合成例3と同様にジ
シクロペンテニルオキシエチルメタクリレート400g
とミリオネートMR−100、200gを仕込み、さら
にジブチル錫ジラウリレート2gを加え60℃に加熱し
た。次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレート200
gを2時間かけて滴下し、実施例1と同様に赤外分光光
度計を用いて反応を追跡した。滴下終了後2時間でイソ
シアネート基の吸収ピークが消滅したため合成を終了
し、ウレタン化合物(C)を得た。このウレタン化合物
(C)100gにさらにジシクロペンテニルオキシエチ
ルメタクリレート200gを加え、粘度2.0ポアズの
樹脂組成物(III)を得た。試験例1と同様に、得られ
た樹脂組成物(III)50gに6%オクテン酸コバルト
0.5g及び80%クメンハイドロパーオキサイド1g
を加えて硬化させたところ、同じく15分で流動性を示
さなくなった。またコンクリート歩道板の表面に400
μmの厚さに塗布したところ、指触乾燥に約4時間を要
した。また、試験例3と同様の方法で接着力を測定した
結果30(kgf/cm2)であった。
【0025】実施例3 合成例3で合成したウレタン化合物(A)に表1に示す
配合でジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート
及びポリエチレングリコール(分子量600)のジメタ
クリレートを配合し、樹脂組成物(IV)及び(V)を得
た。これらの樹脂組成物(IV)または(V)についてそ
れぞれ試験例1、2及び3と同様の方法で塗膜及び樹脂
硬化物を作製し評価した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0026】〈試験例4〉内容量20リットルの密閉容
器に吸気管及び排気管を有する臭いセンサーを取り付け
て、実施例1で製造した樹脂組成物(I)5gを該容器
の底部に放置し、90分後の匂い感度値を測定した。セ
ンサーとしては、新コスモス電機(株)製ニオイセンサー
XP329型を用いた。結果を表2に、他の樹脂、モノ
マー、溶剤などの匂い感度値を共に示す。
【表2】 センサーの匂い感度値は、値が大きい程、強い匂いを示
している。表2の中で樹脂組成物(I)が最も低い匂い
感度値を示した。
【0027】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、低臭気性に優れ
るとともに、表面乾燥性にも優れ、基材被覆のための施
工時間に寄与する。さらに各種基材との密着性に優れる
ものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多官能性イソシアネート化合物、活性水
    素原子を有するアリルエーテル化合物、一般式(I) 【化1】 〔式中、nは1または2の整数であり、Rは芳香族基ま
    たは炭素数2〜25の脂肪族基を表す〕で示されるヒド
    ロキシオキシアルキルジシクロペンタジエンおよび活性
    水素原子とアクリロイル基を有する化合物を反応させて
    得られるウレタン化合物を、一般式(II) 【化2】 〔式中、R1は炭素原子数2〜12個のアルキレン基又
    は少なくとも1個の酸素原子で結合された少なくとも2
    個のアルキレン鎖から成り、各アルキレン鎖が少なくと
    も2個の炭素原子を有し、合計で4〜12個の炭素原子
    を有するオキサアルキレン基を表し、R2は水素又はメ
    チル基を表す〕で示される化合物に溶解してなる空気乾
    燥性樹脂組成物。
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